以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1は弾球遊技機(パチンコ遊技機)の遊技盤1の正面図である。
この遊技盤1の表面において、ガイドレール2で囲われた部分が遊技領域3となる。遊技領域3のほぼ中央には、遊技の進行に対応した画像を表示する可変表示装置(特別図柄表示装置)4が備えられる。可変表示装置4の表示画面部分は、例えばLCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等から構成される(本実施形態ではLCDを用いている)。この可変表示装置4の画像表示は、表示制御装置40(図2参照)により制御される。
可変表示装置4の下方には、特別変動入賞装置(大入賞口)5が配設される。この特別変動入賞装置5の直ぐ上方には、電動式ゲート(普通変動入賞装置)6を有する始動口7が配設され、始動口7には入賞球を検出する特別図柄始動スイッチ30(図2参照)が設けられる。始動口7への遊技球の入賞タイミングは、入賞記憶として遊技制御装置20(図2参照)に記憶されるとともに、この入賞記憶の数が、可変表示装置4の上部の特別図柄記憶表示器8に表示される。遊技制御装置20は、この入賞記憶に基づき、大当たり発生の抽選を行う。
この大当たりの抽選のたびに、可変表示装置4の画像表示は可変状態となる。具体的には、表示画面の複数の表示領域(例えば3つの表示領域)のそれぞれに表示された識別情報(特別図柄)が変動(例えばスクロール)させられる。そして、抽選により遊技が大当たり状態となると、変動した各識別情報が所定の組み合わせで停止するとともに、特別変動入賞装置5が、所定期間にわたって、球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換され、遊技者により多くの賞球獲得のチャンスが与えられる。
特別変動入賞装置5内には、特別変動入賞装置5への入賞球数をカウントするカウントスイッチ31(図2参照)ならびに特別変動入賞装置5内に設けられた継続入賞口への入賞球を検出する継続スイッチ32(図2参照)が備えられる。
上記の開状態は、このカウントスイッチ31により検出される特別変動入賞装置5への所定数(例えば10個)の入賞または所定時間の経過(例えば30秒)を1単位(1ラウンド)として実行される。そして、各ラウンドにおいて特別変動入賞装置5への所定数の入賞があり、かつ継続スイッチ32により検出される継続入賞口への入賞がある限り、ラウンドは所定の上限値(例えば16ラウンド)まで繰り返されるようになっている。
始動口7の基部には、例えば一桁の数字である普通図柄を表示する普通図柄表示器10が配設される。そして、普通図柄始動スイッチ(普通図柄始動センサ)33(図2参照)により検出される、遊技領域に配設された通過口11への遊技球の通過(普通図柄始動記憶)に基づき、普通図柄表示器10における可変表示および遊技制御装置20における普通図柄に関する抽選が行われる。この普通図柄に関する抽選が当たりとなると、普通図柄表示器10が所定の当たり図柄で停止するとともに、始動口7の電動ゲート6が開かれる。なお、通過口11を遊技球が通過したタイミングを示す普通図柄始動記憶は、遊技制御装置20に記憶され、その記憶数は、普通図柄表示器8の回りの普通図柄記憶表示器12に表示されようになっている。
遊技領域3には、以上の構成のほかに、一般入賞口13、14、遊技球の転動誘導部材(風車)15、サイドランプ16を初めとする装飾ランプ71(図2参照)等が配設される。なお、このサイドランプ16は異常報知ランプを兼ねており、点滅パターンの変更により不正行為等の異常発生を報知する。また、遊技領域3に配設される遊技釘の大部分および複数の装飾LED72(図2参照)は、図示から省略されている。
遊技機の下部には、図示されない打球発射装置の操作部が配設され、その操作によって遊技球(パチンコ球)が1個ずつ遊技領域へ打ち出される。
図2は、弾球遊技機の遊技制御装置20を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
図示されるように、遊技制御装置20は、ROM21A、RAM21Bを内蔵した演算処理装置21、入力インターフェイス22、出力インターフェイス23、発振器24、リセット信号生成回路25等から構成される。
演算処理装置21には、始動口7の特別図柄始動スイッチ(特別図柄始動センサ)30、特別変動入賞装置5内のカウントスイッチ(カウントセンサ)31および継続スイッチ(継続センサ)32、通過口11の普通図柄始動ゲートスイッチ(普通図柄始動センサ)33、セーフセンサ34からの信号が入力される。ここで、セーフセンサ34とは、各入賞装置(特別変動入賞装置5、始動口7、一般入賞口13、14)に入賞した遊技球(入賞球)が、図示されないセーフユニットに集められて来たときに、この入賞球を検出するセンサである。
演算処理装置21は、これらの検出信号に基づいて、ROM21Aに格納されたプログラム(遊技プログラム)により、所定のシーケンスを単位として、弾球遊技機における遊技の統括的な制御(遊技制御)を行う。
具体的に、演算処理装置21は、大当たりの抽選(上記の入賞記憶に基づく、始動口7への遊技球の入賞が大当たりのタイミングにおいてなされた否かの判定)、表示制御装置40への指令信号(図柄関連指令信号、背景関連指令信号、キャラクタ関連指令信号)の送信による可変表示装置4の表示制御、普通図柄表示器10、特別図柄記憶表示器8、普通図柄記憶表示器12の各表示の制御、特別変動入賞装置5の駆動用ソレノイド(特別変動入賞装置ソレノイド)35および始動口7の電動式ゲート6の駆動用ソレノイド(普通変動入賞装置ソレノイド)36への制御信号の送信による特別変動入賞装置5、電動式ゲート6の開閉制御、装飾ランプ71、装飾LED72の点滅動作の制御、音制御装置50への指令信号(音指令情報)の送信によるスピーカ51からの音声出力の制御、球排出制御装置60への賞球指令情報の送信による球排出装置61からの賞球および貸球の排出の制御を行う。なお、演算処理装置21からの上記各種制御信号は、出力インターフェース23のポートに出力され、通信用フォーマットに変換されてから、各種制御装置に送信される。
