JP2008051098A - 逆先端バッフル式翼形部 - Google Patents

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Abstract

【課題】タービンブレードを提供する。
【解決手段】本タービンブレード(10)は、その対向する正圧及び負圧側面(20、22)に沿って延びる第1及び第2の先端リブ(36、38)を有する翼形部(12)を含む。先端リブ(36、38)は、翼形部(12)の前縁及び後縁(24、26)間で間隔を置いて配置されて先端バッフル(42)を含む。バッフル(42)は、第1のリブ(36)とは逆輪郭にて翼弦方向に延びて第1のポケット(44)を形成し、また第2のリブ(38)とは逆輪郭にて翼弦方向に延びて第2のポケット(46)を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、ガスタービンエンジン内のタービンブレードに関する。
ガスタービンエンジンでは、空気が、圧縮機内で加圧されかつ燃料と混合されて、燃焼器内で燃焼ガスを発生するようにする。様々なタービン段により、燃焼ガスからエネルギーを抽出して、エンジンを駆動しかつ仕事を行う。
高圧タービン(HPT)は、燃焼器の直ぐ下流に続きかつ最も高温の燃焼ガスからエネルギーを抽出して、1つの駆動シャフトによって上流の圧縮機を駆動する。低圧タービン(LPT)は、HPTに続きかつ燃焼ガスから付加的なエネルギーを抽出して、もう1つの駆動シャフトを駆動するようにする。LPTは、ターボファン式航空機エンジン用途では上流ファンを駆動するか、又は船舶及び産業用途では外部シャフトを駆動する。
最新式ガスタービンエンジンでは、エンジン効率及び燃料消費率(SPC)は、最重要の設計目標である。様々なタービンロータブレード及びそれらに対応するノズルベーンは、それらの表面上における速度及び圧力分布を制御して空気力学的効率を最大にするように精密に構成された空気力学的表面を有する。
ブレード及びベーンの対応する翼形部は、対向する前縁及び後縁間で翼弦にわたって軸方向に延びるほぼ凹面形の正圧側面及びほぼ凸面形の負圧側面を有する。翼形部は、その半径断面が三日月形輪郭を有しており、前縁から最大幅領域までその幅が急激に増大し、次いで後縁までその幅が徐々に減少する。
翼形部の円周方向又は翼厚方向に対向する側面はまた、根元から先端まで翼長にわたって半径方向に延びる。翼形部は一般的に、内部冷却回路を備えた状態で超合金金属を鋳造することによって形成された薄い側壁を有し、内部冷却回路は、その全てが運転時に効率を最大にしながら翼形部を有効に冷却するように特別に調製された様々な実施形態を有する。
しかしながら、タービン翼形部の空気力学的設計は、それらの完全列内における個々の翼形部の3次元(3D)構成及び運転時に翼形部間に送られる燃焼ガスの対応する複雑な流れストリームを考慮すると著しく複雑である。この設計及び環境の複雑さに加わるのは、運転時に周囲の固定シュラウド内側で高速度で回転するタービンブレードの半径方向外側先端の周りの特殊な流れ場である。
ブレード先端とタービンシュラウドとの間の作動間隙又はギャップは、それを通しての燃焼ガス流の漏洩を最少にしながら、同時に回転先端と固定シュラウドとの間の望ましくない摩擦を生じない状態でブレード及びシュラウドの熱膨張及び収縮を可能にするように実施可能な限り小さくすべきである。
運転時に、タービン列内のブレードは、翼形部負圧側壁が対向する翼形部正圧側壁に先行した状態で回転するように支持ロータディスクを駆動する。翼形部は一般的に、ロータディスクの周囲から半径方向に根元から先端まで捻じれており、前縁は、エンジン軸方向中心軸線に対して上流方向に斜めに面して、協働するノズルベーンの斜めの吐出旋回角度と一致している。燃焼ガスは、ほぼ軸方向下流方向に流れ、円周方向又は接線方向成分は、始めに1つの流れ方向で翼形部前縁に接触し、その後翼形部後縁を越えて異なる流れ方向に翼形部から出る。
