JP2008088586A - 衛生用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の第4級アンモニウム塩(A)、炭素数14〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコール(B)、及び、サイズ剤(C)を構成成分として含む衛生用紙である。
【選択図】なし
Description
しかし、これまで使用されてきた衛生用紙は、手触り感や吸水性を向上させることに重点が置かれて製造されており、吸収した水分が裏抜けしてしまうことがあり、これが手に付着したり、強度が弱いために水分を若干多めに吸収しただけでシートが破れてしまうことが多く使用者に不快感を与えていた。この場合に米坪を上げたり、ラミネート加工する等してシートの強度を向上させることは行われていたが、この方法の場合にはコストが余計にかかってしまううえ、シートの柔軟性が損なわれるので使用感が悪くなるため好ましくない。
上記問題点に鑑み、撥水剤を含有させることによりコストを掛けずに裏抜けを少なくした技術が提案されている。例えば特許文献1では、第1セルロースプライと、第2セルロースプライとを含み、これら各セルロースプライの合わせ面部分に撥水剤(サイズ剤、疎水性化学物質)を印刷又はスプレー塗布したトイレットティッシュ又は前記各セルロースプライの間に撥水剤層を介在させたトイレットティッシュが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1記載のトイレットティッシュ製品では撥水剤による層が中間層として形成されているものであるため、この撥水剤層に水分が達するまでは従来の
ティッシュ同様の吸水性を有することになるため製品がベタ付き易いという問題があった。また、撥水剤層を超えて水分が染み込んだ場合には裏抜けを全く防止できなくなってしまうとともに、サイズ剤を多く添加すると吸水性が損なわれて製品本来の機能を果たせなくなる虞がある。
そこで、特許文献2には、第4級アンモニウム塩又はサイズ剤を添加することで、衛生薄葉紙として機能し得る程度の吸水性を維持しつつ、ムラ無く水分の裏抜けを低減しようとするものが提案されている。
他方、この種の衛生用紙用途上適度な柔らかさと手触り感が要求される。紙の柔らかさや手触り感は繊維の種類、紙の密度、紙の水分、さらには紙の製造方法等の多くの因子が複雑に関与して発現するものと考えられている。
紙の柔らかさや手触り感を改善する方法として、グリセリン、脂肪酸エステル類、パラフィン乳化物、第4級アンモニウム塩等を添加する方法が用いられている。
例えば、特許文献3には、紙料への定着能を有し優れた柔軟効果を有することを課題とする、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを含有する柔軟剤が開示されている。この文献では、非イオン性界面活性剤としてアルコールのアルキレンオキサイド付加物が、カチオン性界面活性剤として、アルキルトリメチルアンモニウム塩が用いられている。また、特許文献4には、滑らかさとしっとり感を向上させることを課題とする、特定の繊維素材に、界面活性剤と多価アルコール類を含有させてなる繊維ウェブが開示されている。
しかしながら、上記先行技術は、衛生用紙における裏抜け防止と紙の優れた柔らかさや手触り感の改善との両者を達成したものではない。
1.下記一般式(A)で表される第4級アンモニウム塩(A)と、
炭素数14〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコール(B)と、
サイズ剤(C)と
を構成成分として含むことを特徴とする衛生用紙。
(式中、R1は、炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基又はR3−O−R4−を示し、R2は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示し、それぞれ異なっていても良い。R3は炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、R4は炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基を示す。X-は陰イオンを示す。)
特許文献2は第4級アンモニウム塩又はサイズ剤をパルプに添加して用紙の裏抜けを防止または低減したものであるが、本発明者らは、これら両者を添加することで、衛生用紙における裏抜け防止または低減と紙の優れた柔らかさや手触り感の改善との両者を同時に達成できることを知見したものである。
しかも、本発明に従って、脂肪族アルコールを併用することで、前記の効果がより一層顕著に発現することを知見したものである。なお、理由が必ずしも明確ではないが、消臭機能も発現することも知見している。
昇華物質は、衛生用紙の使用時に臭覚に作用して清涼感を与える。この清涼感は、消臭機能とも関係するものと思われる。
(式中、R1は、炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基又はR3−O−R4−を示し、R2は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示し、それぞれ異なっていても良い。R3は炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、R4は炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基を示す。X-は陰イオンを示す。)
上記一般式(A)において、R1としては、炭素数6〜24であり、12〜24が好ましく、16〜22がより好ましく、20〜22がさらに好ましい。また、R1は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基又はR3−O−R4−であり、R1、R3は直鎖が好ましく、またアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基が特に好ましい。R2は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、それぞれ異なっていても良い。R2は直鎖のアルキル基が好ましい。R4は炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基であり、炭素数2〜4が好ましい。
成分(B)の脂肪族アルコールとしては、炭素数14〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールであり、炭素数16〜24が好ましく、18〜22がより好ましい。また、成分(B)が有する基は直鎖が好ましく、アルキル基が好ましい。好ましくは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、べヘニルアルコールが挙げられ、また、セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物であるセトステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールの混合物が挙げられる。特に、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。
