JP2008096091A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで圧縮機に戻すオイル量を最適に制御することができる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル装置は、オイル戻し管30に介設された流量調整弁7と、第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサ55と、この温度センサ55の出力に基づき、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値T1となるように流量調整弁7を制御する制御手段8とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】冷凍サイクル装置は、オイル戻し管30に介設された流量調整弁7と、第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサ55と、この温度センサ55の出力に基づき、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値T1となるように流量調整弁7を制御する制御手段8とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、これをオイル戻し管を介して圧縮機に戻す冷凍サイクル装置に関するものである。
この種冷凍サイクル装置は、圧縮機、放熱器、減圧装置、蒸発器等を配管接続することにより冷媒回路が構成されている。そして、圧縮機で圧縮された冷媒が放熱器にて放熱し、減圧装置にて減圧された後、蒸発器にて周囲と熱交換して蒸発した後、再び、圧縮機に吸い込まれて圧縮されるサイクルを繰り返すものであった。このような冷媒サイクル装置を、例えば、給湯器として使用する場合、外気温度、圧縮機の吸込側(低圧側)及び吐出側(高圧側)の冷媒温度等に基づき、出湯温度が予め設定された給湯温度となるように圧縮機の運転条件(圧縮機の周波数など)が制御されていた。
ところで、冷凍サイクル装置の圧縮機には摺動部を潤滑するためのオイルが封入されており、圧縮機の摺動部に当該オイルが供給されて潤滑とシールが行われているが、この摺動部に供給されたオイルは冷媒と共に圧縮され、圧縮機の外部に吐出されるため、圧縮機のオイルが不足する不都合が生じていた。更に、吐出されたオイルが冷媒回路中に循環すると、蒸発器や放熱器などの熱交換器に寝込んで、冷媒の循環に支障を来す問題が生じていた。そのため、圧縮機の吐出側にオイル分離器を設けて、当該オイル分離器にて分離されたオイルを圧縮機に戻していた。
具体的には、圧縮機の吐出側にオイル分離器を設置し、オイル分離器と圧縮機の吸込側とを配管接続して、当該配管に電磁弁を介設する。そして、この電磁弁の前後の温度を検出して、検出される電磁弁前後の温度差に応じて、当該電磁弁の開閉を制御することで、圧縮機に戻るオイル量が適切となるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−34211号公報
しかしながら、上記のように電磁弁の前後の温度を検出して、圧縮機に戻るオイル量を調整する場合、電磁弁の前後に温度を検出するための温度検出手段をそれぞれ設置しなければならず、コストの高騰を招いていた。
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、低コストで圧縮機に戻すオイル量を最適に制御することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して圧縮機に戻して成るものであって、オイル戻し管に介設された流量調整弁と、蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明の冷凍サイクル装置は、上記発明において目標値は、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の圧縮機から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tsuc1=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis=圧縮機から吐出される冷媒の温度
Tsuc=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(15)で得られるTsucであることを特徴とする。
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の圧縮機から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tsuc1=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis=圧縮機から吐出される冷媒の温度
Tsuc=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(15)で得られるTsucであることを特徴とする。
請求項3の発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、圧縮機は第1及び第2の圧縮要素を備え、蒸発器からの冷媒を第1の圧縮要素で圧縮し、この第1の圧縮要素から吐出された冷媒を第2の圧縮要素に吸い込ませて圧縮し、吐出すると共に、第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して第2の圧縮要素に戻して成るものであって、オイル戻し管に介設された流量調整弁と、第1の圧縮要素から吐出されてオイル戻し管からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明の冷凍サイクル装置は、請求項3の発明において目標値は、
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の第2の圧縮要素から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tdis1=第1の圧縮要素から吐出されてオイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis2=第2の圧縮要素から吐出される冷媒の温度
Tsuc2=第1の圧縮要素から吐出されてオイル戻し管からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(5)で得られるTsuc2であることを特徴とする。
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の第2の圧縮要素から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tdis1=第1の圧縮要素から吐出されてオイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis2=第2の圧縮要素から吐出される冷媒の温度
Tsuc2=第1の圧縮要素から吐出されてオイル戻し管からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(5)で得られるTsuc2であることを特徴とする。
請求項5の発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、圧縮機は第1及び第2の圧縮要素を備え、蒸発器からの冷媒を第1の圧縮要素で圧縮し、この第1の圧縮要素から吐出された冷媒を第2の圧縮要素に吸い込ませて圧縮し、吐出すると共に、第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して第1の圧縮要素に戻して成るものであって、オイル戻し管に介設された流量調整弁と、蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項6の発明の冷凍サイクル装置は、請求項5の発明において目標値は、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の第2の圧縮要素から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tsuc1=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis2=第2の圧縮要素から吐出される冷媒の温度
Tsuc=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(10)で得られるTsucであることを特徴とする。
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の第2の圧縮要素から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tsuc1=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis2=第2の圧縮要素から吐出される冷媒の温度
Tsuc=蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(10)で得られるTsucであることを特徴とする。
請求項7の発明の冷凍サイクル装置は、請求項1、又は、請求項3、又は、請求項5に記載の発明において目標値は、圧縮機、又は、第2の圧縮要素から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管から圧縮機、又は、第2の圧縮要素、又は、第1の圧縮要素に戻すときの圧縮機、又は、第2の圧縮要素、又は、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して圧縮機に戻して成る冷凍サイクル装置において、オイル戻し管に介設された流量調整弁と、蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えたので、流量調整弁を制御することで圧縮機に戻すオイル量を最適な値とすることができる。
上記請求項1の発明において、例えば、請求項2の発明の如く目標値を式(15)で得られるTsucとして、当該目標値となるように流量調整弁を制御するものとすれば、圧縮機から吐出された分のオイルを圧縮機に戻すことができるようになる。
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
また、請求項1の発明において、例えば、請求項7の発明の如く目標値を圧縮機から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管から圧縮機に戻すときの圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度として、この目標値となるように流量調整弁を制御するものとすれば、圧縮機から吐出された分のオイルを圧縮機に戻すことができるようになる。
これらにより、オイル戻し管から戻すオイル量が不足して圧縮機がオイル不足となって、摺動性及びシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生するなどの問題を解消することができる。更に、オイル戻し管から戻すオイル量が過剰となって、オイルと共に高圧冷媒が戻り、効率の低下を招く不都合も解消することができる。特に、通常元々使用している吸込側及び吐出側の温度センサと、外気温度センサに加えて、合流後の温度を検出する温度センサを一つ追加するだけで、熱量を計算し、目標値を導出することができるので、従来に比してコストを抑えることができる。
請求項3の発明によれば、圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、圧縮機は第1及び第2の圧縮要素を備え、蒸発器からの冷媒を第1の圧縮要素で圧縮し、この第1の圧縮要素から吐出された冷媒を第2の圧縮要素に吸い込ませて圧縮し、吐出すると共に、第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して第2の圧縮要素に戻して成る冷凍サイクル装置において、オイル戻し管に介設された流量調整弁と、第1の圧縮要素から吐出されてオイル戻し管からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えたので、流量調整弁を制御することで第2の圧縮要素に戻すオイル量を最適な値とすることができる。
上記請求項3の発明において、例えば、請求項4の発明の如く目標値を、式(5)で得られるTsuc2として、当該目標値となるように流量調整弁を制御するものとすれば、第2の圧縮要素から吐出された分のオイルを第2の圧縮要素に戻すことができるようになる。
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
また、請求項3の発明において、例えば、請求項7の発明の如く目標値を第2の圧縮要素から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管から第2の圧縮要素に戻すときの第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度として、当該目標値となるように流量調整弁を制御するものとすれば、第2の圧縮要素から吐出された分のオイルを第2の圧縮要素に戻すことができるようになる。
