JP2008047176A - 光ディスク - Google Patents

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Shozo Ninomiya
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Abstract

【課題】ベアディスクとして提供可能な光ディスクであって、数μmの厚みで形成されたときに、迅速に硬化し、かつ表面強度、帯電防止性、および指紋付着の制御に優れた、ハ−ドコートを備える、光ディスクを提供する。
【解決手段】多官能アクリレートと電解質と反応性シリコーンを含む塗料を光硬化させた皮膜で構成されたハードコートをカバー層上に設けることにより、性能が安定しており、かつ安価に製造可能な、光ディスクを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、映像および音響分野において、光情報記録媒体として使用される、基材、メディア層、カバー層およびハードコートを備えた光ディスクに関し、特に青紫色の光源で情報の記録および再生を行う光ディスクに関する。
近年、次世代光ディスクであるブルーレイ用の光ディスク(Blu-ray Disc)の開発が活発に行われている。CDおよびDVDなどの光ディスクは現在すでに普及しているが、さらなる高密度、高容量および小型化に対する要求がある。また、昨今では、HDTVに対応した、高い性能および高い品質を有する光ディスクの開発も進められており、ディスクを構成する各部材の性能向上が、なお一層求められている。特に、ブルーレイ用の光ディスクは、記録および再生用のレーザー光の短波長化に伴い、開口度を高くして、高密度化を図っているため、記録および再生は、レーザー光をカバー層およびハードコートの側から入射させて実施する。そのため、これらの層の特性に対する要求は、従来とは比較にならないほど、より厳しいものとなっている。
より優れたカバー層およびハードコートを開発することを目的として、従来多くの光硬化型の樹脂が検討され。中でもハードコートについては、ベアディスク実現のキーポイントとして多くの提案がされてきた。
ハードコートを構成する樹脂については、例えば、樹脂中に導電剤を添加して、帯電防止性を有するようにする、また、非反応性のシリコーンオイルの混合により指紋が付着しにくい防汚性質を有するようにする等の改良が加えられてきた。例えば、特許文献1においては、アクリル系樹脂中に導電剤としてリン酸類を混合すること、ならびにアミン類を有する高分子型界面活性剤で塗料を構成することが提案されている。特許文献2においては、アクリル樹脂中に4級アンモニウム塩を混合して、導電性樹脂を得ることが提案されている。
特開平4−47539号公報 特開平4−366433号公報
しかしながら、これらの文献に記載の技術を用いても、利用上満足できる効果は得られず、光ディスクの性能は不十分であった。上記特許文献1に記載の技術は、高分子形態を有する反応基を利用するものの、イオン伝導を発揮させるために、反対イオンに塩素が生じる塩酸処理した化合物が添加されている。このため、高温・高湿雰囲気下で腐食試験を実施すると、ハードコート膜の材質劣化が生じるとともに、金属などを腐食させる。よって、特許文献1に記載の技術は、良好な特性を有するベアディスクを与えない。上記特許文献2に記載の技術においては、導電剤がアンモニウム塩であって、スルホン基の対イオンを有している。この導電剤は、硬化に寄与する活性基を有しない、低分子量の化合物であるから、これを添加しても、物質が硬化した後に膜中に充分に保持されない。そのため、特許文献2に記載の導電性樹脂は、導電性能が持続的に発揮されないという点で、特許文献1に記載の技術よりも、光ディスクのハードコートとしては望ましくない。
また、上記特許文献に開示されているものは、硬化剤と導電剤のみから構成された塗料である。よって、そのような塗料を用いて構成したハードコートにおいて、防汚効果は期待できず、光ディスクのハードコートとしては実用的ではない。この他、従来、硬度と導電、硬度と防汚等、2つの機能に限定対応した組成は多数開示されているが、3つの機能を一度に発揮できる組成は従来提案されていなかった。
