JP2008069483A - 繊維構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量でより優れた吸/遮音性を備えた防音材に適用しうる繊維構造体、その製造方法及び車両用防音材を提供すること。
【解決手段】粒子γを含有する繊維αから成る有機高分子重合体層(A層)と、粒子γを含有する繊維βから成る不織繊維層(B層)との2層構造を含む繊維構造体であって、
A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度がB層の密度よりも大きい繊維構造体である。
繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することにより繊維構造体を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】粒子γを含有する繊維αから成る有機高分子重合体層(A層)と、粒子γを含有する繊維βから成る不織繊維層(B層)との2層構造を含む繊維構造体であって、
A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度がB層の密度よりも大きい繊維構造体である。
繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することにより繊維構造体を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、繊維構造体、その製造方法及び車両用防音材に係り、更に詳細には、吸/遮音性能及び軽量化に優れ、車両等の騒音を低減し得る防音材に適用できる繊維構造体、その製造方法及び車両用防音材に関する。
近年、自動車の高品質化、高性能化の意識の高まりに伴い、車室内の静粛性及び車外騒音については、ますます要求が厳しくなってきている。このため、車両に適用する防音材については、更に良い防音効果を得る目的で様々な取り組みがなされている。
また、良好な作業環境、生活環境、都市環境などを保つ上で、騒音の防止が大きな課題になっており、特に、杭打ち機、削岩機、掘削機などの建設・土木機械、送風機等の機械から発生される大きな騒音の防止が強く望まれている。
従来、これらから発生される騒音の防止のために、これらの騒音源を無機物を含有する合成樹脂やゴムのシートで包囲したり、合成樹脂又はゴムの発泡体シートで包囲したり、不織繊維物で包囲することが行われている。
従来、これらから発生される騒音の防止のために、これらの騒音源を無機物を含有する合成樹脂やゴムのシートで包囲したり、合成樹脂又はゴムの発泡体シートで包囲したり、不織繊維物で包囲することが行われている。
しかし、これらの防音材は、いずれもその騒音防止効果が充分ではないため、騒音防止機能の高い防音材が強く求められている。
また、建設、土木工事などで用いられる防音材に対しては、工事が行われている場所に簡単に設置したり、取り付けたりすることができ、工事終了時には簡単に取り除くことのできる、取扱い性に優れた防音材が求められている。
また、建設、土木工事などで用いられる防音材に対しては、工事が行われている場所に簡単に設置したり、取り付けたりすることができ、工事終了時には簡単に取り除くことのできる、取扱い性に優れた防音材が求められている。
例えば、車両用の防音材に関する技術として、不織布の面密度を一定の大きさとする技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この技術では、確かに防音性能の優れた防音材を得ることが可能であるものの、結果的に所望の防音性能を付与するためには繊維集合体の面密度を制御する必要があった。
特開平 8−241084号公報
この技術では、確かに防音性能の優れた防音材を得ることが可能であるものの、結果的に所望の防音性能を付与するためには繊維集合体の面密度を制御する必要があった。
また、車両用の防音材の構造に関する技術として、二重壁構造を用いる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
この技術では、確かに防音性能の優れた防音構造を得ることが可能であるものの、車両用としては過度のスペースを占有してしまうおそれもあることから、崇高さという点では満足できるものではなかった。
特開平10−247085号公報
この技術では、確かに防音性能の優れた防音構造を得ることが可能であるものの、車両用としては過度のスペースを占有してしまうおそれもあることから、崇高さという点では満足できるものではなかった。
更に、防音材に関する技術として、繊維構造体と粒状物質を組み合わせる技術が開示されている(例えば特許文献3、4参照)。
この技術では、確かに防音性能の優れた防音材を得ることが可能であるものの、繊維分に対して粒状物質を緻密に混合したり、塗布したりする必要があり、結果として重量増加を招くため、特に軽量化が必須である車両用途などに用いるには必ずしも満足のできるものではなかった。
特開平 7−104762号公報
特開平11−133980号公報
この技術では、確かに防音性能の優れた防音材を得ることが可能であるものの、繊維分に対して粒状物質を緻密に混合したり、塗布したりする必要があり、結果として重量増加を招くため、特に軽量化が必須である車両用途などに用いるには必ずしも満足のできるものではなかった。
以上のように、従来から、防音材の目付量を多くしたり、二重壁構造などの工夫等がなされているが、これらの方法によれば防音効果は向上するものの、重量の増加を伴ったり、防音材又は防音構造自体の崇高さによって容積上の制約を伴うなど、車両用部品等には設計上好ましくないという問題点があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量でより優れた吸/遮音性を備えた防音材に適用しうる繊維構造体、その製造方法及び車両用防音材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、粒子を含有する2層構造の積層体を含み、該積層体の上層の密度を大きくすることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の繊維構造体は、粒子γを含有する繊維αから成る有機高分子重合体層(A層)と、粒子γを含有する繊維βから成る不織繊維層(B層)との2層構造を含む繊維構造体であって、
