JP2008111192A - エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法 - Google Patents

エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SUS301Lステンレス鋼(低CのAISI301にほぼ相当)を用いて従来材よりも優れた特性、すなわち高疲労強度とすぐれた耐へたり性を兼ね備えたステンレス鋼とその製造方法を提供する。
【解決手段】ステンレス鋼組織を、回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織の調質圧延金属組織から構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法に関する。
従来、エンジン(機関)、例えば車両用あるいは船舶用のエンジンなど温度の上昇する装置で使用されるガスケット材としてはアスベスト等が使用されてきた。近年に至り、エンジンの高性能化や法律によるアスベストの使用を規制する動きに対応して金属製のガスケット、つまりメタルガスケットが使用されつつある。
エンジン用のメタルガスケットは接合面の気密性を維持するのに必要な諸特性を具備していなければならない。例えば自動車やオートバイ等のエンジンに用いるメタルガスケットは、燃焼ガス雰囲気下で繰り返し加えられるエンジン特有の変動応力に耐える性能を有している必要がある。
また、類似の用途をもったシール材という観点から見れば、アスベストを包み込んだOリングでも、上述のような法律によるアスベストの使用を規制する動きに対応して、メタルパッキンが使用されつつある。この場合には、帯状の金属コイルを円筒状に巻き、さらにドーナツ型のOリングに成形し、メタルパッキンとする。
従来、これらのメタルガスケットやメタルパッキン等の材料としては、冷間加工によって簡単に高強度が得られる加工硬化型の準安定オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS301(AISI301)系鋼が主に用いられている。
メタルガスケットでは、板厚0.1〜0.4mm程度の薄板を素材とし、例えばエンジンヘッドに用いるガスケットの場合、燃焼室の周囲、および水孔、油孔の周囲に沿ってビードを成形し、このビードを締め付けたときに発生する高面圧にてガス、水、油をシールするのが一般である。また、メタルパッキンでは帯状のコイルを円筒状に巻き、さらにドーナツ型にしてOリングとして接合面の気密性を維持するのに用いられる。
なお、本明細書において、以下、かかるメタルガスケットおよびメタルパッキンを便宜上単に「ガスケット」または「エンジン用ガスケット」と総称し、それに用いるステンレス鋼を「エンジンガスケット用ステンレス鋼」と称する。
従来にあっても、エンジン用ガスケット材に関しては、例えば、特許文献1(特開平4−214841号公報)、特許文献2(特開平5−279802号公報)、特許文献3(特開平5−117813号公報)が公開されている。
これらの公報に開示されたエンジンガスケット用ステンレス鋼は、いずれも、最終中間圧延を50%以上の圧延率で行うことにより後続の低温・短時間の仕上げ焼鈍により平均結晶粒径10μm以下の微細均一再結晶粒として所定の特性を得ようとするものである。
特開平4−214841号公報 特開平5−279802号公報 特開平5−117813号公報
すなわち、これらの従来技術は、SUS301相当の成分を持つオーステナイト系ステンレス鋼を用いて、可及的低温で焼鈍を行って再結晶を引き起こすことにより結晶粒を微細化することを特徴とする、成形加工性、疲労特性に優れるステンレス鋼の製造方法に関するものである。
しかしながら、現在ではエンジンの性能は日々向上しており、エンジンの高出力化に伴いガスケット材に要求される性能レベルが高くなっている。ところが、そのようなエンジンの高出力化に十分耐えうる疲労強度をもつ材料を得ることが難しいこと、また、低Cとした場合には、最終製品の硬度が不足しがちであり、長時間応力負荷時のビード加工部の形状維持性(以下、耐へたり性と呼ぶ)が十分でないこと、等の問題がある。
ここに、本発明の目的は、今日のように高性能化されたエンジンに使用するガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法を提供することである。
