JP2008126274A - アーク溶接におけるスパッタ認識方法及びスパッタ認識装置 - Google Patents

アーク溶接におけるスパッタ認識方法及びスパッタ認識装置 Download PDF

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康司 米田
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Abstract

【課題】画像処理の手段を用いて、スパッタの発生量及びその挙動を正確に測定する。
【解決手段】アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像し、各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出し、抽出された各孤立領域の位置情報を検出し、検出された各孤立領域の位置情報に基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断し、連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アーク溶接におけるスパッタ認識方法及びスパッタ認識装置に関するものである。
自動車等のボディパネルを溶接する工程においては、炭酸ガス又は炭酸ガスとアルゴンとの混合ガス等の酸化性シールドガス雰囲気下で溶接を行うMAG(metalactivegas)溶接が行われる。
このMAG溶接は、溶接ワイヤを用いて行う半自動アーク溶接の一種であり、一般の溶接と同様に溶接作業中にアーク発生位置から周囲に溶融金属粒(スパッタ)が飛散する場合がある。該スパッタは、周囲の環境を汚染するばかりではなく、溶接品質の低下等の問題を招くおそれがあり、その発生量を抑えることが望ましい。スパッタの発生量は、電圧、電流、シールドガス等によって著しく変化するが、溶接ワイヤの品質によっても変化する。かかる点に鑑みれば、電圧、電流、シールドガス等の条件を一定に保った状態でアーク溶接を一定時間行い、該アーク溶接によるスパッタの発生量を調べることにより、アーク溶接に用いられた溶接ワイヤの品質を把握することも可能である。
従来、閉空間内でワークに対し一定のアーク溶接を施した後に、該溶接によって生じたスパッタ量を目視等により計測する方法が行われている。また、溶接後のスパッタを捕集してその重量を計測する方法や、溶接前のワーク重量と使用した溶接ワイヤ重量の和から溶接後のワーク重量を差引くことによりスパッタの発生量を計測する方法も採用されている。
この様な計測法は簡便であるものの、スパッタ発生の定量性やスパッタ単体の挙動把握に欠け、オーバーオールの値(総量評価)でしかスパッタを評価できないという問題があった。
これに対し、特許文献1においては、アーク溶接中の溶接電圧の時間的変化を計測することによりスパッタを計測する方法が採られている。該計測方法においては、溶接ワイヤ側と母材側との短絡により電圧波形中に低電圧領域が表れる点に着目し、該低電圧領域の発生回数と、該低電圧領域のうち、短絡時間がきわめて短い瞬間短絡領域の発生回数とをそれぞれ単位時間毎に求め、両発生回数を所定の演算式に代入することにより、スパッタ発生量を評価している。
特開平11−347728号公報
しかしながら、上記スパッタ量の計測方法は、溶接電圧の時間的変化を計測することにより間接的にスパッタ発生量を把握するに過ぎず、発生するスパッタ個々の大きさや飛散速度等の性状を把握することはできず、溶接ワイヤの品質良否を評価する上では信頼性に欠けるという問題がある。
そこで、本発明は、画像処理の手段を用いることにより、スパッタの発生量及びその挙動を正確に測定することができるスパッタの認識方法及びスパッタ認識装置を提供するようにしたものである。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、
アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像し、
各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出し、
該抽出された各孤立領域の位置情報を検出し、
該検出された各孤立領域の位置情報に基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断し、
連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識する、
ことを特徴としている。
アーク溶接において発生するスパッタは、アーク発生位置から飛散する火花のように見え、その動き、形状、大きさ、輝度、色彩等、フレーム画像上で視認できる要素が周囲に比べて著しい特徴を有している。
