JP2008111058A - コア・シェル構造体、中空シェル構造体、および、それらの製造方法 - Google Patents

コア・シェル構造体、中空シェル構造体、および、それらの製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 アニオン交換能を有する層状複水酸化物をビルディングブロッグ材として使用する、球体物質を保持した、または、内部に球状空間を有する構造体、および、その製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明によるコア・シェル構造体は、球状コアと、球状コア上に交互に積層された複水酸化物ナノシートとアニオン性高分子層とを含むシェルであって、複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5である、シェルとを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コア・シェル構造体、中空シェル構造体、および、それらの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、球体物質を保持したコア・シェル構造体、内部に球状空間を有する中空シェル構造体、および、それらの製造方法に関する。
近年、イオン交換性を示す層状物質を単層剥離することによって2次元結晶であるナノシートを合成する研究が盛んである。本研究者らは、最近、上記層状物質の中でも、層状複水酸化物の単層剥離に成功している(例えば、特許文献1を参照。)。
また、金属層状酸化物を剥離して得られる極薄2次元結晶であるナノシートをビルディングブロッグとして新規な構造体を合成し、電子・光学材料、複合材料、触媒、医薬品等への利用が期待されている。本研究者らは、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ニオブ、アルミノシリケート等の酸化物ナノシートをポリマービーズにコーティングしたコア・シェル構造体、および、中空酸化物シェル構造体の開発に成功している(例えば、特許文献2を参照。)。
上記特許文献1に記載される剥離された層状複水酸化物をビルディングブロッグとした構造体は開発されていない。また、上記特許文献2に示される酸化物ナノシートからなる構造体は、カチオン交換能を有しているもののみで、アニオン交換能を有する構造体の開発が望まれている。
特願2005−214340号明細書 特開2004−130429号公報
したがって、本発明の目的は、アニオン交換能を有する層状複水酸化物をビルディングブロッグ材として使用する、球体物質を保持した、または、内部に球状空間(中空)を有する構造体、および、その製造方法を提供することである。
本発明の具体的な第1の目的は、層状複水酸化物から派生した複水酸化物ナノシートをシェルとするコア・シェル構造体およびその製造方法を提供することである。
本発明の具体的な第2の目的は、層状複水酸化物から派生した酸化物をシェルとする中空シェル構造体およびその製造方法を提供することである。
本発明の具体的な第3の目的は、層状複水酸化物をシェルとする中空シェル構造体およびその製造方法を提供することである。
なお、本明細書において、「層状複水酸化物をビルディングブロッグ材として使用する」とは、本発明の構造体の製造においてビルディングブロッグ材として層状複水酸化物を用いるものの、得られる構造体のシェルが、必ずしも層状複水酸化物それ自身であるとは限らず、層状複水酸化物から派生した複水酸化物ナノシートおよび酸化物であることも意図することに留意されたい。
本発明によるコア・シェル構造体は、球状コアと、前記球状コア上に交互に積層された複水酸化物ナノシートとアニオン性高分子層とを含むシェルであって、前記複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5である、シェルとを含むことを特徴とし、これにより上記目的を達成する。
前記球状コアの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とし得る。
前記アニオン性高分子層は、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とし得る。
本発明による球状の中空シェル構造体は、前記中空シェル構造体のシェルが、MIIOとMIII とを含む酸化物、M OとMIII とを含む酸化物、および、MIIOとMIVとを含む酸化物からなる群から選択され、ここで、Mは1価金属であり、MIIは2価金属であり、MIIIは3価金属であり、MIVは4価金属であることを特徴とし、これにより上記目的を達成する。
前記中空シェル構造体の中空の直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とし得る。
前記シェルの厚さは、20nm以上であることを特徴とし得る。
本発明による球状の中空シェル構造体は、前記中空シェル構造体のシェルが、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択される層状複水酸化物であり、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、前記無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、xは、0<x<0.5であることを特徴とし、これにより上記目的を達成する。
前記中空シェル構造体の中空の直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とし得る。
前記シェルは、少なくとも20層の複水酸化物ナノシートを含むことを特徴とし得る。
本発明によるコア・シェル構造体は、前記中空シェル構造体の中空部が球状コアにて充実されてなることを特徴とし、これにより上記目的を達成する。
本発明によるコア・シェル構造体を製造する方法は、複水酸化物ナノシートを球状コアに付与する第1工程と、前記複水酸化物ナノシート上にアニオン性高分子層を付与する第2工程と、前記第1工程および前記第2工程を繰り返す第3工程とを包含し、前記複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5であることを特徴とし、これにより上記目的を達成する。
前記第1工程は、層状複水酸化物と極性有機溶媒とを含む溶液を調製する工程と、前記溶液に前記球状コアを分散させる工程とをさらに包含し、ここで、前記層状複水酸化物は[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択され、ここで、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、前記無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、前記極性有機溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドからなる群から選択されることを特徴とし得る。