A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度がB層の密度よりも大きいことを特徴とする。
A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度がB層の密度よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明の繊維構造体の製造方法は、上記繊維構造体を製造するに当たり、
繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することを特徴とする。
繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することを特徴とする。
更に、本発明の車両用防音材は、上記繊維構造体を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、粒子を含有する2層構造の積層体を含み、該積層体の上層の密度を大きくすることとしたため、軽量でより優れた吸/遮音性を備えた防音材に適用しうる繊維構造体、その製造方法及び車両用防音材を提供できる。
以下、本発明の繊維構造体について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、濃度、含有量、充填量などについての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の繊維構造体は、粒子γを含有する繊維αから成る有機高分子重合体層(A層)と、粒子γを含有する繊維βから成る不織繊維層(B層)とを、B層、A層の順序で2層に積層した構造(A層/B層)を有する。
また、A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度(単位体積あたりのα+γの総重量)がB層の密度(単位体積あたりのβ+γの総重量)よりも大きくなるようにする。
また、A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度(単位体積あたりのα+γの総重量)がB層の密度(単位体積あたりのβ+γの総重量)よりも大きくなるようにする。
このような構成により、本繊維構造体は、固体中又は空気中を伝播してきた振動エネルギーを吸収し、吸収したエネルギーの一部を、繊維基体と粒子γ又は粒子γ同士が構成するマスばね系の運動エネルギーや摩擦抵抗などによる熱エネルギーとして消滅させることにより、振動に伴い発生する音を吸音又は遮音する。よって、防音材に適用するときは、従来品と比べてより軽量で同等以上の防音性能を発揮し得る。また、軽量であるために作業現場での組み立てや設置が簡単で、取扱い性に優れる。
また、A層はB層の表面の一部又は全部を覆っているので、A層により遮断されず透過した音は、B層により吸音・遮断され、再度A層へ到達し、吸音・遮音されることとなり、より高い防音効果が得られる。
なお、A層の密度が、B層の密度よりも小さいものであると、本繊維構造体の遮音、吸音機能が不充分なものになってしまう。
なお、A層の密度が、B層の密度よりも小さいものであると、本繊維構造体の遮音、吸音機能が不充分なものになってしまう。
ここで、上記有機高分子重合体層(A層)の厚さは、厚いほど遮音効果が高く、5mm以上とすることも可能であるが、他の層との積層加工の容易性、防音材の取り扱い性、防音材の強度などの点を総合すると、B層の厚みに対して1〜25%にするのが好ましい。
上記繊維αは、上記A層とB層の密度関係を満たす限り特に制限されないが、A層の比重をあまり大きくしない観点から、異形断面繊維、コンジュゲート繊維、極細繊維、又は中空繊維(空気孔を内部に内含する構造)、及びこれらを任意に組合わせた特殊形状を有する繊維であることが好ましい。
また、上記特殊形状繊維は、繊維表面が起毛されていることが好ましい。
このときは、A層が遮音及び吸音層として機能し、B層に吸収された騒音を防音材の外部に漏れないようにすることができる。また、粒子γが振動することにより、音エネルギーを熱エネルギーに換え、騒音を減衰させうる。特に、防音性能に優れる防音材を得るためには、高い表面積を有する起毛された異形断面繊維を用いるのがよい。
このときは、A層が遮音及び吸音層として機能し、B層に吸収された騒音を防音材の外部に漏れないようにすることができる。また、粒子γが振動することにより、音エネルギーを熱エネルギーに換え、騒音を減衰させうる。特に、防音性能に優れる防音材を得るためには、高い表面積を有する起毛された異形断面繊維を用いるのがよい。
かかる繊維αとしては、合成繊維、天然繊維のいずれをも使用でき、これらは単独又は複合繊維として使用できる。
上記合成繊維としては、例えば、レーヨン系繊維、アセテート系繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン系繊維、アクリル系繊維、モダアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリウレタン系繊維、芳香族ナイロン系繊維、ポリベンズイミダゾール繊維及びノボロイド繊維などが挙げられる。
上記天然繊維としては、例えば、木綿、パルプ等に代表されるセルロース系繊維、羊毛等に代表される動物系繊維などが挙げられる。
なお、これら繊維の原料種や繊度などは、特に限定されないが、車両などに用いるときは、コスト、生産性及び原料の安定供給面などから、ポリエステル系繊維、木綿繊維及び衣料や布地の反毛などを使用するのが望ましい。
