JP2008112585A - 燃料電池システム及びそのパージ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エジェクタを備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池の内部に残存する生成水等の不純物を効果的に排出する。
【解決手段】燃料電池2と、燃料電池2に燃料ガスを供給するための供給流路22と、燃料電池2から排出される燃料オフガスを供給流路22に戻すための循環流路23と、供給流路22の上流側のガス圧力を調整して下流側に供給する圧力調整装置32と、供給流路22と循環流路23との接続部に設けられ燃料ガスと燃料オフガスとを合流させて合流ガスを噴射し合流ガスの噴射口の面積が変更可能に構成されてなるエジェクタ24と、を備える燃料電池システム1であって、燃料電池内不純物の排出要求がなされた場合に、圧力調整装置32から供給されるガスの圧力を増大させるとともに、エジェクタ24の噴射口の面積を低減させるように圧力調整装置32及びエジェクタ24を制御する制御手段5を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システム及びそのパージ方法に関する。
反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の電気化学反応により電力を発生させる燃料電池を備えた燃料電池システムにおいては、燃料電池から排出される燃料オフガス中に、発電に寄与しなかった燃料ガスが含まれ得る。このため、現在においては、未反応の燃料ガスを再利用する目的で、エジェクタを用いて燃料オフガスを燃料ガスに合流させる技術が提案されている。エジェクタは、燃料供給流路を経由して燃料供給源から供給された燃料ガスを燃料電池側へ噴射することによりその内部で負圧を発生させ、この負圧により循環流路内の燃料オフガスを吸引して燃料ガスと燃料オフガスとを合流させる装置である。
ところで、燃料電池システムの燃料電池の内部や燃料オフガスの循環流路には、発電に伴って生成された不純物(窒素・一酸化炭素等の不純物ガスや水分)が経時的に蓄積する。このため、現在においては、蓄積した不純物を外部に排出する目的で、循環流路や循環流路に接続した排出流路にパージ弁を設け、このパージ弁の開閉制御を行うことにより、不純物を定期的に排出する技術(パージ技術)が提案されている。近年においては、燃料供給流路のエジェクタ上流側に圧力調整弁を配置し、この圧力調整弁の開度を調整してエジェクタの循環性能を向上させることにより、燃料電池内の不純物を排出して発電状態を回復させる技術(エジェクタを備えた燃料電池システムにおけるパージ技術)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−139877号公報
しかし、エジェクタを備えた燃料電池システムにおいて、前記特許文献1に記載されたような従来の技術(エジェクタ上流側の圧力調整弁の開度を調整する技術)を採用するだけでは、燃料電池の内部に残存する不純物ガスや生成水を充分に排出することができなかった。このため、エジェクタを備えた燃料電池システムにおいては、システムの運転終了後に氷点下等の低温環境下で燃料電池の内部の生成水が凍結して、システムの始動性能が低下してしまうおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、エジェクタを備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池の内部に残存する生成水等の不純物を効果的に排出することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池と、この燃料電池に燃料ガスを供給するための供給流路と、燃料電池から排出される燃料オフガスを供給流路に戻すための循環流路と、供給流路の上流側のガス圧力を調整して下流側に供給する圧力調整装置と、供給流路と循環流路との接続部に設けられ燃料ガスと燃料オフガスとを合流させて合流ガスを噴射し合流ガスの噴射口の面積が変更可能に構成されてなるエジェクタと、を備える燃料電池システムであって、燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、圧力調整装置から燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、エジェクタの噴射口の面積を低減させるように圧力調整装置及びエジェクタを制御する制御手段を備えるものである。
また、本発明に係るパージ方法は、燃料電池と、この燃料電池に燃料ガスを供給するための供給流路と、燃料電池から排出される燃料オフガスを供給流路に戻すための循環流路と、供給流路の上流側のガス圧力を調整して下流側に供給する圧力調整装置と、供給流路と循環流路との接続部に設けられ燃料ガスと燃料オフガスとを合流させて合流ガスを噴射し合流ガスの噴射口の面積が変更可能に構成されてなるエジェクタと、を備える燃料電池システムのパージ方法であって、燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、圧力調整装置から燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、エジェクタの噴射口の面積を低減させる工程を備えるものである。
