1.装置構成
本発明の実施の形態におけるデザイン制作支援装置は、図1のように、マネジメントサーバ100、クライアントコンピュータ102a,102b・・・及びネットワーク104から構成される。マネジメントサーバ100及びクライアントコンピュータ102a,102b・・・は、ネットワーク104を介して、情報伝達可能に接続される。
マネジメントサーバ100は、図2のように、制御部10、記憶部12、入力部14、出力部16及びネットワークインターフェース部18から基本的に構成される。
制御部10は、記憶部12に保存されたクラスタ化処理プログラム及びデザイン制作支援プログラム(デザイン制作マネジメントプログラム)を読み出して実行する。また、処理に必要なデータを入力部14、ネットワーク104から取り込み、記憶部12に格納する。また、処理に必要な場合には、記憶部12に保持されたデータを読み出して処理に供する。さらに、処理結果を再び記憶部12に格納し、必要に応じて出力部16又はネットワーク104に出力する。
記憶部12は、クラスタ化処理プログラム及びデザイン制作支援プログラム並びに入力部14やネットワーク104から取り込まれるキーワード等の各種データを格納及び保持する。また、処理に必要とされる印象表現データベース、印象評価データベース、デザイン評価データベース、デザインデータベース、ユーザ印象情報データベース、印象表示用データベース、クラスタデータベース等のデータベースを格納及び保持する。各々のデータベースの内容及び使用方法については後述する。記憶部12としては、主として半導体メモリが用いられるが、例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどの記憶装置を用いることもできる。
入力部14は、使用者が処理に必要なデータを入力する際に用いられる。入力部14としては、例えば、キーボード等の文字入力装置やマウス、ライトペン等のポインティングデバイスを用いることができる。また、紙などの記録媒体に作成された既存のプレゼンテーション資料等を電子データとして読み込む場合には、スキャナ等のドキュメント読取装置、音声等を入力する場合にはデジタル信号への変換が可能な音声入力装置を用いることができる。
出力部16は、処理に必要なデータの入力を促す入力画面、制御部10での処理結果を示す出力画面等を表示する。出力部16としては、例えば、ディスプレイ、プリンタ等のドキュメント出力装置を用いることができる。
ネットワークインターフェース部18は、マネジメントサーバ100をネットワーク104と情報伝達可能に接続するために用いられる。
また、クライアントコンピュータ102a,102b・・・もマネジメントサーバ100と同様にコンピュータの基本構成を有する。クライアントコンピュータ102a,102b・・・においても、ネットワーク104を介することによって、マネジメントサーバ100に対して処理に必要な情報を送信したり、マネジメントサーバ100における処理結果を受信したりすることができる。また、以下に示すデザイン制作支援方法の処理の一部をクライアントコンピュータ102で実行させてもよい。
2.消費者モデルによるクラスタ化処理方法
本実施の形態では、図7のステップS50に示すように、被験者を消費者モデルに沿って分類(クラスタ化)し、クラスタ毎にドキュメントのデザインの評価を変更(補正)する。そこで、まず、被験者を消費者モデルによりクラスタ化するクラスタ化処理について説明する。ここでは、マネジメントサーバ100においてクラスタ化処理を行うものとして説明を行う。
クラスタ化処理は、図3に示すフローチャートに沿って実行される。クライアントコンピュータ102a,102b・・・は、ネットワーク104を介して、それぞれマネジメントサーバ100と接続されて通信を行い、いずれもデザイン制作者の端末としても、依頼主の端末としても、消費者の端末としても機能することができる。以下の説明においては便宜上、記憶部12にクラスタ化処理プログラムが予め格納及び保持されており、制御部10においてクラスタ化処理プログラムを実行することによって図3のフローチャートの各工程を実現するものとして説明を行う。
なお、本願請求項に係る発明の一部の手段は、クラスタ化処理の各工程をコンピュータで処理させることによって実現される。
当該処理では、複数の消費者をその因子(パーソナリティ、行動特性、商品に対する考え方(価値観)等)に基づいてクラスタ化する。
ステップS50では、ドキュメントのデザイン制作を依頼した依頼主等から取得したドキュメントのコンテンツ(例えば、自動車の広告)が対象とする商品(例えば、自動車)についての各消費者の因子情報及び属性情報が取得される。
因子情報としては、各消費者についてドキュメントに対する期待を示す情報(期待情報)、ドキュメントの実際の利用に関する情報(実用情報)がアンケートによって取得される。
各消費者モデルは、例えば図4のようにクラスタ化されている。消費者モデルは、どのような因子情報に該当する被験者(消費者等のユーザ)が、ドキュメントの内容に興味が有るか無いか、ドキュメントについて肯定的であるか否定的であるか、ドキュメントについて好意的であるのかそうでないのか等のクラスタに分類されるのかを表すモデルである。各消費者モデルには、因子及びその寄与度が規定されている。
図5(a)の例では、消費者のパーソナリティに関する因子及び寄与度として主体性(寄与度:70〜90%)、協調性(寄与度:20〜30%)・・・等、消費者の行動特性に関する因子及び寄与度として情報取得の重視度(30〜40%)、情報伝達の重視度(70〜80%)・・・等、商品に対する考え方の因子及び寄与度として機能的価値の重視度(80〜90%)、情緒的価値の重視度(10〜20%)・・・等がモデル化された消費者の特性として登録されている。
