JP2008050562A - セルロースアシレート粒体およびその製造方法、セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、並びに液晶表示装置 - Google Patents
セルロースアシレート粒体およびその製造方法、セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルム、並びに液晶表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】結晶融解熱量が10J/g以下であることを特徴とするセルロースアシレート粒体。例えば、セルロースアシレート樹脂を、2軸混練押出機を用い、スクリュー回転数50〜300rpm、混練樹脂圧力2〜9MPa以下で混練する工程を含む方法で粒体とする。
【効果】得られたフィルムは、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルムとして有効である。
【選択図】なし
Description
このような従来技術の課題を考慮して、本発明者は、液晶表示装置に組み込んで長期間使用したときに黄色みの発生を抑えることができるフィルムおよびそのフィルムの製造用粒体を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
[2] 針状異物が50個/mg以下であることを特徴とする[1]に記載のセルロースアシレート粒体。
[3] 硫酸根含有量が0ppm以上200ppm未満であるであることを特徴とする[1]または[2]に記載のセルロースアシレート粒体。
[4] (アルカリ金属モル量と2族金属モル量の和)/(硫酸根モル量)の比が0.3〜3.0であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体。
[5] 2族金属がカルシウムであることを特徴とする[4]に記載のセルロースアシレート粒体。
[6] 下記式(S−1)〜(S−3)を満足することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体。
式(S−1) 2.6≦X+Y≦3.0
式(S−2) 0≦X≦1.8
式(S−3) 1.0≦Y≦3.0
(式中、Xはセルロースの水酸基に対するアセチル基の置換度を表し、Yはセルロースの水酸基に対するプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を表す。)
[7] ペレット状であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体。
[9] セルロースアシレート樹脂を160℃〜220℃で混練押出ししてペレット化する工程を含むことを特徴とする[8]に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[10] 2軸混練押出機内を1気圧未満にしてペレット化することを特徴とする[8]または[9]に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[11] 2軸混練押出機内に不活性ガスを流入しながらペレット化することを特徴とする[8]〜[10]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[12] ペレット化により得られたペレットを破砕する工程を含むことを特徴とする[9]〜[11]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[13] 前記混練工程の前に、セルロースアシレートにナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物または酸化物を反応させる中和工程を含むことを特徴とする[8]〜[12]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[14] セルロースアシレートをSP値が7〜10の溶剤に溶解してセルロースアシレート溶液を調製した後、セルロースアシレートを固化させる工程を含むことを特徴とするセルロースアシレート粒体の製造方法。
[15] 前記SP値が7〜10の溶剤が、SP値が7〜10のエステル系溶剤、SP値が7〜10のハロゲン化炭化水素系溶剤、SP値が7〜10のケトン系溶剤の何れかであることを特徴とする[14]に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[16] 固化を、セルロースアシレート溶液を乾燥して溶剤を除去することにより行うことを特徴とする[14]または[15]に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[17] 固化を、セルロースアシレート溶液を貧溶媒中に導入してセルロースアシレートを析出させることによって行うことを特徴とする[14]または[15]に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
[19] 3kg/cm〜100kg/cmの線圧でタッチロールを用いて製膜することを特徴とする[18]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[20] 0.3MPa〜3MPaの面圧でタッチロールを用いて製膜したことを特徴とする[18]に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[21] 製膜したセルロースアシレートフィルムを、少なくとも1方向に1%〜300%延伸する工程をさらに含むことを特徴とする[18]〜[20]のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[22] [18]〜[21]のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルム。
[23] [1]〜[7]のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体を製膜した、残留溶媒量が0.01質量%以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
[24] 偏光膜に、[22]または[23]に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層積層したことを特徴とする偏光板。
[25] [22]または[23]に記載のセルロースアシレートフィルムを基材に用いたことを特徴とする光学補償フィルム。
[26] [22]または[23]に記載のセルロースアシレートフィルムを基材に用いたことを特徴とする反射防止フィルム。
[27] [24]に記載の偏光板、[25]に記載の光学補償フィルム、および、[26]に記載の反射防止フィルムの少なくとも一つを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
なお、本発明のセルロースアシレート粒体の製造方法においては、上記中和工程の前に、セルロースを活性化するセルロース活性化工程、前記セルロースをアシル化するアシル化工程、硫酸により洗浄する洗浄工程が適宜実施されてもよい。
本願において「粒体」とは、大きさが0.01mm3〜100000mm3程度で粒状であるものを広く包含する概念である。また、本願において「ペレット」とは、粒体に包含される概念であり、押出し後に切断することにより製造され、大きさが1mm3〜500mm3程度の粒状物を意味する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明では、液晶表示装置に組み込んで長期間使用したときの黄色みの発生を抑制するために、セルロースアシレートフィルムの製造に用いるセルロースアシレート粒体に下記のような特徴を持たせた。また、セルロースアシレート粒体の製造方法や、セルロースアシレートフィルムの製造方法にも下記のような特徴を持たせた。これらについて、順に説明する。
上記のように、本発明では、液晶表示装置に組み込んで長期間使用したときの黄色みの発生を抑制するために、結晶融解熱量が10J/g以下のセルロースアシレート粒体を用いてセルロースアシレートフィルムを製造する。セルロースアシレート粒体の結晶融解熱量は、より好ましくは0J/g〜7J/gであり、さらに好ましくは0J/g〜5J/gである。結晶融解熱量が小さい本発明のセルロースアシレート粒体を用いることで、溶融製膜工程において粒体を速やかに溶融できる。これにより黄色みの主原因である樹脂の熱分解を従来よりも大幅に抑制することを見出した。
なお、本発明においては、結晶融解熱量はDSCを用いて吸熱ピークの面積の総和から求める。吸熱ピークが確認できなかったときは、結晶融解熱量は0J/gとする。
針状異物の原因は、セルロースをアシル化する際に発生した未反応セルロースである。このため、針状異物の数を減らすために、アシル化反応の際に原料セルロース中にアシル化剤(無水カルボン酸)が十分浸透するように予め膨潤等の活性化処理を行っておく方法、および/または、アシル化反応の後に濾紙や濾布等で濾過して針状異物を除去してから、貧溶媒中に投入してセルロースアシレートを析出させる方法などを実施することが好ましい。
