JP2008046740A - 喘息治療管理システム、喘息治療管理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】患者が患者宅11bで計測操作したピークフロー値は呼吸計測器11b−1から電話回線経由でサーバ11d−1へ送信される。サーバ11d−1は通期治療期間の上限期間のピークフロー値のトレンドデータが一括で表示または印刷が可能となるように、生体情報レポートを自動生成する。
【選択図】図11
Description
ピークフローメータが出回るようになってもう何年にもなる。多くの臨床医が、毎日のPEFR測定によって喘息の発生を早期に警告することができることを認識している。しかし、毎日のピークフロー監視を勧める自己管理プログラムは、未だに標準ではなくむしろ例外的である。喘息治療の予防的アプローチを支持するにあたって、全国喘息教育プログラムは、喘息の管理に対して介入ではなくむしろ予防的アプローチを取り入れるように臨床医および患者に勧めている。
・現在の薬物治療の投与方法の効果を検討する
・上昇または下降する個人の最高PEFおよびFEV1の傾向である季節的パターンを検出する
・多期間にわたっての気道の安定性を評価する
・毎日のピークフロー監視を含む自己管理プログラムの順守度を評価する
・良く管理プログラムに従って事への褒美として医者および/または親が用いることのできる奨励システムのための基準を設定する際にいくつかの利点を得ることができる。
機械式ピークフローメータにおいては、息がストリング抑制式デフレクタを変位させ、これがポインタを目盛にそって動かして検査の結果を示す。ほとんどの機械式メータは装置間の精確さおよび再現性が比較的低い成形プラスチック部材の単なる集まりにすぎない。それらが使われていた頃には、それらの装置は、特に絶対的な結果よりも比較的な成績がより重要である場合に、ある程度精確な示度を得るために有用であった。ある期間にわたった記録を作れるかは、全く利用者の自制心および注意次第であった。
最も初期の型の電子式ピークフローメータおよび個人用肺活量計においては、設計者は、機械式装置のスプリング抑制式デフレクタを肺流速計センサに置き換えただけであった。すべての型が計算を取り扱うためのマイクロプロセッサおよびテスト結果の数字を表すための液晶表示装置を用いている。
1.それらは元来低コストに設計されていないので高価である。
2.装置の対人インタフェースを介して直ちに入手可能な記憶装置に残るある期間にわたっての記録を生じず、毎日の監視の一連の手順の不便さを最小限のものにできないでいる。
3.先行の検査の結果を示すことによって傾向についての情報を表すことをしない。
4.利用者の注意を気道の状態および傾向に計画的に向けさせることがなく、それらの対人インタフェースは小さな子供が用いるのには適していない。
5.利用者がテストの結果のいずれかを薬物治療後の結果として明示することを可能にしていない。
6.時宜にかなってかつ効率的に医者に臨床情報を届けることのできる低コストのメカニズムを利用者に提供していない。
7.健全、迅速な判読および適切な医療判断を容易にするようにデザインされた明確な図表を用いた記録表を医者に提供するものではない。
8.データを収集、精査するために医者がコンピュータを必要とすることを無くしていない。
9.管理プランへの順守度を医者が追跡する必要があることについて、あるいは喘息管理プランの効率を調べる系統的な方法についても取り組んでいない。
10.統計的分析のための検査結果の系統的収集の手段が講じられていない。
そこで本発明は、この新しい健康保険適用基準あるいはこれに準ずる基準に適合し、且つ、医学的な治療効果や医療経済効果が改善された喘息治療管理システム、喘息治療管理方法を提供することを目的とする。
(1)予め医療従事者が決定したコントロール計画書に従い、ピークフロー自己最良値に対するピークフロー計測値の到達率に応じて、服薬を含めた異なる対応により喘息疾患患者自身による自己管理を行おうとするゾーンシステムに準拠して喘息疾患患者の治療管理に用いるための、喘息治療管理システムであって、
喘息疾患患者のピークフロー値および1秒量値を含む生体情報を、第1の時間間隔で計測する電子式ピークフロースパイロメータと、
計測された生体情報を用いて、ピークフロー計測値のトレンドを含むレポートを生成するレポート生成手段と、
生成されたレポートを、第2の時間間隔で所定の受信手段へ送信する送信手段とを有し、且つ、
下記する(A)又は(B)の内の少なくともいずれかを有することを特徴とする喘息治療管理システム。
