JP2008051894A - 撮像装置 - Google Patents

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誠 今井
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Abstract

【課題】多焦点レンズを介して入射される光学画像に基づき、高画質の画像を得ることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】光軸Lと平行な分割部28が形成され、分割部28を挟んで物体側及び像面側のうち少なくとも一方の面形状が互いに異なるように形成されている多焦点レンズ2と、多焦点レンズ2を介して入射する光学画像を撮像する半導体撮像素子4とを備えた撮像装置であって、多焦点レンズ2を光軸方向に直線的に移動可能な移動部材と、多焦点レンズ2と半導体撮像素子4との光軸Lを中心とする回転方向の相対的な位置を規制するキー24a及びキー溝22bとを備えている。
【選択図】図5

Description

本発明は、レンズ面に分割部を有する多焦点レンズが搭載されている撮像装置に関する。
複数焦点を有するレンズが搭載されている撮像装置については、特許文献1に開示されている、特許文献1には、2つの焦点距離を有するレンズにより得られる画像を処理することによって、解像度の高い画像が再生できることが開示されている。また、特許文献1に開示されている2焦点レンズは、光軸に直交する面において、光軸と同心円状に分割したり、上下に分割したりすることによって実現できる。
また、特許文献2には、互いに焦点距離が異なる2つのレンズを備え、その2つのレンズのうちいずれか一つを選択的に光軸上に配置させることによって、2焦点カメラを実現できることが開示されている。
特開2002−123825号公報(図1) 特開平8−320517号公報
従来の撮像装置においては、レンズと半導体撮像素子との間の距離(バックフォーカスと呼ばれる)を調整する際に、鏡筒を回転するなどして、レンズを光軸方向に移動させて行うことが知られている。しかしながら、多焦点レンズが搭載されている撮像装置においては、レンズの分割面と撮像素子との相対的な位置関係が、一定の関係を保つように調整することが必要である。多焦点レンズは、分割面を境に互いに異なるレンズ特性を有するため、レンズを介して入射する光学画像を画像処理にて改質させる際にレンズと撮像素子との位置関係を一定にしていないと、改質フィルターなどの特性が最適にならないことがある。つまり、画像処理によって画像を改質する場合に、十分に画質が良い画像が得られないという課題がある。このような課題を解決する方法については、特許文献1及び2には開示されていない。
本発明は、上記課題に鑑み、多焦点レンズを介して入射される光学画像に基づき、高画質の画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の撮像装置は、光軸と平行な分割部が形成され、前記分割部を挟んで、物体側及び像面側のうち少なくとも一方の面形状が互いに異なるように形成されている多焦点レンズと、前記多焦点レンズを介して入射する光学画像を撮像する半導体撮像素子とを備えた撮像装置であって、前記多焦点レンズを光軸方向に直線的に移動可能な移動部材と、前記多焦点レンズと前記半導体撮像素子との、光軸を中心とする回転方向の相対的な位置を規制する規制部材とを備えている。
本発明によれば、レンズのバックフォーカス調整を行う際に、レンズと撮像素子との相対的な位置関係が保たれ、撮像素子の部分部分による改質フィルターなどの特性を最適な状態に保つことができる。したがって、確実に良好な改質処理が行え、高画質な画像を得ることができる。
本発明の撮像装置は、前記多焦点レンズは、前記光軸を含む直線状の分割部が形成されている構成としてもよい。この構成により、レンズを成形により作る金型が面形状の異なる金型を分割して、所定の関係に固定することによって作ることができる。つまり、光軸に対して、軸対象の金型を利用することができるので、超精密旋盤を用いて高い面形状を得られ、精度の高いレンズを実現することができる。精度の高い金型面を直線で分割し、所要の面をそれぞれ合わせて固定することで、光軸に対して非対称な形状をフライス盤などにより作成するレンズに比べて、十分高い精度で実現できる。これによって高画質の画像が得られる。
また、前記多焦点レンズは、投影面積がほぼ等しくなるように分割されている構成としてもよい。この構成により、それぞれのレンズに入射する光量を同じにすることができるので、撮像面全体に渡って均質で高画質の画像が得られる。
