JP2008120935A - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】加工等の作業性、貯蔵弾性率及び損失係数に優れたゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供すること。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、(A)ゴム成分中に、質量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算)が5,000〜300,000の範囲にある(B)芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を含み、無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルからなる(C)ゴム組成物用添加剤を含むことを特徴とし、また本発明のタイヤは、前記ゴム組成物をトレッド部に用いたことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関する。詳しくは、物性を向上させてトレッド部等に用いるゴム組成物、及びそれを用いて性能を高めたタイヤに関する。
一般に、タイヤ、ベルト、ホースなどのゴム製品は、配合剤や充填剤を原料ゴムに混練りして均一に分散させる。また、その後の加工工程において、成形作業性を容易にするために、ゴム組成物を可塑化させる数回の練り工程がある。しかし、何回ものゴム組成物の可塑化作業を行なうことは、ゴム製品の生産性の面からは好ましくない。ゴム製品の生産性を向上させるためには練り回数を減少させることが有効である。しかし、単に練り回数を少なくしても未加硫ゴム組成物は十分可塑化されず、結局は生産性の向上にはつながらない。
このため、可塑剤や加工助剤などを添加することにより、未加硫ゴム組成物の加工性を向上させ、練り回数を減らし、成形作業性を向上させることは可能である。しかし、従来の可塑剤や加工助剤などを用いた場合には、未加硫ゴム組成物や加硫ゴム組成物の物性の低下を伴うため、練り回数を減らすことは事実上困難であった。
特に、従来の天然ゴムを含むゴム製品の製造における加工工程では、天然ゴム分子鎖同士の絡み合いや官能基同士又はそのような官能基と非ゴム成分との反応によるポリマーゲルが存在するため、練り回数を増加させる必要があり、生産性が良好であるとは言えなかった。また、未加硫ゴム組成物を可塑化させるために練り回数を増加させれば、ゴム分子の分子量低下が起こり、加硫ゴム組成物の物性に悪影響を及ぼすこととなる。
したがって、未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物の物性低下を伴わずに成形作業性を向上させることがゴム製品の製造においては要望されていた。
また、ゴム製品の製造において、最近、ゴム組成物の加工性及び貯蔵性からゴム組成物に液状のスチレン−ブタジエン共重合体を使用することが注目を集めている。液状のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)には、主に分子量約10,000のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、液状SBRはタイヤなどにあっては耐摩耗性のために用いられる(例えば、特許文献2参照)。貯蔵弾性率を改良する技術には、ポリエチレングリコールポリマレエート(PEGM)配合がある(例えば、特許文献3参照)。
ところで、近年、自動車タイヤは、車の高速化などによりその使用条件がますます過酷になる方向にあり、タイヤ性能、例えば、高度な低転がり抵抗性が求められる状況にある。これに関連してトレッドゴムにもtanδの小さいゴムの使用が望まれる。これらの要望を満たすためには、上述した従来の配合手法だけでは、ゴム組成物の加工等の作業性、ゴム組成物の貯蔵弾性率及びtanδ(損失係数)の点で改善すべき必要がみられる。
特開昭61−203145号公報 特開平01−197541号公報 特開2003−176378号公報
本発明の課題は、加工等の作業性、貯蔵弾性率及び損失係数に優れたゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分に低分子の(B)芳香族ビニル化合物−ジエン化合物共重合体を配合して、更に無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルの(C)ゴム組成物用添加剤(b)を配合すると、アロマ油などの軟化剤を大量に使用しなくても作業性を損なうことなく、ゴムのtanδの低減ができ、また貯蔵性に優れたゴム組成物を提供することができ、このゴム組成物をタイヤのトレッドなど用いることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、以下の構成或いは構造を特徴とするものである。
(1) (A)ゴム成分中に、質量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算)が5,000〜300,000の範囲にある(B)芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を含み、無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルからなる(C)ゴム組成物用添加剤を含むことを特徴とするゴム組成物。