翼形部の正圧及び負圧側面は、それらの間の差圧及び高温燃焼ガスからのエネルギー抽出を最大にするような対応する異なる3D輪郭を有する。凹面形正圧側面及び凸面形負圧側面は、前縁及び後縁間でまた根元から先端まで対応して変化するそれらの上の異なる速度及び圧力分布を生じる。しかしながら、必要な先端間隙内で翼形部先端を越えて漏洩する燃焼ガスは、たとえあったとしても、殆ど有用な仕事を行なわない。
タービンブレードの設計をさらに複雑にするのは、露出したブレード先端であり、これらのブレード先端は、運転時にそれを越えて漏洩する燃焼ガスに浸されるから、タービンブレードの長い有効寿命を保証するために、運転時にそれらを適切に冷却することを必要とする。
最新式のタービンブレード設計では一般的に、前縁から後縁までの翼形部正圧及び負圧側面の小さな半径方向延長部であるスキーラ先端リブが組み込まれている。先端リブは一般的に、その断面が矩形であり、翼厚方向又は円周方向に間隔を置いて配置されて翼形部の上方に開放先端空洞を形成し、開放先端空洞は、一般的に中空の翼形部及びその中の内部冷却回路を囲む一体形の先端フロアを有する。
小さな先端リブは、先端摩擦を生じた場合に先端フロア及び内部冷却回路を望ましくない損傷から保護する犠牲材料を形成する。先端リブは、タービン効率、流れ漏洩及び先端冷却に影響を与える局所的二次的流れ場を導入して燃焼ガス流れ場の複雑さを増大させる。
燃焼ガスの主な流れ方向は、隣接するブレード間に形成された流路内における軸方向下流方向である。軸方向流れストリームはまた、各翼形部の根元から先端まで半径方向に沿って変化する。また、これらの軸方向及び半径方向流れ変化はさらに、各翼形部の正圧及び負圧側面間で燃焼ガスが漏洩する翼形部先端上で複合される。
従って、先行技術では、タービン効率、先端漏洩及び先端冷却を含む様々な問題及び性能に関する懸案事項に対処するタービンブレード先端の様々な構成が知られている。これら3つの重要な問題点は、少なくとも部分的に相互依存しているが、翼形部先端と前縁及び後縁間とにおける異なる正圧及び負圧側面上の複雑な3D流れ場は、その評価を極めて複雑なものにする。
しかしながら、最新式の計算流体力学(CFD)は、ガスタービンエンジン内の複雑な3D流れストリームを数学的に解析する能力を改善する強力なソフトウェアを含んでおり、またそれによってタービンブレード設計における更なる改善を達成することができるメカニズムを提供する。
米国特許第3,635,585号公報 米国特許第3,781,129号公報 米国特許第4,010,531号公報 米国特許第4,142,824号公報 米国特許第4,390,320号公報 米国特許第4,424,001号公報 米国特許第4,606,701号公報 米国特許第4,893,987号公報 米国特許第4,940,388号公報 米国特許第4,893,987号公報 米国特許第4,992,025号公報 米国特許第5,261,789号公報 米国特許第5,282,721号公報 米国特許第5,476,364号公報 米国特許第5,503,527号公報 米国特許第5,660,523号公報 米国特許第5,564,902号公報 米国特許第5,660,523号公報 米国特許第5,720,431号公報 米国特許第6,039,531号公報 米国特許第6,059,530号公報 米国特許第6,086,328号公報 米国特許第6,164,914号公報 米国特許第6,224,336号公報 米国特許第6,527,514号公報 米国特許第6,554,575号公報 米国特許第6,595,749号公報 米国特許第6,672,829号公報 米国特許第6,790,005号公報 Mischo, B., "Flow Physics and Profiling of Recessed Blade Tips: Impact on Performance and Heat load," ASME GT2006-91074, May 8-11, 2006, pp: 1-11 U.S. Patent application No. 11/162433, "Turbine Airfoil with Curved Squealer Tip," filed 09/09/2005, M.E. Stegemiller et al, [GE Docket 179740] U.S. Patent application No. 11/162434, "Turbine Airfoil Curved Squealer Tip with Tip Shelf," filed 09/09/2005, M.E. Stegemiller et al, [GE Docket 187352]