また、前記移動部材は、前記多焦点レンズを保持し、光軸方向に移動可能な鏡筒と、光軸を中心に回転可能に配され、回転することで前記鏡筒を光軸方向へ移動可能な調整リングとから構成され、前記規制部材は、前記調整リングを回転自在に保持しているとともに前記半導体撮像素子が固定されている立体基板と、前記鏡筒との間に形成されている構成としてもよい。この構成により、従来から用いられている、回転操作によりバックフォーカスを調整する冶具や設備が活用できるので、部品や工程が共用できる。なお、新規な構成のレンズを作成する場合でも、従来の冶具や設備を若干の修正で対応できるので投資を抑制することができる。
また、前記鏡筒は、略円筒形状であり、前記立体基板に形成されている円筒部内に嵌合されている構成としてもよい。この構成により、簡単で確実に鏡筒を光軸方向に移動できる構成を実現することができる。また、構成部品が少なく実現できるので、撮像装置の小型化を阻害することがない。
また、前記規制部材は、前記鏡筒または前記立体基板のうちの一方に形成されている溝部と、前記鏡筒または前記立体基板のうちの他方に形成され、前記溝部に移動可能に嵌合されている凸部とから構成されている構成とすることができる。この構成により、簡単な構成で、確実に鏡筒を光軸方向へ移動できる構成を実現することができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態1における撮像装置の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す撮像装置におけるX−X部分の断面図である。
図1及び図2に示すように、立体基板1は、筒状の鏡筒部6と略直方体の外形を有する底部7とを備えており、鏡筒部6と底部7との境界近傍には開口11が形成されている。開口11の下面には、半導体撮像素子4が実装される実装面12を備えている。立体基板1の材質は、ガラス強化PPA(ポリフタルアミド樹脂)などが用いられ、外部からの可視光の透過を防ぐため黒色に着色してある。立体基板1の透過率は、波長380〜780nmの可視光領域の光線に対して1%以下が好ましく、本実施の形態では、この可視光領域の光線に対する透過率が0.2%の立体基板を用いている。
底部7における、鏡筒部6とは反対側の面には、無電解メッキなどにより配線パターン7bが形成されている。配線パターン7bの一端は、実装面12に形成された接続ランド7cに接続され、他端は立体基板1の底部7の外側側面に設けられた端子7aに接続されている。更に、底部7の配線パターン7bが形成された面には、図示しないチップ部品が実装されている。
半導体撮像素子4は、その受光面を鏡筒部6側に向けて、接続ランド7cにベア実装されている。また、半導体撮像素子4は、CCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどで構成され、本実施の形態では、画面のアスペクト比が4:3で、フレームレートが毎秒30枚で、画素数が約130万画素の、1/4インチSXGA形のCCDイメージセンサーで構成されている。また、半導体撮像素子4は、実装面12に形成された接続ランド7cに対して、BGA(Ball Grid Array)や、SBB(Stud Bump Bond)などによる接続方法により、電気的に接続されている。
立体基板1の鏡筒部6の内周には、非球面レンズ(以下、「レンズ」と略す)2が嵌め込まれている。レンズ2の光軸は、鏡筒部6の中心軸と略一致している。レンズ2は、透過率や屈折率などの必要な光学特性を満足する樹脂材料から作られている。本実施の形態では、ゼオネックス(日本ゼオン社の登録商標)を用いている。また、レンズ2は、2つの焦点距離を有するとともに、光軸と直交する直線上に分割面を有する2焦点レンズで構成されている。なお、レンズ2の分割面は、光軸を含む曲線上に形成することも可能である。また、レンズ2は、3枚で構成され、その中の1枚の一方面に分割面を有する2焦点レンズを搭載しているが、図1及び図2においては、図示を簡略化して1枚のレンズとして記載している。レンズ2の具体構成は、後で詳細に説明する。
レンズ2と開口11との間には、光学フィルター5が取り付けられている。レンズ2の上方には、レンズ2を保持固定する絞り3が配されている。絞り3は、所定の開口を備え、鏡筒部6の一部として形成されている。
光学フィルター5は、不要な赤外光をカットし、可視領域の波長の光を透過させるために設けられる。光学フィルター5は、例えば、水晶フィルターや、ガラスにIRコート(IR:Infrared Radiation)などと呼ばれるコーティングなどで構成されている。なお、反射防止のためのARコート(AR:Anti Refledion)などを付加しても良い。