一方、各消費者からアンケートの回答として得られる因子情報は、上記の消費者モデルを定義する因子に対応するものとする。例えば、図5(b)に示すような内容である。商品が自動車である場合、パーソナリティに関する因子として、主体性の質問(決めたことは即実行する)、協調性の質問(相手に気持ちよく合わせられる)等を含み、行動特性に関する因子として、情報取得重視度の質問(情報は早く知りたい)等を含み、商品に対する考え方に関する因子として、機能的価値重視度の質問(スピードは出したい方だ)等を含む。これらの各因子についての質問に「はい」又は「いいえ」の選択により回答を受け付け、各消費者から因子情報を取得する。
なお、ここでは、説明を簡単にするために簡単な例を示しているが、例えば、主体性の質問事項を複数設定して、これらの質問の7割に「はい」と回答した消費者は主体性の因子寄与度が70%とする等の処理を行う。他の因子についても同様である。
また、属性情報としては、各消費者の性別、年齢、家族構成等がアンケートによって取得される。これらの属性情報も、消費者にアンケートに答えさせる方法によって取得することができる。
ステップS52では、予め設定されている消費者モデルに則って、各消費者がクラスタに分類される。各消費者モデルは、上記のように、ドキュメントのコンテンツの対象(例えば、自動車)についてのクラスタ毎に設定されている。
制御部10は、ステップS50で取得された因子情報を分析処理し、消費者毎に因子寄与度(パーソナリティに関する主体性の因子寄与度や協調性寄与度等、行動特性に関する情報取得重視度寄与度や個人重視性寄与度等、商品に対する考え方に関する機能的価値重視度寄与度や自己表現重視度寄与度等)が算出される。
これらの因子寄与度に基づいて、各消費者は、商品毎に予め設定されている消費者モデルにおける対応するクラスタに分類される。また、クラスタ化処理を行う際に、各消費者の属性情報を付加情報として利用してもよい。
すなわち、消費者モデルを指定することによって、消費者モデルに属するであろう各消費者の特性を示す情報を特定することができ、これらの特性に基づいて趣味や嗜好等が共通する消費者をクラスタとして分類することができる。
クラスタ化された各消費者(ユーザ)の情報は、図6に示すように、各消費者(ユーザ)を特定するためのユーザID、その消費者(ユーザ)のクラスタを特定するクラスタID、を関連付けたクラスタデータベースとして記憶部12に登録される。
3.デザイン制作支援方法
本実施の形態におけるデザイン制作支援方法を、図7を参照して、以下に詳細に説明する。なお、本願請求項に係る発明における各手段は、以下のデザイン制作支援方法の各工程をコンピュータで処理させることによって実現される。
ここで、デザインの評価は上記クラスタ化処理の対象となったユーザによって行われる。また、デザインの制作を行う者(デザイン制作者)、デザイン制作者に対してデザインの制作を依頼する者(依頼主)及び制作されたデザインの受け手となる者(消費者、需要者)がシステムを利用するユーザとなることができる。デザイン評価を行う者は単独でも良いし、複数人であってもよい。
クライアントコンピュータ102a,102b・・・は、ネットワーク104を介して、それぞれマネジメントサーバ100と接続されて通信を行い、いずれもデザイン制作者の端末としても、依頼主の端末としても機能することができる。以下の説明においては便宜上、操作者はマネジメントサーバ100を用いて処理を行うものとする。
デザイン制作支援方法は、図7のように、ステップS10の目標印象決定工程、ステップS20のデザイン印象評価工程、ステップS30のユーザ印象取得工程及びステップS40の印象提示工程を含んでなる。
これらの各工程は、コンピュータで処理可能なデザイン制作支援プログラムをマネジメントサーバ100の記憶部12に格納及び保持し、マネジメントサーバ100によってそのプログラムを実行することによって実現される。
プログラムの処理が開始されると、ステップS0において、図8のように、制御部10はメインメニュー画面1000を出力部16に表示させ、操作者に対して所望の処理を選択するように促す。ここで、メインメニュー画面1000においては、マウスポインタ5が表示され、所望の処理を示す画面位置をクリックすることによって、各処理の実行が開始される。
また、メインメニュー画面1000には、制作の対象となっているデザインの識別番号を入力するボックス15が設けられており、以下の処理において対象となるデータベース等はこのボックス15に入力された番号で識別されることとなる。
例えば、ボックス15に識別番号として“9”を入力し、目標印象決定ボタン20が表示されている位置にマウスポインタ5を移動させ、マウスをクリックすることによって、デザインの識別番号は9となり、ステップS10の目標印象決定工程に処理が移行する。同様に、ステップS20のデザイン印象評価工程、ステップS30のユーザ印象取得工程、ステップS40の印象提示工程に処理を移行させる場合もそれぞれデザイン印象評価ボタン22、ユーザ印象取得ボタン24、印象提示ボタン26が表示されている位置にマウスポインタ5を移動させてマウスをクリックすることによって処理を移行させることができる。
3−1.目標印象決定工程
ステップS10の目標印象決定工程では、制作対象となるデザインに必要とされる印象に関する情報(以下、目標印象情報という)が定められる。目標印象決定工程は、図9に示すフローチャートによって処理される。