これらにより、オイル戻し管から戻すオイル量が不足して圧縮機がオイル不足となって、摺動性及びシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生するなどの問題を解消することができる。更に、オイル戻し管から戻すオイル量が過剰となって、オイルと共に高圧冷媒が戻り、効率の低下を招く不都合も解消することができる。特に、通常元々使用している吸込側及び吐出側の温度センサと、外気温度センサに加えて、合流後の温度を検出する温度センサを一つ追加するだけで、熱量を計算し、目標値を導出することができるので、従来に比してコストを抑えることができる。
請求項5の発明によれば、圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、圧縮機は第1及び第2の圧縮要素を備え、蒸発器からの冷媒を第1の圧縮要素で圧縮し、この第1の圧縮要素から吐出された冷媒を第2の圧縮要素に吸い込ませて圧縮し、吐出すると共に、第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して第1の圧縮要素に戻して成る冷凍サイクル装置において、オイル戻し管に介設された流量調整弁と、蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えたので、流量調整弁を制御することで第1の圧縮要素に戻すオイル量を最適な値とすることができる。
上記請求項5の発明において、例えば、請求項6の発明の如く目標値を、式(10)で得られるTsucとして、この目標値となるように流量調整弁を制御するものとすれば、第2の圧縮要素から吐出された分のオイルを第1の圧縮要素に戻すことができるようになる。
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
また、請求項5の発明において、例えば、請求項7の発明の如く目標値を第2の圧縮要素から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管から第1の圧縮要素に戻すときの第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度として、この目標値となるように流量調整弁を制御するものとすれば、第2の圧縮要素から吐出された分のオイルを第1の圧縮要素に戻すことができるようになる。
これらにより、オイル戻し管から戻すオイル量が不足して圧縮機がオイル不足となって、摺動性及びシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生するなどの問題を解消することができる。更に、オイル戻し管から戻すオイル量が過剰となって、オイルと共に高圧冷媒が戻り、効率の低下を招く不都合も解消することができる。特に、通常元々使用している吸込側及び吐出側の温度センサと、外気温度センサに加えて、合流後の温度を検出する温度センサを一つ追加するだけで、熱量を計算し、目標値を導出することができるので、従来に比してコストを抑えることができる。
本発明は、圧縮手段の外部に吐出された冷媒中に混入するオイルをオイル分離手段にて分離し、圧縮手段に戻すオイルが最適量となるように制御する冷凍装置において、低コストでオイル戻し量が最適となるように制御することを目的とするものである。低コストで圧縮手段に戻すオイル量が最適となるように制御するという目的をオイル戻し管に介設された流量調整弁と、蒸発器から出てオイル戻し管からのオイルと合流した後、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、この温度センサの出力に基づき、圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度が所定の目標値となるように流量調整弁を制御する制御手段とを備えるにより実現した。以下、図面に基づき本発明の冷凍サイクル装置の実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施例の冷凍サイクル装置の冷媒回路図を示している。本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機1、放熱器2、減圧装置3、蒸発器4等を順次接続することにより冷媒回路が構成されている。本実施例の冷凍サイクル装置は給湯器として使用されるものであり、放熱器2における冷媒の放熱を利用して図示しない貯湯タンクの水を加熱して、高温の湯を生成できるよう構成されている。
圧縮機1は、電動要素(駆動手段)12にて駆動される低段側圧縮手段としての第1の圧縮要素10と、高段側圧縮手段としての第2の圧縮要素11を備えた多段(2段)圧縮式の圧縮手段である。本実施例の圧縮機1は、密閉容器13内に電動要素12、第1の圧縮要素10及び第2の圧縮要素11が収納され、蒸発器4からの冷媒を第1の圧縮要素10で圧縮し、この第1の圧縮要素10で圧縮された冷媒を密閉容器13内に吐出し、密閉容器13の外部を経た後、第2の圧縮要素11に吸い込ませて圧縮し、密閉容器13(圧縮機1)外部に吐出するものである。
この密閉容器13内の底部にはオイルが封入されており、当該オイルがオイルポンプなどで汲み上げられて、第1及び第2の圧縮要素10、11の摺動部等に供給されて、係る第1及び第2の圧縮要素10、11の潤滑とシールを行う構成とされている。
第1の圧縮要素10の吸込側には、冷媒導入管20の一端が接続されており、ここから1段目(低段側)となる第1の圧縮要素10内に蒸発器4からの低温低圧の冷媒ガスが導入される。当該冷媒導入管20は密閉容器13の外部に延出し、他端は蒸発器4の出口に接続される。
第2の圧縮要素10の吸込側には、冷媒導入管22の一端が接続されており、当該冷媒導入管22から2段目(高段側)となる第2の圧縮要素11内に第1の圧縮要素10で圧縮された中間圧の冷媒ガスが吐出される。この冷媒導入管22は密閉容器13の外部に延出した後、密閉容器13内に連通接続されて、他端は密閉容器13内部にて開口している。また、冷媒導入管22の途中部(密閉容器13の外部に位置する部分)には後述するオイル戻し管30が接続されている。
また、第2の圧縮要素11の吐出側には、冷媒吐出管24の一端が接続されており、当該冷媒吐出管24から2段目(高段側)となる第2の圧縮要素11にて圧縮された高温高圧の冷媒ガスが圧縮機1の外部に吐出される。また、冷媒吐出管24の他端はオイル分離器5の入口に接続される。
このオイル分離器5は、圧縮機1の第2の圧縮要素11から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルを分離するためのオイル分離手段である。即ち、第1及び第2の圧縮要素10、11には前述したように摺動部を潤滑するため密閉容器13内底部からオイルが供給されているが、当該オイルの一部は、各圧縮要素10、11で冷媒と共に圧縮されて、吐出されることとなる。この場合、第1の圧縮要素10で圧縮された冷媒(オイルも含む)は、密閉容器13内に吐出された後、第2の圧縮要素11に吸い込まれるため、当該密閉容器13内を通過する過程で冷媒からオイルを分離させることが可能であるが、第2の圧縮要素11で圧縮された冷媒(オイルを含む)はそのまま圧縮機1の外部に吐出されてしまう。
このように、圧縮機1の外部にオイルが吐出されると、圧縮機1内では、オイルが不足するため、各圧縮要素10、11の摺動部へのオイル供給を十分に行うことができなくなり、焼き付き等が生じて、圧縮機1が損傷したり、性能の低下を招くなどの問題が生じることとなる。一方、冷媒回路内では、オイルが当該回路通を循環すると、放熱器2や蒸発器4等の熱交換器に寝込んで、冷媒の良好な流れを阻害したり、圧力損失を引き起こす等の問題が生じて、冷凍サイクル装置の性能の低下を招く不都合が生じる。
そこで、圧縮機1の第2の圧縮要素11の吐出側にオイル分離器5を設けて、第2の圧縮要素11から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルを分離して、放熱器2や蒸発器4等にオイルが循環する不都合を未然に防いでいる。
当該オイル分離器5は、例えば、内部にオイル分離空間を有する縦長円筒状の本体にて構成され、この本体の上部の一方に入口5A、他方にオイル分離空間にてオイルと分離された冷媒を取り出すための冷媒出口5Bが形成されている。この入口5Aには前記冷媒吐出管24が連通接続され、他端が内部のオイル分離空間にて開口している。また、冷媒出口5Bには冷媒配管26が接続され、当該冷媒配管26の一端が当該オイル分離空間にて開口している。
また、オイル分離器5の底部にはオイル出口5Cが形成され、前述したオイル戻し管30が接続されて、一端がオイル分離空間にて開口している。このオイル戻し管30は、オイル分離器5にて冷媒から分離されたオイルを圧縮機1に戻すためのものである。
本実施例の冷媒サイクル装置では、オイル分離器5にて分離されたオイルはオイル戻し管30を介して圧縮機1の第2の圧縮要素11に戻すよう構成されている。即ち、オイル戻し管30は、オイル分離器5内にて一端が開口すると共に、他端は、冷媒導入管22の途中部(密閉容器13外部に延出した部分である)に接続されている。従って、オイル分離器5にて分離されたオイルは、オイル戻し管30を介して冷媒導入管22に流入し、当該冷媒導入管22内を流れる第1の圧縮要素10にて圧縮された冷媒と合流して第2の圧縮要素11に吸い込まれることとなる。
一方、前記オイル分離器5の冷媒出口5Bに接続された冷媒配管26は、放熱器2の入口に接続される。本実施例の冷凍サイクル装置は前述したように給湯器に適用されるものである。従って、圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒は放熱器2にて、図示しない給湯タンクの水を加熱し、これにより、給湯に適した高温の湯が生成されるのである。この放熱器2は、例えば、冷媒と給湯タンク内の水とを直接熱交換する水−冷媒熱交換器型の熱交換器にて構成されている。尚、放熱器2は、上記の如く給湯用の水と冷媒とを当該放熱器2にて熱交換させるものに限らず、冷媒と他の熱媒体とを熱交換させるものとしても良い。この場合、放熱器2にて冷媒と熱交換することにより加熱された熱媒体と給湯用の水とを熱交換可能に構成することで、係る給湯用の水を加熱して高温の湯を生成することができる。
上記放熱器2の出口には、冷媒配管27の一端が接続され、この冷媒配管27の他端は減圧装置3の入口に接続される。減圧装置3は、放熱器2にて放熱した冷媒を減圧するための装置であり、膨張弁、或いは、キャピラリーチューブなどにより構成されている。本実施例の減圧装置3は電子式の膨張弁にて構成されて、弁の開度が後述する制御手段8により制御されているものとする。
そして、減圧装置3の出口には、冷媒配管28の一端が接続され、この冷媒配管28の他端は蒸発器4の入口に接続される。蒸発器4は近傍に設けられたファン4Fにて送風される空気と冷媒とを熱交換させる空冷式の熱交換器である。また、上記蒸発器4の出口には前記冷媒導入管20の他端が接続される。
ところで、上記冷媒導入管20には、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の温度を検出するための温度センサ50が設置され、冷媒吐出管24には、第2の圧縮要素11から吐出された冷媒の温度を検出するための温度センサ52が設置されている。上記両温度センサ50、52は前記制御手段8に接続されている。
前述した制御手段8は、冷凍サイクル装置の制御を司る制御手段である。図1に破線矢印で示すように、当該制御手段8の入力側には上記両温度センサ50、52及び外気温度を検出するための外気温度センサ54等が接続され、出力側には圧縮機1の電動要素12、減圧装置3、蒸発器4のファン4F等が接続されている。また、制御手段8は図示しない給湯タンクの出湯温度及び予め設定された給湯温度等の給湯タンク側の温度情報も入力可能に構成されている。
そして、制御手段8は、上記各温度センサ50、52、54にて検出される温度に基づき、給湯タンクからの出湯温度が予め設定された給湯温度となるように圧縮機1の電動要素12の及び蒸発器4のファン4Fの運転、減圧装置3の開度を制御している。
以上の構成で本実施例の冷凍サイクル装置の動作を説明する。尚、本実施例の冷媒サイクル装置には、冷媒として二酸化炭素(CO2)が封入されているものとする。制御手段8により、圧縮機1の電動要素12が駆動されると、冷媒導入管20から第1の圧縮要素10の低圧室側に蒸発器4からの低温低圧の冷媒が吸い込まれて圧縮されて中間圧となる。そして、第1の圧縮要素10で圧縮された冷媒は、高圧室側から密閉容器13内に吐出される。これにより、密閉容器13内は中間圧となる。
密閉容器13内に吐出された中間圧の冷媒は、冷媒導入管22に入り、一旦密閉容器13から出た後、再び、密閉容器13内に戻り、第2の圧縮要素11の低圧室側に吸い込まれて圧縮され、高温高圧の冷媒となり、高圧室側から冷媒吐出管24に入り、圧縮機1の外部に吐出される。
このとき、冷媒吐出管24から吐出される冷媒中には圧縮機1の第2の圧縮要素11(第2の圧縮要素11の摺動部等)に供給されていたオイルが混入されている。即ち、圧縮機1の第2の圧縮要素11からはオイルを含む高温高圧の冷媒が吐出される。そして、当該オイルを含む冷媒はオイル分離器5内に吐出される。これにより、当該オイル分離器5のオイル分離空間内で冷媒中に混入したオイルが分離され、分離されたオイルはオイル分離空間の内壁面等を伝わって底部に流下する。
一方、オイル分離器5にてオイルと分離した冷媒は冷媒出口5Bから出て、放熱器2に流入する。放熱器2に流入した冷媒は当該放熱器2において水に熱を放出して冷却され、低温となる。一方、この放熱器2における冷媒の放熱作用で給湯用の水が加熱され、高温の湯が生成される。
