JP2008118929A - 免疫機能の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の目的は、免疫機能を正確に測定できる方法を提供することである。
【解決手段】 特定のペプチドを、体液あるいは体液に含まれる細胞と接触させることによりあるいは培養することにより形質転換増殖因子(TGF−β)の放出を誘導させ、該形質転換増殖因子の放出量を測定することを特徴とする、免疫機能の測定方法。
【選択図】なし
【解決手段】 特定のペプチドを、体液あるいは体液に含まれる細胞と接触させることによりあるいは培養することにより形質転換増殖因子(TGF−β)の放出を誘導させ、該形質転換増殖因子の放出量を測定することを特徴とする、免疫機能の測定方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、免疫機能の測定方法に関する。
近年、高齢化、食生活等の生活環境の変化やストレスの増加などに伴い、悪性腫瘍や自己免疫疾患など、免疫機能の低下や亢進が関与する疾病に苦しむ患者数や重篤な症例が飛躍的に増加しており、世界的な問題となっている。今後も、さらにこの傾向に拍車がかかるものと予想されている。
これらの疾病を適切に予防あるいは治療するためには、個々の患者の持つ免疫機能を正確に測定し、それぞれに最適な予防あるいは治療方法を選択し、組み合わせることが必須である。
これらの疾病を適切に予防あるいは治療するためには、個々の患者の持つ免疫機能を正確に測定し、それぞれに最適な予防あるいは治療方法を選択し、組み合わせることが必須である。
また、近年、抗癌剤や免疫抑制剤など、免疫機能に影響を与える薬剤が多く使われるようになってきた。これら薬剤の作用や副作用、すなわち個々の患者の持つ免疫機能の変化を、迅速かつ正確に測定することが、患者のQOL向上の観点からも強く求められている。
しかしながら、個々の患者における免疫機能を正確に把握するための実用的な方法はなく、個々の患者に最適な治療はなされていないのが現状である。
しかしながら、個々の患者における免疫機能を正確に把握するための実用的な方法はなく、個々の患者に最適な治療はなされていないのが現状である。
免疫機能には、さまざまな要因が複雑に関係しているが、その中で最も注目されている因子の一つが形質転換増殖因子(TGF−β)である。TGF−βは、生体内の種々の細胞、例えば免疫担当細胞であるCD4T細胞やマクロファージ等から産生、放出され、免疫機能を抑制する働きを有することが明らかとなっている。
TGF−βは、血液中にも含まれている、そこで、研究的に血液中もしくは血漿中のTGF−βの測定が行われており、その量によって免疫状態を把握しようとする試みがなされている。例えば、抗癌剤や免疫抑制剤の投与により免疫機能が低下した患者において、血漿中のTGF−β量が増加することが報告されている。しかしながら、このような測定では、すでに免疫機能が低下した状態をある程度把握することはできても、免疫機能を正確に測定し、あるいは事前に免疫機能の変化を予測することはできない。
すなわち、上述の通り、個々の患者が持つ免疫機能あるいはその変化を正確に把握するための実用的な方法はなく、個々の患者に最適な治療はなされていないのが現状である。
すなわち、上述の通り、個々の患者が持つ免疫機能あるいはその変化を正確に把握するための実用的な方法はなく、個々の患者に最適な治療はなされていないのが現状である。
本発明の目的は、免疫機能を従来よりもより正確に測定できる方法を提供することである。
請求項1記載の発明は、下記式(I)で示されるペプチドを、体液あるいは体液に含まれる細胞と接触させあるいは培養することにより形質転換増殖因子(TGF−β)の放出を誘導させ、該形質転換増殖因子の放出量を測定することを特徴とする、免疫機能の測定方法である。
請求項2記載の発明は、体液が血液であることを特徴とする、請求項1に記載の免疫機能の測定方法である。
請求項2記載の発明は、体液が血液であることを特徴とする、請求項1に記載の免疫機能の測定方法である。
本発明では、インビトロ系において、上記式(I)で示されるペプチドを、体液あるいは体液に含まれる細胞と接触させあるいは培養する。この操作により、検体中の細胞からTGF−βが放出される。本発明では、このTGF−βの放出量を測定する。
本発明に用いる体液としては、特に限定されないが、例えば血液を用いることができる。これら体液の採取方法は特に限定されないが、臨床的に一般的な方法、例えば血液であればヘパリンなどの抗凝固剤を含む採血管を用いた採血などが用いられ得る。
