JP2008110950A - 糖尿病網膜症の治療方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発明者らは、糖尿病患者において、網膜血液中の血糖値が上昇すると網膜色素上皮細胞からアンジオポエチン関連タンパク質4の発現が亢進し、アンジオポエチン関連タンパク質4が網膜血管内皮細胞の管腔形成を促進し、最終的に、網膜血管の血管新生が進行する、という糖尿病網膜症における血管新生のメカニズムを明らかにした。そこで、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制する抑制因子を含有する薬剤を、アンジオポエチン関連タンパク質4によって生じる網膜の血管新生に起因する疾患に対する治療薬とする。なお、対象となる疾患の例は、糖尿病網膜症や血管新生緑内障等である。
【選択図】なし
Description
Bhavsar AR: Diabetic retinopathy. The latest in current management,Retina 26(6) S71-S79, 2006.
そこで、本発明は、糖尿病網膜症に有効な新規薬剤及びその使用方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の実施例に示すように、糖尿病患者において、網膜血液中の血糖値が上昇すると網膜色素上皮細胞からアンジオポエチン関連タンパク質4の発現が誘導され、分泌されたアンジオポエチン関連タンパク質4が網膜血管内皮細胞の管腔形成を促進し、最終的に、網膜血管の血管新生が進行する、という糖尿病網膜症における血管新生のメカニズムを明らかにした。
(i)グルコースを有効成分として含有する薬剤
以下の実施例に示すように、グルコースを網膜色素上皮細胞に投与すると、網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現が亢進した。さらに高濃度のグルコースを網膜色素上皮細胞に投与すると、網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現はさらに亢進した。従って、グルコースを含有する薬剤は、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させるのに有用である。なお、本発明の薬剤に含有するグルコースは、市販のものでもよいし、公知の方法を用いて製造してもよい。
血管新生は、血管内皮細胞が遊走し、浸潤し、増殖し、最終的に管腔を形成する、という順序で起こる。培養系における血管内皮細胞の管腔形成は、血管新生のin vitroモデル系だと考えられており、以下の実施例に示すように、アンジオポエチン関連タンパク質4を血管内皮細胞に投与すると、これら血管内皮細胞の遊走、浸潤、増殖及び管腔形成を促進した。従って、アンジオポエチン関連タンパク質4を含有する薬剤は、網膜における血管新生を促進するのに有用である。
以下の実施例に示す通り、網膜血管内皮細胞に対してアンジオポエチン関連タンパク質4の投与量を減少させた場合や、網膜色素上皮細胞のアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制し、これら網膜色素上皮細胞を培養する培養上清を用いたた場合(図5A及び5B)において、網膜血管内皮細胞の管腔形成は抑制された。従って、アンジオポエチン関連タンパク質4の機能を抑制する抑制因子を含有する薬剤は、網膜における血管新生を抑制するのに有用である。
HIF(hypoxia inducible factor)は、αサブユニット(α1、α2、α3)とβサブユニットからなる二量体である。HIF1α(hypoxia inducible factor 1 subunit α)はほぼ全ての細胞で発現していることが知られているが、常酸素条件下ではユビキチン−プロテアソーム系により分解されるので、ほとんどその発現は検出されない。低酸素条件下では、分解抑制を受けて核内に移行し、DNA上に存在するHRE(Hypoxia Responsive Element)に結合することによって、低酸素応答を引き起こす。
実施例に示すように、HIF1αの発現を抑制すると網膜色素上皮細胞のアンジオポエチン関連タンパク質4の発現は抑制される。従って、HIF1αの機能の強弱によってアンジオポエチン関連タンパク質4の発現が制御されている細胞においては、HIF1αの機能を増強すれば、網膜色素上皮細胞のアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させることができると考えられる。そこで、HIF1αの機能を増強する機能増強剤を有効成分として含有する薬剤は、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させるのに有用である。
PPARγ(peroxisome proliferator-activated receptor gamma;ペルオキシゾーム増殖促進受容体ガンマ)は核内受容体型転写因子で、脂肪細胞の分化を促進する。PPARγアゴニストであるチアゾリジン誘導体は、糖尿病患者において、高インスリン血症、高中性脂肪血症、低HDL血症、インスリン抵抗性を改善する。
実施例に示すように、網膜色素上皮細胞において、PPARγを刺激すると、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現が亢進する。そこで、PPARγの機能を増強する機能増強剤を有効成分として含有する薬剤は、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現亢進を通じ、アンジオポエチン関連タンパク質4の機能を増強するのに有用である。
