JP2008111784A - 核スピン偏極キセノンガス製造用セル、その製造方法、偏極キセノンガス製造装置及び核磁気共鳴測定システム - Google Patents

核スピン偏極キセノンガス製造用セル、その製造方法、偏極キセノンガス製造装置及び核磁気共鳴測定システム Download PDF

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Abstract

【課題】偏極キセノンガス製造用セルが生成する偏極キセノンガスの偏極率特性について、セルが異なってもその変化を小さく、そのコントロールを容易にできるようにする。
【解決手段】偏極キセノンガス製造用セルは、ルビジウムを使用した光ポンピング法により偏極キセノンガスを生成する場となるセル本体、及び該セル本体に設置され、それぞれバルブに接続されているキセノンガス導入管及びキセノンガス排出管を有する。セル本体の内部には、ルビジウムを貯留するためのルビジウム貯留領域が設けられ、そのルビジウム貯留領域にルビジウムが貯留されている。セル本体には、液化した励起用ルビジウムをセル本体内に導入した後に封じられたルビジウム導入口跡が存在している。また、ルビジウム導入口跡からルビジウム貯留領域まで、液化したルビジウムが流れ下るためのルビジウム用ガイドを形成する。
【選択図】図1A

Description

本発明は、核スピン偏極キセノンガス製造用セル、その製造方法、偏極キセノンガス製造装置及び核磁気共鳴測定システムに関する。
Hや13Cを測定指標として化学物質の構造解析のために核磁気共鳴測定が広く行われている。また、Hを指標として、人体の内部画像を非侵襲的に取得するMRI測定も一般的に行われている。しかし、Hを指標とした場合には、肺臓内の病巣や脳内の血栓を適切に観測することは困難であるとされている。
そこで、近年では、Hに代わる指標として、偏極キセノンが注目されている。これは、偏極キセノンを肺に吸気させて肺胞表面に吸着させれば、核磁気共鳴測定により、その病変の大きさや位置の迅速且つ正確な特定が期待できるからであり、また、血液中にも溶解するため、血栓の大きさや位置の迅速且つ正確な特定が期待できるからである。更に、触媒やナノ粒子の表面や微細孔に吸着させれば、微細孔の大きさやその密度等の情報を取得することが期待できるからである。
このような有用な偏極キセノンガスを調製する有力な方法として、ルビジウムを使用する光ポンピング法が注目されている。この方法は、キセノンガスにルビジウム金属蒸気を混合した気体混合物に、円偏光された励起のためのレーザー光を照射すると共に外部から磁場を印加することにより、ルビジウムを電子スピン偏極度が高い状態とし、この高偏極状態のルビジウムがキセノンと衝突することにより、ルビジウムの高偏極状態がキセノンの核スピン系に移動して偏極キセノンガスを得る方法である(非特許文献1)。
このような方法においては、ルビジウムが酸素との反応性が非常に高く、融点(40℃)が比較的低いという特性を有しているため、また連続的に偏極キセノンガスを生成せしめるために、ルビジウムを格納した特別の構造の偏極キセノンガス製造用セルが使用されている(特許文献1)。この偏極キセノンガス製造用セルは、図6に示す様に、ルビジウムを使用した光ポンピング法により偏極キセノンガスを生成する場となるガラス円筒体であるセル本体1、及びセル本体1に設置され、それぞれバルブV2、V3に接続されているキセノンガス導入管2及びキセノンガス排出管3を有する。更に、セル本体1には、液化した励起用のルビジウムをセル本体1内に導入した後に封じられたルビジウム導入口跡4が存在している。そして、ルビジウム導入口跡4に対向するセル本体1の内面にはルビジウムRbが付着している。
