JP2008051771A - 車載レーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成でありながら車両探知時に適切な補正を行って早期かつ確実に前方車両の探知を行うことができる車載レーダ装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車載レーダ装置2には、ライト制御ECU3、ACC装置4、電動パワーステアリングECU(EPS)5、ナビゲーションシステム6が電気的に接続されている。ライト制御ECU3は、ヘッドライトのON/OFFに関するライトスイッチ情報を取得する。また、ヘッドライトやテールライトの点灯、消灯を行ういわゆるオートライト機能に用いられる照度センサから自車両周囲の照度値を取得する。ライト制御ECU3は、さらに、サスペンションの荷重状態、伸縮度合いから自車両の傾き情報を得るべく縦方向指示情報を取得する。この縦方向指示情報は、車両の前後方向の傾斜を把握する際に利用される情報で、この情報を用いて測定情報の補正を行い、ターゲットの判断に用いる。
【選択図】図1
【解決手段】車載レーダ装置2には、ライト制御ECU3、ACC装置4、電動パワーステアリングECU(EPS)5、ナビゲーションシステム6が電気的に接続されている。ライト制御ECU3は、ヘッドライトのON/OFFに関するライトスイッチ情報を取得する。また、ヘッドライトやテールライトの点灯、消灯を行ういわゆるオートライト機能に用いられる照度センサから自車両周囲の照度値を取得する。ライト制御ECU3は、さらに、サスペンションの荷重状態、伸縮度合いから自車両の傾き情報を得るべく縦方向指示情報を取得する。この縦方向指示情報は、車両の前後方向の傾斜を把握する際に利用される情報で、この情報を用いて測定情報の補正を行い、ターゲットの判断に用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車載レーダ装置、特に簡易な構成で適切な物体検出を行うことができる車載レーダ装置に関する。
従来、種々の車載レーダ装置が提案されており、前方他車両の検出精度を向上させるための種々の構成が開示されている。例えば、特許文献1には、前方他車両の検出性能を向上させることを目的として左右のウィンカースイッチに連動させて自車両周辺の他車両の探知を行い、安全車間距離が保たれていないときに警報を発するという提案がなされている。また、特許文献2には、舵角センサにより検出した操舵角に応じて障害物との接触の可能性を算出、判断する提案がされている。さらに、特許文献3には、車両の乗員や積載物の荷重状況により、車載レーダ装置が送受信するビーム(レーダ)に上下方向のズレが生じることを考慮して、車両に搭載された加速度ユニットにより車両の傾きを検知してビーム軸のズレを判断する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された提案では、運転者がウィンカースイッチを操作し、作動させなければ他車両の探知が行われないという問題があった。また、特許文献2に開示された提案では、装置の構成上、操舵角が決定された後に障害物との接触の可能性を判断することになるが、操舵角が決定したときは、すでに自車両がその方向に進行している状況となってしまっており、障害物を回避する措置を短時間で行わなければならないという問題があった。さらに、特許文献3に開示された提案では、新たな部品の追加が必要となり、コストアップにつながるという問題を有していた。
さらに、従来の車載レーダ装置が抱える別の問題として、長区間トンネル内を走行中に、トンネル天井部からのビーム(レーダ)の反射波の影響を受け、トンネル天井部を前方他車両と誤検出する問題がある。誤検出を低減させる措置として、検出したターゲットのピークレベルをスレッションホールドにより判別すること等が行われているが自車両前方が上方向に傾いた場合はピークレベルが大きくなってしまうためトンネル天井部を誤って前方を走行する他車両と判定してしまうことがあった。
そこで、本発明は簡易な構成でありながら車両探知時に適切な補正を行って早期かつ確実に前方他車両の探知を行うことができる車載レーダ装置を提供することを課題とする。