まず、ステップS10aにおいて、制御部10は、目標印象入力画面1002を出力部16に表示させる。目標印象入力画面1002は、図10に示すように、デザインの印象を表現する複数の情報(選択肢)を提示して、依頼主からデザイン制作の目標となる印象にあった情報(選択肢)を選択させるものである。
ここで、デザインの印象を表現する情報(選択肢)は、デザインの印象を端的に表現する形容詞群からなる文字情報、単一の色を表すカラーパッチの群や複数の色彩を組み合わせたカラーパレットの群からなる色彩情報、デザインの印象を抽象的に表現する抽象画の群からなる画像情報等を、デザイン制作の対象に応じて適宜選択して用いることが好適である。これらの情報は、印象表現データベースとして予め記憶部12に保存しておくことによって、適宜読み出して用いることができる。
本実施の形態では、まず、図11の印象表現データベースを用いてドキュメントの印象をユーザから取得する。印象表現データベースは、図12に示すような印象マップの全体を網羅する形容詞の表現を含むものである。ここで、印象マップとは、表示画面を複数の領域に分割し、各々の領域をドキュメントの印象を示す領域として割り当てたものである。印象マップには座標軸を設けて、その座標軸に沿って印象が所定の傾向で変化していくように印象を表す形容詞を割り当てる。例えば、図12の例では、“暖かい”から“冷たい”までのデザインの暖かさを示すX座標と、“柔らかい”から“硬い”までのデザインの硬さを示すY座標と、の二つの直交座標を設け、それぞれの印象の変化に沿って印象を表す形容詞が割り当てられている。なお、印象マップへの情報の割り当て方法はこれに限られるものではなく、対象とするデザインの種類に応じて座標軸の設定を変更することが好ましい。
ここでは、図10のように、印象表現データベースから読み出された形容詞が列挙表示された目標印象入力画面1002を出力部16に表示させる。
ステップS10bでは、依頼主は入力部14を用いて、デザインに要求される印象に沿った情報を選択する。本実施の形態では、複数の依頼主にデザイン制作の目標とすべき印象に合致する形容詞を選択入力させる。
操作者となるユーザ(被験者)は、目標印象入力画面1002に表示された形容詞の記入欄に各形容詞に割り振られた番号を入力する。これによって、ユーザが目標とすべきであるという印象に合致する形容詞が選択される。また、評価の被験者となるユーザは、上記クラスタ化処理でユーザ毎に割り当てられたユーザIDを目標印象入力画面1002のユーザID入力ボックスに入力する。これによって、形容詞の選択を行ったユーザを特定するためのユーザIDが取得される。選択された形容詞及びその選択順がユーザIDに関連付けられて記憶部12に保存される。
本実施の形態では、ユーザ毎にこの処理を繰り返すことによって、複数のユーザがデザイン制作の目標とすべきと考えている印象を示す選択肢が順次取得される。例えば、企業のコーポレートカラーのデザインを制作する際に目標となる印象を決定しようとする場合には、企業内の複数の役員に企業のコーポレートカラーの印象にあった形容詞を選択させる。
なお、印象を表現する情報の選択方法は、これに限られるものではなく、ユーザの入力が容易に行える方法であれば他の方法を用いても良い。
次に、ステップS10cにおいて、ステップS10bで選択された選択肢(形容詞)に基づいて、ドキュメントのデザイン制作における目標印象情報が定められる。
各ユーザが選択した選択肢について各選択肢の重み係数が決定される。本実施の形態では、各ユーザが選択した選択肢の総数に応じて、ユーザ毎に選択された選択肢の重み係数が定められる。具体的には、図13に示すように、ユーザ毎に選択された形容詞の重み係数の和が等しくなるように、選択された形容詞の総数Ntotalで総和値を除した値を各形容詞の重み係数とする。例えば、被験者Aについては、選択された形容詞が10個であるので、重み係数の総和値を1とするようにするには、各形容詞の重み係数は1/10=0.1とする。被験者Bについては、選択された形容詞が5個であるので、各形容詞の重み係数は1/5=0.2とする。
次に、形容詞毎に同一のクラスタに属する各ユーザに対して決定された重み係数を足し合わせて、クラスタ毎に各印象情報の重み係数の累積値を算出する。
次に、制御部10は、まず、ステップS10bにおいて形容詞の選択を行ったユーザ毎に各印象情報に対応付けられた形容詞の重み係数の累積値を算出する。次に、制御部10は、ステップS10bにおいて形容詞の選択を行ったユーザのユーザIDを読み出し、記憶部12に登録されているクラスタデータベースを参照して、そのユーザIDに対応付けられているクラスタIDを抽出する。そして、図14のようにクラスタ毎に登録されている印象評価データベースを参照して、各印象情報に割り当てられている形容詞の重み係数を足し合わせる。これにより、各ユーザについての各印象情報に対する重み係数の積算値が算出される。ステップS10bにおいて形容詞の選択を行った各ユーザについてこの処理を行う。次に、クラスタ毎に、そのクラスタに属する全ユーザの印象情報毎の重み係数の積算値を印象情報毎に足し合わせて、クラスタ毎に各印象情報の重み係数の累積値を算出する。
ここで、印象情報は、印象表現データベースに登録されている形容詞等の選択肢と同様に印象マップ上に割り当てることができるデザインの印象を表す情報であるが、形容詞等の選択肢よりも広い概念を表すものとすることが好ましい。すなわち、印象情報は、複数の選択肢にまたがるような広い概念を表すものとする。
