JP2008082768A - 熱式流量センサ - Google Patents

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Takayuki Hirano
貴之 平野
Nobuyuki Kawakami
信之 川上
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Abstract

【課題】マイクロ流路のような流体流路を形成する流路形成部材を備えて前記流体流路を流れる流体の流速・流量を測定するに際し、被測定流体のせん断力による破損が生じることがなく、高い検出感度にて測定を行うことができる熱式流量センサを得ること。
【解決手段】内部に流体が流れる流体流路15を形成する流路形成部材10,12と、 その流体流路15を囲む内壁面上に該内壁面と略平行な上下面を有して形成された発熱体用の金属配線膜31とを備え、かつ、前記発熱体用の金属配線膜31と前記流体流路15の内壁面11との間に多孔質膜20が介在していることを特徴とする熱式流量センサ。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばマイクロ流路など、流体流路を流れる流体の流速又は流量を測定するのに用いて好適な熱式流量センサに関するものである。
流体の流速又は流量(以下、単に「流速・流量」という)を測定するための熱式流量センサとしては、傍熱型と自己発熱型(直熱型)とがある。傍熱型のものは、測定すべき流体の流れに対して発熱体(ヒータ)を配し、流体の流れによって発熱体による空間的温度分布に偏りを生じさせ、これを発熱体の上流側と下流側に配した各温度センサ(温度依存抵抗)で検出することにより、流体の流量を測定するものである。例えば、2つの温度センサの温度差が一定になるように発熱体の電流値をフィードバック制御し、発熱体に印加される電圧により流量を測定し、あるいは、発熱体の温度を一定に保ち、発熱体の上流側と下流側に配した各温度センサ(温度依存抵抗)の差出力により流量を測定するものである。また、自己発熱型のものは、流体によって発熱体の熱が奪われることによる供給電力の変化、あるいは発熱体抵抗の変化を検出することにより、流量を測定するようにしたものである。
従来、半導体回路製造技術やマイクロマシニング技術を利用して品質の安定と量産化を目的として、特許第3324855号公報には、測定対象の流体が流れる流体流路を形成したガラス基板に、前記流体流路に接するようにしてシリコン基板を接合し、このシリコン基板の前記流体流路側に面しない表面にパターニングして金属配線を形成し、この金属配線を流体流量検出用のヒータとした質量流量センサが提案されている(第1の従来技術)。
また、ヒータ部分を断熱構造にすることで熱容量を小さくしてセンサの感度・応答速度を向上させるようにしたものとして、特開昭60−142268号公報には流速センサが記載され(第2の従来技術)、特開昭62−98219号公報には熱式流量センサが記載されている(第3の従来技術)。前者の流速センサは、薄膜部材上にヒータ、温度センサエレメントを配置することにより、断熱性を高めている。また、後者の熱式流量センサは、流体流路中に膜式抵抗が形成された基板を保持部材に支持して配し、前記基板に対しては前記保持部材への熱の伝達を抑制する、多孔質層からなる熱絞り部を設けたものである。この多孔質層からなる熱絞り部による断熱構造を採用することで、膜式抵抗での熱はほとんどが膜式抵抗自体から放熱されるようになされている。
特許第3324855号公報 特開昭60−142268号公報 特開昭62−98219号公報
しかしながら、前述した第1の従来技術では、ヒータの基材として熱伝導率の高いシリコンを用いているために、ヒータの熱によってセンサ全体の温度が上昇し、流体の流れに沿った温度差が生じにくく、大きな検出感度を得ることができないという問題がある。
また、前述した第2の従来技術では、優れた断熱性が期待できるものの、あくまで希薄な気体流体のみに利用できるものであり、液体の場合には薄膜部材を形成するためにあけられた開口部から空気スペースに流体が浸入する。このため、薄膜部材と基板の間の空間(空気スペース)の断熱性が失われて機能が低下するだけでなく、大きなせん断力のために薄膜が破壊される恐れが高い。また、圧力の変動に対しても強固な構造とはいえない。