かかる課題を達成するための、本発明の車載レーダ装置は、車両状態に関する車両情報を取得する車両情報取得手段から、前記車両情報を取得し、当該車両情報に基づいてレーダの送受信により測定した測定情報を補正する演算手段を備えたことを特徴とする(請求項1)。ここで、車両情報とは、例えば、自車両が乗員や積載物の影響を受けて前後方向に傾いている状態や、ハンドルを切って旋回している状態となっている等の情報である。このように、自車両の状態を考慮してレーダの送受信により測定した測定情報を補正することによってターゲットとなる前方走行車両を適切に捕捉することができる。なお、車両情報取得手段は、車載レーダ装置とは別に備えた構成とする他、車載レーダ装置とともに一体として構成することもできる。
このような車載レーダ装置では、前記演算手段は、ヘッドライト照射角を調整するライト制御装置によるヘッドライト上下角情報に基づいてレーダの送受信により取得した測定情報を補正する構成とすることができる(請求項2)。すなわち、物体を探知するレーダ装置と、ヘッドライト照射角を調整するライト制御装置からヘッドライト上下角情報を取得し、当該ヘッドライト上下角情報に基づいてレーダの送受信により取得した測定情報を補正する演算手段を備えた構成とすることができる。車両にはヘッドライトの照射角を自動的に適切な位置に調整するライト制御装置を備えているものがある。このライト制御装置は、例えば、リアのトランクに積載物があるときに自車両前方が上方に向くときに、光軸を自動的に下方向へ調整するものである。本発明は、このライト制御装置に組み込まれたセンサを車両情報取得手段として利用して車両状態を把握し、レーダの送受信により測定した測定情報を補正するようにしたものである。車載レーダ装置は、自車両が傾くと、例えばトンネルからの反射波を前方走行車両からの反射波と誤認することが考えられるが、このようにヘッドライト上下角情報を参照した補正を行うことにより的確な前方走行車両捕捉を行うことができる。
また、前記のような車載レーダ装置では、前記演算手段は、車輪の操舵トルクを取得するトルクセンサにより取得した操舵トルク情報に基づいてレーダの送受信により取得した測定情報を補正する構成とすることができる(請求項3)。すなわち、物体を探知するレーダ装置と、車輪の操舵トルクを取得するトルクセンサから操舵トルク情報を取得し、当該操舵トルク情報に基づいてレーダの送受信により取得した測定情報を補正する演算手段を備えた構成とすることができる。車両には、電動パワーステアリング装置(以下、「EPS」という)が装着されたものがある。このEPSには一般的に車輪の操舵トルクを取得するトルクセンサが装備されている。本発明は、このトルクセンサを車両情報取得手段として利用して車両状態を把握し、レーダの送受信により測定した測定情報を補正するようにしたものである。この操作トルクを参照することにより車両が旋回する早期のタイミングでレーダの送受信による測定情報の補正を行って前方走行車両の捕捉を継続することができる。この結果、車載レーダ装置が前方走行車両を見失う確率を軽減することができる。
本発明の目的の一つとして、前記のようにトンネルからの反射波を前方を走行する他車両からの反射波と誤認することを回避することがある。そこで、本発明では、ヘッドライト照射角を調整するライト制御装置によるヘッドライト上下角情報に基づいてレーダの送受信により感知した物体がトンネル天井部であるとの判定処理を行うトンネル内走行判定手段を備えた構成とすることができる(請求項4)。ここで、トンネル内走行判定手段は、前記演算手段と共用する構成とすることができる。
また、このような車載レーダ装置では、前記トンネル内走行判定手段は、自車両周囲の照度を測定する照度センサにより測定した照度値を参照して自車両がトンネル内を走行していることを判定する構成とすることができる(請求項5)。車両には周囲の明るさに反応してヘッドライトを自動的にオン/オフする機能を備えたものがある。このような機能を有する車両には照度センサを備えているのでこの照度センサにより測定した照度値をすることによって自車両がトンネル内を走行しているか否かの判定の精度を向上させることができる。なお、照度センサは、本発明の車載レーダ装置に組み込まれる専用のセンサを装備するようにしてもよい。また、自車両が照度センサを備えていない場合には、運転者が自らライト点灯を行うことになるため、このような場合は、自車両のライト点灯動作と連動して自車両がトンネル内を走行していることを判定する構成とすることもできる。
