JP2008061538A - 部位特異的にリン酸化した蛋白質の合成方法、当該方法に用いるホスホセリルtRNA及び、当該方法を実施するための試薬キット - Google Patents
部位特異的にリン酸化した蛋白質の合成方法、当該方法に用いるホスホセリルtRNA及び、当該方法を実施するための試薬キット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高効率かつ簡便な、リン酸化蛋白質の合成方法を提供する。
【解決手段】本発明のリン酸化蛋白質合成方法は、Sep−tRNAの合成能を有する古細菌由来システインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAを合成する工程と、SepRSを用いて、上記改変tRNAにSepをアミノアシル結合させる工程と、目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのSepを導入する部位に上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列を導入する工程と、上記改変DNA由来のmRNAを得る工程と、Sep−tRNAおよびmRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成する工程とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のリン酸化蛋白質合成方法は、Sep−tRNAの合成能を有する古細菌由来システインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAを合成する工程と、SepRSを用いて、上記改変tRNAにSepをアミノアシル結合させる工程と、目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのSepを導入する部位に上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列を導入する工程と、上記改変DNA由来のmRNAを得る工程と、Sep−tRNAおよびmRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成する工程とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、リン酸化蛋白質合成方法に関するものである。さらに詳しくは、ホスホセリルtRNA合成酵素に認識されるようにアンチコドンを4塩基アンチコドンに改変した改変tRNAを用いて、標的蛋白質の目的の部位にホスホセリンを導入する方法、及び当該方法を実施するための試薬キットに関するものである
蛋白質の機能は、種々の翻訳後修飾により制御される。中でもリン酸化修飾は、シグナル伝達や転写制御において重要な役割を果たしており、多くの場合、リン酸化修飾は、蛋白質中のセリンに対して起こることが知られている。
蛋白質中に存在するセリンをリン酸化修飾したリン酸化蛋白質や、天然ではセリンが存在しない部位にホスホセリンを導入したリン酸化蛋白質を合成することができれば、生化学的解析や、臨床研究をさらに進展させることができる。そのため、標的蛋白質の目的の部位にホスホセリンを導入する技術が望まれている。
従来、リン酸化蛋白質は、大腸菌や、in vitro翻訳系により合成した未修飾の蛋白質を、リン酸化酵素による翻訳後修飾によって調製している(例えば、特許文献1、2)。
また、pdCpA法により、tRNAに、導入を目的とするアミノ酸をアミノアシル結合させて、蛋白質の任意の部位に目的のアミノ酸を導入する方法が提案されている(非特許文献1)。pdCpA法では、まず、導入するアミノ酸とジヌクレオチドとを結合させてアミノアシルpdCpAを合成する。次に、アンチコドンがCCCG又はACCCの4塩基、又はアンバーアンチコドンに改変され、かつ3’末端の2塩基を欠損したtRNAに、RNAリガーゼを用いて、当該アミノアシルpdCpAを結合させることで、導入を目的とするアミノ酸とtRNAとを結合させたアミノアシルtRNAを合成する。そして、当該アミノアシルtRNAが認識可能なコドンを、蛋白質をコードするDNA中のアミノ酸を導入する位置に組み込んだ組換えDNAと、当該アミノアシルtRNAとを用いて、目的の部位に目的のアミノ酸を導入した蛋白質を得る。
また、非特許文献2では、pdCpA法により、アンチコドンを、AGGU、CGGU、CCCU、CUCU、CUAU、GGGU等の4塩基アンチコドンに改変したtRNAを用いて、ニトロフェニルアラニンを蛋白質に導入する方法が開示されている。
特表2001−509370号公報(平成13年7月24日公開)
特表2002−531058号公報(平成14年9月24日公開)
T. Hohsaka, Y. Ashizuka, H. Murakami, and M. Sisido, Incorporation of Nonnatural Amino Acids into Streptavidin through In Vitro Frame-Shift Suppression, Journal of American Chemical Society, 1996, 118, 9778-9779.
T. Hohsaka, Y. Ashizuka, H. Taira, H. Murakami, and M. Sisido, Incorporation of Nonnatural Amino Acids into Proteins by Using Various Four-Base Codons in an Escherichia coli in Vitro Translation System, Biochemistry, 2001, 40, 11060-11064.
