JP2008045204A - 酸化膜密着性に優れた電気電子部品用銅合金板 - Google Patents

酸化膜密着性に優れた電気電子部品用銅合金板 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度化と優れた酸化膜密着性とを両立させたCu−Fe−P系銅合金板を提供することを目的とする。
【解決手段】Fe含有量が比較的少ないCu−Fe−P系銅合金板の、FE−SEMによるEBSPを用いた結晶方位解析方法により測定したBrass方位の方位分布密度が25%以上である集合組織を有するとともに、平均結晶粒径を6.0μm以下として、高強度で、かつ、酸化膜密着性を向上させ、半導体パッケージの信頼性を高める。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度で、かつ、パッケージクラックや剥離の問題に対処するために酸化膜密着性を向上させたCu−Fe−P系の銅合金板に関する。本発明の銅合金板は、半導体装置用リードフレームの素材として好適で、半導体装置用リードフレーム以外にも、その他の半導体部品、プリント配線板等の電気・電子部品材料、開閉器部品、ブスバー、端子・コネクタ等の機構部品など様々な電気電子部品用として好適に使用される。ただ、以下の説明では、代表的な用途例として、半導体部品であるリードフレームに使用する場合を中心に説明を進める。
半導体リードフレーム用銅合金としては、従来よりFeとPとを含有する、Cu−Fe−P系の銅合金が一般に用いられている。これらCu−Fe−P系の銅合金としては、例えば、Fe:0.05〜0.15%、P:0.025〜0.040%を含有する銅合金(C19210合金)や、Fe:2.1〜2.6%、P:0.015〜0.15%、Zn:0.05〜0.20%を含有する銅合金(CDA194合金)が例示される。これらのCu−Fe−P系の銅合金は、銅母相中にFe又はFe−P等の金属間化合物を析出させると、銅合金の中でも、強度、導電性および熱伝導性に優れていることから、国際標準合金として汎用されている。
近年、電子機器に用いられる半導体装置の大容量化、小型化、高機能化に伴い、半導体装置に使用されるリードフレームの小断面積化が進み、より一層の強度、導電性、熱伝導性が要求されている。これに伴い、これら半導体装置に使用されるリードフレームに用いられる銅合金板にも、より一層の高強度化、熱伝導性が求められている。
一方、半導体デバイスのプラスチックパッケージは、熱硬化性樹脂によって半導体チップを封止するパッケージが、経済性と量産性に優れることから、主流となっている。これらパッケージは、最近の電子部品の小型化の要求に伴って、益々薄肉化されている。
これらのパッケージの組み立てにおいて、リードフレームに半導体チップをAgペーストなどを用いて加熱接着するか、あるいはAu,Agなどのめっき層を介してはんだ付けもしくはAgろう付けする。そして、その後樹脂封止を行い、樹脂封止を行ったあとに、アウターリードに電気めっきによる外装を行うのが一般的である。
これらのパッケージの信頼性に関する最大の課題は、表面実装時に発生するパッケージ・クラックや剥離の問題である。パッケージの剥離は、半導体パッケージを組み立てた後、樹脂とダイパッド(リードフレームの半導体チップを載せる部分)との密着性が低い場合、後の熱処理時の熱応力によって生じる。
これに対して、パッケージクラックは、半導体パッケージを組み立てた後、モールド樹脂が大気より吸湿するため、後の表面実装での加熱において水分が気化し、パッケージ内部にクラックがあると、剥離面に水蒸気が印加されて内圧として作用する。この内圧によりパッケージに膨れを生じたり、樹脂が内圧に耐えられずクラックを生じたりする。表面実装後のパッケージにクラックが発生すると水分や不純物が侵入しチップを腐食させるため、半導体としての機能を害する。また、パッケージが膨れることで外観不良となり商品価値が失われる。このようなパッケージクラックや剥離の問題は、近年、上記パッケージの薄型の進展に伴って顕著となっている。
ここで、パッケージクラックや剥離の問題は、樹脂とダイパットとの密着性不良に起因するが、樹脂とダイパットとの密着性に最も大きな影響を及ぼしているのが、リードフレーム母材の酸化膜である。リードフレーム母材は、板の製造やリードフレーム製作のために、種々の加熱工程を経ている。このため、Agなどのめっき前に、母材の表面には、数十〜数百nmの厚さの酸化膜が形成されている。ダイパット表面では、この酸化膜を介して銅合金と樹脂とが接しているため、この酸化膜のリードフレーム母材との剥離は、もろに樹脂とダイパットとの剥離へとつながり、リードフレーム母材への樹脂の密着性を著しく低下させる。
したがって、パッケージクラックや剥離の問題は、この酸化膜のリードフレーム母材との密着性にかかっている。このため、リードフレーム母材としての、前記高強度化したCu−Fe−P系の銅合金板には、種々の加熱工程を経て表面に形成された酸化膜の密着性が高いことが要求される。