上記放熱器2にて給湯用の水により熱を奪われて低温となった冷媒は、減圧装置3に至る。そして、冷媒は当該減圧装置3を通過する過程で圧力低下し、この状態で蒸発器4に流入する。ここで、冷媒はファン4Fにて送風される空気と熱交換して蒸発した後、再び冷媒導入管20から圧縮機1の第1の圧縮要素10に吸い込まれるサイクルを繰り返す。
一方、前記オイル分離器5にて分離されたオイルは、オイル戻し管30を介して圧縮機1の第2の圧縮要素11に吸い込まれる。これにより、オイル分離器5にて分離されたオイルをオイル戻し管30を介して圧縮機1の第2の圧縮要素11に戻すことができる。
ところで、上記オイル分離器5にて分離されたオイルをオイル戻し管30を介して圧縮機1に戻す場合、オイル分離器5と冷媒導入管22とを単にオイル戻し管30にて接続するだけでは、当該オイル戻し管30から戻るオイル量は成り行きとなってしまう。この場合、オイル戻し管30を介して第2の圧縮要素11に戻るオイル量が少ないと、圧縮機1がオイル不足となる不都合が生じる。このように、圧縮機1のオイルが不足すると、前述の如く第1の圧縮要素10及び第2の圧縮要素11にオイルを十分に供給することができないので、摺動性やシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生して、圧縮機1が損傷したり、性能の低下を招くなどの問題が生じる。
また、オイル戻し管30を介して第2の圧縮要素11に戻るオイル量が過剰となると、分離されたオイルだけでなく、冷媒もオイル戻し管30から戻る不都合が生じる。この場合、オイルと共に戻る冷媒は第2の圧縮要素11にて圧縮された高温高圧の冷媒であるため、係る冷媒が過剰に戻ると、第2の圧縮要素11における効率が著しく低下してしまう。
このため、オイル戻し管30から圧縮機11に戻すオイル量が最適となるように制御する必要がある。この場合、第2の圧縮要素11から吐出されるオイル量と略同量のオイルを圧縮機1(本実施例では、圧縮機1の第2の圧縮要素11)に戻すことができれば、上記オイルの過不足の問題を解消することが可能である。
このようなオイル戻しの一つとして、オイル戻し管に流量調整弁を介設すると共に、流量調整弁の前後に温度センサを取り付けて、当該温度センサにて検出される流量調整弁前と流量調整弁後の温度差が所定範囲内になるように流量調整弁の開閉を制御するものも開発されている。しかしながら、この場合、流量調整弁を制御するために当該流量調整弁の前後に新たに2つの温度センサを追加しなければならず、コストが著しく高騰する不都合が生じる。
そこで、本発明では、第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度Tsuc2を検出可能な1つの温度センサ55を追加し、当該温度センサ55にて検出される冷媒温度が所定の目標値となるようにオイル戻し管30の流量調整弁7を制御手段8により制御するものとする。
当該温度センサ55は、第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度を検出可能な位置に取り付けられている。本実施例では、図1に示すように温度センサ55は冷媒導入管22のオイル戻し管30の接続点より下流側(第2の圧縮要素11側)に設置されている。
即ち、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るオイルは、当該第2の圧縮要素11で圧縮されて吐出された高温のオイルであるため、第1の圧縮要素10にて圧縮された冷媒より高温である。即ち、高温のオイルをより低温である部分(本実施例では第2の圧縮要素11の吸込側)に戻すため、当該オイルの戻り量に応じて、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度(オイルを含む冷媒温度)Tsuc2が変化する。
具体的には、オイル戻し管30から戻るオイル量が少なければ、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度Tsuc2は、第1の圧縮要素10で圧縮されオイル戻し管30からのオイルと合流前の冷媒温度Tdis1からさほど上昇しないが(即ち、合流前後の冷媒の温度差は小さい)、オイル戻し管30から戻るオイル量が多ければ、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度Tsuc2は、第1の圧縮要素10で圧縮されオイル戻し管30からのオイルと合流前の冷媒温度Tdis1から著しく上昇することとなる。
このように、オイル戻し管30からのオイル量により温度センサ55にて検出される冷媒温度Tsuc2が変化するので、オイル戻し管30からのオイル量が、第2の圧縮要素11から吐出されるオイル量と略同量となる目標値を導出して、温度センサ55にて検出される冷媒温度Tsuc2が当該目標値となるように流量調整弁7を制御することが望ましい。
そこで、本実施例では上記目標値を、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻すときの第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度(第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度)とし、この目標値となるように流量調整弁7を制御するものとする。
この場合、制御手段8は、上記第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻すときの各温度(第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度や第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度、或いは、外気温度等)における第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度、即ち、目標値を予め実験等により決定したテーブルを備えて、温度センサ55にて検出される冷媒温度Tsuc2と当該テーブルに基づき、流量調整弁7を制御するものとしても良いし、計算式によりその都度、目標値を計算して、温度センサ55にて検出される冷媒温度Tsuc2が当該目標値となるように流量調整弁7を制御しても良い。本実施例では、制御手段8が計算式を備えて、当該計算式によりその都度、目標値を計算し、温度センサ55にて検出される冷媒温度Tsuc2が当該目標値となるように流量調整弁7を制御するものとする。
ここで、上記計算式の一例を求める。上記の如く第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るとき、オイル戻し管30からのオイルの熱量と第1の圧縮要素10から吐出される冷媒の熱量の和と、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の熱量とが一致することとなる。各熱量は、比熱と流量(循環量)と温度の積で求めることができる。
即ち、第2の圧縮要素11から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の第2の圧縮要素11から吐出されたオイルの流量をaとすると、第2の圧縮要素11から吐出された冷媒の流量(即ち、第2の圧縮要素11から吐出されたオイルを除く冷媒のみの流量であり、これは第1の圧縮要素10にて圧縮され、オイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の流量に相当する)が1−aとなり、この冷媒の熱量(図2に示す合流前の冷媒の熱量)は、
Cco2×(1−a)×Tdis1・・・式(1)
となる。Cco2は冷媒(二酸化炭素)の比熱、Tdis1はオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の温度である。
また、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻る場合には、当該オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るオイルの流量はaであり、このオイル戻し管30からのオイルの熱量(図2に示すオイルの熱量)は、
Coil×a×k×Tdis2・・・式(2)
となる。Coilはオイルの比熱、kは放熱係数、即ち、第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るまでの過程で、オイルが放熱する放熱量を考慮した係数、Tdis2は第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度である。上記係数kは第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るまでの間にオイルが通過するオイル分離器5と全配管(冷媒吐出管24、オイル戻し管30等)の全長、断面積及び断熱状況や外気温度等によって変化するものであり、このkとTdis2の積(即ち、k×Tdis2)がオイル戻し管30から戻るオイルの温度に相当する。
また、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量、即ち、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量とオイルの熱量の和は、
Coil×a×Tsuc2+Cco2×(1−a)×Tsuc2・・・式(3)
となる。また、上記Tsuc2は第1の圧縮要素10にて圧縮され、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒温度(第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度)に相当する。
Cco2×(1−a)×Tdis1・・・式(1)
となる。Cco2は冷媒(二酸化炭素)の比熱、Tdis1はオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の温度である。
また、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻る場合には、当該オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るオイルの流量はaであり、このオイル戻し管30からのオイルの熱量(図2に示すオイルの熱量)は、
Coil×a×k×Tdis2・・・式(2)
となる。Coilはオイルの比熱、kは放熱係数、即ち、第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るまでの過程で、オイルが放熱する放熱量を考慮した係数、Tdis2は第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度である。上記係数kは第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るまでの間にオイルが通過するオイル分離器5と全配管(冷媒吐出管24、オイル戻し管30等)の全長、断面積及び断熱状況や外気温度等によって変化するものであり、このkとTdis2の積(即ち、k×Tdis2)がオイル戻し管30から戻るオイルの温度に相当する。
また、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量、即ち、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量とオイルの熱量の和は、
Coil×a×Tsuc2+Cco2×(1−a)×Tsuc2・・・式(3)
となる。また、上記Tsuc2は第1の圧縮要素10にて圧縮され、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒温度(第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度)に相当する。
従って、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るとき、上述したようにオイル戻し管30からのオイルの熱量と第1の圧縮要素10から吐出されオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の熱量の和と、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の熱量とが一致するので、
式(1)+式(2)=式(3)
が成り立つ。即ち、
Coil×a×k×Tdis2+Cco2×(1−a)×Tdis1=Coil×a×Tsuc2+Cco2×(1−a)×Tsuc2・・・式(4)
となり、このとき、第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度Tsuc2は、
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
となる。この式(5)は、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻すときのTsuc2を算出する式である。
式(1)+式(2)=式(3)
が成り立つ。即ち、
Coil×a×k×Tdis2+Cco2×(1−a)×Tdis1=Coil×a×Tsuc2+Cco2×(1−a)×Tsuc2・・・式(4)