リセット信号生成回路25は、発振回路24のクロックパルスを分周して一定周期(例えば、2msec)のリセット割込信号を生成し、演算処理装置21のリセット端子に入力する。演算処理装置21は、このリセット割込信号の入力毎に、遊技プログラムを予め定めた所定番地から実行する。前述した遊技制御の1シーケンスの処理は、このリセット割込信号の割込時間(信号周期)内に納まるように構成されている。なお、この演算処理装置21のリセットは、演算処理装置21内でソフト的にかけることもできる。
遊技制御装置20は、遊技店のホールコンピュータ(中央管理装置)70に接続され、大当たりが発生したときの大当たり信号、確率変動状態への移行を示す確率変動信号、可変表示装置4における図柄停止を示す図柄停止信号、異常信号等が、ホールコンピュータ80に送信される。
図3は、遊技制御装置20から表示制御装置40に送信される図柄関連指令信号(識別情報関連指令信号)のデータ内容を示す図表である。
図柄関連指令信号は、例えば3バイトデータで構成され、図示されるように、それぞれ1バイトデータからなる、図柄選択データ、動作選択データ、図柄番号データを備えている。
図柄選択データは、その図柄関連指令信号が可変表示装置4の左、中、右の3つの表示領域(左図柄、中図柄、右図柄)のいずれに関するものであるかを示すコードで、左図柄に関する指令信号であれば01Hが、右図柄に関する指令信号であれば02Hが、中図柄に関する指令信号であれば03Hが、それぞれ対応する。すなわち、図柄関連指令信号は、図柄選択データが01H、02H、03Hのいずれであるかにしたがって、それぞれ3バイト構成の左図柄関連指令信号、右図柄関連指令信号、中図柄関連指令信号となる。なお、左図柄関連指令信号、右図柄関連指令信号、中図柄関連指令信号は同一の信号線上で送信され、各々異なるタイミングで出力される。
図柄番号データは、どの図柄番号を表示するかを決定するコードであり、可変表示装置4には、図柄番号データの16進データに対応する16進数が画像表示される。
動作選択データは、画像表示における図柄の動作内容の選択(変化)を指示するコードである。具体的には、01Hは図柄表示の変動態様を「停止動作」とする変化を、また02Hは表示図柄を図柄番号データで指示された図柄に差し替える差し替え動作を、また03Hは図柄表示の変動態様を「低速変動」とする変化を、また04Hは図柄表示の変動態様を「中速変動」とする変化を、また05Hは図柄表示の変動態様を「高速変動」とする変化を、また06Hは図柄表示の変動態様を「揺れ動作」とする変化を、また07Hは図柄表示の変動態様を「回転動作」とする変化を、また08Hは図柄表示の変動態様を「一旦停止」とする変化を、それぞれ指示するものである。
ここで「低速変動」、「中速変動」、「高速変動」とは、いずれも、図柄を縦方向にスクロール変動させながら可変表示装置4の画面に次々と表示して行く動作である。そして、「低速変動」では例えば1図柄あたり800ミリ秒程度のゆっくりしたスクロール変動が、また「中速変動」では例えば1図柄あたり64ミリ秒程度の中程度の速度のスクロール変動が、また「高速変動」では遊技者には図柄番号が識別できない程度の高速度のスクロール変動が、それぞれ表示される。また、「揺れ動作」とは、図柄が上下方向にわずかに揺れる動作である(なお、遊技者には図柄が停止していると認識される場合が多い)。また、「回転動作」とは、図柄が上下方向の中心軸を中心としてあたかも回転しているように見える動作である。
なお、遊技制御装置20から表示制御装置40への指令信号としては、このような図柄関連指令信号の他、背景関連指令信号、キャラクタ関連指令信号が送信される。
図4〜図6は、それぞれ、遊技制御装置20から表示制御装置40への図柄関連指令信号の送信形態例を示すタイミングチャートである。なお、図柄関連指令信号の送信は図18に示した従来例のようにおこなってもよいが、この図4〜図6に示すような送信形態を用いることにより、送信の確実性を向上させることができる。
図4のタイミングチャートに示す送信形態では、図柄関連指令信号を構成する各1バイトの図柄選択データ、動作選択データ、図柄番号データは、ストローブ信号と同期して順次送信される。この場合、表示制御装置40に送信された各送信データは所定期間にわたってデータ内容が同一内容に保持され、表示制御装置40は、この同一内容に保持されているべきデータの内容を、所定の時間間隔をもって3回づつ読み込む構成となっている。すなわち、表示制御装置40においては、図柄選択データの送信では、同一内容であるべき図柄選択データが順次A1、A2、A3として読み込まれ、また動作選択データの送信では、同一内容であるべき動作選択データB1、B2、B3が順次読み込まれ、さらにこれに続く図柄番号データの送信では、同一内容であるべき図柄番号データC1、C2、C3が順次読み込まれることになる。
このような送信を受けた(送信データの読み込みを行った)表示制御装置40は、図柄選択データ、動作選択データ、図柄番号データのそれぞれについて、送信された(別個に読み込まれた)3つのデータ値を比較し、送信された同一内容であるべきデータの総数3個のうち、過半数(総数の1/2よりも大きな整数)である2個以上のデータ値が同一であれば、そのデータを正しいデータとして受け入れる。これにより、図柄関連指令信号にノイズ等が作用してデータの破壊が起こった場合でも、表示制御装置40において正しい値の送信データを受信し得る確率が高められる。