本発明は、スパッタのこの様な特徴を踏まえ、アーク溶接の溶接状況をフレーム画像に撮像することにより、該フレーム画像に、スパッタの上述の如き要素を画像情報として取り込み、該フレーム画像からスパッタを認識するものである。
一方、アーク溶接の溶接状況を撮像すると、スパッタばかりでなく、ヒュームや塵等がノイズとして撮像される。また、フレーム画像を送信する際に電気的なノイズが発生する場合もあり、これらのノイズがスパッタを示す孤立領域と近似した形状となってフレーム画像に現れる場合が考えられる。
そこで、本発明は、スパッタが著しい速度で飛散することに着眼し、フレーム画像の中からスパッタを示す孤立領域のみを認識することとしている。即ち、スパッタが著しい速度で飛散するため、フレーム画像にてスパッタを示す孤立領域は、連続するフレーム画像間でその位置を相対的に変化させているはずであり、各孤立領域の位置情報に基づいて連続するフレーム画像間での孤立領域の相対的な位置変化を判断することにより、フレーム画像中に現れる無数の孤立領域の中からスパッタを認識する一方、連続性を有しないと判断される孤立領域をノイズとして認識対象から除外しているのである。
この様にフレーム画像からスパッタを認識することにより、上記アーク溶接状況下における個々のスパッタの発生を正確に把握することができると共に、各スパッタの大きさや移動速度等の性状も把握することができる。
また、アーク溶接の開始から終了に亘る全フレーム画像を調査対象とすることにより、該アーク溶接により発生したスパッタの発生量を計測することができるのである。
また、この様に連続するフレーム画像間での孤立領域の位置情報の連続性を手がかりとしてスパッタを認識することとすれば、フレーム画像から孤立領域を抽出した後、
該抽出された各孤立領域の位置情報及び特徴量を検出し、
該検出された各孤立領域の位置情報又は位置情報と特徴量とに基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断し、
連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識する、
ことも好ましい。この様に位置情報に付随して抽出する特徴量も孤立領域の連続性の有無の判断要素とすることにより、より正確なスパッタの認識が可能となる。
また、後処理によって認識された複数のスパッタを様々な指標により分類する場合には、この様に位置情報だけではなく特徴量も検出していることが有効である。
特に、前記特徴量は孤立領域の大きさを示す画素数であって、
前記各フレーム画像から1又は複数の孤立領域を抽出するに際し、
予め設定した画素数の範囲外の画素数からなる孤立領域を連続性の判断対象から除外することは好ましい。
一般に、スパッタを示している孤立領域の画素数に比較して、ノイズを示す孤立領域の画素数は著しく少なく、アーク発生位置等を示す孤立領域の画素数は著しく多いため、孤立領域の画素数の範囲を予め設定し、該範囲外の孤立領域を検出対象から除外することで、以後の処理を効率的に行うことができる。
なお、予め設定される孤立領域の画素数は、撮像倍率に応じて適宜変更できるものとする。
また、アーク溶接の撮像は、1万フレーム/秒の撮像速度を有する高速度カメラ等を用いて数秒程度の溶接現象を撮像することとする。
例えば、アーク溶接を10秒程度撮像すると、かかる撮像時間に撮像されたフレーム画像は10万コマとなり、該フレーム画像の全体に亘って1つ1つ孤立領域を検出して連続性を判断するには膨大な時間がかかることが予想される。
このため、孤立領域の連続性の判断は効率的に行うことにより、スパッタ認識に要する時間の短縮化を図ることが望ましい。
かかる点に鑑みれば、前記連続するフレーム画像とは、少なくとも3フレームに亘り続くフレーム画像であることは好ましい。
これによれば、少なくとも連続する3つのフレーム画像を判断対象として孤立領域の連続性を判断することができ、かかる処理を順次行うことによって効率的に一連の孤立領域群の連続性を判断することができる。
また、前記連続性の有無の判断は、
前記連続するフレーム画像の各孤立領域の位置情報を結ぶことにより前記アーク発生位置から延びる軌跡を描けるか否かを判断し、
描けると判断したときには該軌跡を構成する一連の孤立領域に連続性ありと認定する、
ことが好ましい。
これによれば、アーク発生位置から延びる一の軌跡を描く一連の孤立領域群が一のスパッタと判断される。かかる判断は、実際にアーク溶接により発生するスパッタの挙動とも一致しており、より正確にスパッタを認識することができる。
また、前記連続性の有無の判断は、
一のフレーム画像にて検出された孤立領域の位置情報を中心とする所定の半径領域を形成し、
該半径領域を次のフレーム画像に設定し、
該半径領域内に当該次のフレーム画像における孤立領域の位置情報が存在するか否かを判断し、
存在すると判断したときには前記一のフレーム画像の孤立領域と前記次のフレーム画像の孤立領域との間に連続性ありと認定する、
ことが好ましい。