となり、このとき、第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度Tsuc2は、
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
となる。この式(5)は、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻すときのTsuc2を算出する式である。
以上の如く上記式(5)にて算出される温度Tsuc2を目標値T1として、温度センサ55にて検出される温度Tsuc2がこの目標値T1となるように、流量調整弁8を制御することで、第2の圧縮要素11から吐出された分のオイルと略同量のオイルをオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻すことができるようになる。この場合、オイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の温度Tdis1は、温度センサ54にて検出される外気温度Tgaiki(以下、TgaikiをTgと称略する)と温度センサ50にて検出される第1の圧縮要素10の吸い込み冷媒温度Tsuc1から算出することが可能であるので、オイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の温度を検出する温度センサを格別に取り付ける必要はない。
次に、上記計算式(5)を備えた制御手段8の制御動作について図3を用いて説明する。先ず、制御手段8は、ステップS1にて外気温度センサ54及び温度センサ50からの出力情報(外気温度Tg(Tgaiki)と第1の圧縮要素10の吸い込み冷媒温度Tsuc1)を検出する。次に、制御手段8は、ステップS2に移行して、上記ステップS1にて検出した外気温度Tgと第1の圧縮要素10の吸い込み冷媒温度Tsuc1から第1の圧縮要素10から吐出され、オイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tdis1を算出する。
次に、制御手段8は、ステップS3に移行し、温度センサ55にて第1の圧縮要素10から吐出されてオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素に11吸い込まれる冷媒の温度Tsuc2、温度センサ52にて第2の圧縮要素11から吐出された冷媒の温度Tdis2を検出した後、ステップS4に移行して、上記計算式(5)から第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の温度の目標値T1を算出する。
上記ステップS4にて目標値T1を算出すると、制御手段8は算出された目標値T1と温度センサ55にて検出された上記冷媒温度Tsuc2とを比較する。即ち、冷媒温度Tsuc2が目標値T1の所定範囲(T1±α)内であれば、制御手段8は、流量調整弁7の開度を維持(現在の状態で固定)し、冷媒温度Tsuc2がそれより高い場合(即ち、Tsuc2>T1+α)には、流量調整弁7の開度を小さくすると共に、冷媒温度Tsuc2が低い場合(即ち、Tsuc2<T1−α)には、流量調整弁7の開度を大きくする。尚、αは予め設定された任意の正数とする。
具体的には、制御手段8は、ステップS5において、ステップS3にて検出された冷媒温度Tsuc2がステップS4にて算出された目標値T1と任意の値αとの和(T1+α)より大きいか否かを判定する。冷媒温度Tsuc2がT1+αより大きい場合には、第2の圧縮要素11から吐出されたオイル量よりオイル戻し管30から戻るオイル量が多いことがわかる。即ち、オイル分離器5にて分離されたオイル以外に、第2の圧縮要素11にて圧縮された高温高圧の冷媒も多量にオイル戻し管30から戻っているために、合流後の冷媒温度Tsuc2が著しく上昇しているものと考えられる。このようにオイルと共に高温高圧の冷媒が第2の圧縮要素11に戻ると効率が著しく低下する不都合が生じる。
そこで、制御手段8は冷媒温度Tsuc2がT1+αより大きい場合には、ステップS6に移行し、流量調整弁7を所定ステップ閉じて(図3に示すMVpulse-)、前記ステップS1に戻る。これにより、流量調整弁7の開度が小さくなり、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るオイル量が減少する。即ち、当該オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻る高温高圧の冷媒が減少するようになる。従って、冷媒温度センサ55にて検出される合流後の冷媒温度Tsuc2が低下して、係る効率の低下する不問題を解消することができるようになる。
一方、ステップS5にて冷媒温度Tsuc2がT1+αより小さい場合には、制御手段8はステップS7に移行し、ステップS3にて検出された冷媒温度Tsuc2がステップS4にて算出された目標値T1から任意の値αを引いた値(T1−α)より小さいか否かを判定する。冷媒温度Tsuc2がT1−αより小さい場合には、オイル戻し管30から戻るオイル量が第2の圧縮要素11から吐出されるオイル量より少ないものと考えられる。このように、オイル戻し管30から戻るオイル量が少ないと、圧縮機1内のオイル量が徐々に少なくなり、やがてオイル不足に陥り、摺動性やシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生する等の問題が生じる。
そこで、冷媒温度Tsuc2がT1−αより小さい場合には、制御手段8はステップS8に移行し、流量調整弁7の開度を所定ステップ開いて(図3に示すMVpulse+)、前記ステップS1に戻る。これにより、流量調整弁7の開度が大きくなり、オイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻るオイル量が増加するようになる。これにより、圧縮機1がオイル不足に陥る不都合を解消することができるようになる。
また、ステップS7にて冷媒温度Tsuc2がT1−αより大きい場合には、冷媒温度Tsuc2は目標値T1の所定範囲(T1±α)であるため、制御手段8はステップS9に移行して、流量調整弁7の開度を現在の状態のまま維持して(図3に示すMVpulse固定)、前記ステップS1に戻る。
このように、本実施例の制御手段8は上記式(5)を備えて、温度センサ50、温度センサ52、温度センサ54及び温度センサ55の出力に基づき、計算式(5)から目標値T1を算出し、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度Tsuc2が当該目標値T1となるように流量調整弁30を制御することで、圧縮機1の第2の圧縮要素11から吐出された分のオイルと略同量のオイルを圧縮機1の第2の圧縮要素11に戻すことができるようになる。これにより、前述したようにオイル戻し管30から戻すオイル量が不足、或いは、オイル戻し管30から戻るオイル量が過剰となって生じる前記問題を確実に解消することができる。
特に、従来より設置されている圧縮機1の吸込側及び吐出側の温度センサ50、52と、外気温度センサ54に加えて、合流後の温度を検出する温度センサ55を一つ追加するだけで、計算式(5)から熱量を計算し、目標値T1を導出することができるので、従来に比してコストの高騰も極力抑えることができる。
次に、上記実施例1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置における他の実施例を説明する。本実施例では前述した目標値(即ち、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第2の圧縮要素11に戻すときの第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度を目標値とする)に基づいて、制御手段8が予め作成されたテーブルを備えており、このテーブルにより目標値T2を決定して、当該目標値T2となるように流量調整弁7が制御される。上記テーブルは予め実験等にて決定されたものであり、各条件(温度条件)により最適な目標値T2が決定されている。
当該テーブルを備えた制御手段8の制御動作を図4及び図5を用いて説明する。制御手段8は上述したように予め実験より各条件における最適な目標値T2を求めるためのテーブルのデータ(例えば、本実施例では図5のテーブル)を備えるものとする。
先ず、制御手段8は、ステップS11にて各温度センサ50、52、54及び55からの入力情報(第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsuc1、第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度Tdis2、外気温度Tg、第1の圧縮要素10にて圧縮され、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度Tsuc2)を検出する。次に、制御手段8は、ステップS12に移行して、上記ステップS11にて検出された各温度情報から当該制御手段8が有する前記テーブルに基づき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒温度の目標値T2を決定する。
本実施例の目標値T2は、例えば、図5に示すように2つのテーブルから決定される。即ち、制御手段8は、先ず、ステップS12にて検出された外気温度Tgと第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsuc1に基づいて、図5の第1のテーブル(Step1)に示すように所定値a、b、c・・・を決定する。
次に、図5の第1のテーブル(Step1)にて決定された所定値a、b、c・・・と、ステップS12にて検出された第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度Tdis2に基づいて、図5の第2のテーブル(Step2)から目標値T2を決定する。
例えば、ステップS12にて検出された外気温度Tgが+3℃、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsuc1が+11℃、第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度Tdis2が+81℃である場合について説明する。このとき、外気温度Tgが+5℃より低く、冷媒温度Tsuc1が+11℃に該当するので、両温度情報に基づき第1のテーブル(Step1)から所定値bが得られる。次に、図5の第2のテーブル(Step2)より、目標値T2が決定される。このとき、第1のテーブル(Step1)より得られたbと、冷媒温度Tdis2の+81℃とから、図5の第2のテーブル(Step2)の60.5が得られる。従って、この場合の目標値T2は、+60.5℃となる。
上述したようにステップS12にて目標値T2が決定されると、制御手段8は決定された目標値T2と温度センサ55にて検出された上記冷媒温度Tsuc2とを比較する。即ち、冷媒温度Tsuc2が目標値T2の所定範囲(T2±α)内であれば、制御手段8は、流量調整弁7の開度を維持(現在の状態で固定)し、冷媒温度Tsuc2がそれより高い場合(即ち、Tsuc2>T2+α)には、流量調整弁7の開度を小さくすると共に、冷媒温度Tsuc2が低い場合(即ち、Tsuc2<T2−α)には、流量調整弁7の開度を大きくする。尚、αは予め設定された任意の正数とする。
具体的には、制御手段8は、ステップS13において、ステップS11にて検出された冷媒温度Tsuc2がステップS12にて決定された目標値T2と任意の値αとの和(T2+α)より大きいか否かを判定する。温度センサ55により検出された冷媒温度Tsuc2がT2+αより大きい場合には、制御手段8はステップS14に移行して、流量調整弁7の開度を所定ステップ閉じて(図4に示すMVpulse-)、前記ステップS11に戻る。
一方、ステップS13にて冷媒温度Tsuc2がT2+αより小さい場合には、制御手段8はステップS15に移行し、ステップS11にて検出された冷媒温度Tsuc2がステップS12にて決定された目標値T2から任意の値αを引いた値(T2−α)より小さいか否かを判定する。そして、冷媒温度Tsuc2がT2−αより小さい場合には、制御手段8はステップS16に移行し、流量調整弁7の開度を所定ステップ開いて(図4に示すMVpulse+)、前記ステップS1に戻る。また、ステップS15にて冷媒温度Tsuc2がT2−αより大きい場合には、冷媒温度Tsuc2は目標値T2の所定範囲(T2±α)であるため、制御手段8はステップS17に移行して、流量調整弁7の開度を現在の状態のまま維持して(図3に示すMVpulse固定)、前記ステップS1に戻る。
このように、本実施例の如く制御手段8が上記テーブルを備えて、温度センサ50、温度センサ52、温度センサ54及び温度センサ55の出力に基づき、テーブルから目標値T2を決定し、第2の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒温度Tsuc2が当該目標値T2となるように流量調整弁30を制御することで、上記実施例(実施例1)と同様に圧縮機1の第2の圧縮要素11から吐出された分のオイルと略同量のオイルを圧縮機1の第2の圧縮要素11に戻すことができる。これにより、前述したようにオイル戻し管30から戻すオイル量が不足、或いは、オイル戻し管30から戻るオイル量が過剰となって生じる前記問題を確実に解消することができる。尚、上記テーブルは図5に示す数値に限定されるものではない。即ち、図5に示すテーブルは制御手段8に備えたテーブルの一例にすぎず、使用する圧縮機1や回路構成や条件等により実験により最適なテーブルを決定することが望ましい。