例えば、図14の印象評価データベースの例では、クラスタIDがC1である場合、印象情報「カジュアル」に対しては形容詞「親しみやすい」、「かわいい」が関連付けられて登録されているので、クラスタIDがC1であるユーザについては「親しみやすい」という形容詞の重み係数と「かわいい」という形容詞の重み係数とを足し合わせた値を印象情報「カジュアル」に対する積算値として算出する。同様に、クラスタIDがC2である場合、印象情報「カジュアル」に対しては形容詞「魅惑的な」、「かわいい」が関連付けられて登録されているので、クラスタIDがC2であるユーザについては「魅惑的な」という形容詞の重み係数と「かわいい」という形容詞の重み係数とを足し合わせた値を印象情報「カジュアル」に対する積算値として算出する。このようにして、他のユーザについても、ユーザがどのクラスタに属するかを考慮して、各印象情報に対する重み係数の積算値を算出する。そして、クラスタ毎に属するユーザについて算出された各印象情報に対する積算値を印象情報毎に足し合わせて、クラスタ毎の各印象情報に対する重み係数の累積値を導出する。
こうして算出された累積値に基づいて、クラスタ毎に累積値が最も高い印象情報を目標印象情報として設定する。クラスタ毎に求められた目標印象情報はクラスタIDに関連付けられて記憶部12に格納及び保持される。目標印象情報の設定処理が終了すると、処理はステップ0へ戻される。
<変形例>
目標印象情報の決定方法は上記実施の形態の方法に限定されるものではない。本変形例では、選択肢(形容詞)の選択順に基づいて重み付けを変更することによって目標印象情報を決定する方法について説明する。本変形例における処理は、基本的に図9に示すフローチャートに沿って行われるが、ステップS10cにおける処理が異なる。
各ユーザが選択した選択肢について各選択肢の重み係数が決定される。本実施の形態では、各ユーザが選択した選択肢の選択順に応じて、ユーザ毎に選択された選択肢の重み係数が定められる。具体的には、図15に示すように、ユーザ毎に選択された形容詞の重み係数の和が等しくなり(例えば、総和値が1となる)、かつ、早く選択された形容詞ほど高い重み付け係数となるように各形容詞の重み係数が決定される。
例えば、第n番目に選択された形容詞の重み付け係数Anは、An=((選択された形容詞の総数Ntotal+1)−n)/Σnとすることができる。図15では、被験者Aは10個の形容詞(選択肢)を選択したのでNtotal=10となり、第1番目に選択された「ロマンチック」に対してはn=1として重み係数A1=((10+1)−1)/55≒0.180となり、第2番目に選択された「親しみやすさ」に対してはn=2として重み係数A2=((10+1)−2)/55≒0.164となる。以下、第3番目以降に選択された形容詞についても同様に重み係数を算出する。
このように各ユーザが選択した形容詞毎の重み係数が算出された後の処理は上記実施の形態と同様に行われる。
なお、上記実施の形態及び変形例においては、ドキュメントの印象を表す選択肢として文字情報である形容詞を用いたがこれに限定されるものではない。上記のとおり、色彩情報や画像情報を選択肢として用いてもよい。形容詞を用いた方法と同様に、印象マップ上に色彩情報や画像情報を割り当てておき、ユーザによってドキュメントのデザイン制作の目標とすべき印象として選択された色彩情報や画像情報の印象マップ上での分布に基づいて目標印象情報を決定することができる。
3−2.デザイン印象評価工程
ステップS0において、デザイン印象評価ボタン22がクリックされると、ステップS20のデザイン印象評価工程に処理が移行される。
ステップS20のデザイン印象評価工程においては、ドキュメントのデザインの印象に関する情報(以下、デザイン印象情報という)が抽出される。デザイン印象評価工程は、図16のフローチャートに沿って処理される。
まず、ステップS20aにおいて、実際のドキュメントデータを取り込み、記憶部12に格納及び保持する。制御部10は、図17のように、デザイン取込画面1004を出力部16に表示して、デザイン制作者に対して評価対象となるデザインに関するドキュメントの入力を促す。
例えば、デザイン制作者はウェブページをデザインし、それを予めネットワーク104上にアップロードしておく。次に、デザイン取込画面1004のURL入力ボックス30にそのウェブページのURLを入力し、デザイン取込画面1004上に表示されたマウスポインタ5をウェブデザイン取込ボタン32に移動させて、マウスをクリックすることによって、デザイン印象評価の対象となるウェブページの取得先を指定する。制御部10は指定を受けると、ネットワーク104を介して、指定されたURLからウェブページのドキュメントデータを取り込む。取り込まれたドキュメントデータは、図18のように、ドキュメントデータの識別情報(例えばURL)と関連付けられてデザインデータベースとして記憶部12に順次蓄積される。
なお、デザインの識別番号に対して、未だデザインデータベースが生成されていない場合には、デザインの識別番号に関連付けて新たなデザインデータベースを生成する。一方、既にデザインの識別番号に対するデザインデータベースが存在している場合には、既存のデザインデータベースに対してドキュメントデータの識別情報及びドキュメントデータが付加的に蓄積される。
また、制作したウェブページのみならず、例えば、競合他社のウェブページのURLを指定することによって、それらのウェブページのドキュメントデータを取り込んで評価することも可能である。
なお、デザイン制作の対象がプレゼンテーション資料、新商品又は企業のブランドロゴ等である場合には、スキャナ等の読取装置を用いて、ドキュメントデータを取り込むことも好適である。この場合、デザイン取込画面1004のドキュメント取込ボタン34をクリックすることによって、既存のドキュメント読取ツールを起動するようにすることが好ましい。
