JP2008046321A - 和音解析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、音名検出精度を向上させた和音解析装置を提供すること。
【解決手段】エンベロープ検出部20が、夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている複数個のBPF10からの出力信号のエンベロープ信号を検出出力する。そして、3倍音除去部30が、全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力し、音名抽出部50がこの3倍音除去部30からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出するので、和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、和音の各構成音の音名検出精度を向上させることが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】エンベロープ検出部20が、夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている複数個のBPF10からの出力信号のエンベロープ信号を検出出力する。そして、3倍音除去部30が、全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力し、音名抽出部50がこの3倍音除去部30からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出するので、和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、和音の各構成音の音名検出精度を向上させることが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、入力された音楽信号に基づいて和音の構成音の音名を求める装置の改良に関する。
従来から、入力されたオーディオ信号に基づいて和音の構成音の音名を検出し、検出した音名を表示出力する装置が提案されていた。例えば、入力されたオーディオ信号を周波数分析して和音構成音の音名に対応した出力信号に基づいて和音名を検出し、この検出された和音名を表示出力する和音表示装置が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
確かに、この装置によれば、和音名を表示出力できるが基音に基づく高調波特に3倍音の影響を考慮した精度の高い和音名の検出が不能であった。図7(a)、図7(b)、図7(c)は夫々、単音の「ド」、「ミ」、「ソ」をピアノ等の楽器によって出力した場合の周波数スペクトル特性を示す図である。単音「ド」、単音「ミ」、および単音「ソ」の夫々の周波数スペクトルを見て分かるように、各単音に対しては基音に対する2倍音、3倍音、4倍音が出現している。そして、図8に示すように、和音「ドミソ」を楽器出力させた場合において、「ド」、「ミ」、「ソ」の2倍音、3倍音が出現するため和音の構成音を検出するのは困難であった。特に、3倍音が検出精度に影響し、例えば、図8に示す場合では基音「ミ」の3倍音が「シ」となり、また、基音「ソ」の3倍音が「レ」となるため、和音の構成音「ド」、「ミ」、「ソ」のみを検出することが困難であった。本発明者はこのような3倍音が特に検出精度に与える影響が大きいことを把握した。
つまり、本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、和音の各構成音の音名検出精度を向上させた装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、和音の構成音の音名を抽出する装置であって、
夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている複数個のバンドパスフィルタと、
各バンドパスフィルタからの出力信号のエンベロープ信号を検出して出力する前記複数個のエンベロープ検出手段と、
全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力する3倍音除去手段と、
この3倍音除去手段からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出する音名抽出手段と、を備える構成とした。
夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている複数個のバンドパスフィルタと、
各バンドパスフィルタからの出力信号のエンベロープ信号を検出して出力する前記複数個のエンベロープ検出手段と、
全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力する3倍音除去手段と、
この3倍音除去手段からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出する音名抽出手段と、を備える構成とした。
本発明によれば、複数個のエンベロープ検出手段が、夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている複数個のバンドパスフィルタからの出力信号のエンベロープ信号を検出出力する。そして、3倍音除去手段が、全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力し、音名抽出手段がこの3倍音除去手段からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出するので、和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、和音の各構成音の音名検出精度を向上させることが可能となる。
より具体的には、前記3倍音除去手段が前記複数個(N個)のバンドパスフィルタをその通過帯域の中心周波数が高くなる順に番号「1」から番号「N」(Nは20以上)が付されたと想定した場合、i番目のエンベロープ出力信号から、「i―19」番目のエンベロープ信号を減じた値を、新たな「i」番目のエンベロープ信号の信号値とする処理を、iが「N」から20となるまで繰り返し実行する構成とする。但し、減算結果が負になる場合は、「0」を新たな「i」番目のエンベロープ信号の信号値としてもよい。