前記球状コアの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とし得る。
前記アニオン性高分子層は、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とし得る。
前記第1工程と前記第2工程との間に前記球状コアを洗浄する工程をさらに包含することを特徴とし得る。
本発明による中空シェル構造体を製造する方法は、複水酸化物ナノシートを球状コアに付与する第1工程と、前記複水酸化物ナノシート上にアニオン性高分子層を付与する第2工程と、前記第1工程および前記第2工程を繰り返す第3工程と、前記第3工程によって得られたコア・シェル構造体を加熱する第4工程とを包含し、前記複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5であり、前記球状コアは、有機材料であり、前記第4工程は、前記有機材料の燃焼温度以上の温度で加熱することを特徴とし、これにより上記目的を達成する。
前記第1工程は、層状複水酸化物と極性有機溶媒とを含む溶液を調製する工程と、前記溶液に前記球状コアを分散させる工程とをさらに包含し、ここで、前記層状複水酸化物は[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択され、ここで、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、前記無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、前記極性有機溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドからなる群から選択されることを特徴とし得る。
前記球状コアは、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートであることを特徴とし得る。
前記球状コアの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とし得る。
前記アニオン性高分子層は、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とし得る。
前記第3工程は、前記第1工程および前記第2工程を少なくとも20回繰り返すことを特徴とし得る。
前記第4工程は、前記有機材料の燃焼温度以上の温度に至るまで0℃/分より大きく1℃/分以下の昇温速度で加熱することを特徴とし得る。
前記第4工程は、450℃以上の温度で、4時間以上加熱することを特徴とし得る。
前記加熱されたコア・シェル構造体を水和させる第5工程をさらに包含することを特徴とし得る。
前記第5工程は、湿潤空気に晒す、または、前記An−イオンを含有する水溶液に浸漬させるかのいずれかであることを特徴とし得る。
前記第1工程と前記第2工程との間に前記球状コアを洗浄する工程をさらに包含することを特徴とし得る。
本発明によるコア・シェル構造体は、球状コア上に交互に積層された複水酸化物ナノシートとアニオン性高分子層とを含むシェルを含む。複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5である。複水酸化物ナノシートは、アニオン交換性を有しており、コア・シェル構造体の表面にアニオン交換能を付与することができる。このような交換能を利用して、触媒能および生理活性機能も付与させることができる。また、コア・シェル構造体は、球状コアとして無機物質および有機物質等の任意の物質を保持するので、デリバリにも有効である。
本発明による球状の中空シェル構造体は、酸化物をシェルとする。酸化物は、MIIOとMIII とを含む酸化物、M OとMIII とを含む酸化物、および、MIIOとMIVとを含む酸化物からなる群から選択され、ここで、Mは1価金属であり、MIIは2価金属であり、MIIIは3価金属であり、MIVは4価金属である。構造体内部は中空であるので、様々な物質のコンテナまたは反応容器として機能し得る。さらに、酸化物は、安定であるので、内包される物質が活性である場合にも有効に保持し得る。
本発明による球状の中空シェル構造体は、層状複水酸化物(LDH)をシェルとする。層状複水酸化物は、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、xは、0<x<0.5である。構造体内部は中空であるので、様々な物質のコンテナまたは反応容器として機能し得る。従来の板状のLDHと比較して、低密度、高比表面積を有するとともに高効率なアニオン交換能を有し得る。また、このような中空シェル構造体は、中空部分に所定の物質を保持させることによりデリバリ機能を有し得る。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明によるコア・シェル構造体100の模式図を示す。
コア・シェル構造体100は、球状コア110とシェル120とを含む。球状コア110には、任意の有機材料または無機材料が適用可能である。例えば、コア・シェル構造体100を物質保持のための容器として利用する場合には、球状コア110は、保持したい任意の材料であり得る。例えば、後述する、コア・シェル構造体100のアニオン交換能のみを利用する場合には、球状コア110は、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレート等の有機材料、または、シリカ等の無機材料であり得る。これらの材料は、安価であり、容易に入手可能である。球状コア110の直径は、好ましくは100nm以上である。特に上限を設けないが、入手可能な範囲は、10μm程度までである。球状コア110の直径が100nm未満の場合、後述する複水酸化物ナノシートの大きさとの関係上、シェル120が球状コアに良好に吸着しない可能性があり、そのため、ナノメートルレベルでのコア・シェル構造体100の厚さの制御が困難になり得る。また、球状コア110は、必ずしも真円である必要はなく、球体であるものであれば表面に凹凸を有していてもよいし、楕円状であってもよい。
シェル120は、複水酸化物ナノシート130とアニオン性高分子層140とを含む。複水酸化物ナノシート層130とアニオン性高分子層140とは、球状コア110上に交互に積層されている。積層数に特に上限はないが、シェル120の厚さは、積層数を変化させることによって、ナノメートルレベルで容易に制御可能である。
複水酸化物ナノシート130は、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択される。ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンである。xは、0<x<0.5である。例えば、MI+はLiであり、MII+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+またはCa2+であり、MIII+はAl3+、Cr3+、Mn3+、Fe3+、Co3+、Ni3+またはLa3+であり、MIV+はTi4+またはZr4+である。
