JP2008107910A - ガラス板の熱的快適性評価方法及び該評価方法を用いたガラス板選択方法 - Google Patents

ガラス板の熱的快適性評価方法及び該評価方法を用いたガラス板選択方法 Download PDF

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重敏 平島
Tetsuo Terayama
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Abstract

【課題】建設地域、季節、時間、開口部方位、開口部ガラス板構成の違いにより、室内の熱的快適性がどのように異なるかを既存のPMV指標を用い、簡易に評価できるツールを開発し、この結果を統計処理することにより、窓ガラス近傍のPMV値を簡単に取得することができるガラス板の種類別の熱的快適性評価方法及び該評価方法を用いたガラス板選択方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス面を多数に分割して温度分布を作成したり、床面及び天井面を多数に分割して温度分布を作成したり、室内全体の空間を多数の小空間に分割して小空間毎のPMV値を算出したりすることなく、ガラス温度、室温、床温度、天井温度を一つの代表値で算出することにより、窓ガラス近傍に特化したPMV値を簡易的に算出する。また、ガラス構成の違いにより、その窓に応じた熱的快適性が全体として相対的にどの程度異なるかを比較することにより、顧客のニーズに応じて最適なガラス板を選択し、提案できる。
【選択図】 図1

Description

本発明はガラス板の熱的快適性評価方法及び該評価方法を用いたガラス板選択方法に係り、特に建築物の窓に使用されるガラス板の熱的快適性評価方法及び該評価方法を用いたガラス板選択方法に関する。
建物は、建設地域、季節、時間、建物建設方位の違いにより、外気温、受熱日射量が異なり、年間を通じてさまざまな熱的な影響を受けている。これに対し、視認性を確保しつつ、その影響度合いを緩和させているのが開口部のガラス板であり、特にその建物が使用しているガラスの熱的性能値によって、室内の熱的快適性は大きく変わってくる。
特許文献1では、透明板の熱快適性評価方法として、体温調節モデルに65MNモデルを使ったSET(標準新有効温度)に基づいてTSV(Thermal Sensation Vote)を算出している。特許文献1によれば、居室内および人体の表面形状を複数の表面形状に分割し、内壁と人体との間の空間形状を複数の立体要素に分割し、全ての表面要素について形態係数を算出し、全ての表面要素に対して熱的条件を割り当てていた。
特開2002−315737号公報
しかしながら、特許文献1の如く、従来の熱快適性評価方法は、室内全体の空間を多数の小空間に分割し、精密なアルゴリズムで空間温度および表面温度を算出する手法であるため、算出が非常に難しく計算時間を要し、複数の気象条件について解析を行い年間を通じて熱快適性を評価しようとすると、その計算時間が膨大になり多大な労力を費やすこととなり、このような解析を行なうのは実用上困難であった。
建物は、建設地域、季節、時間、建物建設方位の違いにより、外気温、受熱日射量が異なり、年間を通じてさまざまな熱的な影響を受けるが、特に影響を受け易い部分は開口部のガラス板であり、視認性は確保されるが、熱的な弱点とされている。したがって、その建物が使用しているガラス板の熱的性能値によって、室内の熱的快適性は大きく変わってくることになる。例えば、2枚のガラス板のうち、室外側のガラス板にLow−Eコーティングを施した複層ガラス(旭硝子(株)製品名「サンバランス」)は、夏に外部からの日射熱を室内に入れにくく冷房効果を高め、冬には室内の暖房熱を反射するので熱を外部に逃がさず暖房効果を高めることが知られている。一方、2枚のガラス板のうち、室内側のガラス板にLow−Eコーティングを施した複層ガラス(旭硝子(株)製品名「サンレーヌ」)は、暖房エネルギーを外部に逃さず、同時に外からの日射熱を室内に取り入れるので、断熱性に優れることが知られている。このように、建物に使用されるガラス板の種類により、遮熱性や断熱性といった個別の特性がどのように異なるかについて対比がなされている。しかしながら、建物に使用されるガラス板の種類によって、熱的快適性を全体としてどのように評価するかを示す指標というものは現存していない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、建設地域、季節、時間、開口部方位、開口部ガラス板構成の違いにより、室内の熱的快適性がどのように異なるかを既存のPMV(Predicted Mean Vote:予測平均温熱指数)指標を用い、簡易に評価できるツールを開発し、この結果を統計処理することにより、窓ガラス近傍のPMV値を簡単に取得することができるガラス板の種類別の熱的快適性評価方法及び該評価方法を用いたガラス板選択方法を提供することを目的とする。