そして、前記3倍音除去手段の後段に設けられ、基音のレベルを上げる基音強調手段を更に備えた構成とすると一層検出精度が向上する。より具体的には、前記基音強調手段が前記N個のエンベロープ信号値をそれに対応するバンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数が高くなる順に番号「1」から番号「N」(Nは13以上)が付されたと想定した場合、i番目のエンベロープ出力信号に、「i+12」番目のエンベロープ信号を加算した値を新たな「i」番目のエンベロープ信号の信号値とする処理をiが「1」から「N−12」となるまで繰り返し実行する構成とする。
本発明によれば、和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、和音の各構成音の音名検出精度を向上させた装置を実現することができるという効果が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は本発明の実施形態である和音解析装置1の構成図である。本装置1は、BPF1(10)、BPF2(10)、…BPF36(10)でなる36個のバンドパスフィルタ10と、BPF1(10)、BPF2(10)…BPF36(10)の夫々からのフィルタリング信号に対するエンベロープ信号を検出して出力する36個のエンベロープ検出部1(20)、エンベロープ検出部2(20)、…、エンベロープ検出部36(20)からなるエンベロープ検出部20と、各エンベロープ検出部20からの信号に基づき基音の3倍音を除去する3倍音除去部30と、3倍音が除去された信号に基づいて基音のレベルを上げる基音強調部40と、基音が強調された信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出する音名抽出部50と、抽出された音名情報に基づきこれに対応するコード名を出力するコード名変換部60とを有して構成される。
図1は本発明の実施形態である和音解析装置1の構成図である。本装置1は、BPF1(10)、BPF2(10)、…BPF36(10)でなる36個のバンドパスフィルタ10と、BPF1(10)、BPF2(10)…BPF36(10)の夫々からのフィルタリング信号に対するエンベロープ信号を検出して出力する36個のエンベロープ検出部1(20)、エンベロープ検出部2(20)、…、エンベロープ検出部36(20)からなるエンベロープ検出部20と、各エンベロープ検出部20からの信号に基づき基音の3倍音を除去する3倍音除去部30と、3倍音が除去された信号に基づいて基音のレベルを上げる基音強調部40と、基音が強調された信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出する音名抽出部50と、抽出された音名情報に基づきこれに対応するコード名を出力するコード名変換部60とを有して構成される。
そして、各BPF10は、その通過帯域の中心周波数が半音に相当する周波数分づつずれるように構成されているバンドパスフィルタである。図3はその一部の説明図である。図3に示す例の場合、BPF1の通過帯域の中心周波数f1と、BPF2の通過帯域の中心周波数f2との差が半音の周波数に相当するように構成されている。このようにして、他のBPF3〜BPF36の通過帯域の中心周波数も設定されている。音名抽出部40は、例えばレベルが所定値の音に対する音名を出力可能に構成され、また、コード名変換部60は、音名抽出部40が出力した音名情報を所定の変換方式によってコード名にして出力する構成とされている。
(動作)
次に、図2、図4、図10等を参照して動作を説明する。なお、図2においては、理解容易化のため各バンドパスフィルタの通過帯域の裾野が重ならないように図示している。また、その通過帯域の中心周波数が低いものから高くなっていく順に、バンドパスフィルタの番号であるBPF番号を「1」〜「36」とする。
次に、図2、図4、図10等を参照して動作を説明する。なお、図2においては、理解容易化のため各バンドパスフィルタの通過帯域の裾野が重ならないように図示している。また、その通過帯域の中心周波数が低いものから高くなっていく順に、バンドパスフィルタの番号であるBPF番号を「1」〜「36」とする。
楽器からの楽音信号等(音楽信号の一例)がBPF1〜BPF36に同時に入力されると、各BPF10はそのバンドパス通過特性によって抽出されたフィルタリング信号を出力する。そして、エンベロープ検出部1〜エンベロープ検出部36の夫々が、対応するBPF10からのフィルタリング信号のエンベロープを検出してこの検出値を出力する。
そして、3倍音除去部30は、36番目のBPF10からの出力エンベロープ値から、17番目のBPF10からの出力エンベロープ値を減じてこの値を新たに36番のBPF10に対応するエンベロープ値とする。次に、35番目のBPF10からの出力エンベロープ値から、16番目のBPF10からの出力エンベロープ値を減じてこの値を新たに35番のBPF10に対応するエンベロープ値とする。このような処理を繰り返し実行する。つまり、図10(a)に示すような処理を実行する。最初にカウンタ「i」を「36」に設定する(ステップS100)。次に、BPF(i)をi番目のBPF10のエンベロープ値と定義して、「BPF(i)」から「BPF(i−19)」を引いた値を新たに「BPF(i)」とする処理を行い、更に、ステップS110で「i」を1だけデクリメントし、「i−19」が1以上の場合(ステップS115のYes)にはステップS105からの動作を繰り返す一方、「i―19」が「1」未満となった場合(ステップS115のNo)には処理を終了する。
したがって、図4(a)に示すように、BPF番号「36」の値「D36」から、これより19半音分低い(周波数比が「1/3」となる)BPF番号「17」の値「D17」を減じた値を、新たに「D36」とする。このような処理を、BPF番号「36」のD36から、BPF番号「20」までの値に対して行う。
ここで、BPF番号で「19」番分異なることは、基音と3倍音の関係を意味している。図5(a)は単音入力時の基音とその高調波のレベルを示しており、図5(b)は3倍音除去部30による3倍音除去処理後の各BPF10のレベルを示したものである。図5を参照して分かるように、3倍音除去部30によって3倍音が除去される。
次に、基音強調部40の動作を説明する。基音強調部40は、1番目のBPF10からの出力エンベロープ値に13番目のBPF10からの出力エンベロープ値を加算してこの値を新たに1番のBPF10に対応するエンベロープ値とする。次に、2番のBPF10からの出力エンベロープ値に14番目のBPF10からの出力エンベロープ値を加算してこの値を新たに2番のBPF10に対応するエンベロープ値とする。このような処理を繰り返し実行する。つまり、図10(b)に示すような処理を実行する。最初にカウンタ「i」を「1」に設定する(ステップS200)。次に、BPF(i)をi番目のBPF10のエンベロープ値として、「BPF(i)」に「BPF(i+12)」を加えた値を新たに「BPF(i)」とする処理を行い、更に、ステップS210でiを1だけインクリメントし、「i+12」が36以下の場合(ステップS215のYes)にはステップS205からの動作を繰り返す一方、「i+12」が「36」よりも大きくなった場合(ステップS215のNo)には処理を終了する。
