JP2008045771A - 熱輸送システム及び熱輸送方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】潜熱蓄熱により蓄熱するエリスリトール3(蓄熱体)と、油2(熱交換媒体)とは、蓄熱容器1aに収容されている。油2は、エリスリトール3に接触することで熱交換し、エリスリトール3よりも比重が小さく、エリスリトール3とは分離する。循環用通路4aは、内部を油2が循環流通し、蓄熱容器1a内部へ連通して形成され、且つ、油2に熱供給するために工場(熱源)80と熱的に接続されている。貯留機構7は、蓄熱容器1aから油2を取り出して貯留し、当該貯留した油2を蓄熱容器1aへ供給する。そして、蓄熱容器1aは輸送可能となっている。
【選択図】図3
Description
まず、図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る熱輸送システムについて説明する。図1、2は、本発明の第1実施形態に係る熱輸送システムの全体構成を示す概略図であり、図1は熱輸送システムの蓄熱側、図2は熱輸送システムの放熱側を示している。
本実施形態に係る熱輸送システム1は、例えば、図1、2に示すように、熱を発生する工場(熱源)80とその熱を利用する施設(熱利用機構)85とが互いに離れている場合に適用される。まず、図1を参照しながら、蓄熱容器1aへの蓄熱についての概要を説明する。熱輸送システム1は、蓄熱体及び熱交換媒体(後述)を収容する可搬式の蓄熱容器1aと、熱交換媒体のための循環用通路4aとを含んで構成される。この場合、熱輸送システム1の蓄熱容器1aは、熱交換器5aに対して、接続口51、52を介して着脱可能に接続されており、蓄熱の完了した(蓄熱済みの)蓄熱容器1aは、トラック等の輸送機構50の荷台50bに搭載され、工場80から施設85へと輸送される。工場80は、具体的には製鉄所等であり、その他、ごみ焼却場や発電所等であってもよい。そこで排出する熱が熱交換器5a及び熱交換媒体を介して蓄熱容器1aに蓄えられる。また、熱交換器5aは、工場80の熱を、上記の循環用通路4aを流れる熱交換媒体へ伝導するためのものである。蓄熱容器1aを輸送する際には、熱交換媒体を蓄熱容器1aから取り出して、蓄熱容器1aとは別に設けられている貯留槽7bに貯留する。一つの蓄熱容器1aの蓄熱が完了した後、待機している未蓄熱状態の蓄熱容器1aの接続口を、熱交換器5aとの接続口51、52へ接続することで、次の未蓄熱状態の蓄熱容器1aに対して同様に蓄熱が行なわれる。このようにして工場80の熱を順次蓄熱容器1aに蓄熱することができる。
蓄熱時及び放熱時において、蓄熱容器1aには、油(熱交換媒体)2と、エリスリトール(蓄熱体)3とが収容されている。また、蓄熱容器1aには、蓄熱側の循環用通路4a(蓄熱時)、放熱側の循環用通路4b(放熱時)が接続される。循環用通路4a、4bは、それぞれ供給管6及び排出管4を含んでおり、蓄熱容器1a内部に連通して形成されている。そのため、熱交換媒体である油2が、蓄熱容器1aの内部を経由しつつ、循環用通路4a、4bの内部を循環流通できるようになっている。また、蓄熱容器1aは、供給管6及び排出管4が蓄熱容器1aに取り付けられている状態で、上記の輸送機構50により輸送可能となっている。また、詳細については後述するが、蓄熱側の循環用通路4aは工場80と、放熱側の循環用通路4bは施設85と、それぞれ熱的に接続されている。また、蓄熱容器1aには、後述する油2の貯留機構7を接続するための接続口71が設けられている。
