以下、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。前面板20はガラス製の前面基板21を有する。前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
背面板30はガラス製の背面基板31を有する。背面基板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面板20と背面板30とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示され、パネル10は、画像表示を行う画像表示領域とそれ以外の非表示領域とに分けられる。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
図2は、パネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に延長されたn本(本実施の形態においては、n=1080)の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に延長されたm本(本実施の形態においては、m=5760)のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。なお、図1、図2に示したように、走査電極SCiと維持電極SUiとは互いに平行に対をなして形成されているために、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間に大きな電極間容量Cpが存在する。
図3は、パネル10の維持電極の端部を拡大して示す図である。維持電極23は、パネル10の非表示領域まで引き出されて形成された引き出し部を有する。維持電極23は、全ての維持電極23に対し共通して同じ駆動電圧を印加するため、全ての維持電極23に共通して接続された短絡用配線27を形成し、その短絡用配線27に複数の引き出し電極28を設けることで維持電極23の引き出し部を形成している。
図4は、パネル10の電極引き出し部にFPCを接続した様子を示す概略図である。FPC539は、柔軟性を有するプリント配線基板からなっており、一方の端部には走査電極22の引き出し電極の配置間隔にもとづいた間隔および配線幅に形成された電極端子が配列され、他方の端部にはFPC539が接続されるコネクタに設けられた電極の配置間隔にもとづいた間隔および配線幅に形成された電極端子が配列されている。なお、ここには図示していないが、データ電極32用のFPC529も、このFPC539とほぼ同様の構成である。
維持電極用FPC549は、FPC539と同様に柔軟性を有するプリント配線基板からなっており、大電流を流すことができるように、幅の広い金属箔を柔軟な樹脂基板上にプリントして形成した配線を有する。維持電極用FPC549の一方の端部には引き出し電極28の配置間隔にもとづいた間隔および配線幅に形成された電極端子が配列され、維持電極用FPC549の他方の端部には、維持電極用FPC549が接続されるコネクタに設けられた電極の配置間隔にもとづいた間隔および配線幅に形成された電極端子が配列されている。
図5は、プラズマディスプレイ装置の回路ブロックの一例を示す図である。図5において、プラズマディスプレイ装置は、パネル10と、画像信号処理回路51と、データ電極駆動回路52と、走査電極駆動回路53と、維持電極駆動回路54と、タイミング発生回路55と、接続不良検知回路500と、各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)とを備えている。
前述した画像信号処理回路51は、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。前述したデータ電極駆動回路52はサブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dmを駆動する。前述したタイミング発生回路55は水平同期信号H、垂直同期信号Vをもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。前述した走査電極駆動回路53は、タイミング信号にもとづき、維持期間においては維持パルスを発生させ、初期化期間においては傾斜波形電圧を発生させ、書込み期間においては走査パルスを発生させて各走査電極SC1〜SCnをそれぞれ駆動する。前述した維持電極駆動回路54は、維持期間において維持パルスを発生するための維持パルス発生部200を有し、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnを駆動する。
また、前述した接続不良検知回路500は、後述する中継用プリント基板上に設けられ、維持電極駆動回路54から出力される駆動電圧を検出して、維持電極駆動回路54を搭載したプリント基板と中継用プリント基板との間に電気的な接続不良がないかどうかを検知する。詳細については後述するが、本実施の形態では、この接続不良検知回路500を中継用プリント基板上に搭載することで、維持電極駆動回路54を搭載したプリント基板と中継用プリント基板との間に電気的な接続不良が発生したとき、そのことを速やかにかつ視認性を高めて検知することができるようにしている。
次に、維持電極駆動回路54の詳細について説明する。