こうした課題に対し、これまで、あまり対策は提案されていないが、特許文献1では、銅合金極表層の結晶配向を制御することで、酸化膜密着性を向上させることが提案されている。即ち、特許文献1では、リードフレーム母材銅合金のXRDの薄膜法にて評価される極表面の結晶配向において、{111}ピーク強度に対する{100}ピーク強度比を0.04以下として、酸化膜密着性を向上させることが提案されている。なお、この特許文献1では、あらゆるリードフレーム母材銅合金を含むが、実質的に例示しているCu−Fe−P系銅合金は、Feの含有量が2.4%以上と多いCu−Fe−P系銅合金のみである。
特開2001−244400号公報
しかし、この特許文献1の技術では、本発明で意図する高レベルの酸化膜密着性を保障するまでには至らない。
即ち、先ず、特許文献1におけるCu−Fe−P系銅合金の実質的なFeの含有量は、前記した通り、最低でも2.4質量%を超えて多い。この点で、特許文献1の技術は、確かにFeの含有量が多いCu−Fe−P系銅合金の酸化膜密着性向上には有効かもしれない。実際に、特許文献1ではFeの含有量が2.41%である実施例1のCu−Fe−P系銅合金の酸化膜密着性は、酸化膜の剥離限界温度で633K(360℃)まで向上している。
しかし、Feの含有量が2.4質量%を超えて多くなると、導電率などの材料特性だけでなく、鋳造性などの生産性が著しく低下するという、別の問題が生じる。実際に、特許文献1では、上記実施例1のCu−Fe−P系銅合金の引張強度は530MPaと比較的高いが、導電率は63%IACSと低い。
これに対して導電率を無理に増加させるために、例えば、上記析出粒子の析出量を増やそうとすると、逆に、析出粒子の成長・粗大化を招き、強度や耐熱性が低下する問題がある。言い換えると、特許文献1の技術では、Cu−Fe−P系銅合金に要求される高強度化と酸化膜密着性とを兼備させることができない。
したがって、この特許文献1の技術を、Feの含有量を実質的に0.5%以下と低減した組成によって、高強度化したCu−Fe−P系銅合金にそのまま適用しても、前記したリードフレーム等に要求される酸化膜密着性を得ることはできない
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、Feの含有量を実質的に0.5%以下と低減した組成によっても、高強度化と優れた酸化膜密着性とを両立させたCu−Fe−P系銅合金板を提供することである。
この目的を達成するための本発明電気電子部品用銅合金板の要旨は、質量%で、Fe:0.01〜0.50%、P:0.01〜0.15%を各々含有する銅合金板であって、互いに隣接する結晶の方位差が±15°以内のものは同一の結晶面に属するものと見なした場合に、電界放射型走査電子顕微鏡FE−SEMによる後方散乱電子回折像EBSPを用いた結晶方位解析方法により測定した、Brass方位の方位分布密度が25%以上である集合組織を有するとともに、平均結晶粒径を6.0μm以下とする。
本発明銅合金板は、高強度を達成するために、更に、質量%で0.005〜5.0%のSnを、あるいは、はんだ及びSnめっきの耐熱剥離性改善のために、更に、質量%で0.005〜3.0%のZnを、各々含有しても良い。
本発明銅合金板は、高強度化の目安として、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上であることが好ましい。なお、導電率は板の強度に相関するものであり、本発明でいう高導電率とは、高強度な割りには導電率が比較的高いという意味である。
本発明銅合金板は、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、質量%で、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%と、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%とを各々含有するとともに、これら含有する元素の合計含有量を1.0%以下として、含有しても良い。
本発明銅合金板は、更に、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下とすることが好ましい。
本発明の銅合金板は、様々な電気電子部品用に適用可能であるが、特に、半導体部品である半導体リードフレーム用途に使用されることが好ましい。
通常の銅合金板の場合、主に、以下に示す如きCube方位、Goss方位、Brass 方位(以下、B方位ともいう)、Copper方位(以下、Cu方位ともいう)、S方位等と呼ばれる集合組織を形成し、それらに応じた結晶面が存在する。