また、例えば、昼間にトンネル内を走行するとトンネルの出口付近では照度が上がる。このため、自車両は未だトンネル内を走行しているにもかかわらず、既にトンネルを抜け出たとの判断をすることによって誤検出の確率が上昇してしまうおそれがある。そこで、トンネル内を走行中に前記照度センサによる照度値が変化した時点から規定時間、自車両がトンネル内を走行しているとの判定を継続する構成とすることができる(請求項6)。
以上のような車載レーダ装置では、前記演算手段は、自車両が水平状態のときに測定される距離データ、角度データ、相対速度データを理想値マップとして取得し、当該理想値データマップとレーダの送受信により計測する距離データ、角度データ、相対速度データを比較して自車両の状態を判定してレーダの送受信により測定した測定情報を補正する構成とすることができる(請求項7)。
また、前記トンネル内走行判定手段は、前記ヘッドライト上下角情報に応じて変更される閾値を用いてレーダの送受信により測定した測定情報の判定処理を行う構成とすることができる(請求項8)。これは、自車両前方が上方に向くと、トンネルからの反射波の受信レベルピーク値が上昇することを考慮したものである。すなわち、トンネルに対するレーダの入射角の関係から反射の受信レベルピーク値は大きくなるが、閾値が一定であるとその閾値を越えるノイズが多くなり、トンネルからの反射波の抽出が困難になると考えられる。そこで、自車両前方が上方に向いているときには閾値を上げてトンネルからの反射波の抽出精度を向上させる趣旨である。
このような車載レーダ装置では、前記トンネル内走行判定手段によるレーダの送受信により感知した物体がトンネル天井部であるとの判定処理に付随して、自車両後方の物体を感知する後方レーダ装置が感知した物体がトンネル天井部であるとの判定処理を行う構成とすることができる(請求項9)。車両には、前方のみならず、自車両後方の物体を感知する後方レーダ装置を備えたものがある。このような場合には、前方に向けて送受信されるレーダにより測定した測定情報を補正して行う判断の結果を参照すれば、後方レーダ装置が測定した測定情報を補正することなく、感知した物体がトンネル天井部であるとの判断を行うことができる。
以上説明したような車載レーダ装置では、前記演算手段は、ナビゲーションシステムにより取得した情報を参照してレーダの送受信により測定した測定情報を補正する構成とすることができる(請求項10)。車載レーダ装置による物体検知の精度を向上させるために、ナビゲーションシステムから提供される施設情報や位置情報、地形情報等を補って測定情報を補正する趣旨である。
本発明によれば、車両が備えているライト制御装置やトルクセンサ等の車両情報取得手段によって取得した車両情報に基づいてレーダの送受信により測定した測定情報を補正するようにしたので、新たな部品の追加を最小限に止めた構成により前方走行車両とトンネル天井部との判別や旋回中の前方走行車両の捕捉を適切に行うことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は、本発明の車載レーダ装置2が組み込まれた車載レーダシステム1の構成図である。車載レーダ装置2には、ライト制御ECU3、ACC装置(Adaptive Cruise Control)4、電動パワーステアリングECU(Electric Power Steering ECU、以下「EPS」という)5、ナビゲーションシステム6が電気的に接続されている。
ライト制御ECU3は、ヘッドライトのON/OFFに関するライトスイッチ情報を取得する。また、照度センサから自車両周囲の照度値を取得する。この照度値は自動的にヘッドライトやテールライトの点灯、消灯を行ういわゆるオートライト機能に用いられるものである。ライト制御ECU3は、さらに、サスペンションの荷重状態、伸縮度合いから自車両の傾き情報を得るべく縦方向指示情報を取得する。この縦方向指示情報は、車両の前後方向の傾斜を把握する際に利用される情報で、車両が前後方向に傾斜したときのヘッドランプの自動光軸調整に用いられるものと共通している。このように、ライト制御ECU3は、光軸の自動調整も行うものであり、光軸調整用のモータ7、ヘッドランプリレー8へ出力するような構成となっている。このようなライト制御ECU3は、ヘッドライト上下角、照度値、ライト制御(出力)に関する情報を車載レーダ装置2にフィードバックする。これらの構成が本発明におけるライト制御装置に相当する。
