JP2008075789A - インホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車輪と路面の接地点に作用する力を少ない個数のセンサで精度良く検出でき、しかもセンサをコンパクトに設置できるインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】 電動モータBの出力軸24と車両の車輪のハブ2とを減速機Cを介してまたは直接に同軸上に連結し、前記ハブ2を支持する軸受Aを設け、この軸受Aは内方部材2と外方部材1間に転動体5を介在させた転がり形式の軸受である車輪用軸受装置において、前記軸受Aの構成部品1の変位を検出する変位センサ53を設ける。この変位センサ53の出力から、前記ハブ2に取付けられた車輪と路面の接地点における、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力のうちの少なくとも1つの方向の力を演算する演算手段60を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 電動モータBの出力軸24と車両の車輪のハブ2とを減速機Cを介してまたは直接に同軸上に連結し、前記ハブ2を支持する軸受Aを設け、この軸受Aは内方部材2と外方部材1間に転動体5を介在させた転がり形式の軸受である車輪用軸受装置において、前記軸受Aの構成部品1の変位を検出する変位センサ53を設ける。この変位センサ53の出力から、前記ハブ2に取付けられた車輪と路面の接地点における、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力のうちの少なくとも1つの方向の力を演算する演算手段60を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ハブ軸受と減速機と電動モータとを組み合わせたインホイール型モータ内蔵車輪用軸受装置に関し、特にハブ軸受にかかる荷重を検出するセンサを設けたものに関する。
電気自動車等の車両の車輪用軸受装置として、ハブ軸受と減速機と電動モータとを組み合わせたインホイール型モータ内蔵車輪用軸受装置が注目されている(例えば、特許文献1,2)。このインホイール型モータ内蔵車輪用軸受装置を電気自動車の駆動輪に用いると、各駆動輪を個別に回転駆動させることができるため、プロペラシャフトやデファレンシャル等の大がかりな動力伝達機構が不要となり、車両の軽量化やコンパクト化が図れる。
特開2005−7914号公報
特開平5−332401号公報(第1〜3図)
特開2004−45219号公報
特開2004−198210号公報
インホイール型モータ内蔵車輪用軸受装置を実用化する場合、走行速度制御等のため各車輪の回転速度を測定することが不可欠であるのは勿論であるが、車両の走行安全性確保のために、車両走行時に各車輪に作用する荷重を測定して、その測定結果から車両の姿勢制御を行うことも考えられる。例えばコーナリングにおいては外側車輪に大きな荷重がかかり、また左右傾斜面走行では片側車輪に、ブレーキングにおいては前輪にそれぞれ荷重が片寄るなど、各車輪にかかる荷重は均等ではない。また、積載荷重不均等の場合にも各車輪にかかる荷重は不均等になる。このため、車輪にかかる荷重を随時検出できれば、その検出結果に基づき、事前にサスペンション等を制御することで、車両走行時の姿勢制御(コーナリング時のローリング防止、ブレーキング時の前輪沈み込み防止、積載荷重不均等による沈み込み防止等)を行うことが可能となる。
また、今後ステアバイワイヤが導入されて、車軸とステアリングが機械的に結合しないシステムになってくると、車軸方向荷重を検出して運転手が握るハンドルに路面情報を伝達することが求められる。
なお、エンジン駆動の自動車に用いられる一般的な車輪用軸受においては、温度センサ、振動センサ、センサユニット等のセンサを設置し、回転速度の他に、自動車の運行に役立つ他の状態を検出できるようにしたものが提案されている(例えば特許文献3,4)。
特許文献3に開示された技術では、車輪用軸受に加わる水平方向荷重Fx、回転軸方向荷重Fy、鉛直方向荷重Fz、水平軸回りのモーメント荷重Mx,回転軸回りのモーメント荷重My、鉛直軸回りのモーメント荷重Mzの各荷重を8個の変位センサより得られる信号によって、荷重の種類、方向、大きさを求めている。また、特許文献4に開示された技術では、温度変化に基づく熱膨張、熱収縮の影響を排除するために、各変位センサに対して、ラジアル方向またはスラスト方向に対向する別のセンサを設けている。
特許文献3に開示された技術では、車輪用軸受に加わる水平方向荷重Fx、回転軸方向荷重Fy、鉛直方向荷重Fz、水平軸回りのモーメント荷重Mx,回転軸回りのモーメント荷重My、鉛直軸回りのモーメント荷重Mzの各荷重を8個の変位センサより得られる信号によって、荷重の種類、方向、大きさを求めている。また、特許文献4に開示された技術では、温度変化に基づく熱膨張、熱収縮の影響を排除するために、各変位センサに対して、ラジアル方向またはスラスト方向に対向する別のセンサを設けている。
しかし、特許文献3,4に開示された技術では、精度良く、かつ温度変化に基づく影響を除去して、車輪用軸受に加わる各荷重を求めるには、少なくとも12個のセンサが必要となる。このように、荷重を測定するために付加する部品(センサ)が多く、コスト高ならびに重量増加が避けられない。また、センサが多くなることで後段に設置する検出回路および制御器の規模も大きくなることによっても、コスト高ならびに重量増加が避けられない。そのため、近年、車輪用軸受に求められる低コスト化、軽量化に対応することが難しい。
この発明の目的は、車輪と路面の接地点に作用する力を少ない個数のセンサで精度良く検出でき、しかもセンサをコンパクトに設置できるインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置を提供することである。