アルカリ金属および/または2族金属を含有することにより、上述の硫酸を中和する効果が得られる。この結果、セルロースアシレートの経時着色の原因である熱分解物の生成を一段と抑制する効果が得られる。本発明のセルロースアシレート粒体は、(アルカリ金属モル量と2族金属モル量の和)/(硫酸根モル量)の比が0.3〜3.0であることが好ましく、より好ましくは0.4〜2.5、さらに好ましくは0.5〜2.0である。
さらに本発明では、好ましくは後述の式(S−1)〜(S−3)、より好ましくは後述の式(S−4)〜(S−6)、さらに好ましくは後述の式(S−7)〜(S−9)の置換度を満足するセルロースアシレート粒体を用いることが好ましい。このような置換度(組成)にすることで、粒体中での結晶生成も抑制できる。即ち、アセチル基より嵩高いプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基を混合することで、分子の規則性を乱し、結晶生成を抑制できる。置換度は、アシル化剤(酸無水物)の仕込み量により調整することができる。
本発明のセルロースアシレート粒体は、セルロースアシレート樹脂を融解させる工程を経て製造することが可能である(融解法)。特にペレットを製造する場合は、融解法により製造する。
具体的には、本発明のセルロースアシレート粒体は、2軸混練押出機を用い、スクリュー回転数50〜300rpm、混練樹脂圧力2〜9MPaで混練することにより調製することができる。スクリュー回転数は、より好ましくは80〜250rpmであり、さらに好ましくは100〜230rpmである。また混練樹脂圧力は、より好ましくは2〜8MPaであり、さらに好ましくは3〜6MPaである。
このような内圧を加えることで、粒体の原料であるセルロースアシレート樹脂を2軸押出機内に充満させることができる。この結果、より効率的に混練することができるため、熱分解を抑制しながら結晶を十分に融解することができる。通常はこのような内圧は掛けないが、内圧を掛けないと2軸押出機のスクリュー内に空隙が発生し、そこにおいて樹脂が強く剪断され熱分解し易くなる。これが製膜後の経時着色の原因となる。このような圧力の調整は、2軸混練押出機出口に圧力調整弁を設けることによって行うことができる。また、2軸混練押出機は40rpm以下の回転数で使用するのが一般的であるが、本発明では上記のように高くすることが好ましい。これにより2軸押出機内の滞留時間を短くし熱分解を一段と抑制することができる。さらに高回転化による剪断力の上昇により結晶の融解を促進することができる。
ペレット化は、2軸混練押出機内の温度を160℃〜220℃にして行うのが好ましく、より好ましくは170℃〜215℃、さらに好ましくは180℃〜210℃である。通常は230℃以上の高温で溶融するが、本発明ではこのように低めの温度で溶融するのが好ましい。上述のスクリュー回転数、内圧の範囲では結晶融解できるため、このような低温域で十分である。この結果経時着色の原因である熱分解の発生を一段と抑制することができる。
さらに本発明では、2軸混練押出機内を好ましくは1気圧未満、より好ましくは0〜0.8気圧、さらに好ましくは0.1〜0.6気圧でペレット化する。このような減圧は、2軸混練押出機の混練部に設けたベントあるいはホッパーから真空ポンプを用いて排気することで達成できる。
あるいは2軸混練押出機内に不活性ガスを流入しながら酸素濃度を好ましくは0〜18%、より好ましくは0.5〜16%、さらに好ましくは1〜14%でペレット化する。この場合、不活性ガスとして希ガス類あるいは窒素等の気体を使用でき、2軸混練押出機の混練部に設けたベントあるいはホッパーから注入することができる。
これらの減圧、不活性ガスの注入は独立で実施してもよく、組み合わせて実施するのも好ましい。
このようなセルロースアシレートペレットは、この後の製膜工程において1軸押し出し機を用いて製膜するのに適している。1軸押し出し機は単位時間あたりの押し出し量が安定しており、製膜したフィルムの厚み変動を抑制することができる。
なお、上述の方法で作成したセルロースアシレートペレットは、破砕することによってさらにサイズが小さいセルロースアシレート粒体とすることができる。このような粒体を用いて、製膜することも可能である。
本発明のセルロースアシレート粒体は、セルロースアシレート樹脂を溶解させる工程を経て製造することも可能である(溶解法)。具体的には、SP値が7〜10の溶剤に溶解後、固化させる工程を経て本発明のセルロースアシレート粒体を製造することができる。上記SP値は、より好ましくは7.5〜9.7、さらに好ましくは8.0〜9.5である。ここでいうSP値(溶解性パラメーター)の定義と計算法については、後述する測定方法の欄に詳しく記載される通りである。SP値が7〜10の溶剤としては、SP値が7〜10のエステル系溶剤、SP値が7〜10のハロゲン化炭化水素系溶剤、SP値が7〜10のケトン系溶剤が好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタンが挙げられる。これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジクロロメタンが好ましい。
溶解後に得られるセルロースアシレート溶液の濃度は1質量%〜40質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜35質量%、さらに好ましくは5質量%〜30質量%である。溶解温度は10℃〜50℃が好ましく、より好ましくは15℃〜40℃である。
固化は、溶解後溶剤を乾燥することで達成しても良いし(乾燥法)、溶解後貧溶剤中に投入し析出させても良い(析出法)。貧溶剤として好ましいものとして水、水と低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)の混合溶剤を挙げることができる。
上記SP値の溶剤に溶解することで、セルロースアシレートと適度な親和性を有し、セルロースアシレート同士が凝集し結晶生成することを抑制するため、結晶融解熱を本発明の範囲に抑えることができるものと考えられる。
本発明のセルロースアシレート粒体の大きさは1mm3〜100000mm3が好ましく、より好ましくは2mm3〜50000mm3、さらに好ましくは3mm3〜10000mm3である。乾燥法を用いる場合は、固化したセルロースアシレートを破砕することにより、サイズを調整することができる。析出法を用いる場合は、貧溶剤に入れるセルロースアシレート溶液の液滴の大きさを制御したり、セルロースアシレート溶液を貧溶剤に添加後、高速攪拌したりすることにより、セルロースアシレート溶剤の液滴サイズを微細化し粒体の大きさを調整することができる。
このようにして得られたセルロースアシレート粒体は、この後の溶融製膜工程では、2軸押し出し機を用いて製膜するのに適している。2軸押し出し機は高い剪断をかけて溶融できるため、セルロースアシレートの未融解物に起因するフィッシュアイの生成を抑制できる。2軸混練押出機は、スクリュー回転数50〜300rpm、混練樹脂圧力10MPa以下で混練し溶融するのが好ましい。より好ましくはスクリュー回転数80〜250rpmで、混練樹脂圧力が1MPa〜9MPa、さらに好ましくはスクリュー回転数100〜230rpmである。 前述のセルロースアシレートペレットと1軸押し出し機の組み合わせと、セルロースアシレート粒体と2軸押し出し機の組み合わせを比較した場合、光学フィルムにとってより重要な項目である厚み制御に勝る前者の方がより好ましい。
本発明では、上述した融解法又は溶解法により製造されたセルロースアシレート粒体を用いてセルロースアシレートフィルムを製造する。
セルロースアシレートフィルムを製造する際には、セルロースアシレートフィルム調製時にタッチロールを用いるのが好ましい。タッチロールとは、溶融押出機からダイを通過して出てきたメルト(溶融状態の樹脂)がキャストされるロールに、メルトを挟み込むように設置されたロールである。
このようなタッチロールは、金属シャフトの上に弾性体層を設け、その上に外筒を被せ、弾性体層と外筒の間に液状媒体層を満たしたものである。外筒の肉厚は、0.05mm〜7.0mmが好ましく、より好ましくは0.2mm〜5.0mmである。キャスティングロールとタッチロールは、表面が鏡面であることが好ましく、算術平均高さRaが100nm以下、好ましくは50nm以下、さらに好ましくは25nm以下である。具体的には例えば特開平11−314263、特開2002−36332号、特開平11−235747号、特開2004−216717号、特開2003−145609号各公報、国際公開WO97/28950号パンフレット記載のものを利用できる。
また、タッチロールを押し付ける力は面圧で規定することがより好ましい。面圧とは、タッチロールを押し付けている力を、タッチロールとキャスティングロールが接触している面積で割った値である。本発明では、面圧は0.3MPa〜3MPaが好ましく、より好ましく0.5MPa〜2.5MPa、さらに好ましくは0.7MPa〜2.0MPaである。
タッチロールとキャスティングロールの温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは70℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜140℃に設定する。このような温度制御はこれらのロール内部に温調した液体、気体を通すことで達成できる。
