JP2008089384A - 核医学診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】検出器ユニット2のFPGA31は第1データソート部51と第1散乱線処理部53を有しており、検出器ユニット2内からのパケットデータを第1データソート部51で検出時刻順に並べ替え、第1散乱線処理部53において散乱線処理をする。また、複数の検出器ユニット2をブロック化し、パケットデータを、データ収集ユニット3に集める。データ収集ユニット3は第2データソート部57と第2散乱線処理部59を有しており、複数の検出器ユニット2のFPGA31からのパケットデータを第2データソート部57で検出時刻順に並べ替え、第2散乱線処理部59において散乱線処理をする。第2散乱線処理部59を出たパケットデータはデータ処理装置12へ送信され、そこで同時計数処理がなされる。
【選択図】図11
Description
特に、γ線の散乱時の検出エネルギは小さく、その場合のγ線検出信号の波形における立ち上がりは遅くなる。γ線検出信号から検出時刻を測定する方法の一つであるリーディングエッジトリガ手法を用いると、エネルギの小さい検出信号(イベント)は、次のγ線検出信号(イベント)と、検出タイミングが重なってしまう。例え、エネルギによる検出時刻の誤差が生じにくい回路を用いたとしても、低エネルギでは検出時刻の時間分解能が劣化する。
また、化合物半導体をγ線検出器に用いる場合には、電子・正孔の移動度の差によるγ線検出信号の波形変動より検出時刻の時間分解能が劣化し、1つの入射γ線に対する散乱による複数のγ線検出信号であることを判定するための時間窓を広げる必要が出てくる。そうすると散乱線処理の候補となるイベントの数が増加し、散乱線処理を効率的に行なう技術が求められるようになる。
次に、本発明の好適な一実施形態である核医学診断装置について、適宜図面を参照しながら説明する。
以下において、本実施形態の核医学診断装置、アナログASIC等といった各素子の基板上への配置(レイアウト)、基板のユニット化等の本実施形態に適用される要素の説明、散乱線処理の方法の説明を行なう。
なお、アナログASICは、アナログ信号を処理する、特定用途向けICであるASIC(Application Specific Integrated Circuit)を意味し、LSI(Large Scale Integrated Circuit)の一種である。
まず、最初に、本実施形態の核医学診断装置を説明する。
図1に示すように、核医学診断装置としてのPET装置1は、カメラ11、データ処理装置12、操作コンソール13等を含んで構成されている。被検体P(図2参照)は、ベッド14に載せられてカメラ11で撮影されるようになっている。
操作コンソール13は、PET装置1の断層画像やPET装置1の状態チェック結果等を表示する表示装置13a、キーボードやマウス等の入力操作部13bを有している。
検出器ユニット2は、γ線の検出エネルギ、検出時刻を計測するための集積回路(ASIC)を前記結合基板20上に有しており、検出したγ線の検出エネルギや検出時刻を測定したり、γ線を検出した検出器21のアドレスを検知したりして、それらを検出γ線情報としてデータ処理装置12に出力するようになっている。
データ収集ユニット3は、詳細は後記するが、複数の検出器ユニット2から出力されるパケットデータを、検出時刻情報にもとづいて順に並べるソート処理機能と、検出器ユニット2間における後記する散乱線処理機能を有している。
このとき、カメラ11の各検出器21はベッド14の周囲を取り囲んでいる。検出器ユニット2からデータ収集ユニット3経由でデータ処理装置12へは、検出器21がγ線と相互作用を起こした際のγ線検出信号にもとづいて得られた検出エネルギ値情報および検出時刻情報、および検出器IDが、検出器ユニット2に含まれる検出器21ごとに出力されるようになっている。
検出器21、結合基板20および検出器ユニット2の構成は、後に詳しく説明する。
以下、本実施形態の特徴部分の説明を行なう。
まず、本実施形態に適用される検出器21を図4、図5を参照しながら説明する。図4は、検出器21の積層構造を概念的に示した図であり、図5の(a)は検出器の構成部品である検出素子と電極を模式的に示した斜視図であり、図5の(b)はそれを積層して一体化した後の斜視図である。
図4に示すように、検出器21は、板状の半導体材料Sからなる半導体放射線検出素子(以下、検出素子という)211の両面を薄板状(膜状)の電極(アノードA、カソードC)で覆ったものを、例えば、5層に重ねた積層構造をしている。
このうち、半導体材料Sは、前記したCdTe(テルル化カドミウム)、CdZnTe(テルル化亜鉛カドミウム)、HgI2(ヨウ化水銀)、TlBr(臭化タリウム)、GaAs(ガリウム砒素)等のいずれかの単結晶で構成されている。
また、電極A(アノードA)、電極C(カソードC)は、Pt(白金)、Au(金)、In(インジウム)等のいずれかの材料が用いられる。
なお、以下の説明では、半導体材料SはCdTeの単結晶をスライスしたものであるとする。また、検出する放射線は、PET装置1で用いる511keVのγ線であるとする。
この図4に示される積層構造の検出器21は、アノードA同士、カソードC同士が共通で接続されていることから、各層それぞれが他の層とは独立に放射線を検出する構成ではない。換言すると、γ線と半導体材料Sとが相互作用を起こした場合、最上層で起こしたのか、最下層で起こしたのか等を判別しない構成である。もちろん、各層ごとに検出するような構成とすることもできる。
このような積層構造の検出器21の構成とすることで、より良好なγ線検出信号の立ち上がりとより正確な波高値が得られると共に、半導体材料Sと相互作用を起こすγ線のカウント数を増やすこと、つまり、感度を上昇させることを両立できる。
また、電極の面積の下限値は、PET装置1の位置分解能から決定される。
次に、検出器ユニット2内に設置される結合基板(ユニット基板)20の詳細構造を、図6を用いて説明する。図6の(a)は結合基板を示した正面図であり、(b)は同(a)の側面図である。
結合基板20は、両面に複数の検出器21が設置された検出器基板20Aと、両面にコンデンサ22、抵抗23、アナログASIC24、アナログ/デジタル変換器(以下、ADCという)25が設置され、片面にデジタルASIC26が設置されたASIC基板20Bと、をコネクタC1で接続したものである。
