JP2008051040A - エネルギ回収装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い圧力エネルギを迅速に回収することを可能にし、且つ、所望の圧力エネルギ量を得ることを可能にするエネルギ回収装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るエネルギ回収装置は、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分に、それぞれ接続された少なくとも2つの容器58と、前記少なくとも2つの容器58と前記排気通路28との連通状態を個別に制御する制御弁60と、前記少なくとも2つの容器58の内、前記エネルギ回収を行う容器を決定する回収容器決定手段と、前記エネルギ回収に際して、前記回収容器決定手段により決定された前記容器58aが前記排気通路28に連通し、他の容器58bが前記排気通路28に連通しないように前記制御弁60a、60bを制御する弁制御手段と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係るエネルギ回収装置は、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分に、それぞれ接続された少なくとも2つの容器58と、前記少なくとも2つの容器58と前記排気通路28との連通状態を個別に制御する制御弁60と、前記少なくとも2つの容器58の内、前記エネルギ回収を行う容器を決定する回収容器決定手段と、前記エネルギ回収に際して、前記回収容器決定手段により決定された前記容器58aが前記排気通路28に連通し、他の容器58bが前記排気通路28に連通しないように前記制御弁60a、60bを制御する弁制御手段と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジンの排気通路に設けた排気絞り弁を閉じ、この排気絞り弁よりも上流側の圧力を高めて、高められた圧力をエネルギとしてエネルギ回収を行うエネルギ回収装置に関する。
圧力容器に貯留された排気圧力を用いて過給圧制御を行うディーゼルエンジンの過給圧制御装置が、特許文献1に開示されている。この装置では、排気通路に設置した過給器のタービンよりもエンジンの排気ポート側に、エンジンブレーキを効かせる排気シャッターが設置され、排気通路の排気シャッターと排気バルブとの間に電磁弁を介してエンジンの排気圧力を貯留する1つの圧力容器が連結されている。そして、この装置は、エンジンの加速状態を検出する加速検出手段の出力信号により、上記電磁弁を開くようにしている。
ところで、エンジンの排気圧力、すなわち圧力エネルギを蓄えるに際しては、その蓄えられる圧力エネルギが高いほど好ましい。しかしながら、圧力エネルギが蓄えられる容器が単に大きいと、高い圧力エネルギを迅速に蓄えることが難しい。また、その容器が単に小さいと、高い圧力エネルギを迅速に蓄えることが可能になるものの、蓄えられる圧力エネルギ量が少なくなり、所望の圧力エネルギ量を得ることができない虞がある。
そこで、本発明は、高い圧力エネルギを迅速に回収することを可能にし、且つ、所望の圧力エネルギ量を得ることを可能にするエネルギ回収装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によるエネルギ回収装置は、エンジンの排気通路に設けた排気絞り弁を閉じ、該排気絞り弁よりも上流側の圧力を高めて、該高められた圧力をエネルギとしてエネルギ回収を行うエネルギ回収装置において、前記排気絞り弁よりも上流側の前記排気通路の部分に、それぞれ接続された少なくとも2つの容器と、前記少なくとも2つの容器と前記排気通路との連通状態を個別に制御する制御弁と、前記少なくとも2つの容器の内、前記エネルギ回収を行う容器を決定する回収容器決定手段と、前記エネルギ回収に際して、前記回収容器決定手段により決定された前記容器が前記排気通路に連通し、他の容器が前記排気通路に連通しないように前記制御弁を制御する弁制御手段と、を備える。
上記構成によれば、排気絞り弁よりも上流側の排気通路の部分にそれぞれ接続された少なくとも2つの容器が設けられるので、それら容器の各々の容量を小さくしても、全ての容器の合計の容量を所望の容量にすることが可能になる。したがって、所望の圧力エネルギ量を得ることが可能になる。また、上記構成によれば、少なくとも2つの容器と排気通路との連通状態が制御弁により個別に制御され、エネルギ回収に際して、回収容器決定手段により決定された容器が排気通路に連通し、他の容器が排気通路に連通しないように制御弁が弁制御手段により制御されるので、回収容器決定手段により決定された容器にのみエネルギ回収が行われることになる。この結果、回収容器決定手段により決定された容器に、高い圧力エネルギを迅速に回収することが可能になる。
また、前記回収容器決定手段は、前記少なくとも2つの容器の各々の圧力を検出または推定する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出または推定された前記少なくとも2つの容器の圧力を相互に比較する比較手段と、該比較手段による比較の結果、相対的に圧力の低い容器を前記エネルギ回収を行う前記容器として選択する選択手段と、を備えると良い。これにより、相対的に圧力の低い容器が、エネルギ回収を行う容器に決定される。
上記エネルギ回収装置は、前記少なくとも2つの容器の各々の圧力を検出または推定する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出または推定された前記少なくとも2つの容器の圧力を相互に比較する比較手段と、該比較手段による比較の結果、相対的に圧力の高い容器をエネルギ放出を行う容器として選択する放出容器選択手段とを有し、前記少なくとも2つの容器の内、前記エネルギ放出を行う前記容器を決定する放出容器決定手段を更に備え、前記弁制御手段は、エネルギ非回収時の前記エネルギ放出に際して、前記放出容器決定手段により決定された前記容器が前記排気通路に連通し、他の容器が前記排気通路に連通しないように前記制御弁を制御するのが望ましい。これにより、相対的に圧力の高い容器がエネルギ放出を行う容器として決定され、この容器内の圧力エネルギが放出される。
本発明の好適な一実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態のエネルギ回収装置1が適用された車両のエンジンシステムの概念を図1に示す。本実施形態におけるエンジン10は、燃料であるガソリンを燃料噴射弁から気筒12内の燃焼室に直接噴射し、点火プラグによって着火させる筒内噴射型式のものである。