アニオン性高分子層140は、負電荷を有する任意の高分子層である。アニオン性高分子層140は、好ましくは、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択される。これらの材料は、いずれも、複水酸化物ナノシート130に良好に吸着するので、複水酸化物ナノシート130とアニオン性高分子層140との積層構造を形成しやすい。
このようなシェル120を有するコア・シェル構造体100は、シェル120の表面にアニオン交換能を持たせることができる。このような、アニオン交換能を有する層状物質がシェルとなったコア・シェル構造体は今までにはない。アニオン交換能を利用して、さらに機能性を有する修飾基を修飾させれば、触媒能または生理活性能を付与させることもできる。また、コア・シェル構造体100は、球状コア110として薬剤等を選択すれば、ドラッグデリバリとしても機能し得る。シェル120は、酸(例えば、胃酸)に容易に溶解するので、胃で溶解し、薬剤を患部に直接付与(放出)できる。特に、シェル120の複水酸化物ナノシート130のビルディングブロッグ材としてMg−Al系LDHを選択した場合には、体内においても無害であるため、好ましい。
図2は、本発明によるコア・シェル構造体を製造する工程を示す図である。
工程ごとに詳述する。
第1工程:複水酸化物ナノシート130(図1)を球状コア110(図1)に付与する。球状コア110および複水酸化物ナノシート130は、上述したとおりである。
好ましくは、ビルディングブロッグ材として層状複水酸化物(LDH)と極性有機溶媒とを含む溶液を調製する。これにより、結晶性の高い、大面積の複水酸化物ナノシート(LDHナノシート)130が得られる。
具体的には、LDHは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択される。ここで、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数である。MI+、MII+、MIII+およびMIV+は、上述したとおりである。極性有機溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドからなる群から選択される。これらの極性有機溶媒は、陽イオンに溶媒和しやすく、陰イオンにはその逆の性質を有するので、LDHの剥離を促進させる効果がある。このようにして得られた複水酸化物ナノシート130の厚さは、約1nmである。これにより、シェル120(図1)は累積を繰り返して形成することになるので、その厚さをナノメートルレベルで制御できることとなる。
次いで、上記溶液へ球状コア110を分散させる。分散は、例えば、10分〜20分の間、超音波攪拌をしてもよい。これにより、球状コア110への複水酸化物ナノシート130の吸着を促進させることができる。
第2工程:球状コア110上の複水酸化物ナノシート130上に上述のアニオン性高分子層140(図1)を付与する。例えば、第1工程で得られた複水酸化物ナノシート130が付与された球状コア110を、アニオン性高分子層140を含有する水溶液に分散させる。複水酸化物ナノシート130がカチオン性であるため、アニオン性高分子層140が容易に吸着し得る。ここでも、分散は、例えば、10分〜20分の間、超音波攪拌をしてもよい。これにより、複水酸化物ナノシート130上へのアニオン性高分子層140の吸着を促進させることができる。
第3工程:第1工程および第2工程を繰り返す。第1工程および第2工程の繰り返し回数は、所望のシェル120の厚さに応じて適宜設定可能である。
また、第1工程と第2工程との間に、球状コア110を超純水等で洗浄してもよい。これにより、不純物を含まない高品質な、かつ、制御された交互積層を確実に達成できる。
以上説明してきたように、本発明によるコア・シェル構造体100は、球状コア110として無機物質および有機物質等任意の物質を保持することができる。さらに、複水酸化物ナノシート130は、アニオン交換性を有しており、コア・シェル構造体100の表面にアニオン交換能を付与することができるので、触媒能および生理活性機能等の修飾基を付与させて、新機能を持たせることができる。また、球状コア110が機能性の物質である場合には、コア・シェル構造体100をデリバリ(ドラッグデリバリ)として機能させてもよい。
(実施の形態2)
図3は、本発明による中空シェル構造体300の模式図を示す。
中空シェル構造体300は、シェルとして酸化物310を含む。酸化物310は、MIIOとMIII とを含む酸化物、M OとMIII とを含む酸化物、および、MIIOとMIVとを含む酸化物からなる群から選択される。ここで、Mは1価金属であり、MIIは2価金属であり、MIIIは3価金属であり、MIVは4価金属である。例えば、MはLiであり、MIIはMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnまたはCaであり、MIIIはAl、Cr、Mn、Fe、Co、NiまたはLaであり、MIVはTiまたはZrである。酸化物310の結晶状態は、非晶質であり得る。
酸化物310は、中空320を形成しており、その形状は球状である。中空320の直径は、好ましくは、100nm以上である。100nm未満の場合には、中空シェル構造体300の形成時に、酸化物310を形成できない場合があり得る。なお、中空320の直径に上限を設けないが、10μm程度まで可能である。酸化物310の厚さは、好ましくは、20nm以上である。20nm未満の場合には、中空シェル構造体300の形成時に、中空320が崩壊する場合がある。球状の中空320は、必ずしも真円の中空である必要はない。
このような酸化物310は、化学的に極めて安定であるため、中空シェル構造体300の中空320に活性物質を保持することができる。また、シェルが化学的に安定であることから、中空シェル構造体300を、中空320内において化学反応を生じさせる反応容器になり得る。なお、中空320が保持する物質は、球状の固体物質に限定されない。中空320は、ガス、液体、固体の任意の状態の物質を保持できる。例えば、保持すべき物質が液体または気体である場合、それら液体または気体中に中空シェル構造体300を入れることにより、液体または気体を酸化物310に浸透させればよい。また、保持すべき物質が固体の場合には、図2を参照して説明した、第1工程においてコア・シェル構造体100の球状コア110として保持すべき固体を選択し、第3工程に続いて図4を参照して後述する第4工程を行えばよい。
図4は、本発明による中空シェル構造体を製造する工程を示す図である。
工程ごとに説明する。
第1工程:複水酸化物ナノシート130(図1)を球状コア110(図1)に付与する。球状コア110は、加熱によって燃焼する任意の有機材料が適用可能である。より好ましくは、球状コア110は、ポリスチレンまたはポリメチレンメタクリレート等の有機材料である。これらの材料は、安価であり、容易に入手可能であるとともに、約450℃で容易に加熱燃焼するためである。球状コア110の直径は、好ましくは、100nm以上である。球状コア110の直径が100nm未満の場合、複水酸化物ナノシート130が球状コア110に良好に吸着しない可能性がある。