図6の(a)に示すように、検出器基板20Aには、基板本体20aの片面上に、被検体Pの体軸方向に対応する図6の(a)における横方向一列に、例えば、16個の検出器21が配列され、さらに、被検体Pの体軸に対して径方向に対応する図6の(a)における縦方向に4列配列され、つまり、横16個×縦4個の合計64個の検出器21が格子状に配設されている。また、図6の(b)に示すように、検出器基板20Aの他の面にも同様に検出器21が設置され、1つの検出器基板20Aには、両面合計で128個の検出器21が配設されている。
ここで、検出器21の数が多くなるほどγ線を検出し易くなり、かつ、γ線検出の際の位置精度を高めることができるので、検出器21は、極力密に検出器基板20A上に配設される。
前記説明では、横16個の検出器21は、カメラ11において、被検体の体軸方向に配置される構造としたが、それに限定されない。例えば、横16個の検出器21を、カメラ11において被検体Pの体軸に対して周方向に配置する構造としても良い。
また、検出器21は、図5の(b)に示す電極A、Cの面を基板本体20aの面に平行にして配設しても良いし、また、電極A、Cの面を基板本体20aの面に垂直にして配設しても良い。
次に、図6を参照しながらASICを搭載したASIC基板20Bを説明する。図6の(a)に示すように、ASIC基板20Bは、基板本体20bの両面に2個ずつアナログASIC24が設置され、片面に1個のデジタルASIC26が設置されている。つまり、1つのASIC基板20Bは合計4個のアナログASIC24と1個のデジタルASIC26を有する。
また、ASIC基板20Bは、基板本体20bの片面に16個ずつ計32個のADC25を有する。また、1つの基板本体20bの両面には、コンデンサ22および抵抗23が検出器21の数に対応した数だけ設置されている。また、これらの、コンデンサ22、抵抗23、アナログASIC24、ADC25、デジタルASIC26を電気的に接続するため、ASIC基板20B(基板本体20b)内には、前記した検出器基板20Aと同様に図示しない基板内配線が設けられている。この基板内配線も積層構造をしている。
なお、ASIC基板20Bは、各コンデンサ22に接続される基板内配線にそれぞれ接続されて検出器基板20Aとの電気的接続を行なうコネクタC1と、データ処理装置12側(後記するユニット統合FPGA側)との電気的接続を行なう基板コネクタC2とを有している。
検出器基板20AとASIC基板20Bとは、図6の(b)に示すように、端部近傍に重なり合うオーバラップ部分を設けて、これらのオーバラップ部分に存在する互いのコネクタC1同士を接続する。この接続は、締結用のネジ等により着脱自在(分離・接続自在)に行われる。
なお、このような接続を行なうのは、検出器基板20AとASIC基板20Bとが接続(結合)された結合基板20を、水平方向に片端支持(片持ち支持)や両端支持すると、結合基板20の中央部(接続部分)には、該結合基板20を下方に撓ませたり曲げたりする力が作用するので、接続部分が端面同士を突き合わせたものである場合は、接続部分が撓み易かったり折れ曲がり易かったりするので、接続部分の強度を増すためである。
なお、ボール状の接続端子がASIC基板20B側に設けられる場合は、螺旋状の接触子は検出器基板20A側に設けられ、ボール状の接続端子が検出器基板20A側に設けられる場合は、螺旋状の接触子はASIC基板20B側に設けられる。
このような、検出器基板20AとASIC基板20Bとの電気的な接続構造を用いることで、信号を検出器基板20AからASIC基板20Bへと、低損失で伝送することができる。損失が少なくなると、例えば、検出器21としてのエネルギ分解能が向上する。
また、検出器基盤20AとASIC基板20Bとを、1枚の通しの基板本体で構成しても良い。
図7はアナログASICおよびデジタルASICそれぞれの概略構成、およびアナログASICとデジタルASICの接続関係を示した検出器ユニットのブロック図である。
(アナログASIC)
図8はアナログASICの機能構成を模式的に示したブロック図である。
図8に示すように、1個のアナログASIC24は、1つの電荷有感型前置増幅器(以下、前置増幅器と称する)24aと、それに接続するファースト系24Aおよびスロー系24Bと、を有するアナログ信号処理回路33を、例えば、32組備えている。1個のアナログASIC24は32組のアナログ信号処理回路33をLSI化したものである。
ちなみに、コンデンサ22および抵抗23は、外部に設けた方が、個々のコンデンサ容量や抵抗値のバラツキが少ないとされている。
ここで、各アナログASIC24とデジタルASIC26は、32チャンネルのファースト系24Aの信号を1つ1つ送信する32本の配線で接続されている(図7参照)。また、アナログASIC24と各ADC25との間、および各ADC25とデジタルASIC26との間は、検出器21の8チャンネル分のスロー系24Bの信号をそれぞれ纏めて送信する1本の配線でそれぞれ接続されている(図7参照)。
さらに、デジタルASIC26からは、8チャンネル分のアナログ信号処理回路33に対応して1個の対応付けられたADC25を制御する1本のADC制御信号線、および各アナログASIC24の1つのアナログ信号処理回路33のピークホールド回路24eを個別に制御するための8チャンネル分を1本に纏めたピークホールド制御信号線が出ており、ADC25およびアナログ信号処理回路33に接続されている。
なお、前記したピークホールド制御信号線は8チャンネル分を1本に纏めることなく、デジタルASIC26から各アナログ信号処理回路33に対して1本ずつ配線するようにしても良い。
次に、図7を参照しながらデジタルASIC26について説明する。
デジタルASIC26は、図7に示すように、8個のタイミング検出部35および1個の検出器制御部36を含む検出信号処理部34を16組と、1個のデータ転送部37とを有しており、これらをLSI化したものである。
タイミング検出部35は、検出器21ごとに設けられ、該当するアナログ信号処理回路33のタイミングピックオフ回路24bからタイミング信号が入力される。タイミング検出部35はタイミング信号が入力された時のクロック信号にもとづいてγ線の検出時刻を決定する。タイミング信号は、アナログASIC24のファースト系24Aの信号にもとづくものであるので、真の検出時刻に近い時刻を検出時刻(検出時刻情報)とすることができる。
