JP2008119286A - 脂肪等価ファントム及びその作成方法、このファントムを用いた脂肪推定方法 - Google Patents

脂肪等価ファントム及びその作成方法、このファントムを用いた脂肪推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脂肪と筋肉からなる二層構造の生体模擬モデルを形成するのに用いて好適な脂肪等価ファントム及びその作成方法を提供する。脂肪と筋肉からなる二層構造の生体模擬モデルを用いて、脂肪を推定する方法を提供する。
【解決手段】精製水と植物油とを混合し、更に、洗剤と、寒天とを入れて混合し、混合した液体を加熱し、沸騰点に達したら、火を止め、増粘剤を混合し、型に入れ、冷却させ、ゲル状の脂肪等価ファントムを生成する。精製水と植物油とを、略々1対1の割合で混合することで、人体の脂肪の電気的特性に近づけ、更に、洗剤により電気的特性を調整する。また、筋肉等価ファントムと、脂肪等価ファントムを積層して、二重構造の人体モデルを作成し、この二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定して、脂肪厚を推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、人体の脂肪に物理的特性を模擬した脂肪等価ファントム及びその作成方法、ファントムを用いた脂肪推定方法に関する。
現在、体脂肪率測定においては、脂肪組織とその他の組織との生体電気インピーダンスが大きく異なる性質を利用し、身体全体が一つの生体電気インピーダンスで構成されているものととらえ、マクロ的な計測が行われている。
一方で、体の部位ごとの局所的な体脂肪測定は有用であると考えられる。例えば、大腿部の筋肉−脂肪バランスの計測は、個人の運動能力や健康度などを把握するのに有効である。このため、局所的な脂肪厚を簡便に測定する手法の開発が求められる。
そこで、局所的な脂肪厚の簡便測定を実現することを目的として、人体モデルを使った生体電気インピーダンス計測に関する検討が行われている。多様な測定条件や測定対象の電気的特性の設定が容易に可能であることから、モデル実験は、生体電気インピーダンス計測について検討を行う上で有効であると考えられる。
人体モデルとして、寒天と増粘剤を主材料とするゲルファントム(人体の形状や電気定数などの物理特性を再現した寒天を主材料とする模擬生体)が、特に、EMC(Electro Magnetic Compatibility)に関する研究分野で広く用いられている。また、筋肉等価ファントムについては、例えば、非特許文献1に示されている。
伊藤公一他、生体と電磁環境(1) 「新しい生体等価ファントム」電磁環境工学情報EMC Vol.12 No1 pp,51−62(1999)
本願発明者等は、脂肪と筋肉からなる二層構造の生体模擬モデルを形成し、生体電気インピーダンスと体脂肪厚の関連性についての検討を行っている。このような脂肪と筋肉からなる二層構造の生体模擬モデルを形成するためには、筋肉等価ファントムと、脂肪等価ファントムとが必要になる。
ここで、筋肉等価ファントムとしては、非特許文献1に記載されたようなものが知られているが、脂肪等価ファントムに関しては、これまで、十分な検討が行われていない。
また、脂肪と筋肉からなる二層構造の生体模擬モデルを用いれば、このモデルを使って、脂肪厚を推定できると考えられる。これにより、体の部位毎の局所的な体脂肪測定が可能になると考えられる。
したがって、本発明の目的は、脂肪と筋肉からなる二層構造の生体模擬モデルを形成するのに用いて好適な脂肪等価ファントム及びその作成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとからなる二層構造の生体模擬モデルを用いて、体の部位毎の局所的な体脂肪測定を可能にした脂肪推定方法を提供することにある。
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1)本発明は、精製水と植物油と洗剤とを混合し、該精製水と植物油と洗剤との混合割合により電気的特性を調整し、寒天と増粘剤によりゲル状にして生成されたことを特徴とする脂肪等価ファントムを提案している。
