JP2008093619A - 静電噴霧方法及びマイクロ流体チップ - Google Patents

静電噴霧方法及びマイクロ流体チップ Download PDF

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Abstract

【課題】静電噴霧により、所望の形状の生物活性物質を均一性良く基板上に塗布できる静電噴霧方法を提供する。
【解決手段】基板1上に所定のパターン層を形成するためにレジストを塗布し当該所定のパターンを有するマスク14を介して露光・現像する工程、現像後の基板1をブラスト加工する工程、ブラスト加工によりレジスト塗布面の基材面とレジスト非塗布面の基材面との間に形成される段差の溝パターンに導電層2を成膜する工程、導電層2の成膜後レジストを除去し導電層2の形状と対応する貫通穴55を有するカバー21を介して生物活性を有する物質を静電噴霧する工程、とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、生物活性物質を基板上に所望のパターンにて形成する静電噴霧方法及び当該基板に流路部材を貼り合わせて作成するマイクロ流体チップに関するものである。
生物活性物質を含む溶液を静電噴霧し、生物活性を維持した状態で、基板上に、所望の形状の生物活性物質を形成する方法として、特許文献1に記載の方法が開示されている。特許文献1では、基板上に所望の形状で生物活性物質を形成するために、マスクと呼ばれる貫通穴を形成した部材を用いる。マスクに形成された貫通穴の形状とほぼ同一形状で生物活性物質が基板上に塗布される。生物活性物質を基板上に塗布する技術は、特許文献1に記載の静電噴霧を用いた技術以外にもいくつかあるが、特許文献1に記載の方法では、乾燥した状態で生物活性物質を基板表面に塗布することができるという特徴がある。
静電噴霧以外の方法では、基板上に、不完全な乾燥状態または溶液状態で、生物活性物質を塗布するため、塗布後に乾燥ムラに起因する塗布ムラが発生することが分かっている。特許文献1に開示されている静電噴霧による方法では、乾燥した状態の生物活性物質を基板上に塗布できるため、塗布後の乾燥ムラが発生せず、静電噴霧以外の方法に比較して、塗布均一性に優れているという特徴がある。
特開2001−281252号公報
しかし、特許文献1の方法では、絶縁性材料で作製されるマスクの帯電状態が、噴霧された溶液に影響を与えることが分かっており、マスクの帯電が大きいほど基板上に形成される生物活性物質の形状が細くなり、塗布均一性にもばらつきを生じる。高精度な形状及び高い塗布均一性を得るにはマスクの帯電状態が常に一定になるように制御する必要があった。マスクの帯電状態は、湿度の管理やイオナイザーによる除電を行うことで、ある程度制御可能であるが、生物活性物質の形状や均一性に影響がない程、帯電状態を制御することは困難であった。塗布均一性の測定の一般的な方法として、蛍光物質を含む溶液を基板上に塗布し、塗布後の蛍光値を測定することで塗布均一性を評価する方法がある。塗布均一性は、一般的に、変動係数(Coefficient of Variance:CV)値と呼ばれる数値で表される。本明細書内でも塗布均一性を表す値としてCV値を用いるが、本明細書内でCV値とは、蛍光測定値の標準偏差を蛍光測定値の平均で除算し、100を乗算した値のことである。CV値が小さいほど塗布ムラや形状不良の少ない優れた塗布方法であると言える。
特許文献1の方法を用いて作製したバイオチップでは、塗布均一性が不十分であり、改善が望まれていた。
塗布均一性改善の手段として、図13(a)及び図13(b)に示すように基板1表面に導電層2を形成した基板を用いる方法があり、導電層2をフォトリソグラフィ及びエッチングにより加工することで、高精度なパターニングが可能であり、高精度にパターニングされた導電層に一致した形状で生物活性物質を塗布することができるため、塗布均一性を改善できる。しかし、図13(a)及び図13(b)に示した基板では導電層2が段差62だけ凸形状になっているため、流路部材6と貼り合わせる必要のある流体チップ用途では、導電層2の周辺に隙間61が発生し、隙間61から流路に流した液体が漏れ出る可能性があった。実際の使用上、図13(a)及び図13(b)に示す凸形状の導電層を形成した構造の従来の基板でも、流路部材に、ポリジメチルシロキサンを使用しており、ポリジメチルシロキサンはゴムのように容易に変形するため、多少の段差であれば、流路部材自体が変形することで、基板と密着するため、流路に流す液体の漏れを防止することが可能であった。しかし、流路部材6に形成された流路の間隔10が狭くなると、隣接する流路どうしを隔てる壁の厚みが薄くなり、基板と流路部材6との隙間61が原因で部分的に隣接する流路どうしがつながってしまうという問題があった。そのため、流路に液体を流すと隣接する流路に液体の漏れを生じる場合があった。
本発明は、従来の課題を解決するもので、均一性良く生物活性物質を所定の形状に塗布し、かつ流路部材と組み合わせた場合にも流路に流す液体の漏れを生じない基板を提供することを目的とする。また基板の製造方法についても提供する。