例えば、先端流れ漏洩を減少させること、タービン効率を増大させること、先端冷却を改善すること、又はこれらの因子のあらゆる組合せによって、タービンブレード先端設計を別個に又は合わせてかのいずれかで改善することが望ましい。
タービンブレードは、その対向する正圧及び負圧側面に沿って延びる第1及び第2の先端リブを有する翼形部を含む。先端リブは、翼形部の前縁及び後縁間で間隔を置いて配置されて先端バッフルを含む。バッフルは、第1のリブとは逆輪郭にて翼弦方向に延びて第1のポケットを形成し、また第2のリブとは逆輪郭にて翼弦方向に延びて第2のポケットを形成する。
好ましくかつ例示的な実施形態により、本発明をその更なる目的及び利点と共に、添付図面に関して行う以下の詳細な記載において一層具体的に説明する。
図1は、ガスタービンエンジンのHPT内で使用する例示的な第1段タービンロータブレード10を示している。ブレードは一般的に、超合金金属で鋳造され、翼形部12と、その根元のプラットフォーム14と、支持ダブテール16とを一体形の単一部品組立体として有する。
ダブテール16は、図1に示す軸方向挿入式ダブテールのようなあらゆる従来型の形態を有することができ、軸方向挿入式ダブテールは、支持ロータディスク(図示せず)の周辺の対応するダブテールスロット内にブレードを取付ける。ディスクは、互いに円周方向に間隔を置いて配置されたブレードの完全な列を保持して、ブレード間にブレード間流路を形成する。
運転時に、燃焼ガス18が、エンジン(図示せず)の燃焼器内で発生され、対応するタービンブレード10上を通って適切に下流方向に送られ、これらのタービンブレード10が、燃焼ガスからエネルギーを抽出して支持ロータディスクを駆動するようにする。個々のプラットフォーム14は、燃焼ガスに対する半径方向内側境界を形成し、またタービンブレードの完全列として隣り合うプラットフォームと隣接する。
図1及び図2に示す翼形部12は、対向する前縁及び後縁24、26間で翼弦にわたって軸方向に延びる円周方向又は翼厚方向に対向する正圧及び負圧側面20、22を含み、かつ翼形部根元28から翼長にわたって半径方向に延びて、半径方向外側先端キャップ又は先端30で終端する。翼形部正圧側面20は、前縁及び後縁間でほぼ凹面形であり、前縁及び後縁間でほぼ凸面形の翼形部負圧側面22と補完し合う。
翼形部の正圧及び負圧側面20、22の外部表面は、運転時にそれらの上に燃焼ガスの対応する速度及び圧力分布を生じて、燃焼ガスからのエネルギー抽出を最大にするように従来通りに構成された一般的な三日月形形状又は輪郭を有する。
翼形部12は一般的に、中空であり、内部冷却回路32を含み、この内部冷却回路は、前縁の後方及び後縁の前方の対応する流れ通路内で終端する図示した2つの3経路蛇行回路のようなあらゆる従来型の構成を有することができる。冷却回路は、プラットフォーム及びダブテールを貫通して延び、あらゆる従来型の方式でエンジンの圧縮機(図示せず)から加圧冷却空気34を受けるようになった対応する入口をダブテールの基部内に有する。
このようにして、ブレードは、根元から先端までかつ前縁及び後縁間で、内部冷却空気によって内部冷却され、内部冷却空気は次に、様々な従来型の寸法及び形状のフィルム冷却孔の列で薄い翼形部側壁を通して放出することができる。
翼形部の前縁は一般的に、最も高温の流入燃焼ガスに曝されるので、いずれかの適切な方式で、その専用の冷却が行われる。また、翼形部の薄い後縁領域は一般的に、使用済み冷却空気の一部分を放出するための正圧側面後縁冷却スロットの列を含む。
