JP2008081620A - アクリル系ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】十分な機械的強度を有するとともに弾性に優れたアクリル系ゴム組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】この発明に係るアクリル系ゴム組成物の製造方法は、層状粘度鉱物を含有した溶媒中で、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含むモノマー成分の重合を行うことによって重合液を得る工程と、前記重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】この発明に係るアクリル系ゴム組成物の製造方法は、層状粘度鉱物を含有した溶媒中で、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含むモノマー成分の重合を行うことによって重合液を得る工程と、前記重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
この発明は、例えばオイルシール、パッキン、密封装置のシール材等の材料として用いられるアクリル系ゴム組成物の製造方法に関する。
近年、ゴム材料には、高性能化、高機能化の要求の高まりを背景にして、機械的強度、弾性、耐熱性等の各種物性の向上が求められている。このため、従来から、ゴムにフィラーを配合してゴム材料の物性を向上させることが行われている。
例えば、層状粘土鉱物をマトリックスであるジエン系ゴム成分中にナノレベルで微分散させたナノコンポジットゴムが最近開発されている(特許文献1参照)。このようなゴム組成物を材料にした自動車用タイヤは、破壊強度、耐屈曲疲労等のタイヤに必要な特性が顕著に改善向上することが知られている。
特開2003−327751号公報
ところで、パッキン、シール、その他の各種ゴム製品においては、耐熱性、弾性、耐油性、耐候性、耐老化性等が必要とされることが多い。特に、密封材、シール材の用途においては、耐熱性、耐油性が重要であることが多いが、スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムでは、耐熱性、耐油性が不十分であることから、このような用途には例えばアクリル系ゴム等が従来から使用されている。
しかして、このアクリル系ゴムが使用される密封材、シール材等の用途においても、高性能化、高機能化の要求の高まりに伴い、機械的強度等の物性の向上が求められており、特に弾性特性を向上させることが強く求められていた。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、十分な機械的強度を有するとともに弾性に優れたアクリル系ゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]層状粘度鉱物を含有した溶媒中で、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含むモノマー成分の重合を行うことによって重合液を得る工程と、
前記重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とするアクリル系ゴム組成物の製造方法。
前記重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とするアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[2]前記溶媒として、層状粘度鉱物の層間の交換性陽イオンと溶媒和して該層間内にインターカレートすることのできる溶媒を用いる前項1に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[3]層状粘度鉱物を含有した水中で、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含むモノマー成分の乳化重合を行うことによって乳化重合液を得る工程と、
前記乳化重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とするアクリル系ゴム組成物の製造方法。
前記乳化重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とするアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[4]前記モノマー成分の全量100質量部に対して前記層状粘度鉱物を1〜200質量部混合せしめて重合を行って前記重合液を得る前項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[5]前記層状粘度鉱物として、アミンで処理された層状粘度鉱物を用いる前項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[6]前記層状粘度鉱物が、スメクタイト族粘土鉱物である前項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[7]前記スメクタイト族粘土鉱物が、モンモリロナイトである前項6に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
[8]前項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られたアクリル系ゴム組成物を架橋剤で架橋してなる架橋体からなるアクリル系ゴム成形体。
[9]アクリル系ゴムのマトリックス中に、層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片が分散されてなることを特徴とするアクリル系ゴム組成物。
[10]前項9に記載のアクリル系ゴム組成物を架橋剤で架橋してなる架橋体からなるアクリル系ゴム成形体。