従来の課題を解決するために、本発明の静電噴霧方法は、基板上に所定のパターン層を形成するためにレジストを塗布し前記所定のパターンを有するマスクを介して露光・現像する工程、前記現像後の基板をブラスト加工する工程、前記ブラスト加工により前記レジスト塗布面の基材面とレジスト非塗布面の基材面との間に形成される段差の溝パターンに導電層を成膜する工程、導電層の成膜後レジストを除去し前記導電層の形状と対応する貫通穴を有するカバーを介して生物活性を有する物質を静電噴霧する工程、とを備えるものであり、基板上に生物活性物質を所望のパターンに均一性良く形成することができる。
また、本発明のマイクロ流体チップは、生物活性物質を検査するマイクロ流体チップであって、両端部に注入口を配置し前記注入口に繋がり流路を形成する溝部とから成る流路部材を、請求項1に記載の静電噴霧方法を用いて前記生物活性物質を塗布された基板に貼りあわせて作成することを特徴としたものである。
本発明に記載の静電噴霧方法を用いると、基板上に生物活性物質を所望の形状に均一性良く形成することが可能であり、かつ流路部材と組み合わせた場合でも流路に流した液体が漏れ出ることがない。
以下に、本発明の静電噴霧方法を用いて、マイクロ流体チップの作製に関して、図面とともに詳細に説明する。ここで、生物活性物質は、それ自体が液体であったり、希釈液と混合した溶液又は、生物活性物質の検査試薬を含むものであり、以降は、単に生物活性物質という。生物活性物質は、一般的に、DNAや蛋白質などをいうが、もちろん、生物活性物質以外を含有する溶液の場合も同様に適用できることは、当然である。
図1は、本発明の静電噴霧方法を用いて作成したマイクロ流体チップの一例を示す図である。図のマイクロ流体チップは、流路部材6とガラス基板1を貼り合わせた構造になっている。図1において、基板1は、材料としてガラスを用い、当該基板1上に電気導電層2を形成する。そして、導電層2の上に生物活性物質3を塗布する。基板材料は、ガラス以外のプラスチックや絶縁樹脂材料なども利用できる
そして、流路部材6の貼り合わせ面11には、流路9が形成されており、注入口7及び注入口8とつながった構造になっている。また流路9は、貼り合わせ面11側が塞がれていない。つまり、貼り合わせ面11上に溝が形成された構造になっており、基板1と貼り合わせることで、注入口8から排出口9の間をつなぐ、閉じた流路が形成される。図2は、図1(a)及び図1(b)のマイクロ流体チップの特徴を説明するための図である。従来のマイクロ流体チップは、図13(a)、(b)及び図14に示すように、基板1の表面に導電層2が段差62だけ凸形状になる構造であった。本発明の基板では、図2に示すように、基板1の表面と導電層2の表面が一致する構造になっている。つまり、流路部材6の貼り合わせ面11に接触する面は平坦である。そのため、図13及び図14に示すような導電層2の段差62のために生じる隙間61は、本発明の基板では発生しない。そのため、隣接する流路への漏れは発生しない。
このようにして作成されるマイクロ流体チップにおいては、注入口7又は注入口8から所定の試薬溶液を注入し、導電層2に成膜されている生物活性物質と反応させて当該生物活性物質を検査することができる。
図3はガラス基板1の詳細な構造を示す図である。図3において、1は基板であり、材質としてガラスを用いた。2は、電気導電性を有する導電層である。3は、生物活性物質であり、本実施例では、蛍光色素標識抗体タンパク(モレキュラープローブ製Alexa Fluor 568 標識Anti-goat IgG)を使用した。生物活性物質3は、導電層2上に導電層2にほぼ一致した形状で形成されている。4は、接続線であり、10本の導電層2のすべて及び接続部5と電気的に導電性が得られるようにつながっており、接続線4及び導電層2の電位は接続部5に与えられた電位と等しくなるように構成されている。
図3に示す基板の加工方法について、図4を参照しながら詳細に説明する。
(1)レジスト塗布工程から成膜工程までについて
まず、図4に示すようにレジスト塗布工程で基板1に対して、一様にレジスト13を塗布する。レジスト13はスピンコートにより塗布する。本実施例ではレジスト13として、OFPR800(粘度30cp)を用いた。次に、露光工程において、マスク14を介して、光15をレジスト13に照射する。本実施例で用いたレジスト13はポジ型レジストであるため、マスク14は、基板1表面のブラスト加工する領域に一致する形状で、レジスト13を露光できるように設計されている。マスク14の光15を遮光する領域はマスク14作製時に、自由に設計できるため、所望の形状にレジスト13を露光することができる。
以上のようにしてレジスト13を光15により露光した後、現像液16に浸して現像した。現像液16には、NMD−3を用いた。現像後、レジスト13は、現像工程の図に示すように、光15の照射された部分が溶解し、光15が遮光された領域の形状に一致した形状にレジスト13が残る。レジスト13の厚みは、10μmにした。
現像工程後の基板1のレジスト13が形成された面に対して、ブラスト加工を行う。
ブラスト加工により、基板1のレジスト13を形成した面において、レジスト13が形成されていない部分とレジスト13が形成されている部分の間に、段差17が形成されるように加工を行った。本実施例ではブラスト加工に、平均粒径7μmのシリカ粒子を用い、粒子を噴出するための空気圧を0.5MPaとして加工を行った。加工時間は12秒とした。使用する粒子及び空気圧が同じであれば、加工深さはほぼ加工時間に比例するため、加工時間の制御により深さを制御することが可能である。本実施例の条件では、段差17は約0.2μmであった。
