JP2008106259A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】伸び性、耐熱性及び透明性に優れた脂肪族系ポリエステル樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とを重量比99/1〜10/90で含有し、アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)からなり、少なくとも一方の重合体ブロックに反応性官能基(c)を有することを特徴とする脂肪族系ポリエステル樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、伸び性、耐熱性、及び透明性に優れた脂肪族系ポリエステル樹脂組成物に関する。
地球温暖化防止、循環型社会の構築に貢献する新たな資源として、植物など生物由来の樹脂であるバイオマスが注目されている。バイオマスを燃焼すると、石油由来の樹脂と同様に二酸化炭素(CO)を発生するが、植物は、成長過程で光合成によりCOを吸収しており、ライフサイクル全体でみると大気中のCOを増加させず、収支はゼロであると考えられる。このように、COの増減に影響を与えない性質のことをカーボンニュートラルと呼んでいる。このカーボンニュートラルという思想が、近年、普及し、様々な植物由来樹脂が開発されている。これらのうち溶融成形が可能な植物由来樹脂として、例えば、でんぷん、グルコース、ポリ3−ヒドロキシアルカノエート(以下、P3HAと記する場合がある)、ポリ乳酸などの脂肪族系ポリステルが知られている。
脂肪族系ポリエステルの中でも、ポリ3−ヒドロキシアルカノエートは微生物から培養できるバイオポリマーとして、溶融成形可能な植物由来樹脂の中でも高く期待されている。特許文献1では脂肪族ポリエステルに特定の可塑剤を配合する事で伸び性が改善されると示されているが、ポリ乳酸を中心とした例示でP3HAに関する具体的な開示やアクリル系ブロック共重合体の添加に関する記載はなく、また透明性を維持させた場合、耐熱性が充分ではない。特許文献2では、脂肪族ポリエステルに特定の可塑剤を配合する事で伸び性が改善されると示されているが、P3HA共重合体であるPHBV(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバリレート)を中心とした例示であり、アクリル系ブロック共重合体の添加に関する記載はなく、また透明性と伸び性のバランスが十分ではない。そこで、伸び性、透明性、耐熱性を兼ね備えたものへの改良が望まれている。
特開2003−313401号公報 特開2001−64494号公報
本発明の目的は、伸び性、耐熱性及び透明性に優れた脂肪族系ポリエステル樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、P3HAに特定のアクリル系ブロック共重合体をブレンドすることによって、耐熱性及び透明性のレベルを損なわずに脂肪族系ポリエステル樹脂組成物の伸び性を改善する事が可能となった。
即ち、本発明の第一は、構造式(1):[−CHR−CH2−CO−O−](式中、RはCn2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とを重量比99/1〜10/90で含有し、アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)からなり、少なくとも一方の重合体ブロックに反応性官能基(c)を有することを特徴とする脂肪族系ポリエステル樹脂組成物に関する。好ましい実施態様は、反応性官能基(c)が酸無水物基であることを特徴とする上記記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物に関する。より好ましくは、アクリル系ブロック共重合体(B)が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とする上記記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物、更に好ましくは、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の重量平均分子量Mwが30万〜300万であることを特徴とする上記記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物、に関する。また好ましくは、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)が(3−ヒドロキシブチレート)繰り返し単位および(3−ヒドロキシヘキサノエート)繰り返し単位からなる[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体であることを特徴とする、上記記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物に関する。
本発明によれば、カーボンニュートラルの観点から地球温暖化防止に貢献でき、伸び性、耐熱性及び透明性に優れた樹脂組成物及び成形体を提供できる。
本発明にかかる脂肪族系ポリエステル樹脂組成物は、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)およびアクリル系ブロック共重合体(B)からなる。以下に、該組成物の各成分について詳細に説明する。
<(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)>
本発明の(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)は、構造式(1):[−CHR−CH2−CO−O−](式中、RはCn2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体であれば、特に限定されるものではなく、複数の構成成分からなる共重合体であってもよいし、他の共重合成分単位を含有するものであってもよい。具体的には、構造式(1)を主たる構成成分とする重合体としては、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸、ポリ3−ヒドロキシオクタン酸、ポリ3−ヒドロキシデカン酸などが挙げられる。これらの(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の中でも、樹脂自身の特性から[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体(以下、PHBHともいう)が好ましく使用される。
他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、構造式(1)以外のヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族多価アルコール類、グリコール酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、少なくとも1種を用いることができる。
ここで、PHBH共重合体とは、3−ヒドロキシブチレート及び3−ヒドロキシヘキサノエートを主成分とする共重合体の総称として用いるものである。該共重合体は、3−ヒドロキシブチレート及び3−ヒドロキシヘキサノエートを主成分とするものである限り、上述のような他の共重合成分を含んでもよい。また、上記共重合体を得るための重合方法は特に限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合等のいずれの共重合方法を適用してもよいが、得られる共重合体の物性を制御しやすいことから、ブロック共重合体よりもランダム共重合体を得る方が好ましい。