(A)当該治療管理に対する健康保険からの治療費用償還が行われる通期治療期間の上限として予め定められた所定期間内におけるピークフロー計測値のトレンドを一括して表示するよう構成された、レポート生成手段。
(B)送信手段が送信を行ったレポートを受信して、所定期間内のピークフロー計測値のトレンドを一括して表示または印刷を行うよう構成されたレポート受信手段。
(2)レポート生成手段および/またはレポート生成手段は、ピークフロー計測値のトレンドを、当該計測を行った季節的な環境条件を示す情報と共に表示および/または印刷を行うよう構成されたことを特徴とする(1)に記載の喘息治療管理システム。
(3)予め医療従事者が決定したコントロール計画書に従い、ピークフロー自己最良値に対するピークフロー計測値の到達率に応じて、服薬を含めた異なる対応により喘息疾患患者自身による自己管理を行おうとするゾーンシステムに準拠して喘息疾患患者の治療管理を行うための、喘息治療管理システムであって、
喘息疾患患者のピークフロー値および1秒量値を含む生体情報を、第1の時間間隔で計測する電子式ピークフロースパイロメータ、
計測された生体情報を用いて、ピークフロー計測値のトレンドを含むレポートを生成するレポート生成手段、
生成されたレポートを、第2の時間間隔で所定の受信手段へ送信する送信手段を有し、且つ、
受信手段が配置された医療機関において、前記送信されたレポートを用いて当該患者の病態推移を継続的に観察する医療従事者が患者と通信手段を介して指導を行うに際して事前に理解をしておくべき点を教示する事項である、下記する(a)〜(i)の内の少なくともいずれかの事項が記載された医療従事者指導用資料、を有することを特徴とする喘息治療管理システム。
(a)電子式ピークフロースパイロメータは機種により生体情報の計測値に固有差が存在し、従前に当該患者が使用した他機種の電子式ピークフローメータの計測値に相違があったとしても単純に比較せず当該電子式ピークフロースパイロメータの計測値のトレンドにより観察すべき点を患者へ指導することの教示。
(b)計測値が異常高値、異常低値あるいは計測間の変動大の場合には不適切な吹き方の可能性があるので外来受信で確認する点を患者へ指導することの教示。
(c)ピークフロー値、1秒量値が共に低い値の場合は、喘息の罹患年数が長く気道のリモデリングが考えられるので設定したパーソナルベスト値が適正であるかどうかを検討することの教示。
(d)ピークフロー値の日内変動が20%を超える場合は治療内容の問題あるいは患者の服薬管理上の問題が予想されるので医師に相談するよう患者を指導することの教示。
(e)患者の咳、痰、喘鳴、息切れ、睡眠障害、および上気道感染の有無、全体的な身体症状、精神状態、日常生活における制限の有無を確認することの教示。
(f)吸入ステロイド薬の使用回数が医師の指示を遵守しているか、吸入β2刺激薬の使用回数および使用タイミングが医師の指示を遵守しているか、を患者へ確認することの教示。
(g)吸入ステロイド薬の副作用である声の嗄れ、口腔内カンジダの有無を患者に確認する点、これらの副作用を理由として患者の判断で該薬の服用を中断しないよう患者に指導する点、副作用を防ぐ為に吸入後のうがいを確実に実践するよう患者へ指導する点、の教示。
(h)医師から指示されていない民間療法の実行の有無を患者に確認する点の教示。
(i)アレルゲンに対する回避や対処は適切に出来ているか、患者から聞き取りを行う点の教示。
(4)平成18年3月6日発行官報号外第46号に掲載された、保険医療機関における喘息治療管理料保険点数加算の算定要件である、
別に構成労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、重度喘息である20歳以上の患者に対して、治療計画を策定する際に、日常の服薬方法、急性増悪事における対応方法について、その指導内容を文書により交付し、週1回以上ピークフローメータに加え1秒量等計測器を用い、検査値等を報告させた上で管理する方法及びその変形方法の実行に用いられる喘息治療管理方法であって、
患者によって測定がなされた時に患者の測定された特性の測定された状態を示す値を有する測定値データ要素を発生し、いつ測定が行われたかを示すタイムスタンプを発生する患者センサ装置を利用する医療情報報告システムにおいて、報告システムが、ハンドヘルドで低コストな患者操作式インタフェース装置と、リポート作成システムとから成り、
患者操作式インタフェース装置が、
制御信号を発生するユーザ入力装置と、
データを書き込みかつ読み出すデータメモリと、
通信ネットワークからデータを送受信する患者側通信インタフェースと、
特定の遠隔インタフェース装置を個別に識別するI D コードを記憶するインタフェースID ユニットと、