しかしながら、特許文献1及び2のように、未修飾の蛋白質に対して、リン酸化酵素を用いた翻訳後修飾により蛋白質をリン酸化修飾する方法では、様々な問題が生じる。
例えば、リン酸化修飾する蛋白質中のアミノ酸の種類や部位に応じて異なるリン酸化酵素が必要であるため、反応の条件設定や操作が煩雑になるという問題、目的とするアミノ酸のリン酸化修飾を触媒するリン酸化酵素が発見されていない場合、目的とするリン酸化蛋白質を得ることができないという問題、部位特異性が低い、即ち、例えば蛋白質中の一つのセリンを修飾することを目的とした場合、当該蛋白質に含まれる他のセリンもリン酸化されるという問題、さらにリン酸化効率が低いという問題が挙げられる。
また、非特許文献1で合成されるアミノアシルpdCpAは、加水分解を起こしやすく、非常に不安定な物質である。また、アミノ酸とアミノアシル結合したtRNAであるアミノアシルtRNAは、加水分解によりアミノ酸が脱離しやすい。
これでは、実用上の利用は困難である。例えば、非特許文献1の方法を実施するキット等を製造する場合、アミノアシルpdCpA又はアミノアシルtRNAを試薬としてキットに含ませても、これらの物質は不安定であるため、加水分解等による損失が大きく、導入効率は極めて低くなる。そのため、少なくとも、アミノ酸を結合させたジヌクレオチドと、pdCpAとは結合していない状態でキットに含ませなければならず、キットの使用者はアミノアシルpdCpAを合成する工程から始めなければならない。
従って、仮に非特許文献1の方法を応用して蛋白質にホスホセリンの導入を試みても、高い導入効率は期待できず、さらに、煩雑な作業を要する。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高効率かつ簡便な、リン酸化蛋白質の合成方法を提供することにある。
本願発明者らは、上記課題の解決のため、鋭意検討を行なった。その結果、ホスホセリンとアミノアシル結合したtRNAであるホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAのアンチコドンをAGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAのいずれか一つの4塩基アンチコドンを備えた改変tRNAは、ホスホセリルtRNA合成酵素に良好に認識され、当該改変tRNAにホスホセリンをアミノアシル結合させたホスホセリルtRNAを得ることができることを見出し、目的の蛋白質をコードするDNAのホスホセリンを導入する部位に、当該改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応する4塩基コドンを挿入又は置換した改変DNAを用いることで、簡便かつ高効率に、標的蛋白質の目的の部位にホスホセリンを導入することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る蛋白質にホスホセリンを導入する方法は、上記課題を解決するために、目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質の合成方法であって、ホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAを合成する工程と、ホスホセリルtRNA合成酵素を用いて、上記改変tRNAにホスホセリンをアミノアシル結合させ、ホスホセリルtRNAを得る工程と、目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのホスホセリンを導入する部位に上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列が挿入された改変DNA、又は、ホスホセリンと置換する部位のアミノ酸に該当するコドンの塩基配列が上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列と置換された改変DNAを得る工程と、上記改変DNA由来のmRNAを得る工程と、上記ホスホセリルtRNAおよび上記mRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成する工程とを含むことを特徴としている。
本発明に係るホスホセリンを導入する方法では、上記4塩基アンチコドンは、AGCA、GGCA、GCAC、GCAAであることがより好ましい。
本発明に係るホスホセリンを導入する方法では、上記古細菌は、Methanocaldococcus jannaschii(メタノカルドコッカス ジャナシイ)又は、Methanosarcina acetivorans(メタノサルシナ アセチボランス)であることがより好ましい。
本発明に係るホスホセリンを導入する方法では、上記システインtRNAは、配列番号1又は2のいずれかに示される塩基配列からなることがより好ましい。
本発明に係るホスホセリンを導入する方法では、上記ホスホセリルtRNA合成酵素は、Methanosarcina acetivorans(メタノサルシナ アセチボランス)又は、Methanocaldococcus jannaschii(メタノカルドコッカス ジャナシイ)由来のホスホセリルtRNA合成酵素であることがより好ましい。
本発明に係るホスホセリンを導入する方法では、上記ホスホセリルtRNA合成酵素は、下記(c)又は(d)のいずれかのポリペプチドであることがより好ましい。
(c)配列番号3又は4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(d)配列番号3又は4のいずれかに示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
また、本発明に係るホスホセリルtRNAは、上記課題を解決するために、目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質の合成に用いるホスホセリルtRNAであって、ホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAの3’末端に、ホスホセリンがアミノアシル結合している構造を有することを特徴としている。
また、本発明に係る試薬キットは、上記課題を解決するために、目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質を合成するためのキットであって、少なくともホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNA、及びホスホセリルtRNA合成酵素を含むことを特徴としている。
本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法を用いることにより、標的蛋白質の目的の部位にホスホセリンを導入することができるという効果を奏する。さらに、リン酸化修飾する蛋白質中のアミノ酸の種類や部位に応じて異なるリン酸化酵素を用いる必要が無く、簡便かつ高効率にリン酸化蛋白質を合成できるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。しかし、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施することができる。
〔本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法〕