上述したように、先ず始めに図1に示したタービン翼形部12は、正確に構成した3D外部輪郭を有し、この外部輪郭は、燃焼ガス18が前縁24から後縁26まで軸方向下流方向に流れる時に、それに応じて燃焼ガスの速度及び圧力分布に影響を与える。ブレードは、支持ディスクの周辺に取り付けられかつ運転時に回転し、それによって、一般的には燃焼ガスが翼形部の翼長に沿って半径方向外向きに移動する二次的流れ場を燃焼ガス内に発生させる。
さらに、翼形部の正圧側面20に作用する燃焼ガスの相対圧力は、翼形部の負圧側面に沿った圧力よりも高く、また運転時におけるブレードの対応する回転と共に、運転時に燃焼ガスが半径方向上向きに、また露出した翼形部先端30を越えて流れる時に、燃焼ガスの流れ場内に二次的又は三次的影響をさらに導入する。
上述したタービンロータブレードは、例えばHPTの第1段を含むガスタービンエンジン内で使用する、その構成及び作動が従来型のものとすることができる。従来型のブレードは次に、翼形部先端において以下に述べるように変更して、それぞれ翼形部正圧及び負圧側面つまり側壁20、22の半径方向の一体形延長部でありかつ輪郭又は曲率がそれらと一致した第1及び第2のスキーラ先端リブ36、38を含むようにすることができる。
第1のつまり正圧側リブ36は、翼形部の凹面形正圧側面20の形状又は輪郭と翼弦方向に一致し、またそれに対応して、第2のつまり負圧側リブ38は、翼形部の凸面形負圧側面22とその翼弦方向輪郭が一致する。
図1、図3及び図4に示すように、翼形部はまた、対向する側面20、22を橋絡して内部冷却回路32を囲む先端フロア40を含む。先端フロア40は一般的に、無孔であるが、あらゆる従来型の方式で内部冷却回路から使用済み空気の幾らかを放出するための小さな冷却孔又はダスト孔(図示せず)を有することができる。2つのリブ36、38は、翼形部の対向する正圧及び負圧側面を形成する翼形部の対応する側壁の連続部又は延長部として、共通の先端フロア40から半径方向外向きに延びる。
2つのリブ36、38は、翼形部の対向する前縁及び後縁24、26において互いに一体形に接合され、翼形部の空気力学的正圧及び負圧側面の全周延長部を形成する。
前縁及び後縁間で、2つのリブ36、38は、翼厚方向又は円周方向に間隔を置いて配置されて、前縁及び後縁間で軸方向つまり翼弦方向に延びる逆先端バッフル又はリブ42を含む。先端バッフル42は、第1のリブ36とは逆輪郭又は外形にて特別に構成されて、第1のリブに沿って翼弦方向に延びる対応する第1の先端空洞又はポケット44を形成する。また、先端バッフルは、第2のリブ38とも逆輪郭にてさらに構成されて、第2のリブに沿って翼弦方向に延びる対応する第2の先端空洞又はポケット46を形成する。
図3及び図4に示すように、先端バッフル42は、矩形状の翼厚方向断面を有し、第1の側面48は、第1のリブ36の対応する内側面とは反対かつ異なる翼弦方向輪郭又は外形にて該第1のリブ36の対応する内側面に側方に面している。また、先端バッフルはまた、対向する第2の側面50を有し、この第2の側面50は、第2のリブ38の対応する内側面とは反対かつ異なる翼弦方向輪郭又は外形にて該第2のリブ38の対応する内側面に側方に面している。
翼形部12は、図2に半径断面で示しており、典型的な三日月形輪郭を有し、前縁24から凸面形負圧側面22内の隆起部52における最大幅までその翼厚方向幅Wが後方に増大する。次に、翼形部は、空気力学的性能を最大にするために必要なように隆起部から後方に後縁26まで収束する。
図2及び図3に示すように、先端バッフル42は、前縁24及び隆起部52間で翼弦方向にかつ前縁24及び隆起部52間に適当な中間領域を有する状態で翼形部の負圧側面に沿って始まる。バッフル42は、隆起部52及び後縁26間で翼弦方向にかつ隆起部52及び後縁26間の適当な中間領域において負圧側面に沿って終端するのが好ましい。
図4は、主要部として示した従来型のタービンシュラウド54の内側に適切に取付けられて、該タービンシュラウド54との間に比較的小さな半径方向間隙又はギャップを形成した翼形部先端30を断面で示している。燃焼ガス18は、運転時に半径方向間隙を通して翼形部の正圧側面20を越え漏洩し、翼形部のより低圧の負圧側面22上に放出される。