成分(A)と成分(B)の合計の柔軟剤全体中の含有量は、好ましくは0.01〜50重量%、さらに好ましくは0.2〜40重量%、特に好ましくは0.5〜30重量%であるのが、柔軟剤の添加操作等のハンドリング性の観点から好ましい。
成分(E)の多価アルコールとしては、グリセリン類やグリコール類が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエルスリトールなどが挙げられる。これらの中でもグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
成分(E)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、重量比((E)/〔(A)十(B)〕)で好ましくは1/10〜5/1、より好ましくは1/4〜4/1、さらに好ましくは1/3〜2/1であるのが、紙の柔らかさと手触り感の観点から好ましい。
成分(F)の糖類として、単糖類、二糖類及び多糖類が挙げられ、具体的には、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解などが挙げられる。これらの中でも単糖類が好ましく、特にソルビトールが好ましい。
成分(F)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、重量比((F)/〔(A)+(B)〕)で好ましくは1/10〜5/1、より好ましくは1/4〜4/1、さらに好ましくは1/3〜2/1であるのが、紙の柔らかさと手触り感の観点から好ましい。
表1〜4に示す組成の配合成分をビーカーに入れ、撹拌乳化することにより、添加剤を製造した。各添加剤のpH(25℃)は6〜8であった。さらに、広葉樹晒クラフトパルプを抄造し、得られた坪量13g/m2の衛生用紙の原紙に対し、乾燥パルプ100重量部に対して各表に示す重量部(有効分換算)となる量の各添加剤を塗布した。成分Cについては、抄造時に内添した。前記塗布方法は、各添加剤をイオン交換水にて2倍希釈した水分散液を原紙表面にスプレー塗布した。その後、紙常温条件下で1日乾燥させ被試験紙とした。
(柔らかさ及び手触り感)
被試験紙を5枚片手で握り、紙の柔らかさと手触り感について、10名の専門パネラーにより下記の5段階評価基準にしたがって評価した。
*柔らかさ、手触り感の評価基準
4:良い
3:やや良い
2:どちらとも言えない
1:劣る
10名の評価の平均点を小数点一桁で求め、3.6以上を◎、2.6〜3.5を○、1.6〜2.5を△、1.5以下を×として評価した。結果を表1、2に示す。
水浸透度を測定した。水浸透度試験は、シートを10枚重ねて1.3mlの水を滴下し、水分のすべてが浸透したのを目視により確認した後、その浸透枚数を数えて得た数値とした。水浸透度が、シート3〜6枚の範囲内であると、吸水性能と裏抜け防止効果とがバランスし使用感が良好であり、評価は「○」とする。水浸透度が6枚を超えると本発明が所望する裏抜け低減効果が得られず、一方、3枚を下回ると、吸水性が悪くなるため、評価は「×」とする。
消臭性の評価は、実施例および比較例のものをそれぞれ、臭気サンプル(一般に臭いが強いと言われている食品「くさや」を使用)と一緒に密閉容器内に60分間放置し、その後、実施例および比較例のものをそれぞれ、臭気サンプルをそれぞれ取り出して、容器内の臭いを30人の被験者が評価(官能評価)。臭いがないと感じた場合を「○」とし、臭いがあると感じた場合を「×」とする評価とした。
*塩化セチルトリメチルアンモニウム 「コータミン 60W」(花王(株)製、有効分30重量%)を有効分が表中の数値となるように用いた。
*ステアリルアルコール 「カルコール 8098」(花王(株)製)
*セトステアリルアルコール 「カルコール 6850」(花王(株)製)
*セチルアルコール 「カルコール 6098」(花王(株)製)
*グリセリン 「日本薬局方濃グリセリン」(花王(株)製)
*ソルビトール 「ソルビトール花王」(花王(株)製、有効分70重量%)を有効分が表中の数値となるように用いた。
実施例1に用いた添加剤の塗布量を変えて、実施例1と同様の方法で被試験紙を製造し、紙の柔らかさと手触り感について実施例1等と同様に評価した。結果を表3に示す。なお、表3には、参照のため実施例1の結果も併記した。
下記組成の添加剤〔pH(25℃)5〕を実施例1と同様の方法で製造した。
(重量%)
塩化べヘニルトリメチルアンモニウム 6.3
塩化セチルトリメチルアンモニウム 13.3
セトステアリルアルコール 7.7
アルキルケテンダイマー(AKD) 0.03
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
安息香酸ナトリウム 0.5
クエン酸(50%) 適量
水 残部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0
下記組成の柔軟剤〔pH(25℃)5〕を実施例1と同様の方法で製造した。
(重量%)
塩化べヘニルトリメチルアンモニウム 6.3
塩化セチルトリメチルアンモニウム 13.3
セトステアリルアルコール 7.7
アルキルケテンダイマー(AKD) 0.03
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.0
グリセリン 25.0
安息香酸ナトリウム 0.5
クエン酸(50%) 適量
水 残部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0
Claims (5)
- 下記一般式(A)で表される第4級アンモニウム塩(A)と、
炭素数14〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコール(B)と、
サイズ剤(C)と
を構成成分として含むことを特徴とする衛生用紙。
(式中、R1は、炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基又はR3−O−R4−を示し、R2は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示し、それぞれ異なっていても良い。R3は炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、R4は炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基を示す。X-は陰イオンを示す。) - さらに、成分(D)として昇華物質を含む請求項1記載の衛生用紙。
- 前記昇華物質が、メントール、カンファー及びシクロヘキサノールの群から選ばれたものである請求項2記載の衛生用紙。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分を、プライパートの工程において、プライ間に介在させる形態で外添する衛生用紙の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分を、衛生用紙搬送手段としてのロール状部材を備えた抄紙工程において、少なくとも1つの前記ロール状部材表面から前記添加成分を滲出させて衛生用紙に含有せしめて外添する衛生用紙の製造方法。
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