上記合成繊維としては、例えば、レーヨン系繊維、アセテート系繊維、ポリエステル系繊維、ナイロン系繊維、アクリル系繊維、モダアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリウレタン系繊維、芳香族ナイロン系繊維、ポリベンズイミダゾール繊維及びノボロイド繊維などが挙げられる。
上記天然繊維としては、例えば、木綿、パルプ等に代表されるセルロース系繊維、羊毛等に代表される動物系繊維などが挙げられる。
なお、これら繊維の原料種や繊度などは、特に限定されないが、車両などに用いるときは、コスト、生産性及び原料の安定供給面などから、ポリエステル系繊維、木綿繊維及び衣料や布地の反毛などを使用するのが望ましい。
更に、上記繊維αは、平均径10nm〜50μm、長さ0.5mm〜2mmの繊維であることが、粒子γの径繊維表面への付着のための最適大小関係付着量が多くなる観点から好ましい。
かかる繊維αとしては、代表的には、植物繊維を使用できる。具体的には、バガス・アシ・竹・ケナフなどのセルロース誘導体を含む植物繊維がこれらの大きさを満たしており好適に使用できる。
なお、繊維αの平均径が10nm未満、長さが0.5mm未満であると、繊維1本あたりの繊維付着量が減少するため、高い遮音・吸音性能が得られにくい。また、繊維αの平均径が50μm超、長さが2mm超であると、繊維表面へ粒子の凝集体がコーティングされる状態で付着してしまい、高い遮音・吸音性能が得られにくい。
かかる繊維αとしては、代表的には、植物繊維を使用できる。具体的には、バガス・アシ・竹・ケナフなどのセルロース誘導体を含む植物繊維がこれらの大きさを満たしており好適に使用できる。
なお、繊維αの平均径が10nm未満、長さが0.5mm未満であると、繊維1本あたりの繊維付着量が減少するため、高い遮音・吸音性能が得られにくい。また、繊維αの平均径が50μm超、長さが2mm超であると、繊維表面へ粒子の凝集体がコーティングされる状態で付着してしまい、高い遮音・吸音性能が得られにくい。
一方、上記A及び上記B層に含める粒子γとしては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)及びニッケル(Ni)等の金属、滑石、マイカ、金マイカ、シリカ、カオリン及びタルク等の天然無機物、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ジルコニア及びアルミナ等の金属酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸バリウム、及び炭酸マグネシウム等の塩、黒鉛、活性炭、炭素繊維、炭化ケイ素及び珪藻土等、更にはポリエチレン、ポリプロペン、ポリアクリロニトリル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル及びシリコーン樹脂等の有機高分子粒子等を挙げることができる。粒子γは、これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜選択し、複合して使用してもよい。
また、上記粒子γは、車両などに用いることを考慮すると、コスト及び供給安定性などの面から、無機物であることが好ましい。
更に、上記粒子γは、表面に酸素原子を有する物質から成ることが好ましい。このときは、マトリックスとなる天然繊維などの繊維表面に存在する水酸基と粒子γとが水素結合し易くなり、酸素原子をもたない粒子と比較して、粒子定着力に優れるようになるので有効である。
更に、上記粒子γは、表面に酸素原子を有する物質から成ることが好ましい。このときは、マトリックスとなる天然繊維などの繊維表面に存在する水酸基と粒子γとが水素結合し易くなり、酸素原子をもたない粒子と比較して、粒子定着力に優れるようになるので有効である。
具体的には、例えば、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、Fe2O3又はZnO2、及びこれらを任意に組合わせた無機酸化物を使用できる。
これらを使用するときは、特にA層を構成する有機高分子重合体中に均一に粒子γを混合させることができる。また、熱、湿度及び水分など、車両等での使用環境を考慮すると、粒子状態をより安定に保持できる。
これらを使用するときは、特にA層を構成する有機高分子重合体中に均一に粒子γを混合させることができる。また、熱、湿度及び水分など、車両等での使用環境を考慮すると、粒子状態をより安定に保持できる。
更に、粒子γの平均径は、繊維αの平均径の0.02〜10%であることが好ましい。
具体的には、平均粒子径が1nm〜10μmであることが好ましく、0.01μm〜1μmであることがより好ましい。
このときは、優れた遮音・吸音性能を発揮し得る。
なお、例えば、粒子の平均粒径が10μmを超えると、繊維の表面へ付着するものの、安定性が悪くなったり目詰まりを起こしたりすることがある。
具体的には、平均粒子径が1nm〜10μmであることが好ましく、0.01μm〜1μmであることがより好ましい。
このときは、優れた遮音・吸音性能を発揮し得る。
なお、例えば、粒子の平均粒径が10μmを超えると、繊維の表面へ付着するものの、安定性が悪くなったり目詰まりを起こしたりすることがある。
更にまた、上記繊維αと上記粒子γの添加割合は、繊維表面へ均一に付着できるという点からは、繊維α100部に対して粒子γが2〜39部であることが好ましく、2〜10部であることがより好ましい。
また、上記繊維αが水酸基を有しているときは、粒子γと化学的に結合していることが好ましい。
例えば、繊維αとしてセルロース誘導体を含む植物繊維であるバガス繊維を用い、粒子γとしてSiO2を用いるときは化学的に結合し、優れた遮音・吸音性能を発揮し得る。
例えば、繊維αとしてセルロース誘導体を含む植物繊維であるバガス繊維を用い、粒子γとしてSiO2を用いるときは化学的に結合し、優れた遮音・吸音性能を発揮し得る。
更に、上記粒子γは、少なくとも一部が定着用樹脂dを介して繊維αや繊維βと周着されていることが好ましい。