複水酸化物ナノシート130は、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択される。ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンである。xは、0<x<0.5である。例えば、MI+はLiであり、MII+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+またはCa2+であり、MIII+はAl3+、Cr3+、Mn3+、Fe3+、Co3+、Ni3+またはLa3+であり、MIV+はTi4+またはZr4+である。
好ましくは、ビルディングブロッグ材として層状複水酸化物(LDH)と極性有機溶媒とを含む溶液を調製する。これにより、これにより、結晶性の高い、大面積の複水酸化物ナノシート(LDHナノシート)130が得られる。
具体的には、LDHは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択される。ここで、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数である。MI+、MII+、MIII+およびMIV+は、上述したとおりである。極性有機溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドからなる群から選択される。これらの極性有機溶媒は、陽イオンに溶媒和しやすく、陰イオンにはその逆の性質を有するので、LDHの剥離を促進させる効果がある。このようにして得られた複水酸化物ナノシートの厚さは、約1nmである。これにより、最終的に得られるシェル310(図3)の厚さをナノメートルレベルで制御できる。
次いで、上記溶液へ球状コア110を分散させる。分散は、例えば、10分〜20分の間、超音波攪拌をしてもよい。これにより、球状コアへの複水酸化物ナノシートの吸着を促進させることができる。
第2工程:球状コア110上の複水酸化物ナノシート130上にアニオン性高分子層140(図1)を付与する。アニオン性高分子層140は、負電荷を有する任意の高分子層である。アニオン性高分子層140は、好ましくは、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択される。これらの材料は、いずれも、複水酸化物ナノシート130に良好に吸着する。
付与は、具体的には、第1工程で得られた複水酸化物ナノシート130が付与された球状コア110を、アニオン性高分子層140を含有する水溶液に分散させる。ここでも、分散は、例えば、10分〜20分の間、超音波攪拌をしてもよい。これにより、複水酸化物ナノシート130上へのアニオン性高分子層140の吸着を促進させることができる。
第3工程:第1工程および第2工程を繰り返す。第1工程および第2工程の繰り返し回数は、少なくとも20回である。繰り返し回数が20回よりも少ない場合、後述の加熱において、シェルが中空を維持することができない場合があり得る。上記第1工程および第2工程を20回繰り返すことにより、得られる中空シェル構造体300(図3)のシェル310(図3)の厚さは、約20nmになる。なお、繰り返し回数を1増やすことにより、シェル310の厚さをナノメートルレベルで任意に制御できる。
実施の形態1と同様に、第1工程と第2工程との間に、球状コアを超純水等で洗浄してもよい。これにより、不純物を含まない中空シェル構造体が得られ得る。
上述の第1の工程〜第3の工程によって実施の形態1で説明したコア・シェル構造体100(図1)が得られる。
第4工程:コア・シェル構造体100を球状コア110の燃焼温度以上の温度で加熱する。これにより、球状コア110が除去され、球状の中空320(図3)が形成される。また、第3工程によって得られた積層構造を持つシェルは、アニオン性高分子層140が除去されるとともに複水酸化物ナノシート130が互いに反応・脱水し、酸化物310(図3)が得られる。酸化物310は、上述したように少なくとも2種類の酸化物を含み、非晶質状態である。これにより、化学的に安定なシェルを有する中空シェル構造体300(図3)が得られる。
より詳細には、加熱は、電気炉、雰囲気炉等の任意の加熱装置によって行われる。加熱条件は、典型的には、450℃以上の温度で4時間以上であれば、球状コア110およびアニオン性高分子層140の除去を確実にするとともに、複水酸化物ナノシート130の反応を促進し、酸化物310とすることができる。450℃未満かつ4時間未満の場合、反応温度が低いため球状コア110およびアニオン性高分子層140が残留する場合がある。加熱温度の上限は特に設けないが、得られる酸化物310が燃焼しない温度である限り許容され得る。
しかしながら、上記加熱条件は、典型例に過ぎず、選択される球状コア110およびアニオン性高分子層140の材料によって異なることを理解されたい。
さらに詳細には、加熱における昇温速度は、好ましくは、1℃/分以下である。これにより、加熱における急激な水および二酸化炭素ガス放出を防ぐので、シェルが崩壊することを防ぐことができる。
以上、第1工程〜第4工程によって、中空シェル構造体300(図3)が得られる。上述したようにこのような中空シェル構造体300は、球状の中空320を有する。このような中空320を利用して、中空シェル構造体300は、球状物質のためのコンテナとして機能し得る。また、シェルが酸化物からなるので化学的に安定であるため、特に、化学活性な球状物質の保持に効果的である。また、中空シェル構造体300を反応容器として用いてもよい。
(実施の形態3)
図5は、本発明による別の中空シェル構造体500の模式図を示す。
中空シェル構造体500は、シェルとして層状複水酸化物(LDH)510を含む。LDH510は、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択される。ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンである。これらMI+、MII+、MIII+およびMIV+は、実施の形態1で説明したイオンと同様である。An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンである。nは、無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、xは、0<x<0.5である。
より詳細には、LDH510は、複水酸化物ナノシート130と無機アニオン520との積層構造を有する。複水酸化物ナノシート130は、実施の形態1で説明した複水酸化物ナノシートと同様であり、無機アニオン520は、上述のAn−と水とを含む。
中空シェル構造体500のシェルは、好ましくは、少なくとも20層の複水酸化物ナノシート130(すなわち、約20nmの層厚を有するLDH510)を含む。これは、20層未満の場合、中空シェル構造体500の形成時に、後述する中空320が崩壊する場合があるためである。
