JP2008058789A - 露光装置のマスク保持機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】マスク取付時におけるマスクの固有振動数の低下を最小限とし、且つ露光エリアを広くすると共にマスクサイズの変更が容易な露光装置のマスク保持機構を提供する。
【解決手段】マスクステージが、長方形状に形成されたマスクMの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ保持する6つのチャック部14を備える。マスクMの各長辺側に設けられたチャック部14の各ピッチLpは、マスクMの長辺長さ2Lyの1/2に対して0.65倍〜0.80倍である。
【選択図】図5

Description

本発明は、露光装置のマスク保持機構に関し、より詳細には、基板ステージに保持された被露光材として基板に対向配置させて、各種サイズのマスクを取付精度よくマスクステージに保持させる露光装置のマスク保持機構に関する。
従来、液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置等のフラットパネルディスプレイ装置のカラーフィルタ基板やTFT(Thin Film Transistor)基板を製造する露光装置が種々考案されている。露光装置は、マスクをマスクステージで保持すると共に基板を基板ステージで保持して両者を近接して対向配置する。そして、マスク側からにパターン露光用の光を照射することにより、マスクに描かれたマスクパターンを基板上に露光転写している。
一般に、マスクはその4辺の全長に亘ってマスクステージに保持されており、図14に示すように、マスクMは、マスクステージの保持部14に形成された吸引ノズル14aによって吸着される(例えば、特許文献1参照。)。このように保持されるマスクは、固有振動数が比較的高くなり、外乱振動や、マスクとワークが接近した際の風圧による撓みに起因する振動などに対して良好な制振性を有している。
特開2004−191661号公報
しかしながら、図14に示すようにマスクの4辺を保持する場合には、露光エリアが狭くなってしまい、また、サイズが異なるマスクを取り付けるには、それぞれのマスクに対応した開口を有する複数の保持部を準備して、使用するマスクサイズに合った保持部を選択して取り付けるため、マスクサイズの変更がし難いものであった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マスク取付時におけるマスクの固有振動数が高く、且つ露光エリアを広くすると共にマスクサイズの変更が容易な露光装置のマスク保持機構を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) マスクがパターン露光用の光を通過させるマスクステージの開口に臨むように、前記マスクステージに前記マスクを保持する露光装置のマスク保持機構であって、
前記マスクステージは、長方形状に形成された前記マスクの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ保持する6つの保持部を備え、
前記各長辺側に設けられた前記保持部の各ピッチは、前記マスクの長辺長さの1/2に対して0.65倍〜0.80倍であることを特徴とする露光装置のマスク保持機構。
(2) マスクがパターン露光用の光を通過させるマスクステージの開口に臨むように、前記マスクステージに前記マスクを保持する露光装置のマスク保持機構であって、
前記マスクステージは、長方形状に形成された前記マスクの各長辺側をそれぞれ3箇所、各短辺側をそれぞれ1箇所ずつ保持する8つの保持部を備え、
前記各長辺側に設けられた前記保持部の各ピッチは、前記マスクの長辺長さの1/2に対して0.30倍〜0.55倍であることを特徴とする露光装置のマスク保持機構。
本発明の露光装置のマスク保持機構によれば、マスクステージは、長方形状に形成されたマスクの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ保持する6つの保持部を備えるので、露光エリアが広がり、また、長辺側のマスクサイズの変更を容易に行うことができる。また、各長辺側に設けられた保持部の各ピッチは、マスクの長辺長さの1/2に対して0.65倍〜0.8倍であるので、マスク取付時におけるマスクの固有振動数の低下を最小限とし、外乱振動や、マスクとワークが接近した際の風圧による撓みに起因する振動などに対して良好な制振性を備えたものとなる。