即ち、上記粒子γは、定着用樹脂を使用せずとも繊維の表面に付着され得るが、上記粒子γの周着方法によっては、いわゆる定着用樹脂を組み合わせて使用するのがコスト等の利点から有効である。
即ち、上記粒子γは、定着用樹脂を使用せずとも繊維の表面に付着され得るが、上記粒子γの周着方法によっては、いわゆる定着用樹脂を組み合わせて使用するのがコスト等の利点から有効である。
上記定着用樹脂としては、例えば、各種のアニオン性、ノニオン性、カオチン性又は両性の水溶性化合物、具体的には、ポリアクリルアミド系のカオチン性、ノニオン性、アニオン性及び両性の樹脂、アクリル系水溶性樹脂、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドポリアミン及びその誘導体、カチオン性及び両性澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、親水性のカチオンポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー等を挙げることができる。
なお、繊維に粒子γを塗布した構成では、吸/遮音性能が低減し易く、繊維と粒子γを混合した構成では、粒子γの分散密度に偏りが生じ易い。
なお、繊維に粒子γを塗布した構成では、吸/遮音性能が低減し易く、繊維と粒子γを混合した構成では、粒子γの分散密度に偏りが生じ易い。
更にまた、繊維αのSp値をSpα、粒子γのSp値をSpγとしたとき、SpαとSpγの差の絶対値が、5以下であることが好ましい。
このときは、繊維αと粒子γを予備混合させる段階で、繊維αと粒子γとが物理的かつ化学的に結合しやすく、繊維βへ付着させたときの粒子付着量が増大し、遮音・吸音性能の高い繊維構造体が得られる。
このときは、繊維αと粒子γを予備混合させる段階で、繊維αと粒子γとが物理的かつ化学的に結合しやすく、繊維βへ付着させたときの粒子付着量が増大し、遮音・吸音性能の高い繊維構造体が得られる。
他方、上記不織繊維層(B層)に用いる繊維βとしては、各種の無機繊維や有機繊維、例えば、ガラスウール、ロックウールなどの無機不織繊維;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ビスコース繊維、レーヨン繊維などの合成又は半合成繊維;綿、麻、ウール、絹などの天然繊維;又はこれら繊維の2種以上を用いて形成した不織布やウエブなどを挙げることができる。
また、上記B層においても、A層で用いたのと同様に粒子γを含有させることで、吸音機能と遮音機能の両方を有し、音発生源から発生された音を吸収しうる。
かかるB層は、不織繊維の単独層であってもよいし、不織繊維の層を2層以上積層して形成してもよい。
かかるB層は、不織繊維の単独層であってもよいし、不織繊維の層を2層以上積層して形成してもよい。
なお、上記繊維α、β及び上記粒子γは、特に限定することを要しないが、使用形態によっては、重量が増大したり、本繊維構造体で製造した防音材が崇高くなって容積上の制約を伴うなど、設計上望ましくないことがあるため、適宜種類、使用量などを調整できる。
次に、本発明の繊維構造体の製造方法について詳細に説明する。
本発明では、繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)の表面に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することで、上述の繊維構造体を製造する。
これにより、優れた吸/遮音性を備えた繊維構造体が容易に得られる。
本発明では、繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)の表面に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することで、上述の繊維構造体を製造する。
これにより、優れた吸/遮音性を備えた繊維構造体が容易に得られる。
ここで、上記溶媒eとしては、例えば、水、エタノールなどを単独で又は適宜混合して使用できる。
また、本発明の製造方法においては、上記繊維αのSp値をSpα、溶媒eのSp値をSpeとしたとき、SpαとSpeの差の絶対値が、9以下である物質を用いることが好ましい。
このときは、溶媒eへの繊維αの分散が容易にでき、均一な溶液を得ることができ、繊維βへ付着させたときの繊維α付着状態が均一になり、遮音・吸音性能の高い繊維構造体を得られる。
このときは、溶媒eへの繊維αの分散が容易にでき、均一な溶液を得ることができ、繊維βへ付着させたときの繊維α付着状態が均一になり、遮音・吸音性能の高い繊維構造体を得られる。
次に、本発明の車両用防音材について詳細に説明する。
本発明の車両用防音材は、上述の繊維構造体を用いて成る。
これより、従来品より軽量化されるとともに、振動に伴い発生する音がより吸音又は遮音されるので、車両等に用いれば車室内の静粛性を向上できる。また、低コスト且つ良好な生産性で製造し得る。
本発明の車両用防音材は、上述の繊維構造体を用いて成る。
これより、従来品より軽量化されるとともに、振動に伴い発生する音がより吸音又は遮音されるので、車両等に用いれば車室内の静粛性を向上できる。また、低コスト且つ良好な生産性で製造し得る。
代表的には、不織布の形態とすることが好適である。
この不織布の製造方法では、上記粒子γを周着する工程と不織布を形成する工程とを、順序を問わずに行うことができる。
例えば、繊維の表面に粒子γが周着した防音繊維を得た後に、該防音繊維を絡み合わせる工程として、機械結合法(ニードルパンチ法など)、接着法、融着法(スパンボンド法など)又は湿式法(抄紙法など)、及びこれらを任意に組み合わせた方法で不織布とすることができる。
また、予め繊維を上記方法で不織布とし、その後に該不織布を構成する繊維の表面に粒子γを周着させることもできる。
この不織布の製造方法では、上記粒子γを周着する工程と不織布を形成する工程とを、順序を問わずに行うことができる。