LDH510は、中空320を形成しており、その形状は球状である。中空320の直径は、実施の形態2と同様に、好ましくは、100nm以上である。100nm未満の場合には、中空シェル構造体500の形成時に、LDH510を形成できない場合があり得る。
このように本発明による中空シェル構造体500は、LDH510をシェルとするので、実施の形態1のコア・シェル構造体100(図1)とは異なり、層間においてもアニオン交換能を有する。また、板状のLDHに比べて球状のLDHは、比表面積をかせげるので、効率的にアニオン交換できる。さらに、球状のLDHは、内容積の大部分が中空のために低密度であり、軽量、嵩高い粉体となるなどの特徴がある。
シェルによって形成される中空320は球状であるので、実施の形態2と同様に球状物質等のためのコンテナまたは反応容器として機能し得る。特に、内包・保持される物質が薬剤等の場合には、中空シェル構造体500はドラッグデリバリ用の容器として利用され得る。具体的には、LDH510が酸(例えば、胃酸)に溶解するので、胃で溶解し、薬剤を患部に直接付与するドラッグデリバリ用容器になり得る。さらに、LDH510がMg−Al系LDHである場合には、シェル自身が無害であるため、好ましい。また、薬剤等の保持される物質は、固体に限定されず、液体、気体も適用できるので、好ましい。
図6は、本発明による中空シェル構造体を製造する工程を示す図である。
第1工程から第4工程は、実施の形態2と同様であるため説明を省略する。
第5工程:第4工程で得られた中空シェル構造体300(図3)を水和する。
これにより、酸化物310(図3)が水和されて、LDHが再構築される。その結果、層状複水酸化物(LDH)510(図5)をシェルとする中空シェル構造体500(図5)が得られる。
具体的には、水和は、中空シェル構造体300を湿潤空気に晒すか、または、An−イオンを含有する水溶液に浸漬させるかのいずれかである。湿潤空気を用いた場合の晒す時間は、1時間〜24時間の間であり、An−イオンを含有する水溶液を用いた場合の浸漬時間は、30分〜24時間である。なお、湿潤空気とは、相対湿度90%以上、好ましくは95%の空気である。相対湿度90%未満の場合は、再構築が一部不完全となる、または、さらなる長時間を要する等の問題が生じ得る。水溶液に浸漬させる場合には、水分子およびAn−イオンの急激な吸着によって、中空シェル構造体300の内圧のバランスが崩れ、シェルが崩壊する場合があり得るため、湿潤空気を用いることが好ましい。
n−イオンを含有する水溶液とは、上述のAn−イオンを含有する任意の水溶液であり、例えば、NaCO水溶液、NaCl水溶液、NaNO水溶液等である。その濃度は、0.1M〜1Mであれば、効果的に水和が生じる。
以上、第1工程〜第5工程によって、中空シェル構造体500(図5)が得られる。上述したようにこのような中空シェル構造体500のシェルは、LDHからなる。LDHは、実施の形態1とは異なり、表面のみならず層間においてもアニオン交換能を有しているので、高効率でアニオン交換できる。また、板状のLDHに比べて比表面積をかせげるので、板状LDHよりも高効率である。また、実施の形態2の中空シェル構造体300(図3)と同様に、球状の中空320を有する。このような中空320を利用して、中空シェル構造体500は、球状物質のためのコンテナとして機能し得る。また、中空シェル構造体500を反応容器、さらにはドラッグデリバリ用容器として用いてもよい。
なお、第4工程において加熱の代わりに、トルエン等の有機溶媒を用いて、球状コアおよびアニオン性高分子層を除去することも想定される。この場合には、有機溶媒に可溶な球状コアおよびアニオン性高分子層を適用することが必須である。
次に、実施例を述べるが、本発明は実施例に限定されるものではないことに留意されたい。
LDHとして、Mg−Al系炭酸型LDH(Kyowa Chemical Industry Co., Ltd.より入手可能。)を用いた。Mg−Al系炭酸型LDHとは、実施の形態1〜3に記載されるLDHにおいて、MII+がMgであり、MIII+がAlであり、An−がCO 2−であるLDHを指す。用いたLDHにおけるモル分率(Mg:Al)は、3:1であった。
Mg−Al系炭酸型LDHにアニオン交換を行い、Mg−Al系硝酸型LDHを得た。Mg−Al系硝酸型LDHをホルムアミド中で単層剥離させ、複水酸化物ナノシート[Mg2+ 3/4Al3+ 1/4(OH)1/4+が分散した懸濁液を得た。
球状コアとしてポリスチレンからなるビーズ(以降ではPSビーズと呼ぶ。Fluka AGより入手可能。)を用いた。PSの直径Φは、1.3μmであった。アニオン性高分子層の材料として4−スチレンスルホン酸ナトリウム(以降ではPSSと呼ぶ。Sigma−Aldrich Co.より入手可能。)を用いた。PSSの分子量Mwは約70000であった。
(1)PSビーズの表面に上記複水酸化物ナノシート[Mg2+ 3/4Al3+ 1/4(OH)1/4+を付与(吸着)させるために、PSビーズ(0.5g)を、LDH(0.05g)を含むホルムアミド懸濁液(100cm)に分散させ、20分間超音波攪拌させた。
(2)次に、複水酸化物ナノシートが付与されたPSビーズを回転速度6000rpmで、30分間遠心分離させて回収し、超純水で洗浄した。
(3)複水酸化物ナノシートが付与されたPSビーズの表面にPSSを付与(吸着)させるために、洗浄したPSビーズを、PSS水溶液(100cm、2gdm−3、pH=4.5)に分散させ、20分間超音波攪拌した。生成物を遠心分離によって回収した。
上記(1)〜(3)を20回繰り返し、PSビーズ上に複水酸化物ナノシートとアニオン性高分子層とが20層積層したコア・シェル構造体(以降では、PS/(PSS/LDH)20と呼ぶ)を作製した。
PS/(PSS/LDH)20のX線回折パターンの測定を行った。測定は、X線粉末回折装置Rint 2000S(Rigaku、Japan)によって行った。測定条件は、CuKα線(λ=0.15405nm)を用いて、40kV/30mA、走査速度1.5°2θ/分であった。測定結果を図7(b)に示し、後述する。
PS/(PSS/LDH)20の表面観察を行った。測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)JEOL JSM−6700F(JEOL、Japan)および高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)JEM−3000F(JEOL、Japan)によって行った。それぞれの加速電圧は、10kVおよび300kVであった。観察結果を図8に示し、後述する。
PS/(PSS/LDH)20のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトル測定を行った。測定は、S−45FT−IR分光光度計(Digilab、USA)によって行った。測定波数は、4000〜400cm−1の範囲であった。測定結果を図17(a)に示し、後述する。