また、本発明の露光装置のマスク保持機構によれば、マスクステージは、長方形状に形成されたマスクの各長辺側をそれぞれ3箇所、各短辺側をそれぞれ1箇所ずつ保持する8つの保持部を備えるので、露光エリアが広がり、また、長辺側のマスクサイズの変更を容易に行うことができる。また、各長辺側に設けられた保持部の各ピッチは、マスクの長辺長さの1/2に対して0.3倍〜0.55倍であるので、マスク取付時におけるマスクの固有振動数の低下を最小限とし、外乱振動や、マスクとワークが接近した際の風圧による撓みに起因する振動などに対して良好な制振性を備えたものとなる。
以下、本発明に係る露光装置のマスク保持機構の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態では、分割逐次近接露光装置に搭載されるマスク保持機構を例に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係るマスク保持機構を搭載した分割逐次近接露光装置を説明するための一部分解斜視図、図2は図1に示す分割逐次近接露光装置の正面図、図3は図1に示すマスクステージの拡大斜視図、図4は図3のA−A線矢視断面図、図5はマスクとマスクステージの保持部との位置関係を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の分割逐次近接露光装置PEは、マスクMを保持するマスクステージ10と、ガラス基板(被露光材)Wを保持する基板ステージ20と、パターン露光用の照射手段としての照明光学系30と、基板ステージ20をX軸,Y軸,Z軸方向に移動し、且つ基板ステージ20のチルト調整を行う基板ステージ移動機構40と、マスクステージ10及び基板ステージ移動機構40を支持する装置ベース50と、制御装置80と、を備える。
なお、ガラス基板W(以下、単に「基板W」と称する。)は、マスクMに対向配置されており、このマスクMに描かれたマスクパターンを露光転写すべく表面(マスクMの対向面側)に感光剤が塗布されている。また、マスクMは、溶融石英からなり、長方形状に形成されている。
説明の便宜上、照明光学系30から説明すると、照明光学系30は、紫外線照射用の光源である例えば高圧水銀ランプ31と、この高圧水銀ランプ31から照射された光を集光する凹面鏡32と、この凹面鏡32の焦点近傍に切替え自在に配置された二種類のオプチカルインテグレータ33と、光路の向きを変えるための平面ミラー35,36及び球面ミラー37と、この平面ミラー36とオプチカルインテグレータ33との間に配置されて照射光路を開閉制御する露光制御用シャッター34と、を備える。
そして、照明光学系30では、露光時に露光制御用シャッター34が開制御されると、高圧水銀ランプ31から照射された光が、図1に示す光路Lを経て、マスクステージ10に保持されるマスクM、さらには基板ステージ20に保持される基板Wの表面に対して垂直にパターン露光用の平行光として照射される。これにより、マスクMのマスクパターンが基板W上に露光転写される。
マスクステージ10は、図1〜図3に示すように、中央部に矩形形状の開口部11aが形成されるマスクステージベース11と、マスクステージベース11の開口部11aにX軸,Y軸,θ方向に移動可能に装着されるマスク保持枠12と、を備える。
マスクステージベース11は、装置ベース50上に立設される支柱51、及び支柱51の上端部に設けられるZ軸移動装置52によりZ軸方向に移動可能に支持され、基板ステージ20の上方に配置される。Z軸移動装置52は、例えば、モータ及びボールねじ等からなる電動アクチュエータ、或いは空圧シリンダ等を備え、単純な上下動作を行うことにより、マスクステージ10を所定の位置まで昇降させる。なお、Z軸移動装置52は、マスクMの交換や、ワークチャック21の清掃等の際に使用される。