本発明は、上記の課題を改良するべく、耐摩耗、帯電防止、および防汚性が同時に発揮されるハードコートを備えた光ディスクを開発することを目的としてなされたものである。さらに、本発明は、そのようなハードコートを備えたベアディスクを、安価で、かつ簡便な方法で、提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定の成分を含む塗料を硬化させた皮膜をハードコートとすることにより、上記目的が達成されることがわかった。即ち、本発明は、基材およびその上に形成されたメディア層を有する光ディスクであって、多官能アクリレートと電解質と反応性シリコーンとを含む塗料を光硬化させて成る皮膜であるハードコートを備えていることを特徴とする光ディスクを提供する。
上記構成を有する、本発明の光ディスクは、高強度、良導電性、および指紋付着などの防汚の特性がバランスよく発揮されるハードコートを有するものとなり、ベアディスクとして提供することができる。また、カバー層を、シリコーン樹脂またはウレタンアクリル樹脂等で構成してよく、その場合には、カバー層の上に上記特定の成分を有するハードコートを形成することにより、容易に2層構造が得られる。よって、本発明によれば、安価で、かつ簡便な方法で、ブルーレイディスク等の光ディスクを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる光ディスクの模式図である。
図1に示す、本発明の光ディスクは、基材1の片面に、メディア層2、カバー層3、およびハードコート4が、順次積層されて、構成されている。
基材1は、メディア層2を形成するための支持体となるものであり、ディスクの透明性および平面性を確保し得る限りにおいて、その材料は、有機材料であってよく、あるいは無機材料であってよい。例えば、基材1は、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、またはポリビニル樹脂から成ってよく、ポリカーボネート樹脂から成ることが好ましい。ポリカーボネートから成る基材は、温度変化および湿度変化に伴う変形が生じにくいという性質を有し、また、機械的損傷を受けにくいことによる。基材の厚みは特に制限されないが、1〜1.1mmが好適である。
メディア層2は、反射、記録、および誘電等、記録および再生に必要な光学的および電気特性を有する層である。ここで、「メディア層」という用語は、それらの機能を有する層を総称するために用いている。メディア層2は、記録媒体として必要な各種機能を発揮する層である限り、任意の無機材料および/または有機材料から成ってよい。メディア層2は、単層構成であってもよく、あるいは多層構成であってもよい。例えば、メディア層2が、反射膜としての機能を発揮する層である場合またはそのような層を含む場合、当該反射膜としての層は、金属から成り、代表的には、銀、金、およびアルミから選択される1または複数の金属から成る。通常は、反射膜の上に、例えばGe合金から成る記録膜、および例えばTa合金から成る誘電膜が、必要に応じてさらに積層されて、メデイア層2が構成される。ここでは、メディア層2の構成を例示的に説明しているが、メディア層2の構成はこれらに限定されず、任意の他の構成であってよい。メディア層2は、スパッタ法および真空蒸着法等によって形成することができる。
カバー層3は、光硬化型の樹脂で形成され、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリカ系等、汎用の樹脂で形成してよい。尤も、カバー層3は、所定の光透過率、屈折率および低硬化収縮性を有し、温・湿度変化に対する変形が小さく、腐食および変色のない、構造および組成を有する限りにおいて、その材料は特に限定されない。
ハードコート4は、前述のように、多官能アクリレートと電解質と反応性シリコーンとを含む塗料を光硬化させて成る被膜である。この塗料において、多官能アクリレートは、好ましくは2種以上の多官能アクリレートから成る混合物であることが好ましく、少なくとも1種類の多官能アクリレートが、3官能アクリレートであり、少なくとも1種類の多官能アクリレートが4官能以上のアクリレートであることがより好ましい。
3官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプパンPO変性トリアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO(3モル)変性トリアクリレート、トリメチロ−ルPO変性(6モル)トリアクリレート、トリメチロ−ルEO変性(3モル)トリアクリレート、トリメチロ−ルEO変性(6モル)トリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、およびグリセリンプロポキシトリアクリレート等を使用できる。