ACC装置4は、車載レーダ装置2から検出ターゲットまでの距離データ、検出ターゲットとの相対速度データ、検出ターゲットの位置に対する角度データを取得する。そして、これらのデータから予め設定された検出ターゲットとの距離を一定に保ちながら、予め設定された速度による定速走行制御を行う。また、ターゲットが検出されないときは設定された速度となるように自車両の加減速を行う。また、ターゲットが検出されたときは、設定された車間距離を保つように自車両の加減速を行う。このようなACC装置4は、車速、カーブ半径情報を取得することができ、これらの情報を車載レーダ装置2にフィードバックする。
EPS5は、図示しないステアリングに搭載されたトルクセンサからトルク量を取得する。そして、図示しない車速センサからのデータを参照し、走行状態に応じたステアリングアシスト力をモータによって発生させる。このトルク量は操舵トルクとして車載レーダ装置2へフィードバックされる。また、EPS5は、舵角センサからの操舵角に関する情報も取得する。
ナビゲーションシステム6は、GPS等から自車両の位置情報や、周辺の施設情報を取得することができ、これらの情報を車載レーダ装置2へフィードバックする。
次に、車載レーダ装置2の内部構成、及び、この車載レーダ装置2に接続されるアンテナユニット30について図2を参照しつつ説明する。車載レーダ装置2の内部には、受信回路11aと送信回路12b、DSP(Digital Signal Processor)12、マイクロプロセッサ13、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)14が収納されている。このように構成される車載レーダ装置2のマイクロプロセッサ13が本発明おける演算手段に相当する演算部の機能を果たす。また、マイクロプロセッサ13内には、後述する理想値マップが格納されている。一方のアンテナユニット30は、アンテナ9、このアンテナ9から発信するレーダ波を生成する高周波ユニット10、アンテナ9及び高周波ユニット10を機械的に駆動して装置の検出角度を変更するためのモータ15及びモータドライブ回路16を備えている。アンテナユニット30に含まれる高周波ユニット10には、車載レーダ装置2に含まれる受信回路11aと送信回路11bが電気的に接続されている。これらの受信回路11a、送信回路11bは、さらにDSP12と電気的に接続されている。このDSP12は、マイクロプロセッサ13と電気的に接続されており、マイクロプロセッサ13には、EEPROM14が電気的に接続されている。さらに、マイクロプロセッサ13には、アンテナユニット30に含まれるモータ15及びモータドライブ回路16が接続されている。このような構成によりレーダの送受信がされ、物体の検知が行われる。
≪自車両トンネル通過時≫
次に、このように構成される車載レーダシステム1が、自車両17に搭載されているものとして車載レーダ装置1による前方走行車両検知について図3に示したフロー図を参照しつつ説明する。ここでは、自車両17がトンネルを通過する際の前方車両検知について説明する。
次に、このように構成される車載レーダシステム1が、自車両17に搭載されているものとして車載レーダ装置1による前方走行車両検知について図3に示したフロー図を参照しつつ説明する。ここでは、自車両17がトンネルを通過する際の前方車両検知について説明する。
まず、車載レーダ装置2は、自らが発したレーダの物体からの反射波を検出し(ステップS1)、その反射波から反射レベル、距離、角度、相対速度を算出する(ステップS2)。ここで、レーダの上限が検出したターゲットまでの距離、その高さを算出しておく、例えば、図4(c)に示すようにトンネル18aに進入前にはトンネル18aまでの距離L0と、この距離L0から算出されるターゲットの高さH0を算出する。高さH0は、レーダの照射角θ0(rag)と検出した距離L0とから算出される。この高さH0は、EEPROM14へ仮記憶される。ただし、この段階では、ターゲットが静止物であるか否か、さらにはトンネルであるか否かの判断をすることはできない。
その後、ステップS3へ進み反射波が閾値以上であったか否かの判断を行う。ここで、閾値とは、前方にターゲットとなる何らかの物体が存在するとの判断を行うための値であり、予めマイクロプロセッサ13内に記憶されている。ここで、Noと判断されたときは一連の処理を終了し、新たにステップS1からの処理を開始する。