本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法は、ホスホセリルtRNA(以下、「Sep-tRNA」と表記する)の合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAを合成する工程と、ホスホセリルtRNA合成酵素(以下、「SepRS」と表記する)を用いて、上記改変tRNAにホスホセリン(以下、「Sep」と表記する)をアミノアシル結合させ、Sep-tRNAを得る工程と、目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのSepを導入する部位に上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列が挿入された改変DNA、又は、ホスホセリンと置換する部位のアミノ酸に該当するコドンの塩基配列が上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列と置換された改変DNAを得る工程と、上記改変DNA由来のmRNAを得る工程と、上記ホスホセリルtRNAおよび上記mRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成する工程とを含めばよい。
本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法は、ホスホセリルtRNA(以下、「Sep-tRNA」と表記する)の合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAを合成する工程と、ホスホセリルtRNA合成酵素(以下、「SepRS」と表記する)を用いて、上記改変tRNAにホスホセリン(以下、「Sep」と表記する)をアミノアシル結合させ、Sep-tRNAを得る工程と、目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのSepを導入する部位に上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列が挿入された改変DNA、又は、ホスホセリンと置換する部位のアミノ酸に該当するコドンの塩基配列が上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列と置換された改変DNAを得る工程と、上記改変DNA由来のmRNAを得る工程と、上記ホスホセリルtRNAおよび上記mRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成する工程とを含めばよい。
Sep-tRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンを上述の4塩基アンチコドンに改変した改変tRNAは、SepRSにより認識され、Sepとアミノアシル結合することができる。
一方で、Sepの導入を目的とする蛋白質をコードするDNAには、当該DNAのSepを導入する部位に、当該改変tRNAの有するアンチコドンに対応する4塩基コドンが挿入又は置換されている。
これにより、目的の部位にSepを導入したリン酸化蛋白質を得ることができる。
以下に、本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法の一実施形態を、図1に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法の原理を模式的に表した図である。
図1(a)は、本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法で用いる改変tRNAを示しており、アンチコドンとしてAGCAの4塩基アンチコドンを備えた場合を例示している。当該改変tRNAはSepRSにより認識され、図1(b)に示すように、当該改変tRNAの3’末端にSepがアミノアシル結合して、Sep−tRNAが合成される。
図1(c)は、mRNAの翻訳が進行している状態を示している。合成を目的とする蛋白質をコードするmRNAにおいて、Sepの導入を目的とする部位には、当該改変tRNAによる認識を可能とするためTGCAからなる4塩基コドンが導入されている。そして、図1(b)で合成されたSep−tRNAは、当該4塩基コドンを認識し、合成途中の蛋白質のC末端にSepが結合する。
図1(c)に示した翻訳が進むと、図1(d)に示すように目的の部位にSepを導入した蛋白質を得ることができる。
(改変tRNA)
本明細書において「改変tRNA」とは、アンチコドンを任意の塩基に改変したtRNAを言う。
本明細書において「改変tRNA」とは、アンチコドンを任意の塩基に改変したtRNAを言う。
本発明に係る方法で用いる改変tRNAとしては、Sep-tRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンをAGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAのうち、いずれか一つの4塩基アンチコドンに改変した改変tRNAを合成して用いればよく、中でも、上記4塩基アンチコドンは、AGCA、GGCA、GCAC又はGCAAであることが好ましい。4塩基アンチコドンをAGCA、GGCA、GCAC又はGCAAとした改変tRNAは、さらに良好に、SepRSに認識されるため、Sepとの受容能が高く、Sepと改変tRNAとのアミノアシル結合効率が向上する。つまり、4塩基アンチコドンをAGCA、GGCA、GCAC又はGCAAとした改変tRNAを用いることにより、リン酸化蛋白質の合成率が著しく向上する。
Sep-tRNAの合成能を有する古細菌としては、例えば、Methanocaldococcus jannaschii(メタノカルドコッカス ジャナシイ)、Methanosarcina acetivorans(メタノサルシナ アセチボランス)、Methanosarcina barkeri(メタノサルシナ バーケリ)、Methanosarcina mazei(メタノサルシナ マゼイ)、Methanococcus maripaludis(メタノコッカス マリパルディス)、Archaeoglobus fulgidus(アーキアオグロブス ファルギドゥス)、Methanopyrus kandleri(メタノピルス カンドレリ)、又は、Methanothermobacter thermautotrophicusが挙げられる。
また、これらの古細菌のシステインtRNAをコードするDNA配列は、Gen Bankに登録されているM. jannaschii(GenBank Accession Number NC_000909 ;gene ID 1451559、配列番号1)、M. acetivorans(GenBank Accession Number NC_003552 ; gene ID 3362166、配列番号2)、M. barkeri(GenBank Accession Number NC_007355 ; gene ID 3627317)、M. mazei(GenBank Accession Number NC_003901 ;gene ID 2820510)、M. maripaludis(GenBank Accession Number NC_005791 ; gene ID 2761128)、A. fulgidus(GenBank Accession Number NC_000917 ; gene ID 1484681)、M. kandleri(GenBank Accession Number NC_003551 ;gene ID 3161741)、又は、M. thermautotrophicus(GenBank Accession Number NC_000916 ; gene ID 1471677)から得ることができる。なお、上記GenBank Accession Numberにより、それぞれの古細菌のゲノム情報を得ることができ、上記gene IDにより、それぞれの古細菌のシステインtRNAをコードするDNA配列を得ることができる。