フレキシブルプリント板(以下、FPCという)8は、立体基板1の下側の面を覆うように配されている。立体基板1の端子部7aとFPC8上に形成されたランド8aとが、半田9により電気的に接続されている。これにより、立体基板1とFPC8とは機械的にも接合されている。本実施の形態では、FPC8として、1/2mil(12.5μm)厚さのポリイミドのベースフィルム上に所定パターンに形成された、1/3Oz(12μm)厚さの圧延銅からなる配線層と、所定位置に開口を有するカバーフィルムとが、この順に積層されたものを用いた。また、FPC8は、各種デジタル信号処理を実行させることができる図示しないDSP(Digital Signal Processor)に接続され、半導体撮像素子4から出力される電気信号を所要の形式の信号に変換したり、ホワイトバランス調整や色補正などの処理をしても良い。また、FPC8の裏面には、補強板10が貼着されている。
以下、動作について説明する。
図1及び図2において、被写体側から入射する光は、絞り3を介してレンズ2で集光される。集光された光は、光学フィルター5で赤外光がカットされ、開口11を通過して、半導体撮像素子4の受光面に入射する。半導体撮像素子4は、入射した光を電気信号へ変換する。半導体撮像素子4から出力される電気信号は、接続ランド7c、配線パターン7b、FPC8のランド8aを介して、DSPに入力されて画像信号が生成される。
次に、多焦点レンズについて説明する。
本実施の形態においては多焦点レンズとして、光軸を含み光軸に直交する面を直線的に2つの焦点距離を有する2焦点レンズを用いている。図3は、本発明の実施の形態1におけるレンズ2を被写体側から見た際の平面図であり、凸凹のメニスカスレンズの場合を示す。図4は図3の光軸Lを含み光軸と直交する分割部28で切断した時のレンズ2の断面図であり、図3におけるY−Y部分の断面を示している。
図3において、レンズ2は、焦点距離が長い遠レンズ2aと、焦点距離が短い近レンズ2bとで構成されている。遠レンズ2aと近レンズ2bとは、焦点距離が異なるため互いに異なる面形状に形成され、両者は光軸Lを含んだ直線状の分割部28において接合されている。遠レンズ2aの凸面であるR1面は曲率半径が大きく、近レンズ2bの凸面であるR2面は、遠レンズ2aのR1面より曲率半径が小さく構成されている。遠レンズ2aと近レンズ2bとが接合された時のR1面とR2面とで、レンズ2の片面(第1面と呼ぶことにする)を構成している。レンズ2は、図2に示すように第1面が半導体撮像素子4側を向くようにして、鏡筒部6に配される。
頂点Zは、レンズ2の第1面において光軸Lと交差する点を示しており、凸面を有するレンズの場合には光軸Lの線上での頂点となり、凹面を有するレンズの場合には最奥部が光軸Lの線上に位置する。メニスカス形状のレンズにおいては、凸メニスカスレンズが凹メニスカスレンズかにより頂点Zが決まる。
分割部28を有する第1面に対して、光軸L方向の反対側には、曲率半径R3(不図示)を有するレンズ2の他面(第2面と呼ぶ)が構成されている。これらのR1面ないしR3面は、光軸Lに対して回転対称の非球面形状としてある。非球面としているのは、球面収差を低減するためで、本実施の形態においては、周知の非球面係数として10次の係数により与えてある。なお、非球面レンズは、光学ガラスをリヒートさせて作成することも可能であることは言うまでもない。
また、レンズ2は、前述したようにR1面およびR2面により、2つの焦点距離を有する二焦点レンズで構成されている。本実施の形態における二焦点レンズ2は、焦点距離の長い遠レンズ2aの焦点距離は3.8mm、近レンズ2bの焦点距離は3.6mmとしている。射出瞳位置とFナンバーは同じ値としてある。
次に、多焦点レンズの製造方法について説明する。
本実施の形態のレンズを作成可能な金型は、分割部を可動側に構成してある。金型のベースは工具鋼で作られ、通常の樹脂成形に用いられるダイセット(不図示)などが所要の位置に配されている。レンズ部分については、インサートと呼ばれるブロックを別体で加工し、ベースに組み込まれる。インサート部分は、超鋼や工具鋼を、まず大まかな形状加工を施し、その後に表面を硬度の高いメッキ(例えばNiなど)を施す。このメッキ部分は、更に精密旋盤などで精密加工される。
まず、異なる面形状を有するインサート部分を作成する。これは前述の精密旋盤により行うので、光軸に対して回転対称となる。本実施の形態においては、R1面、R2面のそれぞれに対応する2つのインサートを作成する。次に、作成した2つのインサートを、それぞれ光軸を含む部分で直線状に分割して、2つずつインサート部分を作成する、この際、ダイヤモンドカッターで光軸に沿って切断する。切断されたインサート部分は2ピースとなるが、ダイヤモンドカッターの歯幅によって、光軸を含むピースは1つのみとなる。また、切断されたインサート部分における接合面は、十分な精度が得られるように、ラップなどによって仕上げておく。これにより、面形状が互いに異なる2つのインサートから、2つのインサート部分が得られる。