一方、ステップS3でYesと判断されたときは、ステップS4に進み、自車両17の前方にターゲットが有るとの判定をする。次いで、ステップS5では、ステップS2で算出された相対速度が自車速度の2倍の値となっているか否かの判断を行う。ここで、相対速度が自車速度の2倍ということはターゲットが静止物であることを意味する。そこで、ステップS5でYesと判断されたときはステップS6へ進み、ターゲットが静止物であるとの推測を行う。走行する自車両17の前方に存在する静止物としては、例えば、道路標識であったり、トンネルの外壁面であったりすることが考えられるが、この段階では、静止物が何であるかの特定までは行っていない。
一方、ステップS5でNoと判断されたときはステップS7へ進み、ステップS2で算出した相対速度が0km/hであるか否かの判断を行う。これは、例えば、自車両17が走行しているにもかかわらず、相対速度0km/hを算出している場合は、自車両17はトンネル内を走行していると予測されることから、その判断を行う趣旨である。
ここで、自車両17がトンネル18aを通過する際の車載レーダ装置2によるターゲット検知について説明する。まず、図4(a)に示すようなトンネル18aに自車両17が進入する前後では、図4(b)に示すような相対速度が算出される。すなわち、自車両17がトンネル18aに進入する手前では、レーダはトンネル外壁18bに反射する反射波を検知する。トンネル外壁18bは静止物であるからこの反射波から算出される相対速度は自車両の2倍ということになる。一方、レーダがトンネル18内に到達し、トンネル天井面18a1からの反射波を検知するようになると、相対速度は0km/hとなる。
ステップS7でNoと判断されたときはステップS19へ進み、検知したターゲットはトンネル天井面18a1ではなく、前方走行車両であると判断することができる。
一方、ステップS7でYesと判断されたときはステップS6を経由した場合と同様にステップS8へ進む。ステップS8では、マイクロプロセッサ13は、ライト制御ECU3を介して照度センサから照度値を取得し、ステップS9へ進む。ステップS9では、照度値を参照して自車両17がトンネル内を走行しているか否かの判断を行う。ステップS9でNoと判断されたときは、ステップS7でNoと判断されたときと同様にステップS19へ進んでターゲットを前方走行車両であると判定する。
ステップS9でYesと判断されたときは、ヘッドライト上下角情報の取得(ステップS10)、理想値マップ情報の取得(ステップS11)を行う。ヘッドライト上下角情報は、ライト制御ECU3から取得される。
ここで、理想値マップについて説明する。理想値マップとは、レーダの上限が検出したターゲットまでの距離とその垂直方向の高さを対比させたマップであり、自車両17が平坦な状態に置かれているときのデータに基づいて作成されている。これを、図5を参照しつつ説明する。レーダの照射角θは予め設定された初期の値である(取付初期値)。このθを用いて、Hy=Lx・sinθの計算式から求めた距離と高さとをマップ化する。これにより、図5に示すように、距離Laのときには高さHa、距離Lbのときには高さHaというような理想値マップを作成することができる。
ステップS10でヘッドライト上下角情報を取得し、ステップS11で理想値マップを取得した後は、ステップS12へ進む。ステップS12では、ヘッドライト上下角情報に基づいて自車両17が傾いているか否かの判断を行う。ここで、自車両の傾きが有ると判断されたときはステップS13へ進んで車両傾き分を補正する位置算出を行う。この補正について図6を参照して説明する。例えば自車両17のトランクに重量物を積載しているときに自車両17の前方がθLだけ上方を向いているとする。そうすると、レーダは、自車両17が水平を保っている状態のときよりもθLだけ上向きに照射されていたこととなる。
そこで、このズレを補正すべく、
H2=L1sin・(θ0―θL)
の計算式でターゲットの高さを算出すれば、高さH2は、理想値マップを作成した条件と同一の条件で算出されたこととなる。ただし、図7に示したようにターゲットの検出位置がβ(rad)ズレているようなときには、このβ(rad)分も考慮した補正を行う。
H2=L1sin・(θ0―θL)
の計算式でターゲットの高さを算出すれば、高さH2は、理想値マップを作成した条件と同一の条件で算出されたこととなる。ただし、図7に示したようにターゲットの検出位置がβ(rad)ズレているようなときには、このβ(rad)分も考慮した補正を行う。