以下において、本発明で用いるセルロースアシレートについて説明する。
本発明で用いるセルロースアシレートの合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁の記載を適用することができる。なお、ここでいう添加量はセルロースアシレートに対する質量%である。
セルロースアシレートを合成する際のセルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。
セルロース原料はアシル化に先立って、活性化剤と接触させる処理(活性化)を行っておくことが好ましい。活性化剤として好ましくは、酢酸、プロピオン酸、または酪酸であり、特に好ましくは酢酸である。活性化剤の添加量は好ましくは5%〜10000%であり、より好ましくは10%〜2000%、さらに好ましくは30%〜1000%である。添加方法は噴霧、滴下、浸漬などの方法から選択できる。活性化時間は20分〜72時間以下が好ましく、特に好ましくは20分〜12時間である。活性化温度は0℃〜90℃が好ましく、20℃〜60℃が特に好ましい。さらに活性化剤に硫酸などのアシル化の触媒を0.1質量%〜10質量%加えることもできる。
この活性化処理を行うことで上述の針状異物の量を軽減することができる。即ち活性化温度を高くし、時間を長くするほど、針状異物の量を軽減することができる。
セルロースとカルボン酸の酸無水物とをブレンステッド酸またはルイス酸(「理化学辞典」第五版(2000年)参照)を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。
アシル化の反応熱による温度上昇を制御するために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。アシル化温度は−50℃〜50℃が好ましく、より好ましくは−30℃〜40℃、特に好ましく−20℃〜35℃である。反応の最低温度は−50℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましく、−20℃以上が特に好ましい。アシル化時間は0.5時間〜24時間が好ましく、1時間〜12時間がより好ましく、1.5時間〜10時間が特に好ましい。
カルボン酸の酸無水物として、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2〜22のものを用いることができる。特に好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。酸無水物はセルロースの水酸基に対して1.1〜50当量添加することが好ましく、1.2〜30当量添加することがより好ましく、1.5〜10当量添加することが特に好ましい。
アシル化触媒には、ブレンステッド酸またはルイス酸を使用することが好ましく、硫酸または過塩素酸がより好ましく、好ましい添加量は0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは3〜12質量%である。
アシル化溶媒としてカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは、炭素数2〜7のカルボン酸であり、特に好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸である。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
アシル化反応の後に、反応停止剤を加えることが好ましい。反応停止剤は酸無水物を分解するものであればよく、水、アルコール(炭素数1〜3のもの)、カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸等)が挙げられ、中でも水とカルボン酸(酢酸)との混合物がさらに好ましい。水とカルボン酸との組成は、水が好ましくは5質量%〜80質量%、さらに好ましくは10質量%〜60質量%、特に好ましくは15質量%〜50質量%である。
アシル化反応停止後に中和剤を添加してもよい。中和剤の好ましい例としては、アンモニウム、有機4級アンモニウム、アルカリ金属、2族の金属、3〜12族金属、または13〜15族元素の、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩、水酸化物または酸化物などを挙げることができる。特に好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物または酸化物である。
このようにして得られたセルロースアシレートは、全置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸などのアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90℃に数分〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させる。この後、残存触媒を前記の中和剤を用いて、部分加水分解を停止させる。
ろ過は、アシル化の完了から再沈殿までの間のいかなる工程において行ってもよい。ろ過に先立って適切な溶媒で希釈することも好ましい。濾過を行うことにより、未反応の針状異物を除去することができる。また、上述の活性化処理を行なって予め針状異物を少なくしておけば、より効率的に濾過することができるため、より好ましい。
セルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)水溶液と混合し再沈殿させる。再沈殿は連続式、バッチ式のいずれでもよい。
再沈殿後、洗浄処理することが好ましい。洗浄は水または温水を用い、pH、イオン濃度、電気伝導度、元素分析等で洗浄終了を確認することができる。
洗浄後のセルロースアシレートには、上述のようにアルカリ金属や2族金属化合物を添加するのが好ましい。これらの添加方法としては、水等の溶媒に溶解、分散したものをセルロースアシレートにふりかける方法や、これらの溶解、分散液中で撹拌、含浸した後、濾過する方法などを挙げることができる。
50〜160℃でセルロースアシレートの含水率を2質量%以下にまで乾燥することが好ましい。
上記の製造方法によって製造されるセルロースアシレートは、β−1,4−グリコシド結合しているグルコース単位の2位、3位および6位にある水酸基の一部または全部がアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。本発明で用いるセルロースアシレートは、セルロースの水酸基が二種類以上のアシル基によって、一部または全部置換されていてもよい。
式(S−1) 2.6≦X+Y≦3.0
式(S−2) 0≦X≦1.8
式(S−3) 1.0≦Y≦3.0
(式中、Xはセルロースの水酸基に対するアセチル基の置換度を表し、Yはセルロースの水酸基に対するプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を表す。セルロースの2位、3位および6位にある水酸基がすべてアシル基に置換されている場合は置換度は3となる。)
式(S−4) 2.7≦X+Y≦3.0
式(S−5) 0≦X≦1.2
式(S−6) 1.5≦Y≦3
式(S−7) 2.8≦X+Y≦3.0
式(S−8) 0≦X≦0.8
式(S−9) 2.0≦Y≦3
Xが1.8以下であれば、セルロースアシレートの親水性が低いため、より乾燥効率がよくなりやすい。
Yが1.0以上であれば疎水性が比較的高いため、より乾燥効率がよくなりやすい。
(熱安定剤)
セルロースアシレートの熱安定性をさらに高めるために、本発明においては、熱安定剤を添加することが特に有効である。特に、高温における溶融製膜時のセルロースアシレートの熱安定性を維持するためにも添加することが好ましい。なかでも、分子量500以上であるフェノール系安定剤の少なくとも一種、および分子量500以上である亜リン酸エステル系安定剤または分子量500以上であるチオエーテル系安定剤から選ばれる少なくとも一種を添加することが好ましい。
これらは、市販品として容易に入手可能であり、下記のメーカーから販売されている。チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から、Irganox 1076、Irganox1010、Irganox 3113、Irganox 245、Irganox 1135、Irganox 1330、Irganox 259、Irganox 565、Irganox 1035、Irganox 1098、Irganox 1425WL、として入手することができる。また、旭電化工業株式会社から、アデカスタブ AO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−70、アデカスタブ AO−80として入手できる。さらに、住友化学株式会社から、スミライザーBP−76、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、として入手できる。また、シプロ化成株式会社からシーノックス326M、シーノックス336B、としても入手することができる。