(アドレス演算機能)
アドレス演算機能は、タイミング検出部35からγ線を検出したタイミング信号に対応する検出時刻情報を受け、その検出器IDを特定する。すなわち、検出器制御部36は、接続される各タイミング検出部35に対する検出器IDを記憶しており、あるタイミング検出部35から検出時刻情報が入力されたとき、そのタイミング検出部35に対応する検出器IDを特定することによってアドレス演算機能が果たされる。これは、タイミング検出部35が検出器21ごとに設けられていて、検出器制御部36に接続されていることにより可能となる。
さらに、検出器制御部36は、時刻情報を入力された後、前記特定された検出器IDを含む8チャンネル分のアナログ信号処理回路33にピークホールド制御信号を出力し、また、検出器IDとADC制御信号をADC25に出力する。
検出器制御部36は、タイミング検出部35から入力された検出時刻情報を、ADC25を介して取得した波高値にもとづいて、例えば、特開2005−249806号公報に記載されている方法で補正する。また、ADC25から入力された波高値に対して、予め収集された校正データを基に、検出器21、アナログASIC24のゲイン、オフセット補正を行なう。
検出器制御部36は、前記補正された波高値を検出エネルギ値情報とし、検出エネルギ値情報に補正された検出時刻情報および検出器IDを付加してデジタル情報であるパケットデータ(検出γ線情報、検出放射線情報)を生成し、データ転送部37に出力する。
データ転送部37は、複数の入力系統をひとつの出力系統に纏める入出力統合機能と、入力されたパケットデータを一時的に記憶し、後段の構成要素の処理速度に応じて出力するバッファメモリ機能とを有している。データ転送部37は、各検出器制御部36からパケットデータを入力されると、必要に応じてバッファリングし、各検出信号処理部34から出力されたパケットデータを、例えば、定期的に12枚の結合基板20を収めている検出器ユニット2(図9参照)の筐体30の外側に1個設けられているユニット統合FPGA(Field Programmable Gate Array、以下、FPGAと称する)31に送信する。
FPGA31は、検出器ユニット2内に収容されている全結合基板20のデジタルASICからのパケットデータをいったん受け入れるバッファ機能と、検出時刻情報にもとづいてパケットデータを時刻順に並べるソート処理機能と、検出器ユニット2内に含まれる検出器21間で検出された散乱γ線の検出に対して散乱線処理を行なう機能と、を有している。
FPGA31は、パケットデータをコネクタ38に接続された情報伝送用配線を介してデータ収集ユニット3に送信する。データ収集ユニット3(図2参照)は、例えば、周方向に4つ配され、周方向に4群にブロック化された検出器ユニット2からのパケットデータを纏めて1つのデータ収集ユニット3に集めて、ソート処理して散乱線処理をし、その後、データ処理装置12へ送信する。
次に、前記した結合基板20の筐体30への収納によるユニット化を説明する。
図9に示すように、検出器ユニット2は、12枚の結合基板20、この12枚の結合基板20に電荷収集用の電圧を供給する高圧電源装置PS、FPGA31、外部との信号の授受を行なう信号用のコネクタ、外部から電源の供給を受けるための電源用のコネクタ等を収納したり保持したりする筐体30(図10参照)等を備える。
次に、電荷収集用の電圧を供給する高圧電源装置PSについて説明をする。図9に示すように、検出器ユニット2は、FPGA31の裏面側で筐体30内に、導体金属材料で構成された隔壁30cによって形成される空間に、各検出器21に電荷収集用の電圧を供給する高圧電源装置PSを設置している。この高圧電源装置PSは、低圧の電源を供給され、図示しない電圧を昇圧するDC−DCコンバータにより電圧を500Vに昇圧して各検出器21に供給するようになっている。ちなみに、検出器21は、検出器基板20A1枚について、片面で64個、両面で128個備えられている。そして、この結合基板20が1つの筐体30には12枚収納される。よって、高圧電源装置PSからは、128×12=1536個の検出器21に電圧が供給される。
高圧電源は、コネクタC3、各結合基板20の基板コネクタC2、基板本体20b内の図示しない高圧電源配線、コネクタC1および基板本体20a内の図示しない高圧電源配線を介して基板本体20aに設けられた各検出器21の電極Cにそれぞれ接続される。コネクタC1、C2は、検出器21の出力信号を伝えるコネクタ以外に、高圧電源配線用のコネクタを含んでいる。
なお、天板30aを介してではなく、高圧電源装置PSを、直接、基板本体20aに設けた高圧電源配線にコネクタを介して接続しても良い。また、高圧電源用のコネクタは、検出器21の出力信号用のコネクタから分離して配置しても良い。
次に、図11から図17を参照しながら、FPGA31およびデータ収集ユニット3におけるソート処理機能と散乱線処理機能について説明する。
図11は、検出器ユニットおよびデータ収集ユニットの概略構成を示す図である。検出器ユニット2の筐体30の外面に設けられたFPGA31は、図11に示すように、第1データソート部51、第1散乱線処理部53を備えている。また、データ収集ユニット3は、データ転送部55、第2データソート部(ユニット間検出データ出力部)57、第2散乱線処理部(ユニット間散乱線処理部)59を備えている。
そして、図2に示すように4群にブロック化された各検出器ユニット2のFPGA31から出力されたパケットデータは、ブロックごとにデータ収集ユニット3(3A、3B、3C、3D)のデータ転送部55に入力される。データ転送部55に入力されたパケットデータのうち、当該ブロック内で周方向に反時計回り端に位置する検出器ユニット2の、周方向に反時計回り側の半分の検出器21からのγ線検出信号にもとづくパケットデータを、周方向に反時計回りに隣接するデータ収集ユニット3の第2データソート部57へ出力する。例えば、データ収集ユニット3Aのデータ転送部55からデータ収集ユニット3Bの第2データソート部57へ出力する。
第1データソート部51、第1散乱線処理部53は、この順序に接続されている。また、データ転送部55、第2データソート部57、第2散乱線処理部59は、この順序に接続されている。