4官能以上のアクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、およびペンタエリスリトールテトラアクリレート等を使用できる。
多官能アクリレートは、これを硬化させるために、光重合開始剤と混合して用いる。開始剤としては、例えば、ケトンおよびキノン類等の市販のものを使用してよく、具体的には、イルガノキュアー651、1173および184、ならびにダロキュアーEHAおよびEDB等を使用してよい。光重合開始剤は、光源波長に応じて吸収感度が良くなるように、また、樹脂溶解性、コスト、入手の容易性、および取り扱い性等を考慮して、選定される。配合量は、硬化成分(多官能アクリレート)の量に対して、通常、5%以内、好ましくは1〜3%である。
塗料には、導電剤として、電解質が含まれる。電解質は、好ましくは、下記一般式(I)に示すように、分子内に4級アミン類型の骨格を有する。
Figure 2008047176
式中、R1〜R4は下記の3つの組み合わせのうち、いずれか1つの組み合わせとなる。
(第1の組み合わせ)
1〜R3:端部にアクリル基またはメタクリル基を有する脂肪族アルキル基
4:飽和炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸イオン
または
(第2の組み合わせ)
1〜R3:-CH3
4:飽和炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸イオン
または
(第3の組み合わせ)
1〜R2:-CH3
3:高級炭化水素鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する基
4:飽和炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸イオン
第3の組み合わせにおいて、高級炭化水素鎖は、好ましくは炭素数が10を越える。ポリオキシアルキレン鎖を有する基は、例えば、CH(C2xO)ny2y−で表されるような基であり、好ましくは、CH(CO)−で表される基である。
1〜R4が第1の組み合わせとなる電解質は、例えば、エチルおよびプロピル等の脂肪族アルキル基の端部にメタクリロキシ基またはアクリロキシ基が結合した基が、R1〜R3として結合している化合物である。この化合物は、ジメチルアミノエチルメタクリルレートまたはジメチルアミノプロピルメタクリレートのような第3級アミノ化合物と、アクリレートやメタアクリレートのような低級アクリル酸とを反応させることにより得た物質を、酸類と接触させて、カルボン酸塩を与えるような、高分子電解質である。そのような化合物は、(株)日本化成製より提供されている、UVAS-003系等の塗料として入手できる。これらはアミンのカチオンに対応するアニオンがハロゲンのような腐食性イオンで構成されていないので、膜の安定化が期待できる。
1〜R4が第2の組み合わせとなる電解質は、例えば、Nに3つのメチル基が結合した、酢酸塩の構造を有する物質である。具体的には、そのような化合物は、エルゴチオネイン、カルニチン、およびパルミチン酸カルニチン等である。
1〜R4が第3の組み合わせとなる電解質は、Nに2つのメチルと長鎖の置換基が結合した、酢酸塩の構造を有する物質である。具体的には、そのような化合物は、メチルセチルベタイン、ソイアミドベタイン、ベヘニルベタイン、オレイルベタイン、およびステアリルジヒドロキシエチルベタイン等である。
電解質は、他に、有機スルホン酸(例えば、アルキルアクリル酸)またはポリアクリル酸(例えば、ポリアクリル酸ホスホニルコリングリコール)であってもよい。
塗料には、反応性シリコーンが含まれる。反応性シリコーンは、防汚性を光ディスクに付与する。反応性シリコーンオイルは、一般式(II)に示すように、一方または両方の端部に(メタ)アクリル基またはビニル基を1つ以上有し、側鎖に低級炭化水素鎖を置換基として有する構造のものであることが好ましい。
Figure 2008047176
(式中、m:0〜4のいずれか1つの整数であり、R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を有する置換基、または炭素数1〜3のHもしくF含有の飽和炭化水素鎖であり、R5aおよびR5bのうち少なくとも一方が、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を有する置換基であり、R6は、炭素数1〜3のフッ素を有してよい飽和炭化水素鎖もしくはアルコキシ基である。)