本実施形態において熱交換媒体として用いられる油2は、エリスリトール3との直接接触により、エリスリトール3との間で熱交換を行なう。蓄熱時には、油2は循環用通路4aの排出管4、熱交換器側パイプ5cを通り、熱交換器5a内で熱供給された後、循環用通路4aの供給管6を通ってエリスリトール3内に排出される(以下の説明において、蓄熱時に熱交換器5aで熱供給された油2を特に油2aと、また、放熱時に蓄熱容器1aでエリスリトール3から熱供給された油2を特に油2bと記す)。排出された油2aは、比重がエリスリトール3よりも小さいため、上層の油2の位置にまで上昇し、油2に取込まれる。この上昇中に、エリスリトール3との直接接触により、油2aの熱がエリスリトール3に伝導されるようになっている。また、放熱時には、油2は放熱側循環用通路4bの排出管4、熱交換器側パイプ5cを通り、熱交換器5b内で放熱後、放熱側循環用通路4bの供給管6を通ってエリスリトール3内に排出される。排出された(放熱後の)油2は、比重がエリスリトール3よりも小さいため、上層の油2の位置にまで上昇し、油2に取込まれる。この上昇中に、エリスリトール3との直接接触により、エリスリトール3に蓄熱された熱が油2に伝導されるようになっている。
エリスリトール3は、蓄熱時には、上記の油2aから伝導された熱を蓄える。また、放熱時には、放熱後の油2へ熱を伝導する。エリスリトール3の融点は約121度であり、平時には(室温状態では)固体となっている。そして、油2aから直接接触により熱が伝導されることにより、固体から液体に状態変化し、液体状態のときに蓄熱されるようになっている。すなわち、エリスリトール3は、潜熱蓄熱を利用して蓄熱するものである。一方、エリスリトール3は、液体から固体へ状態変化するときに放熱するので、熱を取り出すことができる。ここで、エリスリトールは、融解熱が76kcal/kgと高いことから、その蓄熱量が大きいため、蓄熱体として望ましい。ここではエリスリトールを用いているが、蓄熱体としては、その他にも、酢酸ナトリウム(融解熱:63kcal/kg)、糖アルコール類等、融解熱(潜熱)が大きいものを用いることができる。
油2とエリスリトール3とは互いに混合せず、油2がエリスリトール3よりも比重が小さいため、蓄熱容器1a内では、上層に油2、下層にエリスリトール3と、上下に分離して収容される。また、油2とエリスリトール3とが互いに混合しないため、油2とエリスリトール3との間には、夫々を分離するための部材等は介在せず、油2とエリスリトール3とは直接接触している。
蓄熱側の循環用通路4aは、排出管4、熱交換器側パイプ5c、供給管6により構成されている(図3参照)。また、放熱側循環用通路4bは、排出管4、熱交換器側パイプ5d、供給管6により構成される(図4参照)。そして、これらの循環用通路4a、4bは、上記のように、蓄熱容器1a内部に連通して形成されている。排出管4は、蓄熱容器1aの外部から内部へ貫通して設けられており、貫通した排出管4は、油2が収容されている状態において、油2が位置する蓄熱容器1aの上層部分に配置されている。そして、その管端孔4hから循環用通路4a、4bへ、油2を取り込むことができるようになっている。供給管6もまた、蓄熱容器1aの外部から内部へ貫通して設けられており、貫通した供給管6は、蓄熱容器1aに収容されたエリスリトール3が位置する蓄熱容器1aの下層部分に、エリスリトール3と接触するように配置されている。また、供給管6は、そのエリスリトール3と接触する部分に、内部を流通する油2を排出するための供給孔6hを複数有している。そして、排出管41、供給管61の接続口41、61が、蓄熱側の熱交換器5aとの接続口51、52(又は、放熱側の熱交換器5bとの接続口53、54)に着脱可能に接続されている。また、循環用通路4a、4bには、ポンプ(強制流通機構)4p、4qがそれぞれ設けられており、油2は、ポンプ4p、4qの作用により循環用通路4a、4b内部を流通する。そのため、蓄熱容器1a内の油2を蓄熱側の熱交換器5a(放熱側の熱交換器5b)の方向へ送ることができるようになっている。本実施形態では、油2の強制流通機構としてポンプを用いているが、油2を循環用通路内で循環流通させることができるものであればポンプ以外のものを用いてもよい。