本発明におけるPHBH共重合体の繰り返し単位の構成比としては、耐熱性と伸び性を両立する観点から、(3−ヒドロキシブチレート)単位/(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位=99/1〜80/20(mol/mol)であることが好ましく、98/2〜82/18(mol/mol)であることがより好ましく、97/3〜85/15(mol/mol)であることがさらに好ましい。(3−ヒドロキシヘキサノエート)単位の比率が低すぎると伸び性が低下し、逆に高すぎると耐熱性が悪化する傾向がある。なお、PHBH共重合体の繰り返し単位の構成比に関しては、3−ヒドロキシヘキサノエートの含有率をHH比率と略する場合がある。
本発明の(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量で30万〜300万であることが好ましく、40万〜250万であることがより好ましく、50万〜200万であることが更に好ましい。(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の重量平均分子量が30万未満では、強度などの機械的特性が不十分である場合があり、300万を超えると、成形性が劣る場合がある。
なお、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の重量平均分子量の測定方法は特に限定されないが、一例としては、クロロホルムを移動相として、システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いることにより、ポリスチレン換算での分子量として求めることができる。
(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができる。特にポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)についてはグルコースや植物油脂などを原料として微生物の体内に産生させる方法が挙げられる。
<アクリル系ブロック共重合体(B)>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(B)とは、アクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)とからなる重合体を意味する。アクリル系ブロック共重合体(B)は、線状ブロック共重合体であっても、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。その構造は、加工特性や機械特性などに応じて適宜選択すればよいが、コスト面や重合容易性の点から、線状ブロック共重合体であるのが好ましい。
線状ブロック共重合体は、どのような線状ブロック構造(配列)であってもかまわないが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(B)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)(以下、重合体ブロック(a)またはブロック(a)ともいう。)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)(以下、重合体ブロック(b)またはブロック(b)ともいう。)が、一般式:(a−b)、一般式:b−(a−b)、一般式:(a−b)−a(nは1〜3の整数)で表されるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物にした場合の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体またはこれらの混合物が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B)は、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)と反応性をもたせ、相溶性を向上させたり、伸び性を向上させるために、反応性官能基(c)(以下、単位(c)ともいう。)を有するものである。反応性官能基(c)は、ブロック(a)またはブロック(b)またはこれら両方の重合体ブロックに存在していてよい。
反応性官能基(c)としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基およびイソシアネート基等が挙げられる。このうち、反応性官能基(c)としては、酸無水物基が、反応性の点から好ましい。
単位(c)は、アクリル系重合体ブロック(a)またはメタアクリル系重合体ブロック(b)、またはこれらの両方のブロックに、一分子当たり1個以上含まれているのが好ましい。その数が2個以上の場合には、その単位(c)が重合されている様式はランダム共重合であってもよく、ブロック共重合であってもよい。
ブロック共重合体(B)への単位(c)の含有のさせ方をb−a−b型のトリブロック共重合体を例にとって表すと、(b/c)−a−b型、(b/c)−a−(b/c)型、c−b−a−b型、c−b−a−b−c型、b−(a/c)−b型、b−a−c−b型、b−c−a−b型などで表され、これらのいずれであってもよい。ここで(a/c)とは、ブロック(a)に単位(c)が含有されていることを表し、(b/c)とは、ブロック(b)に単位(c)が含有されていることを表し、c−a−、a−c−とは、ブロック(a)の端部に単位(c)が結合していることを表す。表現は、(a/c)、(b/c)、c−a−、a−c−などであるが、これらはいずれもブロック(a)またはブロック(b)に属する。
アクリル系ブロック共重合体(B)の数平均分子量は、30,000〜500,000が好ましく、40,000〜400,000がより好ましく、50,000〜300,000がさらに好ましい。分子量が30,000未満であると改質剤として充分な伸び性を発現することができない場合があり、500,000を超えると物性上に問題はないが、重合時間が長くなり、生産性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)としては、1〜2であるのが好ましく、1〜1.8であるのがより好ましい。Mw/Mnが2を超えるとアクリル系ブロック共重合体(B)の伸び性が悪化する場合がある。尚、本発明における数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いてクロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算の分子量を求めたものである。
アクリル系ブロック共重合体(B)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)との組成比は、要求される物性、組成物の加工時に要求される成形性、およびアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)にそれぞれ必要とされる分子量などから決めればよい。好ましいアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)の組成比の範囲を例示すると、アクリル系重合体ブロック(a)が40〜95重量%(メタアクリル系重合体ブロック(b)が60〜5重量%)であるのが好ましく、50〜90重量%(メタアクリル系重合体ブロック(b)が50〜10重量%)であるのがより好ましい。アクリル系重合体ブロック(a)の割合が40重量%より少ない場合には、伸び性が低下する場合があり、95重量%より多い場合には、ペレットの粘着性が高くなりすぎて(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)とのブレンド時に取り扱い難くなる場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(B)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)とのガラス転移温度の関係は、アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度をTg、メタアクリル系重合体ブロック(b)のそれをTgとした場合、下式の関係を満たすようにするのが好ましい。
Tg<Tg
