JP2008042684A - 画像符号化装置及び方法、並びに、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読記憶媒体 - Google Patents

画像符号化装置及び方法、並びに、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 小さいサイズの画像、或るいは小さいサイズのタイル単位の画像においても効率の良い符号化を行なう。また、ランダムアクセス性、並列処理性を高めるために、ブロックに分割して、それぞれ独立に予測符号化する場合においても、より高能率な符号化を可能にする。
【解決手段】 状態数決定部105は、符号化対象となる画像データの水平方向の画素数W、垂直方向の画素数Hを入力し、状態数を決定するための閾値T1、T2、T3を決定する。可逆符号化部103は、ラインバッファ102に格納された着目画素位置の状態を、既符号化済み画素位置の値と閾値T1、T2、T3に基づいて求め、この求めた状態値に従って可逆符号化を行なう。
【選択図】 図1

Description

本発明は画像データの符号化技術に関するものである。
画像符号化技術の1つに、画像をラスタースキャン順に走査していく過程で、着目画素の予測値をその周囲画素を用いて求め、その予測値と着目画素の実際の値の差分値を符号化する予測符号化方式がある。従来、このような予測符号化方式においては、符号化済みの画素に基づいて着目画素の状態を分類し、それぞれの状態における予測誤差の確率分布に応じて符号化することで圧縮性能を高めることが一般的に行われている。例えば、連続階調静止画像の可逆と準可逆圧縮の国際標準方式としてISOとITU−Tから勧告されているJPEG−LS Part1(非特許文献1)では、着目画素の周囲4画素を参照して、画素間差分を求める。そして、これら差分に基づいて365個の状態に分離して予測誤差の符号化を行っている。
以下、JPEG−LSにおける状態生成の方法について説明する。以下の説明では、例えば準可逆符号化のための誤差の許容範囲を表すパラメータNEARを0と仮定するなど、本発明に直接関係しない事柄については省略するので、標準方式の詳細については規格書を参照されたい。
図3はJPEG−LSで参照される周囲画素(a,b,c,d)と着目画素xとの相対位置関係を示している。ラスタースキャン順に画素を符号化するため、図示の画素a,b,c,dは全て符号化済みとなる。まず、以下の式によりaとc、cとb、bとdの差分を求め、それぞれをD1、D2、D3とする。
D1=d−b
D2=b−c
D3=c−a
この差分値D1、D2、D3を9通り(−4から4まで)に量子化して、それぞれの差分の量子化値Q1、Q2、Q3を求める。図2に差分値の範囲とその量子化値の対応を示す。T1、T2、T3はあらかじめ定められた非負の整数値である。例えば、0〜255の値を取る8ビットの画像に対しては、T1=3、T2=7、T3=21といった値が設定される。このようにして得られたQ1,Q2,Q3の組み合わせ{Q,Q2,Q3}は、Q1、Q2、Q3がそれぞれ−4から4までの9通りの値を持つので、9×9×9=729通りとなる。状態{Q1,Q2,Q3}で予測誤差eが発生する確率は状態{−Q1,−Q2,−Q3}で予測誤差−eが発生する確率に同じとして考え良いので、これらの状態を統合して365通りに縮退する。この365通りの状態でそれぞれ想定される確率分布に応じて予測誤差を符号化する。JPEG−LSではそれぞれの状態ごとに予測誤差の絶対値の総和とその状態の発生回数を保持し、これらの値からGolomb符号化のパラメータkを設定することで各状態の確率分布に適応した符号化を行う。符号化の開始時点ではこれらの値に初期値を設定しておき、符号化処理の過程で随時値を更新していくことにより、動的に各状態の確率分布に追従する。
ITU-T T.87 (1998) | ISO/IEC 14495-1 : 1999, Information Technology - Lossless and near-lossless compression of continuous-tone still images : Baseline
さて、上述の状態依存の予測符号化で、S1からSnのn個の状態に分離して符号化を行う場合、予測誤差eをそれぞれの状態での出現確率P(e|Si)に基づいて符号化することになり、そのエントロピH(n)は以下の式で与えられる。
H(n) =−ΣP(e | Si) log2 P(e | Si)
(ここで、Σはi=1乃至nまでの合算を示す)