第1及び第2のリブ36、38とそれらの間で円周方向に間隔を置いて配置された先端バッフル42とは、先端フロア40から共通の高さ又はスパンで延びて周囲のタービンシュラウド54の内表面との間に実質的に一定の半径方向ギャップを形成する。従って、図1、図3及び図4に示す翼形部先端の半径方向外側表面は、互いに同一平面上にあって、周囲のシュラウドとの密接なシール嵌合を形成するようになる。
図3に示すように、第1及び第2の先端ポケット44、46は、それらが始まる共通の負圧側面22から後方にかつ先端バッフル42の対向する側面48、50に沿って後方に、それぞれ互いに逆に収束及び発散する。2つの先端ポケット44、46は、共通の先端バッフル42の対向する側面で互いに補完し合うようになっており、バッフル42は、翼形部の性能を高めるために、その翼弦方向輪郭が対応する異なる輪郭の第1及び第2の先端リブ36、38とは逆又は反対になっている。
図3及び図4に示すように、第1の先端ポケット44は、翼形部の後縁近くのその後端部まで後方に向って収束するのが好ましい。第2のポケット46は、先ず始めにその前方部分において発散し、次にその後方部分において先端バッフルの対応する端部におけるその後端部まで後方に向って収束する。
図3に示す好ましい実施形態では、先端バッフル42は、第2のリブ38との実質的に直角な又は垂直な一体形結合部において該第2のリブ38と一体形として始まる。バッフルと第2のリブ38とのこの前方接合部は、隆起部52の近くに、好ましくは隆起部52の直ぐ上流で生じ、単一の先端バッフル42が先端30を円周方向又は翼厚方向に二分して、先端の唯2つのサブポケット44、46に分けることを可能にする。
図3に示す好ましい実施形態では、先端バッフル42は、第2のリブ38まで連続して延び、かつ第2のリブ38との一体形結合部において該第2のリブ38と一体形として終端する。このようにして、第2の先端ポケット46は、負圧側では第2のリブ38によって、また反対側では先端バッフル42自体によって、その周囲の周りが完全に境界付けられる。先端バッフルは、該先端バッフルが後縁に向って後方に延びるにつれて、第2のリブ38と滑らかに接続し、また対向する第1のリブ36との間で収束する。
それに対応して、第1のポケット44自体は、翼形部の正圧側では第1のリブ36によって、また反対側では先端バッフル42の負圧側並びにそれに先端バッフル42が取付けられている第2のリブ38の対応する前方及び後方部分によって、その周囲が完全に境界付けられる。この構成においては、第1のポケット44は、前縁における翼形部の負圧側面で始まり、先端バッフルに沿って後方にまた第1のポケット46の終端部の後方に第2のリブ38に沿って連続する。
図3は、先端バッフル42の好ましい輪郭を上方から見たところを示し、図2は、先端バッフル42の好ましい輪郭を下方から見たところを点線で示している。バッフルの第1の側面48は、バッフルの前方部分に沿って翼弦方向に凸面形であり、第1のリブ36の凸面形内側面に側方に面しており、第1のリブ36は、対応してその外側面が凹面形である。それに対応して、バッフルの第2の側面50は、バッフルの前方部分に沿って翼弦方向に凹面形であり、第2のリブ38の凹面形内側面と側方に面しており、第2のリブ38の外部表面は、翼形部負圧側面の凸面形輪郭と一致している。
先端バッフル42は、翼形部の後縁に向けての先細の輪郭に合うように、その両端部間に変曲領域を含む。具体的には、先端バッフル42の第1の側面48は、バッフルの後方部分に沿って凹面形であり、この領域において第1のリブ36の凸面形内側面に側方に面しているのが好ましい。それに対応して、バッフルの第2の側面50は、バッフルの後方部分に沿って翼弦方向に凸面形であり、第2のリブ38の後方部分に側方に面している。