なお、データ転送部55は、自身の属するブロックの検出器ユニット2から送信されたパケットデータのうち、周方向に隣接した他方側のデータ収集ユニット3のデータ転送部55に、自身のデータ収集ユニット3に属する前記他方側の境界の検出器ユニット2の境界寄りの半分のパケットデータを送信する。
次に、図12を参照しながら第1データソート部の詳細な構成とパケットデータを検出時刻順にソートする方法を説明する。図12は第1データソート部の詳細な構成ブロック図である。
複数のデジタルASIC26からパケットデータが第1データソート部51に入力される。第1データソート部51は、図12では、4つの切替スイッチ60、61、4つのデータバッファ65が示されているが、実際には12個の切替スイッチ60、61、12個のデータバッファ65および1つのユニットソート回路66を備えている。
なお、本実施形態では、デジタルASIC26が検出器ユニット2内に12個ある場合について説明したが(図7参照)、デジタルASIC26の個数は12個以外にしても良い。この場合には、切替スイッチ60、61およびデータバッファ65の各個数は、いずれも、デジタルASIC26の個数と同じにする。
(a1)切替スイッチ60は、あるタイムフレームでは、デジタルASIC26と第1バッファ65aを接続する。このとき、そのデジタルASIC26は第2バッファ65bに接続されていない。
(a2)切替スイッチ60は、次のタイムフレームでは、デジタルASIC26と第2バッファ65bを接続する。このとき、そのデジタルASIC26は第1バッファ65aに接続されていない。
(b1)あるタイムフレームにおいて、切替スイッチ60がデジタルASIC26と第1バッファ65aを接続している間、切替スイッチ61は、第2バッファ65bとユニットソート回路66を接続する。このとき、第1バッファ65aとユニットソート回路66は接続されない。
(b2)次のタイムフレームにおいて、切替スイッチ60がデジタルASIC26と第2バッファ65bを接続している間、切替スイッチ61は、第1バッファ65aとユニットソート回路66を接続する。このとき、第2バッファ65bとユニットソート回路66は接続されない。
図13に示すように、第1散乱線処理部53は、ペア確認部85およびペア生成部86を備えている。ペア確認部85は、レジスタ90a〜90eを含む比較データレジスタ90、比較器95a〜95dを含む比較器95、および散乱線判定回路96を備えている。ペア生成部86は、レジスタ92a〜92eを含むペアデータレジスタ92、セレクタ97a〜97dを含むデータセレクタ97、およびペアデータ生成回路98を備えている。
次いで、全吸収フラグが付加されなかった場合に、散乱線判定回路96は、比較器95(比較器95a〜95d)を制御し、比較器95a〜95dのそれぞれは、レジスタ90a〜90dのうち対応する1つのレジスタ、およびレジスタ90eに格納されている各パケットデータを入力し、これらのパケットデータが1個のγ線に起因するものであるか否かを判定する。具体的には、比較器95a〜95dのそれぞれは、前記の対応するレジスタおよびレジスタ90e内のそれぞれのパケットデータから、各検出器21の位置を特定できる識別子である検出器IDおよび各検出時刻情報を読み取り、2個のパケットデータが所定の時間窓内のものであり、散乱γ線としてあり得る検出位置関係にあるか否かを判定する。さらに、比較器95a〜95dは、比較対象の2個のパケットデータに含まれる2つの検出エネルギ値情報の検出エネルギの和が、被検体Pから放出されたγ線のエネルギ(511keV)と所定のエネルギ窓の範囲で等しいか否かを判定する。
第2散乱線処理部59は、入力元および出力先が異なるほかは、第1散乱線処理部53と同様の構成を有し、同様の散乱線処理を行なう。
図14から図16は散乱線判定の処理の制御の流れを示すフローチャートである。第2散乱線処理部59も同様な散乱線判定の処理を行なう。
まず、散乱線判定回路96は、比較データレジスタ90においてレジスタ90eに新たなパケットデータがシフトされるまで待つ(ステップS301)。散乱線判定回路96は、レジスタ90eに新たなパケットデータが格納された後、ステップS303〜318の各処理(散乱線判定の処理)を実行する。レジスタ90eに新たなパケットデータが格納されたとき、レジスタ90eに格納されているパケットデータを基準となるパケットデータとし、基準となるパケットデータの検出エネルギが入射γ線の所定のγ線エネルギ(511keV)に対するエネルギ窓内に入っているか否かをチェックする(ステップS302)。
ステップS306では、比較器95a〜95dからの出力情報にもとづいて、基準となるパケットデータと、散乱線判定の時間窓と検出器位置関係の条件に合致と判定されたパケットデータの数が0であるかを否か判定する(ステップS306)。ここで、散乱線判定の時間窓の条件とは、基準となるパケットデータの検出時刻と比較されたパケットデータの検出時刻の差が所定の時間内であり、1つの入射γ線に対する散乱による複数の検出器21からの検出信号と判定される、略同時と判定のできる時間窓内に入っているという意味である。散乱線の検出器位置関係の条件とは、例えば、特開2003−255048号公報に記載されている位置関係である。
パケットデータの数が0でない場合(No)は、ステップS307へ進む。
ステップS307では、基準となるパケットデータと、散乱線判定の時間窓と検出器位置関係の条件に合致と判定されたパケットデータの数が1であるかを否か判定する。前記条件に合致と判定されたパケットデータの数が1の場合(Yes)はステップS308へ進み、そうでない場合(No)はステップS313へ進む。
この判定が、「No」であるときに、その後、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ90eに格納されたパケットデータに対する散乱線判定の処理を終え、新たにレジスタ90eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとした散乱線判定の処理に戻る。
この判定が「Yes」であるとき、当該の2個のパケットデータの検出器位置関係は、近距離散乱か遠距離散乱かを判定する。ここで、近距離散乱とは、基準となるパケットデータの検出器IDに対応する検出器21を中心として、所定の近距離散乱範囲(第1の空間範囲)として設定した検出器21単位の3次元空間距離内での散乱を意味し、また、遠距離散乱とは、所定の近距離散乱範囲よりも広い所定の遠距離散乱範囲(第2の空間範囲)として設定した検出器21単位の3次元空間距離内での散乱を意味する。
