JP2008045030A - エチレン系共重合体 - Google Patents

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恵一 野口
Akinori Toyoda
昭徳 豊田
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

【課題】工業的に安価に製造可能で、軽量で加工性に優れ、かつ、常温、常圧の穏和な条件下で六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体。
【化1】

(式中、miは2〜99のいずれかの整数で、平均値<mi>=Σmi/nは4〜18であり、かつ、全てのmiの値が同一となることはない。また、上記一般式(1)中のビニレンユニットのトランス構造含率が80%以上である。)
【選択図】なし。

Description

本発明は、常温、常圧の穏和な条件下で六方晶結晶を含有する新規なエチレン系共重合体、当該エチレン系共重合体を含有してなる高分子組成物、及びこれらの成形体に関する。本発明のエチレン系共重合体は、工業的に安価に製造可能で、軽量で加工性に優れ、かつ、機械的物性に優れる材料として期待される。
ポリオレフィンは、軽量で加工性が良く、耐候性、耐薬品性にも優れているなどの特性から、多量に使用されている。中でも、ポリエチレンは最も使用量が多く、成形体、フィルム、シート、繊維等様々な用途に用いられている。しかしながら、ポリエチレンは高温、高圧においては六方対称性を有する液晶状態を形成し得るが、常温、常圧においては斜方晶を形成するため、成形時には折りたたみ構造などの結晶構造欠陥が発生する。したがって、その機械的物性は理論値よりもはるかに低いものとなっている。
結晶構造欠陥をできるだけ少なくして高強度のポリエチレン繊維を作成する方法として、ポリエチレンのゲル紡糸や固相紡糸などの成形方法が提案されている(例えば非特許文献1)。しかしながら、これらの方法は、通常の紡糸方法に比べてプロセスが複雑であるなどの問題がある。
また、主鎖に1,3−シクロペンタン構造がランダムに導入されたポリエチレンが、斜方晶から六方晶結晶へと変化すること報告されている(例えば非特許文献2)。この六方晶結晶は、液晶状態との関連があり、鎖間相互作用が弱められ、高分子鎖一本あるいは数本が熱力学的な単位として動き得るような状態を形成する可能性があり、自発的配向が期待される。
しかしながら、上記の六方晶結晶を形成するポリエチレンは、遷移金属触媒によるエチレンと1,5−ヘキサジエンの環化を伴う共重合により合成され、反応中に副生成物のゲル成分が多く生成するため、工業化には大きな課題となっている。
近年、六方晶結晶を形成するポリエチレンについて、ポリエチレンの主鎖に一定間隔を置いて短鎖分岐を導入する方法を報告されている(非特許文献3及び4参照)。しかしながら、これらの方法は、特殊な化合物を出発原料や触媒として用いる上に、合成法も煩雑であり、工業的な実用化からは程遠いものである。
Lemstra, British Polym. J. 12(4), 212 (1980) Naga, Macomolecules 36, 9999 (2002). Sworen, J. Am. Chem. Soc. 125, 2228 (2003) Hiltner, J. Polym. Sci.: Part B: Polym. Phys. 41, 2062 (2003)
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、工業的に安価に製造可能で、軽量で加工性に優れ、かつ、常温、常圧の穏和な条件下で六方晶結晶を含有する、機械的物性に優れる材料として期待される新規なエチレン系共重合体を提供することにある。
本発明者らは、繰り返し単位としてメチレン鎖とビニレン骨格を有し、かつ、当該骨格のメチレン鎖長とトランスビニレン含率が特定の構造を有する新規エチレン系共重合体が、六方晶結晶を含有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で表されるランダムな繰り返し単位からなる、六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体に存する。
(式中、nは繰返数であり、mはポリマー鎖末端からi番目(iは1〜nの整数)ののメチレン鎖長で、2〜99の整数であり、全てのmの値が同一となることはなく、かつ、その平均値<m>=Σm/nは4〜18である。R,Rは各々独立に水素または炭素数1〜9のアルキル基および炭素数6〜50の芳香族化合物からなる群から選ばれる基を表し、かつ、上記一般式(1)中のビニレンユニットのトランス構造含率が80%以上である。)