この発明のインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置は、電動モータの出力軸と車両の車輪のハブとを減速機を介してまたは直接に同軸上に連結し、前記ハブを支持する軸受を設け、この軸受は内方部材と外方部材間に転動体を介在させた転がり形式の軸受である車輪用軸受装置において、前記軸受の構成部品の変位を検出する変位センサを設け、この変位センサの出力から、前記ハブに取付けられた車輪と路面の接地点における、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力のうちの少なくとも1つの方向の力を演算する演算手段を設けたことを特徴とする。
車両走行に伴い車輪と路面の接地点に外力が作用し、その力が軸受に加わると、変位センサによる変位の検出対象である軸受の構成部品が変形する。この構成部品の変形による変位を変位センサが検出する。車輪と路面の接地点に作用する外力の大きさによって構成部品の変位量が異なるため、予め外力と変位の関係を実験やシミュレーションにて求めておけば、車輪と路面の接地点に作用する外力を算出することができる。演算手段は、このように実験やシミュレーションにより予め求めて設定しておいた外力と変位の関係から、変位センサの出力により、車輪と路面の接地点に作用する外力を演算する。車輪と路面の接地点に作用する外力は、前記接地点における互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力が複合されたものであるが、これら3軸方向の力のうちの少なくとも1つの方向の力を検出する。この検出した外力を車両の姿勢制御に使用することができる。
この発明において、外径面がテーパ状を成すリングを前記軸受の内方部材に取付け、前記変位センサは、前記リングのテーパ状の外面に対面して前記リングまでの距離を計測するものとすることができる。
この構成とすると、車輪と路面の接地点に作用する外力による荷重が軸受に作用して内方部材と外方部材間の距離が変化したときに、変位センサとリング間の距離が変化し、それが変位センサで検出される。このときの変位センサで検出される距離の変化は、前記リングのテーパ状の外径面に変位センサが対向しているため、ラジアル方向の変位成分とスラスト方向の変位成分とを含んだものとなる。そのため、温度変化に基づく熱膨張、熱収縮の影響を除去することが容易であり、温度センサを別に設ける必要がない。したがって、軸受にかかる荷重を少ない個数のセンサで精度良く検出することができる。このように軸受に変位センサを設置すると、変位センサの設置個数が少なくて済むため、車輪用軸受装置にコンパクトに外力検出用のセンサを設置でき、車輪と路面の接地点に作用する外力を安定して検出できる。
この構成とすると、車輪と路面の接地点に作用する外力による荷重が軸受に作用して内方部材と外方部材間の距離が変化したときに、変位センサとリング間の距離が変化し、それが変位センサで検出される。このときの変位センサで検出される距離の変化は、前記リングのテーパ状の外径面に変位センサが対向しているため、ラジアル方向の変位成分とスラスト方向の変位成分とを含んだものとなる。そのため、温度変化に基づく熱膨張、熱収縮の影響を除去することが容易であり、温度センサを別に設ける必要がない。したがって、軸受にかかる荷重を少ない個数のセンサで精度良く検出することができる。このように軸受に変位センサを設置すると、変位センサの設置個数が少なくて済むため、車輪用軸受装置にコンパクトに外力検出用のセンサを設置でき、車輪と路面の接地点に作用する外力を安定して検出できる。
内方部材の外周に前記リングを隣合わせて2個設け、両リングは互いにテーパ状の外径面の傾斜方向が反対向きとなるものとし、これら各リングに対面して前記変位センサを設けてもよい。また、前記変位センサを、上下2箇所に各リングにそれぞれ対面させて2個ずつ設け、かつ軸受軸心と直交する水平方向の左右2箇所に各リングにそれぞれ対面させて2個ずつ設けて、合計8個設けてもよい。
車輪の水平方向荷重(Fx)、回転軸方向荷重(Fy)、鉛直方向荷重(Fz)、水平軸回りのモーメント荷重(Mx)、回転軸回りのモーメント荷重(My)、鉛直軸回りのモーメント荷重(Mz)の各荷重かかかると、軸受の外方部材と内方部材間の距離が変化する。そのため、リングと変位センサ間の距離も変化し、その変化量が各変位センサより出力される。各変位センサの出力信号を演算することで、軸受に加わる荷重が求められる。
この場合に、1つの荷重を求めるために4つないし8つの変位センサから得られる信号を使用するため、より高精度な荷重検出が可能となる。この場合も、各変位センサは、テーパ状のリングに対してラジアル方向およびスラスト方向に対向して設置してあるため、温度変化に基づく熱膨張、熱収縮の影響を除去することも容易である。
この場合に、1つの荷重を求めるために4つないし8つの変位センサから得られる信号を使用するため、より高精度な荷重検出が可能となる。この場合も、各変位センサは、テーパ状のリングに対してラジアル方向およびスラスト方向に対向して設置してあるため、温度変化に基づく熱膨張、熱収縮の影響を除去することも容易である。
この発明のインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置は、電動モータの出力軸と車両の車輪のハブとを減速機を介してまたは直接に同軸上に連結し、前記ハブを支持する軸受を設け、この軸受は内方部材と外方部材間に転動体を介在させた転がり形式の軸受である車輪用軸受装置において、前記軸受の構成部品の変位を検出する変位センサを設け、この変位センサの出力から、前記ハブに取付けられた車輪と路面の接地点における、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力のうちの少なくとも1つの方向の力を演算する演算手段を設けたため、車輪と路面の接地点に作用する力を少ない個数のセンサで精度良く検出でき、しかもセンサをコンパクトに設置できる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図20と共に説明する。このインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置は、車輪のハブを回転自在に支持するハブ軸受Aと、回転駆動源としての電動モータBと、この電動モータBの回転を減速してハブに伝達する減速機Cとを組み合わせたものである。この実施形態では、ハブ軸受Aは、軸受の内方部材がハブの一部を構成する第3世代型の内輪回転タイプとされている。なお、この明細書において、車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