また、上記実施例と同様に従来より使用している吸込側及び吐出側の温度センサ50、52と、外気温度センサ54に加えて、合流後の温度を検出する温度センサ55を一つ追加するだけで、目標値T2を決定することができるので、従来に比してコストの高騰も抑えることができる。
尚、上記各実施例(実施例1及び実施例2)では、オイル分離器5にて分離されたオイルを圧縮機1の第2の圧縮要素11に戻すものとしたが、圧縮機1の第1の圧縮要素10に戻しても構わない。図6は、オイル分離器5にて分離されたオイルを圧縮機1の第1の圧縮要素10に戻す場合における一例の冷媒サイクル装置の冷媒回路図である。尚、図6において前記図1乃至図5と同一の符号が付されたものは同様、或いは、類似の効果又は作用を奏するものであるためここでは説明を省略する。
図6に示すように、本実施例では、冷媒導入管20の途中部にオイル戻し管30が接続されている。即ち、オイル戻し管30の一端がオイル分離器5に接続され、他端が圧縮機1の第1の圧縮要素10の吸込側に接続された冷媒導入管20の途中部に接続される。
本実施例では前記温度センサ50は、冷媒導入管20のオイル戻し管30の接続部より上流側(蒸発器4側)に設置されている。また、冷媒導入管20のオイル戻し管30の接続部より下流側(第1の圧縮要素10側)には、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、当該第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の温度Tsucを検出するための温度センサ57が設置されており、当該温度センサ57も制御手段8に接続されている。
この場合、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るオイルは、当該第1の圧縮要素10で圧縮されて吐出された高温のオイルであり、当該高温のオイルを冷媒回路の低温部分(本実施例では第1の圧縮要素10の吸込側)に戻すため、当該オイルの戻り量に応じて、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度(オイルを含む冷媒温度)Tsucが著しく変化する。
具体的には、オイル戻し管30から戻るオイル量が少なければ、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsucは、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1からさほど上昇しないが(即ち、合流前後の冷媒の温度差は小さいが)、オイル戻し管30から戻るオイル量が多ければ、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsucは、オイル戻し管30からのオイルと合流前の冷媒温度Tsuc1から著しく上昇する。このように、オイル戻し管30からのオイル量により温度センサ57にて検出される冷媒温度Tsucが著しく変化することとなる。
そこで、オイル戻し管30からのオイル量が第2の圧縮要素11から吐出されるオイル量と略同量となる目標値を導出して、制御手段8により、温度センサ57にて検出される冷媒温度Tsucが当該目標値となるように流量調整弁7を制御することが望ましい。この目標値は、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻すときの第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度(蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の温度)とし、この目標値となるように流量調整弁7を制御するものとする。
この場合、制御手段8は、上記第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻すときの各温度(オイル戻し管30からのオイルと合流前の冷媒温度や第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度、或いは、外気温度等)における第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度、即ち、目標値を予め実験等により決定したテーブルを備えて、温度センサ57にて検出される冷媒温度Tsucと当該テーブルに基づき、流量調整弁7を制御するものとしても良いし、計算式によりその都度、目標値を計算して、温度センサ57にて検出される冷媒温度Tsucが当該目標値となるように流量調整弁7を制御するものとしても良い。本実施例では、制御手段8が計算式を備えて、当該計算式によりその都度、目標値を計算し、温度センサ57にて検出される冷媒温度Tsucが当該目標値となるように流量調整弁7を制御するものとする。
ここで、上記計算式の一例を求める。上記の如く第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るとき、オイル戻し管30からのオイルの熱量と蒸発器4から出る冷媒の熱量(即ち、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の熱量)の和と、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素11に吸い込まれる冷媒の熱量とが一致することとなる。各熱量は、比熱と流量(循環量)と温度の積で求めることができる。
即ち、第2の圧縮要素11から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の第2の圧縮要素11から吐出されたオイルの流量をaとすると、第2の圧縮要素11から吐出された冷媒の流量(即ち、第2の圧縮要素11から吐出されたオイルを除く冷媒のみの流量であり、これは蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の流量に相当する)が1−aとなり、この冷媒の熱量(図7に示す合流前の冷媒の熱量)は、
Cco2×(1−a)×Tsuc1・・・式(6)
となる。Tsuc1はオイル戻し管30からのオイルと合流する前の蒸発器4からの冷媒の温度である。
また、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻る場合には、当該オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るオイルの流量はaであり、このオイル戻し管30からのオイルの熱量(図7に示すオイルの熱量)は、
Coil×a×k×Tdis2・・・式(7)
となる。Coilはオイルの比熱、kは放熱係数、即ち、第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るまでの過程で、オイルが放熱する放熱量を考慮した係数、Tdis2は第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度である。上記係数kは第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るまでの間にオイルが通過するオイル分離器5と全配管(冷媒吐出管24、オイル戻し管30等)の全長、断面積及び断熱状況や外気温度等によって変化するものであり、このkとTdis2の積(即ち、k×Tdis2)がオイル戻し管30から戻るオイルの温度に相当する。
更に、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量、即ち、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量とオイルの熱量の和は、
Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(8)
となる。上記Tsucはオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度に相当する。
Cco2×(1−a)×Tsuc1・・・式(6)
となる。Tsuc1はオイル戻し管30からのオイルと合流する前の蒸発器4からの冷媒の温度である。
また、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻る場合には、当該オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るオイルの流量はaであり、このオイル戻し管30からのオイルの熱量(図7に示すオイルの熱量)は、
Coil×a×k×Tdis2・・・式(7)
となる。Coilはオイルの比熱、kは放熱係数、即ち、第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るまでの過程で、オイルが放熱する放熱量を考慮した係数、Tdis2は第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度である。上記係数kは第2の圧縮要素11から吐出され、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るまでの間にオイルが通過するオイル分離器5と全配管(冷媒吐出管24、オイル戻し管30等)の全長、断面積及び断熱状況や外気温度等によって変化するものであり、このkとTdis2の積(即ち、k×Tdis2)がオイル戻し管30から戻るオイルの温度に相当する。
更に、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量、即ち、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量とオイルの熱量の和は、
Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(8)
となる。上記Tsucはオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度に相当する。
従って、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るとき、上述したようにオイル戻し管30からのオイルの熱量とオイル戻し管30からのオイルと合流する前の蒸発器4からの冷媒の熱量の和と、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の熱量とが一致するので、
式(6)+式(7)=式(8)
が成り立つ。即ち、
Coil×a×k×Tdis2+Cco2×(1−a)×Tsuc1=Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(9)
となり、このとき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の温度Tsucは、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
となる。この式(10)は、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻す時のTsucを算出する式である。
式(6)+式(7)=式(8)
が成り立つ。即ち、
Coil×a×k×Tdis2+Cco2×(1−a)×Tsuc1=Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(9)
となり、このとき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の温度Tsucは、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
となる。この式(10)は、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻す時のTsucを算出する式である。
このように上記式(10)にて算出される温度Tsucを目標値T3として、温度センサ57にて検出される温度Tsucがこの目標値T3となるように、流量調整弁8を制御することで、第2の圧縮要素11から吐出された分のオイルと略同量のオイルをオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻すことができるようになる。
以上の計算式(10)を備えた制御手段8の制御動作について図8を用いて説明する。先ず、制御手段8は、ステップS21にて外気温度センサ54及び温度センサ50からの出力情報(外気温度Tg(Tgaiki)と蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1)を検出する。
次に、制御手段8は、ステップS22に移行して、温度センサ57にて蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機1の第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsucと、温度センサ52にて第2の圧縮要素11から吐出された冷媒の温度Tdis2を検出した後、ステップS23に移行して、上記計算式(10)から第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒の温度の目標値T3を算出する。