中でも、それぞれ、M. jannaschii及びM. acetivoransの有するシステインtRNAである、配列番号1及び2に示す塩基配列からなるRNAにより形成されるシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドン(配列番号1、2において、共に、33位〜35位の「gca」がアンチコドンである)を上述の4塩基アンチコドンに改変して用いることが好ましい。これらの改変tRNAは、後述するSepRSに好適に認識されるからである。
また、本発明に係る方法で用いる改変tRNAは、従来公知の生体外転写法により合成すればよい。転写合成のための鋳型DNAの合成には、例えば、プライマー伸長法、目的配列をベクターに導入してクローニングしてから用いる方法等が挙げられるが、プライマー伸長法が簡便であるため好ましい。つまり、上述したシステインtRNAの内、アンチコドンを上述した4塩基アンチコドンに置換した塩基配列を含む二重鎖DNAを、プライマー伸長法により合成し、これを転写反応に供することで合成することができる。
ここで、図2に基づいて、プライマー伸長法により本発明に係る方法で用いる改変tRNAを合成する方法の一例について説明する。
図2は、本発明に係る方法で用いる改変tRNAを、プライマー伸長法を用いて合成する方法の原理を模式的に表した図である。
図2(a)は、プライマー伸長法に用いる二つのプライマーがアニールした状態を示している。
プライマー伸長法を用いて、本発明に係る方法で用いるシステインtRNAを合成する場合の、プライマーの塩基配列の設計は、プライマー伸長反応が進行して二本鎖DNAが形成された際に、当該二本鎖DNAに、上述のシステインtRNAをコードするDNAであってアンチコドンに相当する配列を上述の4塩基アンチコドンに置換したDNA、及び、当該二本鎖DNAの転写反応を制御するプロモーターをコードするDNAが含まれ、さらに、プライマー同士の3’末端領域がアニール可能なように行なえばよい。
なお、図2では、プロモーターとしてT7プロモーターを用いた場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、用いるRNAポリメラーゼに応じて適宜選択すればよい。
図2(b)は、図2(a)に示した状態から、プライマー伸長反応が進行した様子を示している。プライマー伸長反応が進行すると、合成を目的とする改変tRNAをコードする塩基配列を有する二本鎖DNAが合成される。
なお、例えば図2に示すように、合成した二本鎖DNAを2−プロパノール沈殿法により精製することが好ましい。
そして、当該二本鎖DNAを転写反応に供することにより、図2(c)に示すように目的とする改変tRNAを得ることができる。なお、転写反応は従来公知の方法、装置を用いて行なえばよい。
(ホスホセリルtRNA合成酵素)
本明細書において「ホスホセリルtRNA合成酵素(SepRS)」とは、tRNAにホスホセリンをアミノアシル結合させるアミノアシルtRNA合成酵素をいう。
本明細書において「ホスホセリルtRNA合成酵素(SepRS)」とは、tRNAにホスホセリンをアミノアシル結合させるアミノアシルtRNA合成酵素をいう。
本発明に係る方法で用いるSepRSとしては、本発明に係る方法で用いる改変tRNAにSepをアミノアシル結合する反応を触媒し得る限り、限定されるものではない。
本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法で用いる改変tRNAを良好に認識し、Sep−tRNAの収率を向上させるSepRSとしては、例えばM. jannaschiiに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_000909 ; protein ID NP_615064)、M. acetivoransに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_003552 ; protein ID NP_248670)、M. barkeriに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_007355 ; protein ID YP_304751)、M. mazeiに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_003901 ; protein ID NP_633407)、M. maripaludisに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_005791 ; protein ID NP_987808)、A. fulgidusに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_000917 ; protein ID NP_068951)、M. kandleriに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_003551 ; protein ID NP_613724)、M. thermautotrophicusに由来するSepRS(GenBank Accession Number NC_000916 ; protein ID NP_276615)が挙げられる。なお、上記GenBank Accession Numberにより、それぞれの古細菌のゲノム情報を得ることができ、上記protein IDにより、それぞれの古細菌の有するSepRSのDNA配列及びアミノ酸配列を得ることができる。
中でも、それぞれ、M. acetivorans、M. jannaschiiに由来するSepRSの一つである下記(c)又は(d)が好ましい。
(c)配列番号3又は4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(d)配列番号3又は4のいずれかに示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、SepRS活性を有するポリペプチド。
また、上記「1もしくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換もしくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異蛋白質作製法により欠失、挿入、置換もしくは付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、最も好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されていることが意図される。このような変異蛋白質は、上述したように、公知の変異蛋白質作製法により人為的に導入された変異を有する蛋白質に限定されるものではなく、天然に存在する蛋白質を単離精製したものであってもよい。