以下の説明では、例として図19のウェブページのドキュメントが取り込まれたものとする。
ステップS20bでは、取り込まれたドキュメントデータが人間に与える印象の評価を行う。デザインの印象評価には、特願2002−187522号等の既存の評価手段を用いることができる。
すなわち、制御部10は被評価ドキュメントの画像データを記憶部12から読み出し、図19のように領域分割する。領域分割には、既存の画像領域分割ツールを用いることができる。次に、面積、位置、大きさ、色平均、他の領域との色差等の物理的特徴量を分割された領域毎に抽出する。
ここで、各領域は、RGB色空間からL*a*b*色空間に変換した後に視覚的な特徴量を抽出することが好適である。通常、コンピュータで利用されるドキュメントデータは、不均等色空間であるRGB色空間によって表現されていることが多く、人の感覚に近い分析ができない。そこで、不均等色空間であるRGB色空間から均等色空間であるL*a*b*色空間に変換することによって、より人の感性に近い印象として分析・評価することができる。また、L*a*b*空間はドキュメントのダイナミックレンジを表現できる点からも好適である。勿論、ドキュメントデータが既にL*a*b*色空間で表現されている場合には変換をする必要はない。
また、物理的な特徴量とは、着目領域の面積、着目領域の幅w及び高さh、左上の位置x,y、着目領域全体の色平均、L*成分の平均値、a*成分の平均値、b*成分の平均値、ドキュメント全体の色平均と着目領域全体の色平均の色差ΔL*a*b*、着目領域と近接する領域との色平均の色差ΔnL*a*b*、背景と着目領域との色平均の色差ΔbL*a*b*、着目領域内における色の分散、同色数などの特徴をいう。また、ドキュメントデータの背景領域、背景領域を除く最も大きな領域を持つメイン領域及びメイン領域に対してアクセントとなるアクセント領域から平均色を抽出して特徴量としてもよい。
一方、物理的特徴量の組み合わせに対してデザイン印象情報を関連付けてデザイン評価データベースとして記憶部12に格納及び保持する。例えば、図20のように、背景領域、背景領域を除く最も大きな領域を持つメイン領域及びメイン領域に対してアクセントとなるアクセント領域の各領域の色彩(図中ではハッチングで示す)の組を生成し、それらの色彩の組から人間が受ける印象を表す印象情報を関連付けて保存しておく。印象情報は、図14の印象評価データベースに登録されている印象情報と同じものとする。
このデザイン評価データベースに基づいて、実際のドキュメントデータの背景領域、メイン領域及びアクセント領域から平均色を抽出し、その平均色の組み合わせからデザイン印象情報を決定することができる。抽出されたデザイン印象情報は、図18のように、ドキュメントデータの識別番号及び評価対象となったドキュメントデータと関連付けられてデザインデータベースとして記憶部12に格納及び保持される。
例えば、図19のドキュメントデータの背景領域36、メイン領域37及びアクセント領域38の各領域から平均色を抽出すると、図20のデザイン評価データベースに基づいて、「ナチュラル」というデザイン印象情報を求めることができる。
なお、印象に関する情報を抽出するために用いることができる特徴量は、領域の面積、領域の幅w及び高さh、左上の位置x,y、領域全体の色平均、L*成分の平均値、a*成分の平均値、b*成分の平均値、全体の色平均と着目領域全体の色平均の色差ΔL*a*b*、着目領域と近接する領域との色平均の色差ΔnL*a*b*、背景と着目領域との色平均の色差ΔbL*a*b*、着目領域内における色の分散、同色数を用いてもよい。
また、これらの特徴量を組み合わせた条件とドキュメントの印象に関する印象情報とを関連付けた多次元のデザイン評価データベースを用いてもよい。このように、出来る限り多くの特徴量を組み合わせることにより、ドキュメントが人間に与える印象をより詳細なものとすることができる。特に、ドキュメント領域間の色差など、異なるドキュメント領域間の特徴量の差異を含んだ条件を用いることにより、被評価ドキュメントの中で強いコントラストを持つ箇所等から受ける印象を表す印象情報を抽出することも可能となる。
また、ドキュメントデータから得られた物理的特徴量そのものをデザイン印象情報とすることも好適である。例えば、ドキュメントデータの背景領域、メイン領域及びアクセント領域の平均色の組み合わせ自体をカラーパレットとしてデザイン印象情報としても良い。
デザイン印象が選定されると、デザイン印象評価工程を終了し、制御部10は、ステップS0に制御を戻す。なお、本実施の形態では、ドキュメントを複数の領域に分割して処理を行ったが、1つのドキュメント全体に対して処理を行ってもよい。
3−3.ユーザ印象取得工程
ステップS0において、ユーザ印象取得ボタン24がクリックされると、ステップS30のユーザ印象取得工程に処理が移行される。
ステップS30のユーザ印象取得工程では、ステップS20で取り込まれたドキュメントデータからユーザが受ける印象(以下、ユーザ印象情報という)が定められる。ユーザ印象取得工程は、図21に示すフローチャートによって処理される。
まず、ステップS30aにおいて、制御部10は、ドキュメントデータ選択画面1006を出力部16に表示させ、ステップS20で取り込まれたドキュメントデータのうち印象取得の対象となるドキュメントデータの選択を促す。