例えば、繊維の表面に粒子γが周着した防音繊維を得た後に、該防音繊維を絡み合わせる工程として、機械結合法(ニードルパンチ法など)、接着法、融着法(スパンボンド法など)又は湿式法(抄紙法など)、及びこれらを任意に組み合わせた方法で不織布とすることができる。
また、予め繊維を上記方法で不織布とし、その後に該不織布を構成する繊維の表面に粒子γを周着させることもできる。
なお、繊維や粒子γは、同一材料を使用しても良いし、異なる性質の材料を適宜組み合わせて使用しても良い。また、上記防音材の不織布以外の形態としては、例えば、織編物などの布地状又はひも状が挙げられる。
また、上記粒子γの周着方法としては、例えば、混合攪拌法、噴霧法、スプレー法、抄紙法、接触法などを乾式又は湿式で適宜採用でき、繊維の紡糸工程や繊維構造体の製造工程及び繊維構造体を形成した後の工程として適宜採用できる。
上記粒子を付着させた繊維構造体は微細であるためその凝着力により、車両の振動等では繊維基体表面から簡単に分離するものではなく、車の部品に使うと、車室内の防音性能が向上し、好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエステル繊維(繊度:14.4dTex)を70%と、低融点融着繊維として芯/鞘構造のポリエステル繊維(繊度:2.2dTex)30%を配合し、得られた原反マットを熱風加熱により加熱軟化させた後、プレスして目付重量が0.90kg/m2、厚み40mmの板状の不織布を予備作製した。
ポリエステル繊維(繊度:14.4dTex)を70%と、低融点融着繊維として芯/鞘構造のポリエステル繊維(繊度:2.2dTex)30%を配合し、得られた原反マットを熱風加熱により加熱軟化させた後、プレスして目付重量が0.90kg/m2、厚み40mmの板状の不織布を予備作製した。
次に、この板状の不織布を直径200mmの円板形に切り出し、底面が同じ直径200mm形状の抄紙型濾過装置(不二コーン((株)製 商品名「抄紙型濾過装置」)に設置した。
一方、平均粒子径が40nmの二酸化ケイ素粒子10g(日本アエロジル(株)製 商品名「AEROSIL TT600」)、及びバガス(パルプ繊維)0.5gを水1リットルに混合、ミキサー(象印(株)製 商品名「ミキサーBM−FS08」)にて攪拌して懸濁液を作製し、上記濾過装置にセットした不織布上面に分散に注意しながら満遍なく注いだ。
その後、濾過装置の排水口を開き、自重にて水と懸濁液の混合物不織布内を通過させ、更に減圧により水切りした。更に、熱風乾燥炉にて60℃、5時間かけて乾燥し、水分を除去/恒量化の後、室温にて放置冷却し、該二酸化ケイ素粒子及びパルプ繊維がポリエステル繊維表面に付着した円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.94kg/m2となり、厚みは40mmのままだった。また、テストピースの断面外略図を図1に示す。
一方、平均粒子径が40nmの二酸化ケイ素粒子10g(日本アエロジル(株)製 商品名「AEROSIL TT600」)、及びバガス(パルプ繊維)0.5gを水1リットルに混合、ミキサー(象印(株)製 商品名「ミキサーBM−FS08」)にて攪拌して懸濁液を作製し、上記濾過装置にセットした不織布上面に分散に注意しながら満遍なく注いだ。
その後、濾過装置の排水口を開き、自重にて水と懸濁液の混合物不織布内を通過させ、更に減圧により水切りした。更に、熱風乾燥炉にて60℃、5時間かけて乾燥し、水分を除去/恒量化の後、室温にて放置冷却し、該二酸化ケイ素粒子及びパルプ繊維がポリエステル繊維表面に付着した円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.94kg/m2となり、厚みは40mmのままだった。また、テストピースの断面外略図を図1に示す。
(実施例2)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.84kg/m2としたこと、懸濁液においてバガス(パルプ繊維)1.0gを水1リットルに混合したこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、0.89kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.84kg/m2としたこと、懸濁液においてバガス(パルプ繊維)1.0gを水1リットルに混合したこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、0.89kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(実施例3)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.82kg/m2としたこと、懸濁液においてバガス(パルプ繊維)1.5gを水1リットルに混合したこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.91kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.82kg/m2としたこと、懸濁液においてバガス(パルプ繊維)1.5gを水1リットルに混合したこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.91kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(実施例4)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.87kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を2g(明成化学(株)製 商品名「ファイレックスRC−104」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、1.08kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.87kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を2g(明成化学(株)製 