ただし、基準となるパケットデータにおいて近距離散乱フラグがすでに立っている場合は、近距離散乱フラグ、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。このとき、基準となるパケットデータに対してのみ近距離散乱フラグおよび遠距離散乱フラグを無効に設定しても良いし、また、基準となるパケットデータおよび比較されたパケットデータの両方とも前記遠距離近距離両方の散乱フラグを無効にしても良い。この場合、基準となるパケットデータは、それ以前の周期ステップにおいて比較されるパケットデータであったときに、近距離散乱フラグが“0”と設定されていた場合に相当し、今回の周期で基準となるパケットデータとなったときに、自身より後ろに続く近距離散乱のペアの可能性のあるパケットデータが見つかったことを意味する。その場合、自身より時間的に遡ったパケットデータとの近距離散乱のペア、および今回、自身を基準とする時間的に後ろに続く近距離散乱の可能性のあるペアをともに、散乱線処理において無効とする。これは、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
また、近距離散乱フラグが既に立っている比較されたパケットデータには、近距離散乱フラグ、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。これも、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
その後、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ90eに格納されたパケットデータに対する散乱線判定の処理を終え、新たにレジスタ90eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとした散乱線判定の処理に戻る。
ただし、基準となるパケットデータにおいて遠距離散乱フラグがすでに立っている場合は、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。このとき、基準となるパケットデータに対してのみ遠距離散乱フラグを無効に設定しても良いし、また、基準となるパケットデータおよび比較されたパケットデータの両方とも遠距離散乱フラグを無効にしても良い。これも、ステップS311における説明で前記したと同じく、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
また、遠距離散乱フラグが既に立っている比較されたパケットデータには、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。これも、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
その後、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ90eに格納されたパケットデータに対する散乱線判定の処理を終え、新たにレジスタ90eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとした散乱線判定の処理に戻る。
この判定が、「No」であるときに、その後、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ90eに格納されたパケットデータに対する散乱線判定の処理を終え、新たにレジスタ90eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとした散乱線判定の処理に戻る。
この判定が「Yes」であるとき、該当のパケットデータの位置関係に遠距離散乱が含まれるか否かを判定する。
ただし、基準となるパケットデータにおいて近距離散乱フラグがすでに立っている場合は、近距離散乱フラグ、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。このとき、基準となるパケットデータに対してのみ近距離散乱フラグおよび遠距離散乱フラグを無効に設定しても良いし、また、基準となるパケットデータおよび比較されたパケットデータの両方とも前記近距離、遠距離両方の散乱フラグを無効にしても良い。これは、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
また、近距離散乱フラグが既に立っている比較されたパケットデータには、近距離散乱フラグ、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。これも、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
その後、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ90eに格納されたパケットデータに対する散乱線判定の処理を終え、新たにレジスタ90eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとした散乱線判定の処理に戻る。
ただし、基準となるパケットデータにおいて遠距離散乱フラグがすでに立っている場合は、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。このとき、基準となるパケットデータに対してのみ遠距離散乱フラグを無効に設定しても良いし、また、基準となるパケットデータおよび比較されたパケットデータの両方とも遠距離散乱フラグを無効にしても良い。これも、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
また、遠距離散乱フラグが既に立っている比較されたパケットデータには、遠距離散乱フラグを無効に設定する(フラグの値を“null”に設定する)。これも、1つの同一のγ線に起因する散乱線の検出との判定が疑わしいパケットデータのペアは、PET画像の生成に用いないという考え方によるものである。
その後、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ90eに格納されたパケットデータに対する散乱線判定の処理を終え、新たにレジスタ90eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとした散乱線判定の処理に戻る。
