JP2008125511A - 養魚用飼料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、養殖魚や観賞魚に給与することにより、養殖魚や観賞魚の体色が改善され、養殖魚や観賞魚の価値を高める養魚用飼料である。
【解決手段】色素成分、ゼアキサンチンが多く含まれるクコの実又はその色素抽出物を養魚用、観賞魚飼料に混合し、その飼料を用いて養殖魚、観賞魚の体色改善ができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、養殖魚や観賞魚の体色を改善する養魚用飼料に関するもので、さらに詳しくは養殖魚や観賞魚に給与することにより、養殖魚や観賞魚の体色が改善され、養殖魚や観賞魚の価値を高めるクコの実またはその色素抽出物を含有する養魚用飼料に関する。
近年、養殖魚(ハマチ、タイ、カンパチ、アユ等)の品質向上は著しいものがあり、特に肉質、外観の改善は養殖魚生産者にとって養殖魚の市場価格にも影響するために必須の懸案である。
また一方、観賞魚(錦鯉、金魚、またグッピー、テトラフィッシュ、ディスカス等の熱帯魚)においても元来観賞魚がもつ色鮮やかな外観を維持、促進させることは観賞魚を楽しむ人々にとって大切なものである。
養殖魚、観賞魚の体色改善は、主に餌に入れる原料での改善効果が一般的で、赤色系の体色が要求される場合は、天然アスタキサンチンを多く含むオキアミを飼料に混ぜて対象魚に与えたり、または合成色素アスタキサンチン(商品名:カロフィルレッド、発売元:DSM株式会社)が入った固形飼料を与えたりして体色改善をしている。また黄色系の改善については、天然カロチノイド色素を含んだマリーゴールドの乾燥花弁粉末(商品名:ダインフィル、輸入販売元:大和化成株式会社)を与える方法や、藻類の一種スピルリナ粉末を与えて、体色改善が試みられている。
しかしながら、養殖魚、観賞魚においても魚本来の食性と消化吸収特性から、餌原料の色素が十分効果を示せなかったり、または目的の体色効果を上げるために、餌代が大変高価になってしまったりする場合がある。
特に養殖魚のアユの場合、従来食性として川の中の石に付着している藻を食べていて、その藻に含まれるカロチノイド色素が消化代謝されて、腹の部分から尾鰭にかけて赤みがかった黄色系の体色を示すようになる。
また金魚、錦鯉も、同様に水中の藻を食べる食性から、その藻に含まれるカロチノイド色素の影響で、鮮やかな赤色や黄色の体色を示し、特に錦鯉においては、鮮やかな朱色の体色が貴重とされる。
これらアユや、金魚、錦鯉等の養魚体色改善に、天然アスタキサンチンを含むオキアミや、合成アスタキサンチンを与えても、必ずしも魚のカロチノイド代謝経路から効果が期待できなく、新潟県水産試験場で行った比較試験では藻類スピルリナと比べて、オキアミ起源のアスタキサンチンは約8分の一しか色素としての効果がないという実験結果がある。(新潟県内水面水産試験場調査研究報告4号、錦鯉の鮮色効果に関する研究、1974年:p47−51)これは金魚、錦鯉の場合、カロチノイド代謝に関しては主に酸化的に代謝が行われ、摂取されたゼアキサンチンは赤色素アスタキサンチンに変換されて体色に現れるからだと考えられる。
一方赤色素アスタキサンチンを直接与えた場合、還元的代謝経路でケトゼアキサンチンを経て、一度ゼアキサンチンに変換され、それからアスタキサンチンに変換されていくためロスが多いからだと推察される。カロチノイドの代謝経路を図1に示す。
Figure 2008125511
そのため、アユ、金魚、錦鯉の飼料においては、藻類スピルリナ粉末を餌に配合して体色改善をするのが一般的に行われている。
しかしながら、藻類スピルリナは世界でも数箇所しか製造場所がなく、主に健康食品向けに生産されているため、大変高価な原料でもあり、また目的の色素含量も大変バラツキが大きく、魚の体色改善効果も一定でない問題点があった。
また効果を上げるために多量に添加した場合、含まれる葉緑素が水に溶け、閉鎖的養殖場や観賞魚の水槽の水を汚してしまうという欠点もある。
新潟県内水面水産試験場調査研究報告4号、錦鯉の鮮色効果に関する研究、1974年:p47−51
本発明は、養殖魚または観賞魚の体色改善を目的とした養魚用飼料の開発で、より効果的に、安価でしかもその原料が容易に入手可能である体色改善方法の開発を課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、クコの実に色素成分、ゼアキサンチンが多く含まれており、またクコの実が日本や、中国、韓国でも広く自生し、また栽培されて、食材として一般的に使われていることに着目し、クコの実又はその色素抽出物を養魚用、観賞魚飼料に混合し、その飼料を用いて養殖魚、観賞魚の体色改善ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
しかして、本発明の主題は、クコの実またはクコの実抽出物を含有する養魚用飼料である。
また、本発明では、飼料に対する前記クコの実またはクコの実抽出物の添加量は、養魚用飼料に対してクコの実のゼアキサンチン含量が1ppmから500ppmになるように設定される。
クコの実又はそのクコの実抽出物を養魚用飼料に混合し、含まれる色素成分であるゼアキサンチンが魚に消化吸収された後、代謝され、魚の体色改善が容易に行なわれることにより、養殖魚や観賞魚の付加価値を与える方法を提供する。