本発明に係る方法で用いるSepRSは、本発明に係る方法で用いる改変tRNAにSepをアミノアシル結合する反応を触媒する限り、アミノ酸がペプチド結合しているポリペプチドであればよいが、これに限定されるものではなく、ポリペプチド以外の構造を含む複合ポリペプチドであってもよい。本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド以外の構造」としては、糖鎖およびイソプレノイド基等を挙げることができるが、特に限定されない。また、本発明に係る方法で用いるSepRSは、付加的なポリペプチドを含むものであってもよい。付加的なポリペプチドとしては、例えば、His、Myc、Flag等のエピトープ標識ポリペプチドが挙げられる。
(ホスホセリルtRNA合成酵素の調製方法)
本発明に係る方法で用いるSepRSは、上述したSepRSをコードするDNAを、公知のプラスミド等のベクターに導入し、これを大腸菌等の宿主細胞に導入して発現させて、分離、精製して得ることが、簡便であるため好ましい。
本発明に係る方法で用いるSepRSは、上述したSepRSをコードするDNAを、公知のプラスミド等のベクターに導入し、これを大腸菌等の宿主細胞に導入して発現させて、分離、精製して得ることが、簡便であるため好ましい。
SepRSをコードするDNAとしては、例えば、M. jannaschii(入手先;例えばATCC 43067)、M. acetivorans(入手先;例えば、ATCC 35395、JCM 12185)、M. barkeri(入手先;例えばATCC 29786)、M. mazei(入手先;例えばATCC BAA-159、ATCC 43573)、M. maripaludis(入手先;例えばATCC 43000)、M. kandleri(入手先;例えばDSM 4304)、M. thermautotrophicus(入手先;ATCC 29096、ATCC 29183、ATCC 35610、ATCC 43169、ATCC 43846、ATCC 700791)等のSepRSを有する古細菌からDNAを抽出してこれを鋳型とし、SepRSをコードするDNA配列よりも5’側及び3’側のDNA配列に基づいてプライマーを作製してPCRにより得たものを用いてもよく、上述したSepRSのDNA配列に基づいて、SepRSをコードするDNAを化学合成して得たものを用いてもよい。また、上述したSepRSを有する古細菌を培養して、分離、精製して得たものを用いてもよい。
また、SepRSの分離は、例えば、SepRSを発現させた細胞を、超音波処理等により破砕して、遠心分離等することにより行なえばよい。さらに、アフィニティークロマトグラフィー等、従来公知の蛋白質の精製法を用いて、精製することが好ましい。
(ホスホセリルtRNA)
本発明に係るホスホセリルtRNA(Sep−tRNA)は、上述のように、本発明に係る方法で用いる改変tRNAを、SepRSが認識することによってSepがアミノアシル結合してなる。
本発明に係るホスホセリルtRNA(Sep−tRNA)は、上述のように、本発明に係る方法で用いる改変tRNAを、SepRSが認識することによってSepがアミノアシル結合してなる。
つまり、本発明に係るSep−tRNAは、ホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAの3’末端に、ホスホセリンがアミノアシル結合している構造を有していればよい。
また、本発明に係るSep−tRNAは、Sep、SepRS及び本発明に係る方法で用いる改変tRNAを混合することで合成される。つまり、後述する転写反応及び翻訳反応を行なう反応液に、Sep、SepRS及び本発明に係る方法で用いる改変tRNAを混合しておけば、当該反応液中で合成される。ただし、Sep、SepRS及び本発明に係る方法で用いる改変tRNAを混合して、別途Sep−tRNAを合成してもよく、この場合、反応温度を、37℃にするとよい。
(改変DNA)
本明細書において「改変DNA」とは、蛋白質をコードするDNAにおいて、一部の塩基を任意の塩基に改変したDNAを言う。
本明細書において「改変DNA」とは、蛋白質をコードするDNAにおいて、一部の塩基を任意の塩基に改変したDNAを言う。
本発明に係る方法で用いる改変DNAは、目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのホスホセリンを導入する部位に、上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列を挿入して、又は、ホスホセリンと置換する部位のアミノ酸に該当するコドンの塩基配列を上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列に置換して得ればよい。
例えば、本発明に係る方法で用いる改変tRNAの4塩基アンチコドンをAGCAとした場合、TGCTの4塩基コドンを導入すればよい。
つまり、蛋白質中に存在する任意のセリンをリン酸化する場合は、当該セリンのコドンを上述した4塩基コドンに置換すればよく、蛋白質中の、セリンが天然に存在しない部位にSepを導入する場合は、当該蛋白質をコードするDNA中の、Sepの導入を目的とする部位に、上述した4塩基コドンを新たに導入すればよい。
4塩基コドンを導入する方法は従来公知の方法により行なえばよく、例えば、相同組換え、市販の変異導入キット(例:QIAGEN社のQuickChange mutagenesis kit)を用いる方法等の方法が挙げられる。また、ホスホセリンの導入を目的とする蛋白質をコードし、ホスホセリンの導入を目的とする部位に4塩基コドンを含むDNAを化学合成して得てもよい。
(転写反応及び翻訳反応)
本発明に係る方法では、上述した改変DNA由来のmRNAを得て、上述したSep-tRNAおよび当該mRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成すればよい。
本発明に係る方法では、上述した改変DNA由来のmRNAを得て、上述したSep-tRNAおよび当該mRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成すればよい。
上述した改変DNA由来のmRNAは、従来公知の方法により転写反応を行なって得ればよく、蛋白質の合成は、上述したSep-tRNAと当該mRNAとを含む翻訳系を用いて、従来公知の方法で翻訳反応を行なえばよい。
なお、本明細書において「翻訳系」とは、少なくとも上述したSep-tRNAとmRNAとを含む、翻訳反応に必要な試薬の集合をいい、具体的には、当該試薬を混合して調製した反応液等を意図する。
例えば、従来公知の方法で得た大腸菌S30抽出物を用いて、無細胞系で転写反応、翻訳反応を行なえばよく、その他にも従来公知のウサギ網状赤血球系、昆虫系、コムギ系、大腸菌PURE system等により行なってもよい。
また、本発明に係る方法には、上述したSep−tRNAを予め合成して、これを分離、精製して得た後、上述した4塩基コドンを導入した改変DNAの転写反応及び翻訳反応に、当該Sep−tRNAを供することも包含されるが、チューブ等の一つの反応器において、本発明に係る方法で用いる改変tRNA、Sep、SepRS及び当該改変DNAを含む反応液を調製して、これを、転写反応及び翻訳反応に供することが好ましい。