また、本発明においては、体液をそのまま用いてもよいし、含まれる細胞成分を分離した後に使用してもよい。細胞分離の方法は特に限定されず、例えば遠心分離による方法、比重による分離法、細胞分離膜による方法などが適宜用いられ得る。
また、本発明においては、体液をそのまま用いてもよいし、含まれる細胞成分を分離した後に使用してもよい。細胞分離の方法は特に限定されず、例えば遠心分離による方法、比重による分離法、細胞分離膜による方法などが適宜用いられ得る。
本発明において、上記ペプチドと体液あるいはこれらに含まれる細胞と接触させあるいは培養する際の検体量は、後にTGF−βを測定するのに十分な量であれば特に限定されない。また、その際の上記ペプチドの濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.01ng/mL〜100μg/mL、より好ましくは0.1ng/mL〜10μg/mLとなるように調製する。
本発明において、上記ペプチドと体液あるいは体液に含まれる細胞と接触させあるいは培養する際の容器等は特に限定されないが、個々の検体を生体に近い状態で反応させ、より正確な創傷治癒の予測を可能とするため、エンドトキシンなどの汚染・混入などがないものを用い、クリーン環境で操作することが好ましい。
また、接触や培養は、通常はプレートや試験管等の容器中で行われるが、その際、プレートや試験管などを振とう機や回転培養器を用いて混和することが好ましい。
また、接触あるいは培養の際の温度は、好ましくは15〜42℃であり、通常は37℃付近の温度条件下で行われる。
また、この培養する際の接触時間は、特に限定されない。
また、接触あるいは培養の際の温度は、好ましくは15〜42℃であり、通常は37℃付近の温度条件下で行われる。
また、この培養する際の接触時間は、特に限定されない。
本発明において、放出されたTGF−βを測定する方法は、特に限定されないが、例えば各種の酵素免疫測定法、酵素測定法、比色定量法、化学発光法等で行うことができる。
次に本発明の一実施様態として、内部を減圧にすることが可能である測定容器に、上記式(I)で示されるペプチド及び血液抗凝固剤を収納して製造した測定容器を用いて、免疫機能を測定する方法を述べる。
まず、血管または採血容器と上記測定容器とを、例えばマルチプル注射針(両端が搾針でき、かつ連通されている採血針)を用いて連通させ、上記測定容器中に患者の血液を吸入させる。これにより、血液細胞が上記式(I)で示されるペプチドと接触し、TGF−βが放出される。このTGF−βの量を上記の方法により測定することによって、免疫機能を測定することができる。
まず、血管または採血容器と上記測定容器とを、例えばマルチプル注射針(両端が搾針でき、かつ連通されている採血針)を用いて連通させ、上記測定容器中に患者の血液を吸入させる。これにより、血液細胞が上記式(I)で示されるペプチドと接触し、TGF−βが放出される。このTGF−βの量を上記の方法により測定することによって、免疫機能を測定することができる。
本発明では、上記式(I)で示されるペプチドを、体液あるいはこれらに含まれる細胞と接触させあるいは培養することによりTGF−βの放出を誘導させ、該TGF−βの放出量を測定することにより、免疫機能の測定を精度良く行うことができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げることにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
(ペプチドの調製)
理化学研究所から入手した放線菌S.ノビリス(JCM4274)を、酵母エキス0.2%(w/v)添加澱粉・アンモニウム培地50mLを含む500mL容坂口スラスコ5本で、26℃、150rpm、120時間振盪培養(前々培養)した。続いて同培地12Lを含む20L容ジャーファメンターに前々培養菌液240mLを接種し、26℃、410rpm、通気量4L/分で24時間培養(前培養)した。更に、澱粉・アンモニウム培地(蒸留水100mL中に可溶性澱粉を1g、リン酸水素二カリウムを0.05g、塩化アンモニウムを0.05g含む)140Lを含む200L容ジャーファメンターに、前培養菌液12Lを接種し、26℃、24時間種培養した。
(ペプチドの調製)