この偏極キセノンガス製造用セルは、図7A及び7Bに示すように製造されている。まず、図7Aに示すように、一端が封じられた管(収容管7)に励起用ルビジウムRbが封入されているガラスアンプル5とガラス被覆磁石6とを収容し、収容管7の他端を、ルビジウムガラス円筒体であるセル本体1のルビジウム導入口4′に接合し、脱気する。次に、ガラス被覆磁石6をルビジウムガラスアンプル5に衝突させてガラスアンプル5を破壊する。次に、図7Bに示すように、破壊されたガラスアンプル中のルビジウムRbを外部から加熱して溶融させ、ルビジウム導入口4′からセル本体1中に滴下させる。すると、セル本体1の内壁に液化したルビジウムRbが衝突し、その一部が周囲に飛び散る。セル本体1の温度がルビジウムRbの融点より低ければ、その状態で固化する。次に、セル本体1のルビジウム導入口4′付近で収容管7を焼き切ると共に封止する。これにより、ルビジウム導入口4′はルビジウム導入口跡4となり、偏極キセノンガス製造用セルが完成する(図6)。
ところで、この偏極キセノンガス製造用セルを実際に使用し続けると、徐々にセル本体1内のルビジウムが減少していくため、それに伴い偏極キセノンガスの偏極率も低下する。このため、この偏極キセノンガス製造用セルは、所定の偏極キセノンガスの偏極率が達成できなくなった時点で、新品に交換される。
Nadim J.Shah et al., NMR Biomed. 2000;13:214-219 特開2004-262668号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法で作成した複数の偏極キセノンガス製造用セルは、同じ実験条件下で使用した場合でも、セル毎に偏極キセノンガスの偏極率が大きく相違し、偏極率のコントロールが難しく、高い偏極率を持ったキセノンガスを取得することに対して再現性のある実験データの取得が困難であった。
本発明は、以上の従来の技術の問題点を解決しようとするものであり、偏極キセノンガス製造用セルであって、セルが相違しても、生成する偏極キセノンガスの偏極率特性に変化が少なく、そのコントロールが容易となる構造の偏極キセノンガス製造用セルを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような偏極キセノンガス製造用セルの製造方法、その偏極キセノンガス製造用セルを用いた偏極キセノンガス製造装置と核磁気共鳴測定システムとを提供する。
本発明者は、偏極キセノンガス製造用セルの相違によって偏極キセノンガスの偏極率特性にばらつきが生ずる原因が、偏極キセノンガス製造用セル本体内壁に付着したルビジウムの二次元的な形状や表面積のばらつきに存在することを知見した。この知見に基づき、上述の本発明の目的を達成するための手段を研究した結果、本発明者は、偏極キセノンガス製造用セル内部において励起用のルビジウムを一定の領域に貯留し、そしてルビジウムをその領域に導くためのルビジウム用ガイドをセル内部に形成すればよいことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ルビジウムを使用した光ポンピング法により偏極キセノンガスを生成する場となるセル本体、及び該セル本体に設置され、それぞれバルブに接続されているキセノンガス導入管及びキセノンガス排出管を有する、偏極キセノンガス製造用セルであって、
該セル本体の内部に、ルビジウムを貯留するためのルビジウム貯留領域が設けられ、該ルビジウム貯留領域にルビジウムが貯留されており、
該セル本体に、液化したルビジウムをセル本体内に導入した後に封じられたルビジウム導入口跡が存在しており、
該ルビジウム導入口跡から該ルビジウム貯留領域まで、液化したルビジウムが流れ下るためのルビジウム用ガイドが形成されていることを特徴とする偏極キセノンガス製造用セルを提供する。
また、本発明は、上述の偏極キセノンガス製造用セルの製造方法であって、一端が封じられ他端が開口している収容管に酸素と接触しないようにルビジウムを入れ、その収容管の他端を、セル本体の封ずる前のルビジウム導入口に接合し、ルビジウムを加熱して液化させ、ルビジウム導入口からルビジウム用ガイドを経てルビジウム貯留領域にまで流れ下らせ、それによりルビジウムをルビジウム貯留領域に貯留することを特徴とする製造方法を提供する。
また、本発明は、上述の偏極キセノンガス製造用セル、