気筒12の燃焼室に臨むと共に、吸気通路14の一部を区画形成する吸気ポートは、エンジン本体16のシリンダヘッドに形成されていて、吸気弁によって開閉される。エンジン本体16のシリンダヘッドには、吸気通路14の一部を区画形成する、吸気マニフォルド18が接続され、さらにその上流側には同じく吸気通路14の一部を区画形成する吸気管20が接続されている。吸気管20の上流端側には、大気中に含まれる塵埃などを除去して吸気通路14に導くためのエアクリーナ22が設けられている。また、運転者によって操作されるアクセルペダルの踏み込み量に基づいてスロットルアクチュエータ24によって開度が調整されるスロットルバルブ26が、吸気管20に設けられている。なお、スロットルバルブ26の開閉動作はアクセルペダルの踏み込み動作と切り離して電気的に制御可能になっている。
一方、気筒12の燃焼室に臨むと共に、排気通路28の一部を区画形成する排気ポートは、エンジン本体16のシリンダヘッドに形成されていて、排気弁によって開閉される。エンジン本体16のシリンダヘッドには、排気通路28の一部を区画形成する排気マニフォルド30が接続され、さらにその下流側には同じく排気通路28の一部を区画形成する排気管32が接続されている。排気ガス中の有害成分を無害化する触媒34が排気管32の途中に設けられている。
さらに、排気ガスの排気エネルギで回転駆動されるタービンホイールを含むタービン36が、触媒34よりも上流側の排気管32の途中に設けられている。これに対応して、タービンホイールに同軸で連結され、タービンホイールの回転力で回転するようにしたコンプレッサホイールを含むコンプレッサ38が吸気管20の途中に設けられている。すなわち、エンジン10には、排気エネルギを取り出すタービン36と、タービン36により取り出された排気エネルギによってエンジン10に過給するコンプレッサ38とを有する過給機40が設けられている。そして、コンプレッサ38により圧縮された空気を冷却すべく、インタークーラ42がコンプレッサ38よりも下流側の吸気管20の部分に設けられている。
エンジン10には、排気ガスの一部を排気系から吸気系に還流させるために、EGR(排気還流)管44が設けられていて、EGR管44の上流側の一端は排気マニフォルド30に接続され、その下流側の他端が吸気マニフォルド18に接続されている。EGR管44は、EGR通路46を区画形成していて、その途中には、EGRクーラ48が設けられている。EGRクーラ48よりも下流側にはEGR制御弁50が設けられている。なお、図示しないが、EGR制御弁50は、アクチュエータを備えていて、制御されるアクチュエータにより開閉作動される。
さらに、排気通路28の途中には、排気通路28の閉塞を可能にする排気絞り弁52が設けられている。排気絞り弁52は、排気ガスの流れの向きに可動である傘状の弁体が環状の弁座に直角方向に移動するポペット式バルブである。それ故、排気絞り弁52の閉弁時において排気通路28の優れた閉塞性が確保される。そして、弁体が弁座に着座することにより、排気ガスなどの流体が排気絞り弁52でせき止められて、排気絞り弁52よりも上流側の圧力が高められることになる。排気絞り弁52の弁体は、弁座の上流側に位置し、その上流側で作動するので、排気絞り弁52の閉弁時においては、排気絞り弁52よりも上流側の圧力によって弁体は弁座に着座する向きに、すなわち閉弁する向きに付勢される。したがって、排気通路28の優れた閉塞性がさらに確保されることになる。なお、排気絞り弁52は制御弁であり、制御用のアクチュエータを上記EGR制御弁50と同様に備えている。排気絞り弁52の弁体は、アクチュエータによって作動され、弁座に着座する閉位置と、弁座に所定の間隔を開けて保持される開位置とを有する。
排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分にエネルギ回収に用いられる回収通路54が連通していて、この回収通路54は回収管56によって区画形成されている。一端が排気管32に接続された回収管56の他端は蓄圧タンク58に接続されている。本実施形態では、蓄圧タンク58として、2つの蓄圧タンク58a、58b(両者を併せて符号「58」で表す。)が設けられている。回収通路54は途中で分岐して、その下流側に支流部54a、54bを備え、支流部54a、54bのさきに蓄圧タンク58a、58bが連通している。したがって、回収通路54を介して、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分に蓄圧タンク58a、58bはそれぞれ連通されている。蓄圧タンク58a、58bは、排気通路28の内、排気絞り弁52よりも上流側であれば、排気管32に制限されず、排気マニフォルド30に連通させることも可能である。本実施形態では、蓄圧タンク58a、58bは、排気通路28の内、排気絞り弁52よりも上流側であって、タービン36よりも上流側の部分に連通されている。これら蓄圧タンク58a、58bと排気通路28との連通状態を個別に制御する制御弁60a、60b(両者を併せて符号「60」で表す。)が、支流部54a、54bに設けられている。なお、制御弁60a、60bが開弁されることで支流部54a、54bは開通し、蓄圧タンク58a、58bのそれぞれが排気通路28に連通することになる。他方、制御弁60a、60bが閉弁されることで支流部54a、54bは閉塞され、蓄圧タンク58a、58bは密閉状態にされる。なお、図示しないが、制御弁60a、60bは、それぞれアクチュエータを備えていて、アクチュエータにより開閉作動される。
なお、本実施形態では、回収通路54は、後述するように蓄圧タンク58内に貯留されたエネルギを放出するために用いられる放出通路でもある。それ故、エネルギ回収とエネルギ放出とは、同じ通路を介して行われる。ただし、回収通路54とは別に放出通路が設けられても良い。
エンジン10は、各種値を検出してこれを電子制御装置(以下、ECUと称する。)62に出力する各種センサ類を備えている。具体的には、吸気通路14の圧力、すなわち吸気圧を検出するための吸気圧センサ64を備えている。また運転者によって操作されるアクセルペダルの踏み込み量に対応する位置、すなわちアクセル開度を検出するためのアクセルポジションセンサ66を備えている。また、スロットルバルブ26の開度を検出するためのスロットルポジションセンサ68を備えている。また、ピストンが往復動する、エンジン本体16のシリンダブロックには、連接棒を介してピストンが連結されているクランクシャフトのクランク回転信号を検出するためのクランクポジションセンサ70が取り付けられている。ここでは、このクランクポジションセンサ70をエンジン回転数センサとしても利用している。さらに、排気絞り弁52よりも上流側の排気ガスあるいは空気である流体の圧力を検出するための圧力センサ72が備えられている。また、蓄圧タンク58a、58b内の圧力を検出するための圧力センサ74a、74bも備えられている。さらには、ブレーキペダルの踏み込みに基づく信号を出力するストップランプスイッチ76も備えられている。さらに、車速を検出するための車速センサ78も備えられている。