H(n)≧H(n+1)の関係にあるため、状態数を多くすることで圧縮性能の改善が期待される。しかしながら、上述のJPEG−LSなど1パスの画像符号化方式では、符号化しながら、それぞれの状態の確率分布に追従するよう確率モデルを更新していく。そのため、状態数を多くしすぎると各状態の発生回数が少なくなり、確率分布の適応が十分に行われないまま、符号化が終了してしまう。つまり、圧縮性能の低下を引き起こす。同じように、例えば32×32等の小さい画像を符号化する場合には365個の状態数では十分な確率追従が行われないという問題もある。
本願発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものである。そして、本発明は、1つには、小さいサイズの画像データを状態依存の予測符号化する場合や、画像をブロックに分割してそれぞれ独立に状態依存の予測符号化を行う場合において、画像のサイズ、またはブロックのサイズに毎に適切な状態数を設定して符号化することで、圧縮性能を向上する技術を提供しようとするものである。
この課題を解決するため、例えば本発明の画像符号化装置は以下の構成を備える。すなわち、
着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき、着目位置の状態を分類し、分類された状態に応じた確率モデルに従って、前記着目画素を符号化する画像符号化装置であって、
符号化対象の画像データのサイズ情報に従って、前記状態の取り得る個数を決定する状態数決定手段と、
該状態数決定手段で決定された個数内のいずれの状態にあるかを、着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき判別する状態判別手段と、
該状態判別手段で判別された状態を符号化パラメータとし、着目画素を符号化する符号化手段とを備える。
本発明の構成によれば、小さいサイズの画像、或るいは小さいサイズのタイル単位の画像においても効率の良い符号化を行なうことができる。また、ランダムアクセス性、並列処理性を高めるために、ブロックに分割して、それぞれ独立に予測符号化する場合においても、より高能率な符号化が可能となる。
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は本実施形態に係る画像処理装置(or画像符号化装置)のブロック構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る装置は、画像入力部101、ラインバッファ102、可逆符号化部103、符号列形成部104、状態数決定部105とを備える。同図において106、107、108は信号線を示す。なお、画像入力部101が入力する画像データの発生源はイメージスキャナとするが、画像データを記憶した記憶媒体、ネットワーク上のサーバ等、その種類は問わない。
以下、図1を参照して、本実施形態の画像処理装置の処理について説明する。
まず、前提として、本実施形態に係る画像処理装置における符号化対象画像は、RGBカラー画像データであり、各コンポーネント(色)は8ビット(0〜255の範囲)の輝度値で表現されるものとする。符号化対象の画像データの並びは点順次、即ち、ラスタースキャン順に各画素を並べ、その各画素はR、G、Bの順番でデータを並べて構成されるものとする。また、画像のサイズは水平方向画素数W、垂直方向画素数Hとする。なお、カラー画像はRGBに限らず、YCbCrでも良いし、他の色空間でも良い。また、各コンポーネントも8ビットに限らない。上記はあくまで一例であると認識されたい。
次に、本実施形態の画像処理装置での各部の動作について説明する。
まず、符号化対象画像データの入力に先立ち、装置外部から符号化対象となる画像の水平方向画素数W、垂直方向画素数Hがそれぞれ信号線106、信号線107から入力される。これらは、原稿のサイズ、イメージスキャナの読取り解像度で一義的に決まる。また、記憶媒体に格納された画像データを符号化対象とする場合には、そのファイルのヘッダに含まれる情報を解析することで得られるものである。
続いて、符号化対象画像データが画像入力部101から、ラスタースキャン順に入力される。
ラインバッファ102は画像データを2ライン分格納する領域を持ち、画像入力部101から入力される画像データを順次格納していく。ラインバッファ102に必要とされる容量はW×2×3(RGB分)バイトである。
可逆符号化部103はラインバッファ102に格納される2ライン分の画像データのうち、新たに格納された1ライン分の画像データを、それ以前に格納されている直前のラインの画像データを参照してJPEG−LS Baselineのラインインターリーブモードとして規定される符号化アルゴリズムに従って符号化し、符号化データを符号列形成部104へと出力する。このとき、状態分離に用いられる閾値T1,T2,T3は後述する状態数決定部105から与えられる値を用いる。JPEG−LS Baselineのラインインターリーブモードによる符号化の詳細については勧告書に詳細に記述されているのでここでは説明を省略する。