また、第3の従来技術では、膜式抵抗での熱がその保持部材へ伝達することを抑制するために断熱用の多孔質層を備えているものの、基本的には中空断熱をベースとしており、流体のせん断力が考慮されておらず、膜式抵抗膜が損傷する心配がある。
そこで本発明の課題は、マイクロ流路のような流体流路を形成する流路形成部材を備えて前記流体流路を流れる流体の流速・流量を測定するに際し、被測定流体のせん断力による破損が生じることがなく、高い検出感度にて測定を行うことができる熱式流量センサを提供することにある。
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。請求項1の発明は、内部に流体流路を形成する流路形成部材と、流体流路中で流体と接触する流路内壁面上に該内壁面と略平行な上下面を有して形成された発熱体用の金属配線とを備え、かつ、前記発熱体用の金属配線と前記流体流路の内壁面との間に多孔質膜が介在していることを特徴とする熱式流量センサである。
請求項2の発明は、請求項1記載の熱式流量センサにおいて、前記流路形成部材は、配線面を有し、その上に前記多孔質膜と前記金属配線が配される配線基材と、この配線基材の配線面と対向する対向面を有し、この対向面から前記金属配線を囲む形状の流路形成凹部が凹んでいる流路基材とを含み、前記配線基材の配線面と前記流路基材の流路形成凹部とで前記金属配線を格納する流体流路が形成されるように構成されていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の熱式流量センサにおいて、前記多孔質膜の表面は多孔質膜内部の細孔への流体の拡散を防止する保護膜で覆われており、その保護膜上に前記金属配線が配されていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3記載の熱式流量センサにおいて、前記多孔質膜は、疎水化処理が施されていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項3又は4記載の熱式流量センサにおいて、前記流体が液体であり、前記流体流路は、流路幅長さが500μm以下の寸法に形成されたマイクロ流路であることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5記載の熱式流量センサにおいて、前記多孔質膜は、その弾性率が0.5GPa以上であることを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項6記載の熱式流量センサにおいて、前記多孔質膜は、シリカエアロゲルからなるものであることを特徴とするものである。
本発明の熱式流量センサは、マイクロ流路のような流体流路を形成する流路形成部材を備えて前記流体流路を流れる流体の流速・流量を測定するに際し、発熱体用の金属配線と流体流路の内壁面との間に断熱機能を持つ多孔質膜を備えている。したがって、発熱体用の金属配線から発生した熱のほとんどをその被測定流体に与えることができ、その流体の流速・流量を、熱効率良く低消費電力でもって、高い検出感度にて測定することができる。さらに、発熱体用の金属配線が流体が流れる流体流路を囲む内壁面上に該内壁面と略平行な上下面を有して形成されている。したがって、被測定流体のせん断力や圧力変動の影響を受けにくく、前記金属配線の剥離などの破損の発生をなくして、耐久性良く安定して流速・流量の測定を行うことができる。
本発明による熱式流量センサについて、さらに詳しく説明する。本発明の熱式流量センサにおいては、前述したように、流体流路の内壁面と発熱体用の金属配線との間に断熱機能を持つ多孔質膜を備えることにより、発熱体用の金属配線から発生した熱のほとんどを測定すべき流体に与えることができる。断熱機能を果たす多孔質膜としては、多孔質の骨格部分も熱伝導率・熱容量の小さい部材が好ましく、電気的にも絶縁性を持ち熱的、化学的にも安定で熱容量も小さい、シリカを主成分とした多孔質材料からなるものが好ましい。このシリカ系の多孔質膜によると、その構造によって熱伝導率は空気とほぼ同等の0.02W/(m・K)程度まで小さな値が得られることが知られており、優れた断熱性能を得ることができる。