これによれば、半径領域を適正に設定することにより、一のフレーム画像において認識された孤立領域に対し、次のフレーム画像にて前記孤立領域の最も近傍に位置する孤立領域を前記孤立領域との間に連続性があるものとして認識することができ、連続するフレーム画像間での孤立領域の連続性を正確に認識することができる。
また、設定された半径領域内での孤立領域の有無を判断するものであるため、当該半径領域が孤立領域検出対象となる。このため、フレーム画像全体に亘って孤立領域の識別を行う必要はなく、処理速度の向上が図られる。
さらに、前記各フレーム画像から1又は複数の孤立領域を抽出するに際し、
各フレーム画像のアーク発生位置にマスク処理を施すことが好ましい。
これによれば、アーク発生位置がマスクをかけられることにより後処理の処理対象から除外されるので、処理後のフレーム画像には、スパッタを示す1又は複数の孤立領域が残ることとなって後過程での孤立領域の抽出・検出を精度良く且つ手早く行うことができるのである。
また、上記アーク溶接におけるスパッタ認識方法を実施可能なスパッタ認識装置は、
アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像する撮像手段と、
各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出する高輝度抽出手段と、
該抽出された各孤立領域の位置情報を検出する情報検出手段と、
該検出された各孤立領域の位置情報に基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断する連続性判断手段と、
連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識するスパッタ認識手段と、
を有することを特徴としている。
または、他のスパッタ認識装置においては、
アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像する撮像手段と、
各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出する高輝度抽出手段と、
該抽出された各孤立領域の位置情報及び特徴量を検出する情報検出手段と、
該検出された各孤立領域の位置情報又は位置情報と特徴量とに基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断する連続性判断手段と、
連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識するスパッタ認識手段と、
を有することを特徴としている。
また、前記情報検出手段は、特徴量として孤立領域の大きさを示す画素数を検出し、
前記抽出手段は、
予め設定した画素数の範囲外の画素数からなる孤立領域を連続性の判断対象から除外する除外手段を有していることが好ましい。
また、前記連続性判断手段は、少なくとも3フレームに亘り続くフレーム画像間で孤立領域の連続性を判断するものであることが好ましい。
また、前記連続性判断手段は、
前記連続するフレーム画像の各孤立領域の位置情報を結ぶことにより前記アーク発生位置から延びる軌跡の存在の有無を判断する軌跡判断手段と、
存在すると判断したときには該軌跡を構成する一連の孤立領域に連続性ありと認定する連続性認定手段と、
を有していることが好ましい。
また、前記連続性判断手段は、
一のフレーム画像にて検出された孤立領域の位置情報を中心とする所定の半径領域を形成する領域形成手段と、
該半径領域を次のフレーム画像に設定する領域設定手段と、
該半径領域内に当該次のフレーム画像における孤立領域の位置情報が存在するか否かを判断する領域判断手段と、
存在すると判断したときには前記一のフレーム画像の孤立領域と前記次のフレーム画像の孤立領域との間に連続性ありと認定する連続性認定手段と、
を有していることが好ましい。
また、前記抽出手段は、
各フレーム画像のアーク発生位置にマスク処理を施すマスク手段を有していることが好ましい。
本発明によれば、スパッタの発生量及びその挙動を正確に測定することができる。
以下、本発明を実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明していく。
図1に示す如く、本発明に係る第1実施形態のスパッタ認識装置1は、アーク溶接の溶接状況を撮像し、該撮像から得られたフレーム画像Fに基づいて、アーク溶接のアークから発生するスパッタを認識するための装置であって、アーク溶接の溶接状況を撮像する撮像装置2と、該撮像装置2によって撮像されたフレーム画像Fを取得して処理する処理装置3とを備えている。
なお、本発明においては、一対の母材を突き合わせ、これら一対の母材の突合わせ部を溶接ワイヤwによりアーク溶接する状況を撮像していくこととする。
撮像装置2は、1万フレーム/秒の撮像速度(撮影速度)を有する高速度カメラからなる撮像手段5と、該撮像手段に配備されたレンズ6とを有している。なお、説明を簡単にするため、撮像手段5はモノクロ型とすることとする。