(2) (A)ゴム成分100質量部に対して、(B)共重合体を5〜60質量部の範囲で、且つ(C)ゴム組成物用添加剤を0.5〜15質量部の範囲で含む前記(1)記載のゴム組成物。
(3) (B)芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体は、5〜80質量%の芳香族ビニル化合物からなり、且つジエン化合物の部分のビニル結合量が10〜80質量%である前記(1)記載のゴム組成物。
(4) (A)ゴム成分は、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを50質量%以上含有している前記(1)記載のゴム組成物。
(5) (A)ゴム成分は、300,000〜2000,000の質量平均分子量の(D)スチレン−ブタジエン共重合体を50質量%以上含有しており、該(D)共重合体は、20〜60質量%の芳香族ビニル化合物からなり、ジエン化合物の部分のビニル結合量が10〜80質量%であり、前記(D)共重合体と前記(B)共重合体の芳香族ビニル化合物の含量の差が30質量%以下である前記(4)記載のゴム組成物。
(6) 前記(D)共重合体は、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体及び/又は溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体である前記(5)記載のゴム組成物。
(7) (B)共重合体の芳香族ビニル化合物がスチレンである前記(1)記載のゴム組成物。
(8) (B)共重合体のジエン化合物がブタジエンである前記(1)記載のゴム組成物。
(9) (B)共重合体が溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムである前記(1)記載のゴム組成物。
(10) 前記(ポリ)オキシプロピレン誘導体のオキシプロピレン部分の平均重合度が、3から7である前記(1)に記載のゴム組成物用添加剤。
(11) 前記(ポリ)オキシプロピレン誘導体が、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルである前記(10)記載のゴム組成物用添加剤。
(12) 前記(A)ゴム成分100質量部に対して充填材30〜90質量部を含んでなる前記(1)記載のゴム組成物。
(13) 前記充填材がカーボンブラック及びシリカの少なくとも1方である前記(12)記載のゴム組成物。
(14) 前記カーボンブラックがSAFクラス〜HAFクラスである前記(13)記載のゴム組成物。
(15) 前記ゴム成分には前記(B)共重合体の他に軟化剤を含み、前記(B)共重合体及び軟化材の総量が(A)ゴム成分100質量部に対して5〜80質量部である前記(1)記載のゴム組成物。
(16) 前記共重合体(B)及び軟化剤の総量が(A)ゴム成分100質量部に対して5〜60質量部である前記(15)記載のゴム組成物。
(17) 前記(1)記載のゴム組成物がトレッド部の少なくとも接地部分に用いられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
本発明の空気入りタイヤは、通常のアロマオイルのような軟化剤に代えて低分子構造の(B)芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物共重合体を配合し、無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルからなる(C)ゴム組成物用添加剤を配合することにより、その製造加工における作業性を損なうことがない。また、貯蔵弾性率と損失係数とを著しく改良することができる。そして、かかるゴム組成物をトレッド部に使用することにより、タイヤ性能が向上する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係るゴム組成物は、(A)ゴム成分中に、質量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算)が5,000〜300,000の範囲にある(B)芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を含み、無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルからなる(C)ゴム組成物用添加剤を含むものである。
また、本発明に係るタイヤは、前記ゴム組成物がトレッド部に使用されるものである。以下に、ゴム組成物に配合するものを順次説明する。
[(A)ゴム成分]
前記ゴム組成物の(A)ゴム成分は、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムの内の少なくとも一種からなり、ゴム成分としては、未変性のゴム及び変性ゴムのいずれを用いてもよい。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、乳化重合又は溶液重合で合成されたものが好ましい。