ドキュメントデータ選択画面1006は、図22に示すように、記憶部12のデザインデータベースに保持されているドキュメントデータに関する情報を画面上に列挙して表示し、いずれのドキュメントデータに対するユーザ印象情報を取得するか、を選択させるものが好適である。ただし、ドキュメントデータ選択画面1006の態様はこれに限られるものではなく、デザインデータベースに保持されているドキュメントデータの選択が可能であれば良い。
ドキュメントデータに対する印象の入力を行うユーザは、マウス等の入力部14を用いて、ドキュメントデータ選択画面1006のドキュメントデータ(画像データ)に関する各情報に設けられたチェックボックス40へマウスポインタ5を移動させ、マウスをクリックすることによって情報を選ぶ。次に、選択決定ボタン42にマウスポインタ5を移動させてマウスをクリックすることにより、ドキュメントデータの選択を決定する。
ステップS30bでは、制御部10は、ユーザ印象入力画面1008を出力部16に表示させ、ドキュメントデータを見たユーザが受ける印象の入力を促す。ユーザ印象入力画面1008は、図23のように、選択されたドキュメントデータの内容を表示する領域43と、デザインの印象を表現する情報(選択肢)を列挙表示する領域44とに分割される。
制御部10は、記憶部12に保持されているデザインデータベースから、ステップS30aで選択されたドキュメントデータを読み出し、そのドキュメントデータをドキュメントデータ表示領域43に画像形成して表示する。例えば、ウェブページのドキュメントデータが選択された場合、図23のように、デザインデータベースからそのドキュメントデータのURLを読み出し、そのURLからそのドキュメントデータを取り込んでディスプレイ上に表示する。
さらに、制御部10は、記憶部12に保持されている印象表現データベースからデザインの印象を表現する情報(選択肢)を読み出し、印象表現表示領域44に表示させる。印象表現データベースに含まれる印象を表現する情報(選択肢)は、ステップS10の目標印象決定工程と同様、デザインの印象を表現する複数の形容詞、単一の色からなるカラーパッチや色彩の組からなるカラーパレットを含む色彩情報、デザインの印象を抽象的に表現する抽象画群等からドキュメントデータの種類に応じて適宜選択して用いることが好適である。
本実施の形態では、図11の印象表現データベースから複数の形容詞群からなる文字情報を読み出して印象表現表示領域44に表示させる。
次に、ステップS30cにおいて、ユーザは、入力部14を用いて、ドキュメントデータ表示領域43に表示されたドキュメントのデザインを見たときに感ずる印象に合った情報を選択する。
例えば、図23のように、形容詞が列挙された印象表現表示領域44にマウスポインタ5を表示しておき、ユーザはマウスを用いて、デザインから受ける印象に合致する形容詞に設けられたチェックボックス46にマウスポインタ5を移動させ、マウスをクリックして選択する。選択されたチェックボックス46にはチェックマークを表示させる。スクロールボタン48上にマウスポインタ5を移動させ、マウスをクリックすることにより形容詞の表示を適宜変更することができる。また、評価の被験者となるユーザは、上記クラスタ化処理でユーザ毎に割り当てられたユーザIDをユーザ印象入力画面1008のユーザID入力ボックスに入力する。これによって、形容詞の選択を行ったユーザを特定するためのユーザIDが取得される。選択された形容詞はユーザIDに関連付けられて記憶部12に保存される。形容詞の選択が終了すると、マウスポインタ5を決定ボタン47の位置まで移動させてマウスをクリックすることによって、選択された形容詞及び選択順序がユーザIDに関連付けられて記憶部12に保存される。
複数のユーザ(被験者)に選択肢を選択させる場合には、ユーザ(被験者)毎に上記処理を繰り返すことによって、複数のユーザが実際のデザインから受けた印象を示す選択肢が順次取得される。なお、印象を表現する情報の選択方法は、これに限られるものではなく、ユーザがドキュメントのデザインに対する印象を容易に入力できるものであればよい。
ステップS30dでは、ステップS30cで選択された情報に基づいて、実際のドキュメントのデザインの印象を表すユーザ印象情報が定められる。目標印象情報と同様に、ユーザ印象情報は、複数のユーザによって選択された形容詞の頻度に基づいて決定される。
上記の目標印象情報の決定処理と同様に、各ユーザが選択した選択肢について各選択肢の重み係数が決定される。本実施の形態では、各ユーザが選択した選択肢の総数に応じて、ユーザ毎に選択された選択肢の重み係数が定められる。具体的には、図13に示すように、ユーザ毎に選択された形容詞の重み係数の和が等しくなるように、選択された形容詞の総数Ntotalで総和値を除した値を各形容詞の重み係数とする。例えば、被験者Aについては、選択された形容詞が10個であるので、重み係数の総和値を1とするようにするには、各形容詞の重み係数は1/10=0.1とする。被験者Bについては、選択された形容詞が5個であるので、各形容詞の重み係数は1/5=0.2とする。
次に、形容詞毎に同一のクラスタに属する各ユーザに対して決定された重み係数を足し合わせて、クラスタ毎に各印象情報の重み係数の累積値を算出する。制御部10は、まず、ステップS30cにおいて形容詞の選択を行ったユーザ毎に各印象情報に対応付けられた形容詞の重み係数の累積値を算出する。
次に、制御部10は、ステップS30cにおいて形容詞の選択を行ったユーザのユーザIDを読み出し、記憶部12に登録されているクラスタデータベースを参照して、そのユーザIDに対応付けられているクラスタIDを抽出する。そして、図14のようにクラスタ毎に登録されている印象評価データベースを参照して、各印象情報に割り当てられている形容詞の重み係数を足し合わせる。これにより、各ユーザについての各印象情報に対する重み係数の積算値が算出される。ステップS30cにおいて形容詞の選択を行った各ユーザについてこの処理を行う。次に、クラスタ毎に、そのクラスタに属する全ユーザの印象情報毎の重み係数の積算値を印象情報毎に足し合わせて、クラスタ毎に各印象情報の重み係数の累積値を算出する。ここでの処理は、上記目標印象情報の決定処理と同様である。