ECU62は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、入力インタフェース、出力インタフェース等を含むマイクロコンピュータで構成されている。入力インタフェースには、前記各種センサ類などが電気的に接続されている。これらの各種センサ類などからの出力信号(検出信号)に基づき、予め設定されたプログラムにしたがって円滑なエンジン10の運転がなされるように、ECU62は出力インタフェースから電気的に信号を出力して、燃料噴射弁、点火プラグ、スロットルバルブ26、EGR制御弁50、排気絞り弁52、制御弁60a、60bなどの作動を制御するようになっている。ただし、スロットルバルブ26、EGR制御弁50、排気絞り弁52、制御弁60a、60bは、ECU62からの出力信号により作動制御される各アクチュエータにより、作動される。なお、本実施形態のECU62は、蓄圧タンク58a、58bの内から、エネルギ回収を行う蓄圧タンクを1つ決定する機能と、それらの内から、エネルギ放出を行う蓄圧タンクを1つ決定する機能と、これら決定された1つの蓄圧タンクが排気通路28に連通し、それ以外の蓄圧タンクが連通しないように制御弁60a、60bを制御する機能とを備えている。
エンジン10では、吸気圧センサ64からの出力信号に基づく吸気圧や、アクセルポジションセンサ66からの出力信号に基づくアクセル開度や、クランクポジションセンサ70からの出力信号に基づくエンジン回転数など、すなわちエンジン負荷およびエンジン回転数で表される運転状態に基づいて燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期が設定される。そして、それら燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期に基づいて、燃料噴射弁からの燃焼の噴射が行われ、点火プラグによる点火が行われる。
なお、エンジン10では、クランクポジションセンサ70による出力信号に基づいて導かれるエンジン回転数が所定回転数(以下、「燃料カット回転数」と称する。)以上であり、且つアクセルポジションセンサ66による出力信号に基づいて導かれるアクセル開度が「0」、すなわちアクセルペダルが踏み込まれていないときに、燃料噴射弁からの燃料噴射が停止(以下、「燃料カット」と称する。)されるように設定されている。ただし、このような燃料カットの状態が続いて、エンジン回転数が低下して別の所定回転数(以下、「燃料カット復帰回転数」と称する。)に達すると、燃料噴射は再開される。なお、燃料カットが行われているときは、概ね減速時に対応する。
ところで、エンジン10においては、排気通路28を流れる排気ガスは、通常の運転時、排気絞り弁52が全開にされていて、制御弁60が全閉にされているので、最終的には大気に放出されている。これに対して、本実施形態では、減速時であって燃料カットがされている運転状態のとき、排気通路28を流れる流体を有効に活用することでエネルギが取り出されて、それが回収されるように設定されている。なお、本実施形態では、後述するように、排気通路28に燃料カットによる新気を流しつつ(ただし、一部排気ガスが混ざり得る。)、それら排気通路28に至った流体をせき止めてそれら流体の圧力を高めて、エネルギとして圧力を回収することにしている。
まず、本実施形態のエネルギの回収の概略を説明する。ECU62は、減速時であって燃料カットがされている運転状態のときに、エネルギを回収するとき、排気通路28の圧力を高めるように排気絞り弁52を閉じる。この際、排気絞り弁52が閉じられると共に、排気絞り弁52の上流側の排気通路28の部分に空気を積極的に導入すべく、スロットルバルブ26が所定開度にまで開かれる。そして、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分の高まった圧力をエネルギとして蓄圧タンク58に回収する。その後、蓄圧タンク58内が満たされたり、アクセルペダルが運転者により踏み込まれたり、燃料噴射が再び開始されたりするなどして、ECU62がエネルギ回収の終了を判断するに至ると、排気絞り弁52を開けてエネルギ回収を終了する。
上述の如く、蓄圧タンク58は複数、具体的には2つ設けられている。そこで、2つの蓄圧タンク58a、58bの内、いずれか一方にエネルギ回収を行う。2つの蓄圧タンク58a、58bから、エネルギ回収に用いられる1つを選ぶことは、それらの内圧に基づいて行われる。そして、本実施形態では、2つの蓄圧タンクの内、相対的に圧力の低い方を、エネルギ回収を行う蓄圧タンクとして選択する。以下にエネルギ回収について、図2のフローチャートにしたがって詳細に説明する。ただし、図2のフローチャートは、およそ20ms毎に繰り返されるものである。
まず、ECU62は、ステップS201において、回収フラグが「1」、すなわちONであるか否かを判定する。ここで、回収フラグが「1」ということは、エネルギの回収の行われる所定条件が満たされていて、場合によっては既にエネルギ回収を開始している状態であることを表し、これに対してそれが「0」ということは、エネルギの回収が行われる所定条件が満たされていないことを表す。初期状態では同フラグはリセットされているためここでは否定されて、ステップS203に進む。
ステップS203では、アクセルペダルがOFFになっているか否かが判定される。この判定は減速時か否かの判定に相当し、具体的には、アクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル開度が「0」であるか否かで判定される。ここで、アクセルペダルがOFFであると判断されて肯定されると、ステップS205へ進む。ただし、ステップS203では、ストップランプスイッチ76からの出力信号によるブレーキペダルの踏み込みや、車速センサ78からの出力信号により求められる車速の変化にも基づいて、減速時であるか否かの判定が行われても良い。なお、このステップS203で否定されると、該ルーチンは終了し、エネルギ回収を行わないで通常のエンジン10の運転がなされることになる。