このようなシリカ系多孔質材料として、シリカエアロゲルを挙げることができる。そして、多孔質膜に対して保護膜を施すことにより、被測定流体が液体の場合でも、多孔質膜内部の細孔への液体の拡散を防止して、多孔質膜の断熱機能を保持することができる。この場合、多孔質膜に疎水化処理を施すことにより、より確実に多孔質膜内部の細孔への液体の拡散を防止することができる。
本発明による熱式流量センサでは、発熱体用の金属配線及び温度センサ用の金属配線、あるいは発熱体用の金属配線としての発熱体・温度センサ兼用の金属配線が、流体流路を囲む内壁面上に該内壁面と略平行な上下面を有して形成されているので、前記第3の従来技術のような流体中に浮かんだ状態の中空構造をベースとした断熱構造と比較して、流体のせん断力を受けにくく信頼性の高い測定が可能となる。被測定流体が液体、特に粘性の高い液体の場合、前記の第3の従来技術では、配管内に配された膜式抵抗やその保持部材に大きな力が働くことになるだけでなく、流れの均一性が乱されて正確な測定にも悪影響を与えることとなる。
本発明による熱式流量センサでは、流体流路の内壁面とその上に配されている金属配線とが、段差がわずかであってほとんどフラットな状態となっているので、流体のせん断力や圧力変動の影響を受けにくく、また、多孔質の固体を用いるためにその点でも流体から力学的な影響を受けにくい。さらに、前記第3の従来技術では中空構造とするためには複雑な作製工程を要するのに対して、本発明による熱式流量センサでは、多孔質膜自体を形成するという単純な構造で高い機能を発現することができる利点もある。
また、被測定流体の流れる流体流路が、近年その産業への利用に注目されているいわゆるマイクロリアクタやマイクロ流路と呼ばれるような管径500μm以下の微細な配管の場合には、実質的に配管内に浮かんだ構造(前記第3の従来技術)とすることが困難であり、本発明による熱式流量センサがより有効となる。マイクロ流路では、流体流路自体が細いために立体的な障害は大きく流れを乱す原因となるが、本発明による熱式流量センサは、そのような懸念がない。
一方、マイクロ流路のような微細な流路では、配管抵抗が大きいことで速い流速では圧力損失が大きくなるため、0.1μL/分程度など比較的流速の遅いところでの利用が多くなる。このような流速が遅い領域では、流量センサは高い検出感度が要求されることから、本発明による熱式流量センサは、その効果を発揮する。マイクロ流路のサイズについては、一般にマイクロ流路と呼ばれる構造では流体が層流となるためにレイノルズ数200以下となる流路構造をとる場合が多く、マイクロ流路の流路幅長さも500μm以下に選択される場合が多い。本発明による熱式流量センサは、このような流路幅長さが500μm以下のマイクロ流路における流体の流速・流量の測定に好適である。
また、本発明による熱式流量センサでは、流体流路の一部がその上に保護膜を有する多孔質膜により形成されるために、特に大きな圧力のかかる流体計測の場合には、多孔質膜の剛性(圧縮弾性率)が高いものが求められる。多孔質材料は普通の固体材料に比較して弾性率は小さくなることが多いが、近年微細で均一なサイズの細孔を形成する技術が提案されており、空孔率が70%以上でも弾性率1GPa以上を有するものが開発されている。弾性率のみで一概に耐圧を議論することはできないものの、多孔質膜は、材料の弾塑性変形領域を考慮すれば10気圧(1MPa)程度の圧力に抗するためには0.5GPa程度の弾性率を有しているものがよい。
図1は本発明の一実施形態による熱式流量センサの斜視図である。
本実施形態の熱式流量センサは、流体流路としてマイクロ流路を形成する流路形成部材を備えてこのマイクロ流路を流れる液体の流速・流量を測定するものであり、流路形成部材として、配線基材に相当する平板状の配線基板10と、その上に重ねられる流路基材としての流路基板12とを備えている。配線基板10は、本実施形態では厚み0.5mmのシリコン基板であり、流路基板12は、厚み1.0mmのガラス基板である。