図1に示すように、ハブ軸受Aは、内周に複列の転走面3を形成した外方部材1と、これら各転走面3に対向する転走面4を形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の転走面3,4間に介在した複列の転動体5とで構成される。このハブ軸受Aは、複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体5はボールからなり、各列毎に保持器6で保持されている。上記転走面3,4は断面円弧状であり、各転走面3,4は接触角が外向きとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間のアウトボード側端は、シール部材7でシールされている。
外方部材1は静止側軌道輪となるものであって、減速機Cのアウトボード側のケーシング33bに取付けるフランジ1aを外周に有し、全体が一体の部品とされている。フランジ1aには、周方向の複数箇所に取付孔14が設けられている。外方部材1は、取付孔14に挿通した取付ボルト15により前記ケーシング33bに取付けられる。
内方部材2は回転側軌道輪となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するアウトボード側材9と、このアウトボード側材9の外周にアウトボード側が嵌合して加締めによってアウトボード側材9に一体化されたインボード側材10とでなる。これらアウトボード側材9およびインボード側材10に、前記各列の転走面4が形成されている。インボード側材10の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト16の挿入孔17が設けられている。アウトボード側材9のハブフランジ9aの根元部付近には、ホイールおよび制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。このパイロット部13の内周には、前記貫通孔11のアウトボード側端を塞ぐキャップ18が取付けられている。
ハブ軸受Aの内部空間における複列の転走面3,4に挟まれる位置には、車輪と路面の接地点に作用する力を検出するためのセンサユニット51が配置される。このセンサユニット51については後で詳しく説明する。
電動モータBは、筒状のケーシング22に固定したステータ23と出力軸24に取付けたロータ25との間にアキシアルギャップを設けたアキシアルギャップ型のものである。出力軸24は、減速機Cのインボード側のケーシング33aの筒部に2つの軸受26で片持ち支持されている。出力軸24とケーシング33a間の隙間のインボード側端は、シール部材27でシールされている。また、ケーシング22のインボード側の開口にはキャップ28が装着されている。
図1および図2に示すように、減速機Cはサイクロイド減速機として構成されている。すなわち、この減速機Cは、外形がなだらかな波状のトロコイド曲線で形成された2枚の曲線板34a,34bを、それぞれ軸受35を介して入力軸32の各偏心部32a,32bに装着し、インボード側とアウトボード側のケーシング33a,33b間に差し渡した複数の外ピン36で、各曲線板34a,34bの偏心運動を外周側で案内するとともに、内方部材2のインボード側材2Bに取付けた複数の内ピン38を、各曲線板34a,34bの内部に設けた複数の貫通孔39に嵌挿係合したものである。入力軸32は、電動モータBの出力軸24とスプライン結合されて一体に回転するようになっている。なお、入力軸32はインボード側のケーシング33aと内方部材2のインボード側材2Bの内径面とに2つの軸受40で両持ち支持されている。
電動モータBの出力軸24が回転すると、これと一体回転する入力軸32に取付けられた各曲線板34a,34bが偏心運動を行う。この各曲線板34a,34bの偏心運動が、内ピン38と貫通孔39との係合によって、車輪のハブである内方部材2に回転運動として伝達される。出力軸24の回転に対して内方部材2の回転は減速されたものとなる。例えば、1段のサイクロイド減速機で1/10以上の減速比を得ることができる。
前記2枚の曲線板34a,34bは、互いに偏心運動が打ち消されるように180°位相をずらして入力軸32の各偏心部32a,32bに装着され、各偏心部32a,32bの両側には、各曲線板34a,34bの偏心運動による振動を打ち消すように、各偏心部32a,32bの偏心方向と逆方向へ偏心させたカウンターウエイト41が装着されている。
図3に示すように、前記各外ピン36と内ピン38には軸受42,43が装着され、これらの軸受42,43の外輪42a,43aが、それぞれ各曲線板34a,34bの外周と各貫通孔39の内周とに転接するようになっている。したがって、外ピン36と各曲線板34a,34bの外周との接触抵抗、および内ピン38と各貫通孔39の内周との接触抵抗を低減し、各曲線板34a,34bの偏心運動をスムーズに内方部材2に回転運動として伝達することができる。
この車輪用軸受装置は、減速機Cのケーシング33bもしくは電動モータBのケーシング22の外周部に取付けたナックル、サスペンション(図示せず)等を介して車体に固定される。
前記センサユニット51は、外径面がテーパ状を成し内方部材2に固着された2つのリング52A,52Bと、これらリング52A,52Bのテーパ状外径面にそれぞれ対面するように外方部材1に設置される複数の変位センサ53(53S1,53S2,…)とでなる。前記両リング52A,52Bは、内方部材2のアウトボード側材9の転走面4よりもインボード側に設けられた小径外径面9bに軸方向に並べて圧入嵌合される。これらリング52A,52Bは、前記小径外径面9bのアウトボード側端における段面9cとインボード側材10のアウトボード側に向く端面とで挟まれることで、軸方向に位置決めされて固定される。
ここでは、アウトボード側に位置するリング52Aの外径面は、アウトボード側に向けて拡径変化するテーパ状とされ、インボード側に位置するリング52Bの外径面は、インボード側に向けて拡径変化するテーパ状とされている。すなわち、両リング52A,52Bの外径面の傾斜方向は互いに反対となるようにされている。なお、これらの両リング52A,52Bは別体とせず、一体の部品としてアウトボード側材9に圧入固着してもよい。