また、ブラスト加工時に、レジストが形成されていない部分の表面粗さが、測定範囲1μm四方において算術平均粗さ(以降Raと省略して記述)で0.7nmから100nmの範囲になるように加工し、この後の成膜工程で導電層2を形成した。導電層2の形成手段については後述する。表面粗さの測定には原子間力顕微鏡を用いた。表面粗さをRa0.7nm以上にすることで、導電層2形成後に、導電層2表面にテープを貼り付けて引き剥がす剥離試験を行っても、導電層2の剥離は見られず、実用上問題のない剥離強度が得られることが分かった。表面粗さがRa0.7nm以下では、一部に導電層2の剥離が見られた。従来、基板1上に導電層2を形成する場合、導電層2及び基板1の材質により、密着性を確保できる中間層を形成していた。例えば、酸化インジウム錫では、中間層として、酸化ケイ素を用いていた。これに対して、本発明の方法を用いれば中間層が不要になるため、工程を簡素化することができ、生産性の向上が可能になる。
また、レジストが形成されていない部分の表面粗さが100nmより粗い場合、生物活性物質3の塗布均一性が悪化することが分かった。レジストが形成されていない部分は、導電層2の下地層となるため、表面粗さが100nm以上になると、導電層2表面に大きな凹凸が発生し、生物活性物質3の導電層2表面での付着状態が大きな凹凸に影響されて均一でなくなることが均一性悪化の原因と考えられる。そのため、ブラスト加工後のレジストが形成されていない部分、つまり導電層2が形成される部分は、Raで0.7nmから100nmの範囲にすることが望ましい。
ブラスト加工後に、導電層2の成膜は図6に示す装置を用いて行った。図6中の37は真空チャンバーであり、38は基板1を固定するための導体で構成された基板ホルダーであり、39は導電体で構成された基板ホルダー38に高周波電力を印加する高周波電源であり、40は真空チャンバー37を真空に排気する排気装置であり、41は真空チャンバー37と排気装置40を接続するメインバルブであり、42は金属を加熱蒸発させる蒸着ボートであり、43は蒸着材料であり、44は真空チャンバー37内に所定のガスを導入するガス導入管であり、45はアースである。
本実施例では、蒸着材料43に銅を用い、導電層2を銅で形成した場合について記載するが、導電層2の材質としては、例えば、銅以外でも金、銀、白金、アルミなどの金属や、酸化インジウム錫(ITO)などの非金属でも導電性があれば使用可能である。特に、基板1に付着させた生物活性物質3を基板1の裏表の両方から光学的に観察する場合があり、そのような用途では薄膜材料として透明で導電性を有するITOのような材料を用いる必要がある。
導電層2の形成手順として、まず、基板1を基板ホルダー38に設置後、真空チャンバー37内を真空引きする。真空チャンバー37内の圧力は1.0×10-3Pa以下にする。
次にガラス基板1の表面をプラズマ処理する。プラズマ処理はガラス基板1の表面を粗化する目的で行う。プラズマ処理時には真空チャンバー37内に純度99.9%以上の窒素ガスを導入し、圧力を5.0×10-2Paにし、高周波電源39によりガラス基板1を支持する基板ホルダー38に高周波電力を印加する。高周波電力の印加により、真空チャンバー37内にグロー放電が生じ、窒素プラズマが発生する。
図6に示す基板1において、窒素プラズマの発生とともに基板1に第1の負のバイアス電圧が誘起され、基板1が窒素プラズマ処理される。本実施例では、第1の負のバイアス電圧を300Vとした。窒素プラズマ処理後に、真空チャンバー37内の圧力を1.0×10-4Pa以下まで真空引きする。真空引き後にアルゴンガスを導入し、真空チャンバー37内の圧力を1.0×10-2Paとし、蒸着ボート42から銅を蒸発させると同時に基板1を支持する基板ホルダー38に高周波電圧を印加する。高周波電圧の印加により真空チャンバー37内にグロー放電が生じ、アルゴンと銅のプラズマが発生する。アルゴンと銅のプラズマの発生とともにガラス基板1には第2の負のバイアス電圧が誘起されるため、プラズマ中のアルゴンイオンおよび銅イオンは第2の負のバイアス電圧で加速されて基板1の表面に向かって加速される。
本実施の形態では第2の負のバイアス電圧を400Vにして銅成膜を行った。銅イオンがガラス基板1の表面に衝突して銅薄膜を形成する効果とイオン化していない銅が真空蒸着される効果により基板1の表面に銅薄膜が形成される。また、銅薄膜を形成させる速度を0.1nm/sec〜10nm/secの間で成膜開始から終了まで徐々に成膜速度を増加させるように制御した。上記の条件で膜厚が0.2μmとなるように成膜を行った。
(2)レジスト除去工程について
次に、図4(f)に示すようにレジスト除去工程について説明する。銅薄膜を成膜した基板1上を、レジスト剥離液20に浸す。レジスト剥離液20には、アセトンを用いた。レジスト13の剥離と同時に、レジスト上に成膜された銅薄膜が除去され、基板1の表面はほぼ平坦な平面になる。完全な平面を作製する場合、レジスト除去工程の後に、基板1の表面を研削することで実現可能である。
以上の手順により、基板1上にパターニングされた導電層2を形成した基板を作製した。導電層2は、マスク14において光15が透過する領域の形状に一致した形状に加工されている。光15が透過する領域の形状はマスク14の設計製作時に自由に作製できるため、上記手順により、基板1上に、任意の形状の導電層2を形成することが可能である。
