JP2008119565A - フィルタ部材およびフィルタ部材の製造方法 - Google Patents

フィルタ部材およびフィルタ部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多数の細孔が均一な孔径で形成された分離層を有し、この細孔の孔径の大きさに応じてガス成分を分離し得るフィルタ部材、およびその孔径を均一な大きさで再現性よく形成でき、かつその大きさの制御が容易なフィルタ部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】フィルタ部材1は、分子サイズの大きさに応じて、ガス中に含まれるガス成分を分離するフィルタ部材であって多孔体2と、この多孔体2の表面に設けられた分離層3を有し、分離層3は、主として多孔体2の表面に対してほぼ一定の角度をなして貫通する細孔312を多数有する斜方蒸着膜31で構成されている。また、分離対象ガスが、メタノール蒸気とその分解物を含む混合ガスの場合には、分離層3における平均孔径は、0.1〜0.8nm程度とされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フィルタ部材およびフィルタ部材の製造方法に関する。
液相系において、アルコールと他の成分とを分離する方法としては、例えば、パーベーパレーション法等が知られており、この方法を用いた各種分離膜が開発されている。しかしながら、気相系において、アルコール蒸気と他のガス成分とを分離する分離膜については、その報告がほとんど認められない。
ところで、非平衡型のメタノール分解反応器においては、メタノールの分解反応の系から分解物(H、CO)を排除すると、反応の平衡が分解側に移動することにより、メタノールの分解が促進される。したがって、このようなメタノールの分解反応を効率よく行うためには、メタノール蒸気と、他のガス成分とを分離する分離膜の分離能を向上させることが重要となる。
気相系において、メタノール蒸気と他のガス成分とを分離する分離膜としては、多孔体の表面に、金属アルコキシドを塗布・乾燥した後に焼成することにより形成した分離膜(例えば、特許文献1参照。)や、多孔体の表面に、化学蒸着法によってシリカ等を堆積させた分離膜(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
これらの分離膜は、いずれも多孔体が備える細孔におけるガス成分の透過性の差を利用して分離を行うものである。これらのうち、前者の分離膜は、細孔の孔径よりも小さい分子サイズを有するガス成分のうち、細孔の表面に存在する金属アルコキシドと親和性を有するメタノール蒸気を優先的に透過させるとともに、金属アルコキシドと親和性を有さない他のガス成分の透過を阻止することにより、メタノール蒸気と他のガス成分とを分離する。これに対し、後者の分離膜は、細孔の孔径よりも大きい分子サイズを有するメタノール蒸気の透過を阻止し、それよりも分子サイズの小さい他のガス成分を透過させることにより、メタノール蒸気と他のガス成分とを分離する。
しかしながら、これらの分離膜では、細孔の孔径が、多孔体の表面状態や、膜形成時の反応条件等の影響を受け易いために制御が難しく、バラツキの小さい均一な孔径を有する細孔を、膜厚に依存することなく形成するのには困難を極める。すなわち、均一な分離性能を有する分離膜を再現性よく形成するのには困難を極める。
特開平10−202073号公報 特開2000−444号公報
本発明の目的は、多数の細孔が均一な孔径で形成された分離層を有し、この細孔の孔径の大きさに応じてガス成分を分離し得るフィルタ部材、およびその孔径を均一な大きさで再現性よく形成でき、かつその大きさの制御が容易なフィルタ部材の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のフィルタ部材は、分子サイズの大きさに応じて、ガス中に含まれるガス成分を分離するフィルタ部材であって、
多孔体と、該多孔体の表面に設けられた分離層を有し、
前記分離層は、主として多孔体の表面に対してほぼ一定の角度をなして貫通する細孔を多数有する斜方蒸着膜で構成され、
前記分離層において、前記細孔の孔径よりも大きい分子サイズの前記ガス成分の透過が阻止されるよう構成されていることを特徴とする。
これにより、多数の細孔が均一な孔径で形成された分離層を有し、細孔の孔径の大きさに応じてガス成分を分離し得るフィルタ部材とすることができる。
本発明のフィルタ部材では、前記斜方蒸着膜は、無機酸化物材料を主材料として構成されることが好ましい。
これにより、斜方蒸着膜は、各種ガスに対して安定、かつ耐熱性に優れたものとなる。その結果、分離対象ガス、および、この分離対象ガスを分離する際の温度条件について、その選択の幅の拡大を図ることができる。
本発明のフィルタ部材では、前記多孔体は、無機酸化物材料を主材料として構成されることが好ましい。
これにより、多孔体は、各種ガスに対して安定なものとなり、また、耐熱性に優れたものとなる。したがって、分離対象ガス、および、斜方蒸着膜を形成する際さらには分離対象ガスを分離する際の温度条件について、その選択の幅の拡大を図ることができる。
本発明のフィルタ部材では、前記細孔は、前記多孔体の表面となす角度が50〜90°であることが好ましい。
これにより、斜方蒸着法を用いて形成された分離層を確実に前記細孔を備える斜方蒸着膜で構成することができる。
本発明のフィルタ部材では、前記細孔の平均孔径が0.1〜0.8nmであり、前記細孔が前記多孔体の表面となす角度が75〜85°であるとき、
前記分離層の表面に、少なくともメタノール蒸気とメタノール蒸気よりも分子サイズが小さいガス成分とを含有する混合ガスを送気すると、前記分離層において、前記メタノール蒸気の透過が選択的に阻止されることが好ましい。
これにより、メタノール蒸気が分離層を透過するのを確実に阻止することができ、また、メタノール蒸気よりも分子サイズが小さいガス成分を、確実に分離層を透過させることができる。その結果、メタノール蒸気と、メタノール蒸気よりも分子サイズが小さいガス成分とを確実に分離することができる。
本発明のフィルタ部材では、前記メタノール蒸気よりも分子サイズが小さいガス成分は、前記メタノール蒸気の分解物であることが好ましい。
これにより、メタノール蒸気と、メタノール蒸気よりも分子サイズが小さいメタノールの分解物とを確実に分離することができる。
本発明のフィルタ部材では、前記斜方蒸着膜の表面および細孔の内面に、カップリング剤が反応することにより形成された被覆層が設けられていることが好ましい。
これにより、分離対象ガスに含まれるガス成分のうち、細孔の孔径よりも小さい分子サイズのガス成分の細孔における透過性を、容易に制御することができる。
本発明のフィルタ部材では、前記カップリング剤は、アルキル基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。
これにより、分離対象ガスに含まれ、細孔の孔径よりも小さい分子サイズのガス成分のうち、アルキル基と親和性を有するガス成分の、細孔における透過性を高めることができ、そのようなガス成分を、他のガス成分よりも優先的に細孔を透過させることができる。
本発明のフィルタ部材では、前記多孔体は、有底筒状をなし、該多孔体の内側面に、前記分離層が設けられていることが好ましい。
これにより、分離対象ガスを、分離層の表面に、効率よく送気することができ、分離対象ガスに含まれるガス成分を効率よく分離することができる。
本発明のフィルタ部材の製造方法は、斜方蒸着法を用いて、多孔体の表面に、当該表面に対してほぼ一定の角度をなして貫通する細孔を多数有する斜方蒸着膜を形成することにより分離層を得る工程を有し、