上述したSep−tRNAは、転写反応及び翻訳反応を行なう反応液中で良好に合成され、そのまま当該翻訳反応に供されるため、別途Sep−tRNAを合成する必要が無い。つまり、一つの反応器でSep−tRNAの合成、転写反応及び翻訳反応を行なうことができ、Sep−tRNAの加水分解による損失も最小限に抑えることができるため、簡便かつ高効率に、標的蛋白質の目的の部位にSepを導入することができる。
〔本発明に係る試薬キット〕
本発明に係る試薬キットは、SepRSを保持する古細菌由来のシステインtRNAのアンチコドンを、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAのうち、いずれか一つの4塩基アンチコドンに改変した改変tRNA、及び、SepRSを含めばよい。
本発明に係る試薬キットは、SepRSを保持する古細菌由来のシステインtRNAのアンチコドンを、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAのうち、いずれか一つの4塩基アンチコドンに改変した改変tRNA、及び、SepRSを含めばよい。
また、試薬キットの構成としては上記挙げたものに限定されるものではなく、Sep等、他の試薬や器具を含んでもよい。例えば、転写、翻訳反応関連試薬・器具(RNAポリメラーゼ、バッファー等)を含んでもよいし、改変tRNAやSepRSを安定的に保持するための試薬や緩衝液を含んでもよい。
上記の何れの構成であっても、目的の部位にホスホセリンが導入されたリン酸化蛋白質の合成に好ましい薬剤等が含まれている。また、本発明に係る試薬キットを用いれば、Sep-tRNAを合成し、当該Sep-tRNAをそのまま翻訳反応に供することができる。
従って、本発明に係る試薬キットを用いれば、簡便かつ高効率に、目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質を合成することができる。さらに、上述のように保管が困難なアミノアシルpdCpA又はアミノアシルtRNAを用いる必要が無いため、実用上も優れている。
また、本発明に係る試薬キットの提供形態は、含まれる試薬全てを、適切な容量及び/又は形態で含有した一つの容器として提供してもよいし、それぞれ別の容器により提供してもよい。また、本発明に係る試薬キットには、蛋白質にSepを導入するための手順等を記載した説明書を含んでもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1:アンチコドンを改変したtRNAの合成〕
配列番号1に示す塩基配列からなるシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンを、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC又はGCAAに改変した改変tRNA、及び、UCAに改変した改変tRNAを合成した実施例について説明する。
配列番号1に示す塩基配列からなるシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンを、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC又はGCAAに改変した改変tRNA、及び、UCAに改変した改変tRNAを合成した実施例について説明する。
(鋳型DNAの合成)
まず、tRNAを合成するための鋳型となる2本鎖DNAを(以下、「鋳型DNA」と表記する。)、プライマー伸長法により合成した。プライマーとして、全ての改変tRNAの合成において、一方のプライマーに配列番号5に示す塩基配列からなるプライマーを用い、他方のプライマーとして、アンチコドンを、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC又はGCAAに改変した改変tRNAを合成するために、それぞれ配列番号6〜13に示す塩基配列からなるプライマー、UCAに改変した改変tRNAを合成するために、配列番号14に示す塩基配列からなるプライマーを用いた。
まず、tRNAを合成するための鋳型となる2本鎖DNAを(以下、「鋳型DNA」と表記する。)、プライマー伸長法により合成した。プライマーとして、全ての改変tRNAの合成において、一方のプライマーに配列番号5に示す塩基配列からなるプライマーを用い、他方のプライマーとして、アンチコドンを、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC又はGCAAに改変した改変tRNAを合成するために、それぞれ配列番号6〜13に示す塩基配列からなるプライマー、UCAに改変した改変tRNAを合成するために、配列番号14に示す塩基配列からなるプライマーを用いた。
プライマー伸長法は、以下の条件で行なった。
プライマー伸長反応用の反応液は、全量を100μlとして、2種類のプライマーをそれぞれ1μM、dNTPsを0.2mM、KOD Dash DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を25U、上記東洋紡社製KOD Dash DNAポリメラーゼに添付の10×Bufferを10μl混合し、残部を純水とした。
次に、予め94℃に加温したPCR用のサーマルサイクラーに、上記プライマー伸長反応用の反応液を含む反応器を配置して、94℃で90秒間、55℃で2秒間、72℃で30秒間静置してプライマー伸長反応を行なった。
プライマー伸長反応後の反応液に対して2倍量の2−プロパノールを混合した。その後、上清を廃棄して、析出した沈殿物を回収した。ここで得た沈殿物を、80%エタノールで洗浄して、乾燥させた後、滅菌水50μlに溶解させて鋳型DNA溶液を得た。
得られた鋳型DNA溶液の内1μlを、6%polyacrylamide、1×TBEからなるゲルを用いて電気泳動(200V、20℃、30分間)に供して、鋳型DNAの合成を確認した。
その結果を図3に示す。図3は、得られた鋳型DNAを電気泳動に供した結果を示す図であり、各バンドパターンの上に、それぞれの鋳型DNAを用いて得られる改変tRNAが有するアンチコドンの塩基配列を示す。また、最も左のバンドパターンは、分子量マーカーである。図3により、いずれの鋳型DNAも合成されたことが確認できる。
(改変tRNAの合成)
次に、合成した鋳型DNAを用いて、T7RNAポリメラーゼにより転写反応を行なった。転写反応に用いた転写用反応液は、全量を400μlとして、それぞれの鋳型DNA溶液20μlを、10×Tバッファー(40μl)、25mM NTPs(32μl)、100mM グアニル酸(40μl)、T7RNAポリメラーゼ(3μl、Takara社製)、残部を純水とした。そして、それぞれの転写用反応液を37℃、4時間静置することで転写反応を行ない、改変tRNA溶液を得た。
次に、合成した鋳型DNAを用いて、T7RNAポリメラーゼにより転写反応を行なった。転写反応に用いた転写用反応液は、全量を400μlとして、それぞれの鋳型DNA溶液20μlを、10×Tバッファー(40μl)、25mM NTPs(32μl)、100mM グアニル酸(40μl)、T7RNAポリメラーゼ(3μl、Takara社製)、残部を純水とした。そして、それぞれの転写用反応液を37℃、4時間静置することで転写反応を行ない、改変tRNA溶液を得た。