本実施例と異なり、レジスト13にネガ型レジストを用いた場合には、マスク14のおいて光15が遮光される部分が、基板1表面のブラスト加工する領域に一致するようにマスク14を作製することで、所望の形状の導電層2を形成した基板1を作製可能である。
(3)噴霧工程1及び噴霧工程2について
次に、図4(g)から図4(h)の工程においては、図4(f)までの工程で作製した基板を、図7に示す装置にセットし、基板1の導電層2上に、生物活性物質3を塗布した。
図7に示す46は、キャピラリであり、47はレジスト除去工程後の基板であり、キャピラリ46の下側に配置される。また22は、高電圧電源であり、電源のマイナス極はレジスト除去後の基板47に接続される。高電圧電源22のプラス極側は、キャピラリ46内に挿入される電極線36に接続される。高電圧電源22が、キャピラリ46とレジスト除去後の基板47の間に電位差を発生させるように構成されている。高電圧電源22には制御装置48が接続されており、高電圧電源22が発生する電圧を制御する。また、21はカバーであり、図8に示すように貫通穴55が形成されている。貫通穴55の寸法56は、1.5mmとした。また、貫通穴55の寸法57は、14mmとした。
カバー21はキャピラリ46とレジスト除去後の基板47の間に配置され、レジスト除去後の基板47表面の生物活性物質3を付着させたい部分が、貫通穴55と重なるように位置合わせする。カバー21と基板の位置合わせの有効な方法については、後述する実施例2に記載する。
本実施例では、高電圧電源22によりキャピラリ46とレジスト除去後の基板47の間に3kVの電圧を加えた。また、キャピラリ46の先端からレジスト除去後の基板47の表面までの距離は35mmとし、キャピラリ46の先端は外形が50μmのものを使用した。カバー21の材質としては、厚さ0.1mmのガラスエポキシを用いた。噴霧量はキャピラリ内の溶液の液高さをCCDカメラにより画像認識し、計測することで、1μl噴霧した。キャピラリ内には、キャピラリ先端と反対側から溶液を供給する。キャピラリに溶液供給のための配管をつなぎ連続的に溶液を供給するとキャピラリ内の溶液の高さ変化をCCDカメラで観察することが不可能になるため、溶液の供給は、噴霧工程が終了した後、キャピラリ先端と反対側から供給し、溶液供給後の液高さがCCDカメラにより観察できる状態にした。
本実施例では、図4の噴霧工程1に示すように、導電層2の1箇所にのみ生物活性物質3を付着させた。また、カバー21と導電層2の表面との間隔54は、0.05mm以下になるように配置した。間隔54が0.05mm以上あると、導電層2上に形成される生物活性物質3の形状が導電層2の形状よりも小さくなることが分かった。
原因について、発明者らは次のように考えている。噴霧を開始すると、プラスに帯電した生物活性物質3の液滴が発生する。帯電した液滴は、カバー21や装置外壁にも拡散していき、付着する。付着した部分が絶縁性である場合、液滴の持つプラス電荷のために液滴が付着した部分はプラスに帯電する。カバー21は本実施例では、ガラスエポキシから作製されており、絶縁性材料であるため、噴霧中はプラスに帯電すると考えられる。カバー21がプラスに帯電しており、カバー21の貫通穴55を通過する液滴もプラスに帯電しているため、液滴はカバー21から電気的な反発力を受け、貫通穴55よりも小さな形状で導電層2上に付着する。カバー21から導電層2までの間隔が長いと、液滴は、導電層2から離れた位置でカバー21の帯電による反発力を受けることになり、カバー21からの電気的な反発力で変化した軌道で、導電層2到達までに長い距離を飛行することになる。そのため、噴霧された生物活性物質3の液滴が、導電層2に到達した時には、カバー21から導電層2までの間隔が短い場合に比較して、貫通穴55の形状より小さな形状で導電層2上に付着すると考えられる。また、寸法56及び寸法57は、導電層2の寸法より大きくすることが望ましい。導電層2と寸法56及び57が同じ寸法だと、導電層2の寸法より小さな寸法で、噴霧した生物活性物質3が導電層2上に付着するためであり、発明者らは、カバー21の帯電が原因と考えている。本実施例では、寸法56が1.5mm、寸法57が14mmであるのに対して導電層2の寸法は、0.8mmと11mmであり、寸法56及び57が大きくなるように作製した。
図4に示す噴霧工程1までで作製された基板の表面を蛍光顕微鏡により観察した結果を図11に示す。蛍光測定には、OLYMPUS製蛍光顕微鏡BX51W1を用いた。観察倍率は1倍であり、20mWの出力で、波長540nmから590nmの励起光をサンプルに1秒間照射し、615nmから695nmの間の光を透過するフィルターを介して、サンプルの蛍光強度を測定した。実験は3回行い、それぞれの結果をサンプル1、サンプル2、サンプル3として測定された蛍光強度を記載している。図12は、作製したサンプルの導電層2の形状を示している。測定点AからGは、図12中で、接続線4に近い側の導電層2上を測定点Aとし、接続線4から遠い側を測定点Gとして、その間を等間隔に分割し、測定点BからFとした。図12中では、59が測定点Aであり、60が測定点Gである。
