JP2008084498A - 磁気ディスクの評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 磁気ディスクの信号対ノイズ比を評価することで、高記録密度化に対応可能な磁気ディスクを迅速かつ確実に抽出することが可能となる。
【解決手段】 本発明における磁気ディスクの評価方法は、該磁気ディスクに特定周波数の試験信号を記録させる信号記録工程(S100)と、オントラック位置を探索するオントラック探索工程(S102)と、オントラック位置における記録された信号の信号対ノイズ比を測定するオントラック測定工程(S104)と、変位位置に再生ヘッドを移動させる変位位置移動工程(S106)と、変位位置における記録された信号の信号対ノイズ比を測定する変位位置測定工程(S108)と、測定した2つの信号対ノイズ比の相対比を導出する相対比導出工程(S110)と、相対比が所定範囲内であるかどうかを判断する判断工程(S112)と、を含む。
【選択図】 図5
【解決手段】 本発明における磁気ディスクの評価方法は、該磁気ディスクに特定周波数の試験信号を記録させる信号記録工程(S100)と、オントラック位置を探索するオントラック探索工程(S102)と、オントラック位置における記録された信号の信号対ノイズ比を測定するオントラック測定工程(S104)と、変位位置に再生ヘッドを移動させる変位位置移動工程(S106)と、変位位置における記録された信号の信号対ノイズ比を測定する変位位置測定工程(S108)と、測定した2つの信号対ノイズ比の相対比を導出する相対比導出工程(S110)と、相対比が所定範囲内であるかどうかを判断する判断工程(S112)と、を含む。
【選択図】 図5
Description
本発明は、円盤状に形成された磁気ディスクの信号対ノイズ比を評価する磁気ディスクの評価方法に関する。
近年、情報化技術の高度化に伴い、情報記録技術、特に磁気記録技術は著しく進歩している。このような磁気記録媒体のひとつであるハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスク用基板としては、アルミニウム基板が広く用いられてきた。しかし、磁気ディスクの小型化、薄板化、および高記録密度化に伴い、アルミニウム基板に比べ基板表面の平坦性および基板強度に優れたガラス基板の需要が高まってきている。
最近では、記録密度をより一層向上させるために、磁気ディスク平面に対して垂直方向に記録層を磁化する垂直磁気記録方式も採用されつつある。このような状況下で磁気ディスクの記録密度をさらに高めるために、円周方向の線記録密度(BPI:Bit Per Inch)と、半径方向のトラック記録密度(TPI:Track Per Inch)のいずれも改善しなくてはならない。
ところで、このような磁気ディスクに信号を記録/再生する磁気記録再生ヘッドは、従来、図10に示すように1つのリングヘッド10にコイル12を巻回して記録/再生機能を併用していたが、磁気記録技術の高密度化に伴い記録と再生を別体のヘッドで行うようになってきた。これは、リングヘッド10のみの構造では、高記録密度化により減少した信号出力を確実に受信することができないからである。従って、近日では、図11に示すように、単磁極ヘッドやトレーリングシールドヘッド等の記録ヘッド20と、大型磁気抵抗型(GMR)ヘッドやトンネル磁気抵抗効果型(TuMR)ヘッド等の再生ヘッド22とが分離して配されている。
このように分離した記録ヘッド20と再生ヘッド22とはスライダーにおいて直線上に配置されるが、記録や再生を行うトラックは磁気ディスクに沿って円周状に形成されているため、同トラック上に記録ヘッド20と再生ヘッド22を配置するためには、再生ヘッド22が記録ヘッド20に対して半径方向内周側に、例えば最大160nm程度オフセットする必要がある。
図12を参照すると、スライダー24において、サスペンション26の長手方向延長直線上に載置された記録ヘッド20と再生ヘッド22は、オフセット移動がなされていない状態で、それぞれ磁気ディスク28上の別のトラック30,32上に存在する。従って、記録ヘッド20によってトラック30に記録された信号を再生するため、再生ヘッド22は、所定量40のオフセットを伴ってトラック32からトラック30に移動しなくてはならない。