前記分離層を得る工程において、前記多孔体の表面の垂線と蒸着粒子の進行方向とがなす蒸着角度、前記蒸着粒子の蒸着レート、前記多孔体の温度、蒸着雰囲気の真空度のうちの少なくとも1つを制御することにより、前記分離層が有する前記細孔の平均孔径を制御することを特徴とする。
これにより、多数の細孔が均一な孔径で形成された分離層を有し、細孔の孔径の大きさに応じてガス成分を分離し得るフィルタ部材において、前記細孔の孔径の大きさを所望の大きさに形成することができる。
本発明のフィルタ部材の製造方法では、前記分離層を得る工程において、前記蒸着粒子の蒸着角度は、45〜85°であることが好ましい。
かかる範囲内に蒸着角度を設定することにより、平均孔径の大きさを比較的容易に制御することができる。
本発明のフィルタ部材の製造方法では、前記分離層を得る工程において、前記蒸着雰囲気の真空度は、1×10−5〜5×10−1Paであることが好ましい。
かかる範囲内に真空度を設定することにより、平均孔径の大きさを比較的容易に制御することができる。
本発明のフィルタ部材の製造方法では、前記分離層を得る工程の後、前記斜方蒸着膜の表面に、カップリング剤を供給して、前記斜方蒸着膜の表面に前記カップリング剤を結合させることにより被覆層を形成することが好ましい。
これにより、分離対象ガスに含まれるガス成分のうち、細孔の孔径よりも小さい分子サイズのガス成分の細孔における透過性を、容易に制御することができる被覆層を形成することができる。
以下、本発明のフィルタ部材およびフィルタ部材の製造方法について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明のフィルタ部材の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明のフィルタ部材の第1実施形態を模式的に示す縦断面図、図2は、図1に示すフィルタ部材によって、メタノール蒸気とその分解物が分離される様子を示す模式図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すフィルタ部材1は、分子サイズの大きさに応じて、ガス(気体)中に含まれるガス成分(分子)を分離するものであり、多孔体2と、多孔体2の表面に設けられた分離層3を有している。
多孔体2は、分離層3を支持するとともに、分離層3を透過したガス成分を透過して下方に排出するものである。本実施形態では、この多孔体2は、平板状に形成されており、その一方の面(上面)に分離層3が設けられている。
多孔体2の構成材料としては、無機材料、有機材料のいずれであってもよいが、分離対象ガスに含まれる各ガス成分に対して安定であり、また、分離層3の成膜に際、さらにはガス成分を透過するに際して加えられる熱に対して耐熱性を有するものを使用するという観点からは、無機材料であるのが好ましい。
さらに、無機材料としては、無機酸化物が好ましい。無機酸化物は、優れた化学的安定性および耐熱性を有している。このため、多孔体は、各種ガスに対して安定なものとなり、また、後述する斜方蒸着膜31を成膜する際等に加えられる熱に耐え得るものとなる。
無機酸化物としては、例えば、SiO、SiOのようなシリコン酸化物、Al、MgO、TiOTiO、In,Sb,Ta、Y、CeO、WO、CrO、GaO、HfO、Ti、NiO、ZnO、Nb、ZrO、Ta等の金属酸化物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、SiO、SiO、Al、ZrOまたはTiOを主成分とするものが好ましい。
なお、多孔体2を構成する有機材料としては、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリイミド樹脂およびフッ素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
多孔体2における平均孔径は、後述する分離層3における平均孔径と等しいか、またはそれよりも大きくなっていればよいが、好ましくは分離層3の平均孔径よりも大きく設定される。これにより、分離層3を透過して多孔体2に移行したガス成分を効率よく排出することができる。この平均孔径は、具体的には、1nm〜1μm程度であるのが好ましく、4nm〜0.2μm程度であるのがより好ましい。これにより、分離層を透過して多孔体に移行した成分を、より効率よく排出することができるとともに、十分な機械的強度を確保することができる。
多孔体2の厚さは、100μm〜5mm程度であるのが好ましく、500μm〜2mm程度であるのがより好ましい。これにより、十分な機械的強度を確保しつつ、フィルタ部材の小型化(薄型化)を図ることができる。
本発明において、分離層3は、主として斜方蒸着膜31で構成されている。斜方蒸着膜31は、複数の微細なカラム311が、多孔体2の表面に対して、ほぼ等しい(一定の)角度(図1中に示す角度θ)で傾斜した状態で配列され、これらカラム311で囲まれた複数の空間により、各細孔312が構成されている。
この分離層3では、この細孔312による分子篩効果によって、分離対象ガス(混合ガス)に含まれる少なくとも1種のガス成分を選択的に透過させるか、選択的に透過を阻止するよう構成されている。すなわち、細孔312の孔径よりも大きい分子サイズのガス成分の透過が阻止されるよう構成されている。かかる構成とすることにより、目的とするガス成分と他のガス成分とが分離される。
ここで、これら細孔312は、後述するフィルタ部材1の製造方法で説明するように、斜方蒸着法を用いて形成されていることから、多孔体2の表面に対して、ほぼ等しい角度で傾斜したカラム311に囲まれることにより形成される。そのため、各細孔312は、多孔体2の表面に対して、ほぼ等しい角度θで貫通する貫通孔を構成し、さらに、それぞれ、貫通孔の軸方向に沿って、ほぼ一定の(ほぼ等しい)孔径(内径)を有している。
このように、ほぼ一定の孔径を有する細孔すなわちバラツキが小さい細孔が形成されていることから、この孔径の大きさに応じて、これよりも大きい分子サイズのガス成分の透過を確実に阻止して、目的とするガス成分と他のガス成分との分離を行うことができる。
さらに、分離層3を厚く形成することにより、たとえ細孔312の長さが長くなったとしても、細孔312内を透過するガスの透過性に変化がおよぶようになることがほとんどない。したがって、このフィルタ部材1では、分離層3の厚さに応じて、分離するガス成分の透過率に変化が生じることなく、このガス成分の分離を行うことができる。
斜方蒸着膜31の構成材料としては、分離対象ガスに含まれる各ガス成分に対して安定であり、耐熱性に優れたものであればよく、特に限定されないが、具体的には、前記多孔体2の構成材料として例示した無機酸化物が好適に用いられる。
前述したような無機酸化物は、優れた化学的安定性および耐熱性を有しているため、分離層3は、各種ガスに対して安定なものとなるとともに、ガス成分を透過するに際して加えられる熱に対して耐え得るものとすることができる。また、無機酸化物は、後述する斜方蒸着法を用いることにより、前述したような細孔を有する多孔質状の層として比較的容易に成膜できるので、分離層3の構成材料として好適に用いられる。
分離層3における細孔312の平均孔径は、分離対象ガスに含まれるガス成分の種類、また、分離対象ガスに含まれるガスのうち、いずれのガス成分を透過させるのか、あるいは、透過を阻止するのかによって最適範囲が異なり、これらのファクターに応じて適宜設定される。