図3及び図4に示すように、マスクステージベース11の開口部11aの周縁部の上面には、平面ベアリング13が複数箇所配置されており、マスク保持枠12は、その上端外周縁部に設けられるフランジ12aを平面ベアリング13に載置している。これにより、マスク保持枠12は、マスクステージベース11の開口部11aに所定のすき間を介して挿入されるので、このすき間分だけX軸,Y軸,θ方向に移動可能となる。なお、本実施形態では、マスクステージベース11とマスク保持枠12との間に平面ベアリング13を設けているが、平面ベアリング13を使用せずに、マスクステージベース11とマスク保持枠12とを直接摺動させるようにしてもよい。
また、マスク保持枠12の下面には、図4に示すように、マスクMを保持する保持部であるチャック部14が間座15を介して固定されている。このチャック部14には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数の吸引ノズル14aが開設されており、マスクMは、パターン露光用の光を通過させるマスク保持枠12の開口12bに臨むようにして、吸引ノズル14aを介して不図示の真空式吸着装置によりチャック部14に着脱自在に保持される。チャック部14は、マスク保持枠12と共にマスクステージベース11に対してX軸,Y軸,θ方向に移動可能である。
また、マスクステージベース11の上面には、図3及び図4に示すように、マスク保持枠12をX軸,Y軸,θ方向に移動させ、このマスク保持枠12に保持されるマスクMの位置を調整するマスク位置調整機構16が設けられる。
マスク位置調整機構16は、マスク保持枠12のX軸方向に沿う一辺に取り付けられる1台のY軸方向駆動装置16yと、マスク保持枠12のY軸方向に沿う一辺に取り付けられる2台のX軸方向駆動装置16xと、を備える。
Y軸方向駆動装置16yは、マスクステージベース11上に設置され、Y軸方向に伸縮するロッド162を有する駆動用アクチュエータ(例えば、電動アクチュエータ等)161と、ロッド162の先端にピン支持機構163を介して連結されるスライダ164と、マスク保持枠12のX軸方向に沿う辺部に取り付けられ、スライダ164を移動可能に取り付ける案内レール165と、を備える。
一方、X軸方向駆動装置16xも、Y軸方向駆動装置16yと同様の構成であって、マスクステージベース11上に設置され、X軸方向に伸縮するロッド162を有する駆動用アクチュエータ161と、ロッド162の先端にピン支持機構163を介して連結されるスライダ164と、マスク保持枠12のY軸方向に沿う辺部に取り付けられ、スライダ164を移動可能に取り付ける案内レール165と、を備える。
そして、マスク位置調整機構16では、1台のY軸方向駆動装置16yを駆動させることによりマスク保持枠12をY軸方向に移動させ、2台のX軸方向駆動装置16xを同等に駆動させることによりマスク保持枠12をX軸方向に移動させる。また、2台のX軸方向駆動装置16xのどちらか一方を駆動することによりマスク保持枠12をθ方向に移動(Z軸回りの回転)させる。
さらに、マスクステージベース11の上面には、図3に示すように、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを測定するギャップセンサ17と、チャック部14に保持されるマスクMの取り付け位置を確認するためのマスク用アライメントカメラ18と、が設けられる。これらギャップセンサ17及びマスク用アライメントカメラ18は、移動機構19を介してX軸,Y軸方向に移動可能に保持され、マスク保持枠12内に配置される。
移動機構19は、マスク保持枠12のY軸方向に互いに対向する二辺にそれぞれ配置され、ギャップセンサ17及びマスク用アライメントカメラ18を保持する保持架台191と、保持架台191をX軸,Y軸方向に移動可能に支持するリニアガイド192,193と、保持架台191をX軸,Y軸方向に移動させる駆動用アクチュエータ194,195と、を備える。
そして、移動機構19では、リニアガイド192及び駆動用アクチュエータ194により保持架台191をX軸方向に移動させ、リニアガイド193及び駆動用アクチュエータ195により保持架台191をY軸方向に移動させる。なお、移動機構19は、リニアガイド及び駆動用アクチュエータを使用して保持架台をX軸,Y軸方向に移動させているが、リニアーモータ等を使用してもよい。