また、前記合成ジエン系ゴムとして、具体的には、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。特に好ましくは、天然ゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ハロゲン(Br)化ブチルゴム等である。特に好ましいゴム成分としては、天然ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)である。
前記ゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。また、ゴム組成物の耐摩耗性及び耐熱性の観点から、前記ゴム成分は、ガラス転移温度(Tg)が−60℃以上のものが好ましい。
本発明では、(A)ゴム成分は、(D)スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を50質量%以上含むことが好ましい。ゴム成分(A)中、(D)スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが50質量%以上含まれていると、後述する(B)共重合体の組み合わせによる改良効果が明確になる点で好ましい。より好ましくは、(A)ゴム成分は、300,000〜2000,000の範囲、特に好ましくは350,000〜1500,000の範囲にある質量平均分子量の(D)スチレン−ブタジエン共重合体を50質量%以上含有する。また、好ましくは、(D)共重合体は20〜60質量%の芳香族ビニル化合物からなり、ジエン化合物の部分のビニル結合量が10〜80質量%である。
尚、(D)共重合体は、(B)共重合体との芳香族ビニル化合物の含量の差が30質量%以下であることが相溶性の上で好ましい。より好ましくは、その差が20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
このように(D)成分を含む(A)ゴム成分は、その所定の範囲内において、相溶性を確保でき、貯蔵弾性率及びtan∂の向上を安定して提供する。更に好ましくは、(D)共重合体は、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体、及び/又は溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体である。
[(B)スチレン−ジエン化合物共重合体]
(B)芳香族ビニル化合物−ジエン化合物共重合体、単量体である芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを共重合させた、質量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算)が5,000〜300,000にある共重合体である。好ましくは20,000〜150,000、より好ましくは20,000〜200,000の質量平均分子量、更に好ましくは50,000〜100,000の質量平均分子量を有する。
より高分子量のものが貯蔵弾性率及び損失係数に優れるが、300,000以上では作業性が低下する。また、分子量分布は狭いのが好ましい。広いと損失係数に劣る傾向が出る。
また、(B)共重合体は、5〜80質量%の芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。また、共役ジエン化合物の部分のビニル結合量が10〜80質量%であることが好ましい。
5質量%未満か、又は80質量%を超える芳香族ビニル化合物の割合、及び10質量%未満か、又は80質量%を超えるビニル結合量の共役ジエン化合物からなる共重合体は、作業性を悪くし、またタイヤにおける耐久性及び耐転がり抵抗性が十分に向上しない。なお、ここに規定するビニル結合量は、ジエン化合物由来の構成単位中のビニル結合の量を示し、シス結合及びトランス結合で表される他の結合を含むすべての結合の量に占めるビニル結合の量の割合を示す。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。好ましいくは、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。特に、スチレンが好ましい。
ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が用いられ、特に、1,3−ブタジエンが好ましい。
(B)スチレン−ジエン化合物共重合体は、ゴム成分100質量部に対して5〜60質量部の範囲で添加することが好ましい。また、軟質剤等が別に添加される場合は、前記共重合体(B)及び軟化材の総量がゴム成分(A)100質量部に対して5〜80質量部、特に5〜60質量部の範囲で添加することが好ましい。
(B)スチレン−ジエン化合物共重合体の添加量が5質量部未満では、効果が十分に生じず、作業性が向上しない。また、60質量部を超えると、ゴム成分に悪影響を与える。
前記(B)共重合体は、所定の分子構造が与えられる限り、種々の製造方法によって得ることができる。共重合体は、各種液状、又は低分子量のポリマー又はゴムが適用可能であり、好ましくは、スチレンとブタジエンとを溶液重合することにより好適に製造される。特に好ましくは、共重合体は溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体である。