かかる構成及び方法を採用すると、燃料電池の内部に残存する不純物(発電に寄与しない窒素ガスや生成水等)の排出要求がなされた場合に、圧力調整装置から燃料電池へと供給されるガス圧力を増大させるとともに、エジェクタの噴射口の面積を低減させることができる。従って、エジェクタから燃料電池に向けて噴射される合流ガスの圧力を一気に増大させて供給流路内にガスの脈動を生成し、かつ、循環流路内におけるガスの循環流量を増大させることができるので、燃料電池内の不純物を効果的に排出することが可能となる。
前記燃料電池システムにおいて、循環流路内の不純物を外部に排出するためのパージ弁を採用するとともに、燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、圧力調整装置から燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、エジェクタの噴射口の面積を低減させ、かつ、パージ弁の開放を実現させるように圧力調整装置、エジェクタ及びパージ弁を制御する制御手段を採用することができる。
かかる構成を採用すると、燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、圧力調整装置から燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、エジェクタの噴射口の面積を低減させ、かつ、パージ弁を開放することができる。従って、燃料電池内の不純物を、パージ弁を介して、循環流路の外部に効果的に排出することが可能となる。
また、前記燃料電池システムにおいて、インジェクタを圧力調整装置として採用することができる。
インジェクタとは、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス状態(ガス流量やガス圧力)を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。所定の制御部がインジェクタの弁体を駆動して燃料ガスの噴射時期や噴射時間を制御することにより、燃料ガスの流量や圧力を制御することが可能となる。
本発明によれば、エジェクタを備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池の内部に残存する生成水等の不純物を効果的に排出することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。本実施形態においては、本発明を燃料電池車両の車載発電システムに適用した例について説明することとする。
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。燃料電池システム1は、反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の供給を受けて電力を発生する燃料電池2、燃料電池2に酸化ガスとしての空気を供給する酸化ガス配管系3、燃料電池2に燃料ガスとしての水素ガスを供給する燃料ガス配管系4、システム全体を統合制御する制御部5、外気温を検出する図示されていない温度センサ等を備えている。
燃料電池2は、例えば固体高分子電解質型で構成され、多数の単電池を積層したスタック構造を備えている。燃料電池2の単電池は、イオン交換膜からなる電解質の一方の面に空気極を有し、他方の面に燃料極を有し、さらに空気極及び燃料極を両側から挟みこむように一対のセパレータを有している。一方のセパレータの燃料ガス流路に燃料ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス流路に酸化ガスが供給され、このガス供給により燃料電池2は電力を発生する。
酸化ガス配管系3は、加湿器11により加湿された酸化ガス(空気)を燃料電池2に供給する空気供給流路12と、燃料電池2から排出された酸化オフガスを加湿器11に導く空気排出流路13と、加湿器11から外部へと酸化オフガスを導くための排気流路14と、が設けられている。空気供給流路12には、大気中の酸化ガスを取り込んで加湿器11に圧送するコンプレッサ15が設けられている。
燃料ガス配管系4は、高圧の水素ガスを貯留した水素供給源となる水素タンク21と、水素タンク21の水素ガスを燃料電池2に供給するための水素供給流路22と、燃料電池2から排出された水素オフガスを水素供給流路22に戻すための循環流路23と、水素供給流路22と循環流路23との接続部に設けられ、循環流路23の水素オフガスを水素供給流路22に還流させるエジェクタ24と、燃料電池2の内部や循環流路23の内部に溜まった不純物を排出するための排出流路25と、を備えている。