図2に示すように、翼形部の正圧側面20は、その前方部分に沿って最も凹面形であり、隆起部領域を含むその前方部分付近で最も凸面形である翼形部負圧側面22と空気力学的に補完し合う。隆起部から後方に、翼形部は、共通の後縁まで収束し、正圧及び負圧側面の後方部分は、より小さな曲率を有し、後縁付近で実質的に直線状の翼弦方向輪郭に近づく。
それに対応して、先端バッフル42は、翼厚方向に対向する第1及び第2のリブ36、38の輪郭が翼形部の前縁及び後縁間で変化する時に、それら第1及び第2のリブ36、38の対応する反対輪郭と互いに逆に反対になったほぼS字形状の輪郭を有する。その前端部における先端バッフル42の逆又は反対輪郭は、第2のリブ38の高度に凸面形の輪郭に対して実質的に直角に配置される。また、先端バッフルの後端部の浅い輪郭は、第2のリブ38が後縁まで延びる時のその浅い輪郭と滑らかに接続する。
上で背景技術の項において示したように、タービンブレードの3D構成は、高度に複雑であり、またタービン翼形部は、運転時に翼形部前縁の周りで分割される燃焼ガス18の高度に複雑な3D流れ場内で作動する。図3は、翼形部先端の空気力学的輪郭の周りでの分割ガス流の例示的な流線を示している。図3に示す例示的実施形態に対してCFD解析を行って、二分割先端バッフルがその中にない単一の先端空洞を有する基準設計と比べて、本実施形態による性能改善を確認した。
上に開示した先端バッフルの導入により、タービン効率を改善すると共に先端−シュラウド間隙を通しての翼形部先端を越える燃焼ガスの漏洩を減少させるようにした特定の設計を使用することができる。
タービン効率は、根元から先端までかつ前縁及び後縁間で翼形部の正圧及び負圧側面上に作用する燃焼ガスにおける差圧からエネルギーを抽出する翼形部表面の能力に基づいている。先端バッフル42の導入により、ブレード先端に付加的表面積が得られ、この表面積に対して先端流れがブレードへの付加的な仕事を行うことができる。先端バッフルはまた、2つのスキーラ先端リブ36、38と同様な先端流漏洩を減少させるための付加的シールを形成する。
例えば図3に示す翼形部先端の3D構成を考えると、漏洩には、軸方向及び円周方向の両方の成分が含まれる。燃焼ガス18は、上流側タービンノズル(図示せず)からの斜めの流入角のために、軸方向及び円周方向の両方向で翼形部前縁24の周りで翼形部に接触する。先端バッフル42は、入射流線によって特殊に制御されるので、翼形部の負圧側面の隆起部近くで始まるのが好ましい。
先端バッフル42は、それが第2のリブ38の前方部分を越える入射流線を捕捉して、それらを先端バッフル42自体によって境界付けられた第1の先端ポケット44の内部に集めるように配置するのが望ましい。漏洩ガスは、第1のポケットを加圧すると同時に先端バッフル自体に沿って後方に導かれる二次的流れ場内に第1のポケット44を介して集められる。このように加圧した第1のポケット44は、先端バッフル自体が付加的なエネルギーを抽出することによってタービン効率を高め、また第1のポケット44内の増大した圧力によって先端ギャップを越える更なる漏洩を抑制する。
それに対応して、第1のポケット44によって捕捉された漏洩ガスの幾らかは、先端バッフルを越えて第2のポケット46内に流入することになり、第2のポケット46内で後方にさらに集められる。両方のポケット44、46からの漏洩ガスは次に、負圧側の第2のリブ38の後方部分を越えて下流方向に放出されることになる。
従って、特殊に構成しかつ配置した先端バッフル42は、運転時に燃焼ガスが翼形部先端を越えて流れる時に燃焼ガスの軸方向及び円周方向の両方向の漏洩を減少させながらそれに対応してタービン効率を改善する単純な機構を提供する。
さらに、先端バッフル42の導入は、翼形部が後縁に向って先細になる翼形部の翼弦に沿って先端漏洩を一層後方に偏らせ、このことにより、漏洩そのものによる効率の低下が軽減される。
図3及び図4に示す好ましい実施形態では、先端バッフル42は、2つのポケット44、46の局所的幅を最大にするように翼形部の対向する側面間の翼厚方向中央付近に配置される。ポケット幅が小さ過ぎる場合には、漏洩ガスは、そのポケット内に有意な局所的流れ場を発生せずに、単にポケットから溢れ出るだけで、バッフルによる性能改善は制限されることになる。この理由から、バッフル42は、図3に示す翼形部の薄い後縁の適当な上流位置で終端させて、両ポケット44、46の後方領域においてそれらの適正な最小幅を維持してポケット44、46の性能上の利点を最大にするようにする。