図6は、維持電極駆動回路54の詳細を示す回路図である。維持パルス発生部200は、電力回収部210とクランプ部220とを備え、電力回収部210は、電力回収用のコンデンサC200と、スイッチング素子Q211、Q212と、逆流防止用のダイオードD201、D202と、共振用のインダクタL200とを有し、クランプ部220は、スイッチング素子Q221、Q222を有する。
また、図6に示すように、維持電極駆動回路54は、電圧Ve1を維持電極SU1〜SUnに印加するためのスイッチング素子Q231、Q232と、逆流防止用のダイオードD231と、電圧Ve1に電圧ΔVeを積み上げた電圧Ve2を維持電極SU1〜SUnに印加するためのスイッチング素子Q241、Q242と、充電用のコンデンサC241とを備えている。
なお、維持電極SU1〜SUnに関しては、後述するように全ての維持電極SU1〜SUnに対し共通して同じ駆動電圧を印加することができるため、維持電極駆動回路54は維持電極SU1〜SUnを個別に駆動するための回路等を備えておらず、全ての維持電極SU1〜SUnが電気的に共通して維持電極駆動回路54に接続される。
なお、接続不良検知回路500の詳細については後述する。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、パネル10を駆動する方法としてサブフィールド法を用いている。これは、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドで各放電セルの発光、非発光を制御することにより階調表示を行う方法である。そして、サブフィールドのそれぞれは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
初期化期間では放電セルで初期化放電を行い、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成する。書込み期間では、走査電極SC1〜SCnに順次走査パルスを印加するとともにデータ電極D1〜Dmには表示すべき画像信号に対応した書込みパルスを印加して書込み放電を行い、選択的な壁電荷形成を行う。続く維持期間では発光させるべき表示輝度に応じた所定の回数の維持パルスを走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間に印加し、書込み放電による壁電荷形成を行った放電セルを選択的に放電、発光させる。
図7は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の駆動電圧波形図である。図7には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち第1のサブフィールド(第1SF)および第2のサブフィールド(第2SF)の駆動電圧波形を示しているが、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形もほぼ同様である。
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜Dmおよび維持電極SU1〜SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。この傾斜波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上部および維持電極SU1〜SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上部の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnに、図6に示したダイオードD231およびスイッチング素子Q231、Q232を介して正の電圧Ve1を印加する。このとき、維持電極駆動回路54からは、維持電極用FPC549および短絡用配線27を介して全ての維持電極SU1〜SUnに対し共通して電圧Ve1が印加される。なお、このときスイッチング素子Q242はオンにし、コンデンサC241の電圧が電圧Ve1になるようにコンデンサC241に充電しておく。走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
以上により、初期化動作が終了する。なお、初期化期間の駆動電圧波形としては、図7の第2SFの初期化期間に示したように、初期化期間後半部の電圧波形だけを印加してもよく、この場合には直前のサブフィールドの維持期間において維持放電を行った放電セルで選択的に初期化放電が発生する。
続く書込み期間では、走査電極SC1〜SCnに電圧Vcを印加する。このとき、維持電極駆動回路54においては、スイッチング素子Q231、Q232はオンにしたまま、スイッチング素子Q242を遮断(以下、「オフ」と記す)するとともにスイッチング素子Q241をオンさせてコンデンサC241の電圧に電圧ΔVeを重畳する。これにより、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve1+ΔVe、すなわち電圧Ve2を印加する。また、逆流防止用のダイオードD231の働きにより、コンデンサC241から電圧源Ve1への電流は遮断される。このとき、維持電極駆動回路54からは、各維持電極用FPC549および短絡用配線27を介して全ての維持電極SU1〜SUnに対し共通して電圧Ve2が印加される。