また、発明者らは、図13(a)及び図13(b)に示す構造の基板を用いて同様の検討を行ったことがある。図13(a)及び図13(b)に示す基板は、基板表面に形成される導電層2が寸法62だけ凸形状になっている。このような基板は、基板1上に導電層2を形成した後、エッチングを行うことで作成でき、本発明の方法のように導電層2の形成前に基板1の表面を加工する必要がないため、比較的簡単な手順で導電層2を形成できるというメリットがある。しかし、導電層2が寸法62の分だけ凸形状になっているため流路部材6との間に隙間61が発生し、隣接する流路と隙間61でつながってしまい、流路に液体を流した場合、隣接する流路にも液体が漏れ出す可能性があった。本発明の基板では、導電層2の表面が基板1の表面と一致しており、平坦である。そのため、従来問題であった隣接する流路への液体の漏れがなくなると考えられる。図13(a)及び図13(b)に示す基板と本発明の基板を用いてマイクロ流体チップを作製した場合の性能比較のため、図13(a)及び図13(b)に示す基板についても、本発明の基板と同様の評価を行った。結果を図11に示す。
図13(a)及び図13(b)に示す基板1表面に凸形状になるように導電層2を形成した基板では、3回の実験でCV値として、2.1%から3.2%という値が得られている。これに対して、本発明の基板1表面が平坦な基板では、3回の実験でCV値として、1.9%から3.5%という結果が得られた。基板1表面に凸形状になるように導電層2を形成した基板と同程度の塗布均一性が得られており、塗布均一性については、基板1表面の形状はほとんど影響しないことが分かった。
発明者らの知る限りにおいて、静電噴霧により、CV値3%程度の均一性が得られたという報告はない。
発明者らは、特許文献1で開示されている従来の静電噴霧技術と比較して、塗布均一性が改善できる理由を以下のように考えている。
特許文献1に記載の従来の静電噴霧技術では、マスクと呼ばれる貫通穴を有する部材で基板表面を覆うことで、貫通穴の形状に対応した形状で、生物活性物質を基板上に塗布する。
特許文献1の方法により、マスクの貫通穴の形状に対応した形状で、生物活性物質を塗布することが可能である。しかし、マスクの帯電状態が、噴霧された溶液に影響を与えることが分かっており、マスクの帯電が大きいほど形成される生物活性物質の形状が細くなるため、高精度な形状で均一性の良く生物活性物質を基板上に形成するにはマスクの帯電状態が常に一定になるように管理する必要があった。マスクの帯電状態は、湿度の管理や、イオナイザーによる除電を行うことで、ある程度制御可能であるが、生物活性物質の形状や均一性に影響がない程、帯電状態を制御することは困難であった。
本発明の方法では、基板1表面に生物活性物質3を塗布したい形状に一致する形状で、導電層2を形成しており、導電層2をアースまたはマイナス電位にすることで、プラスに帯電した生物活性物質を含む小滴が、導電層2に収束し、導電層2の形状に一致した形状で生物活性物質を基板上に形成できる。カバー21は、基板1表面全面への微量な付着を防止するために用いられるのであり、特許文献1に記載のマスクと異なり、基板上に形成される生物活性物質の形状を決定しない。本発明において、基板1表面に形成される生物活性物質3の形状は導電層2の形状により決定される。そのため、本発明におけるカバー21は特許文献1記載のマスクと異なり、導電層2上に付着させる生物活性物質3の形状に比較して、帯電の影響が十分小さくなる程度にカバー21の貫通穴55の形状を大きく形成し、基板1上に配置される。カバー21の帯電は、基板1上に形成される生物活性物質3にほとんど影響を与えないため、帯電状態のばらつきによる基板1上に付着した生物活性物質3の形状や塗布均一性への影響はほとんどない。本発明の方法は、特許文献1に記載の方法に比較して、帯電状態のばらつきに起因した塗布均一性のばらつきを生じないため、優れた均一性が得られると考えている。
本発明において、カバー21の寸法56及び57が、導電層2の寸法より大きいため、カバー21に覆われていない部分に生物活性物質3が付着することも考えられるが、結果としてはほとんど付着していなかった。導電層2が帯電した粒子を収束させる効果は、導電層2に近いほど強く働くため、カバー21の寸法56及び57を導電層2の寸法より多少大きくしても、カバー21の貫通穴55を通過した小滴のほとんどが、導電層2に収束するため、導電層2の周辺に生物活性物質がほとんど付着しないものと考えられる。
本発明の方法は塗布均一性の改善以外にも、特許文献1に記載の従来の方法に比較して優れた点がある。本発明の方法では、基板1表面に形成される生物活性物質3の形状は導電層2の形状により決定されため、基板1上に付着する生物活性物質3の形状の精度は、導電層2の加工精度により決定されることになる。導電層2の形状は、フォトリソグラフィ及びエッチング加工により形成され、非常に精度が高いため、生物活性物質3の形状を高精度に形成することができる。これに対して特許文献1の方法は、マスクの貫通穴を通過した生物活性物質を含む液滴を、マスクの貫通穴の形状に対応した形状で、導電層に付着させるものであり、マスクの貫通穴は通常機械加工により行うため、数十μm程度の加工誤差を生じる。マスクの貫通穴の形状が導電層上に付着する生物活性物質の形状を決定するため、生物活性物質の形状の精度は、数十μmの誤差を持つことになる。特許文献1に記載のマスクもフォトリソグラフィ及びエッチング加工により、貫通穴を形成することで、高い精度を得ることは可能であるが、マスクの取り扱いの都合上、一定の剛性が必要であり、厚みを厚く作製する必要がある。そのため、貫通穴を形成する工程で相当な厚みをエッチングで除去する必要が生じ、加工時間が長時間になるため、加工コストが高くなるという問題を生じる。