上記再生ヘッド22のオフセットの値は、実際の信号の記録/再生を通じて求められる。例えば、磁気ディスクを回転させ、記録ヘッド20から所定のオントラック位置に信号を記録し、次に、再生ヘッドを移動させ記録された信号の再生出力が最大となる位置を探索する。この探索のための再生ヘッド22の移動量がそのままオフセットの値となる。このオフセットは磁気ディスク装置内に記憶され、次回の再生時には記憶されたオフセット分だけ予め再生ヘッドを移動することで記録した信号が正確に再生される。
しかし、出力信号が最大となる位置の探索誤差や、磁気ディスク装置の温度変化および経時によるオフセットのドリフト等によって、設定されたオフセットと実際のオフセットとの間にずれが生じる場合がある。記録密度が小さかった従来の磁気ディスクでは、トラック間隔が広く半径方向の記録可能幅も広かったため、このようなオフセットの多少の誤差は許容されていた。
しかし、近日における高記録密度の磁気ディスクでは、このようなオフセット誤差の影響も無視できない。例えば、記録可能幅が短い磁気ディスクでは、オフセット誤差によって記録領域(記録可能幅)以外の位置に記録されてしまい、信号がノイズに埋もれて再生ヘッドが信号を識別できないといったことが起こりうる。従って、トラック記録密度を高くする一方で半径方向の記録可能幅を最大限確保する必要も生じてきた。
このような磁気ディスクの記録可能幅を推定するため、オントラックの両脇に意図的にオントラックとは別のオフトラック信号を記録し、オフトラックの信号からオントラックの信号を識別できる限界位置を検出し、この限界位置をオフトラックマージンとして導出する技術が知られている(特許文献1)。
特開平6−84149号公報
しかし、上述したオフトラックマージンを導出する技術は、トラックに隣接する領域に意図的に記録されたオフトラック信号との境界線を導出しているに過ぎず、隣接するトラックからのノイズ(漏れ磁場)の影響を測定することはできない。
上述したように垂直磁気記録方式も採用されつつある近日の磁気ディスクでは、隣接するトラックからのノイズが半径方向の記録可能幅に大きく影響する。従って、高記録密度化に対応可能な磁気ディスクを得るためには、生成された磁気ディスクからノイズ成分の影響が少ない磁気ディスクを選別しなくてはならない。このような高品質な磁気ディスクを製造工程の早期の段階で見極めるために、記録領域に影響するノイズの、本信号に対するレベルを評価する必要がでてくる。
本願発明者らは、上記問題について鋭意検討した結果、オントラック位置より離隔した位置における信号対ノイズ比(SNR)を評価することで、高記録密度化に耐えうる磁気ディスクを迅速に選別できることを見出し、従来では測り得なかった磁気ディスクの記録特性を容易に抽出することに成功して、本発明を完成するに至った。
本発明は、従来の評価方法が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、2以上の点で磁気ディスクの信号対ノイズ比を測定し、その相対比を評価することで、高記録密度化に対応可能な磁気ディスクを迅速かつ確実に抽出することが可能な、新規かつ改良された磁気ディスクの評価方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、円盤状に形成された磁気ディスクの信号対ノイズ比を評価する磁気ディスクの評価方法であって、磁気ディスクを回転させ、記録ヘッドを該磁気ディスクの半径方向に移動し、任意の位置で該磁気ディスクに特定周波数の試験信号を記録させる信号記録工程と、再生ヘッドを磁気ディスクの半径方向に移動させつつ、記録された信号の再生出力が最大となる位置であるオントラック位置を探索するオントラック探索工程と、再生ヘッドを用いて、オントラック位置における記録された信号の信号対ノイズ比を測定するオントラック測定工程と、オントラック位置から磁気ディスクの半径方向に所定距離変位した変位位置に再生ヘッドを移動させる変位位置移動工程と、変位位置における記録された信号の信号対ノイズ比を測定する変位位置測定工程と、オントラック測定工程で測定された信号対ノイズ比と、変位位置測定工程で測定された信号対ノイズ比との相対比を導出する相対比導出工程と、相対比が所定範囲内であるかどうかを判断する判断工程と、を含むことを特徴とする、磁気ディスクの評価方法が提供される。