ここで、アクリル系重合体ブロック(a)やメタアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)は、下記Foxの式にしたがい、各重合体ブロックにおける単量体の重量比率を用いて概算値を求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tg
1+W2+…+Wm=1
(式中、Tgは重合体ブロックのガラス転移温度を表し、Tg1,Tg2,…,Tgmはそれぞれ重合した単量体(ホモポリマー)のガラス転移温度を表す。また、W1,W2,…,Wmはそれぞれ重合した単量体の重量比率を表す。)
Foxの式における、それぞれの単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、たとえば、ポリマー ハンドブック第3版(Polymer Handbook Third Edition)(ウイレィ インターサイエンス(Wiley−Interscience),1989)に記載されており、本明細書ではこの値を用いている。
アクリル系ブロック共重合体(B)の具体例としては、たとえば後述する製造例2及び3で製造したアクリル系ブロック共重合体が挙げられる。このようなアクリル系ブロック共重合体について、以下、さらに詳細に説明する。
<アクリル系重合体ブロック(a)>
アクリル系ブロック共重合体(B)中のアクリル系重合体ブロック(a)は、ゴム特性を発現するためにメタアクリル系重合体ブロック(b)とのガラス転移温度の関係において、Tg<Tgを満たすようにするのが好ましい。また、アクリル系重合体ブロック(a)は、そのブロック全体において、アクリル酸エステル単位を50〜100重量%含有しているのが好ましく、75〜100重量%含有しているのが伸び性を大きくする点でより好ましい。またこれらと共重合可能な他のビニル系単量体を0〜50重量%含有しているのが好ましく、0〜25重量%を含有しているのがより好ましい。アクリル酸エステル単位の割合が50重量%未満であると、アクリル酸エステルを用いた場合の特徴である物性の伸び性が小さくなる場合がある。
アクリル系重合体ブロック(a)の分子量は、アクリル系重合体ブロック(a)に必要とされる弾性率やゴム弾性などから決めればよい。アクリル系重合体ブロック(a)に必要とされる数平均分子量をMAとして、その範囲を例示すると、好ましくはMA>3,000、より好ましくはMA>5,000、さらに好ましくはMA>10,000、とくに好ましくはMA>20,000、最も好ましくはMA>40,000である。アクリル系重合体ブロック(a)の数平均分子量MAが前記の範囲より小さいと、伸び性が低くなる。また、分子量の上限は、好ましくは500,000以下であり、さらに好ましくは300,000以下である。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数が1以上18以下のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのアクリル酸エステルの中でも、伸び性、コストおよび入手しやすさの点から、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえばメタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロンゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などがあげられる。
メタアクリル酸エステルとしては、たとえばメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸n−ペンチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸n−ヘプチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸ステアリルなどのメタアクリル酸脂肪族炭化水素(たとえば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルなどのメタアクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタアクリル酸ベンジルなどのメタアクリル酸アラルキルエステル;メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイルなどのメタアクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタアクリル酸2−メトキシエチル、メタアクリル酸3−メトキシブチルなどのメタアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタアクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
共役ジエン系化合物としては、たとえばブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどがあげられる。
ビニルエステル化合物としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどが挙げられる。
マレイミド系化合物としては、たとえばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。
アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ビニル系単量体は、アクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度、弾性率、極性、また、アクリル系ブロック共重合体(B)が組成物として使用される場合に要求される物性、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)との相溶性などによって好ましいものを適宜選択することができる。
アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは0℃以下である。ガラス転移温度が50℃より高いと、アクリル系ブロック共重合体(B)のゴム弾性が低下し、伸び性も低下する場合がある。
アクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度(Tg)の設定は、重合体ブロックを構成する各単量体のホモポリマーのガラス転移温度を前述のポリマーハンドブック第3版から求め、各単量体の重合比率から、前記Foxの式にしたがい、重合体ブロックを構成する単量体の重量割合を変化させることにより行うことができる。
アクリル系重合体ブロック(a)の具体例としては、たとえば、後述する製造例2及び3で製造したアクリル系ブロック共重合体に含まれるアクリル系重合体ブロックがあげられる。
<メタアクリル系重合体ブロック(b)>
アクリル系ブロック共重合体(B)中のメタアクリル系重合体ブロック(b)は、アクリル系重合体ブロック(a)とのガラス転移温度の関係、Tg<Tgを満たすようにするのが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の分子量は、メタアクリル系重合体ブロック(b)に必要とされる凝集力などから決めればよい。