これらの集合組織の形成は同じ結晶系の場合でも加工、熱処理方法によって異なる。圧延による板材の集合組織の場合は、圧延面と圧延方向で表されており、圧延面は{ABC}で表現され、圧延方向は<DEF>で表現される。かかる表現に基づき、各方位は下記の如く表現される。
Cube方位 {001}<100>
Goss方位 {011}<100>
Rotated-Goss方位 {011}<011>
Brass 方位(B方位) {011}<211>
Copper方位(Cu方位) {112}<111>
(若しくはD方位{4 4 11}<11 11 8 >)
S方位 {123}<634>
B/G方位 {011}<511>
B/S方位 {168}<211>
P方位 {011}<111>
ここで、B方位〜Cu方位〜S方位は各方位間で連続的に変化するファイバー集合組織(β−fiber)で存在している。
通常の銅合金板の集合組織は、上述のように、かなり多くの方位因子からなるが、これらの構成比率が変化すると、板材の塑性異方性が変化し、加工性や成形性などの特性が変化する。
前記した特許文献1は、この集合組織の中で、特に、{111}ピーク強度に対する{100}ピーク強度比を0.04以下として、酸化膜密着性を向上させている。しかし、このように、Copper方位(Cu方位)に対して、Cube方位やGoss方位の方位分布密度を増しても、特に、本発明が対象とするFeの含有量を0.5%以下に少なくしたCu−Fe−P系組成を有する銅合金板では、高強度化できず、酸化膜の密着性も向上できない。このため、このFeの含有量が少ないCu−Fe−P系組成を有する銅合金板では、高強度化と優れた耐熱性とを両立させることができない。
これに対して、本発明では、Brass方位(110面)の方位分布密度を増して(高くして)、できるだけ同一方位の集合組織とすることによって、このFeの含有量が少ないCu−Fe−P系組成を有する銅合金板において、高強度化と優れた耐熱性とを両立させる。
即ち、このFeの含有量が少ないCu−Fe−P系組成を有する銅合金板では、上記集合組織の中では、特に、Brass方位(B方位)の方位分布密度が酸化膜の密着性に大きく影響する。このB方位の方位分布密度が大きいほど、圧延集合組織が発達しており、強度が高くなるとともに、酸化膜の密着性が向上する。
以下に、半導体リードフレーム用などとして、必要な特性を満たすための、本発明Cu−Fe−P系銅合金板における各要件の意義や実施態様を具体的に説明する。
(B方位の方位分布密度の測定)
本発明におけるCu−Fe−P系銅合金板のBrass方位(B方位)の方位分布密度の測定は、電界放射型走査電子顕微鏡FESEM(Field Emission Scanning Electron Microscope )による、後方散乱電子回折像EBSP(electronBackscatter Diffraction Pattern)を用いた結晶方位解析方法により測定する。
本発明で板のBrass方位の集合組織を規定するに際して、上記EBSPを用いた結晶方位解析方法による測定にて規定しているのは、酸化膜の密着性向上のためには、板(板表面)のよりミクロな領域の組織(集合組織)が影響しているためである。上記EBSPを用いた結晶方位解析方法では、このミクロな領域の集合組織を定量化することができる。
これに対して、集合組織規定乃至測定のために汎用されるX線回折(X線回折強度など)では、上記EBSPを用いた結晶方位解析方法に比して、比較的マクロな領域の組織(集合組織)を測定していることとなる。このため、酸化膜の密着性向上のための、板の上記よりミクロな領域の組織(集合組織)を正確に測定することができない。
実際に、本発明者らが測定し、比較したところによれば、上記EBSPを用いた結晶方位解析方法により測定したB方位の方位分布密度値と、X線回折により測定したB方位の方位分布密度値とは、同じ板であっても互いに大きく異なる。このため、B方位の方位分布密度が異なる複数の板同士での比較において、B方位の方位分布密度が極端に大きい、あるいは極端に小さいという群全体の傾向(大まかな傾向)では、これら両測定方法は一致するものの、測定した各板のB方位の方位分布密度値の順位は、両測定方法では大きく異なる。したがって、結果として、互いの測定方法には互換性(相関性)は無い。
言い換えると、この事実からも、酸化膜の密着性に板のよりミクロな領域の集合組織が影響していること、そして、このミクロな領域のBrass方位集合組織を上記EBSPを用いた結晶方位解析方法による測定にて規定している、本発明の意義が分かる。
(B方位の方位分布密度測定方法)
この結晶方位解析方法は、試料表面に斜めに電子線を当てたときに生じる後方散乱電子回折パターン(菊地パターン)に基づき、結晶方位を解析する。そして、この方法は、高分解能結晶方位解析法(FESEM/EBSP法)として、ダイヤモンド薄膜や銅合金などの結晶方位解析でも公知である。本発明と同じく銅合金の結晶方位解析をこの方法で行なっている例は、特開2005−29857号公報、特開2005−139501号公報などにも開示されている。