好ましいアミン系安定剤は、旭電化からアデカスタブLA−57、同LA−52、同LA−67、同LA−62、同LA−77として、またチバ・スペシャリティーケミカルズ社からTINUVIN 765、同144として市販されている。アミン類の安定剤に対する使用比率は、通常0.01〜25重量%程度である。
セルロースアシレートには、紫外線防止剤を添加してもよい。紫外線防止剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。その添加量は、調製する溶融物(メルト)の0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明では、セルロースアシレートに微粒子を添加することもできる。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられ、いずれでもよい。本発明におけるセルロースアシレートに含まれる好ましい微粒子の平均一次粒子サイズは5nm〜3μmであり、好ましくは5nm〜2.5μmであり、特に好ましくは20nm〜2.0μmである。微粒子の添加量は、セルロースアシレートに対して0.005〜1.0質量%であり、より好ましくは0.01〜0.8質量%であり、さらに好ましくは0.02〜0.4質量%である。
前記無機化合物としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、ZrO2、In2O3、MgO、BaO、MoO2、V2O5、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウム等が挙げられる。好ましく、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、ZrO2、In2O3、MgO、BaO、MoO2、およびV2O5の少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくはSiO2、TiO2、SnO2、Al2O3、ZrO2である。
さらに、無機化合物からなる微粒子は、セルロースアシレートフィルム中で安定に存在させるために表面処理されているものを用いることが好ましい。無機微粒子は、表面処理を施してから用いることも好ましい。表面処理法としては、カップリング剤を使用する化学的表面処理と、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理とがあるが、本発明においてはカップリング剤を使用することが好ましい。前記カップリング剤としては、オルガノアルコキシ金属化合物(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等)が好ましく用いられる。微粒子として無機微粒子を用いた場合(特にSiO2を用いた場合)ではシランカップリング剤による処理が特に有効である。前記カップリング剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは無機微粒子に対して、0.005〜5質量%使用することが推奨され、さらには0.01〜3質量%が好ましい。
セルロースアシレートに可塑剤を添加すれば、セルロースアシレートの結晶融解温度(Tm)を下げることができる。本発明に用いる可塑剤の分子量は特に限定されないが、好ましくは高分子量の可塑剤が挙げられ、例えば分子量500以上が好ましく、より好ましくは550以上であり、さらには600以上が好ましい。可塑剤の種類としては、リン酸エステル類、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、カルボン酸エステル類、多価アルコールの脂肪酸エステル類などが挙げられる。それらの可塑剤の形状としては固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。溶融製膜を行なう場合は、不揮発性を有するものを特に好ましく使用することができる。
しかしこれらの可塑剤は、高分子量のものを用いても長時間製膜中に微量揮散したものがキャスティングロール上に堆積し、これがフィルム表面に転写し面状故障を引き起こすことがある。このため、可塑剤を使用しないことが最も好ましい。それには、溶融粘度が十分に低いセルロースアシレート単体を用いればよく、具体的には、溶融温度(230℃)で2000Pa・s以下、より好ましくは1500Pa・s以下のセルロースアシレート単体を用いればよい。このようなセルロースアシレート単体は、上記のセルロースアシレートの組成と重合度に調整することによって得ることができる。
本発明におけるセルロースアシレートには、離型剤を添加することができる。離型剤としては、フッ素原子を有する化合物が好ましい。フッ素原子を有する化合物は、離型剤としての作用を発現でき、低分子量化合物であっても重合体であってもよい。重合体としては、特開2001−269564号公報に記載の重合体を挙げることができる。フッ素原子を有する重合体として好ましいものは、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を必須成分として含有してなる単量体を重合せしめた重合体である。前記重合体に係わるフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体としては、分子中にエチレン性不飽和基とフッ素化アルキル基とを有する化合物であれば特に制限はない。またフッ素原子を有する界面活性剤も利用でき、特に非イオン性界面活性剤が好ましい。
以下において、セルロースアシレートを用いてセルロースアシレートフィルムを製造する方法について説明する。本発明では、セルロースアシレートと添加物との混合物を溶融して製膜する溶融製膜法によりフィルムを製造することが好ましい。残存溶媒が存在すると製膜乾燥中に結晶化が進みやすく、フィルムインパクト強度が低下してしまうことから、本発明では製膜後の残存溶媒量を0.01重量%以下にすることが好ましく、0%にすることが特に好ましい。溶媒を用いない溶融製膜法によれば、残存溶媒量を0%にすることができる。
上述の方法でセルロースアシレートを粒体化する。粒体化は、セルロースアシレートと添加剤を混合して溶剤に溶解した後、乾燥法あるいは析出法で固化し、必要に応じ破砕することにより行うことができる。また、特にペレット化したい場合は、上述の方法でセルロースアシレートと添加剤を混合し乾燥した後、2軸混練押出機を用い溶融してストランド状に押出したものを水中で冷却固化し、裁断することによりペレットを得ることができる。こうして得たペレットをさらに破砕することにより、よりサイズが小さい粒体を得ることもできる。
溶融製膜に先立ち粒体中の水分を乾燥して含水率を0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下にすることが好ましい。
このための乾燥温度は40〜180℃が好ましく、乾燥風量は好ましくは20〜400m3/時間で有り、特に好ましくは100〜250m3/時間である。乾燥風の露点は好ましくは0〜−60℃で有り、より好ましくは−20〜−40℃である。
乾燥したセルロースアシレート樹脂(ペレット等の粒体)を混練押出機の供給口からシリンダー内に供給する。セルロースアシレート粒体は単独で使用しても良く、混合して使用しても良い。ペレットの場合は1軸押し出し機がより好ましく、溶解法により得られた粒体の場合は2軸押し出し機を用いることがより好ましい。混合物の場合は、1軸、2軸どちらの押し出し機を使用しても良い。
混練押出機のスクリュー圧縮比は2.5〜4.5が好ましく、より好ましくは3.0〜4.0である。L(スクリュー長)/D(スクリュー径)は20〜70が好ましく、より好ましくは24〜50である。押出温度は190〜240℃が好ましい。押出機のバレルは3〜20に分割したヒーターで加熱し溶融することが好ましい。
好ましい溶融温度は150℃〜250℃、より好ましくは160℃〜240℃、さらに好ましくは170℃〜235℃である。この際、入口側(ホッパー側)の温度を低くし、出口側の温度を10℃〜60℃高くすることが好ましい。
スクリューは、フルフライト、マドック、ダルメージ等を用いることができる。
樹脂の酸化防止のために、混練押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出機を用い真空排気しながら実施するのがより好ましい。
混練押出機出口にブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。
高精度濾過のために、ギアポンプ通過後にリーフ型ディスクフィルター型を濾過装置を設けることが好ましい。濾過は、単段で行っても、多段で行っても良い。濾材の濾過精度は3μm〜15μmが好ましく、さらに好ましくは3μm〜10μmである。濾材はステンレス鋼,スチールを用いることが好ましく、中でもステンレス鋼が望ましい。濾材は線材を編んだもの、金属焼結濾材が使用でき、特に後者が好ましい。
厚み精度向上(吐出量の変動減少)のために、混練押出機とダイスの間にギアポンプを設置するのが好ましい。これにより、ダイ部分の樹脂圧変動巾を±1%以内にできる。
ギアポンプによる定量供給性能を向上させるために、スクリューの回転数を変化させて、ギアポンプ前の圧力を一定に制御する方法も好ましい。3枚以上のギアを用いた高精度ギアポンプも有効である。ギアポンプ内の滞留部分が樹脂劣化の原因となるため、滞留の少ない構造が好ましい。