ガラスメーカにとっては、室内全体の空間を多数の小空間に分割して、室内全体のPMV値をきめ細かく解析するよりもガラスの種類に応じた窓ガラス近傍のPMV値を取得することが建設地域や開口部方位等に適切な窓用ガラスを推奨する上で重要である。この観点から、窓ガラス近傍のPMV値をガラスの種類に応じて取得するために、ガラス自体が有する性能値はその計算毎に設定するが、その他の設定値に対してはその条件毎に算出するのではなく、経験的に得られた経験値を代用したり、一つの代表値を用いたりすることで、窓ガラス近傍のPMV値の算出方法を簡易化した。また、建設地域、季節、時間、開口部方位、開口部ガラス構成の違いにより、室内の熱的快適性がどのように異なるかを簡易に検討できるツールを開発し、この結果を簡単に統計処理することで、ガラスの熱的快適性指標を作成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、建物の検討空間サイズを設定するとともに壁熱性能を設定する第1のステップと、地域、ガラス構成、ガラス設置方位、及び検討日時を選択する第2のステップと、ガラス熱的性能を算出する第3のステップと、前記第2のステップに基づいて気象データを選択する第4のステップと、空調、隣室温度、人体快適性主要パラメータを設定する第5のステップと、窓面受熱日射量を算出する第6のステップと、前記第1のステップ、第3のステップ、第5のステップ、及び第6のステップに基づいてガラス表面温度を算出するとともに室温を算出する第7のステップと、前記第1のステップ、第5のステップ、及び第7のステップに基づいて床、天井表面温度を算出するとともに平均放射温度を算出する第8のステップと、前記第5のステップ、第7のステップ、及び第8のステップに基づいて人体快適性数値を算出する第9のステップと、全ての選択条件について人体快適性数値を算出したかどうかを判定し、算出していなければ前記第2のステップに戻り、前記第2のステップ、第4のステップ、及び第5のステップの選択条件を順次変更する第10のステップと、全ての選択条件について人体快適性数値を算出した後に、該人体快適性数値に基づいて統計処理を行う第11のステップと、からなることを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記第7のステップは、ガラス表面全体における温度分布を算出することなく一つの代表するガラス温度を算出するとともに、部屋全体における温度分布を算出することなく一つの代表する室温を算出し、前記第8のステップは、床、天井全体における温度分布を算出することなく一つの代表する床温度、天井温度を算出することを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、ガラス温度、室温、床温度、天井温度を一つの代表値で算出することにより、窓ガラス近傍に特化した人体快適性数値(PMV値)を簡易的に算出することができる。
請求項3に記載の発明は、前記目的を達成するために、請求項1又は請求項2に記載のガラス板の熱的快適性評価方法を用い、ガラス構成の違いにより、その窓に応じた人体快適性数値を相対的に比較して、その窓に応じたガラス板を選択することを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、ガラス構成の違いにより、その窓に応じた熱的快適性(人体快適性数値)が全体として相対的にどの程度異なるかを容易に比較できるので、顧客のニーズに応じて最適なガラス板を選択し、提案できる。
本発明に係るガラス板の熱的快適性評価方法によれば、窓ガラス近傍に特化した簡易的な算出手法により窓ガラス近傍のPMV値を算出したので、ガラスの種類に応じた窓ガラス近傍のPMV値を簡単に取得することができる。