ステップS14では、この補正後の数値と理想値マップとの比較演算を行う。ステップS15では、ステップS14での演算結果に基づいて、ターゲットの高さが理想値マップにおける高さ、すなわち、理想天井位置の高さと一致しているか否かの判断を行う。このステップS15における処理は、ステップS14を経ない場合、すなわち、自車両17の傾きがない場合には、補正演算を行っていない値との比較として行われる。
このステップS15においてYesと判断されたときはステップS18へ進み、車載レーダ装置2が検知したターゲットはトンネル天井面18a1であったと判定する。
一方、ステップS15でNoと判断されたときはステップS16へ進みターゲットが前方走行車両であるかトンネル天井面18a1であるかの判定を行うための閾値の変更を行う。
まず、閾値の変更における方針を説明する。レーダがトンネル天井面18a1をターゲットとして検知すると、レーダのピークが観測される。このピークは、車両が傾けば傾くほど大きいピークが観測される。このため、閾値が一定であると、トンネル天井面18a1のピークが前方走行車両のピークとともに閾値を越えてしまうと両者の判別が不可能となってしまう。この現象を図9及び図10に示した比較例を用いて説明する。まず、図9は、自車両17が平坦であり、水平状態を保っている場合を示しているが、このような場合は前方走行車両19からの反射波のピークが大きく現れ、トンネル天井部18a1からの反射波のピークはそれ程大きく現れないから、一定の閾値を用いても両者の判別を容易に行うことができる。この結果、ターゲットが前方走行車両19であるか否かの判別を行うことができる。
一方、図10に示すように自車両17が傾斜していると、トンネル天井部18a1からの反射波のピークが大きく現れ、閾値を越えてしまうことがある。このような状態となるとターゲットの判別が不可能となる。
このような現象を回避すべく、ステップS16では、閾値の変更を行っている。図8はこの閾値の変更についての説明図である。まず、自車両17が水平状態を保っているときの閾値レベルをTH_normal(dbm)と規定するとあとは、ヘッドライト上下角情報に基づいて、
TH=|α|×TH_normal(dbm)
の式により閾値レベルを変更する。このとき、|α|の値を角度ズレが大きいほど大きな値とする。
TH=|α|×TH_normal(dbm)
の式により閾値レベルを変更する。このとき、|α|の値を角度ズレが大きいほど大きな値とする。
このような閾値の変更を行うことにより、自車両17が傾いてトンネル天井部18a1からの反射波のピークが大きくなっても、このピークと、前方走行車両19からの反射波のピークとの間に閾値を設定することができ、両者を区別することができる。
以上のようにステップS16で閾値の変更を行った後、ステップS17で反射レベルが閾値以上であるか否かの判断を行う。この結果、閾値以上であると判断されたときはターゲットを前方走行車両で有ると判断する(ステップS19)。一方、ステップS17でNoと判断されたときはターゲットをトンネル天井部18a1で有ると判断する。
以上説明したような措置を得ることにより、自車両17がトンネル18aを通過するときであっても車載レーダ装置2は、確実に前方走行車両19とトンネル天井部18a1との区別を付けることができる。
なお、車載レーダシステム1は、後方レーダ装置を備えた構成とすることができる。このような後方レーダ装置を備えた自車両17が図11に示すようにトンネル内を通過するときは、前方用の車載レーダ装置2における演算結果を参照してターゲットの判別を行うようにすることができる。すなわち、既にトンネル18aの高さ等の演算は既に行われているから、例えば、自車両の前方がη(rad)上向きに傾いているときは、自車両17の後側は同じη(rad)分下向きとなっている。この関係を利用すれば、後方レーダ装置が検知したターゲットが後方走行車両であるかトンネル天井部18a1であるかの判別をすることができる。
また、各処理において、ナビゲーションシステム6からトンネルに関する情報、その他の情報を取得して各演算に反映させるようにしてもよい。
≪自車両旋回時≫
次に、自車両17が旋回する際の前方車両検知について図12に示したフロー図を参照しつつ説明する。まず、ステップS51では、車載レーダ装置2がターゲット検出中であるか否かを判断する。自車両17が図13(a)に示したようにほぼ直線状の道路を走行中は、図13(b)に示すように側壁からの反射波のピークは小さく、直線走行を継続している限りは、ほぼこのようなピークが観測される。ステップS51でNoと判断されたときは、再び同様の処理を繰り返す。