ここでは、アウトボード側に位置するリング52Aの外径面は、アウトボード側に向けて拡径変化するテーパ状とされ、インボード側に位置するリング52Bの外径面は、インボード側に向けて拡径変化するテーパ状とされている。すなわち、両リング52A,52Bの外径面の傾斜方向は互いに反対となるようにされている。なお、これらの両リング52A,52Bは別体とせず、一体の部品としてアウトボード側材9に圧入固着してもよい。
変位センサ53は、これと対面するリング52A,52Bとの間の距離を測定するものであって、図4のようにアウトボード側材9のハブフランジ9a側から見た状態で、鉛直方向(Z軸方向)の上側(車両に対して上側)と鉛直方向の下側(車両に対して下側)、および水平方向の車両に対して前後方向(X軸方向)の前進側と前後方向の後進側で、両リング52A,52Bの外径面にそれぞれ対面するように合計8個配置される。
すなわち、ハブ軸受Aの縦断面図を示す図5のように、一方のリング52Aの外径面の上側には変位センサ53S1が、下側には変位センサ53S3が配置され、他方のリング52Bの外径面の上側には変位センサ53S2が、下側には変位センサ53S4が配置される。また、ハブ軸受Aの水平断面図を示す図6のように、一方のリング52Aの外径面の前進側には変位センサ53Saが、後進側には変位センサ53Scが配置され、他方のリング52Bの外径面の前進側には変位センサ53Sbが、後進側には変位センサ53Sdが配置される。
すなわち、ハブ軸受Aの縦断面図を示す図5のように、一方のリング52Aの外径面の上側には変位センサ53S1が、下側には変位センサ53S3が配置され、他方のリング52Bの外径面の上側には変位センサ53S2が、下側には変位センサ53S4が配置される。また、ハブ軸受Aの水平断面図を示す図6のように、一方のリング52Aの外径面の前進側には変位センサ53Saが、後進側には変位センサ53Scが配置され、他方のリング52Bの外径面の前進側には変位センサ53Sbが、後進側には変位センサ53Sdが配置される。
ここでは、これら8個の変位センサ53はセンサ支持部材54に収容され、このセンサ支持部材54を外方部材1の内周における両列の転走面3,3の間に圧入固着することにより、外方部材1に設置されている。なお、センサ支持部材54を介在させずに外方部材1の内周に直接設置してもよい。
これら各変位センサ53の合計8種類の検出信号は、外方部材1にその外周から内周に貫通して設けられた貫通孔55に挿通させて配置されたハーネス56により、図示しない制御器に入力される。前記ハーネス56は、シール部材57によって外方部材1に固定されており、このシール部材57により、外部からの泥水等が前記貫通孔55を経てハブ軸受Aの内部に入らないようにしている。
これら各変位センサ53の合計8種類の検出信号は、外方部材1にその外周から内周に貫通して設けられた貫通孔55に挿通させて配置されたハーネス56により、図示しない制御器に入力される。前記ハーネス56は、シール部材57によって外方部材1に固定されており、このシール部材57により、外部からの泥水等が前記貫通孔55を経てハブ軸受Aの内部に入らないようにしている。
前記変位センサ53としては様々な種類のものを採用できるが、その一例として渦電流式のものを図7に示す。この変位センサ53は、樹脂製のセンサハウジング58上にコイル巻線59を渦巻状に配置したものである。コイル巻線59の渦巻は、1段あるいは2段以上の多段としてもよい。この場合の変位センサ53は、センサターゲットである前記リング52A,52Bの外径面との間の距離の変化(エアギャップ変化)に応じてコイル巻線59のインダクタンスが変わることを利用して変位を検出するリラクタンス方式のものである。
変位センサ53としては、この他に、磁石とアナログ出力の磁気検出素子(例えばホール素子)とを組み合わせた方式のものを用いてもよい。この場合、リング52A,52Bは強磁性体とする。前記した渦電流方式の場合には、後段に設置する信号処理のための電気回路のコストが高くなるが、ホールセンサのような磁気検出素子を利用した方式の場合にはコスト低減が可能となる。
上記構成のインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置の作用を説明する。電動モータBを回転駆動すると、電動モータBの出力軸24の回転が、減速機Cを介して車輪のハブである内方部材2に減速して伝達され、車輪が回転して車両が走行する。車両走行時には、車輪と路面の接地点より、車輪に力が加わる。その力は、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力が複合されたものである。この車輪と路面の接地点に作用する外力によりハブ軸受Aにかかる荷重をセンサユニット51が検出する。その検出の動作を以下に示す。
車両走中の内方部材2には、走行状況に応じて水平方向荷重(Fx)、回転軸方向荷重(Fy)、鉛直方向荷重(Fz)、水平軸回りのモーメント荷重(Mx)、回転軸回りのモーメント荷重(My)、鉛直軸回りのモーメント荷重(Mz)の6つの荷重が、タイヤおよびホイールを通じて負荷される。荷重が負荷されると、ハブ軸受Aの構成部品である内方部材2および外方部材1は互いに相対的に移動する。つまり、リング52A,52Bと変位センサ53の距離が変化する。センサユニット51は、その変化量を変位センサ53で測定し、その測定値を演算することにより、内方部材2に負荷された荷重の方向、大きさ等を求める。
変位センサ53はリング52A,52Bのテーパ状外径面に対面しているため、その距離の変化量は、水平方向(X軸方向)または鉛直方向(Z軸方向)の変位成分と回転軸方向(Y軸方向)の変位成分を含んでいる。変位センサ53とリング52A,52Bの距離がL、リング52A,52Bの外径面のテーパ角がαだとすると、水平方向(X軸方向)または鉛直方向(Z軸方向)の変位成分はL/cos α、回転軸方向(Y軸方向)の変位成分はL/sin αで表される(図8参照)。