本発明に係るガラス板の熱的快適性評価方法を用いたガラス板選択方法によれば、ガラス構成の違いにより、その窓に応じた人体快適性数値が全体として相対的にどの程度異なるかを容易に比較できるので、顧客のニーズに応じて最適なガラス板を選択し、提案できる。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、実施の形態のガラス板の熱的快適性評価方法の一例を示したフローチャートであり、ガラスの熱的快適性指標の算出手順が示されている。また、図2は、ガラスの熱的快適性指標を算出するための装置構成が示されている。
図2によれば、熱的快適性指標の算出手順が格納された計算ソフト10がコンピュータのCPU12に搭載され、CPU12は、入力手段であるキーボード14からの入力情報に基づき、データベースA16、データベースB18、データベースC20に記録されている所定の情報を読み出し、その情報を下記の如く演算処理することにより窓ガラスに特化したPMV値を算出し、その結果をディスプレイ22に表示する。なお、データベースA16には、地域、ガラス構成(品種)が記録され、データベースB18には、アメダス気象データが記録され、データベースC20には、空調、隣室温度、人体快適性主要パラメータが記録されている。
まず、図1のフローチャートで示す熱的快適性評価方法の特徴は、特許文献1の透明板の温熱快適性能評価方法及びプログラムにおいては、精密なアルゴリズムで求められる空間温度、及び表面温度が計算時間を要し、また条件を変えて値を求めるのに手間も要することに対し、実施の形態の熱的快適性評価方法は、窓ガラス近傍に特化したPMV値について、瞬時に計算が可能であり、時刻変動による日射量、外気温の影響を都度条件として、何ケースも検討可能であるところに特徴を有する。また、熱的快適性指標の大元はPMVという公知の一般的な指標を使用しているが、最終的なアウトプットのガラスの熱的快適性指標(統計処理)については、新規の指標となる。
次に、図1に示したフローチャートについて説明する。
〔ステップ(S)1:検討空間サイズ設定、壁熱性能設定〕
検討空間は、建物内部の大型開口部を有する1室(たとえばリビング)と見立てており、建築上よくある矩形(直方体)型の形状を想定した。
図3の表に示す幅、奥行き、高さの検討空間サイズ、開口部の幅、高さ寸法の開口部サイズをキーボード14から計算ソフト10に入力する。また、壁の熱性能であるが、計算ソフト10は建築用開口部の熱性能の違いによる熱的快適性に焦点を当てているので、窓以外の壁の性能値は建築上一般的に使用される壁の熱貫流率として、図3の表の如くデフォルト値を設定した(例えば天井、床=0.5W/mK、内壁1W/mK)。また、日射吸収率は図3の表の如く床面のみ設定、放射率はガラスのみ設定とした。なお、設定理由についてはS7で記述する。
〔S2:地域選択、ガラス構成選択、ガラス設置方位選択、検討日時選択〕
地域選択は、各都道府県名を選択することで各県庁所在地の緯度経度を引数として割り当てることとした。この情報はデータベースA16から取得する。
ガラス構成選択は、建築用途でよく使用される開口部状況を想定し、
A:単板ガラスのみ
B:単板ガラス+カーテン
C:複層ガラスのみ
D:複層ガラス+カーテン
の4種類の中から選択できるようにした。この選択により、ガラス板(又はガラス板+カーテン)の熱的性能を特徴づける熱貫流率と日射熱取得率を引数として割り当てる。
ガラス設置方位選択は、16方位の中から選択できるようにした。実施の形態では、大型開口部を有する1室の建築用開口部の熱性能の違いによる熱的快適性に焦点を当てているので、1室の複数方位に窓があることを想定していない。
検討日時選択は、各月、各日、時間を設定できるようにした。
〔S3:ガラス熱的性能算出〕
JIS R3106、及びJIS R3107に準拠してガラスの日射熱取得率及び熱貫流率を算出した。また、カーテンがある場合は、JIS規格にその算出方法の記載がないので、板硝子協会の推奨のカーテンガラス間の熱伝達抵抗値を用い、JIS規格に準拠した形で算出した。
図4の表は、複層ガラス+カーテン(品種の記号:Low−E3+A12+FL3+カーテン)の例である。この例では、室外側ガラス板は呼び厚さ3ミリのLow−Eコーティング付きガラス、中空層12mm、室内側ガラス板は呼び厚さ3ミリの通常のフロートガラスで構成される複層ガラスを用いている。
これによると、日射透過率25.50%、日射反射率38.90%、日射吸収率35.60%、日射熱取得率0.33、熱貫流率1.6W/mKである。
〔S4:気象データ選択〕