本発明により、工業的に安価に製造可能で、軽量で加工性に優れ、かつ、常温、常圧の穏和な条件下で六方晶結晶を含有する、機械的物性に優れる材料として期待される新規なエチレン系共重合体が提供される。当該エチレン系共重合体、これを含有してなる高分子組成物、及びこれらの成形体の用途としては、繊維、衣料、ロープ、テープ、ネット、自動車用部品、家電製品用部品、家庭用品、接続用部品、雑貨品、医療器具、建材、電線被覆材、農業用資材、食品包装材などの、フィルム及びシートを含む成形品や繊維等が挙げられる。
本発明に係る六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体は、上記一般式(1)の繰り返し単位で表されるように、主鎖にメチレン連鎖を介したビニレンユニットがランダムに結合した繰り返し構造を有している。このエチレン系共重合体の数平均分子量(Mn)は、500〜100万の範囲であることが好ましい。
及びRの炭素数1〜9のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどが挙げられ、炭素数6〜50の芳香族化合物としては、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、インダセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントラセニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ピセニル、ペリレニル、ペンタフェニル、ペンタセニルなどが挙げられる。なお、RおよびRが異なる組み合わせの構成単位であってもよく、また、同一ユニットにあるRとRは、上記のアルキル基または芳香族化合物残基を介して互いに結合していてもよい。
及びRとしては、水素、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、フェニルが好ましい。中でも、特に、水素が好ましい。
で表されるメチレン鎖長は、好ましくは、各単位独立に2〜50のいずれかの整数であり、その平均値<m>は、好ましくは、6〜15である。
上記一般式(1)において、miの値の少なくとも1以上が他と相違して、miが分布を有する必要があり、全てのmiの値が同一の場合は、斜方晶、三斜晶、もしくは単斜晶を形成するため、目的とする六方晶結晶を形成するエチレン系共重合体にはならない(例えば、Natta, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 3, 723(1964)、Schneider, Makromol. Chem. 189, 2823(1988)、Fagherazzi, Eur. Polym. J. 4, 151(1968)等を参照)。
上記一般式(1)中のビニレンユニットの立体配置については、トランス構造含率が80%以上、好ましくは90%以上である。同含率が80%未満の場合は、六方晶結晶を形成することが困難である。
トランス構造含率は、下記一般式(2)のx/(x+y)で定義される。
(ここで、xはトランス構造ユニットのモル%、yはシス構造ユニットのモル%を示す。)
上記エチレン系共重合体の数平均分子量(Mn)は通常500〜100万程度の範囲であるが、該六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体の加工性を考慮すると、Mnは、1000〜10万程度であることが好ましい。また、分子量分散度(Mw/Mn)は特に制限されるものではないが、通常1.5〜20の範囲が好ましい。なお、MnおよびMw/Mnについてはゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値であり、検量線は標準ポリスチレンサンプルで較正されたものが用いられる。もしくは、分子量の指標である、極限粘度[η]が0.02〜3(dL/g)程度の範囲であり、0.05〜2(dL/g)程度であることが好ましい。
本発明のエチレン系共重合体は、主鎖にメチレン連鎖を介したビニレンユニットがランダムに結合した繰り返し構造を有しているが、他のビニルモノマー、ジビニルモノマーなどから導かれる構成単位が、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で共重合されていてもよい。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体の製造方法は、オレフィンの重合方法として知られる各種の方法を用いることができる。以下に、代表的な製造方法について説明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるものではない。