これらの基板10,12のうち、配線基板10の上面が配線面11とされ、流路基板12の下面が前記配線面11に対向する対向面13とされている。そして、配線基板10の配線面11上に多孔質膜20と保護膜21がこの順で形成される一方、流路基板12にその対向面13から上向きに凹む流路形成凹部14が形成されている。この流路形成凹部14は、配線基板10の、多孔質膜20及び保護膜21が形成された配線面11との間で横断面半円状のマイクロ流路15を形成するものである。
前記多孔質膜20は、配線基板10の配線面11の略全域にわたって形成されている。この多孔質膜20は、断熱性及び電気絶縁性に優れたものであり、テトラエトキシシラン(TEOS)などの金属アルコキシドを原材料したゾルゲル法により形成することができる。本実施形態では特に微細な多孔質のものとして、シリカエアロゲルからなる多孔質膜20を次の手順にて形成した。
(1)シリカエアロゲルの原材料としては金属アルコキシドであるテトラエトキシシラン(TEOS)を用い、粘土調整したTEOS溶液を配線基板10上にスピンコートする。(2)この配線基板10をアンモニア水蒸気で満たされた容器内に所定時間室温保持することにより前記TEOS溶液のゲル化を促進させてウェットゲルを形成する。(3)この配線基板10をエタノール中に浸漬させて前記ゲル中のメタノール、水及びアンモニアをエタノールに置換する。(4)生成した膜をエタノール中に浸漬させたまま高圧容器内に保持し、超臨界二酸化炭素を通すなどして超臨界乾燥させる。
このようにしてシリカエアロゲルからなる厚み10μmの多孔質膜20を形成する。そして、多孔質膜20内部の細孔への被測定液体の拡散を防止するために、この多孔質膜20の表面にその全域にわたって保護膜21を形成する。本実施形態では、CVD法によりSiOからなる厚み0.5μmの保護膜21を形成した。なおその他に、保護膜としては、DLC、アルミナ、SiN等からなる絶縁膜を用いることができる。
なお、保護膜21の形成に先立ち、多孔質膜20に対して疎水化処理を施すことがより好ましい。疎水化処理については、多孔質膜20が形成された配線基板10を炉に入れ、ヘキサメチルジシラン(HMDS)をNガスとともに150℃の炉内に供給し、前記配線基板10を30分程度処理する。これにより、多孔質膜20の表面は、水分が脱離して疎水化される。前記HMDSにかわる材料としては、シリル化剤などを用いることができる。このほか、前述したシリカエアロゲルの原材料を混合する段階で、この原材料の金属アルコキシドである前記TEOSにメチル基を持つ材料、例えばメチルトリエトキシシランなどを添加、若しくは置換することにより、多孔質膜20に疎水化処理を施すことができる。
前記保護膜21上に、金属配線を構成するパターンとして、発熱体用金属パターン30、温度センサ用金属パターン40A,40Bが形成されている。発熱体用金属パターン30は、マイクロ流路15内の流路長さ方向における中央部分に組み込まれる発熱体部31と、この発熱体部31の両端から流路幅方向の片側に同じ向きに延びる接続部32,33と、各接続部32,33の端部に形成された電極34,35とを一体に有している。
一方、上流側の温度センサ用金属パターン40Aは、マイクロ流路15内の前記発熱体部31の上流側に組み込まれる上流側温度センサ部41と、この上流側温度センサ部41の両端から流路幅方向の片側に同じ向きに延びる接続部43,44と、各接続部43,44の端部に形成された電極46,46とを一体に有している。また、下流側の温度センサ用金属パターン40Bは、マイクロ流路15内の前記発熱体部31の下流側に組み込まれる下流側温度センサ部42と、この下流側温度センサ部42の両端から流路幅方向の片側に同じ向きに延びる接続部43,44と、各接続部43,44の端部に形成された電極47,48とを一体に有している。
これらの金属パターン30,40A,40Bについては、半導体回路製作に用いられる微細加工法を利用することで容易に形成することができる。本実施形態では、保護膜21上にフォトレジストを塗布した後、フォトレジストをリソグラフィによりパターニングした後、金属をスパッタ蒸着し、しかる後、フォトレジストを除去した目的の金属パターンを形成するという、いわゆるリフトオフ法をにより、Pt(白金)からなり、厚み0.1μm、幅5μmの金属パターン30,40A,40Bを形成した。