次に、自車両17が旋回する際の前方車両検知について図12に示したフロー図を参照しつつ説明する。まず、ステップS51では、車載レーダ装置2がターゲット検出中であるか否かを判断する。自車両17が図13(a)に示したようにほぼ直線状の道路を走行中は、図13(b)に示すように側壁からの反射波のピークは小さく、直線走行を継続している限りは、ほぼこのようなピークが観測される。ステップS51でNoと判断されたときは、再び同様の処理を繰り返す。
一方、ステップS51でYesと判断されたときはステップS52へ進んでターゲット反射レベルが変化しているか否かを判断する。ここで、Yesと判断されたとき、すなわち、図13(b)に示すような状態から側壁からの反射波のピークが大きくなったときは、ステップS53へ進む。ステップS53では、EPS5を介して取得する操舵トルクが観測されているか否かを判断する。すなわち、図14(a)に示すように自車両17が旋回を開始するとき、そのきっかけとなるステアリング操作に起因する操舵トルクが観測されることから、この操舵トルクが発生しているか否かの判断を行う。操舵トルクが発生していると判断されたときはステップS54へ進む。なお、ステップS52、ステップS53でNoと判断されたときは、ステップS51でNoと判断されたときと同様に、再びステップS51からの処理を繰り返す。
ステップS54では、操舵トルクが閾値以上であるか否かの判断を行う。ステアリングを操作すると、図14(b)に示すように、右旋回のとき、左旋回のとき、それぞれ操舵トルク量が増大する。この操舵トルクが閾値以上であるか否かの判断を行う。この判断の結果、Yesと判断されたときはステップS56へ進み、それが右旋回であるのか否かのを判断する。なお、ステップS54でNoと判断されたときはステップS55へ進み、操舵角が規定値以上であるか否かの判断を行う。この判断においてNoと判断されたときは処理を終了し、再びステップS51からの処理を行う。
ステップS56でYesと判断されたときは、ステップS57へ進み右方向にターゲットがあるか否かの判断を行う。この判断の結果Yesと判断されたときはステップS59へ進み右ターゲット判定に用いる閾値を変更する。これは、右旋回中は、右側側壁から反射するピーク値が大きくなることを考慮した措置である。一方、ステップS56でNoと判断されたときはステップS58へ進み、左方向にターゲットがあるか否かの判断を行う。この判断の結果Yesと判断されたときはステップS60へ進み左ターゲット判定に用いる閾値を変更する。これは、左旋回中は、左側側壁から反射するピーク値が大きくなることを考慮した措置である。
ステップS57、ステップS58でNoと判断されたときは、いずれも処理を終了してステップS51からの処理を行う。
ステップS59又はステップS60の処理を行った後はステップS61へ進む。ステップS61では、反射レベルが規定値以上となっているか否かの判断を行う。この判断において、Yesと判断されたときは、ステップS62へ進んで新たなターゲットが出現したとの判断を行う。これにより、走行中、刻々と変化する周囲の環境変化に対応することができる。なお、ステップS61でNoと判断されたときは、処理を終了してステップS51からの処理を行う。
このように、操舵トルクを参照してターゲットの捕捉を継続するにより、常に適切にターゲットを検出することができる。図15(a)に示した比較例では、自車両17が、前方走行車両19が旋回していく場合に、何らの措置もとらなければ車載レーダ装置1は前方走行車両19をロストしてしまう。また、図15(b)に示す比較例では、操舵角によってのみターゲットの追随を行っているので反応が遅くなる。すなわち、一旦、側壁を捕捉したあと再ターゲット検出を行うのでロスが大きくなる。本実施例によれば、これらの不都合を解消することができる。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。例えば、本発明の構成を用いて自車両が登坂状態、降坂状態にあるときのターゲット検出を行うことができる。
1 車載レーダシステム
2 車載レーダ装置
3 ライト制御ECU
4 ACC装置
5 EPS
6 ナビゲーションシステム
7 モータ
8 ヘッドランプリレー
9 アンテナ
10 高周波ユニット
11a 受信回路
11b 送信回路
13 マイクロプロセッサ
14 EEPROM
15 モータ
16 モータドライブ回路