そして、ステップS205では、燃料噴射量が「0」であるか否かが判定される。この判定は燃料カット中か否かの判定に相当する。「燃料カット中」ということは、上述の如く、アクセルペダルの踏み込み量が「0」であり、走行中でかつエンジン回転数が燃料カット回転数以上のときに対応している。ここで、燃料噴射量が「0」であると判断されて肯定されると、ステップS207へ進む。なお、このステップS205で否定されると、該ルーチンは終了し、エネルギ回収を行わないで通常のエンジン10の運転がなされることになる。
ステップS207では、蓄圧タンク58内の圧力(図2中の「タンク内圧」)が、蓄圧タンク58に許容される圧力であって、所定圧力である予め決められてROMに記憶されている上限値と比較される。蓄圧タンク58の容量が十分であるときに、さらにエネルギ回収を行うことを防ぐためである。本実施形態では、蓄圧タンク58が2つあるので、2つの蓄圧タンク58a、58b内の圧力が共に上限値以上であるときを、タンク内圧が上限値を超えているときと判定する。すなわち、蓄圧タンク58a、58bの内、いずれか一方でも上限値以下の圧力を有せば、タンク内圧が上限値以下として肯定されることになる。ただし、蓄圧タンク58a、58b内の圧力は、それぞれ圧力センサ74a、74bからの出力信号により求められる。そして、蓄圧タンク58内の圧力が上限値以下と判断されて肯定されると、エネルギ回収の条件が満たされているとしてステップS209へ進む。なお、このステップS207で否定されると、該ルーチンは終了し、エネルギ回収を行わないで通常のエンジン10の運転がなされることになる。
ステップS209へ進むと、エネルギ回収を行うので、上記回収フラグが「1」にされる。そして、ステップS211に至ると、EGR制御弁50および2つの制御弁60a、60bが閉弁されると共に、スロットルバルブ26の開度が回収開度に調節される。なお、EGR制御弁50は通常、運転状態に基づいて他のフローチャートにしたがって制御されるが、エネルギ回収に際しては排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分の圧力を高めるので、運転状態に拘らずEGR制御弁50は閉弁状態に固定制御される。また、スロットルバルブ26の開度は、通常は、運転者によって操作されるアクセルペダルの踏み込み量に基づいてその対応する開度(以下、「通常開度」と称する。)に設定制御されている。しかしながら、エネルギ回収に際して排気通路28の部分をより早く高圧にするべく、ここではエネルギ回収に際してスロットルバルブ26の開度は、所定の開度である回収開度に、具体的には全開に設定制御される。なお、回収開度は、予めROMに記憶されている。
そして、ステップS213へ進み、排気絞り弁52が閉弁され、当該ルーチンは終了される。排気絞り弁52の閉弁は、例えばステップS211の各種バルブの制御と同時にあるいはその直後に行うことが可能であり、ここではステップS211の直後に行われる。したがって、燃料噴射停止後はいうまでもなく、EGR制御弁50の閉弁などよりも遅くに排気絞り弁52は閉弁される。しかしながら、燃料噴射停止後、排気絞り弁52の閉弁までの時間は極わずかであるので、排気絞り弁52を閉じてからも気筒12から排気絞り弁52上流側の排気通路28の部分へは排気ガス、すなわち既燃ガスが供給され得る。
次のルーチンでは、ステップS201で、回収フラグが「1」であるので肯定されて、ステップS215へ進み、上記ステップS203と同様にアクセルペダルがOFFであるか否かが判定される。ここで肯定されるとステップS217へ進み、上記ステップS205と同様に燃料噴射量が「0」であるか否かが判定される。ここで肯定されるとステップS219へ進み、上記ステップS207と同様に蓄圧タンク58内の圧力が、上記上限値以下か否かが判定される。この結果、ステップS219で肯定されると、ステップS221へ進む。なお、このように、上記ステップS203からS207と同じ判定が、ステップS215からステップS219で行われるのは、エネルギ回収の開始後に、エネルギ回収の条件を満たさなくなったときに、エネルギ回収を終了する制御をするためである。
さて次に、ステップS221では、回収タンク内圧が第1所定値を下回っているか否かが判定される。このステップS221に至ると、まず、エネルギ回収を行う蓄圧タンクを1つ選択および決定することが行われる。ここでは、ECU62は、2つの蓄圧タンク58a、58b内のそれぞれの圧力(タンク内圧)を、圧力センサ74a、74bからの出力信号に基づいて検出し、それらを比較して相対的にタンク内圧の低い方の蓄圧タンクをエネルギ回収を行う容器に選択決定する。ここでは、このように選択された蓄圧タンクを「回収タンク」、そのタンク内圧を「回収タンク内圧」、そして回収タンク内圧を検出するために用いられる、圧力センサ74a、74bのいずれか一方を「回収圧力センサ」、回収タンクと排気通路28との連通状態を制御するべく用いられる、制御弁60a、60bの内のいずれか一方を「回収制御弁」と称し、図2中ではそのように表されている。このルーチンでは、例えば、ゲージ圧で、蓄圧タンク58aのタンク内圧が50kPaであり、蓄圧タンク58bのタンク内圧が100kPaであり、蓄圧タンク58aが回収タンクに選択決定されたとして説明を続ける。ただし、蓄圧タンク58a、58bのタンク内圧が同じ場合には、蓄圧タンク58aが選択決定されるように初期設定されている。そして、回収タンク内圧が第1所定値を下回っているか否かが判定される。第1所定値は、エネルギ回収により回収タンクに蓄えられる圧力の目標値であり、本実施形態では300kPaとして予めROMに記憶されている。肯定されるとステップS223へ進み、回収タンクである蓄圧タンク58aにエネルギ回収を行うことが可能か否か、判定されることになる。