次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加する。そして、データ電極D1〜Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。するとデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。このようにして、1行目の書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、まず、維持電極駆動回路54のスイッチング素子Q212をオンにする。すると維持電極SU1〜SUn側の電荷は、短絡用配線27および各維持電極用FPC549と、インダクタL200とダイオードD202とスイッチング素子Q212とを通してコンデンサC200に流れ始め、維持電極SU1〜SUnの電圧が下がり始める。そして、維持電極SU1〜SUnの電圧が0(V)付近まで低下したときスイッチング素子Q222をオンにする。すると維持電極SU1〜SUnはスイッチング素子Q222を通して0(V)にクランプされる。
さらに、走査電極駆動回路53を動作させて走査電極SC1〜SCnの電圧を電圧Vsまで立ち上げる。
このようにして、維持電極SU1〜SUnに0(V)を印加するとともに走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差は、維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。
そしてこの放電により、走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極駆動回路53を動作させて走査電極SC1〜SCnの電圧を0(V)まで立ち下げる。
さらに、維持電極駆動回路54のスイッチング素子Q211をオンにする。すると電力回収用のコンデンサC200から、スイッチング素子Q211とダイオードD201とインダクタL200と、各維持電極用FPC549および短絡用配線27とを介して維持電極SU1〜SUnに電流が流れ始め、維持電極SU1〜SUnの電圧が上がり始める。そして、維持電極SU1〜SUnの電圧がVs付近まで上昇したときスイッチング素子Q221をオンにする。すると維持電極SU1〜SUnはスイッチング素子Q221を通して平滑コンデンサC250の電圧Vsにクランプされる。
このようにして、走査電極SC1〜SCnに0(V)を印加するとともに維持電極SU1〜SUnに正の維持パルス電圧Vsを印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに応じた数の維持パルスを印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
このとき、各放電セルで維持放電を安定して発生させるためには、通常百数十(V)以上の振幅で立上り時間が1μsec以下の急峻な形状を持つ維持パルスを表示電極対24に印加する必要がある。このため、パネルには瞬間的に大きな電流が流れるが、この電流は表示画面の面積に比例して増大していく。例えば、全ての放電セルのうちの大部分で維持放電が発生するような場合、表示画面サイズが50インチのパネルであれば200(A)を超える大きな電流が瞬間的に流れるが、本実施の形態における表示画面サイズが103インチのパネル10では、その約4倍の800(A)を超える非常に大きな電流が瞬間的に流れる。
そして、維持期間の最後には、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間にいわゆる細幅パルス状の電位差を与えて、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧を減らしている。
こうして維持期間における維持動作が終了する。なお、維持電極駆動回路54は、前述したように、各維持電極用FPC549および短絡用配線27を介して全ての維持電極SU1〜SUnに対して同時に維持パルス電圧を印加することで、全ての維持電極SU1〜SUnを共通に駆動している。
続くサブフィールドの動作は第1SFの動作とほぼ同様であるため説明を省略する。
図8は、各電極駆動回路を搭載したプリント基板の配置の一例を示す図である。また、図9は、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との接続の様子を示す概略図であり、図10は、維持電極駆動回路54から出力される駆動電圧の供給の様子を示す概略図である。なお、図8には、プラズマディスプレイ装置1のバックカバーを外した状態を概略的に示しており、各電極駆動回路を搭載したプリント基板群とその配置を模式的に示している。
本実施の形態においては、図8に示すように、データ電極駆動回路52を、12枚の書込みパルス発生用プリント基板521に搭載した構成としている。また、走査電極駆動回路53は、3枚の走査電極駆動用プリント基板531に分割して搭載した構成としている。
また、維持電極SU1〜SUnは3枚のプリント基板を用いて駆動するように構成している。すなわち、主基板である維持パルス発生用プリント基板541には維持電極駆動回路54を搭載し、中継基板である2枚の中継用プリント基板542には、維持電極駆動回路54と短絡用配線27とを電気的に中継するための導線を形成している。そして、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542とを電気的に接続することで、維持電極駆動回路54からの出力を中継用プリント基板542を介して短絡用配線27に印加することができるように構成している。