状態数決定部105は信号線106、信号線107から入力される水平、垂直方向の画素数W、Hに基づいて可逆符号化部103における予測符号化での状態数を決定づける閾値T1、T2、T3を決定する。その具体例を以下に示す。
まず、状態数決定部105はWとHの積を求め、符号化対象の画像データの総画素数Rを求める。このRを画素数判定のための閾値Th1、Th2と比較し、その大小関係から状態数を決定する。
R<Th1ならば14状態になるようにT1=T2=T3=1とする。このように設定すると、可逆符号化部103で行われる状態分離で、周囲画素の差分値が−1以下であればその量子化値は−4となり、0ならば0、1以上ならば4となり、差分の量子化値は−4、0、4の3通りとなる。
Th1≦R<Th2ならば63状態になるようにT1=T2=T3=7とする。この場合、差分値の量子化値としては−4、−1、0、1、4の5通りとなる。
Th2≦Rならば365状態になるように、閾値値T1=3、T2=7、T3=21を設定する。この場合、差分値の量子化値として−4、−3、−2、−1、0、1、2、3、4の9通り全てが起こり得る。
ここで画素数判定の閾値Th1とTh2は例えばTh1=1024、Th2=4096といった値を設定する。従って、この場合、水平と垂直方向の画素数の等しい画像では、32×32よりも小さい画像では状態数は14となる。また、符号化対象の画像が32×32以上で64×64未満のサイズなら63、同64×64以上の大きさの画像ならば365といった具合に切り替えられることになる。
符号列形成部104は可逆符号化部103から出力される符号化データに、必要な付加情報を加えて本画像処理装置の出力となる符号列を形成して信号線108より出力する。図7は本画像処理装置の出力符号列の構成を示す図である。出力符号列の先頭には、画像を復号するために必要となる情報、例えば、画像の水平方向画素数、垂直方向画素数、コンポーネント数、各コンポーネントのビット数などの付加情報がJPEG−LS標準に準拠した形式でヘッダとして付けられる。また、このヘッダ部分には状態数決定部105から出力されるT1、T2、T3の値を含んだLSEマーカセグメントなども含まれる。
図4は、本実施形態に係る画像処理装置における符号化対象画像データの符号化処理の流れを示すフローチャートである。以下、図4に示したフローチャートを参照して、本実施形態に係る画像処理装置が行う画像符号化処理の全体的な流れについて説明する。
まず、信号線106、信号線107から符号化対象画像の水平方向画素数W、垂直方向画素数Hが入力され、状態数決定部105において状態数を決定する閾値T1、T2、T3が定められる(ステップS400)。
次に、符号列形成部104は、状態数決定部105から出力されるT1,T2,T3や、符号化対象画像の水平方向画素数W、垂直方向画素数Hなどに基づき、JPEG−LS標準に準拠した各種ヘッダを生成する(ステップS401)。
次いで、画像入力部101は画像データの入力を開始し、ラインバッファ102に符号化対象となる画像データの1ライン分のデータを格納する(ステップS402)。なお、1つの画像の符号化処理を開始にするに先立ち、ラインバッファ102はゼロクリアされるものとする。
可逆符号化部103は、ラインバッファ102に格納されたラインデータについて可逆符号化を行ない、符号化データを生成し、それを符号列形成部104に出力する(ステップS403)。
符号列形成部104は、可逆符号化部105から出力される符号化データを結合してJPEG−LS標準の定めるフォーマットで本画像処理装置の出力となる符号化データを生成し、順次装置外部へと出力する(ステップS404)。
この後、ステップS405にて、符号化したラインデータが符号化対象画像の最後のラインであるか否か判断し、最後のラインでない場合(NO)はステップS402へと処理を戻し、次のラインのデータを読み込んで処理を継続する。一方、最後のラインである場合(YES)には対象とする画像データについての符号化処理を終了する。以上の処理により、画像全体の符号化が行われる。
本実施形態の画像処理装置で生成した符号化データはJPEG−LS標準に定める符号化データの形式であるので、JPEG−LS標準に準拠した復号装置で復号することができる。
以上の説明のように、本実施形態に係る画像処理装置では、画像のサイズに応じて状態数を切り替えることにより、それぞれの状態の確立分布へ適応しやすくしており、予測符号化の効率を改善することができる。
なお、画像のサイズ(水平、垂直画素数)と閾値Th1、Th2との関係は、一例であって上記実施形態に本願発明が限定されるものではない。
<第1の実施形態の変形例>
上記実施形態では、図1に示す装置構成で画像データを符号化するものであったが、例えばパーソナルコンピュータ等の汎用情報処理装置のソフトウェア(アプリケーションプログラム)でもって、上記と等価の処理を行なうことも可能である。