PSビーズおよびPSSを除去するために、実施例1で得られたPS/(PSS/LDH)20を加熱した。加熱条件は、昇温速度20℃/時間(0.33℃/分)で、480℃に到達後4時間保持した。これにより、中空シェル構造体(以降では(中空/酸化物)20、Ex2と呼ぶ)を得た。
実施例1と同様に、(中空/酸化物)20、Ex2のX線回折パターン、表面観察およびFT−IRスペクトルを測定/観察した。測定/観察結果をそれぞれ、図7(c)、図9および図17(b)に示し、後述する。
上記加熱時におけるPS/(PSS/LDH)20の重量減少および熱量の変化を調べるため、熱分析−示差熱重量測定を行った。測定は、TGA−8120熱分析装置(Rigaku、Japan)によって行われた。測定は空気を流しながら行った。測定結果を図12に示し、後述する。
昇温速度を60℃/時間(1℃/分)とした以外は、実施例2と同様の条件でPS/(PSS/LDH)20を加熱した。これにより、中空シェル構造体(以降では(中空/酸化物)20、Ex3と呼ぶ)を得た。
実施例1と同様に、(中空/酸化物)20、Ex3の表面観察を行った。観察結果を図10に示し、後述する。
LDHを再構築するために、実施例2で得られた(中空/酸化物)20、Ex2を湿潤空気(95%相対湿度)に12時間晒し、水和させた。これにより、中空シェル構造体(以降では、(中空/LDH)20、Ex4と呼ぶ)を得た。
実施例1と同様に、(中空/LDH)20、Ex4のX線回折パターン、表面観察およびFT−IRスペクトルを測定/観察した。測定/観察結果をそれぞれ、図7(d)、図13〜図15および図17(c)に示し、後述する。
LDHを再構築するために、実施例2で得られた(中空/酸化物)20、Ex2を炭酸ナトリウム水溶液(1M)に30分間浸漬させ、水和させた。これにより、中空シェル構造体(以降では、(中空/LDH)20、Ex5と呼ぶ)を得た。
実施例1と同様に、(中空/LDH)20、Ex5の表面観察を行った。観察結果を図16に示し、後述する。
比較例1
昇温速度を100℃/時間とした以外は、実施例2と同様の手順でPS/(PSS/LDH)20を加熱した。実施例1と同様に、得られた生成物の表面観察を行った。観察結果を図11(A)に示し、後述する。
比較例2
実施例1において、(1)〜(3)を15回繰り返した以外は、実施例2と同様の手順でPS/(PSS/LDH)20を加熱した。実施例1と同様に、得られた生成物の表面観察を行った。観察結果を図11(B)に示し、後述する。
上述の実施例1〜5および比較例1および2の実験条件を表1に示す。
図7は、PSビーズ、および、実施例1、2、4のX線回折パターンを示す図である。
X線回折パターン(a)〜(d)は、それぞれ、PSビーズ、実施例1、2および4に相当する。PSビーズのX線回折パターン(a)は、10°〜30°にポリスチレンに特徴的なハローパターンを示した。一方、実施例1のPS/(PSS/LDH)20のX線回折パターン(b)は、X線回折パターン(a)で見られたハローパターンは低減し、4.4°および10.0°(図中矢印で示す)に明瞭なピークを示した。これらのピークは、複水酸化物ナノシートとPSSとの積層構造に起因している。複水酸化物ナノシートとPSSとの繰り返し周期は2.0nmであることが分かった。この値は、平坦な基板上に形成された複水酸化物ナノシートとPSSとの積層構造の繰り返し周期に良好な一致を示した。このことから、複水酸化物ナノシートとPSSとの積層構造がナノメートルレベルで良好に制御されていることが示される。また、X線回折パターン(b)は、34.8°および60.5°にさらなる2つの明瞭なピークを示した。これらは、LDHの二次元六方晶格子(a=0.31nm)からの10および11バンドのピークに相当し、コア・シェル構造体構築後もLDHシートの2次元構造がそのまま保持されていることを示唆している。
実施例2の(中空/酸化物)20、Ex2のX線回折パターン(c)は、何ら回折ピークを示さなかった。このことは、複水酸化物ナノシートとPSSとの積層構造が、燃焼によってMgOおよびAlからなる非晶質金属酸化物に変化したことを示唆する。
実施例4の(中空/LDH)20、Ex4のX線回折パターン(d)は、明瞭なピークを示し、(中空/LDH)20、Ex4は、結晶状態にあることが分かった。11.3°および23.1°に見られる2つの明瞭な底面反射ピークから面間隔は0.78nmであることが分かった。また、X線回折パターン(d)は、X線回折パターン(b)で見られた高角側のピークと同様に、35.4°および60.5°にさらなる2つの明瞭なピークを示した。これらは、LDHの二次元六方晶格子(a=0.31nm)からの10および11バンドのピークに相当する。このことから、実施例4で得られた(中空/LDH)20、Ex4が、実施例1および実施例2を経て、面間隔0.78nmを有するLDHが再構築されたことを示唆する。面間隔0.78nmは、生成したLDHが炭酸型であることを強く示唆する。
図8は、実施例1の表面観察の結果を示す図である。
図8(A)から、実施例1のPS/(PSS/LDH)20は、複水酸化物ナノシートとPSSとの積層後もPSビーズの球状を良好に維持していることが分かる。図8(B)は、図8(A)の拡大図である。図8(B)より、実施例1のPS/(PSS/LDH)20の表面粗さは少なく、積層構造がPSビーズ表面に対して均一に行われたことを示唆している。
図9は、実施例2の表面観察の結果を示す図である。
図9(A)はSEM像であり、図9(B)はTEM像である。図9(A)から、実施例2の(中空/酸化物)20、Ex2は、一部を除いてほぼ球状を維持していることを示す。図9(B)から、(中空/酸化物)20、Ex2が均一な中空を有していることが示される。図8(B)および図9(B)を比較すると、球体の直径は、実施例1および実施例2において良好に維持されていることが分かった。また、(中空/酸化物)20、Ex2のシェル厚は、約20nmであり、実施例1の積層厚を維持していることも確認された。以上から、実施例1のコア・シェル構造体PS/(PSS/LDH)20を加熱することによって、PSビーズおよびPSSが消失し、中空シェル構造体が形成されたことが確認された。
図10は、実施例3の表面観察の結果を示す図である。
図10から、実施例3の(中空/酸化物)20、Ex3は、表面に多数の穴を有するものの、シェルを維持した中空シェル構造体であることが分かった。
図11は、比較例1および2の表面観察の結果を示す図である。
図11(A)は比較例1の生成物であり、図11(B)は比較例2の生成物である。図11(A)より、昇温速度を100℃/時間(1.67℃/分)まで増加させると、加熱によってシェルは完全に崩壊することが分かった。図9、図10および図11(A)より、加熱時のシェル構造を維持するためには、昇温速度が小さいほど好ましいこと、具体的には、60℃/時間(すなわち、1℃/分)以下、より好ましくは、20℃/時間(すなわち、0.33℃/分)が示唆される。これは、急激な加熱によって、コアの熱分解により水および二酸化炭素が急激に排出されるので、シェル構造が崩壊するためである。