例えば、下記一般式(3)で表される環状オレフィン及び下記一般式(4−1)(4−2)で表される非環式ジエンのメタセシス重合、及び同重合で得られるポリマーの部分水素化反応で製造することができる。
(式中、l、lは各々独立に0〜10の整数、R及びRは、上記一般式(1)と同義である。)

(式中、lは0〜10の整数、R及びRは、上記一般式(1)と同義である。)
及びlが異なる複数種の上記一般式(3)で表される環状オレフィン及び非環式ジエンをメタセシス共重合することにより、上記一般式(1)で表されるエチレン系共重合体を合成することができる。また、同ポリマーを部分水素化することにより、上記一般式(1)中の<m>の値を制御することができる。
また、上記一般式(3)で表される1種類の環状オレフィン、または上記一般式(4)で表される非環式ジエンをメタセシス重合した後、得られる同ポリマーをランダムに部分水素化することによっても目的とするエチレン系共重合体を合成することができる。
上記のメタセシス(共)重合には、種々の遷移金属触媒を用いることができる。具体的に例示すれば、RuCl3・nH2O, IrCl3-C2H5OH, MoCl5-(C2H5)AlCl2, TiCl4-LiAl(C7H15)4, WCl6-Sn(CH3)4, WCl6-(C2H5)2AlCl, WCl6-(C2H5)2AlCl-C2H5OH, MoO3-Al2O3, (CO)5W=(C6H5)2, (RO)2Mo(=N-2,6-diisopropyl-phenyl)(=CH-R'): [R=R'=tert-butyl; R=C(CH3)(CF3)2, R'=tert-butyl; R=tert-butyl, R'=C(CH3)2(C6H5)], [P(cyclohexyl)3]2Cl2Ru=CH-CH=C(C6H5)2などが挙げられる。
他の方法として、下記一般式(5)で表される共役ジオレフィンの、トランス−1,4−重合で得られるポリマーのランダム部分水素化反応で製造することができる。
(式中、R及びRは、上記一般式(1)と同義である。)
トランス−1,4−重合には、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などの種々の触媒、開始剤のうち、トランス−1,4−重合を優先的に進行するものを用いることができる。具体的に例示すれば、VOCl3-(C2H5)2AlCl, V(acetylacetonate)3-(C2H5)2AlCl, アルフィン触媒、カリウム−1-(N, N-ジエチルアミノ)-trans-2-ブテンなどが挙げられる。
更に、上記一般式(5)で表される共役ジオレフィンと、エチレンとの共重合で製造することができる。得られるポリマーは、必要に応じて、部分水素化反応を行ってもよい。
共役ジオレフィンと、エチレンとの共重合には種々の遷移金属触媒を用いることができる。具体的に例示すれば、三塩化チタン、塩化マグネシウム−四塩化チタンと有機アルミニウム化合物からなるZiegler-Natta触媒、シクロペンタジエニル誘導体を配位子に有する4属遷移金属錯体とメチルアルミノキサン等のアルキルアルミニウム化合物(必要に応じては、遷移金属化合物と反応して安定アニオンとなる化合物)からなるメタロセン触媒、Sc, V, Cr, Fe, Co, Ni, Cu, Ru, Pd錯体とアルキル金属からなる触媒系などが挙げられる。
上記の、ポリマーの製造における、重合温度は、通常−30℃〜300℃までにわたって実施することができるが、好ましくは0〜280℃、より好ましくは20〜250℃である。重合圧力は特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で常圧〜150気圧程度が好ましい。重合時間は一般的に目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが、1分から40時間の範囲を取り得る。重合プロセスは、連続式でもバッチ式でもいずれも可能である。またプロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、塩化メチレンのような炭化水素系溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン化ベンゼンのような芳香族炭化水素系溶媒によるスラリー重合、溶液重合、無溶媒の液相重合または気相重合も可能である。また、ポリマーの分子量を調整するために、水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