更に、本発明では、キャピラリ内の液高さを画像認識するため、生物活性物質の噴霧量を、高精度に制御可能であり、基板1上に付着した生物活性物質3の形状は上述のように非常に高精度であるため、高精度に制御された噴霧量を所定の高精度な形状内に噴霧可能であり、1回の噴霧で形成される生物活性物質の形状や塗布均一性だけでなく、複数回の噴霧で形成される複数の生物活性物質間の形状ばらつきや塗布均一性ばらつきも小さく抑えて塗布することが可能である。
本発明の方法を用いて、複数の異なる生物活性物質を基板上に塗布したマイクロ流体チップを作製する場合には、図4の噴霧工程1の後に、噴霧工程2を必要な回数だけ繰り返し行う。噴霧工程2では、基板1をカバー21に対して相対的に移動した後、噴霧を行う。噴霧に用いる生物活性物質3は、噴霧毎に異なる材料を用いることが可能であり、導電層2の形状は前述の露光・現像・エッチング工程で記載のように任意に形状を作製できるため、噴霧工程2を繰り返し行うことで、所望の材料を所望の形状に形成したマイクロ流体チップを作製することが可能である。
本発明の方法では、噴霧前にカバー21の貫通穴55と生物活性物質3を塗布する導電層2とを位置合わせして配置する必要がある。位置合わせ精度が悪いと、カバー21の貫通穴55のエッジ部分が導電層2に近づくことになり、カバー21の帯電の影響が強く働くため、導電層2上に塗布される生物活性物質3の塗布均一性が悪化する。また、カバー21の貫通穴55のエッジ部分が導電層2を覆う程、位置合わせ誤差があると、カバー21で覆われた部分には、生物活性物質3が塗布されない。本発明において、カバー21と基板1の位置合わせが重要であり、位置合わせに対する要求精度を緩和できれば、位置合わせ機構の簡素化による低コスト化や、位置合わせ時間の短縮が可能になるというメリットが得られる。位置合わせに対する要求精度を緩和するには、カバー21の貫通穴55を大きな寸法にすることが効果的である。貫通穴55の寸法が大きいければ、位置合わせ誤差を生じても、貫通穴55の寸法が小さい場合に比較して、カバー21のエッジと導電層2の間に大きな間隔をあけることができる。そのため、カバー21の帯電が、生物活性物質3の塗布均一性に与える影響を小さく抑えることができる。しかし、カバー21の貫通穴55の寸法を大きくすると、わずかであるが、導電層2周辺の基板1上に噴霧した生物活性物質3が付着することが確認されている。付着量は、貫通穴55の寸法に比例するため、付着量を減らすには、貫通穴55を小さくする方が望ましい。つまり、貫通穴55の寸法を大きくして、カバー21と基板1の位置合わせ精度への要求を緩和するには、貫通穴55を大きくしても、導電層2周辺の基板1上への生物活性物質の付着を抑えられる方法が必要になる。発明者らは、貫通穴55の寸法を大きくしても、導電層2周辺の基板1上への生物活性物質の付着を抑えられる方法として、以下に記載の方法を考案した。
詳細について図4及び図5及び図7及び図8を用いて説明する。
図4に示すレジスト塗布工程で基板1上にレジスト13を塗布する。次に、露光工程からレジスト除去工程で図5(b)に示す形状に導電層2を加工する。レジスト13として、ポジ型レジストのOFPR800(粘度30cp)を用いたため、マスク14の光15を遮光する領域の形状は、図5(b)の導電層25から29と同じ形状になっている。
以上の手順により、基板1上に、導電層25、26、27、28、29を作製した。
次に、導電層25から29上に生物活性物質3を付着させるための手順について説明する。レジスト除去工程後の導電層25から29を形成した基板を図7に示すキャピラリ46の下部に配置する。47がレジスト除去工程後の基板である。ここで図5(a)に示すように導電層27は、高電圧電源22のマイナス極に接続する。高圧電源22のプラス極またはマイナス極からの配線は、カバー21と基板1の間に配置し、導電層25から29に所定の電圧を加えた。本実施例では行わなかったが、カバー21の基板1側の表面に導電層を形成し、カバー21を基板1に重ねて配置することで、カバー21に形成した導電層が基板1上の導電層25から29と接触し所定の電圧を導電層25から29に供給する構造にすることも可能である。
高電圧電源22のマイナス極はアース24に接続されているため、導電層27はアース電位になる。残りの導電層25、26、28、29は、直流電源23のプラス極に接続し、直流電源23のマイナス極をアース24に接続した。導電層25、26、28、29はアース電位より直流電源23の電圧分だけ高いプラスの電位になる。また、図7中のカバー21には、図8に示すように貫通穴55が形成されており、カバー21は、貫通穴55内に導電層27が入るように位置合わせされる。貫通穴55の寸法56は、2.0mm、寸法57は、14mmとし、貫通穴55の中心が導電層27の中心と一致するように位置合わせした。このように位置合わせすることで、導電層25及び29は、カバー21により覆われることになり、キャピラリ46から噴霧された生物活性物質3の付着を防止することができる。