該セル本体の外部から、セル本体内に収容されているキセノンと励起用ルビジウムとに磁場を印加するための磁場印加手段、及び
磁場が印加された該セル本体内のキセノンと励起用ルビジウムとにレーザー光を照射するためのレーザー光照射手段
を有する偏極キセノンガス製造装置を提供する。
加えて、本発明は、上述の偏極キセノンガス製造装置と、核磁気共鳴測定装置と、偏極キセノンガスを測定試料に作用させて核磁気共鳴測定用試料を調製する試料調製部と、該偏極キセノンガス製造装置で製造した偏極キセノンガスを、該試料調製部に導入する偏極キセノンガス導入手段とを有する核磁気共鳴測定システムを提供する。
本発明の偏極キセノンガス製造用セルにおいては、セル本体の内部に、ルビジウムを貯留するためのルビジウム貯留領域が設けられ、該ルビジウム貯留領域にルビジウムが貯留されている。このため、セル本体内におけるルビジウムの二次元的な形状及び表面積を、セルが異なっていたとしても、ルビジウムの量の応じて一定に保持することができる。従って、偏極キセノンガス製造用セルを交換しても、偏極キセノンガスの偏極率のコントロールが容易となる。
また、本発明の偏極キセノンガス製造用セルにおいては、ルビジウム導入口跡からルビジウム貯留領域まで、液化したルビジウムが流れ下るためのルビジウム用ガイドが形成されている。従って、偏極キセノンガス製造用セルを製造する際に、このルビジウム用ガイドに沿って液化したルビジウムをルビジウム貯留領域まで導くことが可能となり、ルビジウムの飛沫が周囲に飛び散ることを防止することができる。
また、本発明の偏極キセノンガス製造装置においては、上述の偏極キセノンガス製造用セルを用いているので、コントロールしつつ安定的に所定の偏極率の偏極キセノンガスを製造することができる。
加えて、本発明の核磁気共鳴測定システムは、上述の偏極キセノンガス製造装置を用いるので、コントロールしつつ安定的に所定の偏極率に調整された偏極キセノンガスを測定試料に作用させることができるので、精度よく且つ短時間で、測定試料の核磁気共鳴測定が可能となる。
図1Aに示すように、本発明の偏極キセノンガス製造用セル100は、ルビジウムを使用した光ポンピング法により偏極キセノンガスを生成する場となるセル本体1、並びにセル本体1に設置され、それぞれバルブV2、V3に接続されているキセノンガス導入管2及びキセノンガス排出管3を有する。セル本体1は、通常、化学実験用の耐熱ガラスや石英ガラスからなる。その外形形状は、通常円筒形であるが、その形状に限定されない。また、本発明の偏極キセノンガス製造用セル100のセル本体1の片側(好ましくはレーザー光照射側)には、図1Bに示すように、セル本体1から突出したリム1′を形成してもよい。リム1′は、セル本体1のリム1′側の温度変化を小さくする作用を有する。従って、リム1′側のセル本体1内壁におけるルビジウムの析出を防止することが容易になるという効果が得られる。
また、本発明の偏極キセノンガス製造用セルは、セル本体1の内部に、ルビジウムを貯留するためのルビジウム貯留領域8が設けられ、そのルビジウム貯留領域8にルビジウムRbが貯留されている。図1Cに、図1Aの点線aaの切断面を示す。セル本体1に、液化した励起用ルビジウムをセル本体1内に導入した後に封じられたルビジウム導入口跡4が存在しており、ルビジウム導入口跡4からルビジウム貯留領域8まで、液化したルビジウムが流れ下るためのルビジウム用ガイドGが形成されている。このルビジウム用ガイドGは、通常、セル本体1の内壁に形成された溝であるが、それに限定されない。管でも、雨樋様ガイドでもよい(図示せず)。
なお、ルビジウム導入口跡4は、セル本体1の外表面と同レベルにあることが好ましいが、セル本体1の外表面から凸状態となっていたり、凹状態となっていてもよい。