また図11(B)より、コア・シェル構造体における積層数を15層まで低減すると、昇温速度が20℃/時間であっても、加熱によってシェルが大部分崩壊することが分かった。図9および図11(B)より、加熱時のシェル構造を維持するためには、積層数が多いほど好ましいこと、具体的には20層以上(すなわち20nm以上)が示唆される。これも、同様の理由による。
図12は、実施例2の熱重量分析の結果を示す図である。
重量損失のプロファイルから、加熱によって2段階で重量損失が生じ、全体で91%の重量が損失したことが分かった。また、熱量変化のプロファイルから、これら2段階の重量損失時には大きな発熱を伴うことが分かった。このことから、実施例1のPS/(PSS/LDH)20を加熱することによって、PSビーズおよびPSSが燃焼し、消失したことが確認された。
図13は、実施例4の表面観察の結果を示す図である。
図13(A)はSEM像であり、図13(B)はTEM像である。図13(A)および(B)より、実施例4の(中空/LDH)20、Ex4は、球状を維持しており、実施例2と同様に中空であることが分かった。実施例2の観察結果(図9)と比較すると、実施例4の(中空/LDH)20、Ex4のシェルの厚さは、実施例3のそれに比べてわずかに厚くなった。これは、水和によって、LDH構造が再構築されたためと考えられる。また、実施例4の表面粗さは、実施例3のそれに比べてわずかに大きくなった。これは、水和の処理を工夫することによって改善され得る。
図14は、実施例4の表面観察のさらなる結果を示す図である。
図14によれば、実施例4のシェルの構造は、層状(ラメラ)になっており、その層間隔が約0.8nmであることが分かった。この値は、図7(d)から得られた面間隔(0.78nm)に良好に一致する。
図15は、実施例4の電子回折の結果を示す図である。
図15は、LDHの10および11回折リングを示す。これはLDHの2次元構造に一致する。以上、図7(d)および図13〜図15より、実施例2の(中空/酸化物)20、Ex2を水和させることによって、酸化物から炭酸型のLDHをシェルとする中空シェル構造体が得られたことが確認された。得られたLDHをシェルとする中空シェル構造体の平均直径および厚さは、それぞれ、1.4μmおよび20nmであり、91.5%の高い空孔率を有した。また、厚さ20nmは、LDHが20層積層した値(16nm=0.78nm×20)に近いことが分かった。
図16は、実施例5の表面観察の結果を示す図である。
図16によれば、炭酸ナトリウム水溶液を用いて水和することによって、シェルの一部が崩壊しているものの、球状の中空シェル構造体が得られた。シェルが崩壊するのは、水溶液に浸漬させた際に、急激な水の吸収によって、実施例2の(中空/酸化物)20、Ex2の内圧のバランスが崩れるためと考えられる。したがって、水和は、シェル内の内圧のバランスを維持しつつ、湿潤空気中でゆっくり処理することが好ましい。
図17は、実施例1、2および4のFT−IRスペクトルを示す図である。
スペクトル(a)〜(c)は、それぞれ、実施例1、実施例2および実施例4に相当する。スペクトル(a)は、PSビーズおよびPSSによるシャープな吸収を示した。また、スペクトル(a)は、水分子の伸縮振動モードに基づく強い吸収を、3700〜3000cm−1および1620cm−1に示した。このことは、実施例1のPS/(PSS/LDH)20が、水和状態にあることを示唆している。
スペクトル(b)は、何ら吸収を示さなかった。このことは、加熱によって、PSビーズおよびPSSが除去されたこと、LDHが非晶質の酸化物混合物に変化したことを示唆している。
スペクトル(c)は、強い吸収を示した。丸で示される吸収は、水和によってLDHが再構築されたことに起因し、スペクトル(a)の吸収と一致する。三角で示される1368cm−1に見られる吸収は、炭酸イオンの伸縮モードに起因する。このことからも、実施例4で得られた中空シェル構造体のシェルは、炭酸型LDHであることが確認された。
以上、説明してきたように、本発明によれば、(1)表面にアニオン交換能を有し、かつ/または、コアとして物質を保持したコア・シェル構造体、(2)化学活性な物質を保持可能な中空シェル構造体、および、(3)物質を保持可能、かつ、LDHをシェルとする中空シェル構造体、ならびに、(4)それらの製造方法が提供された。
本発明によって得られる構造体は、物質保持のためのコンテナ、反応容器、触媒、センサ、医療(ドラッグデリバリ)等に利用可能である。
本発明によるコア・シェル構造体100の模式図 本発明によるコア・シェル構造体を製造する工程を示す図 本発明による中空シェル構造体300の模式図 本発明による中空シェル構造体を製造する工程を示す図 本発明による別の中空シェル構造体500の模式図 本発明による中空シェル構造体を製造する工程を示す図 PSビーズ、および、実施例1、2、4のX線回折パターンを示す図 実施例1の表面観察の結果を示す図 実施例2の表面観察の結果を示す図 実施例3の表面観察の結果を示す図 比較例1および2の表面観察の結果を示す図 実施例2の熱量分析の結果を示す図 実施例4の表面観察の結果を示す図 実施例4の表面観察のさらなる結果を示す図 実施例4の電子線回折の結果を示す図 実施例5の表面観察の結果を示す図 実施例1、2および4のFT−IRスペクトルを示す図
符号の説明
100 コア・シェル構造体
110 球状コア
120 シェル
130 複水酸化物ナノシート
140 アニオン性高分子層
300、500 中空シェル構造体
310 酸化物
320 中空
510 層状複水酸化物(LDH)
520 無機アニオン

Claims (26)

  1. 球状コアと、
    前記球状コア上に交互に積層された複水酸化物ナノシートとアニオン性高分子層とを含むシェルであって、前記複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5である、シェルと
    を含むことを特徴とする、コア・シェル構造体。
  2. 前記球状コアの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のコア・シェル構造体。
  3. 前記アニオン性高分子層は、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のコア・シェル構造体。
  4. 球状の中空シェル構造体であって、前記中空シェル構造体のシェルは、MIIOとMIII とを含む酸化物、M OとMIII とを含む酸化物、および、MIIOとMIVとを含む酸化物からなる群から選択され、ここで、Mは1価金属であり、MIIは2価金属であり、MIIIは3価金属であり、MIVは4価金属であることを特徴とする、中空シェル構造体。
  5. 前記中空シェル構造体の中空の直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項4に記載の中空シェル構造体。
  6. 前記シェルの厚さは、20nm以上であることを特徴とする、請求項4に記載の中空シェル構造体。