上記式(II)において、R5aおよびR5bのうち少なくとも一方が、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を有する置換基であり、好ましくは両方が、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を有する置換基である。(メタ)アクリル基を有する置換基は、例えば、CH=CHCOO(CH−(但し、aは0〜5のいずれか1つの整数)、CH=C(CH)COO(CH−(但し、bは0〜5のいずれか1つの整数)で表わされる。mは、0〜4のいずれか1つの整数である。mが4よりも大きいと、膜の強度が低下することがあり好ましくない。
より具体的には、反応性シリコーンは、片末端または両端がメタクリロキシ基で変性されたジメチルシリコーンであり、官能基当量が950〜12000のものであることが好ましい。あるいは、反応性シリコーンは、ジビニルジメチルポリシロキサン、ジビニルジエチルポリシロキサン、ジビニルメチルフッ化ポリシロキサン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシリコーン、γ-メタクリロキシプロピルトリメチルシリコーン、またはγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシリコーンなどがある。
防汚性を付与する物質は、硬化中に主材の樹脂と反応して、膜硬化物として存在する末端構造を有し、かつ炭化水素鎖が表面に露出する物質であればよく、必ずしも反応性シリコーンに限定されない。反応性シリコーンのような添加物は、分子が反応して硬化膜中に保持され、高温・高湿雰囲気下での長期試験でも動くことなく固定されている。よって、反応性シリコーンを用いると、指紋抑制等の効果が持続的に顕著に発揮される。これに対し、従来の非反応性の単なるシリコーンオイルを添加物として塗料に混入すると、防汚機能が低下し、好ましくない。
ハードコート4は、カバー層3と同様の方法で形成することができ、例えば、スピンコート法等の公知の塗布方法によって、メディア層上に塗料を塗布し、光線を充分に照射して硬化させることにより形成できる。形成方法として、スピンコート法のほかに、バーコータ法、グラビアコータ法、リバースコータ法、およびスクリーン印刷法などの湿式法も適用可能である。光源は、特に制限されず、キセノン、メタルハライド、および高圧Hgなどの汎用ランプ等が使用可能である。また、光源種に対応した開始剤を選定すると、反応は迅速に進行する。
カバー層3は、ウレタンアクリル樹脂およびシリコ−ン樹脂から選択される、1または複数の樹脂から成ることが好ましい。ハードコート4を、これらの樹脂のうちのいずれかから成るカバー層3上に形成すると、強度、帯電防止および防汚のバランスのとれた2層構造膜となり、ブルーレイ用のベアディスクの提供を容易に実現できる。
(実験例1)
基材として、ランドおよびグルーブを与える複数の溝が一方の面に形成された、ポリカーボネートから成るディスク形状の板状体(直径120mm、厚み1mm)を用いた。基材の複数の溝が形成された面の上に、銀から成る厚み50nmの反射膜をスパッタリング法で形成した。次に、反射膜の上に、ウレタンアクリル樹脂を、スピンコート法で厚み98μmとなるように塗布し、メタルハライド光源(照度300mW/cm、積算エネルギー1500mJ/cm)で硬化させて、カバー層を形成した。さらに、このカバー層の上にハードコートを形成した。ハードコートは、各サンプルについて、表1に示す組成を有する塗料を用い、スピンコート法で、厚み2μmとなるように塗布し、キセノン光源(照度700mW/cm、積算エネルギー2000mJ/cm)で硬化させた。いずれのサンプルにおいても、重合反応開始剤として、イルガキュアー1173を使用し、これを、表1にて硬化剤として示されている成分の質量に対して、2%の量で塗料に混合した。なお、厚みは、レーザー反射による専用測定器(キ−エンス社製)で求めた。以下においても同様である。また、成膜雰囲気は、25℃/50%RH下で実施しており、以下においても特に断りのない限り同様である。
サンプルNo.1−1は、硬化剤として、3,4官能タイプのアクリレートを、3官能:4官能=90:10の配合比で、2種混合している。これに導電剤として、分子量の大きい4級アンモニウム塩を配合し、防汚剤として、両端にビニル基が結合した、メチルシリコーンを配合している。