なお、マスクステージベース11の上面には、図3に示すように、マスクステージベース11の開口部11aのX軸方向の両端部に、マスクMの両端部を必要に応じて遮蔽するマスキングアパーチャ38が設けられる。このマスキングアパーチャ38は、モータ、ボールねじ、及びリニアガイド等からなるマスキングアパーチャ駆動機構39によりX軸方向に移動可能とされて、マスクMの両端部の遮蔽面積を調整する。なお、マスキングアパーチャ38は、開口部11aのX軸方向の両端部だけでなく、開口部11aのY軸方向の両端部に同様に設けてもよい。
基板ステージ20は、図1及び図2に示すように、基板ステージ移動機構40上に設置されており、その上面には、基板Wを基板ステージ20に保持するためのワークチャック21が設けられる。なお、ワークチャック21は、真空吸着により基板Wを保持している。
基板ステージ移動機構40は、図1及び図2に示すように、基板ステージ20をY軸方向に移動させるY軸送り機構41と、基板ステージ20をX軸方向に移動させるX軸送り機構42と、基板ステージ20のチルト調整を行うと共に、基板ステージ20をZ軸方向に微動させるZ−チルト調整機構43と、を備える。
Y軸送り機構41は、装置ベース50の上面にY軸方向に沿って設置される一対のリニアガイド44と、リニアガイド44によりY軸方向に移動可能に支持されるY軸テーブル45と、Y軸テーブル45をY軸方向に移動させるY軸送り駆動装置46と、を備える。
リニアガイド44は、装置ベース50上にY軸方向に沿って設置される案内レール44aと、Y軸テーブル45の下面に固定され、案内レール44aに移動可能に取り付けられる一対のスライダ44bと、案内レール44aとスライダ44bとの間に介設される不図示の転動体と、を備える。
Y軸送り駆動装置46は、Y軸テーブル45の下面に固定されるボールねじナット46aと、ボールねじナット46aに螺合されるボールねじ軸46bと、装置ベース50上に設置され、ボールねじ軸46bを回転駆動させるモータ46cと、を備える。
そして、Y軸送り機構41では、Y軸送り駆動装置46のモータ46cを駆動させ、ボールねじ軸46bを回転させることにより、ボールねじナット46aとともにY軸テーブル45をリニアガイド44の案内レール44aに沿って移動させて、基板ステージ20をY軸方向に移動させる。
X軸送り機構42は、Y軸テーブル45の上面にX軸方向に沿って設置される一対のリニアガイド47と、リニアガイド47によりX軸方向に移動可能に支持されるX軸テーブル48と、X軸テーブル48をX軸方向に移動させるX軸送り駆動装置49と、を備える。
リニアガイド47は、Y軸テーブル45上にX軸方向に沿って設置される案内レール47aと、X軸テーブル48の下面に固定され、案内レール47aに移動可能に取り付けられる一対のスライダ47bと、案内レール47aとスライダ47bとの間に介設される不図示の転動体と、を備える。
X軸送り駆動装置49は、X軸テーブル48の下面に固定される不図示のボールねじナットと、このボールねじナットに螺合されるボールねじ軸49bと、Y軸テーブル45上に設置され、ボールねじ軸49bを回転駆動させるモータ49cと、を備える。
そして、X軸送り機構42では、X軸送り駆動装置49のモータ49cを駆動させ、ボールねじ軸49bを回転させることにより、不図示のボールねじナットとともにX軸テーブル48をリニアガイド47の案内レール47aに沿って移動させて、基板ステージ20をX軸方向に移動させる。
Z−チルト調整機構43は、X軸テーブル48上に設置されるモータ43aと、モータ43aによって回転駆動されるボールねじ軸43bと、くさび状に形成され、ボールねじ軸43bに螺合されるくさび状ナット43cと、基板ステージ20の下面にくさび状に突設され、くさび状ナット43cの傾斜面に係合するくさび部43dと、を備える。そして、本実施形態では、Z−チルト調整機構43は、X軸テーブル48のX軸方向の一端側(図1の手前側)に2台、他端側に1台(図1の奥手側、図2参照。)の計3台設置され、それぞれが独立して駆動制御されている。なお、Z−チルト調整機構43の設置数は任意である。