一方、同一値のデータが2つ以上ない場合には、表示制御装置40は、指令伝達に異常が発生したとの判定を行うことになる。したがって、指令伝達についての異常発生は、表示制御装置40において直ちに判定される。
図5のタイミングチャートに示す送信形態においては、3種類の送信データ(図柄選択データ、動作選択データ、図柄番号データ)はそれぞれストローブ信号と同期して順次送信されるが、この3種類の送信データの順次送信は、同一内容であるべきデータ(同一内容のデータ)の送信が3回にわたって繰り返される。すなわち、図柄選択データA1、動作選択データB1、図柄番号データC1の順次送信に引き続いて、図柄選択データA2、動作選択データB2、図柄番号データC2が順次送信され、さらに図柄選択データA3、動作選択データB3、図柄番号データC3が順次送信される。
表示制御装置40は、このようにして送信されてきた図柄選択データ、動作選択データ、図柄番号データを受信し、それぞれの同一内容であるべき3つのデータ(例えば図柄選択データA1と図柄選択データA2と図柄選択データA3の3つのデータは、ノイズ等で破壊されない限りそれぞれ同一内容であるべきデータとなる。動作選択データB1、B2、B3や、図柄番号データC1、C2、C3も同様である。)について、上記図4の送信形態の場合と同様の処理を行う。
図6のタイミングチャートに示す送信形態においては、遊技制御装置20と表示制御装置40との間には3本の信号線が備えられ、これらの信号線を介して同一内容であるべき(同一内容の)図柄関連指令信号P、Q、Rがパラレル通信で送信される。すなわち、ストローブ信号と同期しつつ、第1の信号線では図柄選択データA1、動作選択データB1、図柄番号データC1が順次送信され、また第2の信号線では図柄選択データA2、動作選択データB2、図柄番号データC2が順次送信され、また第3の信号線では図柄選択データA3、動作選択データB3、図柄番号データC3が順次送信される。送信されてきた3つのデータは、上記図4、図5の送信形態の場合と同様に表示制御装置40で同一内容であるべきデータとして受信され、同様に処理される。
なお、上記図4〜図6の各送信形態においては同一内容であるべき送信データの総数は3個とされたが、本発明はこのような形態に限られるものではない。すなわち、同一内容であるべき送信データの個数は、任意の複数個であればよい。この場合には、同一内容であるべき複数個のデータのうち所定個数(例えば過半数となる個数)以上のデータ値が同一であれば、そのデータを正しいものとして受け入れる。一方、同一値を示すデータがこの所定個数に達しない場合には、指令伝達に異常が発生したと判定すればよい。
また、上記図4〜図6のタイミングチャートでは省略したが、図柄関連指令信号が通信割り込み要求信号ごとに送信されるのは、図18に示した従来例と同様である。
図7は、表示制御装置40の構成を示すブロック構成図である。
図示されるように、表示制御装置40は、CPU41、ROM41、RAM43、DMA44、入力インターフェイス45、出力インターフェース46、VDP47、可変表示装置4の画像データを格納したフォントROM48、クロック59等から構成される。
CPU41は、入力インターフェイス45を介して遊技制御装置20からの通信割り込みを受けると、遊技制御装置20からの指令信号の読み込みを行うとともに、この指令信号に基づいて画面情報(各図柄の変動表示データ、背景画面情報、動画キャラクタ画面情報など)を作成して、RAM43に記憶する。
この画面情報は、VDP47からCPU41への垂直同期割り込みのタイミングで、VDP47から転送指令を受けたDMA44により、VDP47に転送される。VDP47は、この画像情報に基づき、フォントROM48の該当画像データを取り込み、可変表示装置4の画面に水平走査、垂直走査を行って所定の画像表示を行う。
なお、遊技制御装置20と表示制御装置40との通信は、遊技制御装置20から表示制御装置40への一方向通信のみが可能とされている。これにより、表示制御装置40側から遊技制御装置20に不正な信号が送り込まれる不正行為を防止することができるとともに、検査機関による遊技制御装置20の検査を容易化することができるようになっている。
また、CPU41は、左、右、中の各図柄表示に関する異常状態発生の検出用のタイマ(左図柄用監視タイマ、右図柄用監視タイマ、中図柄用監視タイマ)を備えている。これらのタイマは、クロック49からのクロック信号に同期して更新され、図柄関連指令信号の送信からの経過時間を監視する。そして、CPU41は、前回の図柄関連指令信号において指示された内容(図3参照)に対応してあらかじめ記憶されている設定時間(図8参照)の範囲内に、同一図柄に関する次回の図柄関連指令信号が来るか否かを判定し、次回の図柄関連指令信号が設定範囲内になかった場合には、図柄表示に関する異常状態が発生したと判断して、異常対応処理を実行する(図11のフローチャート参照)。
この異常対応処理では、表示制御装置40による可変表示装置4の表示において、異常状態が発生した図柄表示を隠してしまう処理、または異常状態の発生した図柄を高速変動とする処理、総ての図柄を停止させたうえで遊技者に異常状態発生を知らせるメッセージを表示する処理、図柄表示(または画面表示全体)を消したうえで遊技者に異常状態発生を知らせるメッセージを表示する処理等が、選択的に実行される。なお、これらの異常対応処理の詳しい内容については、後述の本実施の形態の作用の説明において説明する。
図8は、表示制御装置40のCPU41に備えられた監視タイマ(左図柄用監視タイマ、右図柄用監視タイマ、中図柄用監視タイマ)の設定時間の一例を示す図表である。
図示されるように、設定時間は図柄関連指令信号のデータ内容ごとに設定され、例えば左図柄の差し替えを指示する左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=02H、図柄番号データは任意)の場合には、この左図柄関連指令信号の送信から最小時間16ミリ秒から最大時間64ミリ秒の間に次回の左図柄関連指令信号の送信がない場合には、左図柄表示に関する異常状態の発生との判定がなされる。