本発明は、まず、再生出力が最大となるオントラック位置で信号対ノイズ比を測定し、続いて、変位位置で信号対ノイズ比を測定し、その相対比が所定範囲内に入っているかどうか、即ち、オントラック位置での信号対ノイズ比に対する、変位位置での信号対ノイズ比の減衰量が小さいかどうかが判断される。かかる評価方法により、変位位置においてもオントラック位置同等の信号対ノイズ比を維持可能な、換言すれば記録にじみを抑制可能な磁気ディスクを迅速かつ確実に抽出することが可能となる。
変位位置移動工程および変位位置測定工程は、変位位置を異にして複数回繰り返され、相対比導出工程は、オントラック測定工程で測定された信号対ノイズ比と、複数回繰り返された変位位置測定工程で測定された信号対ノイズ比との複数の相対比を導出し、判断工程は、導出された全ての相対比が所定範囲内であるかどうかを判断するとしてもよい。
例えば、再生ヘッドを段階的または連続的に移動し、連続した複数の変位位置で信号対ノイズ比を計測することにより、その複数の変位位置に渡って信号対ノイズ比が維持されていることを把握することができ、均一な記録品質で形成された良好な磁気ディスクを短時間で抽出することが可能となる。
変位位置は、磁気ディスクの半径方向における、オントラック位置の再生出力が半減するまでのいずれかの点であるとしてもよい。
オントラック位置における再生出力が半減する、即ち、最大再生出力の50%の再生出力を得られる点は、記録ヘッドの幅方向の境界とほぼ一致する。従って、半減する点までにおいて、ある程度の信号対ノイズ比を維持できるということは、記録ヘッドの半径方向の記録境界においても記録内容が減衰しないことを示す。また、記録ヘッドの半径方向の記録境界まで良好な信号対ノイズ比が必要ない場合、半減するまでの任意の点を選択して、その点における信号対ノイズ比を計測してもよい。その点は、半減する位置までの40%〜100%の位置としてもよい。また、オントラック位置からの距離に応じて信号対ノイズ比が漸減している場合、測定する点は再生出力が半減する点のみとしてもよい。
所定範囲は、−2dB≦相対比≦2dBであるとしてもよい。高記録密度化に対応可能な磁気ディスクを確実に抽出するため、所定範囲を±2dBとするのが好ましい。
信号対ノイズ比はスペクトラムアナライザによるスペクトラム解析によって導き出されるとしてもよい。スペクトラムアナライザを用いることにより、再生出力を信号とノイズに確実に分離することが可能となり、その周波数成分の面積比(信号対ノイズ比)を容易に導き出すことができる。
上述したような評価方法によって抽出された、再生出力が半減する点においても信号対ノイズ比が良好な磁気ディスクは、オフセットの変動を吸収するのみならず、事前に行われる再生ヘッドのオフセットの設定においても、半径方向の記録境界における再生信号が鮮明なのでオフセットを高精度に導出することが可能であり、オフセットの誤差自体も削減される。従って、当該評価方法では、相乗的に記録品質の高い磁気ディスクを抽出できることが理解できる。
以上説明したように本発明によれば、磁気ディスクの信号対ノイズ比を評価することで、高記録密度化に対応可能な磁気ディスクを迅速かつ確実に抽出することができる。また、抽出された磁気ディスクは、高記録密度かつ低エラー率が要求される用途にも適用することが可能である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
上述したように、HDD等の磁気記録媒体用の磁気ディスクは、小型化、薄板化の一途を辿り、最近では、記録密度をより一層向上させるために、膜平面に対して垂直方向に記録膜を磁化する垂直磁気記録方式も採用されつつある。高記録密度化に対応できるように形成された磁気ディスクは、当然、そのような高記録密度化された磁気ディスクに適用可能な優れた評価方法で評価する必要がでてくる。ここでは、本発明の理解を容易にするため、垂直磁気記録方式による磁気ディスク自体を簡単に説明し、その後で、本発明の実施形態における優れた評価方法を説明する。
(磁気ディスク)
図1は、垂直磁気記録方式による磁気ディスク50の構造を示した断面図である。かかる垂直磁気記録方式の磁気ディスク50は、ディスク基体52、付着層54、軟磁性裏打ち層56、下地層58a、下地層58b、磁気記録層60、カップリング制御層62、交換エネルギー制御層(Continuous層)64、保護層66、潤滑層68で構成されている。