図9は、例えば内方部材2に水平方向(X軸方向)荷重(Fx)が車両後側方向(X軸の負方向)に加わったときの検出説明図を示す。同図では、内方部材2に荷重が負荷された状態のリング52A,52Bを破線で示している。このとき、リング52A,52Bの外径面に対して水平方向に車両前進側に設置した変位センサ53Sa,53Sbでは、これらに対面するリング52A,52Bとの距離がそれぞれ広がる。一方、リング52A,52Bの外径面に対して水平方向の車両後進側に設置した変位センサ53Sc,53Sdでは、これらに対面するリング52A,52bとの距離がそれぞれ狭まる。
図10は、この状況での変位センサ53Sa付近を拡大して示す。このとき、水平方向荷重Fxにより各変位センサ53と対面するリング52A,52Bの距離がΔL変化したとし、また無負荷状態(図中に実線で示す)での距離より広がった場合を正、狭まった場合を負とする符号を付加すると、各変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sdの水平方向(X軸方向)の変位成分は以下のようになる。αはリング52A,52Bのテーパ角である。
変位センサ53Saの水平方向(X軸方向)の変位ΔSax=ΔL/cos α、
変位センサ53Sbの水平方向(X軸方向)の変位ΔSbx=ΔL/cos α、
変位センサ53Scの水平方向(X軸方向)の変位ΔScx=−ΔL/cos α、
変位センサ53Sdの水平方向(X軸方向)の変位ΔSdx=−ΔL/cos αとなる。
変位センサ53Saの水平方向(X軸方向)の変位ΔSax=ΔL/cos α、
変位センサ53Sbの水平方向(X軸方向)の変位ΔSbx=ΔL/cos α、
変位センサ53Scの水平方向(X軸方向)の変位ΔScx=−ΔL/cos α、
変位センサ53Sdの水平方向(X軸方向)の変位ΔSdx=−ΔL/cos αとなる。
これらの変位量により、内方部材2の外方部材1に対する移動距離は、内方部材2のX軸方向の変位をΔXとすると、以下の式で算出される。
ΔX=1/4×(ΔSsx+ΔSbx−ΔScx−ΔSdx)
=1/4×{(ΔL/cos α)+(ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)}
=ΔL/cos α
ΔX=1/4×(ΔSsx+ΔSbx−ΔScx−ΔSdx)
=1/4×{(ΔL/cos α)+(ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)}
=ΔL/cos α
つまり、4つの変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sdの出力より、水平方向荷重Fxによる内方部材2の外方部材1に対するX軸方向の変位のみを検出することが可能である。この検出した変位量を、予め実験やシミュレーション等により求めた変位から荷重を求める演算式に代入することにより、水平方向荷重Fxを算出する。このような演算は、ハーネス56に接続された演算手段60(図1)で行われる。4つの変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sdから検出しているため、その検出精度は良い。また、X軸およびY軸に対して対称に変位53Sa,53Sb,53Sc,53Sdを配置しているので、温度変化によるリング52A,52Bの熱収縮、熱膨張に対する変位の変化を容易に取り除くことができる。
図11は、内方部材2のアウトボード側材9に鉛直方向(Z軸方向)荷重(Fz)が車両に対して路面方向(Z軸の負方向)に加わったときの検出説明図を示す。同図では、内方部材2に荷重が負荷された状態のリング52A,52Bを破線で示している。このとき、リング52A,52Bの外径面に対して上側に設置した変位センサ53S1,53S2では、これらに対面するリング52A,52Bとの距離がそれぞれ広がる。一方、リング52A,52Bの外径面に対して下側に設置した変位センサ53S3,53S4では、これらに対面するリング52A,52Bとの距離がそれぞれ狭まる。
図12は、この状況での変位センサ53S1付近を拡大して示す。このとき、鉛直方向荷重Fzにより各変位センサ53と対面するリング52A,52Bの距離がΔL変化したとし、また無負荷状態(図中に実線で示す)での距離より広がった場合を正、狭まった場合を負とする符号を付加すると、各変位センサ53S1,53S2,53S3,53S4の鉛直方向(Z軸方向)の変位成分は以下のようになる。αはリング52A,52Bのテーパ角である。
変位センサ53S1の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS1z=ΔL/cos α、
変位センサ53S2の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS2z=ΔL/cos α、
変位センサ53S3の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS3z=−ΔL/cos α、
変位センサ53S4の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS4z=−ΔL/cos αとなる。
変位センサ53S1の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS1z=ΔL/cos α、
変位センサ53S2の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS2z=ΔL/cos α、
変位センサ53S3の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS3z=−ΔL/cos α、
変位センサ53S4の鉛直方向(Z軸方向)の変位ΔS4z=−ΔL/cos αとなる。
これらの変位量により、内方部材2の外方部材1に対する移動距離は、アウトボード側材9のZ軸方向の変位をΔZとすると、以下の式で算出される。
ΔZ=1/4×(ΔS1z+ΔS2z−ΔS3z−ΔS4z)
=1/4×{(ΔL/cos α)+(ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)}
=ΔL/cos α
ΔZ=1/4×(ΔS1z+ΔS2z−ΔS3z−ΔS4z)
=1/4×{(ΔL/cos α)+(ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)−(−ΔL/cos α)}