そして、Z−チルト調整機構43では、モータ43aによりボールねじ軸43bを回転駆動させることによって、くさび状ナット43cがX軸方向に水平移動し、この水平移動運動がくさび状ナット43c及びくさび部43dの斜面作用により高精度の上下微動運動に変換されて、くさび部43dがZ方向に微動する。従って、3台のZ−チルト調整機構43を同じ量だけ駆動させることにより、基板ステージ20をZ軸方向に微動することができ、また、3台のZ−チルト調整機構43を独立して駆動させることにより、基板ステージ20のチルト調整を行うことができる。これにより、基板ステージ20のZ軸,チルト方向の位置を微調整して、マスクMと基板Wとを所定の間隔を存して平行に対向させることができる。
本実施形態の分割逐次近接露光装置PEには、図1及び図2に示すように、基板ステージ20の位置を検出する位置測定装置であるレーザー測長装置60が設けられる。このレーザー測長装置60は、基板ステージ移動機構40の駆動に際して発生する基板ステージ20の移動距離を測定するものである。
レーザー測長装置60は、図1及び図2に示すように、ステー(不図示)に固定されて基板ステージ20のX軸方向側面に沿うように配設されるX軸用ミラー64と、ステー71に固定されて基板ステージ20のY軸方向側面に沿うように配設されるY軸用ミラー65と、装置ベース50のX軸方向端部に配設され、レーザー光(計測光)をX軸用ミラー64に照射し、X軸用ミラー64により反射されたレーザー光を受光して、基板ステージ20の位置を計測するX軸測長器(測長器)61及びヨーイング測定器(測長器)62と、装置ベース50のY軸方向端部に配設され、レーザー光をY軸用ミラー65に照射し、Y軸用ミラー65により反射されたレーザー光を受光して、基板ステージ20の位置を計測する1台のY軸測長器(測長器)63と、を備える。
そして、レーザー測長装置60では、X軸測長器61、ヨーイング測定器62、及びY軸測長器63からX軸用ミラー64及びY軸用ミラー65に照射されたレーザー光が、X軸用ミラー64及びX軸用ミラー65で反射されることにより、基板ステージ20のX軸,Y軸方向の位置が高精度に計測される。また、X軸方向の位置データはX軸測長器61により、θ方向の位置はヨーイング測定器62により測定される。なお、基板ステージ20の位置は、レーザー測長装置60により測定されたX軸方向位置、Y軸方向位置、及びθ方向の位置を加味して、適宜補正を加えることにより算出される。
次に、図5に基づいて、マスク保持枠12の下面に固定されたチャック部14と、チャック部14に吸着保持されるマスクMとの位置関係について詳述する。
チャック部14は、長方形状に形成されたマスクMの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ保持するように合計6箇所でマスク保持枠12の下面に固定されている。そして、マスクMの各長辺側に設けられた3つのチャック部14は、1つのチャック部14を長手方向中心位置に配置した状態で、それぞれ所定のピッチLpで配置される。
チャック部14に取り付けられたマスクMの固有振動数は、マスクMの制振性の観点から大きいことが望ましい。ここで、マスクMの各長辺側に3箇所ずつチャック部14を設ける場合、チャック部14に吸着されたマスクMの固有振動数(1次モード)は、チャック部14のピッチLpにより異なる。
本発明者は、マスクMの長辺の長さを2Ly、短辺の長さをLxとすると、Lp/Lyの値が0.65〜0.80の範囲であれば、マスクMのサイズ(外径寸法、長辺と短辺の比)に拘わらず固有振動数を大きく維持できることを見出した。また、この関係は、チャック部14に設けられたノズル孔14aの長手方向長さLapが、Ly/Lap≦5となるように設定されることで、常に成立する。