(2)本発明は、(1)の脂肪等価ファントムについて、精製水と植物油とを、略1対1の割合で混合することを特徴とする脂肪等価ファントムを提案している。
(3)本発明は、精製水と植物油とを混合し、更に、洗剤と、寒天とを入れて混合する工程と、混合した液体を加熱する工程と、加熱された液体に、増粘剤を混合し、型に入れる工程と、型に入れた液体を冷却させ、ゲル状の脂肪等価ファントムを生成する工程とからなることを特徴とする脂肪等価ファントムの作成方法を提案している。
(4)本発明は、(3)の脂肪等価ファントムの作成方法において、精製水と植物油とを、略1対1の割合で混合することを特徴とする脂肪等価ファントムの作成方法を提案している。
(5)本発明は、筋肉等価ファントムと、脂肪等価ファントムを積層して、二重構造の人体モデルを作成する工程と、二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定する工程と、二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗の測定値を用いて、脂肪を推定する工程とからなることを特徴とするファントムを用いた脂肪推定方法を提案している。
(6)本発明は、(5)のファントムを用いた脂肪推定方法において、脂肪等価ファントムは、精製水と植物油とを混合し、洗剤により電気的特性を調整し、寒天と増粘剤によりゲル状にして作成することを特徴とするファントムを用いた脂肪推定方法を提案している。
(7)本発明は、(5)のファントムを用いた脂肪推定方法において、二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定する工程は、電極間隔を変化させて測定することを特徴とするファントムを用いた脂肪推定方法を提案している。
本発明によれば、精製水と植物油とを混合し、洗剤により電気的特性を調整し、寒天と増粘剤によりゲル状にすることで、人体の脂肪を模擬した脂肪等価ファントムを生成することができるという効果がある。
また、本発明によれば、筋肉等価ファントムと、脂肪等価ファントムとを積層して、二重構造の人体モデルを作成し、この二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定して、脂肪を推定することで、体の部位毎の局所的な体脂肪測定が可能になるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。先ず、本発明が適用された脂肪等価ファントムの作成方法について説明する。
<脂肪等価ファントムについて>
本発明が適用された脂肪等価ファントムは、精製水とサラダ油(大豆、菜種、トウモロコシ、オリーブ、綿実、米等を原料に作られる植物油)とを所定の割合で混合し、更に、洗剤(主に油脂と水酸化ナトリウムから精製される高級脂肪酸の塩)により電気的特性(誘電率及び導電率)の調整を行い、増粘剤(例えば、TX−151)及び寒天(D−ガラクトース、3,6−アンヒドロガラクトースを成分とする多糖のゲル)によりゲル状に固めて、物理的特性が人体の脂肪の特性に近づくようにしたものである。
図1は、本発明が適用された脂肪等価ファントムの作成手順を示すものである。
先ず、図2に示すように、精製水100ml、サラダ油100ml、洗剤20ml、寒天10g、増粘剤(TX−151)5gからなる各材料を用意する。そして、上述した分量に基づいて、精製水を入れた容器に、サラダ油と、洗剤と、寒天とを入れて、常温で混合し(工程S1)、これらをよくかき混ぜながら、強火で一気に加熱する(工程S2)。
沸騰の兆候が現れたら(約90度〜95度)、直ちに火を止め(工程3)、増粘剤(TX−151)を混合する(工程S4)。
この加熱した液体を空気が入らないようにかき混ぜ(工程5)、型に入れ(工程S6)、常温まで冷却させる(工程S7)。
常温まで冷却すると、型の中に、ゲル状の物質が固まり、このゲル状の物質が脂肪等価ファントムとなる。型の中で、ゲル状の脂肪等価ファントムが生成されたら、このゲル状の脂肪等価ファントムを型から取り出す(工程S8)。
図3及び図4は、上述のようにして作成した脂肪等価ファントムの電気的特性と、基準とした実際の脂肪の電気的特性とを比較したものであり、図3は導電率を計測したものであり、図4は、誘電率を計測したものである。