したがって、図4(b)に示すように、BPF番号「1」の値「E1」にこれより1オクターブ高いBPF番号「13」の値「E13」を加算した値を、新たに「E1」とする。このような処理を、BPF番号「1」のE1から、BPF番号「24」までの値に対して行う。
ここで、BPF番号で「12」番分異なることは、音程で1オクターブの差を意味している。図6(a)は単音入力時の基音とその高調波のレベルを示しており、図6(b)は基音強調部40による基音強調処理後の各BPF10のレベルを示したものである。図6を参照して分かるように、基音強調部40によって基音のレベルが上がっている。
このように、36個(N個)のエンベロープ検出部20が、夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている36個のバンドパスフィルタ10からの出力信号のエンベロープ信号を検出して出力する。そして、3倍音除去部30が、全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力し、音名抽出部50がこの3倍音除去部30からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出するので、和音の各構成音を基音とする3倍音の影響を除去して、和音の各構成音の音名検出精度を向上させることが可能となる。
そして、3倍音除去部30の後段に設けられ、基音のレベルを上げる基音強調部40を備えた構成とすると一層検出精度が向上する。図9は「ドミソ」和音入力時の基音とその高調波のレベルを示しており、図9は3倍音除去部30と基音強調部40とが作用して、和音の構成音の「ド」、「ミ」、「ソ」が音名抽出部50によって抽出可能となることを示している。
上述した本装置1は36個のBPF10を用いて構成しているが、BPFの個数は「36個」に限定されず、個数は20個以上であれば良い。また、音名抽出部50からの出力を表示したり各種の出力装置に出力する構成も可能である。
以上説明してきたように、本発明によれば音楽分野において適用して好適な、和音の構成音の音名を抽出可能な装置を提供することができる。
1 和音解析装置
10 BPF(バンドパスフィルタ)
20 エンベロープ検出部
30 3倍音除去部
40 基音強調部
50 音名抽出部
60 コード名変換部
10 BPF(バンドパスフィルタ)
20 エンベロープ検出部
30 3倍音除去部
40 基音強調部
50 音名抽出部
60 コード名変換部
Claims (4)
- 和音の構成音の音名を抽出する装置であって、
夫々の通過帯域の中心周波数が半音の周波数分づつずれている複数個のバンドパスフィルタと、
各バンドパスフィルタからの出力信号のエンベロープ信号を検出して出力する前記複数個のエンベロープ検出手段と、
全エンベロープ信号の3倍音を除去した信号を出力する3倍音除去手段と、
この3倍音除去手段からの出力信号に基づいて和音の各構成音の音名を抽出する音名抽出手段と、を備えたことを特徴とする和音解析装置 - 請求項1に記載の装置において、
前記3倍音除去手段は、
前記複数個(N個)のバンドパスフィルタをその通過帯域の中心周波数が高くなる順に番号「1」から番号「N」(Nは20以上)が付されたと想定した場合、i番目のエンベロープ出力信号から、「i―19」番目のエンベロープ信号を減じた値を、新たな「i」番目のエンベロープ信号の信号値とする処理を、iが「N」から「20」となるまで繰り返し実行することを特徴とする和音解析装置。 - 請求項1および2の内のいずれか一項に記載の装置において、
前記3倍音除去手段の後段に設けられ、基音のレベルを上げる基音強調手段を更に備えたことを特徴とする和音解析装置。 - 請求項3に記載の装置において、
前記基音強調手段は、
前記N個のエンベロープ信号値をそれに対応するバンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数が高くなる順に番号「1」から番号「N」(Nは13以上)が付されたと想定した場合、i番目のエンベロープ出力信号に、「i+12」番目のエンベロープ信号を加算した値を新たな「i」番目のエンベロープ信号の信号値とする処理を、iが「1」から「N−12」となるまで繰り返し実行することを特徴とする和音解析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006221393A JP2008046321A (ja) | 2006-08-15 | 2006-08-15 | 和音解析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006221393A JP2008046321A (ja) | 2006-08-15 | 2006-08-15 | 和音解析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008046321A true JP2008046321A (ja) | 2008-02-28 |
Family
ID=39180123
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006221393A Pending JP2008046321A (ja) | 2006-08-15 | 2006-08-15 | 和音解析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008046321A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010197645A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Korg Inc | ノート検出装置 |
-
2006
- 2006-08-15 JP JP2006221393A patent/JP2008046321A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010197645A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Korg Inc | ノート検出装置 |
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