[1]の発明では、層状粘度鉱物を含有した溶媒中でアクリル系ゴムの重合を行うことにより、層状粘度鉱物がナノレベルで分散された状態下においてアクリル系ゴムの重合が進行し、次いで塩析を行うことによってアクリル系ゴム組成物のマトリックス中にナノレベルで分散された層状粘度鉱物が取り込まれるので、アクリル系ゴム組成物中に層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されたものを製造することができる。このように層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されているので、得られたアクリル系ゴム組成物は、弾性特性に優れたものとなると共に十分な機械的強度も備えている。
[2]の発明では、溶媒として、層状粘度鉱物の層間の交換性陽イオンと溶媒和して該層間内にインターカレートすることのできる溶媒を用いるので、層状粘度鉱物の層間に溶媒分子がインターカレートし、該インターカレートによって層状粘度鉱物の層間間隔が大きく拡げられて膨潤した状態になるので、層状粘度鉱物は層間で剥離しやすい状態となり、従ってより一層微小化された層状粘度鉱物(層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片)が均一に分散されたアクリル系ゴム組成物を製造することが可能となる。このような剥離によって一層微小化された層状粘度鉱物(即ち層状粘度鉱物の剥離片)がナノレベルで均一に分散されているので、弾性特性がさらに向上したアクリル系ゴム組成物を得ることができる。
[3]の発明では、層状粘度鉱物を含有した水中でアクリル系ゴムの乳化重合を行うことにより、層状粘度鉱物がナノレベルで分散された状態下においてアクリル系ゴムの乳化重合が進行し、次いで塩析を行うことによってアクリル系ゴム組成物のマトリックス中にナノレベルで分散された層状粘度鉱物が取り込まれるので、アクリル系ゴム組成物中に層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されたものを製造することができる。また、水は、層状粘度鉱物の層間の交換性陽イオンと溶媒和して該層間内にインターカレートすることのできる溶媒であるので、層状粘度鉱物の層間に水分子がインターカレートし、該インターカレートによって層状粘度鉱物の層間間隔が大きく拡げられて膨潤した状態になるので、層状粘度鉱物は層間で剥離しやすい状態となり、該剥離によって一層微小化された層状粘度鉱物(層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片)が均一に分散されたアクリル系ゴム組成物を製造することができる。このように層状粘度鉱物の剥離片がナノレベルで均一に微小分散されているので、得られたアクリル系ゴム組成物は、弾性特性に優れたものとなると共に十分な機械的強度も備えている。
[4]の発明では、モノマー成分の全量100質量部に対して層状粘度鉱物を1〜200質量部混合せしめて重合を行うから、得られるアクリル系ゴム組成物において弾性向上効果が十分に得られると共に硬度が増大し過ぎることもない。
[5]の発明では、層状粘度鉱物として、アミンで処理された層状粘度鉱物を用いるから、重合反応中及びゴム組成物中等において層状粘度鉱物の凝集が十分に防止され、これによりアクリル系ゴム組成物中に層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されたものを製造することができる。
[6]の発明では、層状粘度鉱物としてスメクタイト族粘土鉱物が用いられているから、得られるアクリル系ゴム組成物の弾性特性をより向上させることができる。
[7]の発明では、層状粘度鉱物としてモンモリロナイトが用いられているから、得られるアクリル系ゴム組成物の弾性特性をより一層向上させることができる。
[8]の発明では、アクリル系ゴム組成物の架橋体中に層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されているから、弾性特性に優れたアクリル系ゴム成形体が提供される。
[9]の発明では、アクリル系ゴムのマトリックス中に、層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片がナノレベルで均一に分散されているから、弾性特性に優れたものとなる。
[10]の発明では、アクリル系ゴム組成物の架橋体中に、層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片がナノレベルで均一に分散されているから、弾性特性に優れたアクリル系ゴム成形体が提供される。
この発明に係るアクリル系ゴム組成物の製造方法は、層状粘度鉱物を含有した溶媒中で、アクリル酸エステルを含むモノマー成分の重合を行うことによって重合液を得る工程と、前記重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とする。なお、前記モノマー成分は、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含有してなるのが好ましい。
上記製造方法では、層状粘度鉱物を含有した溶媒中でアクリル系ゴムの重合を行うので、層状粘度鉱物がナノレベルで分散された状態下においてアクリル系ゴムの重合が進行し、次いで塩析を行うことによってアクリル系ゴム組成物のマトリックス中にナノレベルで分散された層状粘度鉱物が取り込まれるので、アクリル系ゴム組成物中に層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されたものが得られる。このように層状粘度鉱物がナノレベルで均一に分散されているので、得られたアクリル系ゴム組成物は、弾性特性に優れていると共に、十分な機械的強度も備えている。
前記溶媒としては、層状粘度鉱物の層間の交換性陽イオン(例えばNa+イオン)と溶媒和して該層間内にインターカレートすることのできる溶媒を用いるのが好ましい。このようにインターカレートできる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば水等が挙げられる。これらの中でも、水を用いるのが好ましい。この場合には、層状粘度鉱物の層間に水分子が多くインターカレートし、該インターカレートによって層状粘度鉱物の層間間隔が十分に大きく拡げられて膨潤した状態になるので、層状粘度鉱物は層間で非常に剥離しやすい状態となり、該剥離によって一層微小化された層状粘度鉱物(層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片)が均一に分散されたアクリル系ゴム組成物を製造することができる。このように層状粘度鉱物が剥離によって一層微小化されて分散されていることにより、アクリル系ゴム組成物の弾性特性をさらに向上させることができる。