図1は、垂直磁気記録方式による磁気ディスク50の構造を示した断面図である。かかる垂直磁気記録方式の磁気ディスク50は、ディスク基体52、付着層54、軟磁性裏打ち層56、下地層58a、下地層58b、磁気記録層60、カップリング制御層62、交換エネルギー制御層(Continuous層)64、保護層66、潤滑層68で構成されている。
まず、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円盤状に成型し、ガラスディスクを作成する。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体52を得る。得られたディスク基体52上に、真空引きを行った成膜装置を用い、Ar雰囲気中でDCマグネトロンスパッタリング法にて、付着層54から交換エネルギー制御層64まで順次成膜を行い、保護層66はCVD法により成膜する。その後、潤滑層68をディップコート法により形成する。以下、各層の構成について説明する。
上記付着層54は、Ti含有材料を用いて形成され、ディスク基体52と軟磁性裏打ち層56との間の付着性を向上させる。上記軟磁性裏打ち層56は、アモルファスCoTaZrで形成され、記録ヘッド主磁極との相互作用により垂直方向に磁界を生じさせる。上記下地層58a、58bは、Ruからなる2層構造となっており、上層側のRuを形成する際に、下層側のRuを形成するときよりもArのガス圧を高くすることで、結晶配向性を改善することができる。
上記磁気記録層60は、磁性粒子を磁気的に孤立させたグラニュラー構造の磁性記録層で形成される。具体的には、非磁性物質の例としてのSiO2を含有するCoCrPtからなる硬磁性体のターゲットを用いて、hcp結晶構造を形成している。磁気記録層60を形成するためのターゲットの組成は、例えば、CoCr10Ptが90(mol%)、SiO2が10(mol%)である(付記数字は原子%)。上記カップリング制御層62は、Pd(パラジウム)層やPt層で形成される。上記交換エネルギー制御層64は、CoBとPdとの交互積層膜からなり、低Arガスで形成される。
上記保護層66は、Arに水素を30%含有させた混合ガス中のプラズマCVD法により、水素化カーボンで形成される。水素化カーボンとすることで膜硬度が向上し、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録層を防護することができる。上記潤滑層68は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜する。
このような垂直磁気記録方式の磁気ディスク50は、記録密度を高くするほど反磁界が減少することから高いTPIおよびBPIを得ることができる。本実施形態では、このように形成された垂直磁気記録方式の磁気ディスク50によって、例えば150kTPI以上の高記録密度を達成することを目的としている。このとき、問題となるのは、磁気ディスク上で記録対象のトラックに対する隣接するトラックからのノイズ(記録にじみ)である。
図2は、記録/再生ヘッドの磁気ディスク50上の軌跡を示した説明図であり、図3は、磁気ディスク半径方向の信号の再生出力を説明するための説明図であり、図4は、磁気ディスク半径方向の信号の再生出力を模式的に示した説明図である。図2に示すように、記録ヘッドは、それぞれ1ビット80の情報を磁気ディスク50のトラックに沿って連続して記録し、再生ヘッドは、記録された信号の望ましくは半径方向中心82に移動して、その信号を再生する。
ここで、記録ヘッドが、磁気ディスクに特定周波数の試験信号を記録した場合、再生ヘッドでは、その特定周波数成分の信号を取得することができる。このことを利用して磁気ディスクのオーバーライト特性を検証するため、ここでは、図3に示すように、任意のトラックに一旦80kfci(Flux Change per Inch)の信号を記録し、その後、400kfciの信号を上書きしている。ここでは、例えば180nmの幅の記録ヘッドが用いられているので、記録信号の幅は約200nmとなる。図3中の滑らかな凸曲線は、80kfciおよび400kfciそれぞれを単独で記録した場合の再生信号の理想値である。
図3の80kfciの残留曲線86を参照すると、上書きされて残っていないはずの80kfciの信号が意外にも残留していることが理解できる。特に、トラックの中心のオーバーライト特性は−44dBであるのに対して、記録信号の端、例えば、図3のオフセット−100nm付近では−27dBとなり、その残留磁気が大きいことが分かる。従って、トラック中心から磁気ディスク半径方向に遠ざかるほど、記録ヘッドからの磁界が減少し、十分なオーバーライト特性を得られないことが理解できる。