図11は本変形例に係る情報処理装置の基本構成を示す図である。
図中、1401は装置全体の制御を司るCPUである。1402はCPU1401のワークエリアとして使用するRAMであり、1403はBIOS及びブートプログラムを格納しているROMである。1404はキーボード、1405はポインティングデバイスの1つであるマウスである。1406は表示制御部であって、内部にはビデオメモリ及びCPU1401の制御によってビデオメモリへの描画、及び、ビデオメモリに可能されたデータをビデオ信号として表示装置1412に出力する表示コントローラを内蔵している。表示装置1412はCRTや液晶表示装置である。1407はハードディスク装置等の外部記憶装置であり、これにはOS(オペレーティングシステム)、画像符号化を行なうアプリケーションプログラムが格納されている。なお、外部記憶装置1407は、各種アプリケーションで作成されたファイルを格納すためにも利用される。1408は記憶媒体ドライブであり、フレキシブルディスク、メモリカード、CD−ROM等の記憶媒体に対してリード/ライトを行なう。1409は本装置とイメージスキャナ1411とを接続するためのスキャナインタフェース(USBやSCSIインタフェース等)ある。1413はネットワークインタフェースである。
本装置の電源がONになると、CPU1401はROM1403のブートプログラムに従って、外部記憶装置1407からOSをRAM1402にロードする。この結果、OSの制御の下で、表示制御部1406にGUIを描画して、表示装置1412にそのGUIを表示させる。操作者は、表示装置1412の表示を見て、キーボード1404やマウス1405を操作することになる。ここで、画像符号化アプリケーションの起動指示が操作者より与えられると、CPU1401は外部記憶装置1407内の画像符号化アプリケーションプログラムをRAM1402にロードし、実行する。この結果、本装置が画像処理装置として機能することになる。
CPU1401が画像符号化アプリケーションを実行し、操作者より符号化対象となる画像の入力指示を受けると、イメージスキャナ1411より原稿画像を入力し、符号化を行なうことになる。符号化結果は、外部記憶装置1407にファイルとして格納する。
なお、原稿を読取る際、原稿サイズをGUIで指定するので、その際に指定したサイズとイメージスキャナの解像度に基づき、符号化対象の画像データのサイズ(水平方向と垂直方向の画素数)を取得できる。また、イメージスキャナに原稿サイズを検出するセンサが設けられ、その検出結果をスキャナインタフェースを介して受信できる場合には、その原稿サイズと読み取り解像度に基づいて符号化対象の画像データのサイズを取得できる。
さて、原稿の読み取りが開始されると、CPU1401は、符号化アプリケーションに従って、イメージスキャナ1411より原稿画像を入力し、符号化を行なうことになる。符号化結果は、外部記憶装置1407にファイルとして格納する。
ここで、画像符号化アプリケーションは、図1に示す各構成要素に相当するモジュール(サブルーチン、関数と言い換えることもできる)を有する。ただし、ラインバッファ102については、画像符号化アプリケーションの実行することで、RAM1402に確保されることになる。従って、画像符号化アプリケーションは、基本的に図4と同様の処理となるのが理解できよう。
よって、本発明は、コンピュータプログラムをもその範疇とするのは明らかである。なお、上記では、符号化対象の画像はイメージスキャナ1411から入力するものとしたが、符号化対象の画像データは記憶媒体に格納されていても良いし、ネットワーク上のサーバからダウンロードする場合にも適用可能である。また符号化結果の出力先も、外部記憶装置1407に限らず、ネットワークでも構わないし、その出力先は如何なるものでも構わない。
<第2の実施形態>
図6は本第2の実施形態に係る画像処理装置のブロック構成図である。
図6に示すように、本実施形態に係る画像処理装置は、画像入力部601、ラインバッファ602、ブロック分割部603、タイルバッファ604、可逆符号化部103、符号列形成部605、状態数決定部105、タイルサイズ設定部606とを備える。同図において607、608は信号線を示す。第1の実施形態で説明した図1と共通のブロックについては同じ番号を付し、説明を省略する。
以下、図6を参照して、本第2の実施形態に係る画像処理装置が行う画像符号化処理について説明する。