図9、図10は、遊技制御装置20における遊技制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、前述したように、1シーケンスの遊技制御は一定周期のリセット割り込み信号毎に実行されるようになっている。
ステップS1では電源投入判定処理が実行され、リセット信号生成回路25からのリセット割り込み信号が電源投入後の最初のものであるか否かが判定され、電源投入後の最初のものであると判定された場合には、ステップS2に進む。
ステップS2の初期化処理では、RAM21Bの検査用データ領域に所定値を格納する処理や、演算処理装置21のレジスタを初期化する処理が実行され、そのままルーチンを終了する。
一方、ステップS1でリセット割り込み信号が電源投入後の最初のものでないと判定された場合には、ステップS3に進み、スイッチ読み込み処理が実行される。このスイッチ読み込み処理では、各種センサ(特別図柄始動センサ30、カウントセンサ31、継続センサ32、普通図柄始動センサ33、セーフセンサ34)から入力インターフェース22のポートに入力された検出データを、チャタリング除去等の処理をして演算処理装置21内へ読み込む。
ステップS4では、ポート出力処理が実行され、演算処理装置21のバッファ内の各種制御用出力データが、出力インターフェース23のポートに出力される。
ステップS5ではイベントカウンタ更新処理が実行され、演算処理装置21内に備えられたイベントカウンタのカウンタ値を+1更新する。ここで、イべントカウンタとは、後述するステップS6、ステップS11、ステップS12の時分割処理における分岐を決定するものであり、例えば0〜7の範囲で循環して更新される8進カウンタからなる。
ステップS6は時分割処理であり、イベントカウンタの値に応じて対応する処理が選択的に実行される。
具体的には、イベントカウンタ値が2の場合にはステップS6.2の左図柄関連指令ポート出力処理が、またイベントカウンタ値が3の場合にはステップS6.3の右図柄関連指令ポート出力処理が、またイベントカウンタ値が4の場合にはステップS6.4の中図柄関連指令ポート出力処理が、それぞれ実行される。さらに、イベントカウンタ値が5の場合にはステップS6.5の背景関連指令ポート出力処理が、またイベントカウンタ値が6の場合にはステップS6.6のキャラクタ関連指令ポート出力処理が、またイベントカウンタ値が7の場合にはステップS6.7の音指令情報ポート出力処理が、それぞれ実行される。これらの指令ポート出力処理では、遊技の状態に応じて編集された各種指令信号のデータ(左図柄関連指令信号のデータ、右図柄関連指令信号のデータ、中図柄関連指令信号のデータ、背景関連指令信号のデータ、キャラクタ関連指令信号のデータ、音指令情報)が、それぞれ出力インターフェース23のポートに出力される。ポートに出力されたデータは、通信用のフォーマットに変換されて各種制御装置に出力される。なお、イベントカウンタ値が0、1の場合には処理は行われない。
ステップS7では、スイッチ読み込み情報対応処理が実行される。このスイッチ読み込み情報対応処理では、特別図柄始動センサ30の入賞処理、普通図柄始動センサ33の入賞処理、カウントセンサ31による検出に基づく大入賞口への入賞個数を計数、継続センサ32による検出に基づくラウンド継続を行うかどうかの判断等が実行される。
ステップS8では、賞球指令情報編集処理が実行され、球排出制御装置60に送信される賞球指令情報が編集される。
ステップS9では、第1の各種乱数更新処理が実行され、大当たり決定に用いられる特別図柄乱数カウンタの更新等の処理が実行される。
ステップS10では、遊技が異常状態(例えば、大当たり中にカウントスイッチ31により遊技球の検出がなされないノーカウント不正等の異常状態であり、前述の図柄表示に関する異常状態とは異なる)に陥っているか否かの判定がなされる。そして、遊技が異常状態でなければ、続くステップS11とステップS12の時分割処理を順次実行する。一方、遊技が異常状態であればステップS11の時分割処理を行わずにステップS12の時分割処理を実行する。
ステップS11は、異常状態発生時には実行されない時分割処理であり、賞(賞球)の付与を決定する遊技に関連する処理が集約的に配置されている。具体的には、イベントカウンタ値が0の場合にはステップS11.0の特別図柄ゲーム進行制御処理が、イベントカウンタ値が1の場合にはステップS11.1の特別図柄変動制御処理が、イベントカウンタ値が2の場合にはステップS11.2の普通図柄ゲーム進行制御処理が、イベントカウンタ値が3の場合にはステップS11.3の普通図柄変動制御処理が、それぞれ実行される。特別図柄ゲーム進行制御処理では、始動口7への入賞記憶があるか否かを判定する処理、特別図柄の変動停止を監視する処理、特別図柄に関する大当たりの判定を行う処理、大当たり時の各種動作を制御する処理等が実行される。また、特別図柄変動制御処理では、表示されるべき特別図柄を示すポインタの更新処理等が実行される。また、普通図柄ゲーム進行制御処理、普通図柄変動制御処理においては、普通図柄に関して、特別図柄ゲーム進行制御処理、特別図柄変動制御処理と対応する処理がそれぞれ実行される。なお、イベントカウンタ値が4〜7の場合には処理は行われない。