次に、改変tRNAの合成の確認のため、それぞれの改変tRNA溶液の内3μlを、10% polyacrylamide、7M 尿素、1×TBEからなるゲルを用いて電気泳動(200V、20℃、30分間)に供して、転写反応の確認を行なった。
その結果を図4に示す。図4は、得られた改変tRNAを電気泳動に供した結果を示す図であり、各バンドパターンの上に、それぞれの改変tRNAが有するアンチコドンの塩基配列を示す。また、最も右のバンドパターン、最も左のバンドパターン及びその右のバンドパターンは、改変していないM. jannaschii由来のシステインtRNAを示しており、各バンドパターンの上に付した数値は、当該システインtRNAの濃度を示している。図4より、いずれの改変tRNAも得られたことが確認できた。
〔実施例2:SepRSの調製〕
(SepRS発現細胞の調製)
配列番号15に示す塩基配列からなるDNAを、pET-21a(+)プラスミド(Novagen社)のNdeI-XhoIサイトに導入した。なお、配列番号15に示す塩基配列は、M. acetivoransが有するSepRSをコードする塩基配列である。
(SepRS発現細胞の調製)
配列番号15に示す塩基配列からなるDNAを、pET-21a(+)プラスミド(Novagen社)のNdeI-XhoIサイトに導入した。なお、配列番号15に示す塩基配列は、M. acetivoransが有するSepRSをコードする塩基配列である。
次に、大腸菌BL21(DE3)(Novagen社製)の懸濁液に、当該プラスミドを5ng/50μlとなるように添加し、氷上で30分間、42℃で45秒間、さらに氷上で5分間静置した。
その後、大腸菌BL21(DE3)をLB培地(Triptone peptone 10g/l、Yeast extract 5g/l、NaCl 10g/l、Bacto agar 15g/l、オートクレーブによる滅菌後、アンピシリン 100mg/l添加)に植菌して、37℃で一晩培養した。これによりSepRS発現細胞を得た。
(SepRS発現細胞の培養)
フィルター滅菌したリン酸緩衝液(0.72M K2HPO4、0.17M KH2PO4)及び100mg/lアンピシリン溶液100μlを添加したTB培地(Bacto peptone 12g/L、Yeast extract 24g/l、glycerol 4ml/l)100mlに、得られたSepRS発現細胞を植菌して、37℃で振騰培養した。600nmの吸光度(A600)で0.6になるまで培養した後、培養温度を30℃とした上で、1M IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)100μl、及び、100mg/lアンピシリン溶液40μlを添加して一晩培養した。
フィルター滅菌したリン酸緩衝液(0.72M K2HPO4、0.17M KH2PO4)及び100mg/lアンピシリン溶液100μlを添加したTB培地(Bacto peptone 12g/L、Yeast extract 24g/l、glycerol 4ml/l)100mlに、得られたSepRS発現細胞を植菌して、37℃で振騰培養した。600nmの吸光度(A600)で0.6になるまで培養した後、培養温度を30℃とした上で、1M IPTG(イソプロピルチオガラクトシド)100μl、及び、100mg/lアンピシリン溶液40μlを添加して一晩培養した。
(SepRSの精製)
培養したSepRS発現細胞を、培養後のTB培地を遠心分離(5000rpm、4℃、20分間)して、上清を廃棄することで回収した。
培養したSepRS発現細胞を、培養後のTB培地を遠心分離(5000rpm、4℃、20分間)して、上清を廃棄することで回収した。
次に、氷冷したbuffer An 5ml(50mM HEPES-KOH(pH7.5)、150mM (NH4)2SO4、7mM MgCl2、20% glycerol、使用直前に7mM β-Mercaptoethanol、及び、100μM PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)を添加)に、回収したSepRS発現細胞を懸濁させた。
次に、回収したSepRS発現細胞の懸濁液を、超音波破砕装置(Branson社製;型番S-250D、条件;out put 3、duty cycle 20% 、10分間)を用いた超音波破砕に供して、SepRS発現細胞の細胞壁を破壊した。その後、2mlチューブに分取したものを、15,000rpm、4℃、30分間、遠心分離して、沈殿物が混入しないように、上清を回収した。なお、当該上清の内、2μlは、SDS-PAGEに供して、SepRSの合成を確認した。
SepRSの精製は、カラム(Qiagen社製Ni-NTA Agarose;型番30210)を用いて行なった。当該カラムは、十分に懸濁したNi-NTA樹脂を1ml充填し、滅菌水3mlで洗浄した後、上記buffer An 10mlで洗浄したものである。
まず、上記カラムに、回収した上清を流し、次に、当該カラムを、上記buffer An 30mlで洗浄し、その後、buffer B 30ml(50mM HEPES-KOH(pH7.5)、1M NH4Cl、10mM Imidazole、20% glycerol、使用直前に5mM β-Mercaptoethanolを添加)で洗浄した。
さらに、当該カラムにbuffer Cn 100μl(50mM HEPES-KOH(pH7.5)、100mM (NH4)2SO4、150mM Imidazole、20% glycerol、使用直前に5mM β-Mercaptoethanolを添加)を流した。ここで得られた溶出液を1.5mlチューブで分取した(これを画分1とする)。
さらに、当該カラムに上記buffer Cnを1ml流し、得られた溶出液を1.5mlチューブで分取した(これを画分2とする)。
画分2を得た操作と同様の操作を繰り返し、画分3、4、5を分取した。
次に、画分1〜5を96ウェルプレート上に2μlずつ分取して、BioRad社製 Protein Assay Kitに付属の蛋白質検出溶液を5倍希釈したものを、200μlずつ加えた。これにより、SepRS濃度が高い画分ほど濃い青に呈色した。よって、最も濃い青を示した画分を、SepRS溶液として、後述する改変tRNAとSepとのアミノアシル結合に用いた。なお、当該SepRS溶液は、−80℃で保存した。
〔実施例3:改変tRNAと、ホスホセリンとのアミノアシル結合〕
次に、得られた改変tRNAとSepとのアミノアシル結合を行なった。
次に、得られた改変tRNAとSepとのアミノアシル結合を行なった。
まず、実施例1で得られた改変tRNA溶液に対して、フェノール処理、イソプロピルアルコール沈殿を行なった後、ゲル(10% polyacrylamide、7M 尿素、1×TBE)を用いて電気泳動を行なって改変tRNAを精製した。切り出した改変tRNAを含むゲル断片を、2mM EDTA溶液に溶解してエタノール沈殿させた後、Sepとのアミノアシル結合反応に用いた。
なお、フェノール処理は以下のようにして行なった。フェノール、クロロホルム、イソアミルアルコールの混合液(重量比25:24:1)を、改変tRNA溶液に等量加えて、1分間攪拌した後、10000rpmで1分間遠心し、上清を回収した。次に、回収した上清に対して、クロロホルムを等量加え、1分間攪拌した後、10000rpmで1分間遠心分離し、上層を取り出した。