S2の地域選択、検討日時選択、ガラス設置方位選択で得られた情報を元に、アメダス気象データから対応する外気温、法線面直達日射量、天空日射量、水平面全天日射量を算出した。アメダス気象データはデータベースB18から取得する。
〔S5:空調設定、隣室温度設定、人体快適性主要パラメータ設定〕
空調設定は、詳細な検討では、空調の吹き出し温度、風量を設定し、室内の空気温度分布を算出することになるが、計算ソフト10では、建築用開口部の熱性能の違いによる熱的快適性に焦点を当てているので、詳細な空間温度分布は必要としない。つまり、空間温度分布計算は行わないので、空調設定では吹き出し温度ではなく、空調による部屋の平均設定温度を与えることとする。また、風量は空調機器メーカーのデフォルト値をベースに500m/hと設定した。
隣室参照温度は、各壁面の検討空間の隣室の平均温度として設定した。
デフォルト値は、開口部のみ外気温とし、その他天井以外は、夏は26℃、冬は22℃とし、天井の隣室参照温度のみ夏は28℃、冬は24℃とした。
人体快適性主要パラメータ設定は、PMV指標の算出に必要な6つのパラメータ(代謝量、着衣量、室温、放射温度、平均気流速度、絶対湿度)のうち、代謝量、着衣量、平均気流速度、絶対湿度の4つについて、建築用途において標準的な値をあらかじめ設定した。代謝量は1.0[met]、着衣量は夏期0.6[clo]、中間期0.8[clo]、冬期1.0[clo]、平均気流速度は0.2m/sとした(室温、平均放射温度は計算値を用いる)。空調、隣室温度、人体快適性主要パラメータはデータベースC20から取得する。
〔S6:窓面受熱日射量算出〕
窓面受熱日射量の算出には、あらかじめ設定した、図5の表の日射遮蔽物の形状と検討日時、ガラス設置方位にあわせた気象データの法線面直達日射量、天空日射量、水平面全天日射量から、特許文献1の日射解析方法に準じ、窓面に外から照射される日射量を算出した(しかしながら、計算ソフト10では窓面到達日射量のみ算出することとし、室内まで到達する日射量分布計算は行わない)。
算出結果を説明すると、〔東京:方位 南 3月21日14時〕において、直達日射量156.70〔W/m〕、天空日射量58.17〔W/m〕、照り返し量130.52〔W/m〕であった。
〔S7:ガラス表面温度算出、室温算出〕
ガラス表面温度は、S6の窓面受熱日射量算出で求めたガラス面に照射される日射量と、S3のガラス熱的性能算出で求めたガラスの熱的性能値をベースに以下の熱収支計算の方程式を解くことで算出する。
ここでは複層ガラス+カーテンの例を示している。
I・A1−αo(tg1−to)−αa(tg1−tg2)=0
I・A2−αa(tg2−tg1)−αb(tg2−tb)=0
I・Ab−αb(tb−tg2)−αi(tb−ti)=0
I・η・Ag−Σ{U・(ti−tref)・As}−ρCp・Vair・(ti−tair)−
ρCp・Vo・(ti−to)=0
ここで、
I:S6で算出した窓面受熱日射量[W/m]、
to:S4で選択した検討日時における外気温[℃]
ti:開口部近傍の部屋空気温度(室温)[℃](未知)
t1、t2、tb:開口部の各部材表面温度(ガラス表面温度)[℃](未知)
ここでt1(外側ガラス)、t2(内側ガラス)、tb(カーテン)
tair:空調による設定温度[℃](S5の空調設定で定めたもの)
tref:隣室設定温度[℃](S5の隣室温度設定で定めたもの)
A1、A2、Ab:JIS R3106準拠の日射熱取得率η算出の際に用いる
各開口部材の総合熱吸収率[%]
A1(外側ガラス)、A2(内側ガラス)、Ab(カーテン)
αo、αi、αa、αb:JIS R 3106準拠の各表面の熱伝達率[W/mK]
αo(室外)、αi(室内)、αa(複層ガラス中空層)、αb(ガラス−
カーテン間空気層)
η、U:JIS R3106準拠の日射熱取得率[−]及びJIS R3107準拠
の熱貫流率[W/mK]
Vair:空調吹き出し風量[℃](S5の空調設定で定めたもの)
Vo:換気量[m/h](S1の検討空間サイズにおいて換気回数0.5回に相当する換気量)
Ag:開口部面積[m]
As:各壁面面積[m]
特許文献1においては、室内に到達する日射量分布と放射による壁表面温度分布ともに算出を行っている。しかしながら、本計算ソフト10は建築用開口部の熱性能の違いによる熱的快適性に焦点を当てている。通常の建築物では庇、バルコニーといった日射遮蔽物が外部にあることが想定されるので、通常、室内に直達日射が照射される場合、窓近傍の床部分に照射される場合が殆どであるとみなせる。したがって、床面の日射吸収率のみ設定した。また、室内の放射による各壁面表面温度に関しても、詳細に検討を行うのであれば、放射計算が必要であるが、建築環境の検討で一般的に使用されている室内側の熱伝達係数でその影響を代用することとし、開口部の窓と床、天井のみ計算値とした。床と天井の表面温度に関しては、S8の床、天井表面温度算出に示す。