サンプルNo.1−2は、硬化剤として、サンプルNo.1−1で使用した物質と同じ系列の物質を使用し、導電剤として、Nに3つのメチル基が結合した、低分子量アンモニウム塩を使用し、防汚剤として、両端にアクリル基が結合した、メチルシリコーンを使用した。サンプルNo.1−3は、硬化剤として、サンプルNo.1−1で使用した物質と同じ系列の物質を使用し、導電剤として、Nに2つのメチル基が結合したものであって、サンプルNo.1−2で使用したものとは異なる種類の低分子量アンモニウム塩を使用し、防汚剤として、片末端にアクリル基が結合した反応性シリコーンを使用した。
サンプルNo.1−4は、硬化剤として、1種の多官能アクリレートを使用し、導電剤として塩酸処理した電解質を使用し、防汚剤として、非反応性のシリコーンオイルを使用した。いずれのサンプルにおいても、配合割合は硬化剤:導電剤:防汚剤=98:1:1(重量%)とした。
Figure 2008047176
表1の組成を有する塗料を硬化させて成る、ハードコートを有する、光ディスクを評価した。性能評価は、次のようにして実施した。
表面の強度を知るために、ラボ用ピンセントの先端でハードコート表面を引っ掻き、引っ掻き傷の有無を調べることを、簡易強度テストとして実施した。摩耗テストは、テーバー試験機を用い、ISO9352に準拠して実施した。すなわち、負荷加重250gfの下で、摩耗輪CF-10Fを用い、ディスク回転数60rpmで、5回摺動してテストした。耐摩耗の強弱は、光ディスク光学機械特性測定機(形状測定チルト機 アーガス社製)で得られる反射率を比較して、評価した。すなわち、試験前後の反射率の差が大きいほど、表面損傷を受けており、耐摩耗性が小さいことを示している。
帯電性は、表面電気抵抗計でハードコート表面の抵抗値(Ω)を求めることにより評価した。また、ディスク表面に初期電圧を任意に印加し、その値が初期値から減衰して半分の値になるまでの時間を、半減値として、測定した。なお、いずれの評価においても、測定雰囲気は、特に断りがない限り、25℃/50%RHで実施している。
防汚性は、指紋を一定の力で押印し、付着状態を観察することにより、その良否を評価した。付着形態が、ビームの光路に影響与えないような液滴のような状態であれば、トラッキングも妨害されず、記録時のエラー発生も小さい。ディスクの表面エネルギーが小さいと、指紋等の油分および水分が付着しにくく、かつふきとりも容易である。
これらのサンプルについて、引っ掻きによる簡易強度テストを実施したところ、いずれのサンプルにおいても、表面に傷は見られず、タックフリーの硬化状態であった。
サンプルNo.1−4の硬化後の表面を観察すると、凸凹を有している状態であり、平滑性のない仕上がりであり、また、防汚剤の表面ブリードのせいか、表面が薄い白色を呈していた。テーバー試験を実施すると、ディスク表面に損傷が顕著に生じ、反射率の低下が5%以上であった。一方、導電性は、1×1012(Ω)で、半減値も1min以下と良好であった。指紋を付着させたディスク表面を観察したところ、初期には液滴形状であり良好な防汚性能を有していたが、指先に付着物が残り、また、試験面をティッシュでふきとった後に、さらに指紋付着試験を行うと、面状の指紋痕となり、防汚性能の持続性に欠けた。
これに対しサンプルNo.1−3は、摩耗試験後の反射率低下は1.3%であって、良好な耐摩耗性を示し、また、高強度であった。導電性について評価したところ、半減値は10min以下となり、サンプルNo.1−4より半減値は長くなったものの、抵抗値は1×1013(Ω)であった。また、このサンプルに付着させた指紋痕を観察したところ、粒状の液滴であり、良好な防汚性を有していた。よって、このサンプルは、光ディスクとして有用であった。
サンプルNo.1−2は、強度および導電性は、サンプルNo.1−3とほぼ同等程度であり、良好であった。防汚性を評価したところ、指紋付着を数回繰り返すべく、同じ面をティッシュで拭き取っても、初期性能はまったく低下することなく、防汚性能が持続的に発揮された。これは、防汚剤の両端が反応基を有し、硬化時に、硬化剤と良好に反応したためであると考えられる。サンプルNo.1−1は、テーバー摩耗試験後の反射率低下は1%以下であり、強度も高かった。導電性について評価したところ、1×1012(Ω)で、半減値は2〜3minであり、また、指紋付着を数回繰り返しても、初期の防汚性能が持続していた。