そして、前記両基板10,12は、金属パターン30,40A,40Bが配された配線基板10の保護膜21の上に流路基板12の対向面13を重ね合わせるようにしてフッ酸接合により接合されている。この接合により、多孔質膜20及び保護膜21が形成された配線面11と流路基板12の流路形成凹部14とで囲まれるマイクロ流路15が形成されるとともに、このマイクロ流路15内に発熱体用金属パターン30の発熱体部31及び温度センサ用金属パターン40A,40Bの温度センサ部41,42が作り込まれたものとなっている。このようにして、マイクロ流路(流体流路)一体型の熱式流量センサが構成されている。
この実施形態では、マイクロ流路15は、流路幅:200μm、高さ:100μm、流路長さ:5mmである。また、シリカエアロゲルからなる多孔質膜20は、弾性率(圧縮弾性率):1GPa、空孔率:72%である。なお、多孔質膜20の弾性率の測定は、ダイヤモンド圧子(針)を試料に押し込み、荷重−侵入量から薄膜試料の機械的特性を測定するナノインデンテーション法を用いた。
図2は図1に示す熱式流量センサにおける流速・流量の測定を説明するための回路図である。
図2に示すように、温度センサ用金属パターン40A,40Bの一端は、基準抵抗R1,R2を介して電源端子50に接続され、その他端は、アースに接続されている。また、上流側の温度センサ用金属パターン40Aと基準抵抗R1との接続点には出力端子52aが接続され、下流側の温度センサ用金属パターン40Bと基準抵抗R2との接続点には出力端子52bが接続されている。
発熱体用金属パターン30には図示しない制御回路により制御される電流が入力端子53を通して供給され、発熱体部31の温度が流体の流量(流速)に関係なく一定に保たれるようになっている。そして、マイクロ流路15を液体が流れることにより、下流側温度センサ部42の温度は上流側温度センサ部41の温度よりも高くなる。これに伴い下流側温度センサ部42の抵抗値は上流側温度センサ部41の抵抗値よりも増加するから、ブリッジ回路51における基準抵抗R1を流れる電流I1は基準抵抗R2を流れる電流I2よりも増加する。その結果、ブリッジ回路52の出力端子52a,52b間には差電圧が出力される。この差電圧は、マイクロ流路15を流れる液体の流速に比例するから、所定の演算を行うことにより、前記差電圧を流速、すなわち流量に換算して測定を行うことができる。
このようにして本実施形態では、温度センサ用金属パターン40A,40Bと基準抵抗R1,R2とによりブリッジ回路51を構成し、発熱体部31の温度を一定に保ち、出力端子52a,52bから流体の流速に応じて変化する差電圧を検出し、この差電圧に基づいてマイクロ流路15を流れる液体の流速・流量を測定することができるようになっている。
このように、この実施形態による熱式流量センサは、マイクロ流路15を形成する流路形成部材10,12を備えてマイクロ流路15を流れる流体の流速・流量を測定するに際し、発熱体部31とマイクロ流路15の内壁面11との間に断熱機能を持つ多孔質膜20を備えるとともに、この多孔質膜20内部の細孔への流体の拡散を防止する保護膜21を備えている。したがって、被測定流体が液体の場合でも、多孔質膜20の断熱機能を失うことがなくて発熱体部31から発生した熱のほとんどをその被測定液体に与えることができ、その液体の流速・流量を、熱効率良く低消費電力でもって、高い検出感度にて測定することができる。さらに、発熱体部31及び温度センサ部41,42が、マイクロ流路15の内壁面(この実施形態では多孔質膜20及び保護膜21が形成された配線面11)上に該内壁面と略平行な上下面を有して形成されている。したがって、被測定流体が液体、特に高粘度の液体の場合でも、この液体のせん断力や圧力変動の影響を受けにくく、発熱体部31及び温度センサ部41,42の剥離などの破損の発生をなくして、耐久性良く安定して流速・流量の測定を行うことができる。