上述の、環状オレフィン及び非環式ジエンのメタセシス(共)重合、共役ジオレフィンの1,4−重合、共役ジオレフィンとエチレンとの共重合で製造されるポリマーのランダム部分水素化反応は、水素存在下で錯体触媒を用いる方法や、ジイミドを生成する化合物による方法を用いることができる。具体的に例示すれば、RhCl(PPh3)3(Wilkinson錯体)のような塩化ロジウム錯体、白金およびスズの塩化物の混合物、[Co(CN)5]3-を有するアニオン型シアノコバルト錯体、遷移金属塩と有機アルミニウム化合物の混合物(Ziegler型)等の錯体触媒を用いる方法や、パラ−トルエンスルホニルヒドラジドなどのジイミドを生成する化合物による方法が挙げられる。
部分水素化反応の温度は、通常−30℃〜300℃までにわたって実施することができるが、好ましくは0〜280℃、より好ましくは20〜250℃である。反応圧力は特に制限はないが、工業的かつ経済的であるという点で常圧〜150気圧程度が好ましい。反応時間は一般的に反応に用いるポリマーの種類、触媒や試薬の種類、反応温度、反応装置により適宜決定されるが、1分から40時間の範囲を取り得る。反応プロセスは、連続式でもバッチ式でもいずれも可能である。またプロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、塩化メチレンのような炭化水素系化合物や、ベンゼン、トルエン、キシレン、ハロゲン化ベンゼンのような芳香族炭化水素系化合物を溶媒として使用することができる。
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体は、本発明の効果が阻害されない範囲において、必要に応じて、他の高分子材料と混合し、高分子組成物として使用することが出来る。高分子組成物に用いられる高分子材料は特に制限されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンやアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のα−オレフィン重合体、エチレン/α−オレフィン、2種類以上のα−オレフィンのランダム共重合体、ブロック共重合体等のオレフィン系共重合体が挙げられる。
高分子組成物に用いられる高分子材料の分子量は特に制限されるものではないが、加工性を考慮すると、極限粘度([η])は通常0.1〜3(dL/g)であることが好ましい。またMw/Mnは通常1.5〜20の範囲が好ましい。
高分子組成物に用いられる、本発明のエチレン系共重合体の混合比は、特に制限されるものではなく、目的、用途に応じていずれの割合でも混合することが可能である。六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体の特性を発現させる観点より、六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体の割合は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。
高分子組成物の調製方法は特に制限されるものではなく、ブレンド法や重合法等を用いることが可能である。具体的には、六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体と高分子組成物に用いられる高分子材料を適当な溶媒に溶解させて混合する方法、及び各種混練機を用いて溶融状態で混合する方法等を挙げることができる。
高分子組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲において、必要に応じて、通常の高分子組成物に用いられる添加剤、例えば、酸化防止剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、着色剤や造核剤を配合してもよい。
上記高分子組成物からなる成形体としては特に制限されるものではなく、様々なものが可能である。具体的には、フィルム、シート、繊維、ボトル、容器、パイプ、発泡体等が挙げられる。成形加工方法は特に制限されるものではなく、種々の方法を用いることができる。具体的には、押出成形、射出成形、カレンダー成形、溶融紡糸、乾式紡糸等を挙げることができる。また、必要に応じて、本発明の六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体同士、あるいは上記高分子組成物の高分子材料と架橋することも可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で得られたエチレン系共重合体の評価は以下の方法にて行った。
(1)核磁気共鳴(NMR)による構造解析
H NMRスペクトルは日本データムJEOL-300ALを用いて測定した。5φのサンプルチューブ中に少量のポリマーを導入し、1,2,4−トリクロロベンゼンを加え、加熱してポリマーを溶解させた後、ベンゼン−dを10vol%程度加えて試料を調製し、温度90℃で測定した。