上記ステップS23にて目標値T3を算出すると、制御手段8は算出された目標値T3と温度センサ57にて検出された冷媒温度Tsucとを比較する。即ち、冷媒温度Tsucが目標値T3の所定範囲(T3±α)内であれば、制御手段8は、流量調整弁の開度を維持(現在の状態で固定)し、冷媒温度Tsucがそれより高い場合(即ち、Tsuc>T3+α)には、流量調整弁7の開度を小さくすると共に、冷媒温度Tsucが低い場合(即ち、Tsuc<T3−α)には、流量調整弁7の開度を大きくする。尚、αは予め設定された任意の正数とする。
具体的には、制御手段8は、ステップS24において、ステップS22にて検出された冷媒温度TsucがステップS23にて算出された目標値T3と任意の値αとの和(T3+α)より大きいか否かを判定する。冷媒温度TsucがT3+αより大きい場合には、第2の圧縮要素11から吐出されたオイル量よりオイル戻し管30から戻るオイル量が多いことがわかる。即ち、オイル分離器5にて分離されたオイル以外に、第2の圧縮要素11にて圧縮された高温高圧の冷媒も多量にオイル戻し管30から戻っているために、合流後の冷媒温度Tsucが著しく上昇しているものと考えられる。このようにオイルと共に高温高圧の冷媒が第1の圧縮要素10に戻ると効率が著しく低下する不都合が生じる。
そこで、制御手段8は冷媒温度TsucがT3+αより大きい場合には、ステップS25に移行し、流量調整弁7を所定ステップ閉じて(図8に示すMVpulse-)、前記ステップS21に戻る。これにより、流量調整弁7の開度が小さくなり、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るオイル量が減少する。即ち、当該オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻る高温高圧の冷媒が減少するようになる。従って、冷媒温度センサ57にて検出される合流後の冷媒温度Tsucが低下して、係る効率の低下する不問題を解消することができるようになる。
一方、ステップS24にて冷媒温度TsucがT3+αより小さい場合には、制御手段8はステップS26に移行し、ステップS22にて検出された冷媒温度TsucがステップS23にて算出された目標値T3から任意の値αを引いた値(T3−α)より小さいか否かを判定する。冷媒温度TsucがT3−αより小さい場合には、オイル戻し管30から戻るオイル量が第2の圧縮要素11から吐出されるオイル量よりも少ないものと考えられる。このように、オイル戻し管30から戻るオイル量が少ないと、圧縮機1内のオイル量が徐々に少なくなり、やがてオイル不足に陥り、摺動性やシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生する等の問題が生じる。
そこで、冷媒温度TsucがT3−αより小さい場合には、制御手段8はステップS27に移行し、流量調整弁7の開度を所定ステップ開いて(図8に示すMVpulse+)、前記ステップS21に戻る。これにより、流量調整弁7の開度が大きくなり、オイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻るオイル量が増加するようになる。これにより、圧縮機1がオイル不足に陥る不都合を解消することができるようになる。
また、ステップS26にて冷媒温度TsucがT3−αより大きい場合には、冷媒温度Tsucは目標値T3の所定範囲(T3±α)であるため、制御手段8はステップS28に移行して、流量調整弁7の開度を現在の状態のまま維持して(図8に示すMVpulse固定)、前記ステップS21に戻る。
このように、本実施例の制御手段8は上記式(10)を備えて、温度センサ50、温度センサ52、温度センサ54及び温度センサ57の出力に基づき、計算式(10)から目標値T3を算出し、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsucが当該目標値T3となるように流量調整弁30を制御することで、圧縮機1の第2の圧縮要素11から吐出された分のオイルと略同量のオイルを圧縮機1の第2の圧縮要素11に戻すことができるようになる。これにより、前述したようにオイル戻し管30から戻すオイル量が不足、或いは、オイル戻し管30から戻るオイル量が過剰となって生じる前記問題を確実に解消することができる。
また、上記各実施例と同様に従来より設置されている圧縮機1の吸込側及び吐出側の温度センサ50、52と、外気温度センサ54に加えて、一つの温度センサ(本実施例では、温度センサ57)を追加するだけで、計算式(10)から熱量を計算し、目標値T3を導出することができるので、従来に比してコストの高騰も極力抑えることができる。
次に、上記実施例3の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置における他の実施例を説明する。本実施例では上述した目標値(即ち、第2の圧縮要素11から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から第1の圧縮要素10に戻すときの第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度を目標値とする)に基づいて、制御手段8が予め作成されたテーブルを備えており、このテーブルにより目標値T4を決定して、当該目標値T4となるように流量調整弁7が制御されている。上記テーブルは予め実験等にて決定されたものであり、各条件(温度条件)により最適な目標値T4が決定されている。
このテーブルを備えた制御手段8の制御動作を図9及び図10を用いて説明する。制御手段8は上述したように予め実験より各条件における最適な目標値T4を求めるためのテーブルのデータ(例えば、本実施例では図10のテーブル)を備えるものとする。
先ず、制御手段8は、ステップS31にて各温度センサ50、52、54及び57からの入力情報(蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1、第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度Tdis2、外気温度Tg、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsuc)を検出する。
次に、制御手段8は、ステップS32に移行して、上記ステップS31にて検出された各温度情報から制御手段8が有するテーブルに基づき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒温度の目標値T4を決定する。本実施例の目標値T4は、例えば、図10に示す1つのテーブルから決定される。即ち、制御手段8は、ステップS31にて検出された蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1と第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度Tdis2に基づいて、図10のテーブルから目標値T4を決定する。
例えば、温度センサ50にて検出された冷媒温度Tsuc1が+10℃、温度センサ52にて検出される第2の圧縮要素11から吐出される冷媒温度Tdis2が+80℃である場合には、図10のテーブルから60が得られる。従って、この場合の目標値T4は、+60℃となる。
上述したようにステップS32にて目標値T4が決定されると、制御手段8は決定された目標値T4と温度センサ57にて検出された上記冷媒温度Tsucとを比較する。即ち、冷媒温度Tsucが目標値T4の所定範囲(T4±α)内であれば、制御手段8は、流量調整弁7の開度を維持(現在の状態で固定)し、冷媒温度Tsucがそれより高い場合(即ち、Tsuc>T4+α)には、流量調整弁7の開度を小さくすると共に、冷媒温度Tsucが低い場合(即ち、Tsuc<T4−α)には、流量調整弁7の開度を大きくする。尚、αは予め設定された任意の正数とする。
具体的には、制御手段8は、ステップS33において、ステップS31にて検出された冷媒温度TsucがステップS32にて決定された目標値T4と任意の値αとの和(T4+α)より大きいか否かを判定する。温度センサ57により検出された冷媒温度TsucがT4+αより大きい場合には、制御手段8はステップS34に移行して、流量調整弁7の開度を所定ステップ閉じて(図9に示すMVpulse-)、前記ステップS31に戻る。
一方、ステップS33にて冷媒温度TsucがT4+αより小さい場合には、制御手段8は35に移行し、ステップS31にて検出された冷媒温度TsucがステップS32にて決定された目標値T4から任意の値αを引いた値(T4−α)より小さいか否かを判定する。そして、冷媒温度TsucがT4−αより小さい場合には、制御手段8はステップS36に移行し、流量調整弁7の開度を所定ステップ開いて(図9に示すMVpulse+)、前記ステップS31に戻る。また、ステップS35にて冷媒温度TsucがT4−αより大きい場合には、冷媒温度Tsucは目標値T4の所定範囲(T4±α)であるため、制御手段8はステップS37に移行して、流量調整弁7の開度を現在の状態のまま維持して(図9に示すMVpulse固定)、前記ステップS31に戻る。
このように、本実施例の如く制御手段8が上記テーブルを備えて、温度センサ50、温度センサ52、温度センサ57の出力に基づき、テーブルから目標値T4を決定し、第1の圧縮要素10に吸い込まれる冷媒温度Tsucが当該目標値T4となるように流量調整弁30を制御することで、上記実施例(実施例3)と同様に圧縮機1の第2の圧縮要素11から吐出された分のオイルと略同量のオイルを圧縮機1の第1の圧縮要素10に戻すことができる。
これにより、前述したようにオイル戻し管30から戻すオイル量が不足、或いは、オイル戻し管30から戻るオイル量が過剰となって生じる前記問題を確実に解消することができる。尚、上記テーブルは図10に示す数値に限定されるものではない。即ち、図10に示すテーブルは制御手段8に備えたテーブルの一例にすぎず、使用する圧縮機1や回路構成や条件等により実験により最適なテーブルを決定することが望ましい。更に、実施例2の如く温度センサ54にて検出される外気温度Tgも考慮して目標値T4を決定するものとしても差し支えない。
更に、本実施例においても、上記各実施例と同様に従来より使用している圧縮機1の吸込側及び吐出側の温度センサ50、52と、外気温度センサ54に加えて、合流後の温度を検出する温度センサ57を一つ追加するだけで、目標値T4を決定することができるので、従来に比してコストの高騰を抑えることができる。
尚、上記各実施例では、圧縮機として少なくとも第1の圧縮要素10と第2の圧縮要素11とを多段の圧縮機を用いるものとしたが、本発明はこのように多段の圧縮機に限らず、単段の圧縮機であっても適用可能である。図11は、この場合の冷凍サイクル装置の一実施例の冷媒回路図である。尚、図11において、前記図1乃至図10と同一の符号が付されたものは同様、或いは、類似の効果又は作用を奏するものであるため説明を省略する。
図11において、70は単一の圧縮要素71により構成された圧縮機である。本実施例では、オイル戻し管30の一端がオイル分離器5に接続され、他端が圧縮機70の吸込側に接続された冷媒導入管20の途中部に接続されている。また、温度センサ50は、冷媒導入管20のオイル戻し管30の接続部より上流側(蒸発器4側)に設置されている。更に、冷媒導入管20のオイル戻し管30の接続部より下流側(圧縮機70側)には、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、当該圧縮機70に吸い込まれる冷媒の温度Tsucを検出するための温度センサ58が設置されており、当該温度センサ58も制御手段8に接続されている。
この場合、オイル戻し管30から圧縮機70に戻るオイルは、当該圧縮機70の圧縮要素71で圧縮されて吐出された高温のオイルであり、当該高温のオイルを冷媒回路の低温部分(本実施例では圧縮機70の吸込側)に戻すため、当該オイルの戻り量に応じて、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度(オイルを含む冷媒温度)Tsucが著しく変化する。
具体的には、オイル戻し管30から圧縮機70に戻るオイル量が少なければ、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度Tsucは、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1からさほど上昇しないが(即ち、合流前後の冷媒の温度差は小さいが)、オイル戻し管30から戻るオイル量が多ければ、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度Tsucは、オイル戻し管30からのオイルと合流前の冷媒温度Tsuc1から著しく上昇する。このように、オイル戻し管30からのオイル量により温度センサ58にて検出される冷媒温度Tsucが著しく変化することとなる。
そこで、オイル戻し管30からのオイル量が圧縮機70から吐出されるオイル量と略同量となる目標値を導出して、制御手段8により、温度センサ58にて検出される冷媒温度Tsucが目標値となるように流量調整弁7を制御することが望ましい。この目標値は、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から圧縮機70に戻すときの圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度(蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒の温度)とし、この目標値となるように流量調整弁7を制御するものとする。