本第2の実施形態に係る画像処理装置における符号化対象画像は、第1の実施形態と同様に、RGB各コンポーネント(色)8ビット(0〜255の範囲の輝度値)で表わされるカラー画像データである。また、符号化対象の画像データの並びは点順次、即ち、ラスタースキャン順に各画素を並べ、その各画素はR、G、Bの順番でデータを並べて構成されるものとする。画像は水平方向W画素、垂直方向H画素により構成されるものとする。本第2の実施形態の画像処理装置は画像データをブロックに分割し、各ブロック(タイル)を独立に符号化するものである。タイルサイズは16×16、32×32、64×64の3種類の中から選択することができ、符号化対象画像ごとに設定する。なお、タイルのサイズは、ユーザが操作パネルやキーボード等を使って指定するものとする。
次に、本実施形態の画像処理装置での各部の動作について説明する。
まず、符号化対象画像データの入力に先立ち、信号線607からタイルの大きさを選択するタイルサイズ選択信号が入力される。タイルサイズ選択信号は3値であり、16×16を選択する場合には“0”、32×32を選択する場合には“1”、64×64を選択する場合には“2”が入力される。
タイルサイズ設定部606は信号線607から入力されるタイルサイズ選択信号に従ってタイルの水平方向画素数Iw、垂直方向画素数Ihを設定し、出力する。つまり、タイルサイズ選択信号が“0”の場合、タイルサイズ設定部606はIw=Ih=16を出力する。また、“1”の場合にはIw=Ih=32、“2”の場合にはIw=Ih=64を出力する。
続いて、符号化対象画像データが画像入力部601から、ラスタースキャン順に入力される。
ラインバッファ602は画像データを64ライン分格納する領域を持ち、画像入力部101から入力される画像データを順次格納していく。ラインバッファ102に必要とされる容量、即ち1ストライプのデータ量はW×64×3(RGB分)バイトである。説明の便宜上、垂直方向画素数Hは64の整数倍であるとする。
ブロック分割部603は、タイルサイズ設定部606の出力するタイルの垂直方向画素数Ihに基づいてラインバッファ602の充足状況を監視し、ラインバッファ602にIhライン分の画像データが格納されると、ラインバッファ602に格納される画像データを水平方向Iw画素、垂直方向Ih画素で構成される矩形ブロックに分割して、ブロック単位に読み出してタイルバッファ604へと格納する。説明の便宜上、画像の水平方向画素数WはIwの整数倍であるとし、矩形ブロックに分割した場合に不完全なブロックが発生しないものとする。以降、符号化対象画像データをIhラインの幅で分割したデータをストライプと呼び、水平方向Iw画素、垂直方向Ih画素で構成される矩形ブロックをタイルと呼ぶ。
図8に符号化対象の画像データとストライプ、タイルの関係を示す。図のように画像中、水平方向i番目、垂直方向j番目のタイルをT(i,j)と記す。
タイルバッファ604は最大サイズ(64×64)の1タイル分の画素データを格納する領域を持ち、ブロック分割部603から出力されるタイルデータを順次格納していく。タイルバッファ604に必要とされる容量は64×64×3(RGB分)バイトである。
可逆符号化部103は第1の実施形態と同様にして、タイルバッファ604に格納されるタイルをライン単位に、JPEG−LS Baselineのラインインターリーブモードとして規定される符号化アルゴリズムに従って符号化し、タイル符号化データを符号列形成部605へと出力する。このとき、状態分離に用いられる閾値T1、T2、T3は状態数決定部105から与えられる値を用いる。
符号列形成部106は可逆符号化部103から出力されるタイル符号化データを結合させ、必要な付加情報を加えて本画像処理装置の出力となる符号列を形成して信号線608より出力する。各タイルについて可逆符号化部103から出力されるタイル符号化データはそれぞれのタイルを1枚の画像として符号化して得られるJPEG−LS符号化データの構造(図7を参照)の、エントロピ符号化データセグメント部分に相当する。
図9は本第2の実施形態における画像処理装置の出力符号列の構成を示している。出力符号列の先頭には、画像を復号するために必要となる情報、例えば、画像の水平方向画素数、垂直方向画素数、色空間を表す属性情報、コンポーネント数、各コンポーネントのビット数やタイルの幅、高さなどの付加情報がヘッダとして付けられる。また、状態数決定部105から出力されるT1、T2、T3の値をヘッダに含める。
図10は各タイルの出力符号列の構成を示す図である。各タイルの先頭にはタイルヘッダを付加し、各タイルの水平、垂直位置情報(i,j)などを含める。なお、各タイルデータの先頭、または末尾にマーカを置く。あるいは、各タイルの符号列の長さをタイルの先頭や、符号化データの先頭のヘッダ部分に含めるなどして管理することによりタイル単位のランダムアクセスを可能とすることができる。
図5は、本実施形態に係る画像処理装置による符号化対象画像データの符号化処理の流れを示すフローチャートである。以下、図5に示したフローチャートに従い、本第2の実施形態に係る画像処理装置が行う画像符号化処理の全体的な流れについて説明する。