セル本体1内側から見たルビジウム貯留領域8は、そこに貯留されたルビジウムが拡がらない形状であることが好ましく、通常、溝又は凹みである(図1Cでは凹み)。また、溝である場合、その溝がセル本体1の内壁に設けられてもよく、図1Dに示すように、環状凸部形状のフランジ9のセル本体1内部側に形成された環状溝であってもよい。なお、環状凸部形状は、セル本体1となる筒状ガラス体の表面の一部を外周に沿って環状にバーナー等を用いて加熱して軟化させ、その状態で筒状ガラス体の内部にガスを吹き込むことにより、その環状の軟化部分を外表面から膨らませることにより形成できる。
また、図1Dではフランジ9をセル本体1の中央部に設けたが、セル本体1のいずれかの端部に設けてもよい(図示せず)。この場合、この溝はルビジウム用ガイドGを兼ねることが好ましい。また、図1Eに示すように、ルビジウム貯留領域8は、セル本体1の外部に突出するように設けてもよい。
ルビジウム貯留領域8が溝である場合には、その溝幅はセル本体1に収容するルビジウム(比重1.532)を球状としたときの直径の3倍以下とすることが好ましく、また、その溝の深さは前記直径の半分以上であることが好ましい。ここで、溝幅を広く、深さを浅くする理由は、溶融したルビジウムは表面張力で球状になろうとするが、重力の影響で扁平になってしまうからである。
また、ルビジウム貯留領域8が凹みである場合には、その凹み体積は、凹み内にルビジウムを確実に収容し、しかもルビジウムが不必要に拡がらないようにするために、セル本体1に収容するルビジウムの体積の好ましくは2〜5倍、より好ましくは2.5〜3.5倍とすることが好ましい。
次に、本発明の偏極キセノンガス製造用セルの製造方法について、図1Aの態様の偏極キセノンガス製造用セルを例に取り具体的に説明する。
まず、図2Aに示す用に、一端が封じられ他端が開口している収容管7に酸素と接触しないようにルビジウムRbを入れ、その収容管7の他端を、セル本体1の封ずる前のルビジウム導入口4′に接合する。このとき、ルビジウムは非常に酸素と反応し易いので、酸素と接触しないようにする。具体的には、ルビジウムが入ったガラスアンプルを開封せずに、そのまま収容管7に入れ、その後、収容管7をルビジウム導入口4′に接合してもよい。この場合、超真空に脱気したチャンバーもしくは脱酸素した不活性ガス(Nなど)雰囲気のチャンバー中で行ってもよいが、大気中で当該接合を行った後に、セル本体1と収容管7の内部を排気し、その状態でルビジウムが入ったガラスアンプルを開封してもよい。開封の手段としては、ガラス中に埋め込まれた磁石(ガラスコート磁石)を、ガラスアンプルを入れた後に更に収容管7に入れることが挙げられる。具体的には、収容管7の前述の接合を行い、セル本体1と収容管7の内部を排気した後、収容管7の外部から操作用磁石を用いてガラスコート磁石をガラスアンプルに衝突させてガラスアンプルを破壊すればよいが、これに限られない。
次に、図2Bに示すように、収容管7中のルビジウムRbを加熱して液化させ、ルビジウム導入口4′からルビジウム用ガイドGを経てルビジウム貯留領域8にまで流れ下らせ、それによりルビジウムRbをルビジウム貯留領域8に貯留する。
次に、図2Cに示すように、ルビジウム導入口4′と収容管7との接合部を溶断して収容管7を切り離すと共に、ルビジウム導入口4′を封じてルビジウム導入口跡4とする。これにより、偏極キセノンガス製造用セルが得られる。
次に、本発明の偏極キセノンガス製造用セルを用いる偏極キセノンガス製造装置について説明する。この偏極キセノンガス製造装置の概略ブロック図を図3に示す。この製造装置200は、偏極キセノンガス製造用セル100と、セル本体の外部から、セル本体内に収容されているキセノンとルビジウムとに磁場を印加するための磁場印加手段20、及び磁場が印加されたセル本体内のキセノンと励起用のルビジウムとにレーザー光を照射するためのレーザー光照射手段Lを有する。また、偏極キセノンガス製造用セル100は、図1A〜1Eに示すように、セル本体にキセノンガス等が導入されると共に外部に偏極キセノンガスが取り出されるようになっている。磁場印加手段20とレーザー光照射手段Lとしては、ルビジウムを使用した光ポンピング法により偏極キセノンガスを生成する従来公知の偏極キセノンガス製造装置で用いられている手段を採用することができる。