こうして算出された累積値に基づいて、クラスタ毎に累積値が最も高い印象情報をユーザ印象情報として設定する。クラスタ毎に求められたユーザ印象情報はクラスタIDに関連付けられて記憶部12に格納及び保持される。ユーザ印象情報の設定処理が終了すると、処理はステップ0へ戻される。
<変形例>
ユーザ印象情報の決定方法は上記実施の形態の方法に限定されるものではない。本変形例では、上記目標印象情報の決定処理の変形例と同様に、選択肢(形容詞)の選択順に基づいて重み付けを変更することによってユーザ印象情報を決定する方法について説明する。本変形例における処理は、基本的に図21に示すフローチャートに沿って行われるが、ステップS30dにおける処理が異なる。
各ユーザが選択した選択肢について各選択肢の重み係数が決定される。本実施の形態では、各ユーザが選択した選択肢の選択順に応じて、ユーザ毎に選択された選択肢の重み係数が定められる。具体的には、図15に示すように、ユーザ毎に選択された形容詞の重み係数の和が等しくなり(例えば、総和値が1となる)、かつ、早く選択された形容詞ほど高い重み付け係数となるように各形容詞の重み係数が決定される。
このように各ユーザが選択した形容詞毎の重み係数が算出された後の処理は上記実施の形態と同様に行われる。
なお、上記実施の形態及び変形例においては、ドキュメントの印象を表す選択肢として文字情報である形容詞を用いたがこれに限定されるものではない。上記のとおり、色彩情報や画像情報を選択肢として用いてもよい。形容詞を用いた方法と同様に、印象マップ上に色彩情報や画像情報を割り当てておき、ユーザによってドキュメントのデザイン制作の目標とすべき印象として選択された色彩情報や画像情報の印象マップ上での分布に基づいてユーザ印象情報を決定することができる。
3−4.印象提示
ステップS0において、印象提示ボタン26がクリックされると、ステップS40の印象提示に処理が移行される。
ステップS40の印象提示工程は、図24に示すフローチャートに沿って実行され、ステップS10で求めた目標印象情報、ステップS20で求めたデザイン印象情報及びステップS30で求めたユーザ印象情報の表示を行う。
まず、ステップS40aにおいて、制御部10は、表示選択画面1010を出力部16に表示させ、いずれの情報の表示を行うかを操作者に選択させる。表示選択画面1010では、図25のように、表示の対象となるデザインの識別番号を入力ボックス54に入力する。また、チェックボックス50を選択して、決定ボタン52をクリックすることによって、目標印象情報、デザイン印象情報及びユーザ印象情報の中から表示する情報を選択する。
次に、表示する情報の入力を受けた制御部10は、ステップS40bにおいて、印象マップ画面1012上に目標印象情報、デザイン印象情報又はユーザ印象情報を表示する。
印象マップ画面1012は、図26のように、複数の領域に分割されており、各々の領域に領域識別番号が付与されている。一方、記憶部12には、図27に示すように、印象表示用データベースとして、領域識別番号毎に印象評価データベースに登録されている印象情報が対応付けられて保持されている。
制御部10は、印象表示用データベースを参照することによって、目標印象情報、デザイン印象情報又はユーザ印象情報に対応付けられている領域識別番号を抽出する。そして、抽出された領域識別番号が付与された印象マップ画面1012上の領域に対応する各情報を表示する。
印象マップ画面1012には、各座標軸に沿って印象が所定の傾向で変化していくように領域識別番号を割り付けることが好適である。例えば、図26に示す印象マップ画面1012の例では、“暖かい”から“冷たい”までのデザインの暖かさを示すX座標と、“柔らかい”から“硬い”までのデザインの硬さを示すY座標と、の二つの直交座標を設け、それぞれの印象の変化に沿って印象を表す情報が割り当てられている。なお、印象マップ画面1012上への情報の割り当て方法はこれに限られるものではなく、対象とするデザインの種類に応じて座標軸の設定を変更することが好ましい。
ステップS40aにおいて目標印象情報が選択された場合、目標印象情報が印象マップ画面1012に重ね合わせて表示される。ステップS40bにおいて指定されたデザイン識別番号に対応付けられている目標印象情報がクラスタ毎に記憶部12から読み出される。次に、印象表示用データベースが参照されて、読み出されたクラスタ毎の目標印象情報に関連付けられている領域識別番号が抽出される。そして、図28に示すように、印象マップ画面1012上における各領域識別番号が割り当てられた領域にクラスタ毎に目標印象情報が表示される。図28では、3つのクラスタに対する目標印象情報を表示した例を示している。
印象マップ画面1012上に表示された目標印象情報は複数のユーザ(被験者)から得られたデザイン制作の目標となる印象の傾向を考慮した適切なものとなる。また、クラスタ毎に目標印象情報が呈示されるので、それぞれのクラスタに属するユーザ(被験者=消費者)はどのような印象を目標としてデザインを制作したら良いと考えているのかを視覚的に比較しつつ把握することが容易となる。