この結晶方位解析方法による解析手順は、まず、測定される材料の測定領域を通常、六角形等の領域に区切り、区切られた各領域について、試料表面に入射させた電子線の反射電子から、菊地パターン(B方位マッピング)を得る。この際、電子線を試料表面に2次元で走査させ、所定ピッチ毎に結晶方位を測定すれば、試料表面の方位分布を測定できる。
次に、得られた上記菊池パターンを解析して、電子線入射位置の結晶方位を知る。即ち、得られた菊地パターンを既知の結晶構造のデータと比較し、その測定点での結晶方位を求める。同様にして、その測定点に隣接する測定点の結晶方位を求め、これら互いに隣接する結晶の方位差が±15°以内(結晶面から±15°以内のずれ)のものは同一の結晶面に属するものとする(見なす)。また、両方の結晶の方位差が±15°を超える場合には、その間(両方の六角形が接している辺など)を粒界とする。このようにして、試料表面の結晶粒界の分布を求める。
より具体的には、製造した銅合金板から組織観察用の試験片を採取し、機械研磨およびバフ研磨を行った後、電解研磨して表面を調整する。このように得られた試験片について、例えば日本電子社製のFESEMと、TSL社製のEBSP測定・解析システムOIM(Orientation Imaging Macrograph)を用い、同システムの解析ソフトと(ソフト名「OIM Analysis」)を用いて、各結晶粒が、対象とするBrass方位の方位密度(理想方位から15°以内)か否かを判定し、測定視野におけるBrass方位密度を求める。
この測定視野範囲は、500μm×500μm程度の微小(ミクロな)領域であり、X線回折の測定範囲に比較しても、著しく微小な領域である。したがって、酸化膜の密着性に影響する、板のよりミクロな領域の組織における方位密度測定を、X線回折による方位密度測定に比して、前記した通り、より詳細且つ高精度に行なうことができる。
なお、これらの方位分布は板厚方向に変化しているため、板厚方向に何点か任意にとって平均をとることによって求める方が好ましい。但し、リードフレーム等の半導体用材料に用いられる銅合金板の場合、板厚が0.1 〜0.4mm 程度の薄板であるため、そのままの板厚で測定した値でも評価できる。
(方位分布密度の意義)
本発明では、前記した通り、Fe含有量が少ないCu−Fe−P系銅合金板の高強度化と優れた酸化膜の密着性とを両立させるために、その圧延集合組織の発達を、特定方位について調整する。
このために、本発明では、Brass方位(B方位)の方位分布密度を増して(高くして)、上記したFESEM/EBSPを用いた結晶方位解析方法による測定で25%以上とした集合組織とする。但し、前提として、本発明においては、これらの互いに隣接する結晶の方位差が±15°以内(結晶面から±15°以内のずれ)のものは同一の結晶面に属するものと見なす。
Fe含有量が少ない(0.5%以下の)Cu−Fe−P系組成を有する銅合金板では、B方位の方位分布密度が酸化膜の密着性に大きく影響する。B方位の方位分布密度が大きいほど、圧延集合組織が発達しており、強度が高くなるとともに、酸化膜の密着性が向上する。
これに対して、Brass方位(B方位)の上記方位分布密度が25%未満では、Fe含有量が少ないCu−Fe−P系銅合金板の圧延集合組織が発達せず、強度が低くなるとともに、酸化膜の密着性が向上しない。
(平均結晶粒径)
本発明では、上記集合組織への制御や、上記集合組織自体の効果を発揮させるための前提的な条件として、銅合金板組織における平均結晶粒径を、上記したFESEM/EBSPを用いた結晶方位解析方法による測定値で6.0μm以下とする。この平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化させることによって、酸化膜の密着性も向上し、また、上記集合組織への制御や、上記集合組織自体の酸化膜の密着性向上効果発揮が容易となる。一方、この平均結晶粒径が6.0μmを超えて粗大化した場合、上記集合組織への制御や、上記集合組織自体の効果の発揮が難しくなる。
この平均結晶粒径は、上記した通り、FESEM/EBSPを用いた結晶方位解析方法によるB方位の方位分布密度測定の中で測定できる。
(銅合金板の成分組成)
本発明では、半導体リードフレーム用などとして、引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上、導電率が50%IACS以上である高強度化と優れた酸化膜密着性とを併せて達成する。このために、Cu−Fe−P系銅合金板として、質量%で、Feの含有量が0.01〜0.50%の範囲、前記Pの含有量が0.01〜0.15%の範囲とした、残部Cuおよび不可避的不純物からなる基本組成とする。