図7は、長辺1400×短辺850×厚さ10mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.65)の大きさのマスクM(以下、マスクM1と称す)について、6箇所のチャック部14で保持したときのマスクMの固有振動数(1次モード)を、チャック部14の各ピッチLpに対して計算により求めた結果を示す。また、図8は、長辺1400×短辺1220×厚さ13mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.15)の大きさのマスクM(以下、マスクM2と称す)について、6箇所のチャック部14で保持したときのマスクMの固有振動数(1次モード)を、チャック部14の各ピッチLpに対して計算により求めた結果を示す。図7および図8に示すように、固有振動数は、マスクMの長辺2Lyの長さが等しい場合、ピッチLpが500mmの時に極大値となり、略450〜550mmの間で大きな値をとることが分かる。
図6は、上述したサイズの2種類のマスクM1、M2に加え、長辺1000×短辺850×厚さ10mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.18)のマスクM(以下、マスクM3と称す)、長辺1200×短辺850×厚さ10mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.41)のマスクM(以下、マスクM4と称す)の4種類のマスクMについて、Lp/Lyと固有振動数比との関係を示しており、マスクサイズ及びチャック部14のピッチLpと、固有振動数との関係を無次元化している。ここで、固有振動数比とは、同一サイズのマスクMを用いて、図13に示すように2辺を保持した時の固有振動数に対する6点保持時の固有振動数の比である。
図6に示すように、固有振動数比は、マスクMのアスペクト比(2Ly/Lx)が小さいほど大きくなる傾向を示す。また、長辺1400×短辺850×厚さ10mmの大きさのマスクM1を6点保持したとき、固有振動数比の最大値は0.83となり、この最大値の97%以上、即ち、固有振動数比0.80以上において、実質的に露光転写に影響を及ぼさない撓みが小さい状態であるとすると、Lp/Lyの値が0.65〜0.80の範囲に設定されることがわかる。
また、図6に示すように、その他のサイズのマスクMにおいても、Lp/Lyが0.65〜0.8の範囲であれば、固有振動数比が最大値の97%以上であることが確認された。従って、Lp/Lyが0.65〜0.8の範囲となるようにチャック部14のピッチLpを決めれば、マスクMのサイズに拘わらず固有振動数を大きくすることができる。
従って、長辺1400×短辺850×厚さ10mmのマスクM1では、チャック部14のピッチLpは455〜560mmの間で設定され、長辺1000×短辺850×厚さ10mmのマスクM3では、ピッチLpは325〜400mmの間で設定され、長辺1200×短辺850×厚さ10mmのマスクM4では、ピッチLpは390〜480mmの間で設定される。これにより、ピッチLpを455〜480mmに設定することでマスクM1とマスクM4との交換が可能であり、ピッチLpを390〜400mmに設定することで、マスクM3とマスクM4との交換が可能である。
ここで、6つのチャック部14によってマスクMを保持する本実施形態の場合、図13に示す2辺を全長に亘って保持する場合に比べて撓みが大きくなりやすい。このため、略椀型形状に形成されるマスクM(図4の一点鎖線参照。)を使用して、このマスクMを下側を凹としてチャック部14に取り付けることで自重によりフラットな状態となり、撓みを抑制することができる。
なお、撓みを抑制する方法としては、上記略椀型形状のマスクMを使用する方法の他、チャック部14の取り付け面をマスクの内側に向かって上向きに傾斜させる構成とするものであってもよく、マスクの上面及び下面に接する空気に圧力差を発生させる圧力制御機構を備えたものであってもよいし、或は、マスクと基板との間に陽圧を形成する陽圧形成機構を備えたものであってもよい。
本実施形態の露光装置のマスク保持機構によれば、マスクステージ10が、長方形状に形成されたマスクMの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ保持する6つのチャック部14を備えるので、露光エリアが広がり、また、長辺側のマスクサイズの変更を容易に行うことができる。また、マスクMの各長辺側に設けられたチャック部14の各ピッチLpは、マスクMの長辺長さ2Lyの1/2に対して0.65倍〜0.80倍であるので、マスク取付時におけるマスクの固有振動数の低下を最小限とし、外乱振動や、マスクとワークが接近した際の風圧による撓みに起因する振動などに対して良好な制振性を備えたものとなる。