また、撮像装置2は、移動手段7に搭載されており、該移動手段7と溶接ワイヤwを備えた溶接トーチTとは制御手段8に接続されており、同期して移動する。これにより、溶接作業の進展に伴って移動する溶接部位を撮像手段5により追跡して撮像することができ、該溶接部位をフレームアウトすることなく撮像することができる。
図2に示す如く、撮像装置2により撮像されたフレーム画像Fには、スパッタPのみでなく、アークAや溶融池B、ヒュームC等も高輝度な領域として存在すると共に、ノイズD等も存在する。該ノイズDは、アーク溶接の撮像時にフレームに入り込んでしまった埃や塵ばかりでなく、撮像装置2から処理装置3にフレーム画像Fを出力する際等の電気的なノイズも含まれる。
図1に示す処理装置3は、この様に様々なものが存在するフレーム画像FからスパッタPのみを認識するものである。
処理装置3は、撮像手段5により撮像された画像を時系列でフレームごとに記憶するフレームメモリで構成されるフレーム画像取得手段10と、高輝度抽出手段20と、情報検出手段30と、連続性判断手段40と、スパッタ認識手段50とを備えている。高輝度抽出手段20、情報検出手段30、連続性判断手段40及びスパッタ認識手段50は、パソコンやワークステーション上にプログラムという形で実現されているが、もちろん、これらの機能を実現するASICやFPGA等のLSIを搭載した組込み機器として構成してもよい。
フレーム画像取得手段10は、撮像手段5から所定のタイミングで連続的に撮像されたフレーム画像Fを時系列で順次取得する。
高輝度抽出手段20は、フレーム画像取得手段10により取得された各フレーム画像Fから、1又は複数の孤立領域を抽出する。
また、該高輝度抽出手段20は、変換手段21と、マスク手段22と、除外手段23と、ラベリング手段24とを備えている。
変換手段21は、フレーム画像取得手段10により取得されたフレーム画像Fに2値化処理又は多値化処理を施して、該フレーム画像Fを2値画像又はグレースケール画像(多値化画像)に変換する。これによって、フレーム画像Fは、白又はある閾値以上のグレー値からなる高輝度の領域と、黒又はある閾値以下のグレー値からなる背景領域とに分割される。
マスク手段22は、フレーム画像Fに撮像されるアークA及びその周囲(以下、アーク発生位置という)を後処理の処理対象から除外すべく該アーク発生位置にマスクMをかける(図2参照)。撮像装置2は、上述の如くアーク発生位置の移動に同期して移動するので、各フレーム画像Fでのアーク発生位置は所定の領域内に限定される。したがって、各フレーム画像Fにおいてかかる領域一帯にマスク処理を画一的に施すこととし、これによって各フレーム画像Fに存在するアーク発生位置を処理対象から除外する。
なお、図2に示す如く、フレーム画像Fに現れる溶融池B、ヒュームC等もアーク発生位置と同じく後処理の除外対象であると共に各フレーム画像Fにて所定位置に現れるので、これら溶融池B、ヒュームC等及びその周囲にアーク発生位置と同じようにマスク処理を施すこととしても構わない。
除外手段23は、予め設定した画素数の範囲外の画素数により構成される孤立領域を連続性の判断対象から除外する。スパッタPを示す孤立領域の画素数に比較して、ノイズDを示す孤立領域の画素数は著しく少なく、アーク発生位置や溶融池B等を示す孤立領域の画素数は著しく多いため、孤立領域の画素数をスパッタPの画素数に合わせて予め所定の範囲内に設定し、該所定の範囲外の画素数からなる孤立領域を連続性の判断対象から除外することで、連続性の判断対象となる孤立領域は大幅に削減される。
なお、スパッタを示す孤立領域として予め設定される孤立領域の画素数は、撮像手段5の撮像倍率に応じて適宜変更できるものとする。
また、かかる除外手段23のやり方として、画素数に代えて孤立領域の面積や半径を用いてもよい。
なお、フレーム画像Fに現れる孤立領域の面積と画素との関係は以下の式(1)によるものとする。
Figure 2008126274
また、スパッタを示す孤立領域を円形であるとみなし、以下の式(2)により、孤立領域のみなし円形の半径を用いてもよい。
Figure 2008126274
ラベリング手段24は、2値化又は多値化処理及びマスク処理を施したフレーム画像Fに対し、互いに連結する高輝度画素の塊を抽出し、当該塊を孤立領域として認識後、ラベル付け(番号付け)を行う。
情報検出手段30は、高輝度抽出手段20によりラベル付けされた各孤立領域の重心位置又は各孤立領域が外接する矩形の中心位置を求め、該重心位置又は中心位置を各孤立領域の位置情報として検出する。該位置情報はフレーム画像Fごと区分けされて処理装置3内に配備された記憶装置(図示省略)に格納される。
また、各孤立領域の位置情報の検出に併せて、各孤立領域の面積、真円度、楕円の長軸短軸比、長さ、幅、輝度等の特徴量を導出することも可能であり、これら特徴量及び位置情報はデータセットとして記憶装置に記録される。