ステップS12は異常状態発生時でも実行される時分割処理であり、賞の付与を決定する遊技に関連しない処理が集約的に配置されている。具体的には、イベントカウンタ値が2の場合にはステップS12.2のカウントSW関連異常監視処理を、イベントカウンタ値が3の場合にはステップS12.3のメカ装置出力情報処理を、イベントカウンタ値が4の場合にはステップS12.4の発光装置出力情報編集処理を、イベントカウンタ値が5の場合にはステップS12.5の各種出力情報合成処理を、イベントカウンタ値が7の場合にはステップS12.7の営業用情報編集処理を、それぞれ実行する。ステップS6の時分割処理で出力インターフェース23のポートに出力された各種指令信号のデータは、S12.5の各種出力情報合成処理において編集される。なお、イベントカウンタ値が0、1、6の場合には処理は行われない。
ステップS13は第2の各種乱数更新処理であり、各種乱数の更新処理が次回のリセット割り込み信号までの残余時間にわたって繰り返される。
図11は、表示制御装置40における図柄表示に関する表示制御の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS21では、左、右、中の各図柄について変動表示データの編集処理が行われる。上述したように、この変動表示データは、DMA44によりVDP47に転送され、VDP47はこの変動表示データに基づいて、左、右、中の各図柄表示を行う。
ステップS22では、遊技制御装置20から指令信号の受信があったか否かの判定がなされる。このステップS22で指令信号の受信がなかったと判定された場合には、ステップS23に進み、各図柄用の監視タイマのタイムアップが検出されたか否かの判定がなされる。すなわち、各図柄関連指令信号の送信時間間隔が、表示制御装置CPU41にあらかじめ記憶されている設定時間範囲の上限(図8の最大時間)を超えたか否かが、左図柄用監視タイマ、右図柄用監視タイマ、中図柄用監視タイマのそれぞれについて判定される。そして、いずれの監視タイマのタイムアップも検出されない場合には、そのままステップS21に戻る一方、いずれかの監視タイマのタイムアップが検出された場合には、ステップS24に進み、タイムアップが検出された監視タイマに対応する図柄表示につき異常状態が発生したとの判定をなし、これに対する異常対応処理を実行してからステップS21に戻る。
一方、ステップS22で指令信号の受信があったと判定された場合には、ステップS25に進み、指令信号が左図柄関連指令信号であるか否かの判定がなされる。
このステップS25で左図柄関連指令信号であると判定された場合には、ステップS26に進み、指令信号が左図柄停止を指示するものであるか否かが判定される。そして、左図柄停止の指令である場合には、ステップS27において左図柄の停止図柄設定処理を行い、ステップS28において左図柄の変動パターンを停止状態へ変更する。さらにステップS29において左図柄が異常状態であるか否かが判定され、異常状態であれば(左図柄に係わる異常対応処理が実行されていれば)ステップS30において左図柄の異常対応処理を解除してステップS21に戻り、異常状態でなければ(左図柄に係わる異常対応処理が実行されていなければ)そのままステップS21に戻る。
また、ステップS26で左図柄停止の指令ではないと判定された場合には、ステップS31に進み、左図柄用監視タイマ異常が発生したか否かの判定がなされる。すなわち、左図柄関連指令信号が、表示制御装置CPU41にあらかじめ記憶されている設定時間範囲の下限(図8の最小時間)よりも短い時間間隔で送信されたか否かを判定する。
このステップS31で左図柄用監視タイマ異常発生と判定された場合には、ステップS24に進み、左図柄表示について異常状態が発生したとして、異常対応処理を実行する。一方、左図柄用監視タイマ異常が発生していない場合には、ステップS32において左図柄変動パターンの変更処理を行い、続くステップS33において左図柄用監視タイマを初期化して、ステップS21に戻る。
一方、ステップS25で指令信号が左図柄関連指令信号でないと判定された場合には、ステップS34に進み、右図柄および中図柄に関して、左図柄に関する上記ステップS26〜ステップS33の処理に対応する処理を順次実行し、ステップS21に戻る。
このように、異常対応処理は、いずれかの図柄関連指令信号の送信時間間隔が設定時間範囲内に収まらなかったときに実行され、その図柄の停止を指示する図柄関連指令信号の送信により解除される。
つぎに、図12〜図16に基づいて、作用を説明する。
図12、図13は、遊技制御装置20から表示制御装置40に出力される図柄関連指令信号のデータ内容の具体例を時間経過にしたがって示した図表である。また図14は、図12、図13の図表に示した図柄関連指令信号の具体例による可変表示装置4の表示の変化を示すタイミングチャートである。また、図15、図16は、図12、図13に示した指令信号の具体例による可変表示装置4の具体的表示を示す説明図である。
なお、図12、図13の時間経過ごとの図柄関連指令信号は、図15のタイミングチャートにおける各変動態様の切り替え、および図16〜図18の説明図における各図柄表示と、記号ア、イ、…、ヒを介して対応がとられている。
また、図12、図13においては複数の図柄関連指令信号が同一の時間経過のタイミングで送信されるように記載されている場合があるが、厳密に言えばこれらの指令信号は異なるモジュールで送信されるものであるので、実際には各指令信号の送信タイミングには、少なくとも遊技制御の1シーケンスの時間(2ミリ秒)のずれがある。
また、図12、図13で出力モジュールとあるのは、遊技制御(図9、図10のフローチャート参照)における時分割処理で図柄関連指令信号の送信処理が行われるモジュールを示す。具体的に遊技制御の対応する処理との対応を示せば、出力モジュールXは左図柄関連出力処理(図9のステップS6.2)に、出力モジュールYは右図柄関連出力処理(図9のステップS6.3)に、出力モジュールZは中図柄関連出力処理(図9のステップS6.4)に、それぞれ相当する。