商品名「ファイレックスRC−104」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、1.08kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(実施例5)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.85kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を5g(明成化学(株)製 商品名「ファイレックスRC−104」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、0.91kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.85kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を5g(明成化学(株)製 商品名「ファイレックスRC−104」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、0.91kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(実施例6)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.90kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を2g(日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ SLD−F1」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、1.18kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.90kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を2g(日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ SLD−F1」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、1.18kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(実施例7)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.96kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を5g(日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ SLD−F1」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、1.16kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.96kg/m2としたこと、懸濁液において、この懸濁液にアクリル系水溶性樹脂固形分を5g(日本製紙ケミカル(株)製 商品名「サンローズ SLD−F1」)追加して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、1.16kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(実施例8)
予備作製した板状不織布の目付重量を0.84kg/m2としたこと、懸濁液において平均粒子径が12nmの二酸化ケイ素粒子10g(日本アロエジル(株)製 商品名「AEROSIL200」)を水1リットルに混合して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、0.88kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した板状不織布の目付重量を0.84kg/m2としたこと、懸濁液において平均粒子径が12nmの二酸化ケイ素粒子10g(日本アロエジル(株)製 商品名「AEROSIL200」)を水1リットルに混合して配合したこと、以外は実施例1と同様の操作を繰り返して、円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は、0.88kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(比較例1)
ポリエステル繊維(繊度:14.4dTex)を70%と、低融点融着繊維として芯/鞘構造のポリエステル繊維(鮮度:2.2dTex)30%を配合し、得られた原反マットを熱風加熱により加熱軟化させた後、プレスして目付重量が0.94kg/m2,厚み40mmの板状の不織布を予備作製した。
次に、この板状の不織布を直径200mmの円板形に切り出し、底面が同じ直径200mm形状の抄紙型濾過装置(不二コーン(株)製 商品名「抄紙型濾過装置」)に設置した。
一方、平均粒子径が40nmの二酸化ケイ素粒子10g(日本アエロジル(株)製 商品名「AEROSIL TT600」)を水1リットルに混合、ミキサー(象印(株)製 商品名「ミキサーBM−FS08」)にて攪拌して懸濁液を作製し、上記濾過装置にセットした不織布上面に分散に注意しながら満遍なく注いだ。その後、濾過装置の排水口を開き、自重にて水と懸濁液の混合物不織布内を通過させ、更に減圧により水切りした。更に熱風乾燥炉にて60℃、5時間かけて乾燥し、水分を除去/恒量化の後、室温にて放置冷却し、該二酸化ケイ素粒子がポリエステル繊維表面に付着した円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.96kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