データメモリに記憶されたアプリケーションプログラムおよびその他のデータに応答し、データメモリおよび時刻表示回路に結合して、測定がされた時に患者センサ装置から測定値データ要素および受信測定値日付要素が取り込まれた時に時刻および日付を示すタイプスタンプを受信し、前記データメモリ、前記インタフェースI D ユニットおよび患者側通信インタフェースに結合するマイクロコントローラであって、患者センサ装置で測定が行われたときにデータメモリに送信データ記録を圧縮、記憶し、送信データ記録は測定値データ要素の大きさおよび測定がされたときの時刻および日付を示すマイクロコントローラであり、ユーザ入力装置からの第1の制御信号の受信に応答して、記憶された送信データ記録をI D コードを含んで通信ネットワークを介して転送するためのデータ転送プロトコルを起動するマイクロコントローラとを含み、
リポート作成システムが、
通信ネットワークからデータを送受信するリポート側通信インタフェースと、
リポート作成ユニットと、
患者と遠隔のセンサとを組み合わせる固有のI D コードをそれぞれが含む患者記録の集合を含み、各患者記録が生理学的特性の測定された状態の値を示す測定値データと何時患者によって測定が行われたかを示すタイムスタンプとを含むリレーショナルデータベースと、
リポート側通信インタフェースおよびデータ管理装置に結合し、遠隔インタフェース装置によって起動されたデータ転送プロトコルに応答し、インタフェース装置のデータメモリからデータ管理装置に転送された送信データ記録の転送を制御する通信制御手段とを含み、
データ管理装置は通信制御手段に結合して、特定の遠隔インタフェース装置から転送された固有のI D コードを含む送信データ記録を受信し、受信した送信データ記録を固有のI D 装置と組み合わされた患者の患者記録に記憶して受信した送信データ記録を含めるために患者記録を更新し、データ管理装置はリポート作成ユニットによって受信されたリポートにおいて識別された患者の前記データベースに格納された患者記録を供給するためにリポート作成ユニットに結合し、
リポート作成ユニットはリポート側通信インタフェースに結合して特定の患者についてのリポート要求を受信し、データベースから識別されたその特定の患者についてされた患者記録を得るためにデータ管理装置にリポート要求を転送し、選択された図表形式で患者記録に含まれた測定値および時刻符号化情報を表す時系列的なリポートを作成するために要求された患者記録の情報を利用する医療情報報告システムにおいて、
患者の測定された特性として、ピークフローメータに加え1秒量計等計測器を用いた計測値を使用し、計測値の報告に時系列的なリポートを使用する喘息治療管理方法。
(5)リレーショナルデータベースは、各患者に対して与えられた少なくとも一つの属性と共に各患者記録の集合を作成し、
リポート作成ユニットは、属性の内のいずれかについてのリポート要求を受信すると、リレーショナルデータベースを参照して当該属性を有する患者の生体情報に関する統計的なリポートを作成するよう構成されたことを特徴とする(4)に記載の喘息治療管理方法。
(6)属性は、患者の主治医名、患者の居所名、患者の年齢、患者背景の内の少なくともいずれかであることを特徴とする(5)に記載の喘息治療管理方法。
尚、これら開示される発明はその要素として、先に掲げた特許文献である、特許第3699469号、特許第3697260号、及び特許第3773519号及びこれらに対応する公開公報に開示された構成を含んでいる。
図1は、本発明の測定、監視、およびリポーティングシステムの機能的外観を示している。センサ装置10は、例えばピーク呼息流量(PEF)および強制的吐出し量(FEV1)といった呼吸機能、血液中のグルコースのレベル、血圧、心拍数、体重、流体摂取および放出速度やカロリー摂取等の患者の選択された生理学的特性の値を測定するために用いられる。これらの値を測定し、生理学的特性の測定された値を符号化したディジタルセンサ出力を提供するセンサが、市販されている。呼吸機能を測定する特定のセンサを以下においてより詳細に説明する。
このように、すなわち薬物治療後マーカとしてタグを用いた場合、リポーティングシステムは、薬物治療に対する患者の反応(例えば気管支拡張剤に対する反応)を示すリポートを提供することができる。
患者がモニタモジュール12からデータ記録をダウンロードすることを望む場合、患者は、電話インタフェース44のRJ−11C電話ジャックに電話線を接続し、利用者インタフェースのボタンを押すだけである。そうすると、マイクロコントローラは、データ記録をRAM42から検索し、ディジタルデータをアナログ信号に変換し、遠隔リポーティングシステム14に接続するために電話インタフェース回路を制御するため、および遠隔リポーティングシステム14に検索したデータ記録を転送するために、アプリケーションプログラムを実行する。