特に、本実施形態のマスク保持機構によれば、図13に示した2箇所でマスクMを保持する場合に比べて、露光エリアを広くすることができ、また、マスクMの長辺全域に亙って吸着した場合にマスクMがよれる可能性があるが、3箇所で分割して保持することで吸着によるよれの可能性を低減できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置のマスク保持機構について図9〜図12を参照して説明する。尚、本実施形態では、マスク保持機構の保持部の配置および数が異なるだけでその他の部分については、本発明の第1実施形態のものと同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明を簡略化又は省略する。
図9に示すように、本実施形態のチャック部14は、長方形状に形成されたマスクMの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ、各短辺側をそれぞれ1箇所ずつ保持するように合計8箇所でマスク保持枠12の下面に固定されている。そして、マスクMの各長辺側に設けられた3つのチャック部14は、1つのチャック部14を長手方向中心位置に配置した状態で、それぞれ所定のピッチLpで配置される。また、各短辺側のチャック部14は、短手方向中心位置に配置される。
本発明者は、マスクMの長辺の長さを2Ly、短辺の長さをLxとすると、このような8箇所でマスクMを保持する場合、Lp/Lyの値が0.30〜0.55の範囲であれば、マスクMのサイズ(外径寸法、長辺と短辺の比)に拘わらず固有振動数を大きく維持できることを見出した。また、この関係は、長辺側のチャック部14に設けられたノズル孔14aの長手方向長さLapが、Ly/Lap≦5となるように設定されることで、常に成立する。
図11及び12は、それぞれ長辺1400×短辺850×厚さ10mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.65)、長辺1400×短辺1220×厚さ13mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.15)の大きさのマスクM1、M2について、8箇所のチャック部14で保持したときのマスクMの固有振動数(1次モード)を、チャック部14の各ピッチLpに対して計算により求めた結果を示す。図11および図12に示すように、固有振動数は、マスクMの長辺2Lyの長さが等しい場合、ピッチLpが300mmの時に極大値となり、略200〜400mmの間で大きな値をとることが分かる。
図10は、上述したサイズの2種類のマスクM1、M2に加え、長辺1200×短辺850×厚さ10mm(マスクアスペクト比:2Ly/Lx=1.41)のマスクM4の3種類のマスクMについて、Lp/Lyと固有振動数比との関係を示しており、マスクサイズ及びチャック部14のピッチLpと、固有振動数との関係を無次元化している。ここで、固有振動数比とは、同一サイズのマスクMを用いて、図14に示すように4辺を保持した時の固有振動数に対する8点保持時の固有振動数の比である。
図10に示すように、長辺1400×短辺850×厚さ10mmの大きさのマスクM1を8点保持したとき、固有振動数比の最大値は0.92となり、この最大値の97%以上、即ち、固有振動数比0.89以上において、実質的に露光転写に影響を及ぼさない撓みが小さい状態であるとすると、Lp/Lyの値が0.30〜0.55の範囲に設定されることがわかる。
また、図10に示すように、その他のサイズのマスクMにおいても、Lp/Lyが0.30〜0.55の範囲であれば、固有振動数比が最大値の97%以上であることが確認された。従って、Lp/Lyが0.30〜0.55の範囲となるようにチャック部14のピッチLpを決めれば、マスクMのサイズに拘わらず固有振動数を大きくすることができる。