まず、タイルサイズ設定部606は、信号線607からタイルサイズ選択信号を入力し、その選択信号に応じてタイルの水平方向画素数Iw、垂直方向画素数Ihを決定し、出力する。状態数決定部105は、これらIw、Ihに基づいて状態数を決定する閾値T1,T2,T3を決定する(ステップS500)。
続いて、画像入力部601からの画像データの入力を開始し、ラインバッファ602に符号化対象となる画像データの1ストライプ分のデータが格納する(ステップS501)。
次に、ブロック分割部603は、ラインバッファ602に格納されるストライプから1つのタイルデータを取り出し、タイルバッファ604に格納する(ステップS502)。続いて可逆符号化部103は、タイルバッファ604に格納されるタイルデータの可逆符号化を行う(ステップS503)。符号列形成部608は、可逆符号化部103から出力されるタイル符号化データを結合して所定のフォーマットで本画像処理装置の出力となる符号化データを生成し、順次装置外部へと出力する(ステップS605)。
次いで、符号化したタイルがストライプ内の最後のタイルであるか否か判断し(ステップS505)、最後のタイルでない場合(NO)は隣のタイルに処理の対象を移してS502から処理を繰り返す。また、ストライプの最後のタイルの符号化が完了したと判断した場合には、ステップS506へと処理を移す。ステップS506では符号化したストライプが画像の最後のストライプであるか否かを判断し、最後のストライプでない場合(NO)はステップS501に処理を移して次のストライプのデータを読み込んで、そのストライプの符号化処理を行なう。
こうして、ステップS506にて、最後のストライプの符号化が完了したと判断した場合、画像データについての符号化処理を終了する。
以上の処理により、画像全体の符号化が行われる。なお、ここでは1タイルづつ順番に符号化する方法について述べたが、各タイルの符号化が他のタイルに全く依存していないため、複数のタイルを並列に符号化処理することもできる。
また、第2の実施形態の画像処理装置で生成した符号化データを復号するにはヘッダに示されるT1、T2、T3の値を用いて、符号化処理の逆の手順でそれぞれのタイルを復号していくようにすれば良い。各タイルは独立に符号化されているので、先に述べたように、マーカを検出する、あるいは各タイルの符号化データの長さ情報などから復号したいタイルの符号化データにアクセスすることによって特定タイルのみを復号したり、複数のタイルを並列に復号したりすることができる。
以上の説明のように、本第2の実施形態に係る画像処理装置では、画像をタイルに分割し、タイルごとに独立に予測符号化をベースとする可逆符号化を行う符号化方式において、タイルのサイズに応じて状態数を適切に設定することにより符号量を低減することができる。
また、上記第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例と同様、コンピュータが該当するプログラムを実行することでも実施できる。この場合、そのコンピュータプログラムは、図6に示すような各構成に対応するモジュールを備え、メイン処理では図5の処理を行なえばよいであろう。
<他の実施形態>
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、可逆符号化部103で用いる可逆符号化方式としてJPEG−LS Baseline方式のラインインターリーブモードを例に説明したが、同標準のその他のインターリーブモードや、コンテキストに基づくその他の符号化方式を適用しても良い。
また、状態数の設定方法として総画素数Rに基づいて決定する方法を示したが、水平・垂直方向画素数のいずれか一方のみから定めるなど、画像(またはタイル)の大きさに関係する指標値に基づくものであれば良い。
また、第2の実施形態として画像をタイルに分割して、タイルサイズに応じて状態数を決定する例を示したが、一つの画像を異なる幾つかのタイルに分割して符号化する場合に適用することもできる。この場合、個々のタイルのサイズに応じて状態数を決定すれば良い。
また、上記各実施形態からも明らかなように、本発明はコンピュータプログラムをもその範疇とするものであるが、通常、コンピュータプログラムはCD−ROM等のコンピュータ可読記憶媒体に格納されて、コンピュータのシステムにコピーもしくはインストールすることで実行可能となる。従って、このようなコンピュータ可読記憶媒体も本発明の範疇にあることも明らかである。