=ΔL/cos α
つまり、4つの変位センサ53S1,53S2,53S3,53S4の出力より、鉛直方向荷重Fzによる内方部材2の外方部材1に対するZ軸方向の変位のみを検出することが可能である。この検出した変位量を、予め実験やシミュレーション等により求めた変位から荷重を求める演算式に代入することにより、鉛直方向荷重Fzを算出する。このような演算は、ハーネス56に接続された演算手段60(図1)で行われる。4つの変位センサ53S1,53S2,53S3,53S4から検出しているため、その検出精度は良い。また、Z軸およびY軸に対して対称に変位53S1,53S2,53S3,53S4を配置しているので、温度変化によるリング52A,52Bの熱収縮、熱膨張に対する変位の変化を容易に取り除くことができる。
図13および図15は、内方部材2に回転軸方向(Y軸方向)荷重(Fy)が車両の外側方向(Y軸の負方向)に加わったときの検出説明図を示す。これらの図では、内方部材2に荷重が負荷された状態のリング52A,52Bを破線で示している。このとき、リング52A,52Bの外径面に対して車両の外側に設置した変位センサ53Sa,53Sc,53S1,53S3では、これらに対面するリング52A,52Bとの距離がそれぞれ広がる。一方、リング52A,52Bの外径面に対して車両の内側に設置した変位センサ53Sb,53Sd,53S2,53S4では、これらに対面するリング52A,52bとの距離がそれぞれ狭まる。
図14および図16は、この状況での変位センサ53Saおよび変位センサ53S1付近を拡大して示す。このとき、回転軸方向荷重Fyにより各変位センサ53と対面するリング52A,52Bの距離がΔL変化したとし、また無負荷状態(図中に実線で示す)での距離より広がった場合を正、狭まった場合を負とする符号を付加すると、各変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sd,53S1,53S2,53S3,53S4の回転軸方向(Y軸方向)の変位成分は以下のようになる。αはリング52A,52Bのテーパ角である。
変位センサ53Saの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔSay=ΔL/sin α、
変位センサ53Sbの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔSby=−ΔL/sin α、
変位センサ53Scの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔScy=ΔL/sin α、
変位センサ53Sdの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔSdy=−ΔL/sin α、
変位センサ53S1の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS1y=ΔL/sin α、
変位センサ53S2の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS2y=−ΔL/sin α、
変位センサ53S3の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS3y=ΔL/sin α、
変位センサ53S4の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS4y=−ΔL/sin αとなる。
変位センサ53Saの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔSay=ΔL/sin α、
変位センサ53Sbの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔSby=−ΔL/sin α、
変位センサ53Scの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔScy=ΔL/sin α、
変位センサ53Sdの回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔSdy=−ΔL/sin α、
変位センサ53S1の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS1y=ΔL/sin α、
変位センサ53S2の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS2y=−ΔL/sin α、
変位センサ53S3の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS3y=ΔL/sin α、
変位センサ53S4の回転軸方向(Y軸方向)の変位ΔS4y=−ΔL/sin αとなる。
これらの変位量により、内方部材2の外方部材1に対する移動距離は、内方部材2のY軸方向の変位をΔYとすると、以下の式で算出される。
ΔY=1/8×(ΔSay−ΔSby+ΔScy−ΔSdy+ΔS1y−ΔS2y+ΔS3y−ΔS4y)
=1/8×{(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)+(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)+(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)+(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)}
=ΔL/sin α
ΔY=1/8×(ΔSay−ΔSby+ΔScy−ΔSdy+ΔS1y−ΔS2y+ΔS3y−ΔS4y)
=1/8×{(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)+(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)+(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)+(ΔL/sin α)−(−ΔL/sin α)}