(2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定
日本分光JASCO LC−2000を使用し、溶媒にクロロホルムを用いて40℃で測定した。標準物質に単分散ポリスチレンを用いて数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を決定した。
(3)示差走査熱量測定(DSC測定)
測定装置はセイコーインスツルメント社製DSC220を使用した。サンプルをアルミニウム製のサンプルパンに約4mg封入し、対照物質に空のサンプルパンを使用した。まず、熱履歴を取り除くために20℃/minで200℃まで昇温し、次に10℃/minで20℃まで冷却した。さらに20℃/minで200℃まで昇温し、融点(Tm)及び融解エンタルピー(ΔHm)を求めた。
(4)広角X線回折(WAXD)測定
WAXD測定用の試料は、卓上プレス機を用いて200℃、10MPaで溶融成形した後、水中で室温まで急冷して作製した後、延伸機で3〜5倍に延伸して調製した。測定は、リガクR-AXIS RAPIDイメージングプレートを備えたリガクultraX18を使用し、Cu Kα線を用いて測定した。
(4)赤外吸収スペクトル(FT−IR)測定
FT-IR測定用の試料は、卓上プレス機を用いて200℃、10MPaで溶融成形した後、室温まで徐冷して作製した。測定装置は日本分光JASCO FT-IR-460 Plusを用い、分解能1cm−1、積算回数256回、測定範囲650−4000cm−1で、赤外全反射吸収スペクトル測定法により測定した。
参考例 <シクロペンテンの開環メタセシス重合;トランス−ポリ(ペンテナマー)(以下「TP」と略称することがある。)の合成>
磁気撹拌子を備えた50mL二口ナス型フラスコを窒素置換した後、シクロペンテン 10mL(114mmol)、WCl 0.297mg(0.75mmol)を導入した。ついで反応系を−30℃まで冷却した後、反応系内にジエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.8M)を1.8mmol(1mL)を添加し、重合を開始した。−30℃で4時間反応を行った後、少量のメタノールを加えて重合を停止し、生成ポリマーを大量のメタノール中に沈殿させた。生成ポリマーは、ろ過により回収した後、クロロホルムに溶解させ、その溶液をろ過してろ液を回収した。ろ液を大量のメタノール中に注ぎ、ポリマーを沈殿させ精製した。沈殿したポリマーはろ過、回収後、室温で6時間減圧乾燥し2.1gのポリマーを得た。
ポリマーの数平均分子量は99000、分子量分布は2.0であった。得られたポリマーのH NMR測定により、同ポリマーはシクロペンテンの開環メタセシス重合で得られるポリ(ペンテナマー)であり、かつ、FT−IR測定により、主鎖中のビニレン構造が選択的にトランス構造を形成している、すなわちトランス−ポリ(ペンテナマー)(TP)であることが明らかになった。DSC測定によるポリマーの融点は16.1℃、融解エンタルピーは24.0J/gであった。
<TPの部分水素化による主鎖にトランスビニレン構造を有するポリエチレンの合成>
実施例1
還留管および磁気撹拌子を備えた50mL二口ナス型フラスコを窒素置換した後、参考例で合成したTP100mg、キシレン15mLを導入した。ついで、TPの不飽和結合(ビニレン構造)に対して等モル量のp−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)を加えた後、135℃で4時間反応を行った。反応系内に少量の水を加えて反応を停止し、生成ポリマーを大量のメタノール中に沈殿させ、ろ過、回収後、室温で6時間減圧乾燥し、定量的にポリマーを得た。
H NMRにより算出したビニレンユニットの水素化率は、47.1%、平均メチレン連鎖長(<m>)は7.5であった。また、DSC測定によるポリマーの融点は53.4℃、融解エンタルピーは50.8J/gであった。WAXD測定により2θ:21.3°,23.1°にポリエチレンの斜方晶に由来する回折の他に、2θ:19.7°に六方晶に由来する回折を確認した。また、FT−IR測定により、723cm−1に六方晶の横ゆれ振動に由来する吸収を確認した。結果を表1に、WAXD回折図、FT−IRスペクトルをそれぞれ図1、図2に示す。
実施例2
TPの不飽和結合(ビニレン構造)に対してモル比で1.3倍のp−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)を加えた以外は、実施例1と同様の方法で行い、定量的にポリマーを得た。H NMRにより算出したビニレンユニットの水素化率は、51.8%、平均メチレン連鎖長(<m>)は8.4であった。また、DSC測定によるポリマーの融点は63.0℃、融解エンタルピーは46.6J/gであった。WAXD測定により2θ:21.3°,23.1°にポリエチレンの斜方晶に由来する回折の他に、2θ:19.7°に六方晶に由来する回折を確認した。また、FT−IR測定により、723cm−1に六方晶の横ゆれ振動に由来する吸収を確認した。結果を表1に、WAXD回折図、FT−IRスペクトルをそれぞれ図1、図2に示す。