水素供給流路22は、エジェクタ24の上流側に位置して新たな水素ガスをエジェクタ24に導く流路である主流流路22aと、エジェクタ24の下流側に位置して混合ガスを燃料電池2に導く流路である混合流路22bと、で構成されている。主流流路22aには、水素タンク31から供給される水素ガスの流通を遮断・許容する遮断弁31と、水素ガスの圧力を調整するインジェクタ32と、インジェクタ32の上流側圧力を検出する圧力センサ33と、が設けられている。圧力センサ33で検出された圧力に係る情報は、インジェクタ32の制御に用いられる。
インジェクタ32は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタ32は、水素ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座を備えるとともに、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、このノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に収容保持され噴射孔を開閉する弁体と、を備えている。本実施形態においては、インジェクタ32の弁体は電磁駆動装置であるソレノイドにより駆動され、このソレノイドに給電されるパルス状励磁電流のオン・オフにより、噴射孔の開口面積を2段階又は多段階に切り替えることができるようになっている。制御部5から出力される制御信号によってインジェクタ32のガス噴射時間及びガス噴射時期が制御されることにより、水素ガスの流量及び圧力が高精度に制御される。インジェクタ32は、弁(弁体及び弁座)を電磁駆動力で直接開閉駆動するものであり、その駆動周期が高応答の領域まで制御可能であるため、高い応答性を有する。
インジェクタ32は、その下流に要求されるガス流量を供給するために、インジェクタ32のガス流路に設けられた弁体の開口面積(開度)及び開放時間の少なくとも一方を変更することにより、下流側(燃料電池2側)に供給されるガス流量(又は水素モル濃度)を調整する。なお、インジェクタ32の弁体の開閉によりガス流量が調整されるとともに、インジェクタ32下流に供給されるガス圧力がインジェクタ32上流のガス圧力より減圧されるため、インジェクタ32を調圧弁(減圧弁、レギュレータ)と解釈することもできる。また、本実施形態では、ガス要求に応じて所定の圧力範囲の中で要求圧力に一致するようにインジェクタ32の上流ガス圧の調圧量(減圧量)を変化させることが可能な可変調圧弁と解釈することもできる。インジェクタ32は、水素供給流路22の上流側のガス圧力(ガス流量、水素モル濃度)を調整して下流側に供給するものであり、本発明における圧力調整装置の一実施形態に相当する。
循環流路23の内部の水素オフガスはエジェクタ24によって吸引される。循環流路23には排出流路25が分岐配管されており、排出流路25にはパージ弁34が設けられている。パージ弁34は、制御部5からの指令によって作動することにより、循環流路23内に残存する不純物ガス(窒素や一酸化炭素)や生成水を外部に排出(パージ)するものである。パージ弁34の開放により、循環流路23内の水素オフガス中の不純物ガスの濃度が下がり、循環供給される水素オフガス中の水素濃度が上がる。
エジェクタ24は、水素タンク21から主流流路22aを介して供給された新たな水素ガス(燃料ガス)を燃料電池2側へ噴射することにより負圧を発生させ、燃料電池2の燃料オフガス出口から循環流路23へと排出された水素オフガスをこの負圧により吸引して、新たな水素ガスと水素オフガスとを合流させるものである。合流後の混合ガスは、燃料電池2に供給される。
エジェクタ24は、図2に示すように、その外郭を構成する筐体41を有している。筐体41には、主流流路22aの下流側に接続された1次側の供給口42と、混合流路22bの上流側に接続された2次側の排出口43と、循環流路23の下流側に接続された負圧作用側の吸込口44と、が設けられている。筐体41の内部には、供給口42からの新たな水素ガスを下流側に向かって噴射するノズル45と、ノズル45の下流側に設けられ、ノズル45を通過した新たな水素ガスと水素オフガスとを合流させるディフューザ46と、ノズル45の出口(噴射口)の面積を変更することによりノズル45を通過する新たな水素ガスの流速等を制御する噴射口面積変更手段47と、が構成されている。
ノズル45は、図2に示すように、水素ガスの流れ方向に向かって先細となるように形成されており、ディフューザ46側に開口している先端噴射部51と、先端噴射部51に連なり先端噴射部51に向かって漸次縮径された内周壁を有する絞り部52と、から構成されている。先端噴射部51は、一定の径を有する内周壁を有している。先端噴射部51のディフューザ46側の開口がノズル45の出口(噴射口)となっており、先端噴射部51からディフューザ46に向かって新たな水素ガスが噴出される。そして、先端噴射部51の開口(噴射口)の面積は、噴射口面積変更手段47により変更されるようになっている。絞り部52は、その拡開した側が供給口42に連なっている。