次に、互いに面形状が異なる2つのインサート部分を、光軸方向に移動させながら位置合わせを行う。
このようにして可動側のコアが完成し、固定側の1種類のインサートを作れば、金型が完成する。この金型を用いれば、分割部28が形成されたレンズ2を作成することができる。
このような製造方法によれば、インサート部分が光軸に対して軸対象なので、旋盤加工が可能になり、フライス加工と比較して時間短縮、費用低減、精度確保が可能となる。
次に、撮像装置のバックフォーカス調整の説明を行う。
図5は、撮像装置の構成を示す断面図であり、図1及び図2の立体基板1における鏡筒部6が鏡筒22と調整リング23とに分離されている構成である。その他の構成については、図1及び図2に示す構成と同様である。
図5において、レンズ2は、鏡筒22の内部円筒面に対して接着剤(不図示)などにより取り付けられている。鏡筒22の外周部分には、雄ネジ22aが形成されている。雄ネジ22aは、その外側に位置する調整リング23の内径部分に形成されている雌ネジ23aに螺合している。
調整リング23には、半導体撮像素子4側の端部にツバ部23bが形成されている。ツバ部23bは、調整リング23の外側に配されているホルダー21に支持され、これにより、調整リング23は、光軸Lを軸に回転可能にホルダー21に保持されている。ホルダー21は、立体基板24に固定されている。
鏡筒22の内面には、キー溝22bが光軸Lに対して平行に形成されているとともに、立体基板24におけるキー溝22bに対向する位置には、キー溝22bに移動自在に嵌合可能なキー24aが形成されている。このキー24aとキー溝22bとを移動自在に嵌合させることで、鏡筒22を、光軸を中心とする回転方向への回転を規制しながら光軸L方向へ移動可能に配することができる。なお、キー24aとキー溝22bとで、規制部材を構成している。また、立体基板24は、ホルダー21に固定されている構成としたが、ホルダー21と一体成型されていてもよい。
以下、動作について説明する。
図5に示す各部品を組み付けられて完成したばかりの撮像装置は、レンズ2の特性バラツキや、鏡筒などの部品精度のバラツキによって、フォーカスが合っていないなどの品質バラツキが生じていることがある。したがって、このようなバラツキを無くすために、入射される光学画像を半導体撮像素子4の撮像面に結像させるようにバックフォーカス調整(いわゆるピント調整)を行うことが必要となる。
バックフォーカス調整は、調整リング23を光軸Lを中心に回転させることで調整を行うことができる。調整リング23を回転させると、雄ネジ22aと雌ネジ23bとが螺合されていることにより、鏡筒22を光軸L方向へ移動させることができる。この時、鏡筒22は、キー24a(凸部)とキー溝22b(溝部)によって回転方向への移動を規制されながら、光軸L方向へ移動する。これによって、レンズ2と半導体撮像素子4との距離を変えることができ、バックフォーカス調整ができる。
次に、図6及び図7を参照して、レンズと半導体撮像素子4の回転方向の位置関係を規制する必要性について説明する。
まず、画像処理についての概略説明を行う。具体的な画像処理の説明は省くが、基本的には被写体側からの光学画像は、遠レンズ2aと近レンズ2bに対して入光する。これらの光学画像は、焦点が合っていないボケの成分を含んで半導体撮像素子4に入光する。このようなボケの成分に対して、PSF(Point Spread Function)と言われる点画像の強度分布関数などを用いて、ボケの発生する傾向を予め求めておくと、ボケの成分を除去する画像処理を行うことが可能となる。しかし、PSFは、多焦点レンズで構成されたレンズ2を光軸Lを中心とした回転方向へ回転させると、レンズ2と半導体撮像素子4の相対的な位相関係が変化するので、ボケの補正が十分できなくなり、画質が劣化してしまう。このためにレンズ2と半導体撮像素子4の位相関係が一定の範囲に収まるように、本実施の形態では、前述したようにキー24a及びキー溝22bから構成される規制部材を形成した。規制部材は、バックフォーカス調整においてレンズ2を光軸方向に移動させる際、レンズ2の光軸を中心とした回転方向の位置を規制することができ、レンズ2と半導体撮像素子4との相対的な位相関係を一定に保つことができる。
また、この種の画像処理には、一般的に半導体撮像素子における撮像面をブロックに分けて、ブロック毎に行うことが知られている。