患者が喘息を管理するのを助けるために、NIHによって刊行された専門家パネル報告書は、ピークフローゾーンのシステムを提供している。このゾーンモデルにおいては、それぞれのテスト結果が、利用者がその気道がきれいなときに通常到達する最高のピークフローレベルとして定義される各個人の最高値に対するパーセントとして表現される。これらのゾーンは交通信号に類似−すなわち緑、黄色、および赤−しており、覚えやすくなっている。各ゾーンは個人の最高値に対するパーセントを見分けるのに役立つ。緑ゾーンは個人ベストの80%−100%、黄色ゾーンは50%−80%、赤ゾーンは50%未満である。個人の最高値および各ゾーン間の境界は、患者が調整することのできる適合可能な値である。どのような調節も医者の特別な許可によってなされるべきものである。
好ましい実施例においては、ゾーンチャートが、5列9欄のアレーのドットでなっている。緑ゾーン56および黄色ゾーン54は、それぞれ、表示装置50のゾーンチャート部分上に2列のドットを有している。これらの2列がゾーンを2分して、より良く見分けが付くようにしている。したがって、緑ゾーンが個人の最高値の80−100%をカバーする場合、下側が80−90%に相当し、上側の列が90−100%に相当する。同様に、黄色ゾーン54が50−80%をカバーする場合、下側が50−65%に相当し、上側の列が65−80%に相当する。
そして、マイクロコントローラ40が、測定された値を含むゾーンに対応する表示領域の列の最も右の表示領域を表示状態にする。したがって、利用者は、測定された値が赤、黄色、または緑ゾーンあるかを直ちに知らされ、数値について精通または理解をする必要はない。
操作を簡単にするためにボタンが3つだけ設けられている;
その表示装置(LCD)は以下に列挙する複数の機能領域を用いる:
測定結果および計算された値を報告する数字ライン;
位置および色の符号化されたドットを用いてゾーンステイタスを報告するゾーンチャート;
報告された気道状態情報の意味をその動作および表現が補強するアニメーションキャラクター「ウェルビー」;
表示装置の他の部分に表された情報の項目を注釈し(例えばリットル/分やリットル等の測定の単位、AM,PM,個人最高値のクラウン、赤ゾーンのクロス、電話等)、または特別なメッセージを伝える(例えば電池の電圧低下表示)各種シンボル。
平成18年3月6日発行官報号外第46号に、保険医療機関における喘息治療管理料保険点数加算の算定要件が掲載されている。
この算定要件の概要は、別に構成労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、重度喘息である20歳以上の患者に対して、治療計画を策定する際に、日常の服薬方法、急性増悪事における対応方法について、その指導内容を文書により交付し、週1回以上ピークフローメータに加え1秒量等計測器を用い、検査値等を報告させた上で管理する喘息治療管理方法である。
「厚生労働省令第二十七号
(途中省略)
保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令
(途中省略)
16 喘息治療管理料
イ 1月目 75点
ロ 2月目以降 25点
注1 入院中の患者以外の喘息の患者に対して、ピークフローメーターを用いて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。
2 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、重度喘息である20歳以上の患者(中程度以上の発作により当該保険医療機関に緊急受信(区分番号A000の注4、区分番号A001の注3又はA002の注4に規定する加算を算定したものに限る。)した回数が過去1年間に3回以上あるものに限る。)に対して、治療計画を策定する際に、日常の服薬方法、急性増悪時における対応方法について、その指導内容を文書により交付し、週1回以上ピークフローメータに加え一秒量等計測器を用い、検査値等を報告させた上で管理した場合に、次に掲げる点数を月一回に限り加算する。
(1) 1月目 2,525点
(2) 2月目以降6月目まで 1,975点
(以下省略)」。
以下に説明を行う本発明の喘息治療管理方法は、上記の新しい保険点数算定基準に適合するよう構成されたものであると共に、この算定基準について将来なされる種々の変形、改良に対しても適合し、この結果、医学的、医療経済的、及び患者あるいは患者家族の利便性、生活の質(Quality Of Life)の向上を実現するものである。