ステップS211およびステップS213に至ったことで、EGR制御弁50、排気絞り弁52、制御弁60a、60bが閉弁され、且つスロットルバルブ26が全開に開弁されているので、時間の経過につれて、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分の圧力が高くなる。そして、その圧力が、エネルギとして回収可能なほど高まっているか否かを判定するために、ステップS223で、蓄圧タンク58a内の圧力(回収タンク内圧)が、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分の圧力(図2中の「排気通路圧力」)以下か否かが判定される。そして、否定されると、ステップS225へ進み、回収制御弁である制御弁60aは閉じられる。ただし、既に制御弁60aが閉じられている場合には、閉じたままにされる。他方、例えば次回以降のルーチンにおいて、ステップS223で肯定されるとステップS227へ進んで、回収制御弁である制御弁60aが開かれることになる。これにより、排気絞り弁52よりも上流側の排気通路28の部分の高められた圧力がエネルギとして回収通路54を介して、蓄圧タンク58a内に回収されることになる。なお、このとき、回収制御弁とは異なる、「別の制御弁」である制御弁60bは閉弁されているので、蓄圧タンク58bにはエネルギ回収は行われない。
そして、次回以降のルーチンで回収タンクである蓄圧タンク58a内の回収タンク内圧が第1所定値を超えるようになり、ステップS221で否定されることになると、ステップS229へ進み、回収制御弁である制御弁60aが閉弁される。
さらに、エネルギ回収を行うことができる状態、すなわちステップS215からステップS219で否定されない状態のとき、ステップS231で回収タンクとは異なる別の蓄圧タンク(別のタンク)の内圧(別のタンク内圧)が第2所定値を下回っているか否かが判定される。ここでは別のタンクは蓄圧タンク58bである。そして、第2所定値は上記第1所定値よりも高い値であり、具体的には第2所定値は350kPaである。このように第2所定値が第1所定値よりも高いのは、第1所定値に実用に供し得る圧力が蓄えられたので、残りの時間で、より多くの圧力エネルギを蓄圧タンク58bに蓄えるためである。なお、この第2所定値は、前記ステップS219での上限値以下であれば良い。そして、本実施形態では、別のタンク内圧が第2所定値を下回っているので肯定されてステップS233へ進み、上記ステップS223と同様の理由から、蓄圧タンク58b内の圧力が排気通路圧力以下か否かが判定される。そして、否定されると、ステップS235へ進み、別の制御弁である制御弁60bが閉じられることになる。しかしながら、ここでは蓄圧タンク58aに続いて蓄圧タンク58bへ圧力エネルギの回収が連続して行われるので、排気通路28の部分の圧力が十分に高く、且つ上記の如く蓄圧タンク58b内の圧力が低いので肯定されて、ステップS237へ進み、別の制御弁である制御弁60bが開弁される。したがって、蓄圧タンク58bにエネルギ回収が行われる。このようなエネルギ回収は、上記ステップS215からステップS219、ステップS231のいずれかで否定されない限りは続けて行われる。
そして、ステップS231で蓄圧タンク58b内の圧力、すなわち別のタンク内圧が第2所定値以上と判定されて否定されるようになると、エネルギ回収を終了するべくステップS239へ進む。なお、上記ステップS215からステップS219のいずれかで否定されるようになった場合も、同様に、ステップS239へ進み、エネルギ回収の終了のための制御が行われることになる。
ステップS239では、まず、回収制御弁および別の制御弁、すなわち制御弁60a、60bが共に閉弁される。そして、ステップS241へ進み、EGR制御弁50の閉弁固定が解除されると共に、スロットルバルブ26の開度が上記通常開度に設定制御される。さらには、排気絞り弁52が開弁されることになり、次ぐステップS243で回収フラグが「0」にされてエネルギ回収が終了される。
次に、エネルギ回収に関する実験結果を説明する。内容量の異なる蓄圧タンク、すなわち回収タンクを準備し、エンジン回転数を所定値に固定して、上記の如き制御における回収タンク内圧の上昇傾向を調べる実験を行った。その結果を図3に示す。図3(a)のグラフには内容量10リットルの回収タンクにおける圧力変化、すなわち回収タンク内圧(図中のタンク圧)の変化を、図3(b)のグラフには内容量20リットルの回収タンクにおける圧力変化をそれぞれ時間に対して表している。なお、図3(a)および(b)のグラフは、共に同じ尺度の時間軸を有している。両グラフの曲線N1はエンジン回転数が1200rpmのときの圧力変化を、曲線N2はエンジン回転数が1400rpmのときの圧力変化を、曲線N3はエンジン回転数が1600rpmのときの圧力変化を、そして曲線N4はエンジン回転数が1800rpmのときの圧力変化を表している。ただし、本実験では、各回収タンクの内圧の上昇を、目標圧までの到達時間で評価した。この実験では目標圧を300kPaとした。なお、実験では、排気絞り弁52を閉じて、それよりも上流側を各気筒12にのみ開いておき、排気絞り弁よりも上流側の圧力が所定圧以上になったときに回収制御弁を開弁した。
図3(a)および(b)の曲線N1同士、曲線N2同士、曲線N3同士、あるいは曲線N4同士を比較すると、図3(a)の内容量10リットルの回収タンクの方が、図3(b)の内容量20リットルの回収タンクの方よりも、短い時間で目標圧に到達することが明らかになった。内容量10リットルの回収タンクの方が、内容量20リットルの回収タンクの方よりも、約2分の1の早さで目標圧に到達した。エンジン回転数が1200rpmのとき、内容量10リットルの回収タンクの方では6.0s(図3(a)中の時間A)で目標圧に達したが、内容量20リットルの回収タンクの方では11.2s(図3(b)中の時間B)も目標圧に達するのに時間がかかった。また、エンジン回転数が1800rpmのとき、内容量10リットルの回収タンクの方では3.0sで目標圧に達したが、内容量20リットルの回収タンクの方では7.0sも目標圧に達するのに時間がかかった。
このように回収タンク、すなわち蓄圧タンクを相対的に小型にすることで、その内圧を目標圧、すなわち所定の圧力に迅速に高めることが出来ることが示された。利用に供し得るエネルギ量を考慮すると、上記蓄圧タンク58a、58bの内容量は例えばこのように10リットルであると良い。このように蓄圧タンクを小型にすることで短時間に上記目標圧程度の高い圧力がエネルギとして回収できるので、エネルギ回収に許容される時間が喩え短くても、目標圧以上の圧力エネルギの回収を確実に達成することが可能になる。また、上記の如く、まず一方の蓄圧タンクにエネルギ回収を行った後、別の蓄圧タンクにエネルギ回収を行うので、減速時、エンジン回転数が徐々に下降しても、減速初期ほど排気通路の部分の圧力が高められる結果、先にエネルギ回収が行われる蓄圧タンクにはより早く高い圧力エネルギを回収可能になる。