凝集力は、分子間の相互作用(極性)と絡み合いの度合いに依存するとされており、数平均分子量を増やすほど絡み合い点が増加して凝集力が増加する。すなわち、メタアクリル系重合体ブロック(b)に必要とされる数平均分子量をMBとし、メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成する重合体の絡み合い点間分子量をMcBとしてMBの範囲を例示すると、凝集力が必要な場合には、好ましくはMB>McBである。さらに例をあげると、さらなる凝集力が必要とされる場合には、好ましくはMB>2×McBであり、逆に、ある程度の凝集力とクリープ性を両立させたいときには、McB<MB<2×McBであるのが好ましい。絡み合い点間分子量は、ウ(Wu)らの文献(ポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polym.Eng.and Sci.)、1990年、30巻、753頁)などを参照すればよい。たとえば、メタアクリル系重合体ブロック(b)がすべてメタアクリル酸メチルから構成されているとして、凝集力が必要とされる場合のメタアクリル系重合体ブロック(b)の数平均分子量の範囲を例示すると、9,200以上であることが好ましい。ただし、単位(c)がメタアクリル系重合体ブロック(b)に含有される場合には、単位(c)による凝集力が付与されるので、数平均分子量はこれより低く設定することができる。製造時の取り扱い性から、分子量の上限は好ましくは200,000以下、さらに好ましくは100,000以下である。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、前記アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体として例示したものが挙げられる。これらメタアクリル酸エステルは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、コスト、入手しやすさおよび(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)との相溶性の点から、メタアクリル酸メチルが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえばアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル系重合体ブロック(a)の説明で例示した構成単量体と同様の単量体が挙げられる。
芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としてはアクリル系重合体ブロック(a)の説明で共重合可能なビニル系単量体として例示した構成単量体と同様の単量体が挙げられる。
メタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体は、上記のものを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、メタアクリル酸メチルの重合体は、加熱により解重合するが、メタアクリル酸メチルにアクリル酸エステル、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルもしくはそれらの混合物またはスチレンなどを共重合させることで、解重合を抑えることができる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満の場合、高温でのゴム弾性が低下する場合がある。
メタアクリル系重合体ブロック(b)のガラス転移温度(Tg)の設定は、重合体ブロックを構成する各単量体のホモポリマーのガラス転移温度を前述のポリマーハンドブック第3版から求め、各単量体の重合比率により、前記Foxの式にしたがい、重合体ブロックを構成する単量体の割合を変えることにより行うことができる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の具体例としては、たとえば後述する製造例2及び3で製造したアクリル系ブロック共重合体に含まれるメタアクリル系重合体ブロックがあげられる。
<反応性官能基(c)>
反応性官能基(c)としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基およびイソシアネート基等が挙げられる。反応性官能基(c)としては、反応性の高さや導入の容易性から、酸無水物基が好ましい。
本発明において、反応性官能基(c)は、アクリル系ブロック共重合体(B)と(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)との反応点として作用すればよい。
反応性官能基(c)の含有数は、これらの官能基の凝集力、反応性、アクリル系ブロック共重合体(B)の構造および組成、アクリル系ブロック共重合体(B)を構成するブロックの数、ガラス転移温度に応じて適宜設定する必要があるが、伸び性を付与するために、好ましくはブロック共重合体1分子あたり平均して1.0個以上、より好ましくは2.0個以上とする。これは、1.0個より少なくなると、ブロック共重合体の2分子間反応による高分子量化や架橋による伸び性の向上が不十分になる傾向があるためである。
反応性官能基(c)の導入部位は、アクリル系ブロック共重合体(B)の反応点や、アクリル系ブロック共重合体(B)を構成するブロックの凝集力やガラス転移温度、さらには必要とされる(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の物性などに応じて適宜選択することができる。(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の耐熱性や耐熱分解性の向上の点からは、反応性官能基(c)をメタアクリル系重合体ブロック(b)に導入するのが好ましく、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)に柔軟性を付与する観点からは、反応性官能基(c)をアクリル系重合体ブロック(a)に反応部位として導入するのが好ましい。なお、反応点の制御などの点からは、反応性官能基(c)をアクリル系重合体ブロック(a)またはメタアクリル系重合体ブロック(b)のどちらか一方に有することが好ましい。
反応性官能基(c)をアクリル系重合体ブロック(a)に導入する場合、アクリル系重合体ブロック(a)の凝集力やガラス転移温度Tgが向上すると、伸び性、柔軟性、ゴム弾性、低温特性が悪化する傾向にある。このため、アクリル系ブロック共重合体(B)の伸び性、柔軟性、ゴム弾性、低温特性が悪化しない範囲で導入することが好ましい。具体的には酸無水物基及び/又はカルボキシル基を導入後のアクリル系重合体ブロック(a)のガラス転移温度Tgが25℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下になるような範囲で導入することが好ましい。
<アクリル系ブロック共重合体(B)の製法>
アクリル系ブロック共重合体(B)の製造方法としては、特に限定されないが、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあげることができる。リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに反応性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビングラジカル重合は、重合末端が活性化されたものと不活性化されたものが平衡状態で維持されるラジカル重合であり、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994年,第116巻,7943頁)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994年,第27巻,7228頁)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(例えば、Matyjaszewskiら,Journal of American Chemical Society,1995,117,5614、Macromolecules,1995年,第28巻,7901頁、Science,1996年,第272巻,866頁、またはSawamotoら, Macromolecules,1995年,第28巻,1721頁)。