また、イソプロピルアルコール沈殿は以下のようにして行なった。フェノール処理後の改変tRNA溶液に対してイソプロピルアルコールを0.8倍容量加えて、攪拌して、氷上で5分放置した後、15000rpm、4℃で15分遠心分離した。その後、上清を除いて沈殿物を回収した後、氷冷した70%エタノールを100μl加えて15000rpm、4℃で1分遠心して、上清を除き沈殿物を回収した。なお、イソプロピルアルコール沈殿により得た沈殿物は減圧乾燥して保管した。
アミノアシル結合反応に用いる反応液は、全量を15μlとして、上述の精製により得た改変tRNAを0.05 OD/μlとなるように調製したものを0.4μl、10×Tris‐HCl/NaCl/DTT(1.5μl)、MgCl2を5mM含む5×ATP(3μl)、上述の方法で得たSepRS溶液(3μl)、300μM Sep(2μl)を混合し、残部は純水とした。なお、後述のように放射活性を測定することで、Sepと改変tRNAとのアミノアシル結合効率を確認するため、ここで用いたSepは、放射標識が施されている。
次に、当該反応液を37℃で30分間インキュベートすることでアミノアシル結合反応を行なった。
それぞれの改変tRNAに対する、Sepのアミノアシル結合効率は、以下の方法で確認した。
まず、アミノアシル結合反応後の反応液をフィルター(Whatman社製、グレード3MM)にスポットし、10%トリクロロ酢酸溶液中で10分の洗浄を3回行なった後、エタノールで軽く濯ぎ、再びエタノールを加えて10分洗浄した。その後、白熱ランプでフィルターを乾燥した。これを5mlの液体シンチレーター(DOTITE DPO 4g、DOTITE POPOP 0.1g/トルエン1lの割合で調合)中にいれて、放射活性を測定した。
ここでフィルターに結合しているのは、改変tRNA、Sep−tRNA、及びSepRSである。なお、改変tRNAにアミノアシル結合しなかったSepは、上述のフィルター上における洗浄工程で洗い流されているので検出されない。よって、フィルターに残った放射活性は、Sep−tRNAの量を示す。なお、予め放射標識したSepを用いて、測定される放射活性からセリンの量を算出するための検量線を作成することで、各反応液において得られた放射活性から、得られたSep-tRNAの量(pmol)を算出し、さらに、アミノアシル結合効率(アミノアシル結合反応に供した改変tRNAの内、Sepと結合した改変tRNAの割合)を算出した。また、バックグラウンドの放射活性等は適宜調整する計算を行ない、Sep−tRNA由来の放射活性を算出した。その結果を表1に示す。
なお、表1には、実施例1では作製していない、配列番号1に示す塩基配列からなるシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンをCCCG又はACCCに改変した改変tRNAと、Sepとのアミノアシル結合効率を、実施例3に記載の方法で求めた結果も示している。当該改変tRNAは、実施例1と同様の方法で得たものである。
表1に示すように、アンチコドンをUCA、CCCG又はACCCに改変した改変tRNAには、全くSepが結合せず、アンチコドンをAGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC又はGCAAに改変した改変tRNAにはSepが結合したことが確認された。また、4塩基コドンを、AGCA、GGCA、GCAC、GCAAに改変した場合、さらに良好にSepと結合することが確認された。
本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法は、天然に存在するホスホセリン修飾蛋白質のみではなく、天然には存在しないホスホセリン修飾蛋白質をも得ることができる。本発明に係るリン酸化蛋白質合成方法により得られた様々なホスホセリン修飾蛋白質は、生化学研究や臨床研究で利用可能であり、さらに、創薬などの医薬品産業で利用可能である。
Claims (8)
- 目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質の合成方法であって、
ホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAを合成する工程と、
ホスホセリルtRNA合成酵素を用いて、上記改変tRNAにホスホセリンをアミノアシル結合させ、ホスホセリルtRNAを得る工程と、
目的の蛋白質をコードするDNAにおいて、当該DNAのホスホセリンを導入する部位に上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列が挿入された改変DNA、又は、ホスホセリンと置換する部位のアミノ酸に該当するコドンの塩基配列が上記改変tRNAの有する4塩基アンチコドンに対応するコドンの塩基配列と置換された改変DNAを得る工程と、
上記改変DNA由来のmRNAを得る工程と、
上記ホスホセリルtRNAおよび上記mRNAを含む翻訳系を用いて蛋白質を合成する工程とを含むことを特徴とするリン酸化蛋白質合成方法。 - 上記4塩基アンチコドンは、AGCA、GGCA、GCAC、GCAAであることを特徴とする請求項1に記載のリン酸化蛋白質合成方法。
- 上記古細菌は、Methanocaldococcus jannaschii(メタノカルドコッカス ジャナシイ)又は、Methanosarcina acetivorans(メタノサルシナ アセチボランス)であることを特徴とする請求項1に記載のリン酸化蛋白質合成方法。
- 上記システインtRNAは、配列番号1又は2のいずれかに示される塩基配列からなることを特徴とする請求項1に記載のリン酸化蛋白質合成方法。
- 上記ホスホセリルtRNA合成酵素は、Methanosarcina acetivorans(メタノサルシナ アセチボランス)又は、Methanocaldococcus jannaschii(メタノカルドコッカス ジャナシイ)由来のホスホセリルtRNA合成酵素であることを特徴とする請求項1に記載のリン酸化蛋白質合成方法。
- 上記ホスホセリルtRNA合成酵素は、下記(c)又は(d)のいずれかのポリペプチドであることを特徴とする請求項1に記載のリン酸化蛋白質合成方法。
(c)配列番号3又は4のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(d)配列番号3又は4のいずれかに示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。 - 目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質の合成に用いる、ホスホセリルtRNAであって、
ホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNAの3’末端に、ホスホセリンがアミノアシル結合している構造を有することを特徴とするホスホセリルtRNA。 - 目的の部位にホスホセリンが導入された蛋白質を合成するためのキットであって、
少なくともホスホセリルtRNAの合成能を有する古細菌由来のシステインtRNAにおいて、当該システインtRNAのアンチコドンが、AGCA、CGCA、GGCA、UGCA、GCAG、GCAU、GCAC及びGCAAから選択されるいずれか一つの塩基配列からなる4塩基アンチコドンに置換された改変tRNA、及びホスホセリルtRNA合成酵素を含むことを特徴とするキット。
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