再びフレーム画像取得手段10から情報検出手段30までを繰り返し、連続性判断手段40では、各フレーム画像F間の各孤立領域の位置情報(及び特徴量)に基づいて、連続するフレーム画像F間における孤立領域の連続性の判断を行う。
本実施形態においては、連続性判断手段40として、第1判断手段41と、第2判断手段42と、連続性認定手段43とを備えている。
また、連続性判断手段40は、図3に示す如く、一度の処理につき、連続する3つのフレーム画像Fn、Fn+1、Fn+2を判断対象とする。
第1判断手段41は、第1フレーム画像Fnと第2フレーム画像Fn+1の各孤立領域の位置情報に基づいて、これら第1及び第2フレーム画像Fn、Fn+1間において連続性ありと判断される孤立領域の組合せがあるか否かを判断する。かかる判断は、フレーム画像Fn、Fn+1間での位置情報の近傍性や方向性等により判断される。
また、これら第1及び第2フレーム画像Fn、Fn+1間で連続性ありと判断された位置情報にマークp1、p2を付けて記憶装置に格納する。
第2判断手段42は、第2フレーム画像Fn+1と第3フレーム画像Fn+2の各孤立領域の位置情報に基づいて、これら第2及び第3フレーム画像Fn+1、Fn+2間において連続性ありと判断される孤立領域の組合せがあるか否かを判断する。このとき、第2フレーム画像Fn+1の孤立領域の位置情報としては、第1判断手段41によりマークを付けた位置情報のみを判断対象とすれば良い。かかるマーク付けした位置情報に対し、第3フレーム画像Fn+2との間で連続性を有する位置情報の組合せがあるか否かを判断する。
これにより、これら第2及び第3フレーム画像Fn+1、Fn+2間で連続性ありと判断される位置情報p2、p3に位置情報p1を加えた3つが、3つの連続するフレーム画像Fn、Fn+1、Fn+2で連続性を有していることとなる。これをもって該一連の位置情報を有する孤立領域に連続性ありと連続性認定手段43により認定される。
スパッタ認識手段50は、上記連続性判断手段40にて連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生したスパッタPとして認識すると共に、連続性なしと判断される孤立領域をノイズDとして判断する。
次に、図1及び図4を参照して本実施のスパッタ認識装置1の動作について説明する。
撮像装置2で撮像されたフレーム画像Fが順次処理装置3に出力される。
フレーム画像取得手段10は、撮像装置2のフレームメモリ6に1フレーム画像Fを取得する命令を発行し、該フレーム画像Fを記憶装置の“Image[n](n=1)”に格納する(ステップS1)。
高輝度抽出手段20は、フレーム画像取得手段10により取得されたフレーム画像Fに対し、変換手段21にて2値化又は多値化処理を施し、高輝度の孤立領域とそれ以外の背景領域とに区分する(ステップS2)。その後、マスク手段22にて、2値化及び多値化処理を施されたフレーム画像Fに対し、アーク発生位置、溶融池B、ヒュームC等が現れる所定領域にマスク処理を施す(ステップS3)。
該マスク処理までを終えたフレーム画像Fには大小様々な孤立領域が存在することとなるが、除外手段23により所定の範囲外の大きさを有する孤立領域を検出対象から除外する(ステップS4)。
該フレーム画像Fを対象に、ラベリング手段24は、所定の閾値以上のグレー値が連結している塊を同一の孤立領域であると認識し、各孤立領域にID番号を振る(ステップS5)。
情報検出手段30は、ラベリングされた各孤立領域の重心位置又は外接矩形の中心位置等の位置情報を検出し、各位置情報を記憶装置の“selected[n]”に格納する(ステップS6)。
また、各孤立領域の位置情報を検出すると共に、各孤立領域の形状として特徴的な要素である面積、真円度、長さ、幅、楕円の長軸短軸比や画像として特徴的な要素である輝度等を特徴量として検出し、該特徴量と位置情報とをデータセットとして“selected[n]”に格納することとしてもよい。
再びフレーム画像取得手段10から情報検出手段30までを繰り返し、連続性判断手段40では連続した3つフレーム画像Fn、Fn+1、Fn+2間での孤立領域の位置情報(及び特徴量)やこれら各位置情報間の近傍性、方向性等を比較、判断し、これら3つのフレーム画像Fn、Fn+1、Fn+2間で連続性を有する孤立領域群を有無を判断する(ステップS7)。連続性を有すると判断された場合、スパッタ認識手段50にてこれら一連の位置情報を有する孤立領域群をスパッタPとして認識する(ステップS8)。一方、連続性なしと判断された場合、これらの位置情報を有する孤立領域をノイズDと認識(ステップS9)する。かかる判断を各フレーム画像Fに行った後、処理を終了する。
本実施の形態によれば、撮像手段5により撮像されたフレーム画像FからスパッタPのみが認識され、ノイズDがスパッタPとして認識されるおそれはない。また、上記アーク溶接状況下における個々のスパッタPの発生が正確に把握されることとなる。