換言すれば、細孔312の平均細孔は、分離対象ガスに含まれるガス成分のうち、分離層3の透過を許容するガス成分の分子サイズよりも大きく、かつ分離層3の透過を阻止するガス成分の分子サイズよりも小さくなるように適宜設定される。
例えば、分離対象ガスがメタノール蒸気とその分解物(H+CO)により構成され、このうちメタノール蒸気を、分離層3での透過を選択的に阻止することによって分離する場合、すなわち、メタノール蒸気の透過を阻止し、水素と一酸化炭素の透過を許容する場合、細孔312の平均孔径は、0.1〜0.8nm程度であるのが好ましく、0.2〜0.5nm程度であるのがより好ましく、0.2〜0.3nm程度であるのがさらに好ましい。平均孔径が前記範囲より小さい場合には、分離対象ガスに含まれるメタノール蒸気以外のガス成分も、分離層3を透過し難くなり、透過が阻止されたガスの中に、メタノール蒸気以外のガス成分が多く混在してしまうおそれがある。また、平均孔径が前記範囲より大きい場合には、メタノール蒸気も分離層3を透過してしまい、透過したガスの中に、メタノール蒸気が多く混在してしまい、メタノール蒸気の回収率および分離精度が不十分となるおそれがある。
なお、細孔312と多孔体2の表面とがなす角度は、50〜90°程度となるように設定されているのが好ましく、特に、細孔312の平均孔径を0.1〜0.8nm程度とする場合、75〜85°程度となるように設定されているのが好ましい。後述するフィルタ部材1の製造方法において、細孔312と多孔体2の表面とがなす角度をかかる範囲内となるように設定することにより、形成される分離層を確実に細孔312を備えるものとすることができる。
また、分離層3におけるカラム311の外径は、0.2〜2.0nm程度であるのが好ましく、0.5〜1.0nm程度であるのがより好ましい。カラム311の外径が前記範囲より小さい場合には、分離層3の機械的強度が不足するおそれがある。また、カラム311の外径が前記範囲より大きい場合には、カラム311同士の隙間の大きさ、すなわち細孔312の平均孔径を精密に制御するのが困難となるおそれがある。
さらに、分離層3の平面視において、細孔312が占める総面積とカラム311が占める総面積との比は、3:1〜1:5程度であるのが好ましく、2:1〜1:1程度であるのがより好ましい。細孔密度が前記範囲より小さい場合には、ガスの透過効率が低くなるおそれがある。また、細孔密度が前記範囲より大きい場合には、分離層3の機械的強度が不足するおそれがある。
分離層3の厚さは、1〜100nm程度であるのが好ましく、10〜60nm程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、フィルタ部材1が大型化するのを防止しつつ、分離層3に優れた分離性能を付与することができる。
以上説明したようなフィルタ部材1は、図2に示すように、例えば、中空容器10の内側面に、その周端面が固着され、支持された状態で、分離層3の上側に存在する分離対象ガスに含まれるガス成分を分離するフィルタとして用いられる。このようにフィルタ部材1が中空容器10に装着された状態で、フィルタ部材1に分離対象ガスを送気すると、分離対象ガスの拡散が中空容器10の周壁によって遮られ、分離対象ガスがフィルタ部材1と接触する機会が増大することから、その分離効率の向上を図ることができる。
ここで、フィルタ部材1の分離層3の平均孔径が、例えば、前述したように分離層3がメタノール蒸気の透過を阻止し、分解生成物の透過を許容するように、0.1〜0.8nm程度に設定されている場合、中空容器10のフィルタ部材1よりも上側の空間で、式1に示すメタノール蒸気の分解反応を生じさせると、その未反応のメタノール蒸気と、メタノールの分解生成物(HおよびCO)がフィルタ部材1により分離される。
CHOH→H+CO …… 式1
すなわち、式1に示すようなメタノール蒸気の分解反応が、フィルタ部材1よりも上側の空間で生じると、分解反応によって生じたHおよびCOは、その大きさ(分子サイズ)が分離層3の細孔312に対して小さいことから、分離層3の表面に開口する各細孔312を通過し、分離層3と多孔体2の界面に到達する。そして、この界面に到達したHおよびCOは、多孔体2の細孔312を通過して、フィルタ部材1よりも下側の空間に移行する。一方、メタノール蒸気は、その大きさ(分子サイズ)が分離層3の細孔312に対して大きいことから、この細孔312を通過せず、フィルタ部材1よりも上側の空間に留まる。このようにして、メタノール蒸気と、HおよびCOが、上側の空間と下側の空間とに分離される。
ところで、このフィルタ部材1では、分離層3の各細孔312が、前述したように、その軸方向に沿ってほぼ一定の内径を有している。そのため、分離対象ガス中に含まれるガス成分(分離対象物)の分子サイズに応じて、その内径を設定することにより、分離対象物を確実に分離することができる。そのため、分離層3の平均孔径を0.1〜0.8nm程度に設定することにより、メタノール蒸気の分離層3における透過を確実に阻止することができ、また、HおよびCOを、効率よく各細孔を通過させることができるので、メタノール蒸気と、HおよびCOとを精度よく分離することができる。かかる構成とすることにより、フィルタ部材1よりも上側の空間では、メタノール蒸気の分解反応の平衡が右(分解側)に移動し、メタノール蒸気を効率よく分解させることができるという利点も得られる。
また、このような分離層3を有するフィルタ部材1は、分離層3が備える各細孔312の平均孔径を適宜設定することにより、メタノール蒸気の他、エタノール蒸気、プロパノール蒸気等、炭素数が1〜8程度のアルコール蒸気の透過を阻止することができる。
すなわち、例えば、細孔312の平均孔径を0.3〜0.5nm程度に設定することにより、水−エタノールの共沸混合物からの水とエタノールとの分離等にも好適に使用することができる。
さらに、例えば、細孔312の平均孔径を0.2〜0.4程度に設定することにより、複数種のアルコール混合蒸気中からのメタノール蒸気の分離等にも好適に使用することができる。
<<第1製造方法>>
次に、本発明のフィルタ部材の製造方法を、図1に示すフィルタ部材1の製造に適用した第1製造方法について説明する。
図3は、本発明のフィルタ部材の第1製造方法で用いる斜方蒸着装置を示す模式図、図4は、図3に示す斜方蒸着装置が有するスリット板を示す平面図である。なお、以下の説明では、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
まず、平板状の多孔体2を用意し、この多孔体2の表面に、斜方蒸着法により分離層3を形成する。
具体的には、斜方蒸着法では、図3に示すように、チャンバ(図示せず)内に、分離層3の構成材料(原料)800を収納した蒸着源810と、多孔体2とを設置し、これらの間にスリット板820を配置する。
なお、スリット板820は、図4に示すように、板体822のほぼ中央部に、多孔体2の幅とほぼ等しいスリット長lを有するスリット821が形成されてなるものである。
また、多孔体2は、駆動装置830に固定され、後述する蒸着角度(図3中、蒸着角度θ)を維持した状態で、図3中矢印方向に平行移動可能になっている。また、多孔体2は、図示しない加熱手段により加熱可能となっている。
この状態で、蒸着源810に設けられた加熱手段(図示せず)により無機酸化物800を加熱して蒸発(気化)させる。そして、原料800の蒸着粒子(蒸発粒子)を、スリット板820のスリット821を介して多孔体2の表面(分離層3を形成する面)に到達させる。
なお、このとき、多孔体2を、前述の加熱手段により所定の温度に加熱するとともに、駆動装置830により所定の速度で、平行移動させる。