これらの方法によると一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られ、分子量はモノマーと開始剤の仕込み時の比率によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、または、多官能性の化合物を使用できる。これらは目的に応じて使い分けることができる。ジブロック共重合体を製造する場合は、一官能性化合物が好ましい。a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を製造する場合は二官能性化合物を使用することが好ましい。分岐状ブロック共重合体を製造する場合は多官能性化合物を使用することが好ましい。
一官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
−CH
−CHX−CH
−C(CH
−CHX−COOR
−C(CH)X−COOR
−CHX−CO−R
−C(CH)X−CO−R
−C−SO
(式中、Cはフェニル基を表し、Cはフェニレン基を表す。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。Rは炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
二官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
X−CH−C−CH−X
X−CH(CH)−C−CH(CH)−X
X−C(CH−C−C(CH−X
X−CH(COOR)−(CHn−CH(COOR)−X
X−C(CH)(COOR)−(CH)n−C(CH)(COOR)−X
X−CH(COR)−(CHn−CH(COR)−X
X−C(CH)(COR)−(CHn−C(CH)(COR)−X
X−CH−CO−CH−X
X−CH(CH)−CO−CH(CH)−X
X−C(CH−CO−C(CH
X−CH(C)−CO−CH(C)−X
X−CH−COO−(CHn−OCO−CH−X
X−CH(CH)−COO−(CHn−OCO−CH(CH)−X
X−C(CH−COO−(CHn−OCO−C(CH−X
X−CH−CO−CO−CH−X
X−CH(CH)−CO−CO−CH(CH)−X
X−C(CH−CO−CO−C(CH−X
X−CH−COO−C−OCO−CH−X
X−CH(CH)−COO−C−OCO−CH(CH)−X
X−C(CH−COO−C−OCO−C(CH−X
X−SO−C−SO−X
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数の7〜20アラルキル基を表す。Cはフェニレン基を表す。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。Cはフェニル基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。)
多官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
(CHX)
(CH(CH)−X)
(C(CH−X)
(OCO−CHX)
(OCO−CH(CH)−X)
(OCO−C(CH−X)
(SOX)
(式中、Cは三置換フェニル基を表す。三置換フェニル基は、置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよい。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。)
これらの開始剤として用いうる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基、フェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体との比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の分子量を制御することができる。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としてはとくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体をあげることができる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などをあげることができる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2’−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加することもできる。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として使用する事ができる。
ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加することもできる。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、および、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も触媒として使用できる。使用する触媒、配位子および活性化剤の量は、特に限定されないが、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から適宜決定することができる。
原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊状重合)または各種溶媒中で行なうことができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒などをあげることができ、これらは少なくとも1種を混合して用いることができる。また、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする反応速度(即ち、撹拌効率)の関係から適宜決定することができる。
また、原子移動ラジカル重合は、室温〜200℃で行うのが好ましく、50〜150℃の範囲で行うのがより好ましい。原子移動ラジカル重合温度が室温より低いと粘度が高くなり過ぎて反応速度が遅くなる場合があり、200℃を超えると安価な重合溶媒を使用できない場合がある。
原子移動ラジカル重合により、ブロック共重合体を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などをあげることができる。これらの方法は、目的に応じて使い分けることができる。製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加による方法が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(B)に反応性官能基(c)を導入する方法としては特に限定されず、公知の方法を種々用いることができるが、以下に、反応性官能基(c)として酸無水物基を含有する単位を導入する方法を示す。
酸無水物基を含有する単位の導入方法としては、特に限定はしないが、酸無水物基の前駆体となる基を含有する単位をブロック共重合体に導入し、その後、環化させる方法が好ましい。以下に、その方法の詳細を説明する。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとして下記に例示した単量体を用いて製造したアクリル系ブロック共重合体(B)を、好ましくは180〜300℃の温度で、溶融混練して環化させることにより導入することができる。溶融混練時の温度が180℃より低いと、酸無水物基の生成が不十分となる場合があり、300℃より高くなると、アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとして下記に例示した単量体を用いて製造したアクリル系ブロック共重合体(B)自体が分解する場合がある。