図4に示すように、例えば、幅90が180nmの記録ヘッドで記録した記録信号92を、再生ヘッドで再生した場合の再生信号94は、記録信号92の中心96から半径方向に離れるにつれ漸減曲線に沿って減衰する。この減衰は、中心96から離れた位置では記録信号を保持する力が弱いことを表す。ここで、再生信号94の最大値の50%出力地点間をMWW(Magnetic Write Width)と呼ぶ。かかるMWWは記録信号92の幅(約200nm)とほぼ等しくなる。
このように、記録信号92内における再生信号94は、記録信号の中心96から離れるに従って磁気が弱くなる。一方、再生信号94は、記録信号92を超えた位置においても幅広く存在しており、この幅広く存在する再生信号が隣接するトラックのノイズとなっている。トラック間の距離が近接する近日の磁気ディスクでは、このようなノイズが再生信号94の障害となり、記録信号92に対する再生信号94の幅(記録可能幅)を減少させている。
従って、トラック記録密度が向上する一方で半径方向の記録領域を最大限に確保する必要も生じてくるのだが、従来からある評価方法では、隣接するトラックからのノイズ(漏れ磁場)による影響を測定することができない。本願発明者らは、オントラック位置より離隔した位置における信号対ノイズ比(Signal Noise Ratio、以下「SNR」という。)を評価することで、さらなる高記録密度化に耐えうる磁気ディスクを迅速に選別できることを見出した。
(評価方法)
図5は、本実施形態による評価方法の流れを示したフローチャートである。かかる磁気ディスクのSNRを評価する磁気ディスクの評価方法では、先ず、ACイレースによる初期化を行い、磁気ディスク装置として組み立てられた磁気ディスク50を回転させ、記録ヘッドを磁気ディスク50の半径方向に移動し、磁気ディスク上の任意の位置に停止させた後、磁気ディスク50に特定周波数の試験信号を記録させる(S100)。かかる信号記録工程(S100)により、磁気ディスク50の任意のトラックには特定周波数の試験信号が記録される。
図5は、本実施形態による評価方法の流れを示したフローチャートである。かかる磁気ディスクのSNRを評価する磁気ディスクの評価方法では、先ず、ACイレースによる初期化を行い、磁気ディスク装置として組み立てられた磁気ディスク50を回転させ、記録ヘッドを磁気ディスク50の半径方向に移動し、磁気ディスク上の任意の位置に停止させた後、磁気ディスク50に特定周波数の試験信号を記録させる(S100)。かかる信号記録工程(S100)により、磁気ディスク50の任意のトラックには特定周波数の試験信号が記録される。
次に、再生ヘッドを磁気ディスク50の半径方向に移動させつつ、記録ヘッドによって記録された信号の再生出力が最大となる位置(オントラック位置)を探索する(S102)。
図6は、磁気ディスク半径方向の信号の再生出力を模式的に示した説明図である。ここでは、記録ヘッドにより記録された記録信号150に対する再生信号152が示され、再生信号152の最大出力点がオントラック位置154となる。かかるオントラック探索工程(S102)により、記録ヘッドと再生ヘッドのオフセットに拘わらず、記録トラックの中心位置(オントラック位置154)を特定することが可能となる。
続いて、オントラック位置154に再生ヘッド156を位置させたまま、オントラック位置154における再生信号152を再生し、その再生した信号をスペクトラムアナライザ(例えば、電磁変換特性測定装置RH4160E:日立ハイテクノロジー製)を用いてスペクトラム解析し、上記特定周波数の信号とその他のノイズとを分離してSNRを導出する(S104)。かかるオントラック測定工程(S104)において、スペクトラムアナライザを用いることにより、再生出力を信号とノイズに確実に分離することが可能となり、オントラック位置154におけるSNRを容易に導き出すことができる。