従って、長辺1400×短辺850×厚さ10mmのマスクM1では、チャック部14のピッチLpは210〜385mmの間で設定され、長辺1200×短辺850×厚さ10mmのマスクM4では、ピッチLpは180〜330mmの間で設定される。これにより、長辺側のチャック部14のピッチLpを210〜330mmに設定し、短辺側のチャック部14の位置を変更することでマスクM1とマスクM4との交換が可能である。
本実施形態の露光装置のマスク保持機構によれば、マスクステージ10が、長方形状に形成されたマスクMの各長辺側をそれぞれ3箇所、各短辺側をそれぞれ1箇所ずつ保持する8つのチャック部14を備えるので、露光エリアが広がり、また、長辺側のマスクサイズの変更を容易に行うことができる。また、マスクMの各長辺側に設けられたチャック部14の各ピッチLpは、マスクMの長辺長さ2Lyの1/2に対して0.30倍〜0.55倍であるので、マスク取付時におけるマスクの固有振動数の低下を最小限とし、外乱振動や、マスクとワークが接近した際の風圧による撓みに起因する振動などに対して良好な制振性を備えたものとなる。
なお、本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明のノズル孔は、任意の形状に設計可能であり、勿論、複数のノズル孔がチャック部14に形成されてもよい。
本発明に係るマスク保持機構を搭載した分割逐次近接露光装置を説明するための一部分解斜視図である。 図1に示す分割逐次近接露光装置の正面図である。 図1に示すマスクステージの拡大斜視図である。 図3のA−A線矢視断面図である。 第1実施形態のマスクとマスクステージの保持部との位置関係を示す平面図である。 長辺に沿う6個の保持部で保持されたマスクの固有振動数比と、無次元化された保持部のピッチの関係を示すグラフである。 長辺に沿う6個の保持部で保持された1400×850×10mmのマスクの固有振動数と、保持部のピッチの関係を示すグラフである。 長辺に沿う6個の保持部で保持された1400×1220×13mmのマスクの固有振動数と、保持部のピッチの関係を示すグラフである。 第2実施形態のマスクとマスクステージの保持部との位置関係を示す平面図である。 長辺に沿う6個の保持部と短辺中央の2個の保持部、合計8個の保持部で保持されたマスクの固有振動数比と、無次元化された保持部のピッチの関係を示すグラフである。 長辺に沿う6個の保持部と短辺中央の2個の保持部、合計8個の保持部で保持された1400×850×10mmのマスクの固有振動数と、保持部のピッチの関係を示すグラフである。 長辺に沿う6個の保持部と短辺中央の2個の保持部、合計8個の保持部で保持された1400×1220×13mmのマスクの固有振動数と、保持部のピッチの関係を示すグラフである。 マスクを長辺に沿う2個の保持部で保持する従来のマスク保持機構を示す平面図である。 マスクを全辺に亙って4個の保持部で保持する他の従来のマスク保持機構を示す平面図である。
符号の説明
10 マスクステージ
12b 開口
14 チャック部(保持部)
20 基板ステージ
Lp 保持部のピッチ
2Ly マスクの長辺長さ
Lx マスクの短辺長さ
M マスク
PE 露光装置(分割逐次近接露光装置)
W ガラス基板(被露光材)

Claims (2)

  1. マスクがパターン露光用の光を通過させるマスクステージの開口に臨むように、前記マスクステージに前記マスクを保持する露光装置のマスク保持機構であって、
    前記マスクステージは、長方形状に形成された前記マスクの各長辺側をそれぞれ3箇所ずつ保持する6つの保持部を備え、
    前記各長辺側に設けられた前記保持部の各ピッチは、前記マスクの長辺長さの1/2に対して0.65倍〜0.80倍であることを特徴とする露光装置のマスク保持機構。
  2. マスクがパターン露光用の光を通過させるマスクステージの開口に臨むように、前記マスクステージに前記マスクを保持する露光装置のマスク保持機構であって、
    前記マスクステージは、長方形状に形成された前記マスクの各長辺側をそれぞれ3箇所、各短辺側をそれぞれ1箇所ずつ保持する8つの保持部を備え、
    前記各長辺側に設けられた前記保持部の各ピッチは、前記マスクの長辺長さの1/2に対して0.30倍〜0.55倍であることを特徴とする露光装置のマスク保持機構。
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