以下の説明では、直接の言及が無い場合においても、先に説明した本発明が含む遠隔リポーティングシステムの構成が適宜参酌される。
図11はこの遠隔リポーティングシステムあるいはその変形構成を用いて喘息治療管理を行う際の業務フローを図示したものである。
図11において、11a〜11d−1はこの喘息治療管理に用いられる各構成を示すもので、11aは喘息治療管理を実行する病院、医院などの医療機関であり、情報受信の手段としてファクシミリまたはパーソナルコンピュータ11a−1を備えている。
11bは喘息患者が居住しつつ在宅で喘息治療管理を受ける患者宅であり、先に説明したセンサ装置10、マイクロコントローラ及びモデム機能等の構成12を含んだ呼吸測定器11b−1が配置されており、この呼吸測定器11b−1を電話機11b−2に接続して測定した生体情報を送信可能である点は先に説明したとおりである。
11cはこの呼吸測定器11b−1及び関係機材を医療機関11aに対して賃貸などの方法で提供する医療機器業者の営業所である。
11dはこの喘息管理方法の実行において情報送受のセンター機能を果たすテレメディスンセンターであり、先に説明した遠隔コンピュータ、データベースおよびアプリケーションを含んだサーバ11d−1を有しており、このサーバ11d−1は患者宅11bの電話機11b−2と電話回線などを介して通信接続を行うことが出来る。尚、サーバ11d−1はこのように独立したテレメディスンセンター11dに配置される場合の他、サーバ運営を業とする専門業者のサーバセンターに配置される方法、医療機関11a内に配置される方法、あるいは規制上の問題が無い場合に医療機器業者の施設内に配置される方法などがあり、各種の規制を遵守すると共に経済性、安全性の面で最適な構成が選択される。
以下ではこの業務フローの時間順序に従い、喘息治療管理方法の実施手順を説明する。
F−1:まず、多数の喘息患者がこの喘息管理治療を受けるに先立ち、この喘息治療管理方法を実行する医療機関11aが、この管理方法が広く普及した結果、必ずしも呼吸器疾患専門病院ばかりではないので、特に呼吸器疾患が専門ではない総合医療機関の看護師等に対してこの管理方法の導入時に専門性教育、あるいはノウハウの提供を行うことにより、より確実な治療効果が期待できるようにする。
このため医療機器業者では、治療支援サービスの一環として、喘息患者の指導に用いる患者指導用の資材やそのノウハウを提供したり、医療機関11aの看護師に対してこの喘息治療管理の導入のための教育を担任するなどする。
(a)電子式ピークフロースパイロメータは機種により前記生体情報の計測値に固有差が存在し、従前に当該患者が使用した他機種の電子式ピークフローメータの計測値に相違があったとしても単純に比較せず当該電子式ピークフロースパイロメータの計測値のトレンドにより観察すべき点を患者へ指導することの教示。
(b)前記計測値が異常高値、異常低値あるいは計測間の変動大の場合には不適切な吹き方の可能性があるので外来受信で確認する点を患者へ指導することの教示。
(c)ピークフロー値、1秒量値が共に低い値の場合は、喘息の罹患年数が長く気道のリモデリングが考えられるので設定したパーソナルベスト値が適正であるかどうかを検討することの教示。
(d)ピークフロー値の日内変動が20%を超える場合は治療内容の問題あるいは患者の服薬管理上の問題が予想されるので医師に相談するよう患者を指導することの教示。
(e)患者の咳、痰、喘鳴、息切れ、睡眠障害、および上気道感染の有無、全体的な身体症状、精神状態、日常生活における制限の有無を確認することの教示。
(f)吸入ステロイド薬の使用回数が医師の指示を遵守しているか、吸入β2刺激薬の使用回数および使用タイミングが医師の指示を遵守しているか、を患者へ確認することの教示。
(g)吸入ステロイド薬の副作用である声の嗄れ、口腔内カンジダの有無を患者に確認する点、これらの副作用を理由として患者の判断で該薬の服用を中断しないよう患者に指導する点、前記副作用を防ぐ為に吸入後のうがいを確実に実践するよう患者へ指導する点、の教示。
(h)医師から指示されていない民間療法の実行の有無を患者に確認する点の教示。
(i)アレルゲンに対する回避や対処は適切に出来ているか、患者から聞き取りを行う点の教示。
尚、上記資料はその一部が選択使用されて良いし、また従来技術から構成可能な範囲内で適宜変形使用されても良い。
F−2:この喘息治療管理方法の実行に先立ち、喘息患者は医療機関11aに入院して喘息治療を行う場合が典型的である。