さらに具体的な本発明の目的は、特殊な成分の材料を使用することなく、一般的な成分のSUS301Lステンレス鋼(低CのAISI301にほぼ相当)を用いて従来材よりも優れた特性、すなわち高疲労強度とすぐれた耐へたり性を兼ね備えたエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法を提供することである。
例えば、自動車のエンジン等に使用されるメタルガスケットは、ビード加工を施される。そしてエンジンブロックに装着され、エンジンの動作(シリンダー内での爆発)に伴い繰り返し応力が付与されるため、それに耐える十分な疲労強度が必要とされ、またそのような変動応力下でビード形状を維持しガスシール性を保持すること、すなわち耐へたり性が要求される。
このような条件に対応できる鋼としてSUS301に相当するステンレス鋼が挙げられ、前述のようにこれらが現在一般的に使用されているが、そのような従来技術に見られる問題には次のようなものがある。
(1)SUS301のような高Cの場合(C:0.15%以下)、高硬度とし、耐へたり性を向上させることは比較的容易であるが、硬度を上げるほどエンジン用ガスケットとするためにビード加工を施すと疲労強度が低下してしまい、疲労強度と耐へたり性を両立させることが難しい。また製造過程の問題としては焼鈍により炭化物が析出する可能性があり、耐食性の劣化が懸念される。
(2)例えばC:0.03%以下と低Cの場合、耐食性に優れており、疲労強度はある程度高くすることは可能であるが十分な硬度を得ることは難しい。そのため十分な耐へたり性を得ることが難しく、ガスシール性の低下が懸念される。
(3)エンジンの高出力化により更なる高疲労強度および耐へたり性が求められているが、SUS301系鋼を使用した従来技術では両者を同時に満足することが難しく、現状では今以上の高性能化が困難である。
ここに、本発明者らは、調質圧延前の仕上げ焼鈍で金属組織を、前加工の影響を低減し、かつ再結晶が起こる以前の回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織としてから調質圧延することで、低Cであっても硬度を確保できることを知り、また、前加工の影響の残存により、従来法に比べて同一の加工率での調質圧延後に材料に加えられた加工歪を大きくし、結晶粒に加えられる変形量を大きくすることで、疲労強度に及ぼす組織中の結晶粒界の影響を小さくすることができることを知り、これらの相乗効果によって従来材にくらべ格段の疲労強度の向上が可能となることを知った。
ここに、本発明は、回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織の調質圧延金属組織から成ることを特徴とするエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼である。すなわち、本発明にかかるエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼は、焼鈍により回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織としてから調質圧延を行って得たマルテンサイト含有組織からなる。
このように本発明にかかるエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼は、仕上げ焼鈍により得られた回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織に由来するものであり、このときの金属組織の結晶構造は、CuKα線を用いて測定したX線回折ピークの半価幅が、オーステナイト母相の結晶方位(220)、(311)で、0.15°以上0.35°以下である。
別の面からは、本発明は、熱間圧延工程後に冷間圧延および焼鈍を繰り返し、次いで調質圧延するステンレス鋼板の製造方法であって、仕上げ焼鈍前に行う冷間圧延の圧延率を40%以上とし、続いて行う仕上げ焼鈍を、金属組織が回復未再結晶組織となる均熱時間で700℃以800℃以下の温度範囲で行うことを特徴とするエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼の製造方法である。
このときの仕上げ焼鈍を700℃以上900℃以下の温度範囲で行うことで、金属組織を回復未再結晶組織もしくは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織とすることもできる。
仕上げ焼鈍後の調質圧延の圧延率を40%以上とすることで、マルテンサイトの生成を促進させるようにしてもよい。