この基本組成に対し、Zn、Snの一種または二種を、更に下記範囲で含有する態様でも良い。また、その他の選択的添加元素および不純物元素も、これら特性を阻害しない範囲での含有を許容する。なお、合金元素や不純物元素の含有量の表示%は全て質量%の意味である。
(Fe)
Feは、Fe又はFe基金属間化合物として析出し、銅合金の強度や耐熱性を向上させる主要元素である。Feの含有量が0.01%未満では、製造条件によっては、上記析出粒子の生成量が少なく、導電率の向上は満たされるものの、強度向上への寄与が不足し、強度や耐熱性が不足する。一方、Feの含有量が0.50%を超えると、前記した従来技術のように、導電率やAgメッキ性が低下する。そこで、導電率を無理に増加させるために、上記析出粒子の析出量を増やそうとすると、逆に、析出粒子の成長・粗大化を招く。このため、強度や耐熱性が低下する。したがって、Feの含有量は0.01〜0.50%の比較的低めの範囲とする。
(P)
Pは、脱酸作用がある他、Feと化合物を形成して、銅合金の強度や耐熱性を向上させる主要元素である。P含有量が0.01%未満では、製造条件によっては、化合物の析出が不十分であるため、所望の強度や耐熱性が得られない。一方、P含有量が0.15%を超えると、導電性が低下するだけでなく、却って耐熱性や、熱間加工性、プレス打ち抜き性が低下する。したがって、Pの含有量は0.01〜0.15%の範囲とする。
(Zn)
Znは、リードフレームなどに必要な、銅合金のはんだ及びSnめっきの耐熱剥離性を改善する。Znの含有量が0.005%未満の場合は所望の効果が得られない。一方、3.0%を超えるとはんだ濡れ性が低下するだけでなく、却って耐熱性や導電率の低下も大きくなる。したがって、選択的に含有させる場合のZnの含有量は、用途に要求される導電率とはんだ及びSnめっきの耐熱剥離性とのバランスに応じて(バランスを考慮して)、0.005〜3.0%の範囲から選択する。
(Sn)
Snは、銅合金の強度向上に寄与する。Snの含有量が0.001%未満の場合は高強度化に寄与しない。一方、Snの含有量が多くなると、その効果が飽和し、逆に、導電率の低下を招く。したがって、選択的に含有させる場合のSn含有量は、用途に要求される強度(硬さ)と導電率のバランスに応じて(バランスを考慮して)、0.001〜5.0%の範囲から選択して含有させることとする。
(Mn、Mg、Ca量)
Mn、Mg、Caは、銅合金の熱間加工性の向上に寄与するので、これらの効果が必要な場合に選択的に含有される。Mn、Mg、Caの1種又は2種以上の含有量が合計で0.0001%未満の場合、所望の効果が得られない。一方、その含有量が合計で1.0%を越えると、粗大な晶出物や酸化物が生成して、強度や耐熱性を低下させるだけでなく、導電率の低下も激しくなる。したがって、これらの元素の含有量は総量で0.0001〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。
(Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Pt量)
これらの成分は銅合金の強度を向上させる効果があるので、これらの効果が必要な場合に選択的に含有される。これらの成分の1種又は2種以上の含有量が合計で0.001%未満の場合、所望の効果か得られない。一方、その含有量が合計で1.0%を越えると、粗大な晶出物や酸化物が生成して、強度や耐熱性を低下させるだけでなく、導電率の低下も激しく、好ましくない。従って、これらの元素の含有量は合計で0.001〜1.0%の範囲で選択的に含有させる。なお、これらの成分を、上記Mn、Mg、Caと共に含有する場合、これら含有する元素の合計含有量は1.0%以下とする。
(Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタル量)
これらの成分は不純物元素であり、これらの元素の含有量の合計が0.1%を越えた場合、粗大な晶出物や酸化物が生成して、強度や耐熱性を低下させる。従って、これらの元素の含有量は合計で0.1%以下とすることが好ましい。
(製造条件)
次に、銅合金板組織を上記本発明規定の組織とするための、好ましい製造条件について以下に説明する。本発明銅合金板は、上記集合組織を制御した本発明規定の組織とするための、最終低温焼鈍条件などの好ましい条件を除き、通常の製造工程自体を大きく変えることは不要で、常法と同じ工程で製造できる。
即ち、先ず、上記好ましい成分組成に調整した銅合金溶湯を鋳造する。そして、鋳塊を面削後、加熱または均質化熱処理した後に熱間圧延し、熱延後の板を水冷する。この熱間圧延は通常の条件で良い。
その後、中延べと言われる一次冷間圧延して、焼鈍、洗浄後、更に仕上げ(最終)冷間圧延、低温焼鈍(最終焼鈍、仕上げ焼鈍)して、製品板厚の銅合金板などとする。これら焼鈍と冷間圧延を繰返し行ってもよい。例えば、リードフレーム等の半導体用材料に用いられる銅合金板の場合は、製品板厚が0.1〜0.4mm程度である。
