JP2008111192A - エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステンレス鋼組織を、回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織の調質圧延金属組織から構成する。
【選択図】図1
Description
さらに具体的な本発明の目的は、特殊な成分の材料を使用することなく、一般的な成分のSUS301Lステンレス鋼(低CのAISI301にほぼ相当)を用いて従来材よりも優れた特性、すなわち高疲労強度とすぐれた耐へたり性を兼ね備えたエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法を提供することである。
本発明の対象とする鋼種は、オーステナイト系ステンレス鋼、特にSUS301(AISI301)に相当する鋼種であるが、好ましくは、質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有する鋼種である。
また、本発明によれば、一般的に知られているSUS301L相当の成分を持つステンレス鋼を用いて、高疲労強度と耐へたり性に優れたエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法が提供される。
本発明において使用するステンレス鋼は一般には、JISG4305に規定されたSUS301Lを用いればよい。同様の規定は(米国規格、あるいはヨーロッパ規格のEN10088−1)に規定されている。
Cはオーステナイト生成元素で、高温で生成するδフェライトの抑制、冷間加工で誘発されたマルテンサイト相の強化に極めて有効である。ただし、あまりにC量が高い場合には、加工硬化が著しくなり冷間圧延で目的とする板厚に調整するのが難しくなり製造性が悪化する。また調質圧延に先立って行う焼鈍によっては炭化物の析出を伴い耐食性が劣化するおそれがある。そのため、好ましくはCの範囲は0.03%以下とする。下限は特に規定されないが、所定強度の確保のために、0.01%以上が望ましい。
Mnは、オーステナイト生成元素であって、通常2.0%程度含有されることから本発明においてもMn2.0%以下とする。
このように本発明によれば、従来材に比べ高疲労強度かつ耐へたり性に優れるステンレス鋼の製造を可能にする。
本発明に用いられるステンレス鋼の組織状態は、溶体化処理状態で実質的にはオーステナイト組織を呈する。この鋼を調質圧延前の仕上げ焼鈍に先立つ圧延、つまり最終中間圧延で圧延率40%以上、好ましくは40〜70%の冷間圧延を施し、これにより、調質圧延前の仕上げ焼鈍において、比較的低温度焼鈍、つまり700℃以上800℃以下または700℃以上900℃以下の温度範囲で、仕上げ焼鈍を行うことで、回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織状態とし、次いで行う調質圧延で40%以上の冷間加工を施すことにより、十分な特性を得ることができる。
ここで、特に調質圧延前の仕上げ焼鈍を700℃以上800℃以下または700℃以上900℃以下としているが、これは700℃未満では前加工の影響を低減するための回復に長時間を要し工業的でないこと、さらに800℃を超えると再結晶組織を開始し、また900℃を超える温度ではほとんど全て再結晶組織となってしまうためである。
このように、本発明によれば調質圧延に先立って行う仕上げ焼鈍によって、金属組織を回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織とするが、その理由は、前加工の影響の残存により引き続いて行う調質圧延後の材料に加えられる加工歪を大きくし、それにより結晶粒に加えられる変形量を大きくし、結晶粒界の影響をできるだけ小さくしてビード加工後の疲労強度の改善を図るためであり、また、より高硬度の材料を得て、ビード部の耐へたり性の改善を図るためである。
上記回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織は、CuKα線を用いたX線回折ピーク半価幅の測定値が、母相のオーステナイト相の結晶方位(220)、(311)において0.15°以上0.35°以下となるような結晶組織である。
仕上げ焼鈍に引き続いて調質圧延を行うが、前加工の影響の残存により圧延率は40%以上で充分であり、疲労強度の大幅な改善と高強度を得ることができる。本発明においてこの調質圧延の圧延率は40%以上の範囲で種々変化させることができるが、従来鋼と同様の圧延率でも、より高疲労強度と耐へたり性に優れた材料を得ることができる。
なお、本発明が対象とする準安定オーステナイト系ステンレス鋼は、固溶状態でオーステナイト相を呈するので、仕上げ焼鈍の前の最終中間圧延より前の工程は従来材と同じ要領で製造することができる。
表2は調質圧延前の仕上げ焼鈍に先立つ冷間圧延の圧延率、焼鈍条件、および調質圧延率をそれぞれ変えたときの機械的性質、X線回折ピーク半価幅、疲労強度、へたり性を示したものである。
図1は、疲労試験および耐へたり試験の試験片、特にビード形状を示す略式斜視図である。
本例ではビード形状は幅:2.5mm、高さ:0.25mmであり、このビード部を形成された試験片を、疲労試験の場合には、図2に示すように、上下から繰り返し荷重をかけ、106回圧縮・除荷を繰り返した後に、試験片にクラックもしくは割れが発生するか否かで疲労強度を評価する。変化のないものを○で、クラック発生あるいは破断したものを×で示す。
また、仕上げ焼鈍後に得られた材料の金属組織の状態を明らかにするため、仕上げ焼鈍後の材料についてCuKα線を使用してX線回折による半価幅測定を行った。
Claims (5)
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなり、CuKα線を用いて測定したX線回折ピークの半価幅が、オーステナイト母相の結晶方位(220)、(311)で、0.15°以上0.35°以下である金属組織を有することを特徴とする、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼。
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなり、その金属組織が回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織の調質圧延金属組織から成ることを特徴とする、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼。
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなり、焼鈍により回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織としてから調質圧延を行って得たマルテンサイト含有金属組織から成る、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼。
- 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなるステンレス鋼に、熱間圧延工程後に冷間圧延および焼鈍を繰り返し、次いで調質圧延するステンレス鋼板の製造方法であって、仕上げ焼鈍前に行う冷間圧延の圧延率を40%以上とし、続いて行う仕上げ焼鈍を、金属組織が回復未再結晶組織となる均熱時間で、かつ700℃以上800℃以下の温度範囲で行うことを特徴とする、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼板の製造方法。
- 前記仕上げ焼鈍を、金属組織が回復未再結晶組織もしくは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織となる均熱時間で、かつ700℃以上900℃以下の温度範囲で行うことを特徴とする請求項4記載のステンレス鋼の製造方法。
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