前記アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えばメタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシエチルアクリレート等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
前記架橋点モノマーとしては、架橋点になり得る官能基を有した化合物であればどのような化合物でも使用でき、特に限定されるものではないが、例えば2−クロロエチルビニルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸アリル、クロロメチルスチレン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,1−ジメチルプロペニルメタクリレート、1,1−ジメチルプロペニルアクリレート、3,3−ジメチルブテニルメタクリレート、3,3−ジメチルブテニルアクリレート、イタコン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、ビニル1,1−ジメチルプロペニルエーテル、ビニル3,3−ジメチルブテニルエーテル、1−アクリロイルオキシ−1−フェニルエテン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
前記層状粘土鉱物としては、特に限定されるものではないが、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト族粘土鉱物等が挙げられる。中でも、前記層状粘土鉱物としてはモンモリロナイトを用いるのが好ましい。
前記層状粘土鉱物としては、アミンで処理された層状粘土鉱物を用いるのが好ましい。このように層状粘土鉱物がアミンで処理されて、層状粘土鉱物にアミンが結合していることによって、重合反応中及びゴム組成物中等において層状粘土鉱物の凝集がより十分に防止され得て、アクリル系ゴム組成物中に層状粘土鉱物がナノレベル(例えば1nm〜1000nm)でより均一に分散されたものを製造することができる。
前記アミンとしては、特に限定されるものではないが、例えばオクタデシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のように分子中にカルボキシル基を有したアミンが好適に用いられる。
前記層状粘土鉱物へのアミンの処理手法としては、特に限定されるものではないが、例えばアミンの水溶液中に層状粘土鉱物を浸漬した後、層状粘土鉱物を取り出して乾燥させる方法等が挙げられる。この時、アミン水溶液におけるアミンの濃度を1〜20質量%に設定するのが好ましい。
この発明の製造方法において、前記モノマー成分と前記層状粘土鉱物の配合割合は、前記モノマー成分の全量100質量部に対して前記層状粘度鉱物を1〜200質量部混合せしめて重合するのが好ましい。1質量部未満では弾性向上効果が十分に得られなくなるし、一方200質量部を超えると硬度が増大し過ぎるので好ましくない。中でも、前記モノマー成分の全量100質量部に対して前記層状粘度鉱物を0.1〜30質量部混合せしめて重合するのがより好ましい。
また、前記アクリル酸エステルと前記架橋点モノマーの混合比は、前記アクリル酸エステル100モルに対して前記架橋点モノマー0.5〜20モルの範囲に設定するのが好ましい。
前記重合の際には、通常、重合開始剤が添加される。このような重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば過硫酸カリウム等が挙げられる。また、フィラー(層状粘土鉱物を除く)を添加するようにしても良い。前記フィラー(充填剤)としては、特に限定されるものではないが、例えばホワイトカーボン、焼成クレー等が挙げられる。このようなフィラーを添加することによって、得られるアクリル系ゴム組成物の機械的強度を向上させることができる。その他、酸化防止剤等の各種添加剤を配合しても良い。
また、前記塩析に用いられる塩としては、特に限定されるものではないが、例えば塩化ナトリウム等が挙げられる。塩によって塩析した後、洗浄、乾燥を行うことによって、アクリル系ゴム組成物が得られる。
しかして、上記のようにして製造されたアクリル系ゴム組成物を架橋剤で架橋することによって、アクリル系ゴム成形体を得ることができる。前記架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば硫黄、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、安息香酸アンモニウム等が挙げられる。
上記アクリル系ゴム組成物に架橋剤を混合する際には、例えばミキシングロール、密閉式混練機等の公知の混練装置を用いて行うのが良く、しかる後、シート成形等の成形を行うことによって、弾性に優れたアクリル系ゴム成形体を得ることができる。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
モンモリロナイト(粉末)2gを80mLの熱水(80℃)に加えてホモジナイザーを用いて5000rpmで10分間攪拌することによってモンモリロナイト分散水性液を得た。また、2.8mmolのラウリルアミンと0.6mLの6NHClとを40mLの熱水(80℃)に加えて良く攪拌することによってラウリルアミン溶液を準備する。前記モンモリロナイト分散水性液に前記ラウリルアミン溶液を加えて5000rpmで10分間攪拌した後、この液を脱泡器にかけて沈殿を生じせしめ、この沈殿物を熱水(80℃)で数回洗浄した後、真空乾燥させることによって、ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイト(ラウリルアミンが結合したモンモリロナイト)を得た。