  7. 球状の中空シェル構造体であって、前記中空シェル構造体のシェルは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択される層状複水酸化物であり、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、前記無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、xは、0<x<0.5であることを特徴とする、中空シェル構造体。
  8. 前記中空シェル構造体の中空の直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項7に記載の中空シェル構造体。
  9. 前記シェルは、少なくとも20層の複水酸化物ナノシートを含むことを特徴とする、請求項8に記載の中空シェル構造体。
  10. 前記請求項4から9のいずれかに記載の中空シェル構造体の中空部が球状コアにて充実されてなることを特徴とするコア・シェル構造体。
  11. コア・シェル構造体を製造する方法であって、
    複水酸化物ナノシートを球状コアに付与する第1工程と、
    前記複水酸化物ナノシート上にアニオン性高分子層を付与する第2工程と、
    前記第1工程および前記第2工程を繰り返す第3工程と
    を包含し、
    前記複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5であることを特徴とする、方法。
  12. 前記第1工程は、
    層状複水酸化物と極性有機溶媒とを含む溶液を調製する工程と、
    前記溶液に前記球状コアを分散させる工程と
    をさらに包含し、ここで、前記層状複水酸化物は[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択され、ここで、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、前記無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、
    前記極性有機溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 前記球状コアの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  14. 前記アニオン性高分子層は、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  15. 前記第1工程と前記第2工程との間に前記球状コアを洗浄する工程をさらに包含することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  16. 中空シェル構造体を製造する方法であって、
    複水酸化物ナノシートを球状コアに付与する第1工程と、
    前記複水酸化物ナノシート上にアニオン性高分子層を付与する第2工程と、
    前記第1工程および前記第2工程を繰り返す第3工程と、
    前記第3工程によって得られたコア・シェル構造体を加熱する第4工程と
    を包含し、
    前記複水酸化物ナノシートは、[MII+ 1−xIII+ (OH)x+、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+および[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+からなる群から選択され、ここで、MI+は1価金属イオンであり、MII+は2価金属イオンであり、MIII+は3価金属イオンであり、MIV+は4価金属イオンであり、xは、0<x<0.5であり、
    前記球状コアは、有機材料であり、
    前記第4工程は、前記有機材料の燃焼温度以上の温度で加熱することを特徴とする、方法。
  17. 前記第1工程は、
    層状複水酸化物と極性有機溶媒とを含む溶液を調製する工程と、
    前記溶液に前記球状コアを分散させる工程と
    をさらに包含し、ここで、前記層状複水酸化物は[MII+ 1−xIII+ (OH)x+[An− x/n・mHO]x−、[MI+ 1−xIII+ (OH)(2x−1)+[An− (2x−1)/n・mHO](2x−1)−、および、[MII+ 1−xIV+ (OH)2x+[An− 2x/n・mHO]2x−からなる群から選択され、ここで、An−は、NO 、Cl、ClO 、ClO 、F、Br、I、CO 2−、SO 2−、および、これらの混合物からなる群から選択される無機アニオンであり、nは、前記無機アニオンの価数であり、mは、0より大きい実数であり、
    前記極性有機溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  18. 前記球状コアは、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  19. 前記球状コアの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  20. 前記アニオン性高分子層は、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリ(1−(4−(3−カルボキシ−4−ヒドロキシフェニルアゾ)ベンゼンスルフォノアミド)−1,2−エタンジイルナトリウム)、ポリアニリンプロパンスルホン酸、および、ポリアニリンスルホン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  21. 前記第3工程は、前記第1工程および前記第2工程を少なくとも20回繰り返すことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  22. 前記第4工程は、前記有機材料の燃焼温度以上の温度に至るまで0℃/分より大きく1℃/分以下の昇温速度で加熱することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  23. 前記第4工程は、450℃以上の温度で、4時間以上加熱することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  24. 前記加熱されたコア・シェル構造体を水和させる第5工程をさらに包含することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  25. 前記第5工程は、湿潤空気に晒す、または、前記An−イオンを含有する水溶液に浸漬させるかのいずれかであることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
  26. 前記第1工程と前記第2工程との間に前記球状コアを洗浄する工程をさらに包含することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
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