ダイ内の溶融樹脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。また、Tダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れることも問題ない。Tダイ出口部分のクリアランスは一般的にフィルム厚みの1.0〜5.0倍が良く、さらに好ましくは1.3〜2倍である。
ダイのクリアランスは40〜50mm間隔で調整可能であることが好ましく、より好ましくは25mm間隔以下である。また、下流のフィルム厚みを計測してダイの厚み調整にフィードバックさせる方法も厚み変動の低減に有効である。
機能層を外層に設けるため、多層製膜装置を用いて2種以上の構造を有するフィルムの製造も可能である。
樹脂が供給口から混練押出機に入ってからダイスから出るまでの樹脂の好ましい滞留時間は2分〜60分であり、好ましくは4分〜30分である。
ダイよりシート上に押し出された溶融樹脂をキャスティングドラム上で冷却固化し、フィルムフィルムを得る。この時、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバー法、バキュームノズル法、タッチロール法等の方法を用い密着度を上げることが好ましい。またエッジピニング(フィルムフィルムの両端部のみを密着させる方法)も好ましい。中でも好ましいのはタッチロール法である。
巻き取り前に両端をトリミングすることが好ましい。トリミングされた部分はフィルム用原料として再利用してもよい。トリミングカッターはロータリーカッター、シャー刃、ナイフ等何れを用いても構わない。材質についても、炭素鋼、ステンレス鋼、セラミックを用いることができる。
好ましい巻き取り張力は1kg/m幅〜50kg/幅、より好ましくは3kg/m幅〜20kg/m幅である。巻き取り張力は、一定の巻き取り張力で巻き取っても良いが、巻取り径に応じてテーパーをつけ巻取ることがより好ましい。
またニップロール間のドロー比率を調整し、ライン途中でフィルムに規定以上の張力がかからない様にすることが必要である。
巻き取り前に、少なくとも片面にラミフィルムを付けても良い。
巻き取ったフィルムの幅は1m〜3mが好ましく、より好ましくは1.2m〜2.5mである。巻長は1000m〜8000mが好ましく、より好ましく1500m〜7000m、さらに好ましくは2000m〜6000mである。
このようにして得た未延伸セルロースアシレートフィルムはRe=0〜20nm,Rth=0〜80nmが好ましく、さらに好ましくはRe=0〜10nm,Rth=0〜60nmである。Re、Rthは各々面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは、上述のReおよび、面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°、−40°傾斜した方向から光を入射させて測定したレターデーションの計3方向から測定したレターデーション値を基に算出する。また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。
厚みむらは長手方向、幅方向いずれも0%〜3%が好ましく、さらに好ましくは0%〜2%である。
引張り弾性率は1.5kN/mm2〜3.5kN/mm2が好ましく、より好ましくは1.8kN/mm2〜2.6kN/mm2である。破断伸度は3%〜300%が好ましい。
Tgは95℃〜145℃が好ましい。80℃1日での熱寸法変化は縦、横両方向とも0%〜±1%が好ましく、さらに好ましくは0%〜±0.3%である。
40℃、相対湿度90%での透水率は300g/m2・日〜1000g/m2・日が好ましく、さらに好ましくは500g/m2・日〜800g/m2・日である。25℃、相対湿度80%での平衡含水率は1質量%〜4質量%が好ましく、さらに好ましくは1.5質量%〜2.5質量%である。
(延伸)
未延伸フィルムを延伸し、Re,Rthを制御することもできる。
延伸温度は(Tg〜Tg+50℃)が好ましく、さらに好ましくは(Tg+5℃)〜(Tg+20℃)である。好ましい延伸倍率は少なくとも一方に1%〜300%、より好ましくは3%〜200%である。一方の延伸倍率を他方より大きくして延伸するほうがより好ましく、小さい方の延伸倍率は1%〜30%が好ましく、より好ましくは3%〜20%であり、大きいほうの延伸倍率は30%〜300%が好ましく、より好ましくは40%〜150%である。これらの延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。ここでいう延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
このような延伸はニップロール、テンター等を用いて実施することができる。また、特開2000−37772号、特開2001−113591号、特開2002−103445号各公報に記載の同時2軸延伸法を用いてもよい。
Rth≧Re 200≧Re≧0
500≧Rth≧30
延伸後のセルロースアシレートフィルムのRe、Rthは下式を満足することがより好ましい。
Rth≧Re×1.2
100≧Re≧20
350≧Rth≧80
延伸後のセルロースアシレートフィルムの厚みは15μm〜200μmが好ましく、より好ましくは40μm〜140μmである。厚みむらは長手方向、幅方向いずれも0%〜3%が好ましく、さらに好ましくは0%〜1%である。
延伸セルロースアシレートフィルムの物性は以下の範囲が好ましい。
引張り弾性率は1.5kN/mm2以上3.0kN/mm2未満が好ましく、より好ましくは1.8kN/mm2〜2.6kN/mm2である。
破断伸度は3%〜100%が好ましく、より好ましくは8%〜50%である。
Tgは95℃〜145℃が好ましく、より好ましくは105℃〜135℃である。
80℃に1日静置した後の熱寸法変化は縦、横両方向とも0%〜±1%が好ましく、さらに好ましくは0%〜±0.3%である。
40℃、相対湿度90%での透水率は300g/m2・日〜1000g/m2・日が好ましく、さらに好ましくは500g/m2・日〜800g/m2・日である。
25℃、相対湿度80%での平衡含水率は1質量%〜4質量%が好ましく、さらに好ましくは1.5質量%〜2.5質量%である。
ヘーズは0%〜3%が好ましく、より好ましくは0%〜1%以下である。全光透過率は90%〜100%が好ましい。
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムに対して行うことができる処理について、好ましい態様を参照しながら説明する。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよいし、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理でもよい。プラズマ励起性気体とは、上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
本発明のセルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板)、光学補償層の付与(光学補償シート)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。以下に順に説明する。
(使用素材)
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることによって作製するのが一般的である。偏光膜としては、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例えば、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法(公技番号2001−1745号、発行日2001年3月15日、発明協会)58頁に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
上記鹸化後のセルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光膜を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が45度になるように行うのが好ましい。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
上記表面処理したセルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
このようにして得た配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することができる。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明基体上に設けた構造を有する。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成からなる反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例えば、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子およびマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜からなる。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層してなる。低屈折率層の屈折率は通常1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
