JP2008048568A - 電動機駆動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】配線ケーブルの浮遊容量の大きさに拘わらず、安定して始動することが可能な電動機駆動制御装置を提供する。
【解決手段】3相交流を交流電動機3駆動用の可変電圧・可変周波数の3相交流に変換する電力変換装置2と、電力変換装置2の出力側に直列に接続されたリアクトル4とスイッチ5との並列回路とで構成し、装置始動時にはスイッチ5を開路し、装置を始動して所定時間後にスイッチ5を閉路する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電動機駆動制御装置に係り、特にインバータによって交流電動機を駆動するのに好適な電動機駆動制御装置に関する。
インバータは、省エネルギーを目的として、電動機を可変速駆動する用途に多数使用されている。しかしながら、インバータは、接続される電動機が負荷となる機械装置近傍に設置され、長い配線を必要とする場合がある。例えば鉱山の坑道内部で使用される電動機などがこれに該当する。
このように配線ケーブルが長い場合、配線ケーブルの対地間の浮遊容量が増大し、インバータの出力に含まれる高周波電圧成分によって漏れ電流が流れてしまうという問題がある。この対策として様々な技術が提案されており、その代表としてフィルタ回路を設けて漏れ電流を抑制する方法がある(例えば特許文献1参照。)。
特開平11−196565号公報(第4−6頁、図1)
特許文献1に代表される漏れ電流抑制の手法によれば、インバータの定常時の運転に対しては効果的であるが、インバータの始動時には若干様子が異なる。配線ケーブルが大地と接してその総延長が極端に長い場合にはその対地浮遊容量が大きくなり、初期充電電流が流れる。また、対地浮遊容量ばかりでなく配線ケーブルの線間の浮遊容量も増大して、インバータの始動時に突入電流が流れる。そして上記の始動時の突入電流がインバータの装置定格を上回ると、インバータを停止させる保護が動作する恐れがあった。更に、始動時のトルクが例えば100%を超えるような負荷の場合、電流マージンがない状態で突入電流が流れるため、過電流となる確率が大きかった。
本発明は上記に鑑みて為されたものであり、配線ケーブルの浮遊容量の大きさに拘わらず、安定して始動することが可能な電動機駆動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の電動機駆動制御装置は、3相交流を交流電動機駆動用の可変電圧・可変周波数の3相交流に変換する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力側に直列に接続されたリアクトとスイッチの並列回路とを具備し、装置始動時には前記スイッチを開路し、装置を始動して所定時間後に前記スイッチを閉路するようにしたことを特徴としている。
本発明によれば、配線ケーブルの浮遊容量の大きさに拘わらず、安定して始動することが可能な電動機駆動制御装置を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の実施例1に係る電動機駆動制御装置の回路構成図である。
3相交流電源1から与えられる交流電力を電力変換装置2により可変周波数・可変電圧の交流に変換し、交流電動機3を駆動している。電力変換装置2は3相交流電圧を直流電圧に変換する整流器21と、整流器21の直流出力を平滑する平滑コンデンサ22、及び平滑された直流電圧を交流電動機3を駆動するための交流電圧に変換するインバータ23とから構成されている。整流器21はブリッジ接続されたダイオードで構成され、インバータ23はブリッジ接続されたスイッチング素子と、各々のスイッチング素子に逆並列接続された還流ダイオードから構成されている。インバータ23の各々のスイッチング素子は、制御回路から制御用のゲートパルスが供給されているが、この制御回路の図示は省略している。
インバータ23の出力側に、リアクトル4とスイッチ5とを並列に接続した並列回路が直列に接続され、その出力は配線ケーブルによって交流電動機3の入力端子に接続されている。
次に本発明の実施例1に係る電動機駆動制御装置の動作と効果について説明する。
電力変換器2の始動は、まず整流器21を運転し、平滑コンデンサ22に直流電圧を供給する。このとき、整流器21を直接投入すると、平滑コンデンサ22に初期充電の突入電流が流れてしまうので、例えば図示しない初期充電回路によって平滑コンデンサ22を所定の電圧まで充電したあと整流器21を投入するようにする。