モンモリロナイト(粉末)2gを80mLの熱水(80℃)に加えてホモジナイザーを用いて5000rpmで10分間攪拌することによってモンモリロナイト分散水性液を得た。また、2.8mmolのラウリルアミンと0.6mLの6NHClとを40mLの熱水(80℃)に加えて良く攪拌することによってラウリルアミン溶液を準備する。前記モンモリロナイト分散水性液に前記ラウリルアミン溶液を加えて5000rpmで10分間攪拌した後、この液を脱泡器にかけて沈殿を生じせしめ、この沈殿物を熱水(80℃)で数回洗浄した後、真空乾燥させることによって、ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイト(ラウリルアミンが結合したモンモリロナイト)を得た。
次に、三角フラスコ中に、窒素置換により脱酸素したイオン交換水50mL、アクリル酸エチル19.0g、2−クロロエチルビニルエーテル0.4g、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0g、2−メルカプトエタノール(重合調整剤)0.012gを投入し、窒素雰囲気の室温下で十分な攪拌混合を行った。こうして得られた乳化モノマー液を3つ口反応フラスコの第1口に取り付けた分液ロートに入れた。一方、前記3つ口反応フラスコの反応槽内に、前記ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイト1.0g及びイオン交換水100mLを投入し、該3つ口反応フラスコの第2口にコンデンサー(凝縮器)を取り付け、第3口に窒素置換用(導入用)セプタムラバーを取り付けた後、窒素雰囲気下30℃で十分に攪拌混合した。
上記30℃での攪拌混合後、前記3つ口反応フラスコの反応槽内の液温を60℃に維持した状態で、該反応槽内に過硫酸カリウム(重合開始剤)0.1gを投入し、前記分液ロート中の乳化モノマー液を1時間かけて滴下した(系内を窒素雰囲気に維持した状態で滴下した)。滴下終了後も反応槽内の温度を60℃に維持した状態で2時間攪拌を行った。さらに反応槽内の温度を室温に維持した状態で14時間攪拌を行った。
こうして得られた重合液に飽和塩化ナトリウム水溶液300mLを加えて室温で攪拌した(塩析を行った)。塩析により沈殿したアクリル系ゴム組成物を50℃のイオン交換水で攪拌しながら洗浄した。この洗浄操作をモノマー臭が消えるまで行った。洗浄後のアクリル系ゴム組成物を60℃の真空オーブンで十分に乾燥せしめた。
上記乾燥したアクリル系ゴム組成物100質量部に対して、ステアリン酸1.0質量部、ステアリン酸カリウム1.0質量部、ステアリン酸ナトリウム0.5質量部、硫黄(架橋剤)0.3質量部を混合してなる組成物をミキシングロールで混練して1次加硫(170℃、12分)してシート状に成形し、次いで2次加硫(160℃、4時間)することによって、厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
<実施例2、3>
使用材料の種類や使用量等の各種条件を表1に示す条件に設定した以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
使用材料の種類や使用量等の各種条件を表1に示す条件に設定した以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
<比較例1>
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行うのではなく、混練時に行うものとした以外は、実施例1と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行うのではなく、混練時に行うものとした以外は、実施例1と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
<比較例2>
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行うのではなく、混練時に行うものとした以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行うのではなく、混練時に行うものとした以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
<比較例3>
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行うのではなく、混練時に行うものとした以外は、実施例3と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行うのではなく、混練時に行うものとした以外は、実施例3と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
上記のようにして得られた各ゴムシートの各種物性(引張強さ、伸び、引張弾性率)を下記試験法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行った実施例1〜3では、十分な弾性率が得られており、弾性に優れていた。
これに対し、ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合終了後の混練時に行った比較例1〜3では、弾性率が低く、弾性に劣っていた。
また、実施例1と比較例1の各ゴムシートについて動的粘弾性試験(JIS K7244)を行った結果を図1に対比して示す。また、実施例2と比較例2の各ゴムシートについて動的粘弾性試験(JIS K7244)を行った結果を図2に対比して示す。また、実施例3と比較例3の各ゴムシートについて動的粘弾性試験(JIS K7244)を行った結果を図3に対比して示す。これら動的粘弾性試験は、雰囲気温度−50℃〜100℃の範囲で、周波数16Hzで行った。縦軸の損失正接tanδが小さい程、弾性が強く、追従性の良いゴム材料である。
図1から、実施例1のゴムシートは、雰囲気温度の全領域でtanδの値が1.8以下と低い値であり、弾性に優れていて、追従性の良いゴム材料であることがわかる。また、図2から、実施例2のゴムシートは、雰囲気温度の全領域でtanδの値が1.6以下と低い値であり、弾性に優れていて、追従性の良いゴム材料であることがわかる。また、図3から、実施例3のゴムシートは、雰囲気温度の全領域でtanδの値が1.8以下と低い値であり、弾性に優れていて、追従性の良いゴム材料であることがわかる。