いほど好ましい。
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置に好適に使用することができる。特に、本発明のセルロースアシレートフィルムは、液晶表示装置の光学補償シートとして用いると有効である。なお、フィルムそのものを光学補償シートとして用いる場合は、偏光素子(後述)の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償シートの遅相軸とを実質的に平行または垂直になるように配置することが好ましい。このような偏光素子と光学補償シートとの配置については、特開平10−48420号公報に記載がある。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成を有している。
以下に、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用しうる液晶表示装置の種類について説明する。
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。
以下において、セルロースアシレート粒体およびセルロースアシレートフィルムの測定方法と評価方法ついて記載する。本出願に記載される測定値は、以下に記載される方法により測定されたものである。
セルロースアシレート粒体10〜20mgを秤量しサンプルパンに入れた。DSC(走査型示差熱量計)を用いて、室温から250℃まで10℃/分で昇温し、170℃〜250℃の間に現れる吸熱ピークの面積の総和から結晶融解熱(J/g)を求めた。なお、本発明では吸熱ピークが確認できなかった場合、その結晶融解熱を0(J/g)とした。
セルロースアシレート粒体をジクロロメタンに20質量%濃度となるように溶解し、これをキャストして厚み100μmのセルロースアシレートフィルムを調製した。これを偏光顕微鏡にセットし、クロスニコル下で50倍で観察した。針状異物はクロスニコル下で輝点となって見えるため、該輝点の数を数え、単位重量あたりの個数を求めた。
セルロースアシレート粒体の硫酸根含有量をASTM D−817−96により測定した。
セルロースアシレート粒体に硝酸を加えてマルチウエーブ灰化した後に水に溶解し、ICP−OES法によりアルカリ金属量および2族金属量を測定した。
セルロースアシレートをTHFに溶解し0.5質量%のサンプル溶液を調製し、下記条件でGPCを用いて重量平均分子量(Mw)を求めた。なお、検量線はポリスチレン(TSK標準ポリスレン:分子量1050、5970、18100、37900、190000、706000)を用いて作成した。得られたMwを、下記方法で決定した置換度から求めた1セグメントあたりの分子量で割った値をDPwとした。
カラム:TSK GEL Super HZ4000、TSK GEL Super HZ2000、
TSK GEL Super HZM−M、TSK Guard Column Super HZ−L、
カラム温度:40℃
溶離液:THF
流量:1ml/分
検出器:RI
ASTM D−817−91に準じて、セルロースアシレートを完全に加水分解し、遊離したカルボン酸またはその塩をガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーで定量することによりアシル基の置換度を測定した。
(7)SP値
J.BRANDRUP, E.H.IMMERGUT, and,E.A.GRULKE"POLYMER HANDBOOK FORTH EDITION" VII/688−694(1998),JOHN WILEY & SONS,INC.に記載の値を使用する。これに記載していないものについては、以下のように求めることができる(298°Kの値)。
J.H.Hildebrand, " Solubility of Nonelectrolytes" 424−427(1950),Reinhold Publishing Co.に記載の方法に従い(1)式から求める。
SP値(σ)=[(△H−RT)/VL]1/2 (1)式
σ:溶解性パラメータ、 △H:蒸発熱、VL:モル体積、
R:気体定数(1.986cal/mol)
なお、△Hは、Hildebrand ruleに従って、沸点より(2)式から計算される298°Kに於ける値である。Hildebrand ruleによる溶解度パラメータの計算方法に関しては、J.H.Hildebrand," Solubility of Nonelectrolytes" 424−427(1950),Reinhold Publishing Co.に記載されている。
△H298=23.7Tb+0.020Tb2−2950 (2)式
Tb:沸点
1.セルロースアシレートの合成
(1)セルロースアセテートプロピオネート(実施例1〜44、49)の合成
A)活性化
攪拌装置および冷却装置を付けた反応容器に、セルロース(パルプ)80質量部、酢酸33質量部を取り、60℃で4時間処理してセルロースを活性化した。この活性化時間を変えることで針状異物量の異なる実施例17〜19のセルロースアシレートを調製した。
B)アシル化
無水酢酸32質量部、プロピオン酸540質量部、プロオピオン酸無水物558質量部、硫酸4質量部を混合し、−20℃に冷却してから反応容器に添加した。反応の最高温度が35℃になるようにエステル化を実施し、反応液の粘度が910cPとなった時点を反応の終点とした。終点での反応混合物の温度は15℃になるように調節した。水133質量部、酢酸133質量部の混合物を−5℃に冷却した反応停止剤を、反応混合物の温度が23℃を超えないように添加した。上記仕込み比を変えることで、実施例39〜44のセルロースアシレートを得た。
C)部分加水分解
反応混合物の温度を60℃とし、2時間攪拌して部分加水分解を行い、その後、濾紙を用いて濾過をした。攪拌時間を変えることによって、重合度の異なる実施例35〜38のセルロースアシレートを得た。
D)硫酸量の調整
次いで反応容器に、酢酸マグネシウム4水和物77g(硫酸に対して2当量)、酢酸77g、水77gの混合溶液を添加し(中和)、60℃で2時間攪拌した(後加熱)。濾紙を用いて濾過した後、酢酸水溶液と混合することにより得られた高分子化合物の再沈殿を実施し、70〜80℃の温水での洗浄を繰り返した。この洗浄時間を変えることによって、残留硫酸量の異なる実施例20〜29のセルロースアシレートを得た。
E)アルカリ金属、2族金属の添加
脱液の後、表1に記載のアルカリ金属、2族金属化合物の水溶液に浸漬し、30分攪拌を行った。この後に再度脱液を行った。60℃の真空中で12時間乾燥を行った。このアルカリ金属、2族金属化合物の種類、水溶液濃度を変えることによって、表1記載のM/S、すなわち(アルカリ金属と2族金属モル量の和)/(硫酸根モル量)を得た。
A)活性化
攪拌装置および冷却装置を付けた反応容器に、セルロース(リンター)200質量部、酢酸100質量部を取り、60℃で4時間処理することによりセルロースを活性化した。
B)アシル化
酢酸161質量部、無水酢酸449質量部、酪酸742質量部、酪酸無水物1349質量部、硫酸14質量部を混合し、−20℃に冷却してから反応容器に添加した。
C)部分加水分解
反応の最高温度が30℃になるようにエステル化を実施し、反応液の粘度が1050cPとなった時点を反応の終点とした。終点での反応混合物の温度は10℃になるように調節した。水297質量部、酢酸558質量部の混合物を−5℃に冷却した反応停止剤を、反応混合物の温度が23℃を超えないように添加した。
D)硫酸量の調整
反応混合物の温度を60℃とし、2時間30分攪拌して部分加水分解を行った。濾紙を用い濾過をした後、酢酸水溶液と混合することにより得られた高分子化合物の再沈殿を実施し、70〜80℃の温水での洗浄を繰り返した。
E)アルカリ金属、2族金属の添加
脱液の後、表1記載のアルカリ金属、2族金属化合物の水溶液の水溶液に浸漬し、30分攪拌を行った。この時、水溶液濃度を調整することで表1記載のM/S比を達成した。この後に再度脱液を行った。70℃で乾燥を行い、セルロースアセテートブチレート(実施例45)を得た。
上記セルロースアシレートを120℃で3時間乾燥して、含水率を0.1質量%にしたものに、二酸化珪素部粒子(アエロジルR972V)0.05質量%を添加した。さらに、安定剤(スミライザーGP(住友化学(株)製)0.3質量%)、UV吸収剤(アデカスタブLA−31(旭電化工業(株)製)1質量%)を添加した。この混合物を2軸混練押出機のホッパーに入れ、さらに表1のペレット化条件で混練した。なお2軸混練機は圧縮率3のスクリューを用い、バレル直径40mm、L/D=40、吐出量=150kg/時間で混練押出しを行った。このようにして融解した後のセルロースアシレートを直径3mmのストランド状に押出した後、10℃の水中で固化した後、長さ5mmに裁断した。このようにして調製したペレットを100℃で10分間乾燥した。
このようにして得たペレットの結晶融解熱量、針状異物、硫酸根含有量、(アルカリ金属モル量と2族金属モル量の和)/(硫酸根モル量)(表1中にはM/S比と記載)、重量平均重合度(DPw)、置換度を上記の方法により測定し、表1に記載した。