このことから、サンプルNo.1−1〜1−3のように、硬化剤として強度を確保するために多官能アクリレートを2種以上混合して使用し、導電剤として電解質を使用し、防汚剤として反応性シリコーンを使用して、ハードコートを構成することにより、所期目的が達成されることが理解される。組成によっては、各評価項目に対応する性能に差はみられるが、いずれも光ディスクとして必要な特性を充分に発揮しているレベルである。
また、特定の硬化剤、導電剤、および防汚剤を使用したハードコートを、カバー層上に形成したディスクは、ブルーレイディスク用のベアディスクとして、供給することが可能なものである。なお、言うまでもなく、この実験例にて示した組成は、一例にすぎず、本発明はこれらの組成に限定されない。
(実験例2)
次に、実験例1で使用したものと同じ基材を使用して、この基材の上に直接ハードコートを形成して、ハードコートを評価した。
ハードコートは、サンプルNo.2−1〜2−3について、硬化剤、ならびに反応性を有する導電剤、および防汚剤としての反応性シリコーンを含み、表2に示す組成を有する塗料を用い、サンプルNo.2−4について、硬化剤のみを含む塗料を用い、スピンコート法で、厚み5μmとなるように塗布した。その後、実験例1にてハードコートを硬化させるのに用いたのと同じ光源を使用して、塗料を硬化させた。また、いずれのサンプルにおいても、重合反応開始剤として、イルガキュアー184を使用し、これを、硬化剤全体の質量に対して、2%の量で混合させた。なお、厚みは、レーザー反射による専用測定器(キ−エンス社製)で求めた。以下においても同様である。
サンプルNo.2−4は、硬さが一般的には充分に得られるであろうと考えた組成で構成し、多官能アクリレートのみを有する皮膜として試作した。したがってサンプルNo.2−4は、導電剤および防汚剤は含有しないので、導電性および防汚性が極めて低いものである。
Figure 2008047176
各サンプルを、実験例1と同様に評価した。その結果を、表3に示す。
Figure 2008047176
表3に示すように、いずれのサンプルにおいても、ピンセットでの引っ掻きによる簡易強度テストの結果、傷が無く、タックフリーであった。
耐摩耗性を評価したところ、サンプルNo.2−4は、硬化剤のみから成る構成であるので、高強度および高耐摩耗性が期待されたが、反射率の低下は2%であり、一般的であった。
これに対し、サンプルNo.2−1、2−2および2−3は、導電剤および防汚剤を含有しているにもかかわらず、テーバー試験の結果、反射率の低下は、いずれも1%前後であり、耐摩耗性は非常に高いものであった。またこれらのサンプルは、3〜7min程度の短い半減値であり、指紋付着に対する防汚性も良好であった。
このことから、本発明に相当するサンプルNo.2−1〜2−3のサンプルのように、架橋を促進する導電剤および防汚剤を硬化剤ととともに使用することによって、硬化剤のみで強度を確保したサンプルNo.2−4よりも、高強度のハードコートが得られることがわかる。したがって、硬化剤以外の成分は、単に、所定の機能を発揮するような、非反応性の低分子化合物では不十分であり、それらが反応して強度にも寄与する材料であることが必要である。
(実験例3)
カバー層と表4に示す組成の塗料を硬化させて成るハードコートとを有する積層構造のベアディスクを作成し、腐食試験(85℃/80%RH/100Hr)を実施して、実用信頼性を評価した。サンプルNo.3−1のハードコートは、日本化成(株)製のUVAS-003Sとして入手した材料を用いたものであり、サンプルNo.3−2のハードコートは、一般的な組成を有する導電性樹脂に相当する。カバー層およびハードコートは、実験例1と同様にして形成した。各組成のハードコートについて、厚みが、2、5、10μmである、3種類の光ディスクを作成した。いずれの光ディスクにおいても、カバー層とハードコートを合わせた全体の厚みが100μmになるように、ハードコートの厚みに応じてカバー層の厚みを調節した。硬化条件は、実験例1で用いたものと同様の条件とした。
Figure 2008047176
各サンプルについて、テーバー摩耗試験前後での反射率の差を測定した。ハードコートの厚みと反射率の差との関係を、図2に示す。図2より、サンプルNo.3−2では、厚みが10μmのような厚いハードコートを設けた光ディスクについても、3%以上の反射率の低下が見られ、薄くなるにつれて、その差はますます大きくなり、積層領域である2μmでは10%近くの低下があった。また、ディスク面を観察したところ、表面に異物が多く発生していた。また試作直後の表面は、平滑ではなかった。