図4に偏極キセノンガス製造装置の適用例をその装置の周囲の部材とともに示す。
本発明の偏極キセノンガス製造用セル40の温度を好ましくは50〜200℃、特に好ましくは110〜140℃付近の温度に上昇させる。すると、偏極キセノンガス製造用セル40の中は、キセノンガスとの気液混合ルビジウムとなる。この状態で、磁場をかけてレーザーを照射すれば、数十分程度の時間で、キセノンガスは、核スピンが偏極した偏極キセノンガスとなる。なお、磁場印加手段とレーザー光照射手段は省略する。
次に、バルブV42及びV43を開いて偏極キセノンガスを偏極キセノンガス採取シリンダー49で採取すると同時に、バルブV41を開いて圧力が降下しないようにオートプレッシャーレギュレーター(APC)50で大気が逆流しないように圧力調整しながらキセノンガスを偏極キセノンガス製造用セル40内に導入する。なお、この状態では、エアオペレートバルブAV66、AV61及びAV63とバルブV41、V42及びV43は開いている。
次に、それからバルブV41及びV42を閉じ、偏極キセノンガス製造用セル40全体を液体窒素で冷却して、キセノンを固化させた後、偏極キセノンガス製造用セル40を加熱して上記と同じ操作で偏極キセノンガスを製造する。このようにして、触媒のルビジウムがなくなるまで連続して繰り返し製造することができる。
また、キセノンボンベ51からのキセノンガスは、エアオペレートバルブ(AV61)、オートプレッシャーレギュレーター(APC50)及び第1エアオペレートバルブ(AV63)を通って、偏極キセノンガス製造用セル40のバルブV41から導入されるようになっている。なお、図4の態様では偏極キセノンガスを取り出す圧力を通常1.5気圧程度とすることができるので、その場合には、APC50によってキセノンガスの圧力を同じ1.5気圧程度に調整すればよい。図4において、バルブV41〜V44はガラス素材のバルブで構成されているが、これは偏極キセノンガスが接触するためであり、ガラス素材にしないと偏極キセノンガスがキセノンガスに戻るためである。従って、偏極キセノンガスが接触する配管内の他の部分もガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)から構成することが好ましい。
窒素ガス及びキセノンガスは、それぞれ減圧弁(REG72及びREG71)によって、1.5気圧程度の圧力に落とすようになっている。
上記反応に際しては、偏極キセノンガス製造用セル40内には、空気が全く入らないようにしなければならない。少量の空気が混入してもルビジウム触媒が酸化され、触媒機能を発揮しなくなるからである。空気が混入する危険は、ボンベ交換時と偏極キセノンガス製造用セル40の交換時に生ずる。従って、次のようにして空気がガラスセル内に混入しないようにしている。
キセノンボンベ交換の場合は、ボンベの元バルブ53とエアオペレートバルブ(AV61)とエアオペレートバルブ(AV66)との間の配管内に空気が混入する。この空気を除去するため、真空ポンプ(P)55をオンし、エアオペレートバルブ(AV61)、エアオペレートバルブ(AV62)及び第2エアオペレートバルブ(AV64)を開いて、一次側の配管内を真空引きし、圧力トランスミッタ(PT81)で減圧度を検知しながら、所定時間このまま放置する。なお、第1のエアオペレートバルブ(AV63)を介してキセノンガス供給側を一次側とし、偏極キセノンガス製造用セル40のキセノンガス導入側を二次側としている。
次に、第2エアオペレートバルブ(AV64)を閉じて、一次側の配管内を窒素ガスで加圧する。この一次側の圧力を圧力トランスミッタ(PT81)で検知しながら、予め設定しておいた所定時間放置する。それから一次側配管内を再度真空引きし、一次側配管内を窒素ガスで加圧放置する工程を繰り返す。好ましくは、10回以上繰り返すことによって、ガラスセル内に酸素が混入しないようにすることができる。