他方、上記した如く、このような小型の蓄圧タンクを複数設けることで、全体として蓄圧タンクに蓄えることができる圧力エネルギの総量を十分に多くすることが可能である。上記の如く本実施形態では、2つの蓄圧タンク58a、58bが設けられているので、それぞれの内容量を10リットルとすると、全体では20リットルの内容量に対する圧力を蓄えることが可能になり、所望の圧力エネルギ量を得ることが可能になる。なお、このように複数個のタンクに蓄圧タンクが小分けされるので、蓄圧タンクの車両搭載の自由度が増すことになる。
次に、本実施形態において、蓄圧タンク58に蓄えた圧力エネルギの利用について説明する。本実施形態では、以下に詳述するように、内圧の高い方の蓄圧タンク内の圧力エネルギから利用に供されることになる。
本実施形態では、蓄圧タンク58内に蓄えられた圧力エネルギは、タービン36に供給されるようにエンジンシステムが構成されている。本実施形態では、蓄圧タンク58内に回収された圧力エネルギは、所望の過給圧を得るために用いられ、より詳しくは、応答性向上のために用いられる。具体的には、過給器40の応答性を高めるべく、加速要求があったときに、ECU62は2つの蓄圧タンク58a、58bの内、内圧の高い方を、排気通路28に開通させる。これにより、タービン36のタービンホイールに圧力エネルギが供給される。
このような、回収された圧力エネルギの利用は、排気絞り弁52が開かれている状態で、上記制御弁60a、60bの内の1つを開弁することで行われる。以下に、回収された圧力エネルギの利用について、図4のフローチャートにしたがって説明する。ただし、図4のフローチャートは、およそ20ms毎に繰り返されるものである。
まず、ECU62は、ステップS401において、上記回収フラグが「0」、すなわちOFFであるか否かを判定する。初期状態では同フラグはリセットされているためここでは肯定されて、ステップS403へ進む。他方、回収フラグが「1」と判定されて否定されると、すなわち上記の如くエネルギ回収が行われているときには、当該ルーチンは終了される。
まず、ECU62は、ステップS401において、上記回収フラグが「0」、すなわちOFFであるか否かを判定する。初期状態では同フラグはリセットされているためここでは肯定されて、ステップS403へ進む。他方、回収フラグが「1」と判定されて否定されると、すなわち上記の如くエネルギ回収が行われているときには、当該ルーチンは終了される。
ステップS403では、アシストフラグが「1」、すなわちONであるか否かが判定される。ここで、アシストフラグが「1」ということは、過給器40の作動をアシストするべく、蓄圧タンク58内に回収された圧力エネルギが放出される、あるいはされている状態であることを表し、これに対してそれが「0」ということは、回収された圧力エネルギの放出が行われない状態を表す。初期状態では同フラグはリセットされているためここでは否定されて、ステップS405に進む。
ステップS405では、エンジン回転数が所定値以下か否かが判定される。エンジン回転数が十分に高いときには、過給器40の作動に関してアシストの必要がないので、エンジン回転数が上記所定値を越えているときには否定されて、上記アシストフラグは「0」に維持される。他方、エンジン回転数が所定値以下と判定されて肯定されると、ステップS407へ進み、急加速が要求されたか否かが判定される。急加速が要求されたか否かは、アクセル開度の変化の程度(変化割合)に基づいて判定される。本実施形態では、アクセル開度が大きくなる方へ変化したときであって、所定時間におけるその変化幅が所定量を超えたときに、ECU62は急加速が要求されたと判断する。より具体的には、アクセルポジションセンサ66から入力される出力信号からアクセル開度を求め、それの所定時間に対する変化程度が、予め設定されてROMに記憶されている基準値、すなわち上記所定量を超えているときを、急加速と判断する。そして、肯定されると、ステップS409へ進む。他方、否定されると当該ルーチンは終了される。
ステップS409では、放出タンク内圧が下限値以上か否かが判定される。ステップS409に至ると、まず、エネルギ放出を行う蓄圧タンクを1つ選択および決定することが行われる。ここでは、ECU62は、2つの蓄圧タンク58a、58bのそれぞれのタンク内圧を、圧力センサ74a、74bからの出力信号に基づいて検出し、それらを比較して相対的にタンク内圧の高い方の蓄圧タンクをエネルギ放出を行う容器に選択決定する。このように選択された蓄圧タンクを「放出タンク」、そのタンク内圧を「放出タンク内圧」、そして放出タンク内圧を検出するために用いられる、圧力センサ74a、74bのいずれか一方を「放出圧力センサ」、放出タンクと排気通路28との連通状態を制御するべく用いられる、制御弁60a、60bの内のいずれか一方を「放出制御弁」と称し、図4中ではそのように表されている。このルーチンでは、例えば、蓄圧タンク58aのタンク内圧が300kPaであり、蓄圧タンク58bのタンク内圧が350kPaであり、蓄圧タンク58bが放出タンクとして選択決定されたとして説明を続ける。ただし、蓄圧タンク58a、58bのタンク内圧が同じ場合には、蓄圧タンク58aが選択決定されるように初期設定されている。そして、放出タンク内圧が下限値以上か否かが判定される。ここでの下限値は、利用されるのに足る圧力エネルギの下限値であり、この値を放出タンク内圧が下回っていると判断されて否定されると当該ルーチンは終了される。他方、放出タンク内圧がそれ以上であると判断されて肯定されると、ステップS411へ進む。
ステップS411では、放出タンク内圧が上記排気通路圧力を超えているか否かが判定される。排気通路圧力よりも放出タンク内圧が高くないと、過給器40の作動を回収された圧力エネルギの放出でアシストできないからである。そして、ステップS411で否定されると、当該ルーチンは終了される。他方、肯定されると、ステップS413へ進み、上記アシストフラグが「1」にされ、ステップS415で放出制御弁である制御弁60bが開弁されて、エネルギ放出が開始される。なお、このとき、放出制御弁60bとは異なる、別の制御弁60aは、閉弁状態に保たれる。
そして、次のルーチンで回収フラグが「0」であり、且つアシストフラグが「1」であり、ステップS401およびステップS403で肯定されることになると、ステップS417へ進み、所定時間が経過していないか否かが判定される。ここで、判定対象となる所定時間とは、放出制御弁が開かれたときからの経過時間を指し、本実施形態ではECU62は内蔵するタイマ装置でアシストフラグが「1」にされたときからの経過時間を計測する。この所定時間は、後述する実験結果から0.5秒から1.5秒、特に好ましくは1.0秒に設定されて予めROMに記憶されている。そして、ステップS417で所定時間が経過していないとして肯定されると、ステップS419へ進む。