これにより、多孔体2上に、均一な大きさの孔径で構成される細孔312を多数有する斜方蒸着膜31(分離層3)が形成され、フィルタ部材1が得られる。
ここで、蒸着源810から気化した原料(蒸着粒子)800の進行方向と多孔体2の表面の垂線とがなす蒸着角度(図3中、角度θ)を適宜設定することにより、細孔312の多孔体2の表面に対する角度(図1中、角度θ)を調整することができる。
さらに、分離層3における細孔312の平均孔径は、蒸着源810から気化した原料800が多孔体2の表面に到着した際に形成される構造(カラム構造)の状態に大きく依存しており、蒸着粒子の進行方向と多孔体2の表面の垂線とがなす蒸着角度θ、蒸着時のチャンバ内(蒸着雰囲気)の真空度、蒸着粒子の蒸着レートおよび多孔体2の温度(基板温度)等の各種条件を適宜設定することにより調整することができるとともに、これらの値を固定することにより、一定の平均孔径を有する細孔312を再現性よく形成することができる。これらの中でも、蒸着角度θおよび/または真空度を適宜設定することにより、平均細孔の大きさを調整するようにするのが好ましい。これらのパラメータは、特に、応答性が高いことから、その大きさを適宜設置することにより、平均孔径の大きさを比較的容易に制御することができる。
これらパラメータの適正範囲は、分離層3の構成材料の種類によっても若干異なるが、前述したような無機酸化物材料とする場合、次のように設定される。
まず、上述したように蒸着角度θおよび真空度は、分離層3における平均孔径にもっとも影響するパラメータである。
ここで、蒸着角度θが小さくなる程、細孔径は小さくなる。しかしながら、蒸着角度θが小さくなり過ぎると、成膜される蒸着膜においてカラム状の構造が得られなくなり、細孔が形成されていない緻密な蒸着膜が成膜されてしまうおそれがある。
また、真空度が高くなる程、細孔径は大きくなる。しかしながら、真空度が高くなり過ぎると、蒸着粒子が多孔体2に到達するのに先立って、蒸着粒子の凝集が起こり易くなる。その結果、成膜される斜方蒸着膜においてカラムの外径が大きくなり過ぎるおそれがある。また、真空度が低くなりすぎると、蒸着粒子の直進性が低下して、細孔径のバラツキが大きくなるおそれがある。
このような点から蒸着角度θは、25〜60°程度であるのが好ましく、30〜50°程度であるのがより好ましい。
チャンバ(蒸着装置)内の真空度は、1×10−5〜5×10−1Pa程度であるのが好ましく、5×10−5〜5×10−2Pa程度であるのがより好ましい。
さらに、多孔体2の温度および蒸着レートを適宜設定することにより、蒸着粒子が多孔体2に到達するのに先立って凝集してしまうのを防止して、斜方蒸着膜を効率よく成膜することができる。
具体的には、蒸着時の多孔体2の温度は、20〜150℃程度であるのが好ましく、50〜100℃程度であるのがより好ましい。
また、蒸着レートは、2.5〜25Å/秒程度であるのが好ましく、4〜20Å/秒程度であるのがより好ましい。
なお、蒸着源810と多孔体2との方位角度(図3中、角度θ)や、多孔体2と蒸着源810との離間距離(図3中L)、スリット板820の厚さ(図3中T)やスリット821の幅(図3中W)等を適宜設定することにより、カラム構造の方向均一性を制御すること、すなわち、斜方蒸着膜31の配向性を制御することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明のフィルタ部材の第2実施形態について説明する。
図5および図6は、本発明のフィルタ部材の第2実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、図5および図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のフィルタ部材1は、図5および図6に示すように、多孔体2が有底筒状に形成され、この有底筒状の多孔体2の内側面(内周面21および底面22)に分離層3が形成されている以外は、前記第1実施形態のフィルタ部材1と同様である。
なお、本実施形態において、多孔体2の外形形状は、筒状をなしていれば特に限定されるものではないが、図5に示すような円柱状のものや、図6に示すような四角柱状のものの他、例えば、円錐台状、多角柱状等であってもよい。
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、第2実施形態のフィルタ部材1では、特に、多孔体2が有底筒状に形成されており、その内側面に分離層3が設けられていることにより、その内側に分離対象ガスを送気したときに、フィルタ部材1の周壁が、分離対象ガスを分離するフィルタとして機能するとともに、混合ガスの拡散を遮る壁部としても機能する。したがって、送気された分離対象ガスが、外側に拡散し難く、また、その下方を除いた全方位がフィルタとして機能することにより、この混合ガスに含まれる分離対象ガスが、効率よく分離される。また、このフィルタ部材1では、中空容器等に装着することなくフィルタとして用いることができるので、装着のための手間が省かれ、作業の簡易化を図ることができる。
<<第2製造方法>>
次に、本発明のフィルタ部材の製造方法を、図5に示すフィルタ部材1の製造に適用した第2製造方法について説明する。
図7は、本発明のフィルタ部材の第2製造方法で用いる斜方蒸着装置を示す模式図、図8は、図7に示す斜方蒸着装置が有するスリット板を示す平面図である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
なお、以下では、有底円筒状の多孔体2の内側面に、斜方蒸着法により分離層3を形成して、図5に示すような円柱状のフィルタ部材1を製造する場合を代表に説明する。
まず、有底円筒状の多孔体2を用意する。
次に、図7に示すように、チャンバ(図示せず)内に、分離層3の構成材料(原料)800を収納した蒸着源810と、有底円筒状の多孔体2とを設置し、これらの間にスリット板820を配置する。
多孔体2は、駆動装置830に固定され、多孔体2の内周面21または底面22において、後述する蒸着角度(図7中、蒸着角度θ)を維持した状態で、図7中に示す矢印方向Aに平行移動可能となっているとともに、多孔体2の中心軸を中心として回転可能となっている。また、多孔体2は、図示しない加熱手段により加熱可能となっている。
また、本実施形態で用いられるスリット板820は、図7に示すように、板体822のほぼ中央部に、所定のスリット長lを有するスリット821が形成されてなるものである。
このスリット821のスリット長lは、多孔体2の大きさに応じて、内周面21のスリット821を通過して原料800の蒸着粒子が供給される領域が実質的に平面で構成されるように適宜設定されるが、10〜50mm程度であるのが好ましく、15〜30mm程度であるのがより好ましい。スリット長lが前記範囲より短い場合には、単位時間当たりに原料800が蒸着される蒸着面積が小さくなり、分離層3の形成に長時間を要してしまう。また、スリット長lが前記範囲より長い場合には、内周面21のスリット821を通過して原料800の蒸着粒子が供給される領域が湾曲凹面で構成され、スリット821の中央部と、スリット821の両端部とで形成される細孔321の特性の均一化が図れないおそれがある。
次に、多孔体2の内周面21で、所定の蒸着角度(図7中、蒸着角度θ)が得られるように、多孔体2の位置を調整する。この状態で、蒸着源810に設けられた加熱手段(図示せず)により無機酸化物800を加熱して蒸発(気化)させる。そして、原料800の蒸着粒子を、スリット板820のスリット821を介して多孔体2の内周面21(分離層3を形成する面)に到達させる。