t−ブチル機を含有するエステル単位は、高温下で隣接するエステルユニットと脱離、環化し、例えば6員環酸無水物基を生成する(例えば、畑田(Hatada)ら、ジェイ エム エス ピユア アプライド ケミストリィ(J.M.S.PURE APPL.CHEM.),A30(9&10),PP.645−667(1993)参照)。これらによると、一般的に、エステルユニットが嵩高く、β−水素を有する重合体は、高温下でエステルユニットが分解してカルボキシル基を生成し、引き続き環化が起こり、例えば6員環などの酸無水物基が生成する。これらの方法を利用することにより、アクリル系ブロック共重合体(B)中に、容易に酸無水物基を導入することができる。t−ブチル基を含有する単位を構成する単量体の具体的な例としては、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸t−ブチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、入手のしやすさや重合容易性、酸無水物基の生成容易性などの点から、アクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸t−ブチルが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、成形体の伸び性、耐熱性と透明性を損なわない限り、耐熱性の向上、機械物性の向上、耐ブロッキング性、柔軟性、耐候性、難燃性の向上などの諸物性を改善するために無機添加剤、各種エラストマー、可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤を添加することもできる。
<脂肪族系ポリエステル樹脂組成物>
本発明の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物は、(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)を含む。(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)の重量比は、特に限定されるものではないが、99/1〜10/90であることが好ましく、99/1〜30/70であることがより好ましく、70/30〜30/70であることが最も好ましい。上記範囲内にあることで、伸び性、耐熱性と透明性が良い成形体を得ることができる。
これらの脂肪族系ポリエステル樹脂組成物は、実際に成形加工する前に(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)をそれぞれ計量し、成形加工機に投入しても良いが、ハンドリング、混練の均一性などの観点から、成形加工前にペレット化しておいても良い。以下に、そのペレット化について説明する。
本発明の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物をペレット化する方法は、特に限定はないが、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー、単軸または多軸の押出機などの公知の装置を用い、適当な温度で加熱しながら機械的に混練することで、ペレット状に賦形することができる。混練時の温度は、使用する(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)、アクリル系ブロック共重合体(B)の溶融温度などに応じて調整すればよく、たとえば140〜280℃で溶融混練することによりペレット化することができる。
<添加剤>
必要に応じて次のような添加剤を配合してもよい。添加剤としては、安定剤、滑剤、難燃剤、顔料、無機フィラー、有機フィラー、離型剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤、可塑剤などが挙げられる。これらの添加剤は、組成物が使用される用途などに応じて、適宜最適なものを選択すればよい。伸び性と透明性を損なわない限り、例えば、有機フィラーとして、コア・シェル型のモディファイヤー(カネカ製カネエースFMなど)を適種適量配合しても良い。
本発明の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物は、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、インジェクションブローなどの任意の成形加工法によって成形加工することができる。これらの内、包材用途ではカレンダー成形、真空成形などが好ましい。
本発明の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物の具体的な用途は食品容器、シート類、ボトル、透明板、フィルム、延伸フィルム、包装材、レジ袋、緩衝材、農業用マルチフィルム、魚網、食器、ごみ袋などが挙げられる。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例におけるBA、EA、MEA、TBA、MMA、TBMAはそれぞれ、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−t−ブチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸−t−ブチルを表わす。また、実施例中に記載した分子量や重合反応の転化率、各物性評価は、以下の方法に従って行った。
<分子量測定法>
本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システムとして、ウオーターズ(Waters)社製GPCシステムを用い、カラムに、昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)を用いた。
<重合反応の転化率測定法>
本実施例に示す重合反応の転化率は以下に示す分析装置、条件で測定した。
使用機器:島津製作所(株)製ガスクロマトグラフィーGC−14B
分離カラム:J&W SCIENTIFIC INC製、キャピラリーカラムSupelcowax−10、0.35mmφ×30m
分離条件:初期温度60℃、3.5分間保持
昇温速度40℃/min
最終温度140℃、1.5分間保持
インジェクション温度250℃
ディテクター温度250℃
試料調整:サンプルを酢酸エチルにより約10倍に希釈し、酢酸ブチルまたはアセトニトリルを内部標準物質とした。
<伸び性評価>
JIS K7113に準拠し、引張試験機(島津製作所製、AUTOGRAPH AG2000A)を用いて、0.5mm厚プレスシートから小型試験片2(1/3)号形ダンベル試験片を打抜いたサンプルの23℃、引張試験速度33mm/分の条件での引張試験を実施し引張破断伸びを測定した。
<透明性評価>
JIS K7105に準拠し、日本電色工業(株)社製NDH−300Aで0.5mm厚プレスシートの23℃の全光線透過率値を測定した。
<耐熱性評価>
シボ付プレス板(シボ種類:皮シボ仕様)でプレス加工した50mm角×1mm厚みシートを、設定温度130℃のオーブン(タバイエスペック製、SHPS−222)中にて、24時間放置し、シート表面のシボ形状の変形を目視評価した。
◎:シボの変形無し
○:シボの変形が微細
△:シボの変形が小さい
×:シボの変形が大きい
<脂肪族系ポリエステル/ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の製造>
(製造例1) PHA−1の製造
(3−ヒドロキシアルカノエート)共重合体PHBHの培養は、微生物として、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32(J.Bacteriol.,179,4821(1997))を用いて次の様に行った。前培地の組成は1w/v%Meat−extract、1w/v%Bacto−Trypton、0.2w/v%Yeast−extract、0.9w/v%NaHPO・12HO、0.15w/v%KHPO、(pH6.7)とした。
ポリエステル生産培地の組成は1.1w/v%NaHPO・12HO、0.19w/v%KHPO、0.6w/v%(NHSO、0.1w/v%MgSO・7HO、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%FeCl・6HO、1w/v%CaCl・2HO、0.02w/v%CoCl・6HO、0.016w/v%CuSO・5HO、0.012w/v%NiCl・6HO、0.01w/v%CrCl・6HOを溶かしたもの。)であり、炭素源はPKOO(Palm kernel olein oil=パーム核油オレイン)を使用し、培養は炭素源を流加する流加培養にて行った。