(i)ヒト又はヒト以外の脊椎動物に投与する場合
上記薬剤の投与方法は特に限定されず、例えば、液状の薬剤を点眼しても、注入しても、塗布してもよく、また、脂質等のキャリアを用いて細胞に導入してもよい。上記薬剤の投与量は、年齢、体重、適応症又は投与・摂取経路によって異なるが、上記作用が発揮でき、かつ、生じる副作用が許容し得る範囲内であれば特に限定されない。また、本発明の薬剤の好ましい投与経路は、眼球内投与(眼内投与、網膜内投与等)等である。特に、本発明の薬剤にsiRNAなどの核酸が含まれている場合は、脂質等のキャリアとともに局所に直接注入する(マイクロインジェクション、眼球注射、カニュレーション等)のが好ましい。また、各薬剤にタンパク質が含有されている時は、HIVのTATタンパク質を利用した導入やマイクロインジェクション等で、タンパク質を細胞内に導入することができる。
網膜色素上皮細胞を含む細胞のアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させるためには、グルコース又はHIF1αの機能を増強する機能増強剤を有効成分として含有する薬剤を投与すればよい。
前述の通り、アンジオポエチン関連タンパク質4は、網膜血管内皮細胞の血管新生を促進する。従って、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現量は、網膜血管の血管新生に起因する疾患を診断するマーカーとして利用できる。例えば、網膜血管内皮細胞の血管新生が進行すると、網膜血管の血管新生に起因する疾患は増悪するため、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現量によって、網膜血管の血管新生に起因する疾患の病状推移を推定することも可能である。
なお、「網膜の血管新生に起因する疾患」は、(1)に記載の通りである。
網膜血管又は網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の転写産物の量を指標とし、診断対象の個体から得た網膜血管又は網膜色素上皮細胞において、転写産物の量をノーザンハイブリダイゼーションやRT−PCRで検出することにより、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を調べることができる。
本発明のマーカーは、網膜中心静脈、網膜中心動脈、網膜、網膜色素上皮細胞を含む細胞、組織又は器官等のサンプルにおいて測定することができる。
また、網膜の血管新生に起因する疾患を診断するためのキットは、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現量を測定するための試薬を含み、具体例としては、RT−PCR用の酵素、プライマー、バッファー等や、ELISA用の抗体、バッファー等、を含んでいてもよい。
本発明の網膜の血管新生に起因する疾患に対する予防又は治療に効果を有する物質のスクリーニング方法においては、所定の濃度のグルコースの存在下で培養した網膜色素上皮細胞をアッセイ系とし、被験物質を投与し、これらの網膜色素上皮細胞が産生したアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制する物質を選択する。このようにして選択された物質は、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現抑制を通じ、最終的に網膜の血管新生を抑制する。ここで、培養液中のグルコース濃度は300mg/dl以上であることが好ましい。なお、網膜の血管新生に起因する疾患は、(1)に記載の通りである。
実験に使用する細胞、タンパク質及び培地は、以下のように調製した。
網膜における血管新生の観察は、ヒト網膜血管内皮細胞を用いて行った。これらの実験に用いるヒト網膜血管内皮細胞株は、Cell Systems社(Kirkaland, WA; catalog No. CS-ABI-181)から購入した。
網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現、及び網膜色素上皮細胞から産生されるアンジオポエチン関連タンパク質4の機能の解析は、ARPE-19細胞を用いて行った。これらの実験に用いるARPE-19細胞は、Amerikan Type Culture Collection ( Rockville, MA, USA; catalog No. CRL-2302)から購入した。なお、培地には、D-MEM/F12 (Gibco BRLGrand Island, NY, USA; catalog No. 11330-032)(15mM HEPESバッファー、7.5mMグルコース、10%ウシ胎仔血清(FBS; Gibco BRLGrand Island, NY, USA)、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含有)を用いてARPE-19細胞を培養した。
アンジオポエチン関連タンパク質4は、組換え型ヒトANGPTL4(AdipoGen(ソウル(韓国);カタログNo. 293-VE))を使用した。
VEGFは、組換え型ヒトVEGF(R&D systems (カタログNo.293-VE))を使用した。
培地に存在するグルコースの濃度の違いによって、ARPE-19細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現がどのように変化するかを調べるために、異なるグルコース濃度を含有する培地を作製した。