F−3:次に医療機関11aに入院している喘息患者について、担当医師が、喘息治療管理方法の実施が必要であると判断すると、実施についてのインフォームドコンセントを患者から取得し、医師がこの方法を実施する処方指示書を発行し、喘息治療管理にかかるコントロール計画書を作成し、一方患者は入院しつつ呼吸測定器11b−1を用いた吸入計測の実技を指導される。
F−4:患者が医療機関11aを退院し自宅11bへ戻る。呼吸測定器11b−1が医療機器業者営業所11cから患者宅11bへ配送される。
F−5:患者は患者宅11bにて呼吸測定器11b−1を用いて、ピークフロー値、一秒量などを毎日決まった時刻に測定する。計測データは呼吸計測器11b−1に蓄積される点は既に説明した通りである。
F−6:呼吸計測器11b−1に蓄積された生体情報が、典型的には週一回、電話回線経由でサーバ11d−1へ送信される。
F−7:サーバ11d−1は受信した生体情報を元にレポートを自動生成し、典型的には週一回、医療機関11aのファクシミリまたはパーソナルコンピュータ11a−1へ送信し、医療従事者へこの喘息患者の病態を知得させる。
F−8:尚、このレポートは、喘息患者が希望すれば患者宅11bにおかれたファクシミリ(図示しない)へ送信したりあるいは郵送を行う(典型的には2週分のレポートを毎週送信する)。
F−9:一方喘息患者は、月に一回医療機関11aの外来へ通院し、医療従事者の診察、指導を受ける。また喘息患者は通院の他に適宜医療機関11aへ電話や郵便や電子メールなどで医療相談を行い、また医療機関11aから喘息患者に対して典型的には月2回程度電話や電子メールなどでコンタクトを行い、患者の状況を把握する。
次に、予め定められた通期の治療期間が終了すると、
F−10:医療機器業者営業所11cは患者宅11bから呼吸測定器11b−1を回収して業務が完了する。
次に上記に説明した喘息治療管理方法の種々の変形例であっていずれも本発明に含まれる構成について、以下に説明を行う。
上記の本発明喘息治療管理方法が準拠する保険償還基準では通期の治療期間が最大6ヶ月と設定されている。そこでこの最大治療期間内の生体情報トレンドデータ(呼吸計測器11b−1の計測データに基づく)が分割表示されるのではなく、一括して表示あるいは印刷がなされるように上記の生体情報レポートを構成すれば、この喘息患者の全治療期間のデータが一望できると共に最大の大きさで観察できるので、医療上の効果が極めて大きい。そこでサーバ11d−1を、治療管理に対する健康保険からの治療費用償還が行われる通期治療期間の上限として予め定められた所定期間内におけるピークフローを含む計測値のトレンドを、モニター画面などに一括して表示するよう構成してもよい。
あるいは、サーバ11d−1や、医療機関11aに置かれたファクシミリまたはパーソナルコンピュータ11a−1を、サーバ11d−1が送信を行ったレポートを受信して、この所定期間内のピークフローなどの計測値のトレンドを一括して表示または印刷を行うよう構成してもよい。
喘息患者の病態例えばピークフロー値などは季節による変動がある点が知られている。
そこで上記のサーバ11d−1や、医療機関11aに置かれたファクシミリまたはパーソナルコンピュータ11a−1を、図12に示す表示画面12−1のように、ピークフロー値などの計測を行った季節的な環境条件を示す情報(たとえば月数の表示12−5、温度のトレンドデータの表示12−4、湿度のトレンドデータの表示(図示しない)、春夏秋冬などのような季節区分が色彩やグラフ領域などで視覚的に区分される表示12−2など)と共にピークフロー値トレンドデータ12−3を表示および/または印刷を行う構成ようすることが考えられる。
患者は一般に種々の属性、例えば担当主治医名、居住地名、年齢、性別、患者背景(既往症、合併症、服薬薬剤)、患者家族情報などを有している。
またこの喘息治療管理方法によれば、多数の喘息治療患者の生体情報をサーバ11d−1内に蓄積される。
そこで患者本人の同意と法令順守の元に、これら患者の属性をサーバ11d−1内のデータベースに予め蓄積し且つ、医療従事者などの指令に基づいて特定の属性を指定し、例えば特定地域内の喘息患者の生体情報、特定医師が担当する患者の生体情報などを抽出し、これに対して統計的処理を行い出力を行う構成が考えられる。
このような統計的情報を用いれば、喘息疾患全般についての医学的研究の進捗、この喘息治療管理方法についての検証や改良に有効なばかりではなく、個々の喘息患者治療においても例えば同年齢や同じ背景の患者と比較して治療効果を検証できるので診療への効果が期待できる。
Claims (6)