理化学研究所から入手した放線菌S.ノビリス(JCM4274)を、酵母エキス0.2%(w/v)添加澱粉・アンモニウム培地50mLを含む500mL容坂口スラスコ5本で、26℃、150rpm、120時間振盪培養(前々培養)した。続いて同培地12Lを含む20L容ジャーファメンターに前々培養菌液240mLを接種し、26℃、410rpm、通気量4L/分で24時間培養(前培養)した。更に、澱粉・アンモニウム培地(蒸留水100mL中に可溶性澱粉を1g、リン酸水素二カリウムを0.05g、塩化アンモニウムを0.05g含む)140Lを含む200L容ジャーファメンターに、前培養菌液12Lを接種し、26℃、24時間種培養した。
次いで、澱粉・アンモニウム培地1400Lを含む2000L容タンクに、種培養菌液140Lを接種し、26℃、140rpm、通気量700L/分、pH7.5で7日間培養した。
培養終了後、濾過により菌体を濾別した。このようにして得られた菌体6.34kg(湿重量)のうち、菌体1kg(湿重量)にジクロロメタン3Lを加え、室温で15時間攪拌後、菌体を濾別し、菌体抽出液を得た。菌体については、同操作を3回繰り返した。得られた菌体抽出液を濃縮後、シリカゲル担体120gに吸着させた。本吸着シリカゲル担体をシリカゲルカラムにより精製した。
シリカゲル担体800gを充填した径8.0cmのカラムに上記抽出物吸着担体約120gをチャージし、シリカゲルカラムを作成した。このシリカゲルカラムを下記の条件を用いて精製を行った。溶出溶剤として、a)ヘキサン:酢酸エチル=4:6を4L、b)酢酸エチルを3.5L、c)メタノール2Lを、この順に流速500mL/時間で流した。分画は、溶剤組成を変更する毎に行い、特に酢酸エチルの溶出画分は500mLずつ分画した(従って、酢酸エチルについては、溶出画分数は合計7画分となる)。
上記の各溶出画分について、それぞれ、ODS−80TM、内径4.6mm×長さ25.0cmのカラム(東ソー社製)を用いたHPLC(日立社製、ポンプL−6000、L−6200、検出器L−3000、カラムオーブン655A−52)によって、検出波長210nm、カラム温度40℃、流速1ml/分の条件で、溶離液として水:アセトニトリル=3:7を用いて、純度を確認した。
上記のHPLCによる純度確認において、リテンションタイムが12〜15分で溶出されるピーク面積が、全溶出ピーク面積の80%以上を占めることが確認されたシリカゲルカラム溶出画分を合わせ、同一画分とした。本画分を濃縮乾固後、メタノール−ジクロロメタン系を用いて繰り返し再結晶を行い、柱状結晶3.5gを得た。
この物質の構造は、種々の機器分析データよりWO96/12732号公報に記載された物質と同一であり、上記式(1)で表されるペプチドであることがわかった。
得られたペプチドの機器分析データを以下に示す。
得られたペプチドの機器分析データを以下に示す。
1.MS
・ESI−MS:m/z=913.6(M+H−H2O)+、931.6(M+H)+、953.6(M+Na)+
・HRFAB−MS
Found:m/z=913.5079(M+H−H2O)+、m/z=913、953、931(913がメイン,931は非常に小さい)
Calcd for:C45H69N8O12
m/z=913.5053
・ESI−MS:m/z=913.6(M+H−H2O)+、931.6(M+H)+、953.6(M+Na)+
・HRFAB−MS
Found:m/z=913.5079(M+H−H2O)+、m/z=913、953、931(913がメイン,931は非常に小さい)
Calcd for:C45H69N8O12
m/z=913.5053
2.IR
IR:3,400cm−1:−OH,−NH
2,900cm−1:アルキル基
1,750cm−1:−C(=O),−O−
1,650cm−1:−C(=O),−NH−
IR:3,400cm−1:−OH,−NH
2,900cm−1:アルキル基
1,750cm−1:−C(=O),−O−
1,650cm−1:−C(=O),−NH−
3.アミノ酸分析
加水分解物としてD−セリン、L−アラニンおよびD−N−メチル−フェニルアラニンが認められた。
加水分解物としてD−セリン、L−アラニンおよびD−N−メチル−フェニルアラニンが認められた。
(TGF−βの放出、測定)
タクロリムス一水和物(和光純薬社製)を0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(ナカライテスク社製)水溶液に懸濁して1mg/mLまたは2mg/mLとし、BALB/c系マウス(8週齢、雄性、日本SLC社)に2mL/kg(タクロリムスとして2mg/kgまたは4mg/kg)として経口投与した。また、コントロールとして、タクロリムス一水和物を含まない0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液のみをと同様に投与した。