このように、本実施の形態においては、プリント基板群は、12枚の書込みパルス発生用プリント基板521と、3枚の走査電極駆動用プリント基板531と、維持パルス発生用プリント基板541および2枚の中継用プリント基板542とを有するが、これは、単なる一例に過ぎず、プリント基板の枚数や各プリント基板に搭載する駆動回路の構成等は、プラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて最適な構成にすることが望ましい。
また、各プリント基板にはそれぞれ複数のコネクタを搭載している。書込みパルス発生用プリント基板521には、前述したFPC529を接続するためのコネクタ524をそれぞれ搭載しており、データ電極駆動回路52から出力される駆動電圧は、コネクタ524およびコネクタ524に接続されたFPC529を介して、各データ電極D1〜Dmに印加される。走査電極駆動用プリント基板531には、走査電極駆動用プリント基板531同士を互いに電気的に接続するためのコネクタ533と、前述したFPC539を接続するためのコネクタ534とを搭載しており、走査電極駆動回路53から出力される駆動電圧は、コネクタ534およびコネクタ534に接続されたFPC539を介して、各走査電極SC1〜SCnに印加される。
維持パルス発生用プリント基板541および中継用プリント基板542には、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542とを電気的に接続するためのコネクタであるブリッジコネクタ543と、短絡用配線27に接続された前述の維持電極用FPC549を接続するためのコネクタ544とを搭載している。そして、図9にも示すように、維持パルス発生用プリント基板541と2枚の中継用プリント基板542とは、大電流を流すことが可能なケーブルであるブリッジケーブル545によってブリッジコネクタ543同士を接続することで、電気的に接続することができる。
また、図10に破線で示すように、維持電極駆動回路54から出力される駆動電圧は、ブリッジコネクタ543およびブリッジコネクタ543に接続されたブリッジケーブル545を介して中継用プリント基板542に供給されるとともに、コネクタ544およびコネクタ544に接続された維持電極用FPC549を介して短絡用配線27に印加され、全ての維持電極SU1〜SUnに印加される。なお、本実施の形態では、維持パルス発生用プリント基板541および中継用プリント基板542にコネクタ544をそれぞれ4つずつ搭載し、ブリッジコネクタ543を1つずつ搭載した例を示したが、これは、単なる一例に過ぎず、プラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて最適な構成にすればよい。
ここで、維持期間においては、前述した維持放電にともない、維持放電を起こした放電セルの数に応じた放電電流が流れる。そして、この電流は表示画面の面積に比例して増大し、本実施の形態における表示画面サイズが103インチのパネル10では、表示画面サイズが50インチのパネルの約4倍の電流が流れる。例えば、全ての放電セルのうちの大部分で維持放電が発生するような場合、800(A)を超える非常に大きな電流が瞬間的に流れることもある。
このように、本実施の形態におけるパネル10では、維持期間においてこれまでとは比較にならないほどの大電流が発生するため、全てのFPCが対応するコネクタに確実に接続されていることが重要である。
特に、ブリッジコネクタ543とブリッジケーブル545との間に接続不良が生じて、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間に電気的な接続不良が発生すると、中継用プリント基板542およびその中継用プリント基板542に接続された維持電極用FPC549を介して短絡用配線27に供給されるはずの電流が、正常に接続されている維持電極用FPC549を介して流れるようになる。この場合、正常に接続されている維持電極用FPC549を流れる電流は約1.5倍となり、そのFPCやそのFPCの周辺に過大な負荷がかかることになるため、接続不良を生じたブリッジコネクタ543とブリッジケーブル545とを正しく接続しなおす等の対応を早急に行う必要がある。すなわち、本実施の形態におけるパネル10のような巨大な表示画面サイズのパネルを用いてプラズマディスプレイ装置を構成する場合には、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間に電気的な接続不良が生じた場合に直ちにそのことを検知できるように構成しておくことが重要である。
そこで、本実施の形態においては、2枚の中継用プリント基板542のそれぞれに、前述した接続不良検知回路500を搭載した構成とする。これにより、例えばブリッジコネクタ543からブリッジケーブル545が外れる等して、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間に電気的な接続不良が発生したときに、それを直ちに検知することが可能となる。次に、この構成について説明する。
図11は、接続不良検知回路500の回路図である。また、図11には、維持電極駆動回路54と接続不良検知回路500との接続の概略を合わせて示している。