図6は、半導体撮像素子4の撮像面を模式的に示した図であり、理解を容易にするために撮像面をブロック状に分割した構成を示している。図7は、図6に示すブロックに、バックフォーカス調整時に回転方向にレンズ2が回転し位相関係が変化したときのブロックを重ねて示している。レンズ2と半導体撮像素子4の回転方向の位相関係がずれていれば、図7に示すように撮像面32の相対位置は、正規位置の撮像面31に対して、回転方向にずれた状態になる。なお、図7に示す撮像面32は、画像の横方向端部において、正規位置の撮像面31に対してほぼブロックの半分のズレ量を有している。
本発明者らは、半導体撮像素子4で撮像された画像の画像処理を行って、画質を評価したところ、撮像面の水平方向端部においてブロックの半分よりも大きくずれた場合は画質が劣化し、図7に示すように撮像面の水平方向端部においてブロックの半分以下のズレでは、画質が殆ど劣化しないこと分かった。
また、本実施の形態においては、半導体撮像素子4はアスペクト比が4:3の横長に構成されているので、横方向のズレを許容範囲になるように規制部材の寸法関係を決めることで実現することができる。
以上のように本実施の形態によれば、多焦点レンズで構成されているレンズ2を保持し光軸L方向に移動可能な鏡筒22を、キー24aとキー溝22bとから構成される規制部材によって光軸Lを中心とした回転を規制していることにより、バックフォーカス調整時、レンズ2を光軸L方向へ移動させても、レンズ2と半導体撮像素子4との、光軸を中心とする回転方向の相対的な位相関係が大きく変化しないので、画質の劣化を防ぐことができる。
また、レンズ2は、光軸Lを含む直線状の分割部28が形成されている構成であるため、レンズ2を成形により作る金型が面形状の異なる金型を分割して、所定の関係に固定することによって作ることができる。つまり、光軸Lに対して、軸対象の金型を利用することができるので、超精密旋盤を用いて高い面形状を得られ、精度の高いレンズを実現することができる。精度の高い金型面を直線で分割し、所要の面をそれぞれ合わせて固定することで、光軸Lに対して非対称な形状をフライス盤などにより作成するレンズに比べて、十分高い精度で実現できる。これによって高画質の画像が得られる。
また、レンズ2は、投影面積がほぼ等しくなるように分割されている構成であるため、それぞれのレンズ2に入射する光量を同じにすることができるので、撮像面全体に渡って均質で高画質の画像が得られる。
また、従来と同様、回転操作により鏡筒22を光軸方向へ移動させることでバックフォーカスを調整可能な構成であるため、バックフォーカスを調整する冶具や設備が活用できるので、部品や工程が共用できる。なお、新規な構成のレンズを作成する場合でも、従来の冶具や設備を若干の修正で対応できるので投資を抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、第2の実施の形態について、図8を参照して説明する。
図8は、鏡筒22と立体基板24の関連が理解し易いように多少変形を加えてあり、光軸方向から見た平面図である。図8において、レンズ2は図3に示すものと同様である。前述したように、立体基板24には、半導体撮像素子4が固定されている(図5参照)。鏡筒22の内部には、光軸Lを含む直線状の分割部28を有するレンズ2が固定されている。鏡筒22の外周面には、鏡筒22の円周を約3等分する位置に、外側に向かって突出する凸部22cが形成されている。また、立体基板24には、凸部22cを嵌合可能な位置に溝部24bが形成されている。この凸部22cと溝部24bとによって、規制部材が構成されている。また、鏡筒22の外周面22dと立体基板24の内面24cとは、互いに嵌合されている。
以上のように本実施の形態によれば、光軸Lと半導体撮像素子4との、光軸を中心とする回転方向の位相関係が、凸部22cと溝部24bで決まる。また、光軸Lと半導体撮像素子4との位置関係が、外周部22dと内面24cとにより決まる。つまり、鏡筒22と立体基板24の2部品のみで、光軸Lと半導体撮像素子4の位相関係及び位置関係を決めることができるので、簡単な構成で精度を向上させることができる。
なお、実施の形態1及び2において、レンズ2は、光軸Lを含む直線状の分割部28を含んでいる構成としたが、他の構成であってもよい。以下、レンズ2の他の構成について説明する。
図9は、光軸Lに重ならない直線状の分割部42が、平行に2カ所に形成され、レンズ41が3つの部分に分割されている構成を示している。レンズ41は、光軸Lを含む中央に位置する遠レンズ41aと、遠レンズ41aの左右に配置されている近レンズ41b及び41cで構成されている。