工業的な方法を例示すると、有機リチウム化合物を開始剤として、炭化水素溶媒中で、所定の単量体を共重合させる方法である。例えば、共重合体は、槽型又は塔型の反応器中において、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物開始剤をエーテル又は第3級アミンの存在下で用いて、少量の1,2−ブタジエンを含む1,3−ブタジエンのようなジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させることにより得ることができる。
[(C)ゴム組成物用添加剤]
本発明に使用する(C)ゴム組成物用添加剤は、無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルからなる。かかるエステルは、下記一般式(1)で表わされるものが好ましい。
Figure 2008120935
〔式(1)中、mは平均重合度を表わす1以上の数であり、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基又はアシル基である。〕
前記一般式(I)において、より好ましくは、mが3〜7,Rが炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基である。
本発明の前記(C)ゴム組成物用添加剤は、(i)無水マレイン酸と、(ii)(ポリ)オキシプロピレン誘導体とを反応させることで得られる。 (ポリ)オキシプロピレン誘導体としては、ポリオキシプロピレンラウリルエ−テル、ポリオキシプロピレンミリスチルエ−テル、ポリオキプロピレンデシルエーテル、ポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどのポリオキシプロピレン脂肪族エーテル;ポリオキシプロピレンベンジルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンベンジル化フェニルエーテルなどのポリオキシプロピレン芳香族エーテルなどが挙げられるが、ポリオキシプロピレン脂肪族エーテルが好ましく、その中でも特にポリオキシプロピレンラウリルエ−テルが好ましい。
さらに、ポリプロピレンの重合度が3〜7、アルキル基またはアルケニル基の炭素数が8〜18であることが好ましい。具体的には、ポリオキシプロピレンをPOP(r)と略し、rを各々平均重合度とすれば、POP(3)オクチルエーテル、POP(4)2−エチルヘキシルエーテル、POP(3)デシルエーテル、POP(5)デシルエーテル、POP(3)ラウリルエーテル、POP(5)ラウリルエーテル、POP(8)ラウリルエーテル、POP(1)ステアリルエーテル、POP(5)ミリスチルエーテルなどが挙げられる。
前記(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
また、本発明の(i)無水マレイン酸と(ii)(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステル(b)は、原料の(i)無水マレイン酸を含有してもよい。該無水マレイン酸の含有量は好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
一方、(i)無水マレイン酸と(ii)(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステル(b)は、原料の(ii)(ポリ)オキシプロピレン誘導体を含有してもよい。該(ii)(ポリ)オキシプロピレン誘導体の含有量は好ましくは40質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
また、(C)ゴム組成物用添加剤は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。より好ましくは0.5〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。これらの範囲ないにあれば、その作業性が向上する。また、(C)ゴム組成物用添加剤には、後述する補強性充填剤、及び(ポリ)オキシプロピレン誘導体、アルコール及びその脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種類を含有することが好ましい。(ポリ)オキシプロピレン誘導体、アルコール及びその脂肪酸エステルは、融点が20℃以下であり、かつ沸点が150℃以上であることが好ましい。ゴム組成物製造時の粉塵抑制の観点から20℃以下が好ましく、また沸点はゴム組成物加工時の安全性の観点から150℃以上であることが好ましい。特に、ポリオキシプロピレン誘導体が好ましく、具体的には、ポリオキシプロピレンをPOP(r)と略し、rには平均重合度を示すと、POP(3)ラウリルエーテル、POP(5)ラウリルエーテル、POP(5)デシルエーテル、POP(4)オレイルエーテル、POP(10)モノラウレート、POP(10)モノオレエートなどが挙げられる。
[その他]
1).充填材
ゴム組成物は更に種々の充填材を含んでなることができる。
充填材としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の少なくとも1種が用いられ、好ましくカーボンブラック及びシリカの少なくとも1方である。充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、30〜90質量部含むことができる。
30質量部未満では、加硫物の破壊特性及び耐摩耗性等が十分でなく、90質量部を超えると、作業性等において好ましくないからである。