本発明の対象とする鋼種は、オーステナイト系ステンレス鋼、特にSUS301(AISI301)に相当する鋼種であるが、好ましくは、質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有する鋼種である。
このように、本発明によれば、従来技術では成し得なかった低C材での高硬度化を可能にし、耐へたり性の向上を図ることができる。
また、本発明によれば、一般的に知られているSUS301L相当の成分を持つステンレス鋼を用いて、高疲労強度と耐へたり性に優れたエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼とその製造方法が提供される。
本発明によれば疲労強度と耐へたり性に優れたエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼が得られる。本発明にかかる製造方法は、調質圧延前の仕上げ焼鈍後の金属組織を前加工の影響が低減し、かつ再結晶が起こる以前の回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織とすることにより、従来のメタルガスケット用材であるSUS301系鋼を用いた他の製造法の場合に比べ、高疲労強度と耐へたり性とを兼ね備えた材料の製造を可能とした。そしてこのような特性を持つ本発明にかかるエンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼の製造方法は、一般によく知られた成分のステンレス鋼を用いて従来の設備を使用して実施することができ、調質圧延前の仕上げ焼鈍も連続焼鈍ラインで容易に行うことが可能であり、経済性に優れた製造方法である。
本発明において使用されるステンレス鋼の好適組成例の限定理由の概要を以下に述べる。
本発明において使用するステンレス鋼は一般には、JISG4305に規定されたSUS301Lを用いればよい。同様の規定は(米国規格、あるいはヨーロッパ規格のEN10088−1)に規定されている。
本発明の好適態様にあっては、かかるステンレス鋼の組成は次のように規定される。
Cはオーステナイト生成元素で、高温で生成するδフェライトの抑制、冷間加工で誘発されたマルテンサイト相の強化に極めて有効である。ただし、あまりにC量が高い場合には、加工硬化が著しくなり冷間圧延で目的とする板厚に調整するのが難しくなり製造性が悪化する。また調質圧延に先立って行う焼鈍によっては炭化物の析出を伴い耐食性が劣化するおそれがある。そのため、好ましくはCの範囲は0.03%以下とする。下限は特に規定されないが、所定強度の確保のために、0.01%以上が望ましい。
Siは、脱酸材として添加され、通常、オーステナイト系ステンレス鋼では1.0%以下程度含有されることから、本発明においてもSi1.0%以下とする。
Mnは、オーステナイト生成元素であって、通常2.0%程度含有されることから本発明においてもMn2.0%以下とする。
Crは所要の耐食性を確保する上で必須の成分である。意図する耐食性および耐熱性を付与するためには少なくとも13%以上とする。しかし、Crはフェライト生成元素であるため、高くしすぎると高温でδフェライトが多量に生成してしまう。これに対し、δフェライト相抑制のためにオーステナイト相生成元素を多く添加すると室温でのオーステナイト相が安定し、冷間加工後に高強度が得られなくなる。これらの観点から、Crの範囲は16.0%以上18.0%以下が望ましい。
Niは高温および室温でのオーステナイト相を得るために必須の成分であるが、本発明の場合、室温で準安定オーステナイトとなり、調質圧延でのマルテンサイト変態を伴う加工硬化により高強度化が得られるようにする。
Niを6.0%より低くすると高温で多量のδフェライトが生成し、かつ加工誘起マルテンサイト相が過剰に生成しやすくなり、硬化がすすみ、伸びが低下する。一方、Niが8.0%を超えるとオーステナイト相が安定となり、加工誘起マルテンサイト相が生成しにくくなるため、十分な硬度を得ることが難しい。
このためNi量は6.0%以上8.0%以下とする。さらに耐久性および耐熱性の面からも6.0%以上のNiの添加は有利である。しかし、8%を超えて添加してもコスト上昇となると共にその効果も飽和状態となる。この面からもNiは6.0%以上8.0%以下とする。
NはCと同様にオーステナイト生成元素であるとともに、オーステナイト相およびマルテンサイト相を硬化するのに有効な元素である。また、Cに比べ析出物を形成しにくいため、成形性、疲労強度の面からもN添加は有効である。また、焼鈍時の再結晶の核として働き、組織の整粒化に効果がある。しかし、多量に添加するとブローホールの原因となるとともに熱間加工時の耳割れを誘発しやすくなる。したがって、本発明においては好ましくは0.20%以下添加する。その下限は特に制限はないが、所期の効果を実現するためには、0.10%以上とすることが望ましい。