そして、再生ヘッドをオントラック位置154から磁気ディスクの半径方向に所定距離変位した変位位置に再生ヘッド156を移動させる(S106)。かかる変位位置としては、図6におけるオントラック位置154から、再生出力がオントラック位置154の50%となる50%出力点160までのいずれかの点を選択することができる。かかる変位位置として、好ましくは、50%出力点160までの40%(MWW20%)〜100%(MWW50%)の位置を選択する。また、オントラック位置からの距離に応じてSNRが漸減している場合、測定する点は再生出力が半減する点のみとしてもよい。かかる変位位置移動工程(S106)により、再生ヘッドを評価対象点である変位位置に移動させることができる。
続いて、変位位置における記録された信号のSNRを測定する(S108)。かかる変位位置測定工程(S108)により、オントラック位置154から離隔した変位位置におけるSNRを求めることができる。
そして、オントラック測定工程(S104)で測定されたSNRと、変位位置測定工程(S108)で測定されたSNRとの相対比を導出する(S110)。かかる相対比導出工程(S110)では、変位位置におけるSNRの減衰量を把握することができる。
最後に、相対比導出工程(S110)で導出された相対比が所定範囲内であるかどうかを判断する(S112)。かかる判断工程(S112)では、変位位置におけるSNRの減衰量が所定の値を超えているか、即ち、記録信号の波形を維持しているかが確認される。このようにSNRが保持されているところは、記録品質が良いことを示す。
図7は、判断工程(S112)の結果を模式的に示した説明図である。かかる図7では、オントラック測定工程(S104)で測定されたSNR200と、変位位置測定工程(S108)で測定されたSNR202とが示され、その値はそれぞれ16dBと14dBとなっている。かかるSNRは対数値で示されているので、その相対比は、単純に両者の差分から導出される。従って、図7の例における相対比は、14dBから16dBを減算した−2dBとなる。かかる−2dBは判断工程(S112)の基準値である±2dB以内に収まっているので、図7の例における磁気ディスクは、均一な記録品質で形成された良好な磁気ディスクであると評価される。かかる磁気ディスクは150kTPI以上の記録密度にも適用することができる。
図8は、このような磁気ディスクのBER(Bit Error Rate)を示した説明図である。かかる図8を参照すると、相対比が±2dB以内になる磁気ディスク250は、±2dB以上になる磁気ディスク252と比べ、BERを十分に抑制可能であることが理解できる。かかるBERは、信号のエラー(誤り)率を測定するもので、本実施形態によるSNRと同様、オントラック位置154からの距離に応じて変化するが、結果としてのエラー率を導出しているに過ぎず、本実施形態のようにその記録品質の指標を信号とノイズとの比に充てたものではないため、ここでは、図8のように、本実施形態の評価方法の適正を表すためにのみ用いている。
図9は、他の磁気ディスクにおける再生出力を模式的に示した説明図である。かかる図9の磁気ディスクは、図6と相異して再生信号300がなだらかな傾斜を伴って推移している。従って、図6の再生信号152とMWWは等しくなるものの、MWW内の再生信号は小さくなる。一方、減衰量がなだらかなため、MWW外の再生信号は図6の再生信号152と比較して多くなり、結果的に、隣接するトラックに対する影響(ノイズ)も大きくなる。
従って、図9に示すような磁気ディスクでは、50%出力点302での再生信号レベルは図6の磁気ディスクと等しくなるが、その50%出力点302におけるノイズレベルが高くなる。すると50%出力点302、即ち変位位置におけるSNRも低くなり、相対比は、±2dBを超えてしまう。このようにして、図9の例における磁気ディスクは、良好な磁気ディスクとは判断されないこととなる。
また、変位位置移動工程(S106)および変位位置測定工程(S108)は、変位位置を異にして複数回繰り返され、相対比導出工程(S110)は、オントラック測定工程(S104)で測定されたSNRと、複数回繰り返された変位位置測定工程(S108)で測定されたSNRとの複数の相対比を導出し、判断工程(S112)は、導出された全ての相対比が所定範囲内であるかどうかを判断するとしてもよい。
例えば、再生ヘッドを段階的または連続的に移動し、連続した複数の変位位置でSNRを計測することにより、その複数の変位位置に渡ってSNRが維持されていることを把握することができ、均一な記録品質で形成された良好な磁気ディスクを短時間で抽出することが可能となる。