VLG培地:5mMグルコース含有培地(5mMグルコース、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μ/mlストレプトマイシン含有D-MEM/F12)
LG培地:7.5mMグルコース含有培地:(7.5mMグルコース、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μ/mlストレプトマイシン含有D-MEM/F12)
MG培地:12.5mMグルコース含有培地(12.5mMグルコース、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μ/mlストレプトマイシン含有D-MEM/F12)
HG培地:17.5mMグルコース含有培地(17.5mMグルコース、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μ/mlストレプトマイシン含有D-MEM/F12)
まず、網膜色素上皮細胞(ARPE-19細胞)の培養上清が、ヒト網膜血管内皮細胞へどのように影響するのかを、管腔形成アッセイを用いて検討した。なお、管腔形成アッセイは、BD BioCoat angiogenesis system endothelial cell tube formationplates(BD Bioscience;カタログNo.354149)を用いて行った。
この液性因子を同定するため、ARPE-19細胞を高グルコースと低グルコースで培養し、各培養細胞から全mRNAを抽出し、cDNAを介してcRNAを合成し、gene chipを用いて、高グルコース刺激で発現が上昇したクローンを解析したところ、そのうちの一つのクローンとして、アンジオポエチン関連タンパク質4が得られた。以下に記載する(3)〜(5)の解析により、アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜血管内皮細胞の血管新生を誘導する液性因子であることが明らかになった。
環境中のグルコース濃度に対する網膜色素上皮細胞における遺伝子発現を検討するために、網膜色素上皮細胞のアンジオポエチン関連タンパク質4の発現量と、培地中のグルコース濃度の相関を調べた。
アンジオポエチン関連タンパク質4(ANGPTL4)プライマー(Applied Biosystem社;Hs00211522_ml)
ヒトβアクチン(ACTB)プライマー(Applied Biosystem社;Hs99999903_ml)
その結果、グルコースの濃度に依存して、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現量は増加することが分かった(図2)。
[1]の実験より、高濃度のグルコース存在下において、網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現が亢進することが明らかになった。そこで、網膜色素上皮細胞(ARPE-19細胞)に高濃度のグルコースを添加した後、どのようにアンジオポエチン関連タンパク質4の発現が変化するか、その発現の変化を時間ごとに測定した。
各々の時間が経過した後、培地を除去し、各ARPE-19細胞を回収し、TRIzol試薬(Invitrogen, Carlsabad, CA, USA)を用いて、ARPE-19由来のRNAを抽出した。そして、上記(2)に記載のリアルタイムPCR法を用いて、アンジオポエチン関連タンパク質4mRNA量を測定した。なお、コントロールは、ヒトβアクチンmRNA量とした。
その結果、高濃度のグルコースを添加して60分経過した頃から、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現が増加することが分かった(図3)。
以上より、網膜色素上皮細胞において、環境のグルコース濃度に依存して、アンジオポエチン関連タンパク質4が発現することが示された。従って、網膜色素上皮細胞がグルコース濃度に依存して分泌し、網膜血管内皮細胞の血管新生を誘導する液性因子の候補として、アンジオポエチン関連タンパク質4が考えられた。
糖尿病網膜症で生じる血管新生は、血管内皮細胞が遊走し、浸潤し、増殖し、最終的に管腔を形成する、という順序で起こる。そこで、アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜血管内皮細胞の血管新生の各段階に関与しているかどうかを調べた。
まず、網膜血管内皮細胞の浸潤及び遊走に対するアンジオポエチン関連タンパク質4の影響を調べた。なお、VEGF(血管内皮増殖因子)は、網膜における血管内皮細胞を増殖させ、血管新生に関与することが知られているため、以下の実験において、VEGFを入れた系をポジティブコントロールとした。
細胞1:コントロール(250μlの0.4%FBS含有CS-C Medium、1×105のヒト網膜血管内皮細胞)
細胞2:VEGF(250μlの5ng/ml VEGF及び0.4%FBS含有CS-C Medium、1×105のヒト網膜血管内皮細胞)
細胞3:アンジオポエチン関連タンパク質4(250μlの0.1μg/mlアンジオポエチン関連タンパク質4及び0.4%FBS含有CS-C Medium、1×105のヒト網膜血管内皮細胞)
次に、アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜血管内皮細胞の増殖に対して、どのような影響を与えるのかについて調べた。なお、[1]と同様に、VEGFを入れた系をポジティブコントロールとした。