図3に示すように、蓄熱側の熱交換器5aは、工場80で発生した熱を循環用通路4a内を流通する油2へ伝導するためのものである。上記のように、熱交換器側パイプ5cには、接続口51、52において、排出管4及び供給管6が着脱可能に接続されている。そして、熱交換器側パイプ5cは、熱交換器5aの内部を通過するように設置されている。一方、工場80から排出された熱は、上流側排熱パイプ80aから、高温の蒸気や空気等の熱媒体が熱交換器5a内部へ送り込まれている。蒸気や空気等の熱媒体を介して送り込まれた熱が、熱交換器5a内で熱交換することにより、油2へ伝導される。そして、熱交換側パイプ5c及び油2により熱を取り除かれた蒸気等の熱媒体が、下流側排熱パイプ80bから排出されるようになっている。そのため、工場(熱源)80と循環用通路4aとは、熱的に接続されているといえる。また、循環用通路4aの途中に配設されたポンプ4pの作用により、熱交換器5aに取り込まれた油2が蓄熱容器1aに送り込まれる。熱交換器5aが以上の動作を繰り返すことにより、工場80で発生した熱を蓄熱容器1aのエリスリトール3に蓄えることができるようになっている。
また、蓄熱容器1aには、貯留機構(貯留手段)7が設けられている(図3参照)。貯留機構7の作用により、蓄熱容器1aを輸送する際(蓄熱完了時)には、油2が蓄熱容器1aから取り出されて、貯留槽7bへと貯留される。これにより、比熱が小さく蓄熱に殆ど寄与しない油2を取り出して貯留しておき、その分の無駄な重量を省くことで、輸送コストを低減することができる。また、蓄熱容器1aに蓄えられた熱の利用時(放熱時)には、貯留機構7の作用により、油2が蓄熱容器1aへ供給される。
次に、熱輸送システム1による熱輸送方法について、図5、図6のフローチャートを参照しながら説明する。図5は蓄熱段階におけるフローチャートを示しており、図6は放熱段階におけるフローチャートを示している。
まず、蓄熱工程において、蓄熱容器1aへの蓄熱が行なわれる(図5のステップS101)。このとき、蓄熱容器1aには、予め熱交換媒体である油2が注入・供給された状態となっている。蓄熱工程においては、循環用通路4a内を油2が循環流通しており、循環用通路4aは、熱源である工場80と、熱交換器5a内部で熱的に接続されているために、工場80から蒸気として排出された熱が、熱交換器5aにおいて、油2へと伝導される。
次に、放熱段階について説明する。放熱段階では、施設85において、蓄熱容器1aに蓄えられた熱が回収・利用される。まず、接続口53、54及び接続口71において、熱交換器側パイプ5d及びパイプ7a’と、輸送工程により施設85へ運び込まれた蓄熱容器1aとを接続する。ここで、初めの状態においては、輸送機構によって輸送された蓄熱容器1aは、貯留機構7によって油2を取り出された状態になっているため、まず、熱交換媒体注入工程において、熱交換媒体である油2を蓄熱容器1aに供給する(図6のステップS201)。ここで、貯留された油2の供給は、上記の蓄熱段階に用いられた貯留機構7とは異なる貯留機構7’(構成は貯留機構7と同一)により行なわれる。ここで、貯留機構7’及び油2は、施設85で別途準備されているものである。
次に、本発明に係る熱輸送システムの第2実施形態にについて、図7及び図8を参照しながら、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る熱輸送システム100においては、第1実施形態と異なり、貯留機構107における油2の取り出し口171a及び供給口171bがそれぞれ別々に設けられており、且つ、蓄熱容器101aにではなく、循環用通路104aの途中に設けられている。そして、循環用通路104aのポンプ104pは、熱交換器5aの下流側であって、取り出し口171aよりも上流側に設けられており、貯留機構107のポンプ107pは、貯留槽107bと供給口171bとの間に設けられている。また、貯留機構107において、取り出し用パイプ107a及び供給用パイプ107cには、バルブ172b〜172eが設けられている。また、循環用通路104aにおいて、取り出し口171a及び供給口171bの間にも、バルブ172aが設けられている(図7参照)。また、放熱側においては、取り出し用パイプ107a、供給用パイプ107c、取り出し口171a、供給口171b、貯留機構107、バルブ172a〜172e、貯留槽107b、及び、ポンプ107pと同一構成の、取り出し用パイプ107a’、供給用パイプ107c’、取り出し口171a’、供給口171b’、貯留機構107’、バルブ172a’〜172e ’、貯留槽107b’、及び、ポンプ107p’が設けられている(図8参照)。