ステップS419では、エンジン回転数が所定値以下か否かが判定される。これは、上記ステップS405と同じように行われる。そして、ステップS419で肯定されると、ステップS421へ進み、アクセルペダルが戻されていないか否かが判定される。具体的には、アクセルポジションセンサ66からの出力信号に基づいて求められるアクセル開度が小さくなるほうに変化し、且つその変化量が所定量を超えているときを、アクセルペダルが戻されたときと判断する。なお、アクセルペダルがOFFになっているときなど、アクセル開度が所定値を下回っているときも、アクセルペダルが戻されたときと判断される。そして、アクセルペダルが戻されていないと判断されて肯定されると、ステップS423へ進む。
そして、ステップS423では、上記ステップS409と同じように、放出タンク内圧が下限値以上か否かが判定される。そして、ステップS423で肯定されると、ステップS425へ進み、上記ステップS411と同じように、放出タンク内圧が排気通路圧力を超えているか否かが判定される。そして、肯定されると当該ルーチンが終了される。このように、ステップS417からステップS425の判定が行われるのは、過給器40の作動のアシスト用に回収された圧力エネルギが放出され始めた後に、エネルギ放出終了時期を判断するためである。
そして、ステップS417からステップS425のいずれかで否定されるようになると、ステップS427へ進み、放出制御弁である制御弁60bが閉弁され、次いでステップS429でアシストフラグが「0」にされる。これにより、過給器40の作動のアシストが終了される。
回収された圧力エネルギの放出に関して、実験を行った。その実験結果について、図5に基づいて説明する。エンジン10のエンジン回転数を1200rpmで固定し、エネルギ放出時間の違いによる、過給圧、放出タンク内圧(図5中、タンク圧)、タービン回転数、トルクの変化を測定した。エネルギ放出開始時の放出タンク内圧(図5中のP)を300kPaとして、エネルギ放出時間を0.5秒、1.0秒、1.5秒と変化させた。図5中、曲線T1がエネルギ放出時間が0.5秒のときのデータであり、曲線T2がエネルギ放出時間が1.0秒のときのデータであり、曲線T3がエネルギ放出時間が1.5秒のときのデータである。なお、曲線T0はエネルギ放出時間が0.0秒のときのデータである。
図5から明らかなように、エネルギ放出をした方が、しない場合よりも、タービン回転数が急激に上昇し、過給圧が急激に高まることが分かる。特に、過給圧やタービン回転数では、エネルギ放出時間が1.0秒のとき、概ねオーバーもアンダーにもならずに、所望の値にまで急上昇してそこで安定する傾向が認められる。そして、このようなエネルギ放出により、短時間で、的確に所望のトルクが得ることが出来ている。したがって、エネルギ放出を行うことで、十分に、過給器40の作動のアシストを行うことが出来ることが示された。また、エネルギ放出による効果は、エネルギ放出時間が0.5秒から1.5秒で、特に好ましくは1.0秒で得られ、非常に短時間で十分であることも明らかになった。
このように、複数の蓄圧タンク58a、58bの内、1つの蓄圧タンクを放出タンクとすることで、1つの蓄圧タンクからのみ圧力エネルギが放出されることになる。したがって、放出タンクから放出される圧力エネルギを形成する流体は、乱されることなく、排気通路28に至ることが可能になる。そして、有効に利用されることになる。
以上、本発明に係るエネルギ回収装置を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、排気絞り弁52はポペット式バルブであるとしたが、排気絞り弁52はバタフライ式バルブ、シャッター式バルブ等、如何なるバルブであっても良い。
なお、上記実施形態では、本発明を筒内噴射型式のエンジンに適用して説明したが、これに限定されず、本発明は、ポート噴射型式のエンジン、ディーゼルエンジン等の各種のエンジンに適用可能である。また、用いられる燃料は、ガソリンに限らず、アルコール燃料、LPG(液化天然ガス)等でも良い。また、本発明が適用されるエンジンの気筒数はいくつであっても良い。また、上記実施形態では、吸気絞り弁として、スロットルバルブ26を用いたが、スロットルバルブ26を迂回するアイドル制御用のバイパスバルブが備えられているエンジンでは、吸気絞り弁はそのバイパスバルブであっても良い。なお、このような吸気絞り弁は設けられていなくても良い。
また、EGR制御弁50や、制御弁60a、60bは、如何なるバルブであっても良く、上記排気絞り弁52のように、ポペット式バルブ、バタフライ式バルブ、シャッター式バルブであり得る。そして、これらの制御弁50、60a、60bの開閉制御には、ECU62からの作動信号によって生じる電磁力、あるいは、ECU62からの作動信号によって導入可能にされる吸気通路の圧力等といった負圧など、が用いられ得る。また、2つの制御弁60a、60bを設ける代わりに、三方電磁弁を設けても良い。
また、上記実施形態では、蓄圧タンク58を2つ設けることにしたが、3つ以上設けても良い。すなわち、蓄圧タンクは少なくとも2つ設けられれば良い。また、エネルギ回収が先に行われる蓄圧タンクに要求される目標圧を第1所定値として、その後にエネルギ回収が行われる蓄圧タンクに要求される目標圧を第2所定値としたが、これらの値は上記した値に制限されない。例えば、ゲージ圧で、第1所定値を350kPa、第2所定値を400kPaとすることもできる。また、これら値を可変としても良い。ただし、これらの目標圧は、排気バルブのセット荷重相当圧、例えば600kPaよりも低いことが好ましい。排気絞り弁52よりも上流側の排気通路の部分の圧力を高めた際に、自然に排気バルブが開くのを防止するためである。さらに、蓄圧タンクが3つ以上ある場合にも、1つずつに順にエネルギ回収が行われるが、この場合にも同様に、初めにエネルギ回収が行われる蓄圧タンクの目標圧が一番低く、順に目標圧が大きくなるように設定されるのが良い。なお、蓄圧タンク58内の圧力は、上記実施形態の如く、圧力センサ74からの出力信号に基づいて直接的に求められることに限定されず、他のセンサからの出力信号に基づいて推定されても良い。