このようにしてインバータ23の入力直流電圧を確立したあとにインバータ23の各々のスイッチング素子に所定のゲートパルスを供給する。尚、スイッチ5は開路した状態で上記操作を行う。上記のゲートパルス供給によって、インバータ23の出力の所定の線間にインバータ23の入力直流電圧に等しい電圧が瞬間的に印加される。この直流電圧の印加によって配線ケーブルの対地浮遊容量、また線間の浮遊容量に初期充電電流が流れ込もうとするが、リアクトル4がこれらの浮遊容量に直列に挿入されているので初期充電電流は抑制される。そして、上記浮遊容量への初期充電電流が静定するような第1の所定時間後、スイッチ5を閉路する事により、リアクトル4を介さない通常の運転状態に移行する。
また、交流電動機3の負荷の瞬時の起動トルクが比較的大きい場合は、その起動電流が静定するような第2の所定時間後にスイッチ5を閉路するようにすれば、更に安全に電力変換装置2の始動を行うことが可能となる。通常は第2の所定時間は第1の所定時間より長い。
以下、本発明の実施例2に係る電動機駆動制御装置を図2及び図3を参照して説明する。図2は本発明の実施例2に係る電動機駆動制御装置の回路構成図である。この実施例2の各部について、図1の実施例1に係る電動機駆動制御装置の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例2が実施例1と異なる点は、電力変換装置2に代えて多重構成の電力変換装置2Aを適用した点である。
電力変換装置2Aは、2次巻線が9個ある多重構成の入力変圧器24と、この入力変圧器24の9個の2次巻線出力に夫々接続された単相出力の単位インバータ装置2AU1、2AU2、2AU3、2AV1、2AV2、2AV3、2AW1、2AW2及び2AW3によって構成され、単位インバータ装置2AU1、2AU2及び2AU3の出力を直列接続してその一端を共通の中性点、その他端をU相出力とし、単位インバータ装置2AV1、2AV2及び2AV3の出力を直列接続してその一端を共通の中性点、その他端をV相出力とし、同様に単位インバータ装置2AW1、2AW2及び2AW3の出力を直列接続してその一端を共通の中性点、その他端をW相出力としている。
尚、上記において、各々の出力相の直列数は3段構成としているが、1段以上の任意の段数であれば良い。
ここで単位インバータ装置2AU1、2AU2、2AU3、2AV1、2AV2、2AV3、2AW1、2AW2及び2AW3は全て同一の内部構成となっている。単位インバータ装置2AU1の回路構成を図3に示す。
単位インバータ装置2AU1は、3相交流入力を全波整流する整流器21A、その直流出力を平滑する平滑コンデンサ22A及び平滑された直流電圧を交流電動機3を駆動するための単相交流電圧に変換するインバータ23Aとから構成されている。
このように単位インバータ装置の出力を多重に重ね合わせた電力変換装置を適用すれば、出力の高調波をより低減することが可能となり、前述した漏れ電流の影響を低減することが可能となる。
しかしながら、始動時のタイミングによっては各々の単位インバータ装置の直流電圧が重畳された出力となるので、初期充電電流が過大となる恐れがある。これに対してこの実施例2によれば、実施例1の場合と同様に始動の初期時にリアクトル4を介して駆動することによって始動時の初期充電電流を抑制することが可能となる。
図4は本発明の実施例3に係る多重構成の電動機駆動制御装置に用いられる単位インバータ装置2BU1の回路構成図である。この実施例3の各部について、図3の実施例2に係る多重構成の電動機駆動制御装置に用いられる単位インバータ装置2AU1の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例3が実施例2と異なる点は、平滑コンデンサ22Bをその中点が中性点となるように正側及び負側に分割してこれらを直列に接続して構成し、単相出力のインバータ23Bを3レベルインバータ構成とし、スイッチング素子を2直列して形成した各相のアームの中点を上記中性点にダイオードを介してクランプするようにした点である。
このように単位インバータ装置のインバータを多レベルにすることによって、更に出力高調波の低減が可能となるが、この実施例3によれば、実施例2で述べたように始動時の初期充電電流が大きい場合にはこれを抑制することが可能となる。
図5は本発明の実施例4に係る多重構成の電動機駆動制御装置に用いられる単位インバータ装置2CU1の回路構成図である。この実施例4の各部について、図3の実施例2に係る多重構成の電動機駆動制御装置に用いられる単位インバータ装置2BU1の回路構成図の各部と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。この実施例4が実施例3と異なる点は、入力に設けられた整流器21Cを正側及び負側に分割してこれらを直列に接続して構成し、正側及び負側夫々の出力を夫々平滑コンデンサ22Bの正側及び負側に給電するように構成した点である。