図3は本発明の別の実施形態による熱式流量センサの要部を示す断面図であって、その(a)はマイクロ流路内に作り込まれた発熱体部の箇所の断面図、その(b)はマイクロ流路中に作り込まれた温度センサ部の箇所の断面図である。ここで、前記図1に示される熱式流量センサと同一部分には図1と同一の符号を付して説明を省略する。
この実施形態の熱式流量センサにおいては、シリカエアロゲルからなる多孔質膜22は、配線基板10の配線面11の略全域にわたってではなく、マイクロ流路15内において発熱体部31と配線面11との間に発熱体部31のパターン形状に対応した形状にて形成されている。そして、この発熱体部31上にSiOからなる保護膜23が形成されている。
このように、少なくともマイクロ流路15内において発熱体部31と配線面11との間に多孔質膜22を形成し、かつ、この多孔質膜22内部の細孔への流体の拡散を防止するための保護膜23を形成している。これにより、マイクロ流路15を流れる流体について、前記図1の熱式流量センサと同様に、被測定流体が液体の場合でも、その液体のせん断力による破損が生じることがなく、熱効率良く低消費電力でもって高い検出感度にて流速・流量を測定することができる。
なお、前記図1に示す実施形態では、発熱体用の金属配線及び温度センサ用の金属配線を有する傍熱型の熱式流量センサを示したが、本発明は、発熱体用の金属配線として発熱体・温度センサ兼用の金属配線を有する自己発熱型(直熱型)の熱式流量センサにも適用可能である。また、本発明による熱式流量センサは、前記実施形態のマイクロ流路以外にも、各種配管等の流路にも用いることができる。
本発明の一実施形態による熱式流量センサの斜視図である。 図1に示す熱式流量センサにおける流速・流量の測定を説明するための回路図である。 本発明の別の実施形態による熱式流量センサの要部を示す断面図であって、その(a)はマイクロ流路内に作り込まれた発熱体部の箇所の断面図、その(b)はマイクロ流路内に作り込まれた温度センサ部の箇所の断面図である。
符号の説明
10…配線基板
11…配線面
12…流路基板
13…対向面
14…流路形成凹部
15…マイクロ流路
20,22…多孔質膜
21,23…保護膜
30…発熱体用金属パターン
31…発熱体部
32,33…接続部
34,35…電極
40A,40B…温度センサ用金属パターン
41…上流側温度センサ部
43,44…接続部
45,46…電極
42…下流側温度センサ部
47,48…電極
50…電源端子
51…ブリッジ回路
52a,52b…出力端子
53…入力端子

Claims (7)

  1. 内部に流体流路を形成する流路形成部材と、流体流路中で流体と接触する流路内壁面上に該内壁面と略平行な上下面を有して形成された発熱体用の金属配線とを備え、かつ、前記発熱体用の金属配線と前記流体流路の内壁面との間に多孔質膜が介在していることを特徴とする熱式流量センサ。
  2. 前記流路形成部材は、配線面を有し、その上に前記多孔質膜と前記金属配線が配される配線基材と、この配線基材の配線面と対向する対向面を有し、この対向面から前記金属配線を囲む形状の流路形成凹部が凹んでいる流路基材とを含み、前記配線基材の配線面と前記流路基材の流路形成凹部とで前記金属配線を格納する流体流路が形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の熱式流量センサ。
  3. 前記多孔質膜の表面は多孔質膜内部の細孔への流体の拡散を防止する保護膜で覆われており、その保護膜上に前記金属配線が配されていることを特徴とする請求項1又は2記載の熱式流量センサ。
  4. 前記多孔質膜は、疎水化処理が施されていることを特徴とする請求項3記載の熱式流量センサ。
  5. 前記流体が液体であり、前記流体流路は、流路幅長さが500μm以下の寸法に形成されたマイクロ流路であることを特徴とする請求項3又は4記載の熱式流量センサ。
  6. 前記多孔質膜は、その弾性率が0.5GPa以上であることを特徴とする請求項5記載の熱式流量センサ。
  7. 前記多孔質膜は、シリカエアロゲルからなるものであることを特徴とする請求項6記載の熱式流量センサ。
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