図15(a)に示すように可変表示装置4に左図柄、中図柄、右図柄の各図柄が総て停止表示されている状態において、始動口7への入賞に基づく特別図柄始動記憶があることを検知した遊技制御装置20は、図12に示すように、時間経過の起点(時間経過0)において、左図柄の変動態様を低速変動とする左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=03H、図柄番号データ=3EH)、右図柄の変動態様を低速変動とする右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=03H、図柄番号データ=3EH)、中図柄の変動態様を低速変動とする中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=03H、図柄番号データ=3EH)を、それぞれ送信する(記号ア、イ、ウ)。これにより、左、中、右図柄はそれぞれ図15(a)に示す停止状態から、図15(b)に一重矢印で示す低速のスクロール変動(図14には変動Aとして示す)を開始する。
なお、指令信号において図柄番号データが3EHであるのは、図柄番号については指示せず、以前の状態をそのまま引き継がせることを示す。そして、このように図柄番号を直接指示しない場合には、可変表示装置4に表示される図柄は表示制御装置40側で変動を制御され、遊技制御装置20は指令信号送信時点からの時間を管理することにより、各時点で表示されている図柄を管理することになる。
起点から800ミリ秒経過した時点では、左図柄の変動態様を中速変動とする左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=04H、図柄番号データ=3EH)、右図柄の変動態様を中速変動とする右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=04H、図柄番号データ=3EH)、中図柄の変動態様を中速変動とする中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=04H、図柄番号データ=3EH)を、それぞれ送信する(記号エ、オ、カ)。これにより、可変表示装置4の左、中、右図柄は、図15(c)に示すように、低速変動から中速変動(図14では変動Bとして示し、図15、図16では二重矢印で示す)にスクロール速度を上げる。
起点から1600ミリ秒経過した時点では、左図柄の変動態様を高速変動とする左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=05H、図柄番号データ=3EH)、右図柄の変動態様を高速変動とする右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=05H、図柄番号データ=3EH)、中図柄の変動態様を高速変動とする中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=05H、図柄番号データ=3EH)を、それぞれ送信する(記号キ、ク、ケ)。これにより、可変表示装置4の左、中、右図柄は、図15(d)〜(e)に示すように、中速変動状態から高速変動状態(図14では変動Cとして示し、図15、図16では三重矢印で示す)に移行し、高速のスクロール変動を行う。
起点から6336ミリ秒経過した時点では、差し替えの左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=02H、図柄番号データ=04H)を送信する(記号コ)。これにより、図15(f)〜(g)に示すように、左図柄が「4」に差し替えられる。
このような表示図柄番号の差し替えを行うことにより、表示される図柄番号の確実性を高めることができる。すなわち、上述したように可変表示装置4に表示されている図柄番号は起点からの時間経過に基づいて、所定の時間に所定の表示がなされるべく管理されてはいるが、表示制御装置40における表示制御は、ノイズ等により撹乱されてしまう恐れがあるので、このような場合には、差し替えにより、図柄は正しい図柄番号に復帰させられる。なお、上記の差し替えにおいて左図柄は高速変動をしているので、差し替えられたとしても遊技者が視覚的にこれを感知する訳ではない。
起点から6400ミリ秒経過した時点では、左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=04H、図柄番号データ=3EH、)を送信する(記号サ)。これにより、図15(h)に示すように、左図柄のスクロール変動速度が中速変動に変更される。
起点から7200ミリ秒経過した時点では、左図柄の変動態様を揺れ動作とする左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=06H、図柄番号データ=3EH)を送信する(記号シ)。これにより、左図柄は、図15(i)に示す送信時点での図柄番号「7」で、図14の波線および図15(j)に示すように、揺れ動作(図柄中心付近を支点として上下に動揺するように見える動作)を開始する。
図13に示すように、起点から7936ミリ秒経過した時点では、差し替えの右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=02H、図柄番号データ=04H)を送信する(記号ス)。これにより、図15(k)〜(l)に示すように、右図柄は「4」に差し替えられる。
起点から8000ミリ秒経過した時点では、右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=04H、図柄番号データ=3EH)を送信する(記号セ)。これにより、図15(m)に示すように、右図柄のスクロール変動速度は中速に下げられる。