また、所定の撮像時間の間に撮像した全フレーム画像Fに処理を施すことにより、当該撮像時間内に発生したスパッタPの発生量を正確に計数することができる。
また、本実施の形態によれば、少なくとも連続する3つのフレーム画像F間で孤立領域の連続性が判断される。このため、撮像手段5により得られたフレーム画像Fの枚数が膨大なものとなっても、これによって迅速な処理が可能となっている。
また、上記スパッタPの認識において、孤立領域の位置情報だけでなく該位置情報とデータセットとして抽出される特徴量を判断の対象とすることにより、より正確にスパッタPが認識される。また、この様に特徴量を抽出しておくことにより、各スパッタPの大きさ等も把握することができる。この場合、認識された複数のスパッタPを様々な特徴量を指標として分類することができ、スパッタPの性状把握に効果的である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図5に示す如く、本発明の第2実施形態のスパッタ認識装置12の連続性判断手段40は、軌跡判断手段44と、連続性認定手段45とを有している。
軌跡判断手段44は、高輝度抽出手段20により抽出された各フレームの位置情報に基づいて軌跡を形成する。
具体的には、図6に示す如く、先ず、高輝度抽出手段20により抽出された各フレーム画像Fの孤立領域の位置情報を仮想のフレーム画像Fvにプロットする(図7参照)(ステップS721)。このとき、各孤立領域は、フレーム画像Fごとに階層分け(区分け)をしておく。
そして、同じ階層となるものを含まないこと、アーク発生位置を基点とすること、放物線を形成すること、の3条件を満たす軌跡の形成を試みる(ステップS722)。
図7の如くこれらの条件を満たす軌跡を形成できた場合には、該軌跡を形成する一連の位置情報に連続性ありとして連続性認定手段45により認定し、抽出する(ステップS723)。一方、この様な軌跡を描くことができない孤立領域群は、連続性なしとして認定される(ステップS724)。
以下、上記第1の実施形態と同様に、スパッタ認識手段50にて該一連の孤立領域群を同一のスパッタPと認識し、処理を終了する。
本実施の形態によれば、アーク発生位置から延びる一の軌跡を描く一連の孤立領域群が一のスパッタPと判断され、より正確にスパッタPが認識されることとなる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図8及び図9に示す如く、本発明の第3実施形態のスパッタ認識装置13は、第1実施形態の連続性判断手段の第1判断手段41として、領域形成手段46と、領域設定手段47と、領域判断手段48と、連続性認定手段49とを有している。同様に、第2判断手段42として、領域形成手段46と、領域設定手段47と、領域判断手段48と、位置連続認定手段49とを有している。
領域形成手段46は、高輝度抽出手段20により抽出された図10に示すフレーム画像Fkの孤立領域の位置情報(例えば重心)pkを中心とした半径領域Eを検索対象領域として設定する(ステップS731)。
領域設定手段47は、該半径領域Eを次のフレーム画像Fk+1にプロット(領域設定)する(ステップS732)。また、領域判断手段48は、該半径領域E内に当該フレーム画像Fk+1の孤立領域の位置情報pk+1が包含されるか否か判断する(ステップS733)。
該半径領域E内に位置情報がある場合には、これらの位置情報pk、pk+1に連続性ありとして位置連続認定手段49により認定し、抽出する(ステップS734)。また、位置情報pk+1が存在しない場合には、位置情報pkに連続する位置情報は存在しないとして位置連続認定手段49により認定する(ステップS735)。
本実施の形態においては、第1判断手段41及び第2判断手段42において上述の如き方法を用いて第1フレーム画像Fkと第2フレーム画像Fk+1、第2フレーム画像Fk+1と第3フレーム画像Fk+2の間での孤立領域の連続性を判断した後、スパッタ認識手段50にて連続性ありと判断される一連の孤立領域群を同一のスパッタPと認識し、処理を終了する。
本実施の形態によれば、一のフレーム画像Fkにおいて認識された孤立領域に対し、次のフレーム画像Fk+1にて孤立領域の最も近傍に位置する孤立領域が当該前フレーム画像Fkの孤立領域との間に連続性があるものとして認識される。
スパッタPの飛散速度は、撮像装置2により撮像される撮像対象にあって著しく速いものであり、該スパッタPを高速度カメラからなる撮像装置2によって撮像することにより、各フレーム画像FにてスパッタPが一定の領域を有する孤立領域として撮像されると共に、連続するフレーム画像Fk、Fk+1間において同一のスパッタPを示すこととなる孤立領域の間隔はきわめて小さなもの(他の孤立領域との間隔に比して、最小)となるのである。