以上のような構成で、キャピラリ46に3kVの電圧を加え、導電層25、26、28、29に+140Vの電圧を加えて、静電噴霧を行った。キャピラリ46から導電層27までの距離は35mmである。導電層2周辺の基板1上の蛍光強度を測定したところ、貫通穴55の寸法が1.5mmの場合と同様に、生物活性物質3の付着はほとんど観察されなかった。このため、カバー21の貫通穴55の寸法を大きくしても、導電層25、26、28、29にプラス電圧を加えることで、基板1上への生物活性物質3の付着を抑えた条件で、導電層27上に生物活性物質3を塗布できることが分かった。以上記載のように、貫通穴55の寸法を大きくできるため、基板1とカバー21の位置合わせ精度に対する要求を緩和できる。
複数の異なる種類の生物活性物質3を付着させる場合には、静電噴霧すべき導電層をキャピラリ46の直下に移動していき、噴霧すべき導電層のみをアース電位に、他の導電層を所定のプラス電位に設定して、噴霧工程を行って、導電層25から29の上に順次所望の生物活性物質を形成する。
また、上記の条件では導電層27をアース電位としたが、導電層27をマイナス電位にすることにより、噴霧された生物活性物質を積極的に導電層上に集める効果が生じるため、生物活性物質の利用効率を改善する効果が期待できる。
以上のようにして生物活性物質を導電層2上に塗布した基板1を、図1に示すように、流路部材6と貼り合せて使用した場合、従来の構造で問題であった0.2μmの導電層2の段差62により生じる流路部材6との隙間61がなくなっており、流路部材6に検査対象の液体を流した場合でも、液体が漏れ出ることがない。
図13(a)及び図13(b)に示す基板表面に凸形状の導電層を形成した構造の従来の基板でも、流路部材に、ポリジメチルシロキサンを使用しており、ポリジメチルシロキサンはゴムのように容易に変形するため、多少の段差であれば、流路部材自体が変形することで、基板と密着するため、流路に流す液体の漏れを防止することが可能であった。しかし、流路部材6に形成された流路の間隔10が狭くなると、隣接する流路どうしを隔てる壁の厚みが薄くなり、基板と流路部材6との隙間61が原因で部分的に隣接する流路どうしがつながってしまうという問題があった。そのため、流路に液体を流すと隣接する流路に液体の漏れを生じる場合があった。本発明の方法では、基板表面に段差がないため、流路部材に形成する流路の間隔を狭くしても、基板表面と流路部材の間に隙間を生じず、隣接する流路への液体の漏れをなくすことが可能である。
つまり、本発明の基板を用いることにより、生物活性物質の塗布均一性において、従来の基板と同程度の性能を維持した状態で、流路間の液体の漏れがないマイクロ流体チップを作製することが可能である。
実施例1に記載のカバー21を使用して作製する基板を量産する場合、静電噴霧工程を行う前に、基板の位置を正確に調整し、固定するための効率的な方法が必要になる。理由として、カバー21を使用する場合には、カバー21の位置調整誤差が、貫通穴55と生物活性物質3を付着させたい位置との誤差になり、誤差が大きいと隣接する導電層に付着を生じるため、製品の品質上問題になる。位置調整誤差は小さく抑える必要があるが、噴霧毎に作業者が観察して調整していたのでは、調整に時間がかかり、効率的でない。
本実施例では、位置調整時間の短縮と調整精度の向上のため、基板表面の電気的または光学的な性質を変化させた調整用マークを形成する方法について、以下に記載する。
図9は、本実施例の位置調整用マーク63を形成した基板の構造を示す図であり、実施例1に記載の図1の基板の表面に位置調整用マーク63を形成した構造になっている。位置調整用マーク63は、銅薄膜であり、細い直線形状とした。位置調整用マーク63の形成は、図4に示す加工方法のレジスト塗布工程からレジスト除去工程までの工程において導電層2の加工と同時に行った。具体的には、露光用マスクとして、図10に示した構造のマスク58を用い、導電層2を形成する部分と位置調整用マーク63を形成する部分にレジスト13形成されないように、露光及び現像を行い、その後ブラスト加工を行う。更に、その後の成膜工程で導電層2を成膜し、レジスト13を除去することで、図9に示す基板を作製する。
作製された基板の位置調整用マーク63と導電層2は、前述のようにフォトリソグラフィで加工されるため、位置誤差は数μm以下に抑えられる。本実施例では位置調整用マーク63が銅薄膜で形成されているため、位置調整用マーク63は光を反射する。位置調整用マーク63の周辺はガラス表面であるため、光を透過する。この性質を利用して、位置調整用マーク63を画像認識することにより、自動で高精度に位置調整を行うことが可能である。カバー21に対して位置合わせする具体的な方法としては、カバー21の貫通穴55のエッジの一部分を画像認識し、位置調整用マーク63を貫通穴55のエッジから所定の位置に位置調整することで、位置誤差を数μm以下にすることが可能である。本実施例では光学的な位置調整方法について記載したが、例えば、位置調整用マーク63は導電性であるため、電気抵抗値の変化を測定するための測定針により、基板上を走査することで、位置調整用マーク63を認識し、カバー21のエッジの画像認識結果に対して位置調整する方法でも、高い位置調整精度が得られる。
以上のように構成された静電噴霧による微細形状を形成した基板及び基板の作製方法について、以下その動作、作用を説明する。