〔S8:床、天井表面温度算出、平均放射温度算出〕
床、天井表面温度算出は以下の熱収支計算の方程式を解くことで算出する。
I・Te・CD・Af−αi(tf−ti)−Uf’(tf−tref)=0
αi(tr−ti)−Ur’(tr−tref)=0
ここで、
I:S6で算出した窓面受熱日射量[W/m]、
Te:S3のガラス熱的性能算出においてJIS R3106に準拠して求められる日射熱取得率算出の際に計算されるガラス総合透過率[%]
CD:旭硝子板ガラス建材総合カタログ記載(JIS R3106、R3107に準拠。空気調和計算法(発行者:オーム社、発行日:昭和61年12月20日))のガラスの入射角度特性
Af:S1の壁熱性能設定で定めた床面日射吸収率[%]
αi:JIS R3106準拠の室内熱伝達率[W/mK]
tf、tr:各部材表面温度[℃] (未知) ここで、tf(床)、tr(天井)
ti:S7の室温算出で求めた室温[℃]、
tref:S5の隣室温度設定で設定した隣室温度[℃]
Uf’:S1の壁熱性能設定で定めた床の熱貫流率Ufに対し、室内側の成分を除去したもの[W/mK]。
以下の式で算出される。
Uf’=1/{(1/Uf)−(1/αi)}
Ur’:S1の壁熱性能設定で定めた天井の熱貫流率Urに対し室内側の成分を除去したもの[W/mK]。
以下の式で算出される。
Ur’=1/{(1/Ur)−(1/αi)}
平均放射温度は、S7のガラス表面温度算出と、S8の床、天井表面温度算出で 求められた値と、S5の隣室温度設定で設定したその他部材表面温度と、S1の検討空間サイズで設定した、各部材面積を用いて、建築環境で用いられる一般的な平均放射温度の算出式を用いて算出した。〔東京:方位 南 3月21日14時〕における、 計算結果例を図6の表に示す。
この計算結果によれば、外側ガラス温度14.8[℃]、中空層温度19.4[℃]、内側ガラス温度24.1[℃]、空気層(内)温度24.3[℃]、カーテン温度24.6[℃]、室内温度24.7[℃]、窓温度24.6[℃]、仮壁1温度24.7[℃]、仮壁2温度24.7[℃]、仮壁3温度24.7[℃]、床温度29.3[℃]、天井温度24.7[℃]、平均放射温度27.7[℃]であった。
〔S9:人体快適性数値算出〕
S5の人体快適性主要パラメータ設定で設定した代謝量、着衣量、平均気流速度、絶対湿度と、S7の室温算出で計算した室温、及びS8の平均放射温度算出で計算した平均放射温度を用いて、既存の快適性指標PMV値を算出した。PMV値は−3〜+3までの数値で寒い〜暑いの程度を数値で定量的に示すもので、−0.5〜+0を熱的快適領域としている。PMV値の算出にあたっては、ASHRAE STANDARD55-2004 Thermal Environmental Conditions for Human Occupancy記載のPMV算出プログラムを引用した。特許文献1においては、人体の部位ごとの検討をおこなう人体モデルを使用しているが、建築用途については、マクロな全身的な温冷感を捉えられれば十分であるので、特許文献1の手法は用いず、上記のPMV算出プログラムを引用した。
図7の表に計算結果によれば、PMV0.45〔−〕、PPD9.2〔%〕であった。
図7の計算結果例のように、ASHRAE STANDARD55-2004ではPMVの値以外にPPD(Predicted Percentage of Dissatisfied)も示している。
〔S10:選択条件変更〕
S2〜S9に関し、特にS2の検討日時選択とそれに伴う、S4の気象データ選択と、S5の空調設定、隣室温度設定、人体快適性主要パラメータ設定を変更して、改めて、S9の人体快適性数値算出まで計算することで、検討日時別の快適性数値を抽出できる。
また、次のS11の統計処理を踏まえ、場合によってはS2の地域選択、ガラス構成選択、ガラス設置方位選択も変更することで、地域別、ガラス構成別、ガラス設置方位別の比較検討が容易にできるという利点がある。
〔S11:統計処理〕
選択条件変更を数多く行うことで、日時別、ガラス構成別、地域別、方位別の結果を集めることができる。特に、ガラス構成別にその結果を集計することで、ガラス構成別の熱的快適性の数値が得られる。