ディフューザ46は、図2に示すように、ノズル45と同軸に形成されており、その上流側部分が吸込口44に連なっている。また、ディフューザ46の下流側部分は排出口43に連なっている。ノズル45からディフューザ46に向けて新たな水素ガスが噴射されると、水素オフガスを吸引するための負圧が発生し、循環流路23の水素オフガスがディフューザ46に吸い込まれる。これにより、ディフューザ46において新たな水素ガスと水素オフガスとが合流し、この混合ガスが、排出口43から混合流路22bへと排出される。
噴射口面積変更手段47は、図2に示すように、先端側がノズル45の内部に臨むニードル61と、ニードル61の基端側を表面62aの中央部に接続したピストン62と、ピストン62を往復移動させるアクチュエータ63と、を有している。
ニードル61は、先端側に向かって先細とされた先端調整部71と、先端調整部71に一体に連なってピストン62に接続された接続部72と、から構成されている。先端調整部71は、円錐や角錐の錐体から構成されてノズル45の内部に臨み、その位置に応じて、ノズル45の出口(噴射口)の面積を変更する。ピストン62は、その外周面を筐体41の内壁面に沿って摺動可能に構成されており、その軸線方向に摺動する。ピストン62の表面62aには、主流流路22aからの新たな水素ガスの圧力が作用する一方、ピストン62の裏面62bには、アクチュエータ63からの押圧力・引張力が作用する。アクチュエータ63は、例えばモータやシリンダ装置からなり、制御部5からの指令によって作動することにより、ピストン62及びニードル61を往復移動させる。アクチュエータ63の駆動によりピストン62が進退すると、ピストン62に接続されたニードル61の先端調整部71がノズル45の先端噴射部51に対して近接・離隔して、ノズル45の出口(噴射口)の面積が変更されることとなる。
制御部5は、車両に設けられた加速用の操作部材(アクセル等)の操作量を検出し、加速要求値(例えばトラクションモータ等の負荷装置からの要求発電量)等の制御情報を受けて、システム内の各種機器の動作を制御する。なお、負荷装置とは、トラクションモータのほかに、燃料電池2を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ15のモータ等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御部、操舵装置、懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明、オーディオ等を含む電力消費装置を総称したものである。
制御部5は、図示していないコンピュータシステムによって構成されている。かかるコンピュータシステムは、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイ等を備えるものであり、ROMに記録された各種制御プログラムをCPUが読み込んで所望の演算を実行することにより、種々の処理や制御を行う。
具体的には、制御部5は、燃料電池システム1の通常運転が終了し、かつ、外気温が所定の閾値(例えば0℃)未満になった場合に、燃料電池2の内部に残存する不純物の排出要求がなされたものとして、不純物を排出するための制御を行う。すなわち、制御部5は、排出要求がなされた場合に、インジェクタ32から燃料電池2へと供給される水素ガスの圧力を増大させるとともに、エジェクタ24の合流ガスの噴射口(ノズル45の出口)の面積を低減させ、かつ、パージ弁34の開放を実現させるようにインジェクタ32、エジェクタ24のアクチュエータ63及びパージ弁34を制御する。制御部5は、本発明における制御手段の一実施形態として機能するものである。
続いて、図3のフローチャートを用いて、本実施形態に係る燃料電池システム1のパージ方法について説明する。
燃料電池システム1の通常運転時においては、水素タンク21から水素ガスが水素供給流路22を介して燃料電池2の燃料極に供給されるとともに、加湿調整された空気が空気供給流路12を介して燃料電池2の酸化極に供給されることにより、発電が行われる。この際、燃料電池2から引き出すべき電力(要求電力)が制御部5で演算され、その発電量に応じた量の水素ガス及び空気が燃料電池2内に供給されるようになっている。本実施形態においては、このような通常運転の後に、燃料電池2内や循環流路23内に蓄積した生成水や不純物ガスを排出(パージ)するための制御を行う。
まず、燃料電池システム1の制御部5は、通常運転が終了したか否かを判定し(運転終了判定工程:S1)、肯定的な判定が得られた場合に、外気温センサを用いて検出した外気温が所定の閾値未満であるか否かを判定する(外気温判定工程:S2)。そして、制御部5は、外気温判定工程S2で外気温が所定の閾値未満であると判定した場合に、燃料電池2の内部に残存する不純物の排出要求信号を送出することにより、インジェクタ32と、エジェクタ24のアクチュエータ63と、パージ弁34と、を制御する。