本発明にかかるステンレス鋼の製造方法では、これらの条件に合致する鋼種として、一般によく知られたJISG4305に定められたSUS301Lに相当するステンレス鋼が該当するが、その場合、SUS301LについてJISG4305に規定されている以外の添加元素、例えばMo、Cu、Nb等をある程度含有していてもよい。
本発明は、調質圧延に先立って行う焼鈍において金属組織を再結晶が起こる以前の回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶粒との混合組織の状態とし、次いで調質圧延で結晶粒の変形量を上げることで、疲労強度に及ぼす結晶粒界の影響を極力少なくすることにより、疲労強度はもちろんのこと、高硬度化による加工後の形状維持性(耐ヘタリ性)を著しく向上することができる。
本発明の場合、一般に行われている時効処理は特に必要としないが、時効処理を行えばさらに高強度材が得られることは言うまでもない。
このように本発明によれば、従来材に比べ高疲労強度かつ耐へたり性に優れるステンレス鋼の製造を可能にする。
ここで、本発明にかかる製造方法の限定理由をさらに具体的に説明する。
本発明に用いられるステンレス鋼の組織状態は、溶体化処理状態で実質的にはオーステナイト組織を呈する。この鋼を調質圧延前の仕上げ焼鈍に先立つ圧延、つまり最終中間圧延で圧延率40%以上、好ましくは40〜70%の冷間圧延を施し、これにより、調質圧延前の仕上げ焼鈍において、比較的低温度焼鈍、つまり700℃以上800℃以下または700℃以上900℃以下の温度範囲で、仕上げ焼鈍を行うことで、回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織状態とし、次いで行う調質圧延で40%以上の冷間加工を施すことにより、十分な特性を得ることができる。
このときの仕上げ焼鈍時の均熱時間は好ましくは0〜60秒であり、60秒を越えるとすべてが再結晶組織となる可能性がある。
ここで、特に調質圧延前の仕上げ焼鈍を700℃以上800℃以下または700℃以上900℃以下としているが、これは700℃未満では前加工の影響を低減するための回復に長時間を要し工業的でないこと、さらに800℃を超えると再結晶組織を開始し、また900℃を超える温度ではほとんど全て再結晶組織となってしまうためである。
回復未再結晶粒の割合は、特に限定されないが、必要性能を得るためには50%以上存在することが望まれる。
このように、本発明によれば調質圧延に先立って行う仕上げ焼鈍によって、金属組織を回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織とするが、その理由は、前加工の影響の残存により引き続いて行う調質圧延後の材料に加えられる加工歪を大きくし、それにより結晶粒に加えられる変形量を大きくし、結晶粒界の影響をできるだけ小さくしてビード加工後の疲労強度の改善を図るためであり、また、より高硬度の材料を得て、ビード部の耐へたり性の改善を図るためである。
この仕上げ焼鈍は工業規模での連続焼鈍ラインで実施することができる。
上記回復未再結晶組織もしくは再結晶粒と回復未再結晶組織との混合組織は、CuKα線を用いたX線回折ピーク半価幅の測定値が、母相のオーステナイト相の結晶方位(220)、(311)において0.15°以上0.35°以下となるような結晶組織である。
このとき得られる金属組織を、全て回復未再結晶組織状態にするには、仕上げ焼鈍の焼鈍温度を700〜800℃とすればよい。
仕上げ焼鈍に引き続いて調質圧延を行うが、前加工の影響の残存により圧延率は40%以上で充分であり、疲労強度の大幅な改善と高強度を得ることができる。本発明においてこの調質圧延の圧延率は40%以上の範囲で種々変化させることができるが、従来鋼と同様の圧延率でも、より高疲労強度と耐へたり性に優れた材料を得ることができる。
このように本発明によれば、一般に強度向上のため行われている時効処理は必要としないが、時効処理を行えばより高性能な材料が得られることは言うまでもない。
なお、本発明が対象とする準安定オーステナイト系ステンレス鋼は、固溶状態でオーステナイト相を呈するので、仕上げ焼鈍の前の最終中間圧延より前の工程は従来材と同じ要領で製造することができる。
次に、実施例によって本発明の効果をさらに具体的に示す。
表1は本例で用いたステンレス鋼の成分を示したものである。