第1の実施形態に係る画像処理装置のブロック構成図である。 差分値とその量子化値の対応を示す図である。 符号化対象画素xと、その周辺画素a,b,cの相対位置関係と示す図である。 第1の実施形態の符号化処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態の符号化処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る画像処理装置のブロック構成図である。 JPEG―LS符号化データの基本構成を示す図である。 画像のタイル分割の様子を示す図である。 第2の実施形態に係る画像処理装置の出力符号列の構成を示す図である。 第2の実施形態に係る画像処理装置の1つのタイルの符号列の構成を示す図である。 ソフトウェアで実現する場合の装置の構成を示す図である。

Claims (8)

  1. 着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき、着目位置の状態を分類し、分類された状態に応じた確率モデルに従って、前記着目画素を符号化する画像符号化装置であって、
    符号化対象の画像データのサイズ情報に従って、前記状態の取り得る個数を決定する状態数決定手段と、
    該状態数決定手段で決定された個数内のいずれの状態にあるかを、着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき判別する状態判別手段と、
    該状態判別手段で判別された状態を符号化パラメータとし、着目画素を符号化する符号化手段と
    を備えることを特徴とする画像符号化装置。
  2. 着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき、着目位置の状態を分類し、分類された状態に応じた確率モデルに従って、前記着目画素を符号化する画像符号化装置であって、
    ブロックのサイズを設定する設定手段と、
    設定されたサイズのブロックを単位に、符号化対象の画像データから切り出す切り出し手段と、
    前記設定手段で設定されたサイズのサイズ情報に従って、前記状態の取り得る個数を決定する状態数決定手段と、
    該状態数決定手段で決定された個数内のいずれの状態にあるかを、着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき判別する状態判別手段と、
    該状態判別手段で判別された状態を符号化パラメータとし、着目画素を符号化する符号化手段と
    を備えることを特徴とする画像符号化装置。
  3. 前記状態数決定手段は、サイズ情報で示される水平、垂直画素数の少なくとも一方に基づいて、状態の個数を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像符号化装置。
  4. 前記符号化手段は、予測符号化を用いた可逆符号化手段とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像符号化装置。
  5. 着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき、着目位置の状態を分類し、分類された状態に応じた確率モデルに従って、前記着目画素を符号化する画像符号化方法であって、
    符号化対象の画像データのサイズ情報に従って、前記状態の取り得る個数を決定する状態数決定工程と、
    該状態数決定工程で決定された個数内のいずれの状態にあるかを、着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき判別する状態判別工程と、
    該状態判別工程で判別された状態を符号化パラメータとし、着目画素を符号化する符号化工程と
    を備えることを特徴とする画像符号化方法。
  6. 着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき、着目位置の状態を分類し、分類された状態に応じた確率モデルに従って、前記着目画素を符号化する画像符号化方法であって、
    ブロックのサイズを設定する設定工程と、
    設定されたサイズのブロックを単位に、符号化対象の画像データから切り出す切り出し工程と、
    前記設定工程で設定されたサイズのサイズ情報に従って、前記状態の取り得る個数を決定する状態数決定工程と、
    該状態数決定工程で決定された個数内のいずれの状態にあるかを、着目画素の周囲の符号化済み画素の画素値に基づき判別する状態判別工程と、
    該状態判別工程で判別された状態を符号化パラメータとし、着目画素を符号化する符号化工程と
    を備えることを特徴とする画像符号化方法。
  7. コンピュータが読み込み実行することで、請求項1又は2に記載の画像符号化装置が有する各手段として機能することを特徴とするコンピュータプログラム。
  8. 請求項7に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
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