以上のようにして、一連の各種の組み合わせの散乱線判定の処理が行われる。
まず、ペアデータ生成回路98は、ペアデータレジスタ92においてレジスタ92eに新たなパケットデータがシフトされるまで待つ(ステップ401)。次に、レジスタ92eに格納されているパケットデータ、つまり、基準となるパケットデータの近距離散乱フラグが立っていて、フラグの値として散乱線ペアと考えられるパケットデータの相対位置が設定されているか、否かをチェックする(ステップS402)。「Yes]の場合は、ステップS403へ進み、「No」の場合はステップS406へ進む。ステップS403では、前記散乱線ペアと考えられるパケットデータの相対位置に対応するペアレジスタのパケットデータに近距離散乱フラグが立っていて、フラグの値として“0”が設定されているか、否かをチェックする。「Yes」の場合は、ステップS404へ進み、「No」の場合は、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ92eに格納されたパケットデータに対するペアデータ生成の処理を終え、新たにレジスタ92eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとしたペアデータ生成処理に戻る。
ここで、代表検出時刻情報は、前記同一のγ線に係る複数のパケットデータのうちの検出エネルギが最大のパケットデータの検出時刻情報とし、代表検出器IDは、前記同一のγ線に係る複数のパケットデータのうちの検出器21の位置が最も被検体Pの体軸に近い検出器21の検出器IDとする。また、このとき、生成したパケットデータに全吸収フラグを立てる。ステップS404の後、ステップS405へ進み、元の当該の複数のパケットデータに無効検出γ線フラグを立てる。
この新たに生成したパケットデータに全吸収フラグを立て、元の当該の複数のパケットデータに無効検出γ線フラグを立てるのは、散乱線処理の完了を意味し、後続の第2散乱線処理部59において、散乱線処理を行なわせないようにするためである。
ここで、検出時刻情報を検出エネルギの最も大きいパケットデータのものとするのは、図19に示すようにγ線検出信号の波高値が大きいほどタイミング信号が早く立ち上がり、検出時刻の補正量が小さく信頼度が高いからである。
ステップS407では、前記散乱線ペアと考えられるパケットデータの相対位置に対応するペアレジスタのパケットデータに遠距離散乱フラグが立っていて、フラグの値として“0”が設定されているか、否かをチェックする。「Yes」の場合は、ステップS404へ進み、「No」の場合は、図13においてクロックに同期してパケットデータが一つ右へ送られ、レジスタ92eに格納されたパケットデータに対するペアデータ生成の処理を終え、新たにレジスタ92eに格納されたパケットデータを基準となるパケットデータとしたペアデータ生成処理に戻る。
以上で、一連のペアデータ生成処理の説明を終了する。
なお、散乱線判定の処理(図14〜図16参照)およびペアデータ生成処理(図17参照)は、複数のパケットデータについて、1クロックの間に並行して実行される。
図18から図21を参照しながら散乱線判定の処理およびペアデータ生成処理の具体的な例を説明する。
図18に示すように、ここでは説明を平易にするため2次元で近距離散乱範囲と遠距離散乱範囲を設定してある。2本の所定のエネルギを有するγ線(γ1、γ2)が略同時刻に検出器21に入射し、γ1は検出器21とγ1Aとγ1Bという相互作用をし、γ2は検出器21とγ1aとγ1bという相互作用をしたとする。
ここで、(a)に示した四角枠はγ線を検出した検出器21を中心として、検出器21単位で設定した近距離散乱範囲を示し、(b)に示した四角枠はγ線を検出した検出器21を中心として、検出器21単位で設定した遠距離散乱範囲を示す。
これに対し、本実施形態では、以下のように区別できる。
各フラグデータは初め空である。入力データの先頭では、ペア確認部85の比較対象となるレジスタ90eにはパケットデータが入っていない。このため1から4ステップにおいて散乱線判定は行われず、パケットデータは時間ステップごとに次のレジスタにシフトされる。
このように近距離散乱および遠距離散乱の2つのフラグを立てることを可能とすることにより、近距離散乱の処理を優先し、遠距離散乱の処理ではペアとなるパケットデータが特定できない場合でもパケットデータのペア判定が可能となる。
検出器ユニット2からのデータを直接、同時計数回路に入力する構成と異なり、本実施形態では、検出器ユニット2から1タイムフレーム間に出力されるパケットデータを、一方のバッファ(例えば、第1バッファ65a)に格納している間、他方のバッファ(例えば、第2バッファ65b)に格納されたデータを利用して、後段の処理を行っている。このため、(a)パケットデータの格納および出力を、2つのバッファ(65a、65b)で交互に分担しているので、タイムフレーム内に多数のイベントが発生しても処理可能になる。このため、タイムフレームを長く設定でき、タイムフレームを跨ぐγ線検出信号の数え落しを減少できる。
(b)また、予めパケットデータを、検出時刻を基準に並べているので、同時計数判定の対象となるパケットデータの数が制限され、処理負荷が小さくなり、動作の高速化や、回路規模の小規模化を図ることができる。
(c)散乱線処理は、パケットデータを検出時刻順に並べて行っているので、散乱線処理の対象となるパケットデータの数が制限され、処理負荷が小さくなり、動作の高速化や、回路規模の小規模化を図ることができるとともに、より複雑な散乱線処理論理を採用することにより、取りこぼすγ線検出信号をさらに減らして、PET装置1の感度の向上を図ることもできる。
(d)本実施形態は、ある検出器ユニット2内での、所定の近距離散乱範囲と遠距離散乱範囲とを分けて散乱線処理を行い、その後に群に分けてブロック化した複数の検出器ユニット2からの各γ線検出信号にもとづいて得られた検出γ線情報により、データ収集ユニット3内で再び所定の近距離散乱範囲と遠距離散乱範囲とを分けて散乱線処理を行なっている。このため、検出器ユニット2内で散乱線処理は、限定された検出器信号だけで済み、FPGA31における散乱線処理の負荷が軽減できる。また、データ収集ユニット3は、検出器ユニット2内で、近距離散乱、遠距離散乱と判定されなかったものだけについて散乱線処理をすれば良いので、検出器ユニット2間の近距離散乱と遠距離散乱に対する散乱線処理が主になり、近距離散乱に対する散乱線処理の負荷が減る。