細胞増殖アッセイは、Cell Count Reagent SF(nacalai tesque, Japan;カタログNo. 07553-15)を用いて、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼ活性を測定することによって行った。
4: 250μlの0.4%FBS含有CS-C Medium(コントロール)
5: 250μlの5ng/mlVEGF及び0.4%FBS含有CS-C Medium
6: 250μlの0.1μg/ml アンジオポエチン関連タンパク質4及び0.4%FBS含有CS-C Medium
さらに、本発明にかかるアンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜血管内皮細胞の管腔形成に対して、どのような影響を与えるのかについて調べた。なお、[2]と同様に、VEGFを入れた系をポジティブコントロールとした。
管腔形成アッセイは、BD BioCoat angiogenesis system endothelial cell tube formationplates(BD Bioscience;カタログNo.354149)を用いて行った。
7: 250μlのCS-C Medium(FBS含有無し)(コントロール)
8: 250μlの15ng/ml VEGF及びCS-C Medium(FBS含有無し)
9: 250μlの0.1μg/ml アンジオポエチン関連タンパク質4及びCS-C Medium(FBS含有無し)
これらの結果より、アンジオポエチン関連タンパク質4は、血管新生の各段階において、網膜血管内皮細胞の分化や増殖を促進することが明らかになった。この結果は、アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜血管内皮細胞が血管新生する過程に関与していることを示唆した。
網膜色素上皮細胞の培養上清において、アンジオポエチン関連タンパク質4が、血管新生を誘導する液性因子かどうか調べるため、siRNAを用いて、ARPE-19細胞中でアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制し、得られた培養上清を用いて管腔形成アッセイを行った。
アンジオポエチン関連タンパク質4 siRNA(Dharmacon, Inc.; siGENOME SMART poolカタログNo.M_007807-01-0010)
VEGF siRNA(Dharmacon, Inc.; siGENOME SMART poolカタログNo.M_003550-01-0010)
従って、アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜色素上皮細胞から分泌され、血管新生を誘導する液性因子であることが証明された。
グルコースを含有する培地に、PPARγアゴニストであるチアゾリジン誘導体の一種シグリタゾンを入れ、このような培地において、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現がどのように変化するのかを調べた。
まず、6cmの培養プレートに上記(1)(vi)で作製したLG培地又はHG培地を入れ、この中に約2×106個のARPE-19細胞を入れ、37℃でインキュベート(5%CO2)した。ARPE-19細胞が80%のコンフルエンスに達した後に、これらの培地に30μMのシグリタゾンを入れ、48時間37℃でインキュベート(5%CO2)した。なお、シグリタゾンを添加しないものをコントロールとした。
(6)(i)において、30μMシグリタゾンを10μM WY14643に変えた以外は、同様の方法を用いて、各々のアンジオポエチン関連タンパク質4mRNA量を測定した。
その結果、低濃度のグルコースを含有する培地及び高濃度のグルコースを含有する培地共に、WY14643によってアンジオポエチン関連タンパク質4の発現は変化しないことが分かった(図7)。この結果は、PPARαアゴニストの抗糖尿病薬を投与した場合には、網膜の血管新生は起こらず、糖尿病網膜症は増悪しないという臨床上の観察結果に一致する。
次に、(5)と同様に、以下のsiRNAを用い、網膜色素上皮細胞において、PPARγ及びHIF1-αの発現抑制を行った。なお、コントロールには、EGR-1siRNA及びLamin A/C siRNAを用いた。
PPARγ siRNA(Dharmacon, Inc.; siGENOME SMART poolカタログNo.M_003436-01)
HIF1-α siRNA(Dharmacon, Inc.; siGENOME SMART poolカタログNo.M_004018-02)
EGR-1 siRNA(Dharmacon, Inc.; siGENOME SMART poolカタログNo.M_006526-01)
Lamin A/C siRNA(Dharmacon, Inc.; siGENOME SMART poolカタログNo.M_001050-01-05)
また、HIF1-αがアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を正に制御していることが明らかになった。
Claims (31)
- グルコースを有効成分として含有するアンジオポエチン関連タンパク質4(angiopoietin-like 4)の発現亢進剤。
- 網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させることを特徴とする請求項1に記載の発現亢進剤。
- アンジオポエチン関連タンパク質4を有効成分として含有する網膜血管新生促進剤。