充填材として用いられるカーボンブラックを例示すると、FEF、HAF、ISAF、SAF等のクラスであり、特に好ましくはISAFクラス−HAFクラス、又はSAFクラス−HAFクラスである。
カーボンブラックとシリカとを併用する場合の配合比は、配合目的に応じて任意に変化させることができる。
2).軟化剤
ゴム組成物は更に種々の軟化剤を含んでなることができる。
軟化剤としては、プロセス油、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等の少なくとも1種を用いることができ、破壊特性、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、また、低発熱性、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系がそれぞれ好ましい。
好ましくは、上述の(B)共重合体及び軟化剤の総量は(A)ゴム成分100質量部に対して5〜80質量部である。80質量部を超えると、加硫ゴムの破壊特性が低下する傾向がある。
3).その他の添加剤
ゴム組成物には、前記(A)ゴム成分、(B)共重合体、(C)ゴム組成物用添加剤、充填材の他、加硫促進剤、必要に応じて、ゴム工業で通常使用されているシランカップリング剤、加硫剤や、他の加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、ステアリン酸等を配合することができる。
加硫剤としては、例えば、硫黄等が挙げられ、これらの使用量は、ゴム成分(A)100質量部に対し、硫黄分として0.1−10質量部、好ましくは0.5−5.0質量部である。0.1質量部未満では、加硫ゴムの破壊特性や耐摩耗性が低下し、10質量部を超えると、ゴム弾性が失われる傾向がある。
[空気入りタイヤ]
前記ゴム組成物は、空気入りタイヤ、特に、タイヤトレッド部、好ましくはトレッド部の少なくとも接地部分に用いることができる。
(B)スチレン−ジエン化合物共重合体は所定の分子構造の比較的高分子量(5,000−300,000)のものを適用することによって、また、(C)ゴム組成物用添加剤を添加することによって、ゴム組成物としての作業性を損なわずに、高貯蔵弾性率(高G’)と低損失係数(低tan∂)とを両立向上させることができる。尚、タイヤには空気以外に窒素などの不活性なガスが充填される。
以下、実施例・比較例によって本発明を説明する。
(B)芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体の製造
共重合体1の製造
乾燥し、窒素置換された800mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)、スチレンのシクロヘキサン溶液(21%)を、ブタジエン単量体40g、スチレン単量体10gとなるように注入し、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.66ミリモルを注入し、これに、n−ブチルリチウム(BuLi)1.32ミリモルを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合する。
重合転化率はほぼ100%である。
この後、重合系に、更に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液0.5mLを添加し、反応を停止させる。
その後、常法に従い乾燥することにより、質量平均分子量80,000〔(スチレン量(St)/ビニル結合量(Vi)=25質量%/66質量%)〕を得る。
共重合体2の製造
溶媒、反応時間を変える以外は共重合体1の製造と同様にして製造し、質量平均分子量120,000〔(スチレン量(St)/ビニル結合量(Vi)=25質量%/66質量%)〕ものを得る。
実施例及び比較例を表1に示すトレッド部配合において、前記の(B)共重合体及び下記式で表される(C)ゴム組成物用添加剤を用いてゴム組成物を作製し、空気入りタイヤの製造条件に従って加硫する。
尚、注釈の*1〜*9は、以下のものである。
*1の(D)SBR;JSR(株)製の#1500〔(乳化重合SBR質量平均分子量450,000)(スチレン量(St)/ビニル結合量(Vi)=23.5質量%/18質量%)〕
*2の(C)ゴム組成物添加剤;下記式2の構造を有するマレイン酸モノ〔ポリオキシプロピレン(5)ラウリルエーテル〕エステルからなる。
Figure 2008120935
*3のC/B;ISAF、シースト3H、東海カーボン(株)製
*4のシリカ;日本シリカ工業(株)製 ニプシールAQ
*5の老化防止剤;ノクラック6C、大内新興化学工業(株)製、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
*6のシランカップリング剤;デグッサ社製 Si69、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド
*7の加硫促進剤;ノクセラーD、大内新興化学工業(株)製、1,3−ジフェニルグアジニジン
*8の加硫促進剤;ノクセラーNS、大内新興化学工業(株)製、N−tert−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド
*9の加硫促進剤;ノクセラーDM、大内新興化学工業(株)製、ジベンゾチアゾリルスルフィド
また、実施例、比較例で得られたものは、つぎの試験を行ない評価した。