以上、説明したように、本実施形態における評価方法では、磁気ディスクの変位位置におけるSNRを測定してオントラック位置154との相対比を導出し、オントラック位置でのSNRに対する、変位位置でのSNRの減衰量が小さいかどうかを判断している。これは、隣接するトラックからのノイズのにじみ具合を見ていることに等しい。このようなノイズのにじみが少ない、即ち、記録時における記録信号の方形波に近い再生信号を形成可能な磁気ディスクは、広い記録可能幅を確保でき、高記録密度化に対応可能である。
本実施形態における評価方法では、このような良好な磁気ディスクを迅速かつ確実に抽出することが可能である。また、上述したような評価方法によって抽出された、再生出力が半減する点においてもSNRが良好な磁気ディスクは、オフセットの変動を吸収するのみならず、事前に行われる再生ヘッドのオフセットの設定においても、半径方向の記録境界における再生信号が鮮明なので、高精度にオフセットを導出することが可能であり、オフセットの誤差自体も削減される。従って、当該評価方法では、相乗的に記録品質の高い磁気ディスクを抽出することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、円盤状に形成された磁気ディスクの信号対ノイズ比を評価する磁気ディスクの評価方法に適用可能である。
92,150 記録信号
94,152、300 再生信号
154 オントラック位置
160、302 50%出力点
S100 信号記録工程
S102 オントラック探索工程
S104 オントラック測定工程
S106 変位位置移動工程
S108 変位位置測定工程
S110 相対比導出工程
S112 判断工程
94,152、300 再生信号
154 オントラック位置
160、302 50%出力点
S100 信号記録工程
S102 オントラック探索工程
S104 オントラック測定工程
S106 変位位置移動工程
S108 変位位置測定工程
S110 相対比導出工程
S112 判断工程
Claims (5)
- 円盤状に形成された磁気ディスクの信号対ノイズ比を評価する磁気ディスクの評価方法であって、
前記磁気ディスクを回転させ、記録ヘッドを該磁気ディスクの半径方向に移動し、任意の位置で該磁気ディスクに特定周波数の試験信号を記録させる信号記録工程と、
再生ヘッドを前記磁気ディスクの半径方向に移動させつつ、前記記録された信号の再生出力が最大となる位置であるオントラック位置を探索するオントラック探索工程と、
前記再生ヘッドを用いて、前記オントラック位置における前記記録された信号の信号対ノイズ比を測定するオントラック測定工程と、
前記オントラック位置から前記磁気ディスクの半径方向に所定距離変位した変位位置に前記再生ヘッドを移動させる変位位置移動工程と、
前記変位位置における前記記録された信号の信号対ノイズ比を測定する変位位置測定工程と、
前記オントラック測定工程で測定された信号対ノイズ比と、前記変位位置測定工程で測定された信号対ノイズ比との相対比を導出する相対比導出工程と、
前記相対比が所定範囲内であるかどうかを判断する判断工程と、
を含むことを特徴とする、磁気ディスクの評価方法。 - 前記変位位置移動工程および変位位置測定工程は、前記変位位置を異にして複数回繰り返され、
前記相対比導出工程は、前記オントラック測定工程で測定された信号対ノイズ比と、前記複数回繰り返された変位位置測定工程で測定された信号対ノイズ比との複数の相対比を導出し、
前記判断工程は、前記導出された全ての相対比が所定範囲内であるかどうかを判断することを特徴とする、請求項1に記載の磁気ディスクの評価方法。 - 前記変位位置は、前記磁気ディスクの半径方向における、前記オントラック位置の再生出力が半減するまでのいずれかの点であることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁気ディスクの評価方法。
- 前記所定範囲は、−2dB≦相対比≦2dBであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気ディスクの評価方法。
- 前記信号対ノイズ比はスペクトラムアナライザによるスペクトラム解析によって導き出されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気ディスクの評価方法。
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