図11に示すように、維持パルス発生用プリント基板541において、維持電極駆動回路54の出力部は、維持電極用FPC549を接続するために維持パルス発生用プリント基板541に設けられた全てのコネクタ544および維持パルス発生用プリント基板541に設けられたブリッジコネクタ543に接続されている。また、中継用プリント基板542において、中継用プリント基板542に設けられたブリッジコネクタ543の電極端子は、その1つが接続不良検知回路500に接続され、残りの電極端子は維持電極用FPC549を接続するために中継用プリント基板542に搭載された全てのコネクタ544に接続されている。ブリッジコネクタ543には、大電流を流すことが可能なブリッジケーブル545に接続可能なものが用いられており、維持パルス発生用プリント基板541に設けられたブリッジコネクタ543と中継用プリント基板542に設けられたブリッジコネクタ543とにブリッジケーブル545を接続することで、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542とを、電気的に接続することができる。
すなわち、維持電極駆動回路54から出力される駆動電圧は、維持パルス発生用プリント基板541に設けられたコネクタ544およびコネクタ544に接続された維持電極用FPC549を介して短絡用配線27に印加されるとともに、維持パルス発生用プリント基板541に設けられたブリッジコネクタ543と、ブリッジケーブル545と、中継用プリント基板542に設けられたブリッジコネクタ543とを介して、中継用プリント基板542に設けられたコネクタ544およびコネクタ544に接続された維持電極用FPC549から短絡用配線27に印加され、同時に接続不良検知回路500にも入力される。
接続不良検知回路500は、ブリッジコネクタ543の電極端子の1つにアノードを接続した逆流防止用のダイオードD10と、ダイオードD10に直列に接続した電流制限用の抵抗R10と、アノードを抵抗R10に接続しカソードを接地した発光ダイオードLED10と、一方を抵抗R10に接続し他方を接地して発光ダイオードLED10に並列に接続した平滑化コンデンサC10と、発光ダイオードLED10に並列に接続した抵抗R11と、カソードを抵抗R10に接続しアノードを接地して発光ダイオードLED10に並列に接続した逆流防止用のダイオードD11とを有する。この構成において、逆流防止用のダイオードD10は、維持電極駆動回路54側へ電流が逆流するのを防止し、電流制限用の抵抗R10は、入力される駆動電圧を抵抗R11と合わせて抵抗分割するとともに発光ダイオードLED10に流れる電流を制限し、平滑化コンデンサC10は、駆動電圧を平滑化しかつその電圧を充電して発光ダイオードLED10に供給し、逆流防止用のダイオードD11は、発光ダイオードLED10に逆向きの電流が流れるのを防止する。そして、発光ダイオードLED10を、維持電極駆動回路54から出力される駆動電圧を利用して発光させる。
したがって、このような構成の接続不良検知回路500においては、ブリッジコネクタ543とブリッジケーブル545とが正しく接続されていれば、維持電極駆動回路54と接続不良検知回路500とが電気的に接続され、維持電極駆動回路54から出力される維持パルス電圧等の駆動電圧により発光ダイオードLED10が発光する。逆に、ブリッジコネクタ543とブリッジケーブル545との間に接続不良があれば、維持電極駆動回路54と接続不良検知回路500との電気的な接続が絶たれ、発光ダイオードLED10は発光しない。
このように、本実施の形態では、維持電極駆動回路54から出力される駆動電圧を利用して接続不良検知回路500の発光ダイオードLED10を発光させる構成とする。これにより、発光ダイオードLED10の発光/非発光を確認するだけで維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との接続不良を検知できるようになるので、短時間に、かつ視認性よく接続確認を行うことが可能となる。
なお、抵抗R10、R11は、振幅約200(V)の維持パルスが印加されたときに発光ダイオードLED10にかかる電圧および発光ダイオードLED10を流れる電流が定格内に抑まるように、各抵抗値を設定する。また、コンデンサC10は、維持パルスを平滑化できるように、その容量値を設定する。そして、本実施の形態では、抵抗R10を30kΩ、抵抗R11を220kΩ、コンデンサC10を4.7μFとしているが、これらの値は単なる一例に過ぎず、プラズマディスプレイ装置の仕様に合わせて最適な値に設定することが望ましい。
図12は、本発明における接続不良検知回路の他の例を示す回路図である。
図12に示すように、本実施の形態における接続不良検知回路510は、スイッチング回路501と接続回路502とを有する。接続回路502は、維持電極駆動回路54から出力される極駆動電圧を抵抗分割するための抵抗R20、R21と、抵抗R20と抵抗R21との接続点に接続され、抵抗分割された極駆動電圧を平滑化するためのコンデンサC20と、抵抗R20と抵抗R21との接続点にカソードが接続された逆流防止用のダイオードD20とを有する。
スイッチング回路501は、スイッチング動作を行わせるためのPNP型のトランジスタQ1と、トランジスタQ1のベースと電圧源V1との間に配置された抵抗R1と、トランジスタQ1のベースに入力される電圧を平滑化するためのコンデンサC1と、トランジスタQ1が動作したときに所定の電圧を取り出すための抵抗R2とを有する。そして、ダイオードD20のアノードは、スイッチング回路501のトランジスタQ1のベースに接続されている。