表2は調質圧延前の仕上げ焼鈍に先立つ冷間圧延の圧延率、焼鈍条件、および調質圧延率をそれぞれ変えたときの機械的性質、X線回折ピーク半価幅、疲労強度、へたり性を示したものである。
表1に示す各種鋼、つまり本発明鋼(1〜3)、比較鋼(4〜6)を通常の大気溶解炉で溶製し、熱間圧延を施した後、冷間圧延、焼鈍を行い、次いで調質圧延により板厚を0.20mmとした。これをサンプルとして採取した。仕上げ焼鈍はいずれも設定温度到達後に10秒保持(均熱時間)で行った。なお、各鋼についての仕上げ焼鈍に先立つ最終中間圧延の圧延率、焼鈍条件、および調質圧延率の詳細は表2に示した。
採取したサンプルについて、引張試験、硬さ試験に供して機械的性質を測定すると共に、疲労試験、へたり性試験を実施して疲労強度および耐へたり性を評価した。
図1は、疲労試験および耐へたり試験の試験片、特にビード形状を示す略式斜視図である。
図2は、疲労試験および耐へたり試験における圧縮−除荷の繰り返しの要領を示す説明図である。
本例ではビード形状は幅:2.5mm、高さ:0.25mmであり、このビード部を形成された試験片を、疲労試験の場合には、図2に示すように、上下から繰り返し荷重をかけ、10回圧縮・除荷を繰り返した後に、試験片にクラックもしくは割れが発生するか否かで疲労強度を評価する。変化のないものを○で、クラック発生あるいは破断したものを×で示す。
同様に、耐へたり試験の場合には、10回圧縮・除荷を繰り返した後に、残存ビード高さhと、初期ビード高さhの比(h/h)が0.5以上のものを良、0.5未満のものを不良と判定し、それぞれ○、×で示す。
成形性は、図1に示すビード加工を施したときに、良好なものを○、クラック発生・破断のものを×とした。
また、仕上げ焼鈍後に得られた材料の金属組織の状態を明らかにするため、仕上げ焼鈍後の材料についてCuKα線を使用してX線回折による半価幅測定を行った。
結果は、併せて表2に示す。
Figure 2008111192
Figure 2008111192
疲労試験および耐へたり試験に供したサンプルのビード形状の説明図である。 疲労試験および耐へたり試験の要領の説明図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなり、CuKα線を用いて測定したX線回折ピークの半価幅が、オーステナイト母相の結晶方位(220)、(311)で、0.15°以上0.35°以下である金属組織を有することを特徴とする、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼。
  2. 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなり、その金属組織が回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織の調質圧延金属組織から成ることを特徴とする、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼。
  3. 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなり、焼鈍により回復未再結晶組織あるいは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織としてから調質圧延を行って得たマルテンサイト含有金属組織から成る、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼。
  4. 質量%で、C:0.03%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:16.0%以上18.0%以下、Ni:6.0%以上8.0%以下、N:0.20%以下を含有し、残部が鉄および不純物からなるステンレス鋼に、熱間圧延工程後に冷間圧延および焼鈍を繰り返し、次いで調質圧延するステンレス鋼板の製造方法であって、仕上げ焼鈍前に行う冷間圧延の圧延率を40%以上とし、続いて行う仕上げ焼鈍を、金属組織が回復未再結晶組織となる均熱時間で、かつ700℃以上800℃以下の温度範囲で行うことを特徴とする、エンジンガスケット用の用途を除くステンレス鋼板の製造方法。
  5. 前記仕上げ焼鈍を、金属組織が回復未再結晶組織もしくは回復未再結晶組織と再結晶組織の混合組織となる均熱時間で、かつ700℃以上900℃以下の温度範囲で行うことを特徴とする請求項4記載のステンレス鋼の製造方法。
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