具体的には、制御部5は、外気温判定工程S2で外気温が所定の閾値未満であると判定した場合に、インジェクタ32を閉じることにより、インジェクタ32の上流側圧力を上昇させる(インジェクタ一時閉鎖工程:S3)とともに、エジェクタ24のアクチュエータ63を制御して、エジェクタ24の合流ガスの噴射口(ノズル45の出口)を開放する(エジェクタ開放工程:S4)。インジェクタ一時閉鎖工程S3においては、インジェクタ32を全閉にしてもよく、インジェクタ32の上流側圧力が上昇する程度にインジェクタ32の開度を低減させてもよい。エジェクタ開放工程S4においては、エジェクタ24の噴射口から噴射される合流ガスの流速を通常運転時よりも高くする目的で、エジェクタ24の噴射口の面積を通常運転時よりも小さい値に設定している。
次いで、制御部5は、圧力センサ33を用いてインジェクタ32の上流側における水素ガスの圧力を検出し、この検出値が所定の閾値以上に上昇しているか否かを判定する(圧力上昇判定工程:S5)。そして、制御部5は、圧力上昇判定工程S5において肯定的な判定が得られた場合に、インジェクタ32を全開にして高圧の水素ガスを燃料電池2へと供給することにより、燃料電池2の内部に残存する不純物を循環流路23へと排出する(パージ工程:S6)。かかるパージ工程S6においてインジェクタ32から供給された高圧の水素ガスは、エジェクタ24の比較的小さい面積の噴射口から噴射される際に加速されて燃料電池2へと供給されるため、燃料電池2の内部に残存する不純物は循環流路23へと効率良く排出される。また、パージ工程S6においては、インジェクタ32の全開制御と同時(ないし所定時間経過後)にパージ弁34を開放して、循環流路23の内部に残存する不純物を外部に排出するようにしている。
パージ工程S6を経た後、制御部5は、圧力センサ33を用いてインジェクタ32の上流側における水素ガスの圧力を検出し、この検出値が所定の閾値未満まで下降しているか否かを判定する(圧力下降判定工程:S7)。そして、制御部5は、圧力下降判定工程S7において肯定的な判定が得られた場合に、インジェクタ32を全閉にすることにより、燃料電池2への水素ガスの供給を遮断する(インジェクタ全閉工程:S8)。以上のインジェクタ一時閉鎖工程S3からインジェクタ全閉工程S8までの工程群を経ることにより、水素供給流路22内にガスの脈動を生成することができ、その脈動により、燃料電池2の内部に残存する不純物を効果的に排出することができる。
インジェクタ全閉工程S8を経た後、制御部5は、通常運転終了時から所定時間が経過したか否かを判定する(経時判定工程:S9)。そして、制御部5は、経時判定工程S9において通常運転終了時から所定時間が経過していないものと判定した場合に、圧力上昇判定工程S5以降の工程(圧力上昇判定工程S5、パージ工程S6、圧力下降判定工程S7及びインジェクタ全閉工程S8)を繰り返し実施する。一方、制御部5は、経時判定工程S9において通常運転終了時から所定時間が経過しているものと判定した場合に、パージ制御を終了する。
以上説明した実施形態に係る燃料電池システム1においては、燃料電池2の内部に残存する不純物(発電に寄与しない窒素ガスや生成水等)の排出要求がなされた場合に、インジェクタ32から燃料電池2へと供給されるガス圧力を増大させるとともに、エジェクタ24の噴射口の面積を低減させることができる。従って、エジェクタ24から燃料電池2に向けて噴射される合流ガスの圧力を一気に増大させて水素供給流路22内にガスの脈動を生成し、かつ、循環流路23内におけるガスの循環流量を増大させることができるので、燃料電池2の内部の不純物を循環流路23へと効果的に排出することができる。この結果、氷点下等の低温環境下において燃料電池2の内部に残存した生成水が凍結して燃料電池システム1の始動性能が低下することを抑制することが可能となる。
また、以上説明した実施形態に係る燃料電池システム1においては、燃料電池2の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、インジェクタ32及びエジェクタ24の制御に同期させてパージ弁34を開放することができる。従って、循環流路23の内部に残存する不純物を、パージ弁34を介して、循環流路23の外部に効果的に排出することができる。
なお、以上の実施形態においては、所定の制御信号(排出要求信号)を受けて作動するアクチュエータ63の駆動力によりピストン62及びニードル61を移動させてノズル45の出口(噴射口)の面積を変更するように構成されたエジェクタ24を採用した例を示したが、エジェクタ24の構成はこれに限られるものではない。すなわち、所定の排出要求がなされた場合に噴射口の面積を変更することができる構成であればいかなる構成を採用してもよい。
また、以上の実施形態においては、エジェクタ開放工程S4においてエジェクタ24の噴射口を絞る(エジェクタ24の噴射口の面積を通常運転時よりも小さい値に設定する)例を示したが、エジェクタ24の噴射口を絞るタイミングはこの例に限られるものではない。例えば、エジェクタ開放工程S4においてはエジェクタ24の噴射口を通常運転時と同等の面積に設定した状態で開放しておき、パージ工程S6におけるインジェクタ32の全開制御と同時にエジェクタ24の噴射口を絞ることもできる。