17 自車両
18a トンネル
18a1 トンネル天井部
18b トンネル外壁
30 アンテナユニット
2 車載レーダ装置
3 ライト制御ECU
4 ACC装置
5 EPS
6 ナビゲーションシステム
7 モータ
8 ヘッドランプリレー
9 アンテナ
10 高周波ユニット
11a 受信回路
11b 送信回路
13 マイクロプロセッサ
14 EEPROM
15 モータ
16 モータドライブ回路
17 自車両
18a トンネル
18a1 トンネル天井部
18b トンネル外壁
30 アンテナユニット
Claims (10)
- 車両状態に関する車両情報を取得する車両情報取得手段から、前記車両情報を取得し、当該車両情報に基づいてレーダの送受信により測定した測定情報を補正する演算手段を備えたことを特徴とする車載レーダ装置。
- 請求項1記載の車載レーダ装置において、
前記演算手段は、ヘッドライト照射角を調整するライト制御装置によるヘッドライト上下角情報に基づいてレーダの送受信により取得した測定情報を補正することを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項1又は2記載の車載レーダ装置において、
前記演算手段は、車輪の操舵トルクを取得するトルクセンサにより取得した操舵トルク情報に基づいてレーダの送受信により取得した測定情報を補正することを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項1記載の車載レーダ装置において、
ヘッドライト照射角を調整するライト制御装置によるヘッドライト上下角情報に基づいてレーダの送受信により感知した物体がトンネル天井部であるとの判定処理を行うトンネル内走行判定手段を備えたことを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項4記載の車載レーダ装置において、
前記トンネル内走行判定手段は、自車両周囲の照度を測定する照度センサにより測定した照度値を参照して自車両がトンネル内を走行していることを判定することを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項5記載の車載レーダ装置において、
トンネル内を走行中に前記照度センサによる照度値が変化した時点から規定時間、自車両がトンネル内を走行しているとの判定を継続することを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一項記載の車載レーダ装置において、
前記演算手段は、自車両が水平状態のときに測定される距離データ、角度データ、相対速度データを理想値マップとして取得し、当該理想値データマップとレーダの送受信により計測する距離データ、角度データ、相対速度データを比較して自車両の状態を判定してレーダの送受信により測定した測定情報を補正することを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項4記載の車載レーダ装置において、
前記トンネル内走行判定手段は、前記ヘッドライト上下角情報に応じて変更される閾値を用いてレーダの送受信により測定した測定情報の判定処理を行うことを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項4記載の車載レーダ装置において、
前記トンネル内走行判定手段によるレーダの送受信により感知した物体がトンネル天井部であるとの判定処理に付随して、自車両後方の物体を感知する後方レーダ装置が感知した物体がトンネル天井部であるとの判定処理を行うことを特徴とした車載レーダ装置。 - 請求項1乃至9のいずれか一項記載の車載レーダ装置において、
前記演算手段は、ナビゲーションシステムにより取得した情報を参照してレーダの送受信により測定した測定情報を補正することを特徴とした車載レーダ装置。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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-
2006
- 2006-08-28 JP JP2006230888A patent/JP2008051771A/ja not_active Withdrawn
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