なお、このとき、多孔体2を、前述の加熱手段により所定の温度に加熱するとともに、駆動装置830により所定の回転速度で回転させつつ、矢印A方向に所定の速度で平行移動させる。
これにより、多孔体2の内周面21に、多数の細孔312を有する斜方蒸着膜31(分離層3)が得られる。
次に、多孔体2の底面22において、所定の蒸着角度(図7中、蒸着角度θ)が得られるように、多孔体2の位置を調整する。この状態で、蒸着源810に設けられた加熱手段(図示せず)により無機酸化物800を加熱して蒸発(気化)させる。そして、原料800の蒸着粒子を、スリット板820のスリット821を介して多孔体2の底面22(分離層3を形成する面)に到達させる。
なお、このとき、多孔体2を、前述の加熱手段により所定の温度に加熱するとともに、駆動装置830により所定の回転速度で回転させつつ、矢印B方向に所定の速度で平行移動させる。
以上のような工程を経て、多孔体2の底面22に、多数の細孔312を有する斜方蒸着膜31(分離層3)が形成され、フィルタ部材1が得られる。
ここで、蒸着源810から気化した原料(蒸着粒子)800が、多孔体2の内周面21および底面22に到達する蒸着角度(図7中、角度θ)を適宜設定することにより、細孔312の多孔体2の内周面21および底面22に対する角度を調整することができる。
また、分離層3の平均孔径は、蒸着源810から気化した原料が多孔体2の内周面21および底面22に到着した際に形成される構造(カラム構造)の状態に大きく依存しており、蒸着時のチャンバ内の真空度、蒸着レート、多孔体2の温度(基板温度)、蒸着角度θ等の各種条件を適宜設定することにより調整することができる。
これら条件の適正な範囲は、前記第1製造方法の場合と同様である。
<第3実施形態>
次に、本発明のフィルタ部材の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明のフィルタ部材の第3実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態のフィルタ部材1は、図9に示すように、分離層3を構成する斜方蒸着膜31の各カラム311に、カラム311の表面とカップリング剤とが反応することによって形成された被覆層313を有する以外は、前記第1実施形態のフィルタ部材と同様である。
本実施形態のフィルタ部材1では、斜方蒸着膜31は、無機酸化物を主材料として構成されているのが好ましい。無機酸化物で構成されるカラム311は、その表面に水酸基を露出していることから、この水酸基とカップリング剤とが反応することにより、カラム311の表面に、密着性に優れた被覆層313を形成することができる。
カップリング剤としては、Ti、Li、Si、Na、K、Mg、Ca、St、Ba、Al、In、Ge、Bi、Fe、Cu、Y、Zr、Ta等を有する各種金属アルコキシド、ハロゲン基を有する有機金属化物等を好適に用いることができる。これらの中でもSi、Ti、Al、Zr等を有するカップリング剤がより好適に用いられ、特に、Siを有するシラン系カップリング剤を用いるのが好ましい。シラン系カップリング剤は、安価であり入手が容易である。
シランカップリング剤は、一般式RSiX(4−n)(但し、Xは、加水分解によりシラノール基を生成する加水分解基、Rは官能基である。また、nは1〜3の整数である。)で表される。
この一般式において、Xとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。
なお、複数個のR同士またはX同士は、互いに同じものであっても、異なるものであってもよい。
このようなシランカップリング剤は、アルコキシ基またはハロゲン基が加水分解されることによってシラノール基を生成する。このシラノール基の少なくとも1つと、カラム311の表面で露出する水酸基とが反応してシロキサン結合が形成する。これにより、カラム311の表面にシランカップリング剤が結合し、被覆層313が形成される。
カラム311の表面とカップリング剤とが反応することによって形成された被覆層313は、その表面にカップリング剤の官能基が露出しており、この官能基によって、カラム311の表面が改質される。したがって、この官能基を変化させることによって、ガス成分に対する親和性を変化させることができる。その結果、ガス成分のうち前記官能基に対して親和性を有するものを優先的に細孔312を透過させることができる。すなわち細孔312におけるガスの透過性を制御することができる。
そのため、かかる構成の分離層3を備えるフィルタ部材1は、細孔312の孔径よりもその分子サイズが大きいものの透過を阻止し得るとともに、細孔312の孔径よりもその分子サイズが小さいガス成分、すなわち細孔312の透過が許容されるもののうち、被覆層313(カップリング剤が備える官能基)に対して親和性を有するガス成分を優先的に透過させることができる。
そこで、カップリング剤として、例えば、メタノール蒸気と親和性を有するアルキル基を含む官能基を備えるものを使用し、細孔312の孔径の大きさをメタノールの透過を許容し得る大きさに設定した場合には、メタノール蒸気がその分解物(HおよびCO)よりも細孔312内で選択的に凝縮することとなり、メタノールの透過が促進される。
例えば、細孔312の平均孔径を0.35〜0.45nm程度に設定した場合、フィルタ部材1は、エタノール蒸気の透過を阻止しつつ、メタノール蒸気とその分解物のうち、メタノール蒸気の透過を優先的に許容するものとなる。また、例えば、細孔312の平均孔径を0.35〜0.5nm程度に設定した場合、フィルタ部材1は、イソプロピルアルコール蒸気の透過を阻止しつつ、メタノール蒸気とその分解物のうち、メタノール蒸気の透過を優先的に許容するものとなる。
以上のように、第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、細孔312の孔径よりも分子サイズの大きいガス成分の透過をフィルタ部材1により阻止することができる。
さらに、第3実施形態のフィルタ部材では、特に、被覆層を形成するカップリング剤の官能基を変化させることにより、分離対象ガス中に含まれるガス成分の細孔312における透過率を制御することができるので、細孔312の孔径よりも分子サイズの小さいガス成分のうち、カップリング剤と親和性の高いものを選択的に細孔312を透過させることができる。
したがって、細孔312の孔径の大きさおよびカップリング剤の官能基を適宜設定することにより、分離ガス中に含まれる目的とするガス成分を、他のガス成分から優先的にフィルタ部材1の下側に分離することができる。
なお、メタノール蒸気と親和性を有するアルキル基を含む官能基を備えるカップリング剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、ジルコニウムテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシ、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシ、トリメチルボラート、トリメチルボラート等が挙げられる。
また、ハロゲン基を有する有機金属化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
なお、この被覆層313を有するフィルタ部材1では、カラム311の表面に形成された被覆層313で囲まれた空間が、前記第1実施形態における分離層3の細孔312に相当する。
<<第3製造方法>>
次に、本発明のフィルタ部材の製造方法を、図9に示すフィルタ部材1を製造に適用した第3製造方法について説明する。