起点から8800ミリ秒経過した時点では、右図柄の変動態様を揺れ動作とする右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=06H、図柄番号データ=3EH)を送信する(記号ソ)。これにより、右図柄は、図16(n)に示す送信時点での図柄番号「7」で、図14の波線および図16(o)に示すように揺れ動作を開始する。
起点から9536ミリ秒経過した時点では、差し替えの中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=02H、図柄番号データ=0CH)を送信する(記号タ)。これにより、図16(p)〜(q)に示すように、右図柄は「C」に差し替えられる。
起点から9600ミリ秒経過した時点では、中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=03H、図柄番号データ=3EH)を送信する(記号チ)。これにより、図16(r)に示すように、中図柄の変動速度は低速に落とされる。
起点から13600ミリ秒経過した時点では、中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=08H)を送信する(記号ツ)。これにより、中図柄は、図16(s)に示す送信時点での図柄番号「3」で、図16(t)に示すように一旦停止する。
起点から14000ミリ秒経過した時点では、中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=07H)を送信する(記号テ)。これにより、中図柄は、図16(u)〜(x)に示すように、回転動作を行う。なお、回転動作は、図示されるように、図柄が中心軸の回りで回転するように見える動作であり、図14においては変動Rとして示されている。そして、回転動作において表示される図柄番号は、表示制御装置40において更新されていくようになっている。
起点から17600ミリ秒経過した時点では、左図柄を「7」で停止する左図柄関連指令信号(図柄選択データ=01H、動作選択データ=01H、図柄番号データ=07H)、右図柄を「7」で停止する右図柄関連指令信号(図柄選択データ=02H、動作選択データ=01H、図柄番号データ=07H)、中図柄を「6」で停止する中図柄関連指令信号(図柄選択データ=03H、動作選択データ=01H、図柄番号データ=06H)を、それぞれ送信する(記号ト、ハ、ヒ)。これにより、図16(y)に示すように、可変表示装置4の図柄表示は、最終的に「767」となって停止する。なお、上記のように「停止動作」を命じる図柄関連指令信号には、停止表示されるべき図柄番号が図柄番号データとして含まれているので、停止表示された3つの図柄は、確実に所望の図柄番号となる。
このような可変表示装置4における表示において、正しい図柄関連指令信号の伝達がなされなかった結果、表示制御装置40の各図柄用監視タイマにより監視される図柄関連指令信号送信の時間間隔が設定時間内になかった場合、表示制御装置40は図柄表示に関する異常発生との判定をなし、可変表示装置4に異常対応処理による表示を行う。
図17には、この異常対応処理における各種表示態様を具体例で示す。
図17(A)では、可変表示装置4においては、左図柄と中図柄は中速変動状態で表示され、右図柄は揺れ動作による表示がなされている。この状態から、左図柄に関する異常状態の発生の判定がなされたとすると、表示制御装置40は、可変表示装置4の表示を、図17(B)〜(E)のいずれかの態様の異常対応用の表示に移行させる。
図17(B)の異常対応用表示では、異常状態が発生した左図柄の前側にクエスチョンマーク「?」を表示し、左図柄を隠してしまう。これにより、可変表示装置4の表示に誤った図柄表示がなされることはないので、遊技者は左図柄の誤った表示を見て信じてしまうことはなくなるとともに、可変表示装置4の表示は特に遊技者に違和感を感じさせるものとはならないので、遊技者は必ずしも図柄表示に異常が発生したと認識することなく、そのまま遊技を続行し得る。
図17(C)の異常対応用表示では、異常状態が発生した左図柄を、左図柄関連指令信号による指示にかかわらず、高速スクロール変動状態とする。これにより、高速変動中の左図柄の図柄番号は遊技者に視覚的に認識されることはできないので、遊技者は誤った左図柄表示を見て遊技の進行状態を誤解してしまうことはない。また、この場合の可変表示装置4の表示は通常の表示の一態様によりなされるので、遊技者は図柄表示に異常が発生したと特に認識することなく、そのまま遊技を続行し得る。
図17(D)の異常対応用表示では、左、右、中の3つの図柄を総て一旦停止状態とするとともに、これらの図柄表示の前側に、図柄表示に関する異常状態発生を示すメッセージ「しばらくお待ちください」(あるいは「そのまま遊技をお続けください」等)を表示する。これにより、遊技者は、表示されている図柄が正規のものではないことを認識することができ、遊技の進行状態に対して誤解をもってしまうことはなく、遊技を続行できる。
図17(E)の異常対応用表示では、左、右、中の3つの図柄(あるいは背景表示、キャラクタ表示も含む画面表示全体)を一旦消してしまい、この消された図柄(画面)の上に、図柄表示に関する異常状態発生を示すメッセージ「しばらくお待ちください」を表示する。これにより、遊技者は、表示されている図柄が正規のものではないことを認識することができ、遊技の進行状態に対して誤解をもってしまうことはなく、遊技を続行できる。
このような異常対応処理は、異常状態にある図柄の停止指令があることにより解除され、図柄表示は最終的には通常表示に戻される。この場合、上述したように図柄の停止を指示する図柄関連指令信号(動作選択データ=01H)には停止図柄番号を指定する図柄番号データが含まれているので、停止表示される図柄番号は正規の図柄番号に復帰させられる。図17(F)には、左図柄の停止指令により左図柄表示が通常の表示に戻って、可変表示装置4の表示が「8A7」で停止した状態を示している。