本発明にかかる静電噴霧方法による微細形状の形成方法及び製品は、微細な形状に均一性良くに材料を塗布することが可能であり、生物活性物質を基板上に所定の形状に塗布する必要があるバイオチップとして有用である。
本発明の実施例1における静電噴霧方法を用いて作成したマイクロ流体チップの構成図 本発明の実施例1における静電噴霧方法を用いて作成したマイクロ流体チップの特徴を説明するための図 本発明の実施例1における静電噴霧方法を用いて作成したマイクロ流体チップの基板の詳細な構造を示す図 本発明の実施例1における静電噴霧方法を用いて作成したマイクロ流体チップの基板の加工手順を説明するための図 本発明の実施例1における静電噴霧方法を用いて作成したマイクロ流体チップの導電層パターンを変更した基板の構成図 本発明の実施例における静電噴霧方法を行なう静電噴霧装置(導電層の成膜装置)を示す図 本発明の実施例における静電噴霧方法を行なう静電噴霧装置の構成図 本発明の実施例における静電噴霧方法を行なう静電噴霧装置に用いるカバーを示す図 本発明の実施例2における静電噴霧方法を用いて作成した基板の構成図 本発明の実施例2における静電噴霧方法に用いる基板の露光用マスクを示す図 本発明の実施例1における静電噴霧方法を用いて作成した基板の蛍光強度の測定結果を示す図 本発明の実施例1における静電噴霧方法の蛍光測定位置を説明するための図 従来のマイクロ流体チップの構成図 従来のマイクロ流体チップの特徴を説明するための図
符号の説明
1 基板
2 導電層
3 生物活性物質
4 接続線
5 接続部
6 流路部材
7 注入口
8 排出口
9 流路
10 流路間隔
11 貼り合わせ面
12 導電性のない部分
13 レジスト
14 マスク
15 光
16 現像液
17 段差
18 ブラストノズル
19 ブラスト粒子
20 レジスト剥離液
21 カバー
22 高電圧電源
23 直流電源
24 アース
25、26、27、28、29 導電層
30、31、32、33、34 切換部
35 電極線
36 高電圧線
37 チャンバー
38 基板ホルダー
39 高周波電源
40 排気装置
41 メインバルブ
42 蒸着用ボート
43 蒸着材料
44 ガス導入管
45 アース
46 キャピラリ
47 レジスト除去後の基板
48 制御装置
49 基板ホルダー
50 チャンバー外壁
51 キャピラリホルダー(X)
52 キャピラリホルダー(Y)
53 抑え部材
54 間隔
55 貫通穴
56 寸法
57 寸法
58 露光用マスク
59 測定点A
60 測定点G
61 隙間
62 段差
63 位置調整用マーク

Claims (9)

  1. 基板上に所定のパターン層を形成するためにレジストを塗布し前記所定のパターンを有するマスクを介して露光・現像する工程、
    前記現像後の基板をブラスト加工する工程、
    前記ブラスト加工により前記レジスト塗布面の基材面とレジスト非塗布面の基材面との間に形成される段差の溝パターンに導電層を成膜する工程、
    導電層の成膜後レジストを除去し前記導電層の形状と対応する貫通穴を有するカバーを介して生物活性を有する物質を静電噴霧する工程、
    とを備える静電噴霧方法。
  2. 前記段差は、略0.2μmであることを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧方法。
  3. 前記ブラスト加工は、レジスト非塗布面の表面粗さを0.7nmから100nmとすることを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧方法。
  4. 前記導電層を成膜する工程は、
    前記基板と所定の距離をおいて内部に生物活性物質の溶液と電極線を有するキャピラリを配置し、当該電極線に所定の高電圧を印加して前記生物活性物質の溶液を前記カバーを介して静電噴霧することを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧方法。
  5. 前記基板とカバーとの距離は、0.05mm以下とすることを特徴とする請求項4に記載の静電噴霧方法。
  6. 前記カバーに形成される貫通穴は、前記導電層の形状より若干大きく形成することを特徴とする請求項5に記載の静電噴霧方法。
  7. 前記溝パターンを複数有し、静電噴霧すべき溝パターンをアース電位又はマイナス電位に設定するとともに他の溝パターンを当該電位より高く設定して導電層を成膜することを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧方法。
  8. 前記基板上に形成すべき所定のパターン層の基準位置となる位置調整用マークを形成する工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の静電噴霧方法。
  9. 生物活性物質を検査するマイクロ流体チップであって、
    両端部に注入口を配置し前記注入口に繋がり流路を形成する溝部とから成る流路部材を、
    請求項1に記載の静電噴霧方法を用いて前記生物活性物質を塗布された基板に貼りあわせ
    て作成することを特徴とするマイクロ流体チップ。

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