図10は、本発明のフィルタ部材の第3製造方法で用いる処理装置を示す模式図である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3製造方法について、前記第1製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
まず、平板状の多孔体2を用意し、この多孔体2の表面に、前記第1製造方法と同様にして、斜方蒸着法により斜方蒸着膜31を形成する。
次に、斜方蒸着膜31のカラム311の表面と、カップリング剤とを反応させ、被覆層313を形成する。
カラム311の表面と、カップリング剤との結合は、液相プロセスや化学的気相成膜法等を用いた気相プロセスのような各種プロセスを用いて行うことができるが、中でも、液相プロセスを用いて行うのが好ましい。液相プロセスによれば、カップリング剤を含有する処理液Sを調製し、カラム311の表面に、処理液Sを供給するという比較的簡単な工程により、カラム311の表面とカップリング剤とを反応させることができる。
以下では、カップリング剤を含有する処理液Sを調製し、この処理液Sをカラム311の表面に浸漬法を用いて供給する液相プロセスを一例に説明する。
この液相プロセスを用いた被覆層313の形成方法では、例えば、図10に示すような処理装置900が用いられる。
処理装置900は、チャンバ910と、チャンバ910内に設けられたステージ950と、ステージ950上に配置された容器920と、容器920内に処理液Sを供給する給液手段960と、容器920内の処理液Sを排液する排液手段940と、チャンバ910内の排気を行う排気手段930とを有している。
また、ステージ950には、例えば、ヒーター等の加熱手段(図示せず)が設けられている。
排気手段930は、ポンプ932と、ポンプ932とチャンバ910とを連通する排気ライン931と、排気ライン931の途中に設けられたバルブ933とで構成されている。
また、排液手段940は、処理液Sを回収する回収タンク944と、回収タンク944と容器920とを連通する排液ライン941と、排液ライン941の途中に設けられたポンプ942およびバルブ943とで構成されている。
また、給液手段960は、処理液Sを貯留する貯留タンク964と、貯留タンク964から処理液Sを容器920に導く給液ライン961と、給液ライン961の途中に設けられたポンプ962およびバルブ963とで構成されている。
また、排液手段940および給液手段960には、それぞれ、図示しない加熱手段(例えば、ヒーター等)が設けられ、処理液Sを加熱し得るよう構成されている。
かかる構成の処理装置900を用いて、被覆層313は、例えば、次のようにしてカラム311の表面に形成される。
まず、カップリング剤を含有する処理液Sを調整した後、貯留タンク964に収納する。
カップリング剤を溶解する溶媒としては、各種のものが用いられるが、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
処理液Sにおけるカップリング剤の濃度は、シランカップリング剤1重量部に対し、有機溶媒10〜50重量部程度であるのが好ましい。
また、特に、カップリング剤として金属アルコキシドを使用する場合には、水系溶液とすることもできる。この場合、金属アルコキシド1モルに対し、水1〜5モル程度、アルコール10〜30モル程度、酸0〜0.1モル程度を配合して調製するのが好ましい。
次に、チャンバ910を開放し、斜方蒸着膜31が形成された多孔体2を搬入して、容器920内に設置する。
次に、チャンバ910を密閉した状態とし、ポンプ962を作動し、この状態で、バルブ963を開くことにより、給液ライン961を介して、処理液Sを貯留タンク964から容器920内に供給する。
そして、容器920内に所定量の処理液S、すなわち、多孔体2が完全に漬かる量の処理液Sを供給することにより、斜方蒸着膜31が形成された多孔体2が処理液Sにより浸漬されると、ポンプ962を停止するとともに、バルブ963を閉じる。
次に、チャンバ910内(処理液Sが設置された空間)を減圧することにより、斜方蒸着膜31の細孔312内に処理液Sを浸透させる。
具体的には、チャンバ910を密閉した状態とし、ポンプ932を作動し、この状態で、バルブ933を開くことにより、排気ライン931を介して、チャンバ910内の気体を処理装置900外に排出する。
チャンバ910内の圧力が徐々に低下することにより、処理液S中および斜方蒸着膜31の細孔312内の気体(例えば空気等)が取り除かれ、細孔312内に処理液Sが浸透していく。
そして、チャンバ910内が所定の圧力になると、ポンプ932を停止するとともに、バルブ933を閉じる。
このチャンバ910内(空間)の所定の圧力、すなわち、チャンバ910内の真空度は、1×10−4〜1×10Pa程度であるのが好ましく、1×10−2〜1×10Pa程度であるのがより好ましい。これにより、斜方蒸着膜31の細孔312内から十分に空気が取り除かれ、細孔312内に処理液Sを十分に浸透させることができる。
次に、ポンプ942を作動し、この状態で、バルブ943を開くことにより、容器920内の余剰の処理液Sを排液ライン941を介して回収タンク944に回収する。
そして、容器920内から処理液Sのほぼ全てが回収されると、ポンプ942を停止するとともに、バルブ943を閉じる。
次に、斜方蒸着膜31の表面および細孔312の内面に、カップリング剤を結合させる。
具体的には、ステージ950に設けられた加熱手段を作動させることにより、斜方蒸着膜31が形成された多孔体2を加熱する。
これにより、カップリング剤の加水分解基を加水分解させ、生成したシラノール基と、斜方蒸着膜の表面で露出する水酸基とを反応させて、シロキサン結合を生成させる。これにより、斜方蒸着膜の表面に、カップリング剤が結合し、被覆層313が形成される。
なお、この加熱を行うのに先立って、必要に応じて、再度、チャンバ910内を減圧するようにしてもよい。
多孔体2の加熱温度は、特に限定されないが、50〜150℃程度であるのが好ましく、70〜120℃程度であるのがより好ましい。加熱温度が低過ぎると、カップリング剤の種類や、斜方蒸着膜31の種類等によっては、斜方蒸着膜31にカップリング剤を十分に化学結合させることができないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
また、多孔体2の加熱時間も、特に限定されないが、1〜24時間程度であるのが好ましく、2〜10時間程度であるのがより好ましい。加熱時間が短過ぎると、加熱温度等の他の条件によっては、斜方蒸着膜31にカップリング剤を十分に化学結合させることができないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
なお、カップリング剤として、複数種のものを用いる場合には、前記処理液S中に複数のカップリング剤を同時に混合するようにしてもよい。この場合、斜方蒸着膜31に化学結合する複数種のカップリング剤の比率は、例えば、処理液中における複数種のカップリング剤の配合比、種類や分子量、処理条件等を適宜設定することにより調整することができる。
また、各カップリング剤をそれぞれ含有する複数の処理液を用意し、各処理液を順次用いて、前述したようにして多孔体を処理するようにしてもよい。
以上、本発明のフィルタ部材を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記第3実施形態は、第1実施形態のフィルタ部材に被覆層を付加したものであるが、第2実施形態のフィルタ部材に、同様の被覆層を付加するようにしても構わない。