=ΔL/sin α
つまり、8つの変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sd,53S1,53S2,53S3,53S4の出力より、回転軸方向荷重Fyによる内方部材2の外方部材1に対するY軸方向の変位のみを検出することが可能である。この検出した変位量を、予め実験やシミュレーション等により求めた変位から荷重を求める演算式に代入することにより、回転軸方向荷重Fyを算出する。このような演算は、ハーネス56に接続された演算手段60(図1)で行われる。8つの変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sd,53S1,53S2,53S3,53S4から検出しているため、その検出精度は良い。また、X軸、Y軸およびZ軸に対して対称に変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sd,53S1,53S2,53S3,53S4を配置しているので、温度変化によるリング52A,52Bの熱収縮、熱膨張に対する変位の変化を容易に取り除くことができる。
図17は、内方部材2に水平軸(X軸)回りのモーメント荷重(Mx)が加わったときの検出説明図を示す。同図では、内方部材2に荷重が負荷された状態のリング52A,52Bを破線で示している。このとき、垂直面内に配置される4つ変位センサ53S1,53S2,53S3,53S4のうち、X軸を中心として斜めに配置される2つの変位センサ53S1,53S3と、これらに対面するリング52A,52Bとの距離はそれぞれ広がる。一方、同じくX軸を中心として斜めに対向して配置される残る2つの変位センサ53S2,53S4と、これらに対面するリング52A,52bとの距離はそれぞれ狭まる。
図18は、この状況での変位センサ53S1付近を拡大して示す。このとき、水平軸(X軸)回りのモーメント荷重Mxにより各変位センサ53と対面するリング52A,52Bの距離がΔL変化したとし、また無負荷状態(図中に実線で示す)での距離より広がった場合を正、狭まった場合を負とする符号を付加すると、各変位センサ53S1,53S2,53S3,53S4の変位成分は以下のようになる。
変位センサ53S1の変位ΔS1=ΔL、
変位センサ53S2の変位ΔS2=−ΔL、
変位センサ53S3の変位ΔS3=−ΔL、
変位センサ53S4の変位ΔS4=ΔLとなる。
変位センサ53S1の変位ΔS1=ΔL、
変位センサ53S2の変位ΔS2=−ΔL、
変位センサ53S3の変位ΔS3=−ΔL、
変位センサ53S4の変位ΔS4=ΔLとなる。
これらの変位量により、内方部材2の外方部材1に対するZ軸回りの回転角度θに対応する変位ΔZθは、以下の式で算出される。
ΔZθ=1/4×(ΔSa−ΔSb−ΔSc+ΔS4d)
=1/4×{(ΔL)−(−ΔL)−(−ΔL)+(ΔL)}
=ΔL
ΔZθ=1/4×(ΔSa−ΔSb−ΔSc+ΔS4d)
=1/4×{(ΔL)−(−ΔL)−(−ΔL)+(ΔL)}
=ΔL
つまり、4つの変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sdの出力より、モーメント荷重Mzによる内方部材2の外方部材1に対するZ軸回りの回転角度θに対応する変位を検出することが可能である。この検出した変位量を、予め実験やシミュレーション等により求めた変位から荷重を求める演算式に代入することにより、モーメント荷重Mzを算出する。このような演算は、ハーネス56に接続された演算手段60(図1)で行われる。4つの変位センサ53Sa,53Sb,53Sc,53Sdから検出しているため、その検出精度は良い。また、X軸およびY軸に対して対称に変位53Sa,53Sb,53Sc,53Sdを配置しているので、温度変化によるリング52A,52Bの熱収縮、熱膨張に対する変位の変化を容易に取り除くことができる。
さらに、内方部材2に回転軸(Y軸)回りのモーメント荷重(My)が加わったときには、以下のようにしてモーメント荷重Myが検出される。
すなわち、前記モーメント荷重Myは、上述した検出方向で求められる鉛直方向(Z軸方向)荷重Fzと内方部材2に固定されたタイヤ(図示せず)の半径Rとの積、つまり
モーメント荷重My=Fz×R
として求められる。このような演算は、ハーネス56に接続された演算手段(図1)で行われる。
すなわち、前記モーメント荷重Myは、上述した検出方向で求められる鉛直方向(Z軸方向)荷重Fzと内方部材2に固定されたタイヤ(図示せず)の半径Rとの積、つまり
モーメント荷重My=Fz×R
として求められる。このような演算は、ハーネス56に接続された演算手段(図1)で行われる。
このように、センサユニット51により、ハブ軸受Aの構成部品である内方部材2および外方部材1の変位(正確には両部材1,2の相互間距離の変化)を変位センサ53で測定することで、車両走中の内方部材2に負荷される水平方向荷重(Fx)、回転軸方向荷重(Fy)、鉛直方向荷重(Fz)、水平軸回りのモーメント荷重(Mx)、回転軸回りのモーメント荷重(My)、および鉛直軸回りのモーメント荷重(Mz)を検出することができる。この検出結果から、車輪と路面の接地点における、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力を求めることができる。センサユニット51から得られた角度検出値や荷重検出値は自動車のECU(電気制御ユニット)に取り込まれ、自動車の走行安定制御に利用される。また、ステアバイワイヤシステムでの路面情報伝達にも応用が可能である。
図21はこの発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、電動モータBを、ケーシング102に固定したステータ103と出力軸104に取付けたロータ105との間にラジアルギャップを設けたラジアルギャップ型としたものである。出力軸104は、減速機Cの入力軸32にスプライン結合されている。電動モータB以外は、第1の実施形態と同じ構成である。この第2の実施形態も、ハブ軸受Aの内部空間における複列の転走面3,4に挟まれる位置にセンサユニット51が設けられている。これにより、車輪と路面の接地点で車輪に作用する力を測定して、車両の姿勢制御を行うことができる。