以上のように、本発明によれば、表示制御装置40は図柄関連指令信号のデータ内容と送信時間間隔に基づいて独自に図柄関連指令信号(識別情報関連指令信号)の伝達に異常が発生したこと(図柄表示に関する異常状態が発生したこと)を検出することができ、直ちに異常対応処理を行うことができる。そして、この異常対応処理においては、異常が発生した図柄を遊技者に視覚的に認識されない態様とする処理(例えば図17(B)、(C)参照)、あるいは図柄表示に異常状態が発生したことを遊技者に報知する画面に表示を切り替える処理(例えば図17(D)、(E)参照)が実行される。したがって、可変表示装置4において誤った図柄表示(識別情報表示)が通常表示のままで続けられる状態は表示制御装置40側で速やかに回避され、遊技者は誤表示に基づいて遊技の進行状態を誤解してしまうことがなくなるとともに、遊技を中断することなく続行させることができる。
また、このような図柄表示に関する異常状態発生の監視は、左、右、中の各図柄ごと(可変表示装置4の各表示領域に表示される各識別情報ごと)になされるので、異常対応処理においては、異常が発生していない図柄をそのまま表示して、遊技者の興趣を低下させない態様をとることができる(上記図17(B)、(C)の態様参照)。
また、異常対応処理の解除は、図柄停止を指示する図柄関連指令信号送信によりなされ、この図柄関連指令信号には停止図柄に関する指示も含まれているので、図柄変動の最後には、異常が発生した図柄も正規な図柄表示に復帰させられ、通常の停止図柄表示がなされることになる。したがって、異常対応処理による表示がなされる時間は必要最小限とできるとともに、最終的には、遊技を中断することなく遊技者に正しい遊技結果を報知することができる。
特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)遊技を統括的に制御する遊技制御装置と、変動可能な識別情報を複数の表示領域に表示可能な可変表示装置と、前記遊技制御装置からの指令信号に基づいて前記可変表示装置における表示を制御する表示制御装置と、前記遊技制御装置から前記表示制御装置に向かう単方向通信のみを許容する通信手段と、前記識別情報の変動態様の変化を指示する指令信号として前記表示領域ごとに別個の識別情報関連指令信号を選択可能な信号選択手段と、この信号選択手段により選択された識別情報関連指令信号を前記可変表示装置の対応する表示領域における識別情報の変動態様の変化のタイミングで前記通信手段に送信させるタイミング調整手段と、を備えた遊技機において、各表示領域ごとの識別情報関連指令信号の前記表示制御装置への送信時間間隔を計測する時間計測手段と、この時間計測手段により計測された送信時間間隔が各表示領域ごとにあらかじめ記憶された設定時間の範囲内にあるか否かを判定する判定手段と、この判定手段により図柄関連指令信号の送信時間間隔が設定時間範囲内にないと判定された表示領域について識別情報表示に関する異常状態発生と判断して異常対応処理を実行する異常対応手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
(2)前記異常対応手段は、識別情報表示に関する異常状態が発生した表示領域の識別情報を遊技者に識別不能な状態とする手段であることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
(3)前記異常対応手段は、識別情報表示に関する異常状態が発生した表示領域の識別情報を覆い隠す表示を行う手段であることを特徴とする(2)に記載の遊技機。
(4)前記異常対応手段は、識別情報表示に関する異常状態が発生した表示領域の識別情報を遊技者に識別不能な速度で変動させる手段であることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
(5)前記異常対応手段は、識別情報表示に関する異常状態が発生したことを遊技者に報知する表示を可変表示装置に表示する手段であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか一つに記載の遊技機。
(6)前記異常対応手段は、識別情報表示に関する異常状態が発生した表示領域の識別情報の停止表示を指示する識別情報関連指令信号の受信を契機として前記異常対応処理を終了させるとともに、この識別情報の停止表示を指示する識別情報関連指令信号には停止表示させるべき識別情報についての指示が含まれるようにしたことを特徴とする(1)から(5)のいずれか一つに記載の遊技機。
(7)遊技を統括的に制御する遊技制御装置と、変動可能な識別情報を複数の表示領域に表示可能な可変表示装置と、前記遊技制御装置からの指令信号に基づいて前記可変表示装置における表示を制御する表示制御装置と、前記遊技制御装置から前記表示制御装置に向かう単方向通信のみを許容する通信手段と、前記識別情報の変動態様の変化を指示する指令信号として前記表示領域ごとに別個の識別情報関連指令信号を選択可能な信号選択手段と、この信号選択手段により選択された識別情報関連指令信号を前記可変表示装置の対応する表示領域における識別情報の変動態様の変化のタイミングで前記通信手段に送信させるタイミング調整手段と、を備えた遊技機において、前記表示制御装置に、前記通信手段により送信された識別情報関連指令信号の同一内容であるべきデータにつき複数の受信を行う受信手段と、この受信手段により受信された同一内容であるべきデータのうち同一値を示すものが所定個以上ある場合にその同一値を正規のデータとして受け入れる信号データ判定手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
(8)前記信号データ判定手段は、受信された同一内容であるべきデータの総数のうち同一値を示すデータが過半数を超える場合に、この同一値を正規のデータとして受け入れることを特徴とする(7)に記載の遊技機。