図3において、横軸は周波数を示し、縦軸は導電率を示す。また、A1は上述のようにして作成した脂肪等価ファントムの導電率特性を示し、A2は、基準値とした人体の脂肪の導電率特性を示すものである。また、図4において、横軸は周波数を示し、縦軸は誘電率を示し、B1は上述のようにして作成した脂肪等価ファントムの導電率特性を示す。また、B2は基準値とした人体脂肪の導電率特性を示すものである。
図3及び図4に示す特性から明らかなように、上述のようにして作成した本発明の脂肪等価ファントムは、基準値とした人体の脂肪と、その電気的特性(導電率及び誘電率)が非常に近い値になっていることが分かる。
なお、電気特性の計測は、図5(A)に示すように、(40mm×60mm×20mm)のアクリルケース11を用意し、図5(B)に示すように、アクリルケース11の中に上述のように生成した脂肪等価ファントム13を封入し、アクリルケース11の両側面に銅板12a及び12bを電極として取り付けたものを使用して、二極法でインピーダンスを測定する。ここで、電極面積をS、電極間隔をd、長さをlとすると、導電率と比誘電率の各特性は、以下の抵抗と静電容量の関係式(1)、(2)から算出される。
Figure 2008119286
次に、上述した分量で各材料を用意し、図1に示した工程による作業手順により、人体の脂肪の物理的特性を模擬した脂肪等価ファントムが生成できることについて説明する。
図6は、精製水と、サラダ油と、水道水の各部の誘電率をそれぞれ測定したものである。図6において、C1は精製水の誘電率を示し、C2はサラダ油の誘電率を示し、C3は水道水の誘電率を示し、C4は基準値とした人体の脂肪の誘電率を示している。
図6の特性から、基準値とした人体の脂肪の誘電率(特性C4)は、精製水の誘電率(特性C1)と、サラダ油の誘電率(特性C2)の間にあることが分かる。このような関係から、精製水とサラダ油とを所定の割合で混合すれば、人体の脂肪の誘電率と等価なものが生成できると考えられる。
次に、精製水とサラダ油の割合について検討する。図7は、精製水とサラダ油とを各割合で混合したものの誘電率を測定したものである。サンプルとしては、精製水とサラダ油とを(1:3)の割合で混合したものと、(3:1)の割合で混合したものと、(1:1)で混合したものを用意した。
図7において、D1は精製水とサラダ油とを(1:3)の割合で混合したものの誘電率を示し、D2は精製水とサラダ油とを(3:1)の割合で混合したものの誘電率を示し、D3は精製水とサラダ油とを(1:1)の割合で混合したものの誘電率を示し、D4は基準となる人体の脂肪の誘電率を示している。
図7の特性から、精製水とサラダ油とを(1:1)の割合で混合すると(特性D3)、基準値とした人体の脂肪の特性(特性D4)に最も近づくことが分かる。そこで、本発明が適用された脂肪等価ファントムでは、精製水とサラダ油とを、(1:1)の割合で混合するようにしている。
また、本発明が適用された脂肪等価ファントムは、ゲル状のファントムとしている。そこで、寒天及び増粘剤により、ゲル状に固めるようにしている。
更に、本発明では、洗剤により電気的特性(誘電率及び導電率)の調整を行っている。サンプルとしては、精製水100ml、サラダ油100ml、寒天10g、増粘剤5gに対して、洗剤10ml、20ml、28mlの3つの洗剤量の異なるサンプルを用意した。
図8は、洗剤の量による誘電率の特性変化を示すものである。図8において、E1は洗剤の量を10mlとしたときの誘電率を示し、E2は洗剤の量を20mlとしたとき誘電率を示し、E3は洗剤の量を28mlとしたときの誘電率を示し、E4は基準値とした人体の脂肪の誘電率を示している。図8の特性から、洗剤の量を増やしていくことで、誘電率を下げることができることが分かる。また、図8の特性では、洗剤の量を28mlとしたときの誘電率(特性E3)が基準値とした人体の脂肪の誘電率(特性E4)に近いことが分かる。また、洗剤の量を20mlとしたときの誘電率(特性E2)も、基準値とした人体の脂肪の誘電率(特性E4)にかなり近い特性であることが分かる。