- 前記アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜色素上皮細胞由来であることを特徴とする請求項3に記載の網膜血管新生促進剤。
- アンジオポエチン関連タンパク質4の機能を抑制するアンジオポエチン関連タンパク質4抑制因子を有効成分として含有する網膜血管新生抑制剤。
- 前記アンジオポエチン関連タンパク質4抑制因子は、網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制することを特徴とする請求項5に記載の網膜血管新生抑制剤。
- 網膜の血管新生に起因する疾患に対する予防・治療剤であって、
アンジオポエチン関連タンパク質4の機能を抑制するアンジオポエチン関連タンパク質4抑制因子を有効成分として含有することを特徴とする予防・治療剤。 - 前記疾患が、糖尿病網膜症又は血管新生緑内障であることを特徴とする請求項7に記載の予防・治療剤。
- 前記アンジオポエチン関連タンパク質4抑制因子は、網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制することを特徴とする請求項7又は8に記載の予防・治療剤。
- HIF1α又はPPARγの機能を増強する機能増強剤を有効成分として含有するアンジオポエチン関連タンパク質4発現亢進剤。
- HIF1αの発現を亢進させる発現亢進剤又はPPARγのアゴニストであることを特徴とする請求項10に記載の発現亢進剤。
- HIF1α又はPPARγの機能を抑制する機能抑制剤を有効成分として含有するアンジオポエチン関連タンパク質4発現抑制剤。
- HIF1α又はPPARγの発現を抑制する発現抑制剤又はPPARγのアンタゴニストであることを特徴とする請求項12に記載の発現抑制剤。
- 前記発現抑制剤が、siRNAを含有することを特徴とする請求項13に記載の発現抑制剤。
- HIF1α又はPPARγの機能を増強する機能増強剤を有効成分として含有する網膜血管新生促進剤。
- HIF1αの発現を亢進させる発現亢進剤又はPPARγのアゴニストであることを特徴とする請求項15に記載の網膜血管新生促進剤。
- HIF1α又はPPARγの機能を抑制する機能抑制剤を有効成分として含有する網膜血管新生抑制剤。
- HIF1α又はPPARγの発現を抑制する発現抑制剤又はPPARγのアンタゴニストであることを特徴とする請求項17に記載の網膜血管新生抑制剤。
- 前記発現抑制剤が、siRNAを含有することを特徴とする請求項17に記載の網膜血管新生抑制剤。
- 網膜色素上皮細胞を含む培養細胞において、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させる方法であって、
グルコースを前記培養細胞に投与すること、
を特徴とする方法。 - 網膜血管内皮細胞を含む培養細胞において、血管新生を促進する方法であって、
アンジオポエチン関連タンパク質4を前記培養細胞に投与すること、
を特徴とする方法。 - 前記アンジオポエチン関連タンパク質4が、網膜色素上皮細胞由来のものであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
- 網膜血管内皮細胞を含む培養細胞において、血管新生を抑制する方法であって、
アンジオポエチン関連タンパク質4抑制因子を前記培養細胞に投与すること、
を特徴とする方法。 - 網膜色素上皮細胞を含む培養細胞において、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を亢進させる方法であって、
HIF1α又はPPARγの機能を増強する機能増強剤を前記培養細胞に投与すること、
を特徴とする方法。 - 網膜色素上皮細胞を含む培養細胞において、アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を抑制する方法であって、
HIF1α又はPPARγの機能を抑制する抑制因子を前記培養細胞に投与すること、
を特徴とする方法。 - 網膜の血管新生に起因する疾患を診断する診断キットであって、
アンジオポエチン関連タンパク質4の発現を診断マーカーとして使用すること、
を特徴とする診断キット。 - 前記疾患が、糖尿病網膜症又は血管新生緑内障であることを特徴とする請求項26に記載の診断キット。
- 網膜の血管新生に起因する疾患に対する予防又は治療に効果を有する物質のスクリーニング方法であって、
基準値以上の濃度のグルコース存在下において網膜色素上皮細胞を培養し、前記網膜色素上皮細胞に被験物質を投与し、前記網膜色素上皮細胞におけるアンジオポエチン関連タンパク質4を測定する工程を含むこと、
を特徴とするスクリーニング方法。 - 前記疾患が、糖尿病網膜症又は血管新生緑内障であることを特徴とする請求項28に記載のスクリーニング方法。
- 網膜の血管新生に起因する疾患に対する予防又は治療に効果を有する物質のスクリーニングに使用するアッセイ系であって、
基準値以上の濃度のグルコース存在下において培養した網膜色素上皮細胞を含むこと、
を特徴とするアッセイ系。 - 前記疾患が、糖尿病網膜症又は血管新生緑内障であることを特徴とする請求項30に記載のアッセイ系。
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WO2020179747A1 (ja) * | 2019-03-01 | 2020-09-10 | 学校法人慶應義塾 | Hif抑制用組成物 |
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