その結果、計数率の高い検出信号に対して、検出器ユニット2、データ収集ユニット3という階層式の散乱線処理構成であり、データ収集ユニット3の散乱線処理の負荷が減じて、適正化できる。
また、散乱線処理において、近距離散乱を優先的に採用するので、偶発的な同一時間窓内に発生したγ線検出情報を遠距散乱として採用する数が抑制されるのでノイズが抑制される。
本実施形態では処理回路の規模縮小のため、検出器ユニット2のFPGA31でも、データ収集ユニット3でも、近距離、遠距離散乱線処理を纏めて行っているが、それに限定されるものではなく、近距離散乱線処理はFPGA31で行い、遠距離散乱線処理はデータ収集ユニット3で行なうように完全に2つに分け、2段階で処理しても、略同じ結果を得ることができる。
また、本実施形態では、第1散乱処理部53、第2散乱処理部59では、回路を簡単にするため、近距離散乱と遠距離散乱を1つの回路で処理したが、近距離散乱の処理と遠距離散乱の処理を別個の回路で処理するようにしても良い。
次に、本発明に係る第2の実施形態である核医学診断装置ついて図22、図23を参照しながら説明する。本実施形態の核医学診断装置はPET装置1Aであり、第1の実施形態とは、以下の点で異なる。
本実施形態では、検出器ユニット2のFPGA31がFPGA31Aに置き換わり(図23参照)、検出器ユニット2Bとなり、検出器ユニット2B間でパケットデータのやり取りをし、検出器ユニット2B間の散乱線処理もFPGA31Aで行なう。また、図22に示す本実施形態における補助データ収集ユニット4は、第1の実施形態におけるデータ収集ユニット3が散乱線処理を行っていたのに対し、ただデータ転送する機能だけとなり、データ処理装置12への接続が、補助データ収集ユニット4を介している。
図23に示すように、検出器ユニット2Bは、検出器ユニット2におけるFPGA31の代わりにFPGA31Aを具備している。
FPGA31Aは、散乱線処理を行なう機能を有し、第1データソート部80、第1散乱線処理部81、第2データソート部82、第2散乱線処理部83および散乱線データ処理部84を備えている。第1データソート部80、第1散乱線処理部81、第2データソート部82、第2散乱線処理部83および散乱線データ処理部84は、この順序に接続されている。複数のデジタルASIC26が第1データソート部80に接続されている。また、検出器ユニット2Bを有するカメラ11の周方向において隣り合う第1、第2の検出器ユニット2Bにおいて、第1の検出器ユニット2Bの第1散乱線処理部81が第2の検出器ユニット2Bの第2データソート部82に接続されている。第2の検出器ユニット2Bの第2散乱線処理部83が第1の検出器ユニット2Bの散乱線データ処理部84に接続されている。換言すれば、第1の検出器ユニット2Bの第1散乱線処理部81の出力を入力する第2の検出器ユニット2B、および第1の検出器ユニット2Bの第2散乱線処理部83を入力する第3の検出器ユニット2Bは、前記周方向において、第1の検出器ユニット2Bを間に挟むように配置される。
第1散乱線処理部81は、入力されたパケットデータについて散乱線処理を行い、一個の所定のエネルギの入射γ線に起因する複数のパケットデータを纏める機能を有する。第1散乱線処理部81の出力は、この検出器ユニット2B内の第2データソート部82と、隣接する検出器ユニット2B内の第2データソート部82とに入力される。一個のγ線に起因する複数の散乱γ線は、同一の検出器ユニット2B内の検出器21で検出されるとは限られず、隣接する検出器ユニット2B内の検出器21でも検出される場合がある。このため、第1散乱線処理部81で散乱線処理を行った後、パケットデータを隣接する検出器ユニット2B内の第2データソート部82へも転送するのである。
また、散乱線処理において、近距離散乱を優先的に採用するので、偶発的な同一時間窓内に発生したγ線検出情報を遠距散乱として採用する数が抑制されるのでノイズが抑制される。
なお、PET装置1やPET装置1Aと、X線CTを組み合わせた核医学診断装置の構成としても良い。
2、2B 検出器ユニット
2A ユニット支持部材(支持部材)
3 データ収集ユニット
11 カメラ(撮像装置)
11a 蓋
11b 開口部
12 データ処理装置
12A 同時計測装置
12B 断層像情報作成装置
13 操作コンソール
13a 表示装置
13b 入力操作部
14 ベッド
20、120 結合基板(ユニット基板)
20A、120A 検出器基板
20a、20b 基板本体
20B、120B ASIC基板
21 半導体放射線検出器(γ線検出器)
22 コンデンサ
23 抵抗
24、124 アナログASIC(集積回路、信号処理装置)
24A ファースト系
24B スロー系
24a 前置増幅器
24b タイミングピックオフ回路
24c 閾値制御回路
24d 波形整形回路
24e ピークホールド回路
25、25A、25B アナログ/デジタル変換器(信号処理装置)
26、126 デジタルASIC(信号処理装置、集積回路、データ生成部)
27 高圧電源
30 筐体(収納部材)
30a 天板
30b 底板
30c 隔壁
31 ユニット統合FPGA(他の集積回路)
33、133 アナログ信号処理回路
34、134 検出信号処理部
35 タイミング検出部
36 検出器制御部
37 データ転送部
38、42、43 コネクタ
51、80 第1データソート部(検出データ出力部)
53、81 第1散乱線処理部(散乱線処理部)
55 データ転送部
57 第2データソート部(検出データ出力部、ユニット間検出データ出力部)
59、 第2散乱線処理部(散乱線処理部、ユニット間散乱線処理部)
82 第2データソート部(検出データ出力部)
83 第2散乱線処理部(散乱線処理部)
211 検出素子
C1、C3 コネクタ
C2 基板コネクタ
PS 高圧電源装置
Claims (5)
- γ線の検出に応じてγ線検出信号を出力する複数のγ線検出器と、
前記γ線検出信号にもとづいて検出時刻情報とγ線検出器を識別する検出器IDを含む検出γ線情報を生成する複数のデータ生成部と、
前記検出γ線情報にもとづいて散乱線処理を行なう散乱線処理部と、を備え、
前記散乱線処理部は、