(1)加工性
加工性は、JIS K6300−1−2001に準拠し、130℃にてゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4/130℃]を測定し、比較例1を100として指数化して評価する。指数が小さほど加工性が良好である。
(2)貯蔵弾性率及び損失係数は、低発熱性粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15HzでG’値及びtan∂を測定し、比較例1を100として指数化して評価する。周波数15HzでG’値の指数が大きいほど良好であり、tan∂の指数が小さいほど良好である。
Figure 2008120935
その他の測定
(1)質量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー株式会社製のHLC−8020、カラム:東ソー株式会社製のGMH−XL(2本直列)、検出器:示唆屈折率計(RI)で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)ビニル量
重合体のビニル含量率を赤外法(モレロ法)で求めた。
(3)結合スチレン含有量
重合体のスチレン含量を270MHzH−NMRによって求めた。
本発明は、作業性又は加工性を損なうことなく、貯蔵弾性率が高くtanδの低減がなされたゴム組成物からなり、ゴム組成物をタイヤのトレッド部に使用してタイヤ性能を高めた産業上の利用可能性の高いものである。

Claims (17)

  1. (A)ゴム成分中に、質量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算)が5,000〜300,000の範囲にある(B)芳香族ビニル化合物−ジエン共重合体を含み、無水マレイン酸と(ポリ)オキシプロピレン誘導体との部分エステルからなる(C)ゴム組成物用添加剤を含むことを特徴とするゴム組成物。
  2. (A)ゴム成分100質量部に対して、(B)共重合体を5〜60質量部の範囲で、且つ(C)ゴム組成物用添加剤を0.5〜15質量部の範囲で含む請求項1記載のゴム組成物。
  3. (B)芳香族ビニル化合物−共役ジエン共重合体は、5〜80質量%の芳香族ビニル化合物からなり、且つジエン化合物の部分のビニル結合量が10〜80質量%ある請求項1記載のゴム組成物。
  4. (A)ゴム成分は、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを50質量%以上含有している請求項1記載のゴム組成物。
  5. (A)ゴム成分は、300,000〜2000,000の質量平均分子量の(D)スチレン−ブタジエン共重合体を50質量%以上含有しており、該(D)共重合体は、20〜60質量%の芳香族ビニル化合物からなり、ジエン化合物の部分のビニル結合量が10〜80質量%であり、前記(D)共重合体と前記(B)共重合体の芳香族ビニル化合物の含量の差が30質量%以下である請求項4記載のゴム組成物。
  6. 前記(D)共重合体は、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体及び/又は溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体である請求項5記載のゴム組成物。
    (cf:二重取消線部分は、既に、請求項5で縛りがありますので、審査を不明確にするだけで不要と思われます。もし、事情があるのであれば戻します。)
  7. (B)共重合体の芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項1記載のゴム組成物。
  8. (B)共重合体のジエン化合物がブタジエンである請求項1記載のゴム組成物。
  9. (B)共重合体が溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムである請求項1記載のゴム組成物。
  10. 前記(ポリ)オキシプロピレン誘導体のオキシプロピレン部分の平均重合度が、3から7である請求項1に記載のゴム組成物。
  11. 前記(ポリ)オキシプロピレン誘導体が、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルである請求項10記載のゴム組成物。
  12. 前記(A)ゴム成分100質量部に対して充填材30〜90質量部を含んでなる請求項1記載のゴム組成物。
  13. 前記充填材がカーボンブラック及びシリカの少なくとも1方である請求項12記載のゴム組成物。
  14. 前記カーボンブラックがSAFクラス〜HAFクラスである請求項13記載のゴム組成物。
  15. 前記ゴム成分には前記(B)共重合体の他に軟化剤を含み、前記(B)共重合体及び軟化剤の総量が(A)ゴム成分100質量部に対して5〜80質量部である請求項1項記載のゴム組成物。
  16. 前記共重合体(B)及び軟化剤の総量が(A)ゴム成分100質量部に対して5〜60質量部である請求項15記載のゴム組成物。
  17. 請求項1項記載のゴム組成物がトレッド部の少なくとも接地部分に用いられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
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