この実施例4の単位インバータ装置2CU1を図2に示した単位インバータ装置2AU1に代えて用いる場合、その入力となる入力変圧器の2次巻線を整流器21Cの正側及び負側用に2分割し、且つ夫々の2次巻線の出力電圧の位相をずらして直列多重整流し、入力高調波を低減して直流電圧のリプルを低減することが望ましい。
このように単位インバータ装置の入力の整流器を多重化して、直流リプルを低減し、この結果として出力の高調波成分を低減することが可能となるが、この実施例4によれば、実施例2で述べたように始動時の初期充電電流が大きい場合にはこれを抑制することが可能となる。
本発明の実施例1に係る電動機駆動制御装置の回路構成図。 本発明の実施例2に係る電動機駆動制御装置の回路構成図。 実施例2に用いられる単位インバータ装置の回路構成図。 本発明の実施例3に係る電動機駆動制御装置の単位インバータ装置の回路構成図。 本発明の実施例4に係る電動機駆動制御装置の単位インバータ装置の回路構成図。
符号の説明
1 3相交流電源
2、2A 電力変換装置
2AU1、2AU2、2AU3、2AV1、2AV2、2AV3、2AW1、2AW2、2AW3、2BU1、2CU1 単位インバータ装置
3 3相交流電動機
4 リアクトル
5 スイッチ
21、21A、21B 整流器
22、22A 平滑コンデンサ
23、23A、23B インバータ
24 入力変圧器

Claims (6)

  1. 3相交流を交流電動機駆動用の可変電圧・可変周波数の3相交流に変換する電力変換装置と、
    前記電力変換装置の出力側に直列に接続されたリアクトとスイッチの並列回路と
    を具備し、
    装置始動時には前記スイッチを開路し、
    装置を始動して所定時間後に前記スイッチを閉路するようにしたことを特徴とする電動機駆動制御装置。
  2. 前記電力変換装置は、
    3相交流を直流に整流する整流器と、
    この整流器の直流出力を平滑するコンデンサと、
    このコンデンサにより平滑された直流を3相交流に逆変換するインバータと
    から成ることを特徴とする請求項1に記載の電動機駆動制御装置。
  3. 前記電力変換装置は、
    その2次巻線が3N(Nは正の整数)である入力変圧器と、
    前記2次巻線の各々を入力とし、単相交流を出力する3N個の単位インバータ装置と
    から成り、
    前記3N個の単位インバータ装置を3分割し、N個の単位インバータ装置の出力を直列接続した直列接続体を3組設け、
    前記各々の直列接続体の一端を共通の中性点として互いに接続し、
    前記各々の直列接続体の他端から出力を得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電動機駆動制御装置。
  4. 前記単位インバータ装置は、
    3相交流を直流に整流する整流器と、
    この整流器の直流出力を平滑するコンデンサと、
    このコンデンサにより平滑された直流を単相交流に逆変換するインバータと
    から成ることを特徴とする請求項3に記載の電動機駆動制御装置。
  5. 前記単位インバータ装置は、
    3相交流を直流に整流する整流器と、
    この整流器の直流出力を平滑し、直列接続された正側及び負側のコンデンサと、
    このコンデンサにより平滑された3レベルの直流を単相交流に逆変換する3レベルインバータと
    から成ることを特徴とする請求項3に記載の電動機駆動制御装置。
  6. 前記電力変換装置は、
    その2次巻線が6N(Nは正の整数)である入力変圧器と、
    前記2次巻線のうち2個を入力として直列多重整流し、3レベルの直流を平滑する平滑コンデンサを介して単相3レベル交流を出力する3N個の単位インバータ装置と
    から成り、
    前記3N個の単位インバータ装置を3分割し、N個の単位インバータ装置の出力を直列接続した直列接続体を3組設け、
    前記各々の直列接続体の一端を共通の中性点として互いに接続し、
    前記各々の直列接続体の他端から出力を得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電動機駆動制御装置。
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