- 予め医療従事者が決定したコントロール計画書に従い、ピークフロー自己最良値に対するピークフロー計測値の到達率に応じて、服薬を含めた異なる対応により喘息疾患患者自身による自己管理を行おうとするゾーンシステムに準拠して喘息疾患患者の治療管理に用いるための、喘息治療管理システムであって、
前記喘息疾患患者のピークフロー値および1秒量値を含む生体情報を、第1の時間間隔で計測する電子式ピークフロースパイロメータと、
前記計測された生体情報を用いて、ピークフロー計測値のトレンドを含むレポートを生成するレポート生成手段と、
前記生成されたレポートを、第2の時間間隔で所定の受信手段へ送信する送信手段とを有し、且つ、
下記する(A)又は(B)の内の少なくともいずれかを有することを特徴とする喘息治療管理システム。
(A)当該治療管理に対する健康保険からの治療費用償還が行われる通期治療期間の上限として予め定められた所定期間内におけるピークフロー計測値のトレンドを一括して表示するよう構成された、前記レポート生成手段。
(B)前記送信手段が送信を行ったレポートを受信して、前記所定期間内のピークフロー計測値のトレンドを一括して表示または印刷を行うよう構成されたレポート受信手段。 - 前記レポート生成手段および/または前記レポート生成手段は、ピークフロー計測値のトレンドを、当該計測を行った季節的な環境条件を示す情報と共に表示および/または印刷を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の喘息治療管理システム。
- 予め医療従事者が決定したコントロール計画書に従い、ピークフロー自己最良値に対するピークフロー計測値の到達率に応じて、服薬を含めた異なる対応により喘息疾患患者自身による自己管理を行おうとするゾーンシステムに準拠して喘息疾患患者の治療管理を行うための、喘息治療管理システムであって、
前記喘息疾患患者のピークフロー値および1秒量値を含む生体情報を、第1の時間間隔で計測する電子式ピークフロースパイロメータと、
前記計測された生体情報を用いて、ピークフロー計測値のトレンドを含むレポートを生成するレポート生成手段と、
前記生成されたレポートを、第2の時間間隔で所定の受信手段へ送信する送信手段とを有し、且つ、
前記受信手段が配置された医療機関において、前記送信されたレポートを用いて当該患者の病態推移を継続的に観察する医療従事者が前記患者と通信手段を介して指導を行うに際して事前に理解をしておくべき点を教示する事項である、下記する(a)〜(i)の内の少なくともいずれかの事項が記載された医療従事者指導用資料、を有することを特徴とする喘息治療管理システム。
(a)電子式ピークフロースパイロメータは機種により前記生体情報の計測値に固有差が存在し、従前に当該患者が使用した他機種の電子式ピークフローメータの計測値に相違があったとしても単純に比較せず当該電子式ピークフロースパイロメータの計測値のトレンドにより観察すべき点を患者へ指導することの教示。
(b)前記計測値が異常高値、異常低値あるいは計測間の変動大の場合には不適切な吹き方の可能性があるので外来受信で確認する点を患者へ指導することの教示。
(c)ピークフロー値、1秒量値が共に低い値の場合は、喘息の罹患年数が長く気道のリモデリングが考えられるので設定したパーソナルベスト値が適正であるかどうかを検討することの教示。
(d)ピークフロー値の日内変動が20%を超える場合は治療内容の問題あるいは患者の服薬管理上の問題が予想されるので医師に相談するよう患者を指導することの教示。
(e)患者の咳、痰、喘鳴、息切れ、睡眠障害、および上気道感染の有無、全体的な身体症状、精神状態、日常生活における制限の有無を確認することの教示。
(f)吸入ステロイド薬の使用回数が医師の指示を遵守しているか、吸入β2刺激薬の使用回数および使用タイミングが医師の指示を遵守しているか、を患者へ確認することの教示。
(g)吸入ステロイド薬の副作用である声の嗄れ、口腔内カンジダの有無を患者に確認する点、これらの副作用を理由として患者の判断で該薬の服用を中断しないよう患者に指導する点、前記副作用を防ぐ為に吸入後のうがいを確実に実践するよう患者へ指導する点、の教示。
(h)医師から指示されていない民間療法の実行の有無を患者に確認する点の教示。
(i)アレルゲンに対する回避や対処は適切に出来ているか、患者から聞き取りを行う点の教示。 - 平成18年3月6日発行官報号外第46号に掲載された、保険医療機関における喘息治療管理料保険点数加算の算定要件である、「別に構成労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、重度喘息である20歳以上の患者に対して、治療計画を策定する際に、日常の服薬方法、急性増悪事における対応方法について、その指導内容を文書により交付し、週1回以上ピークフローメータに加え1秒量等計測器を用い、検査値等を報告させた上で管理する方法及びその変形方法」の実行に用いられる喘息治療管理方法であって、