また、実施例2のゴム成形体のX線回折測定結果を図4に示す。層状粘度鉱物のモンモリロナイトは、層間距離に対応した回折ピークが回折角度3〜4°の位置に明瞭に現れる(図4の上側のグラフ参照)のであるが、実施例2のゴム成形体では図4(下側のグラフ)に示すようにモンモリロナイトの層間距離に対応した回折ピークは全く認められなかった。従って、実施例2のゴム成形体では、層状粘度鉱物の殆どが層間で剥離して存在しており(即ち層間が存在しない)、このような層状粘度鉱物の剥離片がゴム成形体中にナノレベルで均一に分散されているものと考えられる。
<実施例4、5、比較例4>
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの使用量を表2に示す値に設定した以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの使用量を表2に示す値に設定した以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
<実施例6>
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトに代えて、オクタデシルアミンで処理されたモンモリロナイトを用いた以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトに代えて、オクタデシルアミンで処理されたモンモリロナイトを用いた以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
<実施例7>
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトに代えて、未処理モンモリロナイトを用いた以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトに代えて、未処理モンモリロナイトを用いた以外は、実施例2と同様にして厚さ2mmのゴムシート(アクリル系ゴム成形体)を得た。
上記のようにして得られた各ゴムシートの各種物性(引張強さ、伸び、引張弾性率)を下記試験法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行った実施例4、5では、十分な弾性率が得られており、弾性に優れていた。
これに対し、ラウリルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を全く行わなかった比較例4では、弾性率が低く、弾性に劣っていた。
また、表2から明らかなように、オクタデシルアミンで処理されたモンモリロナイトの添加を重合前に行った実施例6では、十分な弾性率が得られており、弾性に優れていた。また、未処理モンモリロナイトの添加を重合前に行った実施例7では、実施例4〜6と比較して弾性率は少し低下するものの、良好な弾性特性が得られた。
<引張強さ試験法>
JIS K6251に準拠してゴムシートの3号ダンベル試験片の引張強さ(MPa)を測定した。
JIS K6251に準拠してゴムシートの3号ダンベル試験片の引張強さ(MPa)を測定した。
<伸び試験法>
JIS K6251に準拠してゴムシートの3号ダンベル試験片の伸び(%)を測定した。
JIS K6251に準拠してゴムシートの3号ダンベル試験片の伸び(%)を測定した。
<引張弾性率試験法>
JIS K6251に準拠してゴムシートの3号ダンベル試験片の引張弾性率(モジュラス)(MPa)を測定した。
JIS K6251に準拠してゴムシートの3号ダンベル試験片の引張弾性率(モジュラス)(MPa)を測定した。
この発明に係るアクリル系ゴム成形体は、弾性に優れていて十分な強度を備えているので、例えばパッキン、シール材として好適に用いられるが、特にこれら用途に限定されるものではない。
Claims (10)
- 層状粘度鉱物を含有した溶媒中で、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含むモノマー成分の重合を行うことによって重合液を得る工程と、
前記重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とするアクリル系ゴム組成物の製造方法。 - 前記溶媒として、層状粘度鉱物の層間の交換性陽イオンと溶媒和して該層間内にインターカレートすることのできる溶媒を用いる請求項1に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
- 層状粘度鉱物を含有した水中で、アクリル酸エステル及び架橋点モノマーを含むモノマー成分の乳化重合を行うことによって乳化重合液を得る工程と、
前記乳化重合液に対して塩析を行う工程とを包含することを特徴とするアクリル系ゴム組成物の製造方法。 - 前記モノマー成分の全量100質量部に対して前記層状粘度鉱物を1〜200質量部混合せしめて重合を行って前記重合液を得る請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
- 前記層状粘度鉱物として、アミンで処理された層状粘度鉱物を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
- 前記層状粘度鉱物が、スメクタイト族粘土鉱物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
- 前記スメクタイト族粘土鉱物が、モンモリロナイトである請求項6に記載のアクリル系ゴム組成物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られたアクリル系ゴム組成物を架橋剤で架橋してなる架橋体からなるアクリル系ゴム成形体。
- アクリル系ゴムのマトリックス中に、層間で剥離して得られた層状粘度鉱物の剥離片が分散されてなることを特徴とするアクリル系ゴム組成物。
- 請求項9に記載のアクリル系ゴム組成物を架橋剤で架橋してなる架橋体からなるアクリル系ゴム成形体。
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- 2006-09-28 JP JP2006263793A patent/JP2008081620A/ja active Pending
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