これに対し本発明に相当する、サンプルNo.3−1は、ハードコートが厚くなると、反射率の差に殆ど変化は見られず、また、ハードコートが薄くても、反射率の差はやや大きくなるものの、その低下は小さかった(2μmの厚みで1%程度の低下)。厚み10〜2μmのハードコートについて、強度にほとんど問題はない。また、表面異物の発生等は皆無であり、試作直後の平滑面の仕上がりと同じであった。
このことは本発明のハードコートを有するディスクでは、高温・高湿の雰囲気に長期間暴露されても、ハードコートの材質が変化することなく、また、皮膜中に混合されている導電剤および防汚剤が、硬化時に主材と反応して、膜中に確実に取り込まれることを示している。したがって、上記特定の硬化剤、導電剤および防汚剤を含む塗料を硬化させて成る、ハードコートを備えた本発明の光ディスクは、ベアディスクとして提供可能であるといえる。
上記特定のハードコートを備えた光ディスクは、ハードコート側からの光照射によって記録および再生する、光ディスク、特に、ブルーレイディスクに好適である。また、本発明の光ディスクは、DVD、HDTVおよびコンピューターメモリなど民生および業務用の種々の分野におけるメディアとして利用可能である。
本発明の一実施形態の光ディスクの概略断面図 実験例3で行った腐食試験の結果を示すグラフ
符号の説明
1 基材
2 メディア層
3 カバー層
4 ハードコート

Claims (5)

  1. 基材およびその上に形成されたメディア層を有する光ディスクであって、多官能アクリレートと電解質と反応性シリコーンとを含む塗料を光硬化させて成る皮膜であるハードコートを備えていることを特徴とする光ディスク。
  2. 前記塗料が、2種類以上の多官能アクリレートを含み、少なくとも1種類の多官能アクリレートが3官能アクリレートであり、少なくとも1種類の多官能アクリレートが4官能以上のアクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク。
  3. 前記電解質が、下記一般式(I)に示すように、分子内に4級アミン類型の骨格を有することを特徴とする、請求項1に記載の光ディスク。
    Figure 2008047176
    式中、
    1〜R3:端部にアクリル基またはメタクリル基を有する脂肪族アルキル基
    4:飽和炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸イオン
    または
    1〜R3:-CH3
    4:飽和炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸イオン
    または
    1〜R2:-CH3
    3:高級炭化水素鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する基
    4:飽和炭化水素鎖を有する脂肪族カルボン酸イオン
  4. 前記反応性シリコーンが、下記一般式(II)に示すように、一方または両方の端部に(メタ)アクリル基またはビニル基を1つ以上有し、側鎖に低級炭化水素鎖を置換基として有することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
    Figure 2008047176
    (式中、m:0〜4のいずれか1つの整数であり、R5aおよびR5bは、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を有する置換基、または、炭素数1〜3のHもしくF含有の飽和炭化水素鎖であり、R5aおよびR5bのうち、少なくとも一方が、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を有する置換基であり、R6は、炭素数1〜3のフッ素を有してよい飽和炭化水素鎖もしくはアルコキシ基である。)
  5. ウレタンアクリル樹脂およびシリコーン樹脂から選択される、1または複数の樹脂から成るカバー層を備え、かつ当該カバー層の上に前記ハードコートが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
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