ガラスセル交換の時は、第1エアオペレートバルブ(AV63)を介して一次側の配管と連通する二次側のガラスセル入口の手動バルブV1までの配管内と偏極したガスを取り出す手動バルブV42と採取部への流入を制御するバルブV43と真空ポンプへの連通を制御するバルブV44との間の配管内に空気が混入する。
バルブV44と第2エアオペレートバルブ(AV64)(一次側配管と真空ポンプへの連通を制御する)とを開いて、上記空気混入部の配管内を真空引きする。それから一次側と二次側の配管を連結する第1エアオペレートバルブ(AV63)と両ボンベから第1エアオペレートバルブ(AV63)までのバルブを開いて一次側の配管と二次側の配管とを窒素ガスで加圧し、バルブを全て閉じて加圧放置する。それから、第1エアオペレートバルブと第2エアオペレートバルブとを開いて上記と同様に真空引きし、加圧放置する工程を繰り返す。好ましくは、10回以上繰り返すことによって、偏極キセノンガス製造用セル40内に酸素が混入しないようにすることができる。なお、二次側の配管には、圧力トランスミッタ(PT82)が配設されているから、これによって圧力を検知しながら、予め設定した所定時間の真空引きと加圧放置を行っている。中エアオペレートバルブ(AV65)は、一次配管内が加圧状態のときにガスを放出するためのバルブであるが、上記操作では使用していない。
なお、窒素及びキセノンガスはボンベから供給されているが、これは公知の他のガス供給装置であっても差し支えない。
本発明によれば、キセノンガス80〜100%(残りは窒素ガス)という高濃度で反応させることによって偏極キセノンガスが得られるので、偏極させた後に固化するなどの処理を行うことなく高濃度の偏極キセノンガスが得られる。また、配管内の真空引きと加圧放置を多数回行うことによって、偏極キセノンガス製造用セル40への空気の混入を防止することができる。
このような本発明の偏極キセノンガス製造装置を利用した核磁気共鳴測定システムの概略ブロック図を図5に示す。この核磁気共鳴測定システムは、偏極キセノンガス製造装置B1と核磁気共鳴測定装置B2と、偏極キセノンガスを測定試料に作用させて核磁気共鳴測定用試料を調製する試料調製部B3と、偏極キセノンガス製造装置B1で製造した偏極キセノンガスを、試料調製部B3に導入する偏極キセノンガス導入手段B4とを有する。試料調整部B3で偏極キセノンガスが吸着した核磁気共鳴用試料あるいは偏極キセノンガスが溶解した核磁気共鳴測定用試料は、核磁気共鳴測定装置B2で測定する。これにより非常に高感度で短時間での核磁気共鳴測定が可能となる。
偏極キセノンガス製造装置B1で製造した偏極キセノンガスは、偏極キセノンガス導入手段B4により試料調製部B3に導入される。偏極キセノンガス導入手段B4としては、例えば、図4に示すような、偏極キセノンガス採取シリンダー49を使用することができるが、これに限定されず、偏極キセノンガスを試料調製部B3に導入できる種々の手段を採用することができる。
試料調製部B3は、その内部で核磁気共鳴測定されるべき試料(例えば、吸着剤、フィルター、燃料電池基材、触媒、化粧品などの高機能ナノマテリアルあるいは半導体集積回路用低誘電率ポーラス膜等)と偏極キセノンガスとを接触させるためのものである。密閉可能で且つ温度制御可能な容器を使用することができる。
核磁気共鳴測定装置B2としては、公知のNMR装置やMRI装置を使用することができる。
本発明の偏極キセノンガス製造用セルは、セルが相違しても、生成する偏極キセノンガスの偏極率特性の変化を小さくすることができ、しかもそのコントロールが容易となる。
本発明の偏極キセノンガス製造用セルの概略斜視図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの概略斜視図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの概略断面図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの概略斜視図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの概略断面図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの製造工程説明図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの製造工程説明図である。 