また、図9は、洗剤の量による導電率の特性変化を示すものである。図9において、F1は洗剤の量を10mlとしたときの誘電率を示し、F2は洗剤の量を20mlとしたときの誘電率を示し、F3は洗剤の量を28mlとしたときの誘電率を示し、F4は基準値とした人体の脂肪の導電率を示している。図9の特性から、洗剤の量を増やしていくことで、導電率を上げることができることが分かる。図9の特性から、洗剤の量を20mlとしたとき(特性F2)の導電率が、基準値とした人体の脂肪の導電率(特性F4)に最も近いことが分かる。
以上のように、洗剤を投入することで、電気的特性(誘電率及び導電率)を調整できる。そして、以上の結果から、洗剤の量を20mlとしたときに、最も基準値に近い特性が得られる。
なお、上述の例では、洗剤の量は20mlとしているが、これに限定されるものではない。洗剤の量は、人体モデルの目的等に応じて、適宜、変更するようにしても良い。
また、上述の例では、ゲル状にするために寒天を使用しているが、これに限定されるものではない。また、上述の例では、増粘剤としてTX−151を用いているが、これに限定されるものではない。また、寒天の量や増粘剤の量は一例であり、人体モデルの目的等に応じて、適宜、変更するようにしても良い。
なお、洗剤には、例えば、台所用合成洗剤といった界面活性剤が含有されているものが用いられる。このような洗剤が精製水および植物油の中に投入されると、洗剤は界面活性剤として作用し、精製水と植物油との混合が行われる。また、洗剤に含有される界面活性剤は、親油基がイオン性を示し、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウム等のスルホン酸系界面活性剤がより好適である。この親油基のイオン性は、生成される脂肪等価ファントムの電気的特性のうち、導電率に作用するため、投入される洗剤の量を調整することにより、脂肪等価ファントムの導電率を調整することができる。
また、上記のように、本実施形態においては、精製水と植物油、および導電率を調整するための洗剤を脂肪等価ファントムの材料として例示しているが、これに限定されるものではなく、洗剤に代えて、界面活性剤を直接用いてもよい。また、親油基がイオン性を示さない界面活性剤を用いてもよく、この場合には、導電率の調整に、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを用いることで、導電率の調整を行うことができる。
<脂肪等価ファントムを用いた脂肪厚の計測について>
次に、上述のようにして作成された脂肪等価ファントムを用いた脂肪厚の測定方法について説明する。
上述のように、本発明では、その電気特性が基準値とした人体の脂肪に近似した脂肪等価ファントムが作成できる。このようにして作成された脂肪等価ファントムを用いて、脂肪と筋肉とからなる二層構造の人体モデルを作成し、この二層構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定することで、脂肪厚の推定を行うことができる。
見掛け比抵抗は、地下構造を推定するための物理探査手法の一つとして知られており、電気探査法で用いられている概念である。見掛け比抵抗は、図10に示すような四電極法により計測できる。
図10において、媒質21の表面に、4つの電極P1、P2、P3、P4を等間隔aだけ離して配置し、一対の電極P1及びP2に電流を流し、一対の電極P3、P4の電位差を観測する。このように、4つの電極P1、P2、P3、P4を等間隔aに配置し、一対の電極P1及びP2に電流Iを流し、一対の電極P3、P4の電位差Vを観測すると、媒質の比抵抗ρは、以下の(3)式のようになることが知られている。
Figure 2008119286
ここで、上式は、電極を配置した媒質21が均質であることが前提であるが、実際の生体は均質でない。不均質な媒質中において上式を用いて算出された比抵抗は、見掛け比抵抗と呼ばれている。
上式により求められた見掛け比抵抗は、深さa程度までの領域内の平均的な比抵抗を表している。したがって、電極間隔aが大きくなるにつれて、見掛け比抵抗の値は、より深部までの影響を受ける。
脂肪と筋肉とからなる二層構造の人体モデルは、図11に示すように、筋肉等価ファントム31上に、脂肪等価ファントム32を積層している。脂肪は筋肉よりも比抵抗が大きい。このことから、脂肪等価ファントム32の厚さdを厚くすると、見掛け比抵抗の値は大きくなると考えられる。