図1〜図4に示すタービンブレードの例示的実施形態では、第2のスキーラリブ38及び先端バッフル42の両方は、共通の先端フロア40から半径方向外向きに延びる同様な矩形状の翼厚方向断面を有し、またその幅を約20〜25ミル(0.5〜0.6mm)とすることができる。しかしながら、タービンブレードの別の改良において流れ漏洩をさらに抑制するように、第1のスキーラリブ36は、翼形部の正圧側面20に沿って弓形フレア56を含むことができる。
リブ及びポケットの高さは、約40ミル(1.0mm)とすることができる。また、2つのポケット44、46の最小幅は、約30ミル(0.76mm)とすることができる。
図5は、図3と同様であるが、先端バッフル42が翼形部負圧側面と結合せずその手前でかつ翼厚方向に第1及び第2のリブ36、36間で終端している翼形部先端の別の実施形態を示している。また、正圧側フレア56が存在しておらず、第1のリブ36は、第2のリブ38と同じ矩形状断面を有する。
この実施形態では、そのように中断した先端バッフル42の後端部は、第2のリブ38の内側面から上流方向に間隔を置いて配置されて、先端バッフル42と第2のリブ38との間に小さなギャップ58を形成する。また、第2のポケット46は、第1のポケット44との間のギャップ58において、該第1のポケット44と流れ連通状態で終端しており、また第1のポケット44は、収束しかつ薄くなる翼形部の利用可能な空間内で、第2のポケットから翼形部の後縁26に向かって後方に続いている。
中断した先端バッフル42及びこれと協働する第1及び第2のリブ36、38の特殊な形状及び輪郭、そしてまたそれらによって形成された第1及び第2のポケット44、46は、その他は図1〜図4に示す第1の実施形態と同一とすることができ、同様な利点が得られる。
図3及び図5に示す類似の設計のCFD解析によると、対応する翼形部を越える先端流れ漏洩において実質的に同一の減少を示す。しかしながら、図3に示す全長先端バッフル42は、図5に示す実施形態の部分長先端バッフルによるタービン効率におけるより小さいがそれでもなお相当に大きな改善と比べて、タービン効率を大きく改善する。
図5に示す先端バッフル42の翼弦方向への連続性の中断は、第1のポケット44を加圧する能力、及び燃焼ガスが先端バッフル自体の正圧側面に沿って閉じ込められた時に燃焼ガスから付加的なエネルギーを抽出する能力を制限することが分かるであろう。
上に開示した比較的単純な先端バッフル42のタービンブレードへの導入は、ブレード自体に変更を加えることを殆ど必要とせず、これに対応するブレード重量の増加は僅少である。しかしながら、この単純な先端バッフルは、タービンブレード列全体において使用してタービン効率を大きく改善することができ、同時に翼形部先端を越えるガス流漏洩を大きく低減することができる。
本明細書では本発明の好ましくかつ例示的な実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、当業者には本明細書の教示から本発明のその他の変更形態が明らかになる筈であり、従って、全てのそのような変更形態が本発明の技術思想及び技術的範囲内に含まれるものとして特許請求の範囲で保護されることが望まれる。
従って、本特許で保護されることを望むものは、提出した特許請求の範囲に記載しかつ特定した発明である。
例示的なタービンロータブレードの部分断面斜視図。 線2−2に沿って取った、図1に示す翼形部の半径断面図。 図1に示す翼形部先端の拡大斜視図。 線4−4に沿って取った、図1に示す翼形部先端の翼厚方向半径方向断面図。 別の実施形態による翼形部先端の図3と同様な斜視図。
符号の説明
10 ロータブレード
12 翼形部
14 プラットフォーム
16 支持ダブテール
18 燃焼ガス
20 正圧側面
22 負圧側面
24 前縁
26 後縁