投与24時間後に、これらのマウスからヘパリン採血した。
これらの血液を、エンドトキシンフリー(抽出液中のエンドトキシン含量が0.5EU/ml未満)のポリエチレンテレフタレート製採血管(内容量5mL、12.6φ×75mm、積水化学社製)に0.5mL添加し、さらに上記ペプチドのメタノール溶液(5μg/mL)を10μL(上記ペプチドとして50ng、最終濃度100ng/mL)添加した。次いで、管径に合うブチルゴム製の栓体で開口部を密栓した。
これを、37℃で3時間インキュベートし、反応終了後、4℃、1600Gで10分間遠心分離して、上清を採取した。ここで得られた上清を検体として、TGF−β1ELISAキット(R&D社製)を用いてTGF−β1量の測定を行った(A)。
また、上記ペプチドのメタノール溶液のかわりに、上記ペプチドを含まないメタノールを使用した以外は、同様の操作を行った場合のTGF−β1量を測定した(B)。
上記により得られたTGF−β1測定値の差(A−B)をTGF−β1放出量として算出した(実施例1〜3)。
本試験は、それぞれ5匹のマウスを用いて行い、TGF−β1放出量の平均値を求めた。
結果を表1に示した。
タクロリムス一水和物(和光純薬社製)を0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(ナカライテスク社製)水溶液に懸濁して1mg/mLまたは2mg/mLとし、BALB/c系マウス(8週齢、雄性、日本SLC社)に2mL/kg(タクロリムスとして2mg/kgまたは4mg/kg)として経口投与した。また、コントロールとして、タクロリムス一水和物を含まない0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液のみをと同様に投与した。
投与24時間後に、これらのマウスからヘパリン採血した。
これらの血液を、エンドトキシンフリー(抽出液中のエンドトキシン含量が0.5EU/ml未満)のポリエチレンテレフタレート製採血管(内容量5mL、12.6φ×75mm、積水化学社製)に0.5mL添加し、さらに上記ペプチドのメタノール溶液(5μg/mL)を10μL(上記ペプチドとして50ng、最終濃度100ng/mL)添加した。次いで、管径に合うブチルゴム製の栓体で開口部を密栓した。
これを、37℃で3時間インキュベートし、反応終了後、4℃、1600Gで10分間遠心分離して、上清を採取した。ここで得られた上清を検体として、TGF−β1ELISAキット(R&D社製)を用いてTGF−β1量の測定を行った(A)。
また、上記ペプチドのメタノール溶液のかわりに、上記ペプチドを含まないメタノールを使用した以外は、同様の操作を行った場合のTGF−β1量を測定した(B)。
上記により得られたTGF−β1測定値の差(A−B)をTGF−β1放出量として算出した(実施例1〜3)。
本試験は、それぞれ5匹のマウスを用いて行い、TGF−β1放出量の平均値を求めた。
結果を表1に示した。
表1から明らかなように、免疫抑制剤であるタクロリムス一水和物を前投与したマウスでは、用量依存的に血液から放出されたTGF−β1量が増加していた。
以上から明らかなように、本発明によるTGF−β放出量を測定することにより、免疫機能を測定することができる。
以上から明らかなように、本発明によるTGF−β放出量を測定することにより、免疫機能を測定することができる。
従来から、免疫機能を測定することは非常に困難であったところ、本発明の方法を用いることにより、従来よりもより正確に免疫機能を測定することが可能となり、結果として個々の患者に最適な治療を行うことができるようになる。即ち、本発明の方法は、疾病の治療等に極めて有用に用いられ得るものである。
Claims (2)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006306969A JP2008118929A (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 免疫機能の測定方法 |
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