このような構成の接続不良検知回路510においては、ブリッジコネクタ543とブリッジケーブル545とが正しく接続されていれば、維持電極駆動回路54と接続不良検知回路510とが電気的に接続され、維持電極駆動回路54から出力される維持パルス電圧等の駆動電圧が抵抗R20と抵抗R21とで抵抗分割されるとともにコンデンサC20で平滑化されてダイオードD20のカソードに印加される。これにより、ダイオードD20は、カソードの電圧がアノードの電圧よりも高くなって電気的に遮断された状態になる。そのため、トランジスタQ1は、ベースの電位が電圧源V1とほぼ同電位、すなわちエミッタとほぼ同電位となって、エミッタ−コレクタ間の電流が遮断され、スイッチング回路501の出力電圧はほぼ接地電位(以下、「データLo」と記す)となる。
一方、ブリッジコネクタ543とブリッジケーブル545との間に接続不良があれば、維持電極駆動回路54と接続不良検知回路510との電気的な接続が絶たれ、抵抗R20の一端は開放された状態となる。これにより、ダイオードD20はカソードが抵抗R21を介して接地された状態となって導通し、コンデンサC20の電圧は、電圧源V1の電圧をダイオードD20を介して抵抗R1と抵抗R21とで抵抗分割した電圧となる。これにより、トランジスタQ1のベースに印加される電圧は、トランジスタQ1を動作させる電圧となり、トランジスタQ1のエミッタ−コレクタ間に電流が流れ、スイッチング回路501からは、その電流と抵抗R2とによる電圧(以下、「データHi」と記す)が出力される。
以上述べたように、本実施の形態では、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間の接続不良を検知して接続不良検知回路510から出力される信号を変位させる構成とすることにより、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間の接続不良の有無を、スイッチング回路501からの出力信号の変位により知ることができ、例えば、接続不良検知回路510から出力される信号にもとづき接続不良の発生を知らせる表示を行ったり、プラズマディスプレイ装置の電源を強制的にオフする等の構成とすることで、接続不良が発生した場合に直ちにそれを検知することが可能となる。これにより、例えば製品の搬送の際に生じる振動や衝撃等により維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間に接続不良が発生した場合等、プラズマディスプレイ装置のバックカバーを取り付けてしまった後であっても、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との間に接続不良が発生した場合にそれを検知することが可能となる。
なお、抵抗R20、R21は、振幅約200(V)の維持パルスが印加されたときにダイオードD20にかかる電圧がダイオードD20の定格内に抑まるように、かつダイオードD20のカソードの電圧がアノードの電圧(ここでは、電圧源V1の電圧)よりも高くなるように、各抵抗値を設定する。また、コンデンサC20は、維持パルスを平滑化できるように、その容量値を設定する。また、抵抗R1は、抵抗R20の一端が開放されたときに、トランジスタQ1のベースに印加される電圧がトランジスタQ1を動作させる電圧となるように、その抵抗値を設定する。また、抵抗R2は、トランジスタQ1が動作したときに出力電圧がデータHi(例えば、5(V))となるように、その抵抗値を設定する。
なお、本実施の形態では、抵抗R20、R21を47kΩ、コンデンサC20を0.1μF、抵抗R1を22kΩ、抵抗R2を10kΩ、コンデンサC1を1μF、電圧源V1を5(V)としているが、これらの値は単なる一例に過ぎず、プラズマディスプレイ装置の仕様に合わせて最適な値に設定すればよい。
また、本実施の形態では、接続不良検知回路510において、スイッチング回路501を用いてデータHiを出力する構成を説明したが、例えば電圧検出機能を有するマイクロコンピュータ等を用いて、駆動電圧の有無を検出する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、接続不良を検知したときに接続不良検知回路510からデータHiを出力させる構成を説明したが、スイッチング回路501から出力される信号の極性が逆になるようにスイッチング回路501を構成し、接続不良を検知したときにデータLoを出力させる構成としてもよい。
図13は、本発明の実施の形態における維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542との接続の他の例を示す概略図である。例えば、図13に示すように、ブリッジコネクタ543およびブリッジケーブル545に流れる電流を分散させる目的で、維持パルス発生用プリント基板541と中継用プリント基板542とをそれぞれ2つ、あるいはそれ以上のブリッジコネクタ543およびブリッジケーブル545で接続する構成としてもよい。ただし、このような場合には、図13に示すように、ブリッジコネクタ543と同数の接続不良検知回路を中継用プリント基板542上に設け、ブリッジコネクタ543のそれぞれに接続不良検知回路を接続する構成とする。