PHBH生産菌株のグリセロールストックを前培地に接種して20時間培養し、2.5Lの生産培地を入れた5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MD−500型)に10v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度420rpm、通気量0.6vvmとし、pHは6.6から6.8の間でコントロールした。コントロールには14%のアンモニア水を使用した。培養は65時間まで行った。培養後遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄後、凍結乾燥した。凍結乾燥菌体をクロロホルムで抽出し、菌体残渣を濾過後、濾液にヘキサンを加えてPHBHを析出させた。濾過によってPHBHを回収し、ヘキサンで洗浄後、乾燥させてPHBHを調製した。得られたPHBHはHH比率が7mol%であり、Mw(重量平均分子量)が約100万であった。
<アクリル系ブロック共重合体の製造>
(製造例2) NDVA―2の製造
MMA−b−(BA−co−TBA)−b−MMA(BA/TBA=97.5/2.5mol%、(BA−co−TBA)/MMA=70/30重量%)型(メタ)アクリル系ブロック共重合体−1(以下、前駆体1(2.5STBA7)と記載)の合成
500L反応容器に臭化銅731gを量り取り、反応器内を窒素置換した。アセトニトリル6272gおよびBA57010mL、TBA1490mL、酢酸ブチル1032mLをあらかじめ混合しておいた溶液を、反応器内を減圧した状態で仕込み、65℃に昇温して30分撹拌した。その後、開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル367gをアセトニトリル549gに溶解させた溶液を反応機内に仕込み、85℃に昇温しつつさらに30分間撹拌を行った。ペンタメチルジエチレントリアミン106mLを加えて、第一ブロックとなるBA/TBAの共重合を開始した。転化率が96%に到達したところで、トルエン92023g、塩化第一銅505g、MMA23993mLを反応器内に仕込み、ペンタメチルジエチレントリアミン106mLを加えて、第二ブロックとなるMMAの重合を開始した。転化率66%に到達したところで、トルエン60620gを加えて反応溶液を希釈するとともに、反応機を冷却させ重合を停止させた。得られたブロック共重合体溶液に対し、トルエンを加えて重合体濃度を23wt%になるように調整し、およびp−トルエンスルホン酸を86.9g加え、反応器内を窒素置換し、室温で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して反応を停止させた。
その後、溶液を払い出し、固液分離を行って固形分を除去した。このブロック共重合体溶液50Lに対し、キョーワード500SH(協和化学工業(株)製))653gを加え、反応器内を窒素置換し、室温で三時間撹拌した。反応溶液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応を停止させた。その後、溶液の払い出し、固液分離を行って吸着剤を除去した。上記重合体溶液をベント口付き横型蒸発機に供給し、溶媒および未反応モノマーの蒸発を行うことで重合体を単離した。蒸発機内部は真空ポンプにより約0.01MPa以下の減圧状態を保持した。このようにして、目的の前駆体1(2.5STBA7)のペレットを作成した。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量が109200、分子量分布Mw/Mnが1.34であった。
<前駆体1の酸無水物化反応>
得られた前躯体1、(メタ)アクリル系ブロック共重合体2.5STBA7とイルガノックス1010(チバガイギー(株)製)を260℃(シリンダー部に12点(C1〜C12、ホッパー下からダイス側へC1からC12の順)の温度調節部およびダイスからなり、ホッパー下(C1)を100℃、ダイスを150℃に設定した以外(C2〜C12)は190℃に設定)、300rpmに設定した2軸押出し機(15mmφ、L/D=90、テクノベル(株)製)を用いて溶融混練して、目的の酸無水物基およびカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下「重合体1」と記載する)を得た。t−ブチルエステル部位の酸無水物基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には1800cm−1あたりに酸無水物基に由来する吸収スペクトルが見られるようになることから確認できた。13C(H)−NMRでは、変換後にはt−ブチル基の4級炭素由来の82ppmのシグナルとメチル炭素由来の28ppmのシグナルが消失し、新たに酸無水物のカルボニル炭素由来の172〜173ppm(m)のシグナルが出現することから確認できた。
(製造例3) F0060−003Aの製造
「(MMA−co−EA−)−b−(BA−co−TBA)−b−(MMA−co−EA)型アクリル系ブロック共重合体−2(以下「前駆体2」と記載)」の製造
前駆体2を得るために以下の操作を行った。窒素置換した500L反応機にアクリル酸n−ブチル78.4kg、アクリル酸t−ブチル4.81kg、及び臭化第一銅0.625kgを仕込み、攪拌を開始した。その後、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル0.872kgをアセトニトリル6.59kgに溶解させた溶液を仕込み、ジャケットに温水を通水し、内溶液を75℃に昇温しつつ30分間撹拌した。内温が75℃に到達した時点でペンタメチルジエチレントリアミン75.5gを加えて、アクリル系重合体ブロックの重合を開始した。重合の際は、ペンタメチルジエチレントリアミンを随時加えることで重合速度を制御した。ペンタメチルジエチレントリアミンはアクリル系重合体ブロック重合時に合計3回(合計226.5g)添加した。
転化率が97.4%に到達したところで、トルエン101.7kg、塩化第一銅0.431kg、メタアクリル酸メチル45.54kg、アクリル酸エチル9.26kg、及びペンタメチルジエチレントリアミン75.5gを加えて、メタアクリル系重合体ブロックの重合を開始した。メタアクリル酸メチルの転化率が91.1%に到達したところでトルエン220kgを加え、反応溶液を希釈すると共に反応機を冷却して重合を停止させた。得られたブロック共重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量Mnは73700、分子量分布Mw/Mnは1.39であった。
得られたブロック共重合体溶液に対しトルエン30kgを加えて重合体濃度を25重量%とした。この溶液にp−トルエンスルホン酸を1.74kg加え、反応機内を窒素置換し、30℃で3時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が無色透明になっていることを確認して、昭和化学工業製ラヂオライト#3000を2.48kg添加した。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離した。
濾過後のブロック共重合体溶液約450kgに対し、キョーワード500SH1.86kgを加え反応機内を窒素置換し、30℃で1時間撹拌した。反応液をサンプリングし、溶液が中性になっていることを確認して反応終了とした。その後反応機を窒素により0.1〜0.4MPaGに加圧し、濾材としてポリエステルフェルトを備えた加圧濾過機(濾過面積0.45m)を用いて固体分を分離し、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液にイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)737gを添加、溶解した。