患者によって測定がなされた時に患者の測定された特性の測定された状態を示す値を有する測定値データ要素を発生し、いつ測定が行われたかを示すタイムスタンプを発生する患者センサ装置を利用する医療情報報告システムにおいて、前記報告システムが、ハンドヘルドで低コストな患者操作式インタフェース装置と、リポート作成システムとから成り、
前記患者操作式インタフェース装置が、
制御信号を発生するユーザ入力装置と、
データを書き込みかつ読み出すデータメモリと、
通信ネットワークからデータを送受信する患者側通信インタフェースと、
特定の遠隔インタフェース装置を個別に識別するI D コードを記憶するインタフェースID ユニットと、
前記データメモリに記憶されたアプリケーションプログラムおよびその他のデータに応答し、前記データメモリおよび前記時刻表示回路に結合して、測定がされた時に前記患者センサ装置から測定値データ要素および受信測定値日付要素が取り込まれた時に時刻および日付を示すタイプスタンプを受信し、前記データメモリ、前記インタフェースI D ユニットおよび前記患者側通信インタフェースに結合するマイクロコントローラであって、前記患者センサ装置で測定が行われたときに前記データメモリに送信データ記録を圧縮、記憶し、前記送信データ記録は測定値データ要素の大きさおよび測定がされたときの時刻および日付を示すマイクロコントローラであり、ユーザ入力装置からの第1 の制御信号の受信に応答して、記憶された送信データ記録を前記I D コードを含んで前記通信ネットワークを介して転送するためのデータ転送プロトコルを起動するマイクロコントローラとを含み、
前記リポート作成システムが、
前記通信ネットワークからデータを送受信するリポート側通信インタフェースと、
リポート作成ユニットと、
患者と遠隔のセンサとを組み合わせる固有のI D コードをそれぞれが含む患者記録の集合を含み、各患者記録が生理学的特性の測定された状態の値を示す測定値データと何時患者によって測定が行われたかを示すタイムスタンプとを含むリレーショナルデータベースと、
前記リポート側通信インタフェースおよび前記データ管理装置に結合し、前記遠隔インタフェース装置によって起動されたデータ転送プロトコルに応答し、前記インタフェース装置のデータメモリから前記データ管理装置に転送された送信データ記録の転送を制御する通信制御手段とを含み、
前記データ管理装置は前記通信制御手段に結合して、特定の遠隔インタフェース装置から転送された前記固有のI D コードを含む送信データ記録を受信し、受信した送信データ記録を前記固有のI D 装置と組み合わされた患者の患者記録に記憶して受信した送信データ記録を含めるために前記患者記録を更新し、前記データ管理装置は前記リポート作成ユニットによって受信されたリポートにおいて識別された患者の前記データベースに格納された患者記録を供給するために前記リポート作成ユニットに結合し、
前記リポート作成ユニットは前記リポート側通信インタフェースに結合して特定の患者についてのリポート要求を受信し、前記データベースから識別されたその特定の患者についてされた患者記録を得るために前記データ管理装置に前記リポート要求を転送し、選択された図表形式で前記患者記録に含まれた前記測定値および時刻符号化情報を表す時系列的なリポートを作成するために要求された患者記録の情報を利用する医療情報報告システムにおいて、
前記患者の測定された特性として、前記ピークフローメータに加え1秒量計等計測器を用いた計測値を使用し、前記計測値の報告に前記時系列的なリポートを使用する喘息治療管理方法。 - 前記リレーショナルデータベースは、各患者に対して与えられた少なくとも一つの属性と共に各患者記録の集合を作成し、
前記リポート作成ユニットは、前記属性の内のいずれかについてのリポート要求を受信すると、前記リレーショナルデータベースを参照して当該属性を有する患者の生体情報に関する統計的なリポートを作成するよう構成されたことを特徴とする請求項3に記載の喘息治療管理方法。 - 前記属性は、患者の主治医名、患者の居所名、患者の年齢、患者背景の内の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の喘息治療管理方法。
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