また、以上の実施形態においては、通常運転終了時から所定時間が経過した場合にパージ制御を終了させた例を示したが、パージ制御の終了判定方法はこれに限るものではない。例えば、通常運転終了時からのインジェクタ32の全開制御の回数を計測し、この回数が所定回数を超えた場合にパージ制御を終了させることもできる。
また、以上の実施形態においては、パージ工程S6においてパージ弁34を開放し、その後パージ制御が終了するまでパージ弁34の開放を持続させた例を示したが、インジェクタ全閉工程S8におけるインジェクタ32の全閉制御と同時にパージ弁34を閉鎖することもできる。
また、以上の実施形態においては、水素供給流路22に遮断弁31を設けた例を示したが、インジェクタ32は、水素ガスの供給を遮断する遮断弁としての機能をも果たすため、必ずしも遮断弁31を設けなくてもよい。また、インジェクタ32は、可変調圧弁としても機能する。従って、インジェクタ32を採用すると遮断弁31やレギュレータを省くことができるため、システムの小型化及び低廉化が可能となる。
また、以上の各実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した例を示したが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)に本発明に係る燃料電池システムを搭載することもできる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用してもよい。
本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 図1に示した燃料電池システムのエジェクタの拡大断面図である。 図1に示す燃料電池システムのパージ方法を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…燃料電池、5…制御部(制御手段)、22…水素供給流路、23…循環流路、24…エジェクタ、25…排出流路、32…インジェクタ(圧力調整装置)、34…パージ弁。

Claims (4)

  1. 燃料電池と、この燃料電池に燃料ガスを供給するための供給流路と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスを前記供給流路に戻すための循環流路と、前記供給流路の上流側のガス圧力を調整して下流側に供給する圧力調整装置と、前記供給流路と前記循環流路との接続部に設けられ燃料ガスと燃料オフガスとを合流させて合流ガスを噴射し合流ガスの噴射口の面積が変更可能に構成されてなるエジェクタと、を備える燃料電池システムであって、
    前記燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、前記圧力調整装置から前記燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、前記エジェクタの前記噴射口の面積を低減させるように前記圧力調整装置及び前記エジェクタを制御する制御手段を備える、
    燃料電池システム。
  2. 前記循環流路内の不純物を外部に排出するためのパージ弁を備え、
    前記制御手段は、前記燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、前記圧力調整装置から前記燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、前記エジェクタの前記噴射口の面積を低減させ、かつ、前記パージ弁の開放を実現させるように前記圧力調整装置、前記エジェクタ及び前記パージ弁を制御するものである、
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記圧力調整装置は、インジェクタである、
    請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 燃料電池と、この燃料電池に燃料ガスを供給するための供給流路と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスを前記供給流路に戻すための循環流路と、前記供給流路の上流側のガス圧力を調整して下流側に供給する圧力調整装置と、前記供給流路と前記循環流路との接続部に設けられ燃料ガスと燃料オフガスとを合流させて合流ガスを噴射し合流ガスの噴射口の面積が変更可能に構成されてなるエジェクタと、を備える燃料電池システムのパージ方法であって、
    前記燃料電池の内部に残存する不純物の排出要求がなされた場合に、前記圧力調整装置から前記燃料電池へと供給されるガスの圧力を増大させるとともに、前記エジェクタの前記噴射口の面積を低減させる工程を備える、
    燃料電池システムのパージ方法。
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