引き続き重合体溶液から溶媒成分を蒸発した。蒸発機は株式会社栗本鐵工所製SCP100(伝熱面積1m)を用いた。蒸発機入口の熱媒オイルを180℃、蒸発機の真空度を90Torr、スクリュー回転数を60rpm、重合体溶液の供給速度を32kg/hに設定し重合体溶液の蒸発を実施した。重合体は排出機を通じ、φ4mmのダイスにてストランドとし、アルフローH50ES(主成分:エチレンビスステアリン酸アミド、日本油脂(株)製)の3%懸濁液で満たした水槽で冷却後、ペレタイザーにより円柱状のペレットを得た。このようにして目的のアクリル系ブロック共重合体前駆体2のペレットを作製した。
<前駆体2の酸無水物化反応>
上記で得られた前駆体2、100重量部に対して、酸トラップ剤としてハイドロタルサイトDHT−4A−2(協和化学工業(株)製)1重量部を配合し、ベント付二軸押出機(44mm、L/D=42.25)(日本製鋼所(株)製)を用い、150rpmの回転数、ホッパー設置部分のシリンダー温度を100℃とし、その他は全て260℃に温度設定で押出混練して、目的の酸無水物基およびカルボキシル基含有アクリル系ブロック共重合体(得られたポリマーを以下「重合体2」と記載)を得た。押出し時は、ベント口は塞いた。また、この時、二軸押出機の先端に水中カットペレタイザー(GALA INDUSTRIES INC.製CLS−6−8.1 COMPACT LAB SYSTEM)を接続し、水中カットペレタイザーの循環水中に防着剤としてアルフロー(登録商標)H−50ES(日本油脂株式会社製)を添加することで、防着性のない球形状のペレットを得た。
t−ブチルエステル部位の酸無水物基およびカルボキシル基への変換は、IR(赤外線吸収スペクトル)および13C(H)−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により確認できた。すなわち、IRでは、変換後には1800cm−1あたりに酸無水物基に由来する吸収スペクトルが見られるようになることから確認できた。13C(H)−NMRでは、変換後には、t−ブチル基の4級炭素由来の82ppmのシグナルとメチル炭素由来の28ppmシグナルが消失し、新たに酸無水物基のカルボニル炭素由来の172〜173ppm(m)のシグナルと、カルボキシル基のカルボニル炭素由来の176〜179ppm(m)のシグナルが出現することから確認できた。
なお、その他の原料としては下記原料を使用した。
ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと記入する場合あり):三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、NOVADURAN 5009L 極限粘度(IV)0.9
熱安定剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤): チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、イルガノックス−1010(以下IR−1010と記する場合あり。)
(実施例1)
脂肪族系ポリエステル(製造例1)30重量部とアクリル系ブロック共重合体(製造例2/重合体1)70重量部に安定剤(IR−1010)0.2重量部配合したものを、設定温度180℃、回転数100rpmで5分間プラストミル((株)東洋精機製作所製、20C200型)で溶融混練し、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを鏡面プレス板を用い設定温度180℃で熱プレス成形し、厚み0.5mmのプレスシート作製した。得られたプレスシートの伸び特性(引張破断伸び)と透明性(全光線透過率)を測定した。また、シボ付プレス板を用い設定温度180℃でプレス成形し厚み1mmのシボ付プレスシートを作製した。得られたシボ付プレスシートでシボ形状の耐熱性を評価した。
(実施例2〜4)
表1に示した配合比率のPHBHとアクリル系ブロック共重合体を実施例1と同条件での溶融混練加工及び熱プレス成形して得られたシートサンプルについて実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例1〜3)
実施例1と同条件でPHBH単体またはアクリル系ブロック共重合体単体を熱プレス成形して得られたシートサンプルについて実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例4)
成形加工温度240℃で、PBT(ポリブチレンテレフタレート)単体を実施例1と同条件で熱プレス成形して得られたシートサンプルについて実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例5〜6)
成形加工温度240℃で、表1に示した配合比率のPBTとアクリル系ブロック共重合体を溶融混練加工及び熱プレス成形加工して得られたシートサンプルについて実施例1と同様の評価を実施した。
その結果を、表1に示す。
Figure 2008106259


表1の結果から明らかなように、実施例1〜4で示した脂肪族系ポリエステルであるPHBHとアクリル系ブロック共重合体との組成物からなる成形体は、比較例1に示したPHBH単体からなる成形体に対しては伸び性が良好であり、アクリル系ブロック共重合体からなる成形体に対しては耐熱性が良好である。即ち、全光透過率が高いレベルで伸び性と耐熱性を保持できる事がわかる。また、比較例4〜6に示したPBT単体及びPBTとアクリル系ブロック共重合体との組成物からなる成形体は伸び率が低く、全光線透過率も低い事がわかる。

Claims (5)

  1. 構造式(1):[−CHR−CH2−CO−O−](式中、RはCn2n+1で表されるアルキル基を表し、n=1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる(3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)とアクリル系ブロック共重合体(B)とを重量比99/1〜10/90で含有し、アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)からなり、少なくとも一方の重合体ブロックに反応性官能基(c)を有することを特徴とする脂肪族系ポリエステル樹脂組成物。
  2. 反応性官能基(c)が酸無水物基であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物。
  3. アクリル系ブロック共重合体(B)が、原子移動ラジカル重合により製造されたブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物。
  4. (3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)の重量平均分子量Mwが30万〜300万であることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物。
  5. (3−ヒドロキシアルカノエート)重合体(A)が(3−ヒドロキシブチレート)繰り返し単位および(3−ヒドロキシヘキサノエート)繰り返し単位からなる[(3−ヒドロキシブチレート)−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]共重合体であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の脂肪族系ポリエステル樹脂組成物。
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WO2009041017A1 (ja) * 2007-09-26 2009-04-02 Kaneka Corporation 樹脂組成物
JP2018024794A (ja) * 2016-08-12 2018-02-15 株式会社クラレ 熱可塑性重合体組成物及び成形体

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