上記セルロースアシレートペレットを110℃の真空乾燥機で2時間乾燥し、残留水分を0.01質量%以下にした。これをTg−10℃になるように調整したホッパーに投入し、窒素気流下、供給部180℃、圧縮部210℃、供給部220℃にした押出機を用い、圧縮比4のフルフライトスクリューを用い、L(スクリュー長)/D(スクリュー径)=30で混練溶融した。さらに、押出機出口にブレーカープレート式の濾過を行った後、ギアポンプ通過後に4μmのステンレス製リーフ型ディスクフィルター型濾過装置を通した。
これをTダイを通して押出し、特開平11−235747号公報の実施例1記載のタッチロールを用い表1記載の線圧で製膜した。この時、キャスティングロール、タッチロールは直径400mmのものを使用し、120℃に設定した。キャスティングロールから剥ぎ取り巻き取った後、両端(全幅の各3%)をトリミングした後、両端に幅10mm、高さ50μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた後、幅1.5mのフィルムを30m/分で3000m巻き取った。
上記未延伸シートをTg+10℃にて300%/分で下記倍率に延伸した。なおTgとは各フィルムのガラス転移温度であり、DSCを用いて10℃/分で測定し、低温側からベースラインが偏寄し始める温度を指す。
延伸後のフィルムを自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃、相対湿度60%において測定した。ここには実施例1の結果を示すが、他の実施例でも同様の結果が得られた。
上記セルロースアシレートフィルムをシート状に切り出した後、80℃、相対湿度10%以下で1000時間経時(長期経時)させた。この後、400nmの吸光度を測定し、100μmあたりに換算した(実測吸光度×(100/実厚み(μm))。これを長期経時後の黄色みとして表1に示した(表1には経時着色と記載)。
(1)セルロースアシレートフィルムの鹸化
上記長期経時した未延伸セルロースアシレートフィルム、延伸セルロースアシレートフィルムに対して下記の手順で浸漬鹸化を行った。下記の手順で塗布鹸化を行った場合も同様の結果が得られた。
鹸化液として60℃に調温した1.5mol/LのNaOH水溶液を用いて、その中にセルロースアシレートフィルムを2分間浸漬した。その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、水洗浴を通した。
イソプロパノール80質量部に水20質量部を加え、これにKOHを1.5mol/Lとなるように溶解し、60℃に調温したものを鹸化液として用いた。この鹸化液を60℃のセルロースアシレートフィルム上に10g/m2で塗布し、1分間鹸化した。この後、50℃の温水を10L/m2・分で1分間スプレーして洗浄した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し厚み20μmの偏光膜を調製した。
このようにして得た偏光膜と、上記鹸化処理した未延伸セルロースアシレートフィルム、延伸セルロースアシレートフィルムを、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光軸とセルロースアシレートフィルムの長手方向が45度となるように張り合わせた。このようにして作成した偏光板を特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置に取り付け、全面白表示を行った。この時の黄色みを目視で評価して表1に記載した(LCDでの黄色み)。10点満点で評価し、黄色みの全く無かったものを0点、強い黄色みのついたものを10点とした。実用性のあるレベルは6以下であり、4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましく、0が最も好ましい。
本発明を実施したものは良好な結果が得られた。一方、比較例では着色が増加した。とくに特開2000−352620号公報の実施例3−1に準じて実施したもの(比較例5)に比べ、これに対応する実施例49では大幅な改良が認められた。
(1)未延伸フィルム
特開平11−316378号公報の実施例1の第1透明支持体に、本発明の未延伸セルロースアシレートフィルムを使用したところ、良好な光学補償フィルムを作成できた。
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを使用したところ、良好な光学補償フィルムを作成できた。また、特開平7−333433号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、本発明の延伸セルロースアシレートフィルムを用いて光学補償フィルターフィルムを作製したところ、良好な光学補償フィルムを作成できた。
本発明のセルロースアシレートフィルムを発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の実施例47に従い、本発明の延伸セルロースアシレートフィルム、未延伸セルロースアシレートフィルムを用いて低反射フィルムを作成したところ、良好な光学性能が得られた。
上記本発明の偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置に用いた。さらに、本発明の低反射フィルムをこれらの液晶表示装置の最表層に貼り目視評価を行ったところ、良好な視認性能が得られた。
さらに、可塑剤としてアジピン酸ジオクチルをセルロースアシレートに対して4質量%添加した以外はすべて実施例1と同様にして製造したもの(実施例50)、特開2000−352620号公報の化1の可塑剤2を6質量%添加した以外はすべて実施例1と同様にして製造したもの(実施例51)についても、実施例1と比較した。実施例50,51の結晶融解熱、針状異物、経時着色、LCDでの黄色みはいずれも実施例1と同様であったが、実施例51は100m製膜時からキャスティングロール上に可塑剤が析出し、実施例52は1000m製膜時からキャスティングロール上に可塑剤が析出し、これらがいずれもフィルムに転写し汚れとなった。一方、実施例1では10000m以上製膜してもフィルムへの汚れの発生は全く見られなかった。
さらに、上記無水酢酸、プロピオン酸無水物の仕込み量を変えることで、アセチル化度0.43、プロピオニル化度2.40、重量平均分子量125000、数平均分子量48000のセルロースアセテートプロピオネートを得た。
これを実施例Aの実施例1と同じ条件でペレット化したところ、結晶融解熱が0.1J/g、針状異物が0/mg、硫酸根が70ppm、M/Sが0.5、Mの種類がCa(OH)2のペレットが得られた。さらにこのペレットを用いて、タッチロール面圧を1MPaにした以外は実施例1と同様にして製膜した。得られたフィルムを評価したところ、経時着色は0.01、LCDでの黄色みは0であり、優秀な性能を示した。
(1)セルロースアシレートの合成
セルロース(広葉樹パルプ)10質量部に酢酸0.1質量部、プロピオン酸2.7質量部を噴霧した後、室温で保存した。この保存時間を変えることで表3記載の針状異物の量を変えた。別途、無水酢酸1.2質量部、プロピオン酸無水物61質量部、硫酸0.7質量部の混合物を調整し、−10℃に冷却後に、前記前処理を行ったセルロースと反応容器内で混合した。30分経過後、外設温度を30℃まで上昇させ、4時間反応させた(部分加水分解)。反応容器に25%含水酢酸46質量部を添加し、内温を60℃に上昇させて、2時間攪拌した。酢酸マグネシウム4水和物と酢酸と水とを等重量ずつ混合した溶液を6.2質量部添加し、30分間攪拌した。反応液を順番に保留粒子径40μm、10μm、5μmの金属焼結フィルターにて加圧ろ過して異物を除去した。75%含水酢酸に濾過後の反応液を混合してセルロースアセテートプロピオネートを沈殿させた後、70℃の温水にて、洗浄液のpHが6〜7になるまで洗浄を行った。更に、0.001%水酸化カルシウム水溶液中で0.5時間攪拌する処理を行った後に濾過した。得られたセルロースアセテートプロピオネートは、70℃で乾燥させた。1H−NMRの測定から得られたセルロースアセテートプロピオネートはアセチル化度0.15、プロピオニル化度2.55、重量平均重合度420、数平均重合度160であった。
さらに、上記無水酢酸、プロピオン酸無水物の仕込み量を変えて、さらに無水酪酸を添加することで、アセチル化度、プロピオニル化度、ブチリル化度の異なる表3記載のセルロースアシレートを得た。さらに部分加水分解時間を調節することで(長くするほど重合度が低下)、表3記載の重量平均重合度の異なるセルロースアシレートを得た。
表3記載のセルロースアシレートを、表3記載のSP値を持つ溶剤に10質量%に溶解しセルロースアシレート溶液とした後、下記方法のいずれかを選択し(表3に記載)セルロースアシレート粒体を作成した。
(i)析出法 貧溶剤として酢酸と水の混合溶剤(酢酸/水=1/1(重量比))を使用し、これにセルロースアシレート溶液を添加する際の攪拌機の回転数を変えることで(攪拌回転数を上げる粒体サイズが低下)、表3記載の大きさのセルロースアシレート粒体を作成した。これを濾過、水洗した後、乾燥した。
(ii)乾燥法