28 翼形部根元
30 先端
32 冷却回路
34 冷却空気
36 第1の先端リブ
38 第2の先端リブ
40 先端フロア
42 先端バッフル
44 第1の先端ポケット
46 第2の先端ポケット
48 第1の側面
50 第2の側面
52 隆起部
54 タービンシュラウド
56 弓形フレア
58 ギャップ

Claims (10)

  1. 翼形部(12)と、プラットフォーム(14)と、一体形ダブテール(16)とを含み、
    前記翼形部(12)が、前縁及び後縁(24、26)間で翼弦にわたって延びかつ根元(28)から先端(30)まで翼長にわたって延びる対向する正圧及び負圧側面(20、22)を有し、
    前記先端(30)が、それぞれ前記正圧及び負圧側面(20、22)に沿って先端フロア(40)から延びる第1及び第2のリブ(36、38)を含み、
    前記第1及び第2のリブ(36、38)が、前記対向する前縁及び後縁(24、26)において互いに接合されかつ翼厚方向に間隔を置いて配置されて先端バッフル(42)を含み、
    前記先端バッフル(42)が、前記第1のリブ(36)とは逆輪郭にて翼弦方向に延びて該第1のリブに沿って第1のポケット(44)を形成し、また前記第2のリブ(38)とは逆輪郭にて翼弦方向に延びて該第2のリブに沿って第2のポケット(46)を形成する、
    タービンブレード(10)。
  2. 前記先端バッフル(42)が、逆輪郭にて前記第1のリブ(36)に面する第1の側面(48)と、逆輪郭にて前記第2のリブ(38)に面する第2の側面(50)とを含む、請求項1記載のブレード。
  3. 前記翼形部(12)が、前記前縁(24)から前記負圧側面(22)内の隆起部(52)における最大幅までその幅が後方に増大し、次に前記後縁(26)まで収束し、
    前記先端バッフル(42)が、前記前縁(24)及び隆起部(52)間で始まり、前記隆起部(52)及び後縁(26)間で終端する、
    請求項2記載のブレード。
  4. 前記先端バッフル(42)が、前記隆起部(52)の近くで前記第2のリブ(38)と一体形として始まり、前記先端(30)を前記第1及び第2のポケット(44、46)に二分する、請求項3記載のブレード。
  5. 前記第1及び第2のポケット(44、46)が、それぞれ前記先端バッフル(42)の対向する側面(48、50)に沿って前記負圧側面(22)から後方に互い逆に収束及び発散する、請求項4記載のブレード。
  6. 前記第1のポケット(44)が、その後端部まで後方に収束し、
    前記第2のポケット(46)が、その後端部まで後方に収束する、
    請求項5記載のブレード。
  7. 前記先端バッフル(42)が、前記第2のリブ(38)と一体形として終端し、
    前記第1のポケット(44)が、そこから後方に連続する、
    請求項5記載のブレード。
  8. 前記先端バッフル(42)が、前記第1及び第2のリブ(36、38)の翼厚方向間で終端し、
    前記第2のポケット(46)が、前記第1のポケット(44)と流れ連通状態で終端し、
    前記第1のポケット(44)が、そこから後方に連続する、
    請求項5記載のブレード。
  9. 前記先端バッフル(42)の第1の側面(48)が、該先端バッフルの前方部分に沿って凸面形でありかつ前記第1のリブ(36)の凸面形内側面に面し、
    前記先端バッフル(42)の第2の側面(50)が、該先端バッフルの前方部分に沿って凹面形でありかつ前記第2のリブ(38)の凹面形内側面に面する、
    請求項5記載のブレード。
  10. 前記先端バッフル(42)の第1の側面(48)が、該先端バッフルの後方部分に沿って凹面形でありかつ前記第1のリブ(36)の凸面形内側面に面し、
    前記先端バッフル(42)の第2の側面(50)が、該先端バッフルの後方部分に沿って凸面形でありかつ前記第2のリブ(38)に面する、
    請求項5記載のブレード。
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