なお、一次冷間圧延の前に銅合金板の溶体化処理および水冷による焼き入れ処理を行なっても良い。この際、溶体化処理温度は、例えば750 〜1000℃の範囲から選択される。
(最終冷間圧延)
最終冷間圧延も常法による。ただ、リードフレームにスタンピング加工後の熱処理(歪取り焼鈍)などでの強度低下が少ない耐熱性を向上させるためには、最終冷間圧延での圧延速度を大きくするか、最終冷間圧延におけるロールの硬さ(シェア硬さ)を高くすることが好ましい。即ち、最終冷間圧延での圧延速度を200m/min以上に大きくするか、最終冷間圧延におけるロールの硬さ(シェア硬さ)を60Hs以上に高くする、などの手段を選択して使用するか、組み合わせて使用することが好ましい。
また、上記スタンピング加工におけるプレス打ち抜き性を向上させるためには、最終冷間圧延での導入歪み量を大きくする。即ち、最終冷間圧延における、ロール径を80mmφ未満の小径ロールとするか、1パス当たりの最小圧下率(冷延率、加工率)を20%以上とするか、ロール長さ(ロール幅)を500mm以上とする、などの手段を選択して使用するか、組み合わせて使用することが好ましい。
最終冷間圧延のパス数は、過少や過多のパス数を避けて、通常の3〜4回のパス数で行なうことが好ましい。また、1パス当たりの圧下率は50%を超える必要は無く、1パス当たりの各圧下率は、元の板厚、冷延後の最終板厚、パス数、この最大圧下率を考慮して決定される。
(最終焼鈍)
本発明では、最終冷間圧延後に、低温での最終焼鈍を連続的な熱処理炉にて行なうことが好ましい。この連続的な熱処理炉での最終焼鈍条件は、100〜400℃で0.2分以上300分以下の低温条件とすることが好ましい。通常のリードフレームに用いられる銅合金板の製造方法では、強度が低下するため、歪み取りのための焼鈍(350℃×20秒程度)を除き、最終冷間圧延後に最終焼鈍はしない。しかし、本発明では、前記冷間圧延条件によって、また、最終焼鈍の低温化によって、この強度低下が抑制される。そして、最終焼鈍を低温で行なうことにより、プレス打ち抜き性が向上する。
焼鈍温度が100℃よりも低い温度や、焼鈍時間が0.2分未満の時間条件、あるいは、この低温焼鈍をしない条件では、銅合金板の組織・特性は、最終冷延後の状態からほとんど変化しない可能性が高い。逆に、焼鈍温度が400℃を超える温度や、焼鈍時間が300分を超える時間で焼鈍を行うと、再結晶が生じ、転位の再配列や回復現象が過度に生じ、析出物も粗大化するため、プレス打ち抜き性や強度が低下する可能性が高い。
(最終焼鈍での集合組織、平均結晶粒径制御)
その上で、この最終焼鈍を連続的な熱処理炉にて行なうことで、上記本発明で規定する集合組織、平均結晶粒径とでき、強度を高く、酸化膜の密着性を向上させることができる。即ち、連続的な熱処理炉では、通板の際の板に負荷する張力と通板速度とを制御でき、これによって、Brass方位(B方位)の方位分布密度を25%以上とした圧延集合組織を発達させることができる。また、平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化できる。連続的な熱処理炉における、通板の際の板に負荷する張力と通板速度とは、Brass方位(B方位)の方位分布密度や平均結晶粒径に大きく影響する。
この本発明で規定する集合組織と平均結晶粒径にするためには、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際に、0.1〜8kgf/mm2 の範囲で張力を加え、かつ通板速度を10〜100m/minの範囲に制御する。通板の際の張力と通板速度とのいずれか、あるいは両方がこの範囲を外れた場合には、本発明で規定する集合組織や平均結晶粒径とできない可能性が高い。
以下に本発明の実施例を説明する。連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度とを変えて、種々のBrass方位の方位分布密度、平均結晶粒径を有する銅合金薄板を製造した。そして、これら各銅合金薄板の引張強さ、硬さ、導電率などの特性や、酸化皮膜の密着性(酸化皮膜の剥離温度)を評価した。これらの結果を表1に示す。
具体的には、表1に示す各化学成分組成の銅合金をそれぞれコアレス炉にて溶製した後、半連続鋳造法で造塊して、厚さ70mm×幅200mm×長さ500mmの鋳塊を得た。各鋳塊を表面を面削して加熱後、950℃の温度で熱間圧延を行って厚さ16mmの板とし、750℃以上の温度から水中に急冷した。次に、酸化スケールを除去した後、一次冷間圧延(中延べ)を行った。この板を面削後、中間焼鈍を入れながら冷間圧延を4パス行なう最終冷間圧延を行い、次いで炉の雰囲気温度450℃で最終焼鈍を行って、リードフレームの薄板化に対応した厚さ0.15mmの銅合金板を得た。
最終冷間圧延の圧延速度は300m/min、ロールの硬さ(シェア硬さ)は90Hs、使用ロール径は60mmφ、1パス当たりの最小圧下率は10%とした。