比較例1
TPの不飽和結合(ビニレン構造)に対してモル比で2.0倍のp−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)を加えた以外は、実施例1と同様の方法で行い、定量的にポリマーを得た。H NMRにより算出したビニレンユニットの水素化率は、77.1%、平均メチレン連鎖長(<m>)は19.8であった。また、DSC測定によるポリマーの融点は99.6℃、融解エンタルピーは81.0J/gであった。WAXD測定により2θ:21.4°,23.5°にポリエチレンの斜方晶に由来する回折を確認した。また、FT−IR測定により、719cm−1,730cm−1にポリエチレンの斜方晶の横ゆれ振動に由来する吸収を確認した。結果を表1に、WAXD回折図、FT−IRスペクトルをそれぞれ図1、図2に示す。
比較例2
TPの不飽和結合(ビニレン構造)に対してモル比で4.0倍のp−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)を加えた以外は、実施例1と同様の方法で行い、定量的にポリマーを得た。1H NMRにより算出したビニレンユニットの水素化率は、100.0%であった。また、DSC測定によるポリマーの融点は133.9℃、融解エンタルピーは187.7J/gであった。WAXD測定により2θ:21.6°,23.9°にポリエチレンの斜方晶に由来する回折を確認した。また、FT−IR測定により、719cm−1,730cm−1にポリエチレンの斜方晶の横ゆれ振動に由来する吸収を確認した。結果を表1に、WAXD回折図、FT−IRスペクトルをそれぞれ図1、図2に示す。
表1に記載の結果から明らかなように、本発明の特定の構造を有するエチレン系共重合体は常温、常圧の穏和な条件下で六方晶結晶を含有することが明らかとなった。本発明により、工業的に安価に製造可能で、軽量で加工性に優れ、かつ、六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体、当該エチレン系共重合体を含有してなる高分子組成物、及びこれらの成形体を提供することができる。
本発明によれば、工業的に安価に製造可能で、軽量で加工性に優れ、かつ、機械的物性に優れる新規な材料として、繊維、衣料、ロープ、テープ、ネット、自動車用部品、家電製品用部品、家庭用品、接続用部品、雑貨品、医療器具、建材、電線被覆材、農業用資材、食品包装材などの、フィルム及びシートを含む成形品や繊維等への応用が期待される。
図1は実施例1−(a),2−(b)及び比較例1−(c),2−(d)で得られた水素化TPのWAXD回折図である。 図2は参考例−(a)、実施例1−(b),2−(c)及び比較例1−(d),2−(e)で得られた水素化TPのFT−IRスペクトルである。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるランダムな繰り返し単位からなる、六方晶結晶を含有するエチレン系共重合体。
    (式中、nは繰返数であり、mはポリマー鎖末端からi番目(iは1〜nの整数)のメチレン鎖長で、2〜99の整数であり、全てのmの値が同一となることはなく、かつ、その平均値<m>=Σm/nは4〜18である。R,Rは各々独立に水素または炭素数1〜9のアルキル基および炭素数6〜50の芳香族化合物からなる群から選ばれる基を表し、かつ、上記一般式(1)中のビニレンユニットのトランス構造含率が80%以上である。)
  2. エチレン系共重合体の数平均分子量が500〜100万の範囲である請求項1記載のエチレン系共重合体。
  3. 及びRが、水素、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、フェニルからなる群から選ばれるものである請求項1又は2に記載のエチレン系共重合体。
  4. が2〜50の範囲であり、平均値<m>が6〜15の範囲である請求項1〜3の何れかに記載のエチレン系共重合体。
  5. トランス構造含率が90%以上である請求項1〜4の何れかに記載のエチレン系共重合体
  6. 請求項1〜5の何れかに記載のエチレン系共重合体を含有してなる高分子組成物。
  7. 請求項1〜5の何れかに記載のエチレン系共重合体または請求項6に記載の高分子組成物からなる成形体。
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