図9に示すレンズ41は、より高い解像度がレンズ41の光軸L付近により得られるので、遠くの被写体の解像度を高くすることができる。逆に、近くの被写体に対してより解像度を高めるには、光軸Lを含む中央に近レンズを配し、近レンズの左右に遠レンズを配置することで、解像度を高めることができる。
図10は、光軸Lを中心に放射状に広がるように3本の直線状の分割部52が形成され、レンズ51が光軸Lを中心に扇形に約3等分されている構成を示している。レンズ51は、2つの遠レンズ51a及び51bと、1つの近レンズ51cとで構成され、遠レンズと近レンズの面積比は2:1となっている。
図10に示すレンズ51は、遠レンズが占める面積が大きく構成されているので、遠くの被写体が明るく鮮明に撮像することができる。なお、近くの被写体を明るく撮像するためには、近レンズの面積比を高くすればよい。
なお、実施の形態3において説明した内容は、これらの実施の形態に限定されることなく、分割による遠レンズ及び近レンズの形状、分割数、占有面積などについては、適宜選択可能である。
また、2焦点レンズに限らず、3焦点レンズや4焦点レンズなどで構成しても同様な効果が得られる。
また、分割部28は、図2に示すように半導体撮像素子4の垂直方向に対して平行に形成する構成に限らず、半導体撮像素子4の水平方向に対して平行に形成する構成であっても、同様な効果を得ることができる。
本発明は、複数の焦点距離を有する多焦点レンズを用いた撮像装置に用いることによって、画質の劣化の少ないカメラモジュールが実現できる。
本発明の実施の形態1における撮像装置の斜視図 本発明の実施の形態1における撮像装置の断面図 多焦点レンズの構成を示す平面図 多焦点レンズの要部断面図 実施の形態2における撮像装置の構成を示す断面図 撮像部における撮像面を示す模式図 撮像部における撮像面を示す模式図 実施の形態2における鏡筒と立体基板とレンズの構成を示す平面図 レンズの分割例を示す平面図 レンズの分割例を示す平面図
符号の説明
1、24 立体基板
2 レンズ
2a 遠レンズ
2b 近レンズ
4 半導体撮像素子
6 鏡筒部
21 ホルダー
22 鏡筒
23 調整リング
28 分割部

Claims (6)

  1. 光軸と平行な分割部が形成され、前記分割部を挟んで、物体側及び像面側のうち少なくとも一方の面形状が互いに異なるように形成されている多焦点レンズと、
    前記多焦点レンズを介して入射する光学画像を撮像する半導体撮像素子とを備えた撮像装置であって、
    前記多焦点レンズを光軸方向に直線的に移動可能な移動部材と、
    前記多焦点レンズと前記半導体撮像素子との、光軸を中心とする回転方向の相対的な位置を規制する規制部材とを備えたことを特徴とする撮像装置。
  2. 前記多焦点レンズは、
    前記光軸を含む直線状の分割部が形成されている、請求項1記載の撮像装置。
  3. 前記多焦点レンズは、
    投影面積がほぼ等しくなるように分割されている、請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記移動部材は、
    前記多焦点レンズを保持し、光軸方向に移動可能な鏡筒と、
    光軸を中心に回転可能に配され、回転することで前記鏡筒を光軸方向へ移動可能な調整リングとから構成され、
    前記規制部材は、
    前記調整リングを回転自在に保持しているとともに前記半導体撮像素子が固定されている立体基板と、前記鏡筒との間に形成されている、
    請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置。
  5. 前記鏡筒は、
    略円筒形状であり、
    前記立体基板に形成されている円筒部内に嵌合されている、
    請求項4記載の撮像装置。
  6. 前記規制部材は、
    前記鏡筒または前記立体基板のうちの一方に形成されている溝部と、
    前記鏡筒または前記立体基板のうちの他方に形成され、前記溝部に移動可能に嵌合されている凸部とから構成されている、
    請求項1記載の撮像装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012518804A (ja) * 2009-02-20 2012-08-16 タレス・カナダ・インコーポレーテッド 双焦点レンズを用いた二視野光学撮像システム
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CN112752002A (zh) * 2020-12-25 2021-05-04 浙江大华技术股份有限公司 调节装置及具有其的摄像机

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