連続的な熱処理炉による最終焼鈍における、通板の際の各張力(kgf/mm2 )と各通板速度(m/min)とは表1に示す。
なお、表1に示す各銅合金とも、記載元素量を除いた残部組成はCuであり、その他の不純物元素として、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量は、表1に記載の元素を含めて、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下であった。
また、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を含む場合は、合計量を0.0001〜1.0質量%の範囲とし、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を場合は、合計量を0.001〜1.0質量%の範囲とし、更に、これらの元素全体の合計量も1.0質量%以下とした。
上記のようにして得られた銅合金板に対して、各例とも、銅合金板から試料を切り出し、各試料の集合組織、引張強さ、硬さ、導電率、酸化皮膜の密着性などの特性を評価した。これらの結果を表1に各々示す。
(集合組織の測定)
上記得られた銅合金板から組織観察用の試験片を採取し、機械研磨およびバフ研磨を行った後、電解研磨して表面を調整した。得られた各試験片について、前記した方法での測定を、500μm×500μmの領域を、1μmの間隔で、Brass方位(B方位)の方位分布密度を測定した。
測定および解析は、前記した通り、日本電子株式会社製のFESEMとTSL社製のEBSP測定・解析システムと同システムの解析ソフトとを用いて行なった。
(硬さ測定)
上記のようにして得られた銅合金板から10×10mmの試験片を切出し、松沢精機社製のマイクロビッカース硬度計(商品名「微小硬度計」)を用いて0.5kgの荷重を加えて4箇所硬さ測定を行い、硬さはそれらの平均値とした。
(導電率測定)
銅合金板試料の導電率は、ミーリングにより、幅10mm×長さ300mm の短冊状の試験片を加工し、ダブルブリッジ式抵抗測定装置により電気抵抗を測定して、平均断面積法により算出した。
(酸化膜密着性)
また各供試材の酸化膜密着性は、テープピーリング試験により、酸化膜が剥離する限界温度で評価した。テープピーリング試験は、上記のようにして得られた銅合金板から10×30mmの試験片を切出し、大気中所定温度で5分間加熱した後、酸化膜の生成した試験片表面に、市販のテープ(商品名:住友スリーエム製メンディングテープ)を張り付け、引き剥がした。この時、加熱温度を1 0℃刻みで上昇変化させた時に、酸化膜の剥離の生じる最も低い温度を求め、これを酸化膜剥離温度とした。
表1から明らかな通り、本発明組成内の銅合金である発明例1〜14は、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度とが好ましい条件内で製造されている。このため、発明例1〜14は、前記測定法による、Brass方位の方位分布密度を25%以上とした集合組織を有し、平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化できている。
この結果、発明例1〜14は、引張強さが500MPa以上、硬さが150Hv以上の高強度であって、酸化膜剥離温度が350℃以上である優れた酸化膜密着性を有する。したがって、発明例1〜14は、半導体母材として、半導体パッケージの組み立てに際しての樹脂とダイパッドとの密着性が高く、パッケージの信頼性が高い。
これに対して、比較例15〜17は、本発明組成内の銅合金であるものの、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度の、いずれか、または両方が、好ましい条件から外れている。このため、比較例15〜17は、前記測定法による、Brass方位の方位分布密度を25%未満であるとともに、平均結晶粒径も6.0μmを超えて粗大化している。この結果、強度レベルが低く、酸化膜剥離温度が330℃以下であり、酸化膜密着性が著しく劣る。
比較例18の銅合金はFeの含有量が0.007%と、下限0.01%を低めに外れている。一方、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度は好ましい条件内で製造されている。このため、Brass方位の方位分布密度を25%以上とした集合組織を有し、平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化できており、酸化膜密着性に優れるものの、強度レベルが低い。