ポリエステル繊維(繊度:14.4dTex)を70%と、低融点融着繊維として芯/鞘構造のポリエステル繊維(鮮度:2.2dTex)30%を配合し、得られた原反マットを熱風加熱により加熱軟化させた後、プレスして目付重量が0.94kg/m2,厚み40mmの板状の不織布を予備作製した。
次に、この板状の不織布を直径200mmの円板形に切り出し、底面が同じ直径200mm形状の抄紙型濾過装置(不二コーン(株)製 商品名「抄紙型濾過装置」)に設置した。
一方、平均粒子径が40nmの二酸化ケイ素粒子10g(日本アエロジル(株)製 商品名「AEROSIL TT600」)を水1リットルに混合、ミキサー(象印(株)製 商品名「ミキサーBM−FS08」)にて攪拌して懸濁液を作製し、上記濾過装置にセットした不織布上面に分散に注意しながら満遍なく注いだ。その後、濾過装置の排水口を開き、自重にて水と懸濁液の混合物不織布内を通過させ、更に減圧により水切りした。更に熱風乾燥炉にて60℃、5時間かけて乾燥し、水分を除去/恒量化の後、室温にて放置冷却し、該二酸化ケイ素粒子がポリエステル繊維表面に付着した円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.96kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(比較例2)
予備作製した目付重量が0.90kg/m2厚み40mmの板状の不織布を、底面が同じ直径200mm形状の抄紙型濾過装置(不二コーン(株)製 商品名「抄紙型濾過装置」)に設置した。
一方、バガス(パルプ繊維)0.5gを水1リットルに混合、ミキサー(象印(株)製 商品名「ミキサーBM−FS08」)にて攪拌して懸濁液を作製し、上記濾過装置にセットした不織布上面に分散に注意しながら満遍なく注いだ。その後、濾過装置の排水口を開き、自重にて水と懸濁液の混合物不織布内を通過させ、更に減圧により水切りした。更に、熱風乾燥炉にて60℃、5時間かけて乾燥し、水分を除去/恒量化の後、室温にて放置冷却し、該パルプ繊維がポリエステル繊維表面に付着した円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.92kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
予備作製した目付重量が0.90kg/m2厚み40mmの板状の不織布を、底面が同じ直径200mm形状の抄紙型濾過装置(不二コーン(株)製 商品名「抄紙型濾過装置」)に設置した。
一方、バガス(パルプ繊維)0.5gを水1リットルに混合、ミキサー(象印(株)製 商品名「ミキサーBM−FS08」)にて攪拌して懸濁液を作製し、上記濾過装置にセットした不織布上面に分散に注意しながら満遍なく注いだ。その後、濾過装置の排水口を開き、自重にて水と懸濁液の混合物不織布内を通過させ、更に減圧により水切りした。更に、熱風乾燥炉にて60℃、5時間かけて乾燥し、水分を除去/恒量化の後、室温にて放置冷却し、該パルプ繊維がポリエステル繊維表面に付着した円板形状の防音材を得た。
この防音材よりテストピースを切り出して各評価を行った。なお、以上一連の操作により、不織布の目付重量は0.92kg/m2となり、厚みは40mmのままであった。
(比較例3)
比較例1と同様の操作を繰り返して、目付重量が0.96kg/m2、厚み40mmの板状の不織布を作製した。この不織布よりテストピースを切り出して各評価を行った。
比較例1と同様の操作を繰り返して、目付重量が0.96kg/m2、厚み40mmの板状の不織布を作製した。この不織布よりテストピースを切り出して各評価を行った。
(比較例4)
ニードルパンチにより、目付重量が1.0kg/m2,厚み20mmの板状の雑綿フェルトを作製した。この雑綿フェルトよりテストピースを切り出して各評価を行った。
ニードルパンチにより、目付重量が1.0kg/m2,厚み20mmの板状の雑綿フェルトを作製した。この雑綿フェルトよりテストピースを切り出して各評価を行った。
(評価方法)
(1)繊維構造体の目付評価
実施例1〜9及び比較例1〜4の防音材を23℃、50%RHで24hr以上放置して常態調節をした後、電子天秤に静置して重量を計測し、少数点以下2桁を有効数字として記録し平面部の面積により除して防音材の目付を算出した。
また、粒子付着操作による増加目付については粒子付着操作前後のテストピースの重量を前述の方法と同様の方法で測定し、粒子付着操作後のテストピースの重量から粒子付着操作前のテストピースの重量を減じ、平面部の面積による除して算出した。
(1)繊維構造体の目付評価
実施例1〜9及び比較例1〜4の防音材を23℃、50%RHで24hr以上放置して常態調節をした後、電子天秤に静置して重量を計測し、少数点以下2桁を有効数字として記録し平面部の面積により除して防音材の目付を算出した。
また、粒子付着操作による増加目付については粒子付着操作前後のテストピースの重量を前述の方法と同様の方法で測定し、粒子付着操作後のテストピースの重量から粒子付着操作前のテストピースの重量を減じ、平面部の面積による除して算出した。
(2)吸音測定
JIS A1405「管内法による建築材料の垂直入射吸音測定」に準拠して測定を行った。測定範囲100〜1.25Hzの測定には試料サイズがf 90mmのものを用い、測定範囲1.6〜5.0kHzの測定には試料サイズがf 40mmのものを用いて実施し、1kHz時と2kHz時の吸音率を表示した。参考として比較例1の測定結果を基準(0)としたときの吸音性能差も算出した。
JIS A1405「管内法による建築材料の垂直入射吸音測定」に準拠して測定を行った。測定範囲100〜1.25Hzの測定には試料サイズがf 90mmのものを用い、測定範囲1.6〜5.0kHzの測定には試料サイズがf 40mmのものを用いて実施し、1kHz時と2kHz時の吸音率を表示した。参考として比較例1の測定結果を基準(0)としたときの吸音性能差も算出した。