図22はこの発明の第3の実施形態を示す。この実施形態は、減速機Cを遊星減速機としたものである。電動モータBは、第2の実施形態と同様に、ラジアルギャップ型とされている。遊星減速機Cは、入力軸112の外周に太陽歯車113を一体に設け、この太陽歯車113と減速機のアウトボード側ケーシング33bの内周に設けた内歯114とに噛み合う複数の遊星歯車115を、内方部材2のインボード側材10に取付けた内ピン118で回転自在に支持させてある。この遊星減速機によっても、電動モータBの出力軸104の回転をハブである内方部材2に減速して伝達することができる。しかし、サイクロイド減速機ほど大きな減速比は得られない。この第3の実施形態も、ハブ軸受Aの内部空間における複列の転走面3,4に挟まれる位置にセンサユニット51が設けられている。これにより、車輪と路面の接地点で車輪に作用する力を測定して、車両の姿勢制御を行うことができる。
なお、前記各実施形態では、ハブ軸受Aと電動モータBとの間に減速機Cを設けた構成としたが、場合によっては、減速機を設けずに、電動モータの出力軸と車輪のハブとを直接に連結する構成としてもよい。
さらに、前記各実施形態ではハブ軸受Aが第3世代型である車輪用軸受装置に適用した場合につき説明したが、この発明は、ハブ軸受Aの内方部材と車輪のハブとが互いに独立した第1または第2世代型の車輪用軸受装置にも適用することができる。さらに、ハブ軸受Aが各世代形式のテーパころタイプである車輪用軸受装置にも適用することができる。
さらに、前記各実施形態ではハブ軸受Aが第3世代型である車輪用軸受装置に適用した場合につき説明したが、この発明は、ハブ軸受Aの内方部材と車輪のハブとが互いに独立した第1または第2世代型の車輪用軸受装置にも適用することができる。さらに、ハブ軸受Aが各世代形式のテーパころタイプである車輪用軸受装置にも適用することができる。
1…外方部材
2…内方部材(ハブ)
5…転動体
51…センサユニット
52A,52B…リング
53…変位センサ
60…演算手段
A…ハブ軸受
B…電動モータ
C…減速機
2…内方部材(ハブ)
5…転動体
51…センサユニット
52A,52B…リング
53…変位センサ
60…演算手段
A…ハブ軸受
B…電動モータ
C…減速機
Claims (4)
- 電動モータの出力軸と車両の車輪のハブとを減速機を介してまたは直接に同軸上に連結し、前記ハブを支持する軸受を設け、この軸受は内方部材と外方部材間に転動体を介在させた転がり形式の軸受である車輪用軸受装置において、
前記軸受の構成部品の変位を検出する変位センサを設け、この変位センサの出力から、前記ハブに取付けられた車輪と路面の接地点における、互いに直交する上下方向、左右方向、および前後方向の3軸方向の力のうちの少なくとも1つの方向の力を演算する演算手段を設けたことを特徴とするインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置。 - 請求項1において、外径面がテーパ状を成すリングを前記軸受の内方部材に取付け、前記変位センサは、前記リングのテーパ状の外面に対面して前記リングまでの距離を計測するものとしたインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置。
- 請求項2において、内方部材の外周に前記リングを隣合わせて2個設け、両リングは互いにテーパ状の外径面の傾斜方向が反対向きとなるものとし、これら各リングに対面して前記変位センサを設けたインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置。
- 請求項3において、前記変位センサを、上下2箇所に各リングにそれぞれ対面させて2個ずつ設け、かつ軸受軸心と直交する水平方向の左右2箇所に各リングにそれぞれ対面させて2個ずつ設けて、合計8個設けたインホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006256715A JP2008075789A (ja) | 2006-09-22 | 2006-09-22 | インホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006256715A JP2008075789A (ja) | 2006-09-22 | 2006-09-22 | インホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008075789A true JP2008075789A (ja) | 2008-04-03 |
Family
ID=39348071
Family Applications (1)
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JP2006256715A Pending JP2008075789A (ja) | 2006-09-22 | 2006-09-22 | インホイール型モータ内蔵センサ付き車輪用軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008075789A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011027719A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-02-10 | Ntn Corp | 自動車駆動用モータの回転角度検出装置および回転角度検出装置付き軸受 |
CN113820122A (zh) * | 2021-08-20 | 2021-12-21 | 浙江机电职业技术学院 | 一种轮毂单元密封圈转矩测试台 |
-
2006
- 2006-09-22 JP JP2006256715A patent/JP2008075789A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113820122A (zh) * | 2021-08-20 | 2021-12-21 | 浙江机电职业技术学院 | 一种轮毂单元密封圈转矩测试台 |
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