また、本発明のフィルタ部材は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
なお、上述したような本発明のフィルタ部材は、その細孔の大きさをメタノール蒸気の透過を阻止する大きさに設定した場合、例えば、このフィルタ部材を備えるフィルタが設けられたメタノールガス分解反応器に適用することができる。そして、このメタノールガス分解反応器は、このものを備える熱輸送システムや、この反応器と水素ガス分離装置とを備える水素ガス燃料電池等に適用ことができる。
(実施例1)
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1−1.フィルタ部材の製造
(サンプルNo.1A)
まず、平均孔径5nmの多孔体(シリカ系セラミックス)を用意し、真空蒸着装置のチャンバ内に蒸着源から気化した蒸着粒子の蒸着角度θが35°となるように前記多孔体をセットした。また、スリット板の厚さは1.5cm、スリットの幅は2.0cmとし、多孔体の蒸着源に対する角度θは50°、蒸着距離は15cm、基板の移動速度は2.5cm/分とした。
そして、チャンバ内を減圧(1.2×10−2Pa)し、基板温度55℃、蒸着レート4Å/secで、SiOを斜方蒸着して、多孔体の表面に斜方蒸着膜(無機酸化物膜)を成膜し、フィルタ部材を得た。
なお、得られた斜方蒸着膜は、原子間力顕微鏡および陽電子消滅法を用いて測定した結果、平均厚さが500Å、平均孔径が0.2〜0.5nmであった。
(サンプルNo.2A〜15A)
斜方蒸着を行う際に、蒸着材料、チャンバ内の真空度、蒸着角度θ、基板温度、蒸着レートを下記の表1に示すようにした以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして、フィルタ部材を作製した。
なお、得られた斜方蒸着膜の平均厚さおよび平均孔径を表1に示す。
1−2.評価
まず、各サンプルNo.のフィルタ部材について、それぞれ、5個ずつ図2に示すようなフィルタを作成した。
次に、各サンプルNo.のフィルタ部材を備えるフィルタについて、メタノール蒸気とHガスとを含有する混合ガスを中空容器10のフィルタ部材よりも上側の空間に送気し、フィルタ部材を透過した混合ガスをフィルタ部材よりも下側の空間で回収した。そして、このフィルタ部材を透過した混合ガスおよび未透過の混合ガスについて、ガスクロマトグラフィー装置を用いて、それぞれの組成比を分析することにより、メタノール蒸気とHガスとの透過係数比(PH2/PMeOH)を算出した。
また、メタノール蒸気とHガスとを含有する混合ガスに代えて、メタノール蒸気とCOガスとを含有する混合ガスを用いた以外は、前記と同様にして、各サンプルNo.のフィルタ部材を備えるフィルタについて、メタノール蒸気とCOガスとの透過係数比(PCO/PMeOH)を算出した。
そして、各サンプルNo.で測定された各透過係数比(PH2/PMeOHおよびPCO/PMeOH)を、それぞれ、以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:透過係数比が100以上である
○:透過係数比が20以上、100未満である
△:透過係数比が5以上、20未満である
×:透過係数比が5未満である
これらの評価結果を、それぞれ、以下の表1に示す。
Figure 2008119565
表1に示すように、各サンプルNo.フィルタ部材を備えるフィルタのうち、細孔の平均孔径の大きさが0.1〜0.8nmとなっている分離層を備えるものは、いずれも、細孔の平均孔径の大きさが0.8nmを超える分離層を備えるものと比較して、メタノール蒸気とCOガスとの透過係数比およびメタノール蒸気とHガスとの透過係数比ともに、その透過係数比の値が大きくなる結果が得られた。
これにより、細孔の平均孔径の大きさが0.1〜0.8nmとなっている分離層を備えるフィルタ部材は、メタノール蒸気の透過が阻止され、かつ、HガスおよびCOガスの透過が許容されていることが明らかとなった。
また、蒸着角度θ、チャンバ内を圧力、基板温度および蒸着レートを、それぞれ適宜設定することにより、各サンプルNo.のフィルタ部材が備える細孔の細孔の平均孔径の大きさを制御し得ることが明らかとなった。
なお、これらのうち、蒸着角度θの大きさを小さく設定するほど、細孔の平均孔径が小さくなる結果が得られた。
また、チャンバ内の圧力を小さく設定するほど、すなわち真空度を高く設定するほど、細孔の平均孔径が大きくなるとともに、その孔径のバラツキが小さくなる結果が得られた。このことは、蒸着源から蒸発した蒸着粒子の直進性が向上したことと、多孔体に到着した蒸着粒子のマイグレーションが発生し易くなったことに起因すると推察された。
(実施例2)
2−1.フィルタ部材の製造
(サンプルNo.1B)
まず、平均孔径5nmの多孔体(シリカ系セラミックス)を用意し、真空蒸着装置のチャンバ内に蒸着源から気化した蒸着粒子の蒸着角度θが40°となるように前記多孔体をセットした。また、スリット板の厚さは1.5cm、スリットの幅は2.0cmとし、多孔体の蒸着源に対する角度θは50°、蒸着距離は15cm、基板の移動速度は2.5cm/分とした。
そして、チャンバ内を減圧(1.0×10−2Pa)し、基板温度55℃、蒸着レート5Å/secで、SiOを斜方蒸着して、多孔体の表面に斜方蒸着膜(無機酸化物膜)を成膜した。
次に、斜方蒸着膜が形成された多孔体を、クリーンオーブン中、200℃×90分間で加熱し、加熱終了直後、乾燥窒素雰囲気中に移動し、そのまま放置した。
次に、図10に示す処理装置内に、斜方蒸着膜付きTFT基板を搬入し、容器(ポリテトラフルオロエチレン製)内に、斜方蒸着膜を上にして設置した。
そして、チャンバを密閉した後、0.1wt%メチルトリメトキシシラン/トルエン溶液を処理液として容器内に供給して、斜方蒸着膜が形成された多孔体を処理液に浸漬させた状態で、処理装置内を100Paに減圧した。
これにより、斜方蒸着膜の細孔内の気体を処理液に置換した。すなわち、細孔内に処理液を浸透させた。
次に、過剰な処理液を容器から排出した後、再度、処理装置内を133Pa(1Torr)に減圧し、多孔体を150℃×1時間で加熱した。
これにより、斜方蒸着膜の表面および細孔の内面に、メチルトリメトキシシランによる被膜層が形成されたフィルタ部材を得た。
なお、被膜層が形成された斜方蒸着膜は、原子間力顕微鏡および陽電子消滅法を用いて測定した結果、平均厚さが500Å、平均孔径が0.35〜0.5nmであった。
2−2.評価
まず、サンプルNo.1Bのフィルタ部材について、それぞれ、5個ずつ図2に示すようなフィルタを作成した。
次に、サンプルNo.1Bのフィルタ部材を備えるフィルタについて、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHガスを含有する混合ガスを中空容器10のフィルタ部材よりも上側の空間に送気し、フィルタ部材を透過した混合ガスをフィルタ部材よりも下側の空間で回収した。そして、このフィルタ部材を透過した混合ガスおよび未透過の混合ガスについて、ガスクロマトグラフィー装置を用いて、それぞれの組成比を分析することにより、Hガスとメタノール蒸気との透過係数比(PMeOH/PH2)と、イソプロピルアルコール蒸気とメタノール蒸気との透過係数比(PMeOH/PIPA)とを算出した。