複数の前記検出γ線情報のうち、基準となる前記検出γ線情報と他の複数の前記検出γ線情報のそれぞれについて、前記基準となる検出γ線情報に含まれる前記検出器IDにもとづき、予め設定された第1の空間範囲に含まれる前記γ線検出器からの同一の前記γ線に起因する前記検出γ線情報であるか否かの第1の散乱線判定を行ない、
前記第1の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合し、
さらに、
複数の前記検出γ線情報のうち、基準となる前記検出γ線情報と他の複数の前記検出γ線情報のそれぞれについて、前記基準となる検出γ線情報に含まれる前記検出器IDにもとづき、前記第1の空間範囲より広く予め設定された第2の空間範囲に含まれる前記γ線検出器からの同一の前記γ線に起因する前記検出γ線情報であるか否かの第2の散乱線判定を行ない、前記第2の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合することを特徴とする核医学診断装置。 - さらに、
複数の前記データ生成部から出力された所定の個数の前記検出γ線情報を、当該検出γ線情報に含まれる前記検出時刻情報の時刻順に出力する検出データ出力部を備え、
前記散乱線処理部は、前記時刻順に出力される複数の前記検出γ線情報にもとづいて散乱線処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の核医学診断装置。 - 周方向に複数の開口部を形成した支持部材と、前記開口部にそれぞれ挿入されて前記支持部材に着脱自在に取り付けられた複数の検出器ユニットとを備え、前記検出器ユニットが、遮光性を有する収納部材、および前記収納部材内に着脱自在に収納される複数のユニット基板を有し、
前記ユニット基板が、γ線を入射する複数の半導体放射線検出器、および前記複数の半導体放射線検出器のそれぞれが出力するγ線検出信号を処理する集積回路を含み、
前記集積回路が、γ線を検出した前記半導体放射線検出器を識別する検出器IDと検出時刻情報とを含む検出γ線情報を出力し、
さらに、
前記検出器ユニットは、それぞれの前記ユニット基板に含まれた集積回路から出力される前記検出γ線情報を前記検出器ユニットの外部に出力する他の集積回路を有し、
前記他の集積回路において、
前記ユニット基板に含まれた集積回路から出力された所定の個数の前記検出γ線情報を、当該検出γ線情報に含まれる前記検出時刻情報の時刻順に出力する検出データ出力部と、
前記時刻順に出力される複数の前記検出γ線情報にもとづいて散乱線処理を行なう散乱線処理部と、を備え、
前記散乱線処理部は、
前記検出データ出力部から出力された所定の個数の前記検出γ線情報のうち、基準となる前記検出γ線情報と他の複数の前記検出γ線情報のそれぞれについて、前記基準となる検出γ線情報に含まれる前記検出器IDにもとづき、予め設定された第1の空間範囲に含まれる前記半導体放射線検出器からの同一の前記γ線に起因する前記検出γ線情報であるか否かの第1の散乱線判定を行ない、
前記第1の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合し、
さらに、
前記検出データ出力部から出力された所定の個数の前記検出γ線情報のうち、基準となる前記検出γ線情報と他の複数の前記検出γ線情報のそれぞれについて、前記基準となる検出γ線情報に含まれる前記検出器IDにもとづき、前記第1の空間範囲より広く予め設定された第2の空間範囲に含まれる前記半導体放射線検出器からの同一の前記γ線に起因する前記検出γ線情報であるか否かの第2の散乱線判定を行ない、前記第2の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合することを特徴とする核医学診断装置。 - 複数の前記検出器ユニットの前記他の集積回路からの検出γ線情報を収集するデータ収集ユニットを複数設け、
該データ収集ユニットは、前記検出器ユニットのユニット基板に含まれる集積回路から出力された所定の個数の前記検出γ線情報を、当該検出γ線情報に含まれる前記検出時刻情報の時刻順に出力するユニット間検出データ出力部と、
前記時刻順に出力される複数の前記検出γ線情報にもとづいて散乱線処理を行なうユニット間散乱線処理部と、を備え、
ユニット間散乱線処理部は、
出力された所定の個数の前記検出γ線情報のうち、基準となる前記検出γ線情報と他の複数の前記検出γ線情報のそれぞれについて、前記基準となる検出γ線情報に含まれる前記検出器IDにもとづき、予め設定された第1の空間範囲に含まれる前記半導体放射線検出器からの同一の前記γ線に起因する前記検出γ線情報であるか否かの第1の散乱線判定を行ない、前記第1の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合し、
さらに、
前記ユニット間検出データ出力部から出力された所定の個数の前記検出γ線情報のうち、基準となる前記検出γ線情報と他の複数の前記検出γ線情報のそれぞれについて、前記基準となる検出γ線情報に含まれる前記検出器IDにもとづき、前記第1の空間範囲より広く予め設定された第2の空間範囲に含まれる前記半導体放射線検出器からの同一の前記γ線に起因する前記検出γ線情報であるか否かの第2の散乱線判定を行ない、前記第2の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合することを特徴とする請求項3に記載の核医学診断装置。 - 前記散乱線処理部は、第1散乱線処理部および第2散乱線処理部を含んでおり、
前記第1散乱線処理部は、自身の前記検出器ユニットに設けられた複数の前記半導体放射線検出器からの前記γ線検出信号にもとづく前記検出γ線情報に対して前記第1の散乱線判定と前記第2の散乱線判定を行い、前記第1の散乱線判定および前記第2の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合し、
前記第2散乱線処理部は、自身の前記検出器ユニットとそれに隣り合う他の前記検出器ユニットに設けられた複数の前記半導体放射線検出器からの前記γ線検出信号にもとづく前記検出γ線情報に対して前記第1の散乱線判定と第2の散乱線判定を行い、前記第1の散乱線判定および前記第2の散乱線判定にもとづいて複数の当該検出γ線情報を併合することを特徴とする請求項3に記載の核医学診断装置。
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