この場合、制御手段8は、上述した圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から圧縮機70に戻すときの各温度(オイル戻し管30からのオイルと合流前の冷媒温度や圧縮機70から吐出される冷媒温度、或いは、外気温度等)における圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度、即ち、目標値を予め実験等により決定したテーブルを備えて、温度センサ58にて検出される冷媒温度Tsucと当該テーブルに基づき、流量調整弁7を制御するものとしても良いし、計算式によりその都度、目標値を計算して、温度センサ58にて検出される冷媒温度Tsucが当該目標値となるように流量調整弁7を制御するものとしても良い。本実施例では、制御手段8が計算式を備えて、当該計算式によりその都度、目標値を計算し、温度センサ58にて検出される冷媒温度Tsucが当該目標値となるように流量調整弁7を制御するものとする。
ここで、上記計算式の一例を求める。上述の如く圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から圧縮機70に戻るとき、オイル戻し管30からのオイルの熱量と蒸発器4から出る冷媒の熱量(即ち、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の熱量)の和と、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒の熱量とが一致することとなる。各熱量は、比熱と流量(循環量)と温度の積で求めることができる。
即ち、圧縮機70から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の圧縮機70から吐出されたオイルの流量をaとすると、圧縮機70から吐出された冷媒の流量(即ち、圧縮機70から吐出されたオイルを除く冷媒のみの流量であり、これは蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒の流量に相当する)が1−aとなり、この冷媒の熱量(図12に示す合流前の冷媒の熱量)は、
Cco2×(1−a)×Tsuc1・・・式(11)
となる。Tsuc1はオイル戻し管30からのオイルと合流する前の蒸発器4からの冷媒の温度である。
また、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から圧縮機70に戻る場合には、当該オイル戻し管30から圧縮機70に戻るオイルの流量はaであり、このオイル戻し管30からのオイルの熱量(図12に示すオイルの熱量)は、
Coil×a×k×Tdis・・・式(12)
となる。Coilはオイルの比熱、kは放熱係数、即ち、圧縮機70から吐出され、オイル戻し管30から圧縮機70に戻るの過程で、オイルが放熱する放熱量を考慮した係数、Tdisは圧縮機70から吐出される冷媒温度である。上記係数kは圧縮機70から吐出され、オイル戻し管30から圧縮機70に戻るまでの間にオイルが通過するオイル分離器5と全配管(冷媒吐出管24、オイル戻し管30等)の全長、断面積、断熱状況や外気温度等によって変化するものであり、このkとTdisの積(即ち、k×Tdis)がオイル戻し管30から戻るオイルの温度に相当する。
更に、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量、即ち、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量とオイルの熱量の和は、
Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(13)
となる。上記Tsucは、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度に相当する。
Cco2×(1−a)×Tsuc1・・・式(11)
となる。Tsuc1はオイル戻し管30からのオイルと合流する前の蒸発器4からの冷媒の温度である。
また、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から圧縮機70に戻る場合には、当該オイル戻し管30から圧縮機70に戻るオイルの流量はaであり、このオイル戻し管30からのオイルの熱量(図12に示すオイルの熱量)は、
Coil×a×k×Tdis・・・式(12)
となる。Coilはオイルの比熱、kは放熱係数、即ち、圧縮機70から吐出され、オイル戻し管30から圧縮機70に戻るの過程で、オイルが放熱する放熱量を考慮した係数、Tdisは圧縮機70から吐出される冷媒温度である。上記係数kは圧縮機70から吐出され、オイル戻し管30から圧縮機70に戻るまでの間にオイルが通過するオイル分離器5と全配管(冷媒吐出管24、オイル戻し管30等)の全長、断面積、断熱状況や外気温度等によって変化するものであり、このkとTdisの積(即ち、k×Tdis)がオイル戻し管30から戻るオイルの温度に相当する。
更に、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量、即ち、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒の熱量とオイルの熱量の和は、
Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(13)
となる。上記Tsucは、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度に相当する。
従って、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルがオイル戻し管30から圧縮機70に戻るとき、上述したようにオイル戻し管30からのオイルの熱量とオイル戻し管30からのオイルと合流する前の蒸発器4からの冷媒の熱量の和と、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒の熱量とが一致するので、
式(11)+式(12)=式(13)
が成り立つ。即ち、
Coil×a×k×Tdis+Cco2×(1−a)×Tsuc1=Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(14)
となり、このとき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒の温度Tsucは、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
となる。この式(15)は、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から圧縮機70に戻すときのTsucを算出する式である。
式(11)+式(12)=式(13)
が成り立つ。即ち、
Coil×a×k×Tdis+Cco2×(1−a)×Tsuc1=Coil×a×Tsuc+Cco2×(1−a)×Tsuc・・・式(14)
となり、このとき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒の温度Tsucは、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
となる。この式(15)は、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から圧縮機70に戻すときのTsucを算出する式である。
このように上記式(15)にて算出される温度Tsucを目標値T5として、温度センサ58にて検出される温度Tsucがこの目標値T5となるように、流量調整弁8を制御することで、圧縮機70から吐出された分のオイルと略同量のオイルをオイル戻し管30から圧縮機70に戻すことができるようになる。
次に、以上の計算式(15)を備えた制御手段8の制御動作について図13を用いて説明する。先ず、制御手段8は、ステップS41にて外気温度センサ54及び温度センサ50からの出力情報(外気温度Tg(Tgaiki)と蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1)を検出する。
次に、制御手段8は、ステップS42に移行して、温度センサ58にて蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度Tsucと、温度センサ52にて圧縮機70から吐出された冷媒温度Tdisを検出した後、ステップS43に移行して、上記計算式(15)から圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度の目標値T5を算出する。
上記ステップS43にて目標値T5を算出すると、制御手段8は算出された目標値T5と温度センサ58にて検出された冷媒温度Tsucとを比較する。即ち、冷媒温度Tsucが目標値T5の所定範囲(T5±α)内であれば、制御手段8は、流量調整弁の開度を維持(現在の状態で固定)し、冷媒温度Tsucがそれより高い場合(即ち、Tsuc>T5+α)には、流量調整弁7の開度を小さくすると共に、冷媒温度Tsucが低い場合(即ち、Tsuc<T5−α)には、流量調整弁7の開度を大きくする。尚、αは予め設定された任意の正数とする。
具体的には、制御手段8は、ステップS44において、ステップS42にて検出された冷媒温度TsucがステップS43にて算出された目標値T5と任意の値αとの和(T5+α)より大きいか否かを判定する。冷媒温度TsucがT5+αより大きい場合には、圧縮機70から吐出されたオイル量よりオイル戻し管30から戻るオイル量より多いことがわかる。即ち、オイル分離器5にて分離されたオイル以外に、圧縮機70にて圧縮された高温高圧の冷媒も多量にオイル戻し管30から戻っているために、合流後の冷媒温度Tsucが著しく上昇しているものと考えられる。このようにオイルと共に高温高圧の冷媒が圧縮機70の吸込側に戻ると効率が著しく低下する不都合が生じる。
そこで、制御手段8は冷媒温度TsucがT5+αより大きい場合には、ステップS45に移行し、流量調整弁7を所定ステップ閉じて(図13に示すMVpulse-)、前記ステップS41に戻る。これにより、流量調整弁7の開度が小さくなり、オイル戻し管30から圧縮機70の吸込側に戻るオイル量が減少する。即ち、当該オイル戻し管30から圧縮機70の吸込側に戻る高温高圧の冷媒が減少するようになる。従って、冷媒温度センサ58にて検出される合流後の冷媒温度Tsucが低下して、係る効率の低下する問題を解消することができるようになる。
一方、ステップ44にて冷媒温度TsucがT5+αより小さい場合には、制御手段8はステップS46に移行し、ステップS42にて検出された冷媒温度TsucがステップS43にて算出された目標値T5から任意の値αを引いた値(T5−α)より小さいか否かを判定する。冷媒温度TsucがT5−αより小さい場合には、オイル戻し管30から戻るオイル量が圧縮機70から吐出されるオイル量よりも少ないことが考えられる。このように、オイル戻し管30から戻るオイル量が少ないと、圧縮機70内のオイル量が徐々に少なくなり、やがてオイル不足に陥り、摺動性やシール性に悪影響を及ぼしたり、焼き付きが発生する等の問題が生じる。
そこで、冷媒温度TsucがT5−αより小さい場合には、制御手段8はステップS47に移行し、流量調整弁7の開度を所定ステップ開いて(図13に示すMVpulse+)、前記ステップS41に戻る。これにより、流量調整弁7の開度が大きくなり、オイル戻し管30から圧縮機70の吸込側に戻るオイル量が増加するようになる。これにより、圧縮機70がオイル不足に陥る不都合を解消することができるようになる。
また、ステップS46にて冷媒温度TsucがT5−αより大きい場合には、冷媒温度Tsucは目標値T5の所定範囲(T5±α)であるため、制御手段8はステップS48に移行して、流量調整弁7の開度を現在の状態のまま維持して(図13に示すMVpulse固定)、前記ステップS41に戻る。
このように、本実施例の制御手段8は上記式(15)を備えて、温度センサ50、温度センサ52、温度センサ54及び温度センサ58の出力に基づき、計算式(15)から目標値T5を算出し、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度Tsucが当該目標値T5となるように流量調整弁30を制御することで、圧縮機70から吐出された分のオイルと略同量のオイルを圧縮機70の吸込側に戻すことができるようになる。これにより、前述したようにオイル戻し管30から戻すオイル量が不足、或いは、オイル戻し管30から戻るオイル量が過剰となって生じる前記問題を確実に解消することができる。
また、上記各実施例と同様に従来より設置されている圧縮機70の吸込側及び吐出側の温度センサ50、52と、外気温度センサ54に加えて、一つの温度センサ(本実施例では、温度センサ58)を追加するだけで、計算式(15)から熱量を計算し、目標値T5を導出することができるので、従来に比してコストの高騰も極力抑えることができる。
次に、上記実施例5の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置における他の実施例を説明する。本実施例では上述した目標値(即ち、圧縮機70から吐出された量と同じ量のオイルをオイル戻し管30から圧縮機70に戻すときの圧縮機70の圧縮要素71に吸い込まれる冷媒温度を目標値とする)に基づいて、制御手段8が予め作成されたテーブルを備えており、このテーブルにより目標値T6を決定して、当該目標値T6となるように流量調整弁7が制御されている。上記テーブルは予め実験等にて決定されたものであり、各条件(温度条件)により最適な目標値T6が決定されている。