また、電極間隔aが大きくなるにつれて、見掛け比抵抗の値はより深部までの影響を受ける。このことから、電極間隔aが小さいときには、殆ど脂肪等価ファントム32の影響を受けて、見掛け比抵抗の値は大きくなり、電極間隔aを大きくすると、筋肉等価ファントム31の影響を受け出し、見掛け比抵抗の値は小さくなると考えられる。このとき、脂肪等価ファントム32の厚さにより、見掛け比抵抗が下がり出す点が異なると考えられる。
そこで、本願発明者等は、脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造のモデルを作成し、見掛け比抵抗の測定を行い、その特性を検証した。
図12は、実験に用いたモデルの一例である。この例では、図12(A)に示すように、アクリルボックス40の中央に部分的な段差43を設けた筋肉等価ファントム41上に、脂肪等価ファントム42を積層して、二層モデルを作成した。アクリルボックス40は、300mm×200mm×100mmの大きさで、中央に25mmの段差43を設けている。見掛け比抵抗の測定には、LCRメータによる四電極法を用いて、電極間隔aを、10mm〜50mmの間で、10mmずつ変化させた。
図13は、Y軸方向の断面図であり、電極の配置をY軸上で、40mm〜160mmまで、30mm刻みで移動させた。
脂肪の厚さの変化に伴った測定値の変化を確認し、更に、測定値からY=100mmを軸としたモデルの対称性を確認するため、図14のように測線を設定した。
図15は、上述のような脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造の人体モデルを使って、電極間隔と見掛け比抵抗の関係を測定したものである。
図15において、横軸は電極間隔を示し、縦軸は見掛け比抵抗の測定値を示している。図15において、G1はY=40mmのときの特性を示し、G2はY=70mmのときの特性を示し、G3はY=100mmのときの特性を示し、G4はY=130mmのときの特性を示し、G5はY=160mmのときの特性を示す。図15に示す特性から、測線を順に、40mm、70mm、もっとも脂肪が厚い100mmと移動するにつれ、見掛け比抵抗の値は大きくなる。また、100mmから130mm、160mmへと移動するにつれ、見掛け比抵抗の値は小さくなる。これは、比抵抗が筋肉より脂肪の方が高いことが見掛け比抵抗の値に反映されているためと考えられる。
また、電極間隔を変化させたとき、ある電極間隔で見掛け比抵抗が大きく下がる部分が見られる。これは、筋肉部分の低比抵抗の影響が出ているためで、曲線における見掛け比抵抗の低下が見られるときの電極間隔aの値が脂肪厚を推定する手がかりになるものと考えられる。
以上のように、脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとからなる二層構造の人体モデルでは、電極間隔aを動かしたときの見掛け比抵抗は、脂肪層の層厚により、特有の変化を示す。よって、脂肪と筋肉とからなる二層構造の人体モデルの見掛け比抵抗を観測することで、脂肪厚が推定できる。
図16は、脂肪と筋肉とからなる二層構造の人体モデルの見掛け比抵抗を利用した脂肪厚の推定方法を示すものである。
図16に示すように、脂肪厚のパターンの異なる多数の脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとからなる二層構造の人体モデルを作成し(工程S101)、電極間隔を変えながら、これらの二層構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定する(工程S102)。このように、多数のパターンの二重構造の人体モデルにより測定した見掛け比抵抗のデータを保存する(工程S103)。
被験者の見掛け比抵抗を、電極間隔を変えながら、測定する(工程S104)。被験者から観測された見掛け比抵抗のデータから、ステップS103で予め保存しておいた多数のパターンの二重構造の人体モデルにより測定した見掛け比抵抗のデータを参照して、被験者の脂肪厚を推定する(工程S105)。
このように、脂肪と筋肉とからなる二層構造の生体模擬モデルを用いれば、このモデルの見掛け比抵抗を測定することで、脂肪厚を推定することができる。