(3)平均粒子径
用いた粒子を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡にて観察し、撮影した像を用いて粒子の平均投影面積を測定しこれを円に換算したときの直径を平均粒子径として算出した。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた結果について、それぞれ表1及び表2に示す。
用いた粒子を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡にて観察し、撮影した像を用いて粒子の平均投影面積を測定しこれを円に換算したときの直径を平均粒子径として算出した。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた結果について、それぞれ表1及び表2に示す。
表1に示すように、本発明の範囲内にある防音材は、粒子付着後のA層の密度がB層の密度よりも大きくなっており、優れた吸/遮音性能を示すことがわかる。
一方、表2に示すように、比較例で得られた防音材は、本発明の範囲外の構成であるため、A層の密度はB層の密度よりも小さく、優れた吸音効果が得られていないことがわかる。
一方、表2に示すように、比較例で得られた防音材は、本発明の範囲外の構成であるため、A層の密度はB層の密度よりも小さく、優れた吸音効果が得られていないことがわかる。
本発明の繊維構造体及び車両用防音材は、杭打ち機、削岩機、掘削機などの建設・土木機械、送風機、その他の騒音発生の大きい機械、各種音響機器、代表的には、ダッシュ・インシュレータ、天井基材、フロア・インシュレータ、パーセル・ボード、フード・インシュレータ、エンジンカバー、アンダーカバー及びトリム類等に使用することができ、車両等の騒音を低減し得る。
Claims (17)
- 粒子γを含有する繊維αから成る有機高分子重合体層(A層)と、粒子γを含有する繊維βから成る不織繊維層(B層)との2層構造を含む繊維構造体であって、
A層はB層の表面の少なくとも一部に被覆されており、A層の密度がB層の密度よりも大きいことを特徴とする繊維構造体。 - A層の厚みが、A層とB層を合わせた厚みに対し1〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造体。
- 繊維αが、異形断面繊維、コンジュゲート繊維、極細繊維及び中空繊維から成る群より選ばれた少なくとも1種の特殊形状繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維構造体。
- 繊維αの表面が起毛されていることを特徴とする請求項3に記載の繊維構造体。
- 繊維αが、平均径10nm〜50μm、長さ0.5mm〜2mmの繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 繊維αの原材料が、植物繊維であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 繊維αの原材料が、セルロース誘導体を含む植物繊維であることを特徴とする請求項6に記載の繊維構造体。
- 粒子γが、表面に酸素原子を有する物質から成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 粒子γが、SiO2、TiO2、Al2O3、MgO、Fe2O3及びZnO2から成る群より選ばれた少なくとも1種の無機酸化物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 粒子γの平均径が、繊維αの平均径の0.02〜10%であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 粒子γの平均径が、0.01μm〜1μmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 粒子γが、定着用樹脂dを介して周着されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 繊維αが水酸基を有しており、粒子γと化学的に結合していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 繊維αのSp値をSpα、粒子γのSp値をSpγとしたとき、SpαとSpγの差の絶対値が、5以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つの項に記載の繊維構造体。
- 請求項1〜14のいずれか1つの項に記載の繊維構造体を製造するに当たり、
繊維α、粒子γ及び定着用樹脂dを予め溶媒eに分散させた後、粒子γを含む繊維βから成る不織繊維層(B層)に塗着して、有機高分子重合体層(A層)を形成することを特徴とする繊維構造体の製造方法。 - 繊維αのSp値をSpα、溶媒eのSp値をSpeとしたとき、SpαとSpeの差の絶対値が、9以下である物質を用いることを特徴とする請求項15に記載の繊維構造体の製造方法。
- 請求項1〜14のいずれか1つの項に記載の繊維構造体を用いたことを特徴とする車両用防音材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006249590A JP2008069483A (ja) | 2006-09-14 | 2006-09-14 | 繊維構造体及びその製造方法 |
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- 2006-09-14 JP JP2006249590A patent/JP2008069483A/ja active Pending
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