ここで、このテーブル備えた制御手段8の制御動作を図14及び図15を用いて説明する。制御手段8は上述したように予め実験より各条件における最適な目標値T6を求めるためのテーブルのデータ(例えば、本実施例では図15のテーブル)を備えるものとする。
先ず、制御手段8は、ステップS51にて各温度センサ50、52、54及び58からの入力情報(蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1、圧縮機70から吐出される冷媒温度Tdis、外気温度Tg、蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流した後、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度Tsuc)を検出する。
次に、制御手段8は、ステップS52に移行して、上記ステップS51にて検出された各温度情報から制御手段8が有するテーブルに基づき、オイル戻し管30からのオイルと合流した後の冷媒温度の目標値T6を決定する。本実施例の目標値T6は、例えば、図15に示す1つのテーブルから決定される。即ち、制御手段8は、ステップS51にて検出された蒸発器4から出てオイル戻し管30からのオイルと合流する前の冷媒温度Tsuc1と圧縮機70から吐出される冷媒温度Tdisに基づいて、図15のテーブルから目標値T6を決定する。
例えば、温度センサ50にて検出された冷媒温度Tsuc1が+10℃、温度センサ52にて検出されるから吐出される冷媒温度Tdisが+82℃である場合には、図15のテーブルから61が得られる。従って、この場合の目標値T6は、+61℃となる。
上述したようにステップS52にて目標値T6が決定されると、制御手段8は決定された目標値T6と温度センサ58にて検出された上記冷媒温度Tsucとを比較する。即ち、冷媒温度Tsucが目標値T6の所定範囲(T6±α)内であれば、制御手段8は、流量調整弁7の開度を維持(現在の状態で固定)し、冷媒温度Tsucがそれより高い場合(即ち、Tsuc>T6+α)には、流量調整弁7の開度を小さくすると共に、冷媒温度Tsucが低い場合(即ち、Tsuc<T6−α)には、流量調整弁7の開度を大きくする。尚、αは予め設定された任意の正数とする。
具体的には、制御手段8は、ステップS53において、ステップS51にて検出された冷媒温度TsucがステップS52にて決定された目標値T6と任意の値αとの和(T6+α)より大きいか否かを判定する。温度センサ58により検出された冷媒温度TsucがT6+αより大きい場合には、制御手段8はステップS54に移行して、流量調整弁7の開度を所定ステップ閉じて(図14に示すMVpulse-)、前記ステップS51に戻る。
一方、ステップS53にて冷媒温度TsucがT6+αより小さい場合には、制御手段8はステップS55に移行し、ステップS51にて検出された冷媒温度TsucがステップS52にて決定された目標値T6から任意の値αを引いた値(T6−α)より小さいか否かを判定する。そして、冷媒温度TsucがT6−αより小さい場合には、制御手段8はステップS56に移行し、流量調整弁7の開度を所定ステップ開いて(図14に示すMVpulse+)、前記ステップS51に戻る。また、ステップS55にて冷媒温度TsucがT6−αより大きい場合には、冷媒温度Tsucは目標値T6の所定範囲(T6±α)であるため、制御手段8はステップS57に移行して、流量調整弁7の開度を現在の状態のまま維持して(図14に示すMVpulse固定)、前記ステップS51に戻る。
このように、本実施例の如く制御手段8が上記テーブルを備えて、温度センサ50、温度センサ52、温度センサ58の出力に基づき、テーブルから目標値T6を決定し、圧縮機70に吸い込まれる冷媒温度Tsucが当該目標値T6となるように流量調整弁30を制御することで、上記実施例(実施例5)と同様に圧縮機70から吐出された分のオイルと略同量のオイルを圧縮機70の吸込側に戻すことができる。
これにより、前述したようにオイル戻し管30から戻すオイル量が不足、或いは、オイル戻し管30から戻るオイル量が過剰となって生じる前記問題を確実に解消することができる。尚、上記テーブルは図15に示す数値に限定されるものではない。即ち、図15に示すテーブルは制御手段8に備えたテーブルの一例にすぎず、使用する圧縮機70や回路構成や条件等により実験により最適なテーブルを決定することが望ましい。更に、本実施例において、温度センサ54にて検出される外気温度Tgも考慮して目標値T6を決定するものとしても差し支えない。
本実施例においても、上記各実施例と同様に従来より使用している圧縮機70の吸込側及び吐出側の温度センサ50、52と、外気温度センサ54に加えて、合流後の温度を検出する温度センサ58を一つ追加するだけで、目標値T6を決定することができるので、従来に比してコストの高騰を抑えることができる。
1、70 圧縮機
2 放熱器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 オイル分離器
7 流量調整弁
8 制御手段
10 第1の圧縮要素
11 第2の圧縮要素
12 電動要素
13 密閉容器
20、22 冷媒導入管
24 冷媒吐出管
26、27、28 冷媒配管
30 オイル戻し管
50、52、54、55、57、58 温度センサ
2 放熱器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 オイル分離器
7 流量調整弁
8 制御手段
10 第1の圧縮要素
11 第2の圧縮要素
12 電動要素
13 密閉容器
20、22 冷媒導入管
24 冷媒吐出管
26、27、28 冷媒配管
30 オイル戻し管
50、52、54、55、57、58 温度センサ
Claims (7)
- 圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、前記圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して前記圧縮機に戻して成る冷凍サイクル装置において、
前記オイル戻し管に介設された流量調整弁と、
前記蒸発器から出て前記オイル戻し管からのオイルと合流した後、前記圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、
該温度センサの出力に基づき、前記圧縮機に吸い込まれる前記冷媒の温度が所定の目標値となるように前記流量調整弁を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記目標値は、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(15)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=前記圧縮機から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の前記圧縮機から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tsuc1=前記蒸発器から出て前記オイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis=前記圧縮機から吐出される冷媒の温度
Tsuc=前記蒸発器から出て前記オイル戻し管からのオイルと合流した後、前記圧縮機に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(15)で得られるTsucであることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、前記圧縮機は第1及び第2の前記圧縮要素を備え、前記蒸発器からの冷媒を前記第1の圧縮要素で圧縮し、該第1の圧縮要素から吐出された冷媒を前記第2の圧縮要素に吸い込ませて圧縮し、吐出すると共に、前記第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して前記第2の圧縮要素に戻して成る冷凍サイクル装置において、
前記オイル戻し管に介設された流量調整弁と、
前記第1の圧縮要素から吐出されて前記オイル戻し管からのオイルと合流した後、前記第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、
該温度センサの出力に基づき、前記第2の圧縮要素に吸い込まれる前記冷媒の温度が所定の目標値となるように前記流量調整弁を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記目標値は、
Tsuc2=((1−a)×Cco2×Tdis1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(5)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=前記第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の前記第2の圧縮要素から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tdis1=前記第1の圧縮要素から吐出されて前記オイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis2=前記第2の圧縮要素から吐出される冷媒の温度
Tsuc2=前記第1の圧縮要素から吐出されて前記オイル戻し管からのオイルと合流した後、前記第2の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(5)で得られるTsuc2であることを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。 - 圧縮機、放熱器、減圧装置及び蒸発器を順次接続して成る冷媒回路を備え、前記圧縮機は第1及び第2の前記圧縮要素を備え、前記蒸発器からの冷媒を前記第1の圧縮要素で圧縮し、該第1の圧縮要素から吐出された冷媒を前記第2の圧縮要素に吸い込ませて圧縮し、吐出すると共に、前記第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒からオイルをオイル分離器にて分離し、オイル戻し管を介して前記第1の圧縮要素に戻して成る冷凍サイクル装置において、
前記オイル戻し管に介設された流量調整弁と、
前記蒸発器から出て前記オイル戻し管からのオイルと合流した後、前記第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度を検出する温度センサと、
該温度センサの出力に基づき、前記第1の圧縮要素に吸い込まれる前記冷媒の温度が所定の目標値となるように前記流量調整弁を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記目標値は、
Tsuc=((1−a)×Cco2×Tsuc1+a×Coil×k×Tdis2)/((1−a)×Cco2+a×Coil)・・・式(10)
Cco2=冷媒の比熱
Coil=オイルの比熱
a=前記第2の圧縮要素から吐出されたオイルを含む冷媒の流量を1とした場合の前記第2の圧縮要素から吐出されたオイルの流量
k=放熱係数
Tsuc1=前記蒸発器から出て前記オイル戻し管からのオイルと合流する前の冷媒の温度
Tdis2=前記第2の圧縮要素から吐出される冷媒の温度
Tsuc=前記蒸発器から出て前記オイル戻し管からのオイルと合流した後、前記第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度
上記式(10)で得られるTsucであることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記目標値は、前記圧縮機、又は、第2の圧縮要素から吐出された量と同じ量のオイルを前記オイル戻し管から前記圧縮機、又は、第2の圧縮要素、又は、第1の圧縮要素に戻すときの前記圧縮機、又は、第2の圧縮要素、又は、第1の圧縮要素に吸い込まれる冷媒の温度であることを特徴とする請求項1、又は、請求項3、又は、請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010169286A (ja) * | 2009-01-20 | 2010-08-05 | Hitachi Appliances Inc | 冷凍装置 |
WO2010113461A1 (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-07 | サンデン株式会社 | 冷却システム |
JP2012241958A (ja) * | 2011-05-18 | 2012-12-10 | Fujitsu General Ltd | 空気調和機 |
CN103743157A (zh) * | 2014-01-09 | 2014-04-23 | 广东美的制冷设备有限公司 | 压缩机系统、空调器和压缩机的回油控制方法 |
-
2006
- 2006-11-30 JP JP2006323287A patent/JP2008096091A/ja active Pending
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