セルロースアシレート溶液を容器に入れ、各溶剤の沸点より10℃高い温度で乾燥させ、残留溶剤を0.01重量%以下とした。その後、これを破砕し表3記載の大きさのセルロースアシレート粒体を得た。粒体の大きさの制御は、破砕時間および、破砕後に篩い分けすることで達成した。
上記セルロースアシレート粒体を110℃の乾燥機(露点温度−20℃の空気を用い乾燥)で2時間乾燥し、残留水分を0.01質量%以下にした。これをTg−10℃になるように調整したホッパーに投入し、空気気流下で、供給部を180℃、圧縮部を220℃、供給部を230℃にした2軸押出機を用い、スクリュー回転数100rpm、混練樹脂圧力5MPaで混練溶融した。さらに、押出機出口にブレーカープレート式の濾過を行った後、ギアポンプ通過後に3μmのステンレス製リーフ型ディスクフィルター型濾過装置を通した。
これをTダイを通して押出し、特開平11−235747号公報の実施例1記載のタッチロールを用い表3記載の面圧で製膜した。この時、キャスティングロール、タッチロールは直径500mmのものを使用し、最上流側を120℃、中間を125℃、最下流を115℃に設定した3連のキャスティングロールを通過させた後、両端(全幅の各3%)をトリミングし、両端に幅10mm、高さ30μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた後、幅1.5mのフィルムを30m/分で3000m巻き取った。
実施例Aと同様にして延伸セルロースアシレートフィルムを得た。実施例Aと同様に、本発明の実施例は良好な性能を得た。
(5)未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムの高温経時着色試験
実施例Aと同様に評価を行い(経時着色)、結果を表3に記載した。
(6)偏光板の作成
実施例Aと同様にして、浸漬鹸化、偏光膜の作成、貼り合せを行い、液晶表示装置に組み込んで評価した結果を表3に記載した(LCDでの黄色み)。本発明を実施した実施例は良好な光学性能を示した。
(7)光学補償フィルム
実施例Aと同様にして、本発明の未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムから光学補償フィルムを作成したところ、良好な光学性能が得られた。
(8)低反射フィルム
実施例Aと同様にして、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた低反射フィルムを作成したところ、良好な光学性能が得られた。
(9)液晶表示素子の作成
実施例Aと同様にして液晶表示素子を作成したところ、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いたものは良好な光学特性が得られた。
また、実施例101のセルロースアシレート粒体、実施例1のセルロースアシレートペレットを混合したもの(10:90、30:70、70:30、10:90)を、実施例101と同様に製膜、延伸し、偏光板、光学補償フィルム、低反射フィルム、液晶表示素子を作成した。これらも同様に良好な結果を示した。
Claims (27)
- 結晶融解熱量が10J/g以下であることを特徴とするセルロースアシレート粒体。
- 針状異物が50個/mg以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレート粒体。
- 硫酸根含有量が0ppm以上200ppm未満であるであることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレート粒体。
- (アルカリ金属モル量と2族金属モル量の和)/(硫酸根モル量)の比が0.3〜3.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体。
- 2族金属がカルシウムであることを特徴とする請求項4に記載のセルロースアシレート粒体。
- 下記式(S−1)〜(S−3)を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体。
式(S−1) 2.6≦X+Y≦3.0
式(S−2) 0≦X≦1.8
式(S−3) 1.0≦Y≦3.0
(式中、Xはセルロースの水酸基に対するアセチル基の置換度を表し、Yはセルロースの水酸基に対するプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基の置換度の総和を表す。) - ペレット状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体。
- セルロースアシレート樹脂を、2軸混練押出機を用い、スクリュー回転数50〜300rpm、混練樹脂圧力2〜9MPa以下で混練する混練工程を含むことを特徴とするセルロースアシレート粒体の製造方法。
- セルロースアシレート樹脂を160℃〜220℃で混練押出ししてペレット化する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 2軸混練押出機内を1気圧未満にしてペレット化することを特徴とする請求項8または9に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 2軸混練押出機内に不活性ガスを流入しながらペレット化することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- ペレット化により得られたペレットを破砕する工程を含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 前記混練工程の前に、セルロースアシレートにナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物または酸化物を反応させる中和工程を含むことを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- セルロースアシレートをSP値が7〜10の溶剤に溶解してセルロースアシレート溶液を調製した後、セルロースアシレートを固化させる工程を含むことを特徴とするセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 前記SP値が7〜10の溶剤が、SP値が7〜10のエステル系溶剤、SP値が7〜10のハロゲン化炭化水素系溶剤、SP値が7〜10のケトン系溶剤の何れかであることを特徴とする請求項14に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 固化を、セルロースアシレート溶液を乾燥して溶剤を除去することにより行うことを特徴とする請求項14または15に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 固化を、セルロースアシレート溶液を貧溶媒中に導入してセルロースアシレートを析出させることによって行うことを特徴とする請求項14または15に記載のセルロースアシレート粒体の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体を溶融製膜する工程を含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 3kg/cm〜100kg/cmの線圧でタッチロールを用いて製膜することを特徴とする請求項18に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 0.3MPa〜3MPaの面圧でタッチロールを用いて製膜したことを特徴とする請求項18に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 製膜したセルロースアシレートフィルムを、少なくとも1方向に1%〜300%延伸する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18〜20のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
- 請求項18〜21のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルム。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のセルロースアシレート粒体を製膜した、残留溶媒量が0.01質量%以下であることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
- 偏光膜に、請求項22または23に記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層積層したことを特徴とする偏光板。
- 請求項22または23に記載のセルロースアシレートフィルムを基材に用いたことを特徴とする光学補償フィルム。
- 請求項22または23に記載のセルロースアシレートフィルムを基材に用いたことを特徴とする反射防止フィルム。
- 請求項24に記載の偏光板、請求項25に記載の光学補償フィルム、および、請求項26に記載の反射防止フィルムの少なくとも一つを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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