本実施の形態は、この様なスパッタPの特性及び撮像装置2の特性を有効に利用しており、これによって、連続するフレーム画像Fk、Fk+1間での孤立領域の連続性から正確にスパッタPが認識される。
また、設定された半径領域内での位置情報の有無を判断するものであるため、当該半径領域のみを処理対象とすることができ、処理速度の向上も図られる。
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、高輝度抽出手段20において、マスク手段22によりフレーム画像Fにマスク処理を施した後に変換手段21によりフレーム画像Fを2値化又は多値化する場合にも、本実施の形態と同様の効果を奏する。
また、領域形成手段46と、領域設定手段47と、領域判断手段48と、位置連続認定手段49から連続性判断手段40を構成し、連続する2フレーム画像Fn、Fn+1間での連続性の判断を時系列で最初のフレーム画像から最後のフレーム画像まで繰り返し行うことによって孤立領域の連続性を判断する構成を採用することもできる。
また、連続性判断手段40においては、位置情報及び特徴量を判断対象として、画像処理におけるパターンマッチング等の探索の手法や運動物体の追跡の手法を用いることも可能である。
本発明に係るスパッタ認識装置の第1実施形態を示す概念図である。 フレーム画像を示す図である。 位置情報の連続性を判断する手順を示す図である。 スパッタ認識装置の動作を示すフローチャートである。 本発明に係るスパッタ認識装置の第2実施形態を示す概念図である。 連続性判断手段の動作を示すフローチャートである。 仮想のフレーム画像を示す図である。 本発明に係るスパッタ認識装置の第3実施形態を示す概念図である。 第1判断手段の動作を示すフローチャートである。 位置情報の連続性を判断する手順を示す図である。
符号の説明
1 スパッタ認識装置
2 撮像装置
3 処理装置
5 撮像手段
7 移動手段
10 フレーム画像取得手段
20 高輝度抽出手段
21 変換手段
22 マスク手段
23 除外手段
24 ラベリング手段
30 情報検出手段
40 判断手段
41 第1判断手段
42 第2判断手段
43 連続性認定手段
44 軌跡判断手段
45 連続性認定手段
46 領域形成手段
47 領域設定手段
48 領域判断手段
49 連続性認定手段
50 認識手段
F フレーム画像

Claims (14)

  1. アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像し、
    各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出し、
    該抽出された各孤立領域の位置情報を検出し、
    該検出された各孤立領域の位置情報に基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断し、
    連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識する、
    ことを特徴とするアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  2. アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像し、
    各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出し、
    該抽出された各孤立領域の位置情報及び特徴量を検出し、
    該検出された各孤立領域の位置情報又は位置情報と特徴量とに基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断し、
    連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識する、
    ことを特徴とするアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  3. 前記特徴量は孤立領域の大きさを示す画素数であって、
    前記各フレーム画像から1又は複数の孤立領域を抽出するに際し、
    予め設定した画素数の範囲外の画素数からなる孤立領域を連続性の判断対象から除外することを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  4. 前記連続するフレーム画像とは、少なくとも3フレームに亘り続くフレーム画像であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  5. 前記連続性の有無の判断は、
    前記連続するフレーム画像の各孤立領域の位置情報を結ぶことにより前記アーク発生位置から延びる軌跡を描けるか否かを判断し、