また、体の部位毎の人体モデルを作成することで、部位毎の局所的な体脂肪測定が可能になる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
本発明は、体脂肪の厚さや分布、体脂肪の人体に対する影響、体脂肪によるEMCの影響、その他、体脂肪を含む各種の人体モデルを用いた実験や考察、人体の健康状態の測定等に広く用いることができる。
本発明の適用された脂肪等価ファントムの生成工程の一例を示す流れ図である。 本発明の適用された脂肪等価ファントムの生成するための材料及びその分量の説明図である。 脂肪等価ファントムの導電率の特性の測定値を示すグラフである。 脂肪等価ファントムの誘電率の特性の測定値を示すグラフである。 脂肪等価ファントムの電気的特性方法の説明に用いる斜視図及び断面図である。 各物質の誘電率の測定値を示すグラフである。 精製水とサラダ油の割合による誘電率の測定値を示すグラフである。 洗剤の量によるファントムの誘電率の測定値を示すグラフである。 洗剤の量によるファントムの導電率の測定値を示すグラフである。 見掛け比抵抗の測定の説明図である。 脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造のモデルの説明図である。 脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造モデルの一例の説明図である。 脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造モデルの一例の説明図である。 脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造モデルの一例の説明図である。 脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造モデルによる見掛け比抵抗の変化を示すグラフである。 脂肪等価ファントムと筋肉等価ファントムとの二層構造モデルによる脂肪厚の推定方法の説明に用いる流れ図である。
符号の説明
11:アクリルケース
12a,12b:電極としての銅板
13:脂肪等価ファントム
21:媒質
31:筋肉等価ファントム
32:脂肪等価ファントム
40:アクリルボックス
41:筋肉等価ファントム
42:脂肪等価ファントム

Claims (7)

  1. 精製水と植物油と洗剤とを混合し、該精製水と植物油と洗剤との混合割合により電気的特性を調整し、寒天と増粘剤によりゲル状にして生成されたことを特徴とする脂肪等価ファントム。
  2. 前記精製水と前記植物油とを、略1対1の割合で混合することを特徴とする請求項1に記載の脂肪等価ファントム。
  3. 精製水と植物油とを混合し、更に、洗剤と、寒天とを入れて混合する工程と、
    前記混合した液体を加熱する工程と、
    前記加熱された液体に、増粘剤を混合し、型に入れる工程と、
    前記型に入れた液体を冷却させ、ゲル状の脂肪等価ファントムを生成する工程と、
    からなることを特徴とする脂肪等価ファントムの作成方法。
  4. 前記精製水と前記植物油とを、略1対1の割合で混合することを特徴とする請求項3に記載の脂肪等価ファントムの作成方法。
  5. 筋肉等価ファントムと、脂肪等価ファントムを積層して、二重構造の人体モデルを作成する工程と、
    前記二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定する工程と、
    前記二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗の測定値を用いて、脂肪を推定する工程と、
    からなることを特徴とするファントムを用いた脂肪推定方法。
  6. 前記脂肪等価ファントムは、精製水と植物油とを混合し、洗剤により電気的特性を調整し、寒天と増粘剤によりゲル状にして生成することを特徴とする請求項5に記載のファントムを用いた脂肪推定方法。
  7. 前記二重構造の人体モデルの見掛け比抵抗を測定する工程は、電極間隔を変化させて測定することを特徴とする請求項5に記載のファントムを用いた脂肪推定方法。
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