本発明の偏極キセノンガス製造用セルの製造工程説明図である。 本発明の偏極キセノンガス製造装置の概略ブロック図である。 本発明の偏極キセノンガス製造装置の適用例の説明図である。 本発明の核磁気共鳴測定システムの概略ブロック図である。 従来の偏極キセノンガス製造用セルの概略斜視図である。 従来の偏極キセノンガス製造用セルの製造工程説明図である。 従来の偏極キセノンガス製造用セルの製造工程説明図である。
符号の説明
1 セル本体
1′ リム
2 キセノンガス導入管
3 キセノンガス排出管
4 ルビジウム導入口跡
4′ ルビジウム導入口
7 収容管
8 ルビジウム貯留領域
9 フランジ
100 偏極キセノンガス製造用セル
G ルビジウム用ガイド
V2、V3 バルブ
Rb ルビジウム

Claims (9)

  1. ルビジウムを使用した光ポンピング法により偏極キセノンガスを生成する場となるセル本体、並びに該セル本体に設置され、それぞれバルブに接続されているキセノンガス導入管及びキセノンガス排出管を有する、偏極キセノンガス製造用セルであって、
    該セル本体の内部に、ルビジウムを貯留するためのルビジウム貯留領域が設けられ、該ルビジウム貯留領域にルビジウムが貯留されており、
    該セル本体に、液化したルビジウムをセル本体内に導入した後に封じられたルビジウム導入口跡が存在しており、
    該ルビジウム導入口跡から該ルビジウム貯留領域まで、液化したルビジウムが流れ下るためのルビジウム用ガイドが形成されていることを特徴とする偏極キセノンガス製造用セル。
  2. セル本体内側から見た該ルビジウム貯留領域が溝又は凹みである請求項1記載の偏極キセノンガス製造用セル。
  3. 該溝が、セル本体に設けられたフランジのセル本体内部側に形成された溝である請求項1又は2記載の偏極キセノンガス製造用セル。
  4. 該溝が、ルビジウム用ガイドを兼ねている請求項3記載の偏極キセノンガス製造用セル。
  5. 請求項1記載の偏極キセノンガス製造用セルの製造方法であって、一端が封じられ他端が開口している収容管に酸素と接触しないようにルビジウムを入れ、その収容管の他端を、セル本体の封ずる前のルビジウム導入口に接合し、ルビジウムを加熱して液化させ、ルビジウム導入口からルビジウム用ガイドを経てルビジウム貯留領域にまで流れ下らせ、それによりルビジウムをルビジウム貯留領域に貯留することを特徴とする製造方法。
  6. ルビジウムをルビジウム貯留領域に貯留した後、ルビジウム導入口を封じてルビジウム導入口跡とし、それと共に収容管を除去する請求項5記載の製造方法。
  7. 一端が封じられ他端が開口している収容管にルビジウムを入れる際に、ルビジウムが入ったガラスアンプルを収容管に入れ、その収容管の他端をセル本体の封ずる前のルビジウム導入口に接合した後でガラスアンプルを破壊する請求項5又は6記載の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の偏極キセノンガス製造用セル、
    該セル本体の外部から、セル本体内に収容されているキセノンとルビジウムとに磁場を印加するための磁場印加手段、及び
    磁場が印加された該セル本体内のキセノンとルビジウムとにレーザー光を照射するためのレーザー光照射手段
    を有する偏極キセノンガス製造装置。
  9. 請求項8記載の偏極キセノンガス製造装置と、核磁気共鳴測定装置と、偏極キセノンガスを測定試料に作用させて核磁気共鳴測定用試料を調製する試料調製部と、該偏極キセノンガス製造装置で製造した偏極キセノンガスを、該試料調製部に導入する偏極キセノンガス導入手段とを有する核磁気共鳴測定システム。
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