    描けると判断したときには該軌跡を構成する一連の孤立領域に連続性ありと認定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  6. 前記連続性の有無の判断は、
    一のフレーム画像にて検出された孤立領域の位置情報を中心とする所定の半径領域を形成し、
    該半径領域を次のフレーム画像に設定し、
    該半径領域内に当該次のフレーム画像における孤立領域の位置情報が存在するか否かを判断し、
    存在すると判断したときには前記一のフレーム画像の孤立領域と前記次のフレーム画像の孤立領域との間に連続性ありと認定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  7. 前記各フレーム画像から1又は複数の孤立領域を抽出するに際し、
    各フレーム画像のアーク発生位置にマスク処理を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識方法。
  8. アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像する撮像手段と、
    各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出する高輝度抽出手段と、
    該抽出された各孤立領域の位置情報を検出する情報検出手段と、
    該検出された各孤立領域の位置情報に基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断する連続性判断手段と、
    連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識するスパッタ認識手段と、
    を有することを特徴とするアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
  9. アーク溶接中にアーク発生位置及びその周囲を複数のフレーム画像に撮像する撮像手段と、
    各フレーム画像に2値化又は多値化処理を施して1又は複数の高輝度の孤立領域を抽出する高輝度抽出手段と、
    該抽出された各孤立領域の位置情報及び特徴量を検出する情報検出手段と、
    該検出された各孤立領域の位置情報又は位置情報と特徴量とに基づいて連続するフレーム画像間における孤立領域の連続性の有無を判断する連続性判断手段と、
    連続性ありと判断される一連の孤立領域群をアーク溶接に伴い発生した一のスパッタとして認識するスパッタ認識手段と、
    を有することを特徴とするアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
  10. 前記情報検出手段は、特徴量として孤立領域の大きさを示す画素数を検出し、
    前記抽出手段は、
    予め設定した画素数の範囲外の画素数からなる孤立領域を連続性の判断対象から除外する除外手段を有していることを特徴とする請求項9に記載のアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
  11. 前記連続性判断手段は、少なくとも3フレームに亘り続くフレーム画像間で孤立領域の連続性を判断するものであることを特徴とする請求項8乃至請求項10の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
  12. 前記連続性判断手段は、
    前記連続するフレーム画像の各孤立領域の位置情報を結ぶことにより前記アーク発生位置から延びる軌跡の存在の有無を判断する軌跡判断手段と、
    存在すると判断したときには該軌跡を構成する一連の孤立領域に連続性ありと認定する連続性認定手段と、
    を有していることを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
  13. 前記連続性判断手段は、
    一のフレーム画像にて検出された孤立領域の位置情報を中心とする所定の半径領域を形成する領域形成手段と、
    該半径領域を次のフレーム画像に設定する領域設定手段と、
    該半径領域内に当該次のフレーム画像における孤立領域の位置情報が存在するか否かを判断する領域判断手段と、
    存在すると判断したときには前記一のフレーム画像の孤立領域と前記次のフレーム画像の孤立領域との間に連続性ありと認定する連続性認定手段と、
    を有していることを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
  14. 前記抽出手段は、
    各フレーム画像のアーク発生位置にマスク処理を施すマスク手段を有していることを特徴とする請求項8乃至請求項13の何れかに記載のアーク溶接におけるスパッタ認識装置。
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