使用されるクコの実は、収穫された生の状態でも養魚用飼料に混合することが可能であるが、乾燥された状態の方が好ましい。通常は天日乾燥または機械乾燥されるが、その乾燥方法については、限定されるものではない。乾燥クコの実の成分分析例を表1に示した。
Figure 2008125511
また、乾燥クコの実をヘキサン、ブタン、エタノール等の溶媒によって、色素成分を抽出するか、またはCO超臨界抽出した抽出液を直接飼料に噴霧するかまたはシリカ、大豆粕、脱脂糠などの基材に吸着させて、養魚用飼料に混合することもできる。
本発明の養魚用飼料におけるクコの実の添加量は、通常これ等色素は魚体内に蓄積されるため少ない含量でも長期にわたって飼育される場合なら体色改善効果はあるが、通常の飼育であれば、クコの実のゼアキサンチン含量が飼料中1ppmから500ppmの範囲であることが好ましく、乾燥クコの実の場合、飼料重量比で0.1%〜10%までの添加量になる。
本発明のクコの実又はその抽出物は、養魚用飼料に混合して、対象魚に与えることもできるが、ビタミン等と共にプレミックス中に前もって混合して与えることも可能である。
実施例1
以下に実施例を示し、より具体的な説明をする。尚、例中の%は、特に断らないかぎり重量%を意味する。
錦鯉飼料の準備:中国産乾燥クコの実をフードプロセッサーで細かくペースト状に粉砕し、試験区1では重量比当り1%の添加率、試験区2では5%の添加率で市販錦鯉配合粉末飼料(のぞみブランド錦鯉育成飼料「フォーシーズン」)に混合、造粒機でペレットにして試験区1と試験区2を設定する。また対称区はクコの実を添加しなかった上記市販錦鯉配合飼料とする。各ペレット中のゼアキサンチン含量(kg中)を分析したところ、表2に示す結果であった。
Figure 2008125511
試験方法:0歳紅白錦鯉各10匹、200リッター塩ビ製角水槽で80日間飼育。1日の投与量は魚体重当り2%を1日3回にわけて与える。尚、飼育中の平均水温は22−24度であった。
80日飼育後、目視による体色観察と実際の色素測定を行うため、各試験区、対称区から3尾無作為に取り上げ分析した。分析方法は表皮のカロチノイドをアセトンで抽出、エーテルに転溶して吸光度を測定、色素量はE=2,000で算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2008125511
無添加区と比べ各試験区の紅白錦鯉は鮮やかな赤色を示し、また投与されたゼアキサンチン含量が増えることによって魚皮中のカロチノイド含量も増加して、投与されたゼアキサンチンが体色改善に有効であることが確認できた。
実施例2
中国産乾燥クコの実を500gヘキサン10kgに浸漬し、室温下で6時間放置してクコの実の色素成分であるゼアキサンチンを抽出する。濾過吸引後、常圧にてヘキサン抽出液を濃縮、除去したところ、粘性のある赤褐色のペースト色素1.5gを得た。このペースト色素を分析したところ、ゼアキサンチンが約30%であった。このペースト色素に脱脂糠を基材にしながら色素含有量が3%になるよう調整して、ゼアキサンチン含有量が3%のクコの実抽出粉末を得た。
このクコの実抽出粉末を実施例1と同様に通常錦鯉飼料に混合し、クコの実抽出粉末0.5%添加(試験区3)、同じく2%添加(試験区4)の錦鯉飼料ペレットを用意した。対称区は色揚げ色素が含まれていない錦鯉飼料(のぞみブランド錦鯉配合飼料「のぞみ胚芽」)とした。同じく80日間の飼育の結果を表4に示す。
Figure 2008125511
実施例1と同様に投与されたゼアキサンチンの含量により外観、魚皮カロチノイド含量は増加し、クコの実抽出粉末が錦鯉の体色改善に有効であることが確認できた。
実施例3
実施例2で用意したクコの実抽出物粉末(ゼアキサンチン含量3%)をアユ用飼料に1%配合して、アユ用育成飼料ペレットを製造した。
徳島県アユ養殖場にて、出荷3週間前から与えたところ、通常の天然色素マリーゴールドが含まれた餌で飼育したアユと比べて、おなかの部分の黄色も鮮やかになり、また天然アユのような尾鰭にかけての赤色も出現して、より天然アユの体色に近づいた。

Claims (3)

  1. クコの実またはクコの実抽出物を含有する養魚用飼料。
  2. クコの実またはクコの実抽出物からのゼアキサンチン含有量が飼料に対して1ppm〜500ppmである請求項1に記載の養魚用飼料。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の養魚用飼料を養殖魚又は観賞魚に給与することにより、養殖魚又は観賞魚の体色を改善する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102960563A (zh) * 2012-11-15 2013-03-13 江西金龟王实业有限责任公司 一种观赏鱼饲料
CN108094767A (zh) * 2018-01-30 2018-06-01 宁夏海永生态渔业有限公司 鲤鱼饲料及其制备方法
CN114097668A (zh) * 2021-07-13 2022-03-01 福建省水产研究所(福建水产病害防治中心) 一种促进观赏鱼发色的方法

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