また、上記実施形態では、蓄圧タンク58に蓄圧されるエネルギは、新気である空気だけではなく、排気ガスによっても形成される可能性があるとした。しかしながら、排気絞り弁52によりせき止められて圧力エネルギを高めるために用いられる流体は、全て空気であることが望ましい。これは、蓄圧タンク58へ蓄えられた圧力エネルギの用途拡大や、蓄圧タンク58や回収通路54などの汚染、詰まりなどの防止の観点からである。そこで、各気筒12から排気通路28へ供給される流体が全て空気になるように、燃料カット開始時から所定時間経過後に排気絞り弁52の閉弁が行われるのが良い。ただし、上記実施形態の場合、排気ガスのみによってエネルギが形成されても良い。これは、回収されたエネルギが、タービン36のタービンホイールを回転させるためにのみ用いられるからである。排気ガスを用いてエネルギ回収を行っても良い場合には、エネルギ回収を、燃料カットをしているときや減速しているときに限らず、何時行うようにしても良い。
なお、上記実施形態では、蓄圧タンク58内に回収されたエネルギを、過給器40のタービンの駆動に用いることとした。しかしながら、これは回収されたエネルギの用途を制限するものではなく、回収されたエネルギは、種々の機能部品の作動アシストとして用いられ得る。また、上記実施形態では、エネルギ放出の時期を、加速が要求されたときから所定時間が経過するまでとしたが、それ以外の方法でエネルギ放出時期が制限されても良い。例えば、放出タンク内圧の、放出制御弁を開いてからの圧力低下量を放出圧力センサからの出力信号により求め、その圧力低下量が所定量を超えたときに放出制御弁を閉じるようにしても良い。また、放出制御弁を開弁状態にする時期は、変速段が上がるシフトチェンジがあったとき、特にそのときの所定時間のみとしても良い。例えば、1速から2速、2速から3速、あるいは3速から4速などへとシフトチェンジがなされるときであって、上記のように加速が要求されているときには、所定時間、放出制御弁が開弁されると良い。これにより加速応答性を確保することができる。なお、上記実施形態の如く、過給器40の作動のアシストが行われるとき、そのときに最も高い圧力エネルギを有する蓄圧タンクが放出タンクに選択されるのが好ましい。さらに、上記実施形態では、1回のエネルギ放出に用いられる放出タンクを1つとしたが、同時に複数の蓄圧タンクからエネルギ放出がされなければ、複数の蓄圧タンクに蓄えられた圧力エネルギが放出されても良い。すなわち、一度のエネルギ放出に際して、まず1つの蓄圧タンクを放出タンクに選択してエネルギ放出を行い、続いて、放出タンクを別のタンクに切替えて、その切替えられたタンクのみからエネルギ放出が行われても良い。
なお、上記実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。
10 エンジン
28 排気通路
52 排気絞り弁
58、58a、58b 蓄圧タンク
60、60a、60b 制御弁
28 排気通路
52 排気絞り弁
58、58a、58b 蓄圧タンク
60、60a、60b 制御弁
Claims (3)
- エンジンの排気通路に設けた排気絞り弁を閉じ、該排気絞り弁よりも上流側の圧力を高めて、該高められた圧力をエネルギとしてエネルギ回収を行うエネルギ回収装置において、
前記排気絞り弁よりも上流側の前記排気通路の部分に、それぞれ接続された少なくとも2つの容器と、
前記少なくとも2つの容器と前記排気通路との連通状態を個別に制御する制御弁と、
前記少なくとも2つの容器の内、前記エネルギ回収を行う容器を決定する回収容器決定手段と、
前記エネルギ回収に際して、前記回収容器決定手段により決定された前記容器が前記排気通路に連通し、他の容器が前記排気通路に連通しないように前記制御弁を制御する弁制御手段と、
を備えることを特徴とするエネルギ回収装置。 - 前記回収容器決定手段は、
前記少なくとも2つの容器の各々の圧力を検出または推定する圧力検出手段と、
該圧力検出手段により検出または推定された前記少なくとも2つの容器の圧力を相互に比較する比較手段と、
該比較手段による比較の結果、相対的に圧力の低い容器を前記エネルギ回収を行う前記容器として選択する選択手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のエネルギ回収装置。 - 前記少なくとも2つの容器の各々の圧力を検出または推定する圧力検出手段と、
該圧力検出手段により検出または推定された前記少なくとも2つの容器の圧力を相互に比較する比較手段と、
該比較手段による比較の結果、相対的に圧力の高い容器をエネルギ放出を行う容器として選択する放出容器選択手段と、
を有し、前記少なくとも2つの容器の内、前記エネルギ放出を行う前記容器を決定する放出容器決定手段を更に備え、
前記弁制御手段は、エネルギ非回収時の前記エネルギ放出に際して、前記放出容器決定手段により決定された前記容器が前記排気通路に連通し、他の容器が前記排気通路に連通しないように前記制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載のエネルギ回収装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006229520A JP2008051040A (ja) | 2006-08-25 | 2006-08-25 | エネルギ回収装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006229520A JP2008051040A (ja) | 2006-08-25 | 2006-08-25 | エネルギ回収装置 |
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JP (1) | JP2008051040A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009270436A (ja) * | 2008-04-30 | 2009-11-19 | Toyota Motor Corp | 排気ガス回収装置 |
JP2010043579A (ja) * | 2008-08-11 | 2010-02-25 | Toyota Motor Corp | ターボチャージャ付き内燃機関 |
DE102013220036A1 (de) * | 2013-10-02 | 2015-04-02 | Bosch Mahle Turbo Systems Gmbh & Co. Kg | Verfahren zum Befüllen eines Druckspeichers eines Abgasturboladers |
-
2006
- 2006-08-25 JP JP2006229520A patent/JP2008051040A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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