比較例19の銅合金は、Feの含有量が0.58%と、上限5.0%を高めに外れている。一方、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度は好ましい条件内で製造されている。このため、Brass方位の方位分布密度を25%以上とした集合組織を有し、平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化できており、酸化膜密着性に優れるものの、導電率が著しく低い。
比較例20の銅合金は、Pの含有量が0.008%と、下限0.01%を低めに外れている。一方、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度は好ましい条件内で製造されている。このため、Brass方位の方位分布密度を25%以上とした集合組織を有し、平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化できており、酸化膜密着性に優れるものの、強度レベルが低い。
比較例21の銅合金は、Pの含有量が0.16%と、上限0.15%を高めに外れているため、熱延中に板端部に割れが生じた。一方、連続的な熱処理炉による最終焼鈍における通板の際の張力と通板速度は好ましい条件内で製造されている。このため、Brass方位の方位分布密度を25%以上とした集合組織を有し、平均結晶粒径を6.0μm以下に微細化できており、酸化膜密着性に優れるものの、導電率が著しく低い。
以上の結果から、高強度化させた上で、耐熱性にも優れさせるための、本発明銅合金板の成分組成、集合組織規定の臨界的な意義および、このような組織を得るための好ましい製造条件の意義が裏付けられる。
Figure 2008045204
以上説明したように、本発明によれば、高強度化させた上で、酸化膜密着性にも優れ、これら特性を両立(兼備)させたCu−Fe−P系銅合金板を提供することができる。この結果、半導体パッケージの組み立てに際しての樹脂とダイパッドとの密着性が高く、パッケージの信頼性が高い半導体母材を提供できる。したがって、小型化及び軽量化した電気電子部品用として、半導体装置用リードフレーム以外にも、リードフレーム、コネクタ、端子、スイッチ、リレーなどの、高強度化と、酸化膜密着性=パッケージの信頼性が要求される用途に適用することができる。

Claims (9)

  1. 質量%で、Fe:0.01〜0.50%、P:0.01〜0.15%を各々含有する銅合金板であって、互いに隣接する結晶の方位差が±15°以内のものは同一の結晶面に属するものと見なした場合に、電界放射型走査電子顕微鏡FE−SEMによる後方散乱電子回折像EBSPを用いた結晶方位解析方法により測定した、Brass方位の方位分布密度が25%以上である集合組織を有するとともに、平均結晶粒径を6.0μm以下とすることを特徴とする酸化膜密着性に優れた電気電子部品用銅合金板。
  2. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Sn:0.005〜5.0%を含有する請求項1に記載の電気電子部品用銅合金板。
  3. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Zn:0.005〜3.0%を含有する請求項1または2に記載の電気電子部品用銅合金板。
  4. 前記銅合金板の引張強度が500MPa以上、硬さが150Hv以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金板。
  5. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金板。
  6. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金板。
  7. 前記銅合金板が、更に、質量%で、Mn、Mg、Caのうち1種又は2種以上を合計で0.0001〜1.0%と、Zr、Ag、Cr、Cd、Be、Ti、Co、Ni、Au、Ptのうち1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%とを各々含有するとともに、これら含有する元素の合計含有量を1.0%以下とした請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金板。
  8. 前記銅合金板が、Hf、Th、Li、Na、K、Sr、Pd、W、S、Si、C、Nb、Al、V、Y、Mo、Pb、In、Ga、Ge、As、Sb、Bi、Te、B、ミッシュメタルの含有量を、これらの元素全体の合計で0.1質量%以下とした請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金板。
  9. 前記銅合金板が半導体リードフレーム用である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電気電子部品用銅合金板。
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