次に、本発明に係る熱輸送システムの第3実施形態にについて、図9を参照しながら、上記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、上記の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る熱輸送システム200においては、上記の実施形態と異なり、貯留機構207において、油2の取り出し口271aが、循環用通路204aの途中であって熱源である工場80の下流側に設けられており、且つ、油2の供給口271bが、循環用通路204aの途中であって工場80の上流側に設けられている。そして、循環用通路204aのポンプ204pは、熱交換器5aの下流側であって、取り出し口271aよりも上流側に設けられており、貯留機構207のポンプ207pは、貯留槽207bと供給口271bとの間に設けられている。また、貯留機構207において、取り出し用パイプ207a及び供給用パイプ207cには、バルブ272b〜272eが設けられている。また、循環用通路204aにおいて、取り出し口271a及び供給口271bの間にバルブ272aが、また、供給口271b及び接続口51との間にバルブ272fが設けられている。
1a 蓄熱容器
2、2a、2b 油(熱交換媒体)
3 エリスリトール(蓄熱体)
4a、4b、104a、104b、204a 循環用通路
7、107、207 貯留機構(貯留手段)
71、171a、271a 取り出し口
71、171b、271b 供給口
107t 加熱機構
Claims (7)
- 潜熱蓄熱により蓄熱する蓄熱体と、
前記蓄熱体に接触することで熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく前記蓄熱体とは分離する熱交換媒体と、
前記蓄熱体及び前記熱交換媒体を収容する蓄熱容器と、
内部を前記熱交換媒体が循環流通し、前記蓄熱容器内部へ連通して形成され、且つ、前記熱交換媒体に熱供給するために熱源と熱的に接続された循環用通路と、
前記蓄熱容器から前記熱交換媒体を取り出して貯留し、当該貯留した熱交換媒体を前記蓄熱容器へ供給する貯留手段と、を備え、
前記蓄熱容器は輸送可能であることを特徴とする熱輸送システム。 - 前記貯留手段において、前記熱交換媒体の取り出し口及び供給口が、前記蓄熱容器に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱輸送システム。
- 前記貯留手段において、前記熱交換媒体の取り出し口及び供給口が、前記循環用通路の途中に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱輸送システム。
- 前記貯留手段には、貯留された前記熱交換媒体を加熱保温するための加熱機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱輸送システム。
- 前記貯留手段において、前記熱交換媒体の取り出し口が、前記循環用通路の途中であって前記熱源の上流側に設けられており、且つ、前記熱交換媒体の供給口が、前記循環用通路の途中であって前記熱源の下流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱輸送システム。
- 前記蓄熱材はエリスリトールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱輸送システム。
- 互いに接触することで熱交換する潜熱蓄熱により蓄熱する蓄熱体、及び、前記蓄熱体よりも比重が小さく前記蓄熱体とは分離する熱交換媒体が蓄熱容器に収容されており、前記蓄熱容器内部へ連通して形成され、且つ、前記熱交換媒体に熱供給するために熱源と熱的に接続された循環用通路の内部を前記熱交換媒体が循環流通することで前記蓄熱体に蓄熱される蓄熱工程と、
前記蓄熱容器から前記熱交換媒体が取り出されて貯留される熱交換媒体抽出工程と、
前記蓄熱容器を輸送する輸送工程と、を有することを特徴とする熱輸送方法。
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