図8の表は、年間の代表日(2/1、3/21、6/21、8/1、9/21、12/21)毎のPMVの絶対値を、検討数で割った値を算出した(S12)結果例であり、方位別、ガラス別に快適性の数値(指標)が異なることを示している。この結果例は、ディスプレイ22に表示される。なお、この表の凡例において、FL3とは呼び厚さ3ミリの通常のフロートガラス(単板)を示し、A6、A12とはそれぞれ厚さ6mm、12mmの中空層を示し、LU3とは呼び厚さ3ミリのLow−Eコーティング付きガラスを示している。また、中空層を有する組み合わせのもの(例えば、FL3+A6+FL3や、LU3+A12+FL3など)は複層ガラスを示している。
図8の結果例を得ることにより、S1で指定した検討空間サイズ、壁熱性能、S2で指定した地域、ガラス設置方位で特定される、その窓に応じた熱的に快適な単板ガラス(+カーテン)、又は複層ガラス(+カーテン)を選択することができ、推奨することができる。このように、ガラス構成の違いにより、その窓に応じた熱的快適性(人体快適性数値)が全体として相対的にどの程度異なるかを容易に比較できるので、顧客のニーズに応じて最適なガラス板を選択し、提案できる。
以上述べたフローチャートに従って各種数値を設定、及び算出することにより、実施の形態のガラスの熱的快適性評価方法によれば、窓ガラス近傍のPMV値を簡単に取得することができる。
実施の形態のガラス板の熱的快適性評価方法の一例を示したフローチャート ガラスの熱的快適性指標を算出するための装置構成を示したブロック図 建物内部の幅、奥行き、高さの検討空間サイズ等を示した表 複層ガラス+カーテンの透過率等を示した表 日射遮蔽物の形状と検討日時を示した表 東京:方位 南 3月21日14時における温度の計算結果例を示した表 算出されたPMV値を表示した表 年間の代表日毎のPMVの絶対値を検討数で割った値を算出した表
符号の説明
10…熱的快適性指標の算出手順が格納された計算ソフト、12…CPU、14…キーボード、16…データベースA、18…データベースB、20…データベースC、22…ディスプレイ

Claims (3)

  1. 建物の検討空間サイズを設定するとともに壁熱性能を設定する第1のステップと、
    地域、ガラス構成、ガラス設置方位、及び検討日時を選択する第2のステップと、
    ガラス熱的性能を算出する第3のステップと、
    前記第2のステップに基づいて気象データを選択する第4のステップと、
    空調、隣室温度、人体快適性主要パラメータを設定する第5のステップと、
    窓面受熱日射量を算出する第6のステップと、
    前記第1のステップ、第3のステップ、第5のステップ、及び第6のステップに基づいてガラス表面温度を算出するとともに室温を算出する第7のステップと、
    前記第1のステップ、第5のステップ、及び第7のステップに基づいて床、天井表面温度を算出するとともに平均放射温度を算出する第8のステップと、
    前記第5のステップ、第7のステップ、及び第8のステップに基づいて人体快適性数値を算出する第9のステップと、
    全ての選択条件について人体快適性数値を算出したかどうかを判定し、算出していなければ前記第2のステップに戻り、前記第2のステップ、第4のステップ、及び第5のステップの選択条件を順次変更する第10のステップと、
    全ての選択条件について人体快適性数値を算出した後に、該人体快適性数値に基づいて統計処理を行う第11のステップと、
    からなることを特徴とするガラス板の熱的快適性評価方法。
  2. 前記第7のステップは、ガラス表面全体における温度分布を算出することなく一つの代表するガラス温度を算出するとともに、部屋全体における温度分布を算出することなく一つの代表する室温を算出し、
    前記第8のステップは、床、天井全体における温度分布を算出することなく一つの代表する床温度、天井温度を算出することを特徴とする請求項1に記載のガラス板の熱的快適性評価方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のガラス板の熱的快適性評価方法を用い、ガラス構成の違いにより、その窓に応じた人体快適性数値を相対的に比較して、その窓に応じたガラス板を選択することを特徴とするガラス板の熱的快適性評価方法を用いたガラス板選択方法。
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