ステップS40aにおいてデザイン印象情報が選択された場合、図29に示すように、デザイン印象情報が印象マップ画面1012に重ね合わせて表示される。ステップS40bにおいて指定されたデザイン識別番号に対応付けられているデザイン印象情報が記憶部12に記憶されているデザインデータベースから読み出される。次に、印象表示用データベースが参照されて、読み出されたデザイン印象情報に関連付けられている領域識別番号が抽出される。そして、図29に示すように、印象マップ画像1012上における各領域識別番号が割り当てられた領域にデザイン印象情報が表示される。
このとき、デザインデータベースに含まれるドキュメントデータ毎に情報の表示色を変更する等して、表示された情報の識別を容易にすることが好ましい。また、各々のデザイン印象情報の代わりに、又は、各々のデザイン印象情報と併せて、それらに対応するドキュメントのデザイン自体を表示することも好適である。
ステップS40aにおいてユーザ印象情報が選択された場合、ユーザ印象情報が印象マップ画面1012に重ね合わせて表示される。ステップS40bにおいて指定されたデザイン識別番号に対応付けられているユーザ印象情報がクラスタ毎に記憶部12のユーザ印象情報データベースから読み出される。次に、印象表示用データベースが参照されて、読み出されたクラスタ毎のユーザ印象情報に関連付けられている領域識別番号が抽出される。そして、図30に示すように、印象マップ画面1012上における各領域識別番号が割り当てられた領域にクラスタ毎のユーザ印象情報が表示される。このとき、ユーザ印象情報データベースに含まれるドキュメントデータ毎に情報の表示色を変更する等して、表示された情報の識別を容易にすることが好ましい。
印象マップ画面1012上に表示されたユーザ印象情報は複数のユーザ(被験者)から得られた実際のデザインの印象の傾向を考慮した適切なものとなる。また、クラスタ毎にユーザ印象情報が呈示されるので、それぞれのクラスタに属するユーザ(被験者=消費者)は実際のドキュメントのデザインを見たときにどのような印象を持つのかを視覚的に比較しつつ把握することが容易となる。
さらに、ステップS40aにおいて、目標印象情報とデザイン印象情報の両方が選択された場合、図31のように、デザイン識別番号に関連付けられた目標印象情報及びデザイン印象情報の両方が印象マップ画面1012に重ね合わせて表示される。同様に、目標印象情報とユーザ印象情報の両方が選択された場合、デザイン印象情報とユーザ印象情報の両方が選択された場合、又は目標印象情報、デザイン印象情報及びユーザ印象情報の全てが選択された場合にも各々の情報を印象マップ画面1012に重ね合わせて表示する。
このように、目標印象情報、デザイン印象情報及びユーザ印象情報を1つの印象マップ画面1012に重ね合わせて表示することによって、デザイン制作者、依頼主及びユーザがデザイン制作の目標となる印象、実際のデザインが有する印象及び実際のデザインからユーザが受け取る印象を視覚的に比較しながら確認することができる。このとき、印象マップ画面1012上では、各々の情報が印象傾向を示す座標軸に沿って表示されるため、目標となる印象、実際のデザインの印象及びユーザの受け取る印象がどの程度相違するのか、その相違はどのような傾向であるのか、等を明確に把握することができる。
さらに、ステップS20において、他社のウェブページや他の商品のデザインに対してデザイン印象情報を求めておくことにより、これらの情報と目標印象情報を比較して確認することもできる。これにより、他社のウェブページや他の商品の印象と制作するデザインの目標印象との一致又は相違を把握することが容易となる。
なお、印象マップ画面1012上の各領域にカラーパッチやカラーパレット等の色彩情報を割り付けておき、目標印象情報、デザイン印象情報及びユーザ印象情報として抽出された色彩情報を呈示してもよい。また、印象マップ画面1012上の各領域に抽象画を割り付けておき、目標印象情報、デザイン印象情報及びユーザ印象情報として抽出された抽象画を呈示してもよい。
すなわち、本実施の形態によれば、デザイン制作の目標となる印象、実際のデザインが有する印象及び実際のデザインからユーザが受ける印象の一致や相違を同一の印象マップ画面上で確認することができる。
それにより、依頼主やデザイン制作者はデザイン制作の目標印象設定の適否を視覚的に把握することができる。特に、ユーザが属するクラスタ毎に目標印象情報によりドキュメントのデザイン制作の目標となる印象やユーザが属するクラスタ毎にユーザ印象情報により実際のドキュメントのデザインから受ける印象を評価することによって、より的確にドキュメントの印象評価を行うことができる。
5 マウスポインタ、10 制御部、12 記憶部、14 入力部、15 入力ボックス、16 出力部、18 ネットワークインターフェース部、20 目標印象決定ボタン、22 デザイン印象評価ボタン、24 ユーザ印象取得ボタン、26 印象提示ボタン、30 入力ボックス、32 ウェブデザイン取込ボタン、34 ドキュメント取込ボタン、36 背景領域、37 メイン領域、38 アクセント領域、40 チェックボックス、42 選択決定ボタン、43 ドキュメントデータ表示領域、44 印象表現表示領域、46 チェックボックス、47 決定ボタン、48 スクロールボタン、50 チェックボックス、52 決定ボタン、54 入力ボックス、60 印象情報表示領域、62a X座標軸、62b Y座標軸、100 マネジメントサーバ、102a,102b,102c クライアントコンピュータ、104 ネットワーク、1000 メインメニュー画面、1002 目標印象入力画面、1004 デザイン印象評価画面、1006 ドキュメントデータ選択画面、1008 ユーザ印象入力画面、1010 表示選択画面、1012 印象マップ画面。