また、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHガスを含有する混合ガスに代えて、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHeガスを含有する混合ガスを用いた以外は、前記と同様にして、サンプルNo.1Bのフィルタ部材を備えるフィルタについて、メタノール蒸気とHeガスとの透過係数比(PMeOH/PHe)と、イソプロピルアルコール蒸気とメタノール蒸気との透過係数比(PMeOH/PIPA)とを算出した。
そして、サンプルNo.1Bで測定された各透過係数比(PMeOH/PH2、PMeOH/PHeおよびPMeOH/PIPA)を、それぞれ、評価1−2に記載した4段階の基準に従って評価した。
これらの評価結果を、それぞれ、以下の表2に示す。
Figure 2008119565
表2に示すように、サンプルNo.1Bのフィルタ部材を備えるフィルタは、細孔の平均孔径の大きさが0.35〜0.5nmとなっている分離層を備えており、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHガスを含有する混合ガス、および、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHeガスを含有する混合ガスにおいて、PMeOH/PIPAの大きさが何れも20以上となる結果が得られた。その結果、平均細孔の大きさをかかる範囲内に設定することにより、イソプロピルアルコール蒸気の透過を優先的に阻止して、メタノール蒸気の透過が許容されることが明らかとなった。
また、サンプルNo.1Bのフィルタ部材を備えるフィルタは、斜方蒸着膜の表面および細孔の内面に、メチルトリメトキシシランによる被膜層が形成されており、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHガスを含有する混合ガスおいてPMeOH/PH2の大きさ、および、イソプロピルアルコール蒸気、メタノール蒸気およびHeガスを含有する混合ガスにおいてPMeOH/PHeの大きさが何れも5以上となる結果が得られた。その結果、メタノールに対して親和性を有するアルキル基を備える被覆層を斜方蒸着膜に設けることにより、平均細孔の大きさよりも小さい分子サイズを有するもののうち、メタノール蒸気を優先的に透過し得ることが明らかとなった。
本発明のフィルタ部材の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図1に示すフィルタ部材によって、メタノール蒸気とその分解物が分離される様子を示す模式図である。 本発明のフィルタ部材の第1製造方法で用いる斜方蒸着装置を示す模式図である。 図3に示す斜方蒸着装置が有するスリット板を示す平面図である。 本発明のフィルタ部材の第2実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のフィルタ部材の第2実施形態の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明のフィルタ部材の第2製造方法で用いる斜方蒸着装置を示す模式図である。 図7に示す斜方蒸着装置が有するスリット板を示す平面図である。 本発明のフィルタ部材の第3実施形態を模式的に示す縦断面図である。 本発明のフィルタ部材の第3製造方法で用いる処理装置を示す模式図である。
符号の説明
1……フィルタ部材 2……多孔体 21……内周面 22……底面 3……分離層 31……斜方蒸着膜 311……カラム 312……細孔 313……被覆層 800……無機酸化物(原料) 810……蒸着源 820……スリット板 821……スリット 822……板体 830……駆動装置 900……処理装置 910……チャンバ 920……容器 930……排気手段 931……排気ライン 932……ポンプ 933……バルブ 940……排液手段 941……排液ライン 942……ポンプ 943……バルブ 944……回収タンク 950……ステージ 960……給液手段 961……給液ライン 962……ポンプ 963……バルブ 964……貯留タンク S……処理液

Claims (13)

  1. 分子サイズの大きさに応じて、ガス中に含まれるガス成分を分離するフィルタ部材であって、
    多孔体と、該多孔体の表面に設けられた分離層を有し、
    前記分離層は、主として多孔体の表面に対してほぼ一定の角度をなして貫通する細孔を多数有する斜方蒸着膜で構成され、
    前記分離層において、前記細孔の孔径よりも大きい分子サイズの前記ガス成分の透過が阻止されるよう構成されていることを特徴とするフィルタ部材。
  2. 前記斜方蒸着膜は、無機酸化物材料を主材料として構成される請求項1に記載のフィルタ部材。
  3. 前記多孔体は、無機酸化物材料を主材料として構成される請求項1または2に記載のフィルタ部材。
  4. 前記細孔は、前記多孔体の表面となす角度が50〜90°である請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルタ部材。
  5. 前記細孔の平均孔径が0.1〜0.8nmであり、前記細孔が前記多孔体の表面となす角度が75〜85°であるとき、
    前記分離層の表面に、少なくともメタノール蒸気とメタノール蒸気よりも分子サイズが小さいガス成分とを含有する混合ガスを送気すると、前記分離層において、前記メタノール蒸気の透過が選択的に阻止される請求項1ないし4のいずれかに記載のフィルタ部材。
  6. 前記メタノール蒸気よりも分子サイズが小さいガス成分は、前記メタノール蒸気の分解物である請求項5に記載のフィルタ部材。
  7. 前記斜方蒸着膜の表面および細孔の内面に、カップリング剤が反応することにより形成された被覆層が設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載のフィルタ部材。
  8. 前記カップリング剤は、アルキル基を有するシランカップリング剤である請求項7に記載のフィルタ部材。
  9. 前記多孔体は、有底筒状をなし、該多孔体の内側面に、前記分離層が設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載のフィルタ部材。
  10. 斜方蒸着法を用いて、多孔体の表面に、当該表面に対してほぼ一定の角度をなして貫通する細孔を多数有する斜方蒸着膜を形成することにより分離層を得る工程を有し、
    前記分離層を得る工程において、前記多孔体の表面の垂線と蒸着粒子の進行方向とがなす蒸着角度、前記蒸着粒子の蒸着レート、前記多孔体の温度、蒸着雰囲気の真空度のうちの少なくとも1つを制御することにより、前記分離層が有する前記細孔の平均孔径を制御することを特徴とするフィルタ部材の製造方法。
  11. 前記分離層を得る工程において、前記蒸着粒子の蒸着角度は、45〜85°である請求項10に記載のフィルタ部材の製造方法。
  12. 前記分離層を得る工程において、前記蒸着雰囲気の真空度は、1×10−5〜5×10−1Paである請求項10または11に記載のフィルタ部材の製造方法。
  13. 前記分離層を得る工程の後、前記斜方蒸着膜の表面に、カップリング剤を供給して、前記斜方蒸着膜の表面に前記カップリング剤を結合させることにより被覆層を形成する請求項8または9に記載のフィルタ部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112399325A (zh) * 2019-08-15 2021-02-23 新科实业有限公司 薄膜过滤件、薄膜过滤基板、mems麦克风、及其制造方法

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