JP2008038189A - 複合型金属成形体およびその製造方法 - Google Patents

複合型金属成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粉末成形法による樹脂と金属との複合圧縮成形品を製造する場合、得られる圧縮成形品の寸法精度と耐食性とを高めることが困難であった。
【解決手段】相互に溶着した金属粒子間に樹脂の炭化物が介在し、この樹脂の炭化物がより多量に含まれた表層部を有する本発明による複合型金属成形体は、まず金属粒子を樹脂で被覆して得られる成形原料を成形型に投入する。次いで、これを加圧成形して樹脂の一部を成形型との界面に流動させた状態で加圧成形体を作り、この加圧成形体を加熱して樹脂を焼成すると共に金属粒子を相互に溶着させる。これにより、金属粒子間に樹脂の炭化物が介在すると共にこの樹脂の炭化物がより多量に含まれた表層部を有する複合型金属成形体を得るこができる。
【選択図】なし

Description

結合剤として樹脂を用い、この樹脂と共に金属粒子を成形型内で圧縮成形する粉末成形法が知られている。この粉末成形法によって得られる成形品は、その寸法形状が成形型に極めて近似したものとなり、成形後の後加工を基本的に必要としないという利点を持つ。このため、粉末成形法は主として材料価格の高いものや、切削加工が困難なものを製造する際に有効な方法であると言える。また、この粉末成形法によって得られる成形品は、金属粒子間に結合剤である樹脂が介在した構造となっているため、その機械的強度に制約がある。このため、粉末成形法によって得られる成形品は、機械的強度が比較的問題とされない部材として用いられることが多い。例えば、金属粒子として希土類磁石粉末を用いた成形磁性体がモータの円柱状をなすロータなどに採用されている。さらに、金属粒子として軟磁性材料を用いたモータのヨークやステータ、あるいは光学機器に組み込まれるアクチュエータのヨークやトランスの他、磁気ヘッドのコアなどにもその適用範囲が拡げられている。
一方、このような樹脂結合剤と金属粒子とからなる粉末成形体の防錆処理としては、塗装処理やめっき処理などが知られている。その中でもめっき膜で覆う方法は、簡便性や確実性の面から極めて有効な方法であること考えられている。
しかしながら、焼結部品などの耐食性を高めるためにめっき処理を行うと、成形品自体が多孔質のため、めっき液が成形品の微細空隙内に侵入できなかったり、内部に侵入できたとしてもそこからめっき液が排除されずに残されたままとなってしまう可能性がある。このため、めっき液が侵入できなかった個所や、めっき液が取り残されてしまった個所から腐食が進行し、長期的に充分な耐食性を確保することが困難となる。また、樹脂結合型軟磁性材料のように、粉末成形によって得られた成形品は、その側面部が加圧時や脱型時に成形型とこすれて樹脂結合剤が薄くなってしまったり、時には金属粒子が剥き出しとなって成形される。しかも、このような粉末成形においては、成型圧を高めて高密度化しようとしても、粒子間に形成される気泡やこれらの気泡が成形品の表面に連なったピンホールを有するものが多い。このような成形品にめっき膜を形成してその耐食性を高めようとしても、金属と樹脂結合剤とでは導電性が異なるため、均一なめっき膜を形成することが本質的に困難なものとなる。この結果、表面の薄い樹脂結合剤のところにはめっき膜が形成されなかったり、ピンホールを伝わり内部へのめっき液が侵入するなどにより、結局は耐食性の低い成形体となってしまう。
このようなめっき形成の不具合に対処するため、減圧下でめっき処理を行うことが特許文献1にて提唱されている。
特開2003−226994号公報
上述したような粉末成形法において、応力歪による影響が大きい金属粒子、例えば軟磁性材料を用いた場合には、上述したサイジング加工の如き後加工により発生する加工歪が、その軟磁気特性を劣化させてしまうという問題がある。また、成形磁性体が薄肉部材であったり複雑な異形断面形状を有していると、サイジング加工を行うことが困難となる場合がある。しかも、ボンド磁石の結合剤として一般的に用いられるエポキシ樹脂は、300℃程度までの耐熱性しかなく、約1000℃に達する軟磁性材料の歪取り焼鈍温度には耐えられない。このため、軟磁性材料をエポキシ樹脂で固めた成形磁性体の歪取りを無理に行おうとすると、エポキシ樹脂が発泡したり消失したりしてしまい、成形磁性体の強度や寸法精度が極めて低い状態となってしまう。エポキシ樹脂よりも耐熱性の高い結合剤として、水ガラスやシリコーン樹脂を用いることも考えられるが、これらは金属粒子に対する結合力が極めて乏しいため、所定の結合力を得ようとすると多量の結合剤を用いる必要がある。さらに、結合剤を多量に用いた場合には、金属粒子の間隔が拡がって磁束密度を高めることができず、結果として磁気特性が劣る成形磁性体となってしまう。
一方、特許文献1に開示された減圧下でのめっき処理は、その作業が煩雑であるだけでなく、めっき液が減圧によりピンホール内に侵入したとしてもその後の新液補給が行われにくい。このため、ピンホール内壁へのめっき析出と共にめっき液濃度が低下し、充分な厚みのめっき膜を得ることが困難となる。当然のことながら、めっき膜を付けられる材料より、めっき膜のほうが耐食性以外の性質は劣るのが一般的であり、めっき膜は必要最小限の厚みとなる。このため、ピンホール内のめっき膜を充分に厚くしようとすると、大部分を占める最表面部に必要な性能を低下させてしまう。そのため、ピンホール内の耐食性の確保ができないか、できたとしても必要な性能を満足しない成形体となってしまう。
本発明の目的は、充分な耐食性を与えることができると共に寸法精度や機械的強度が良好な複合型金属成形体およびこの複合型金属成形体の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の形態は、相互に溶着した金属粒子間に樹脂の炭化物が介在し、この樹脂の炭化物がより多量に含まれた表層部を有することを特徴とする複合型金属成形体にある。つまり、この複合型金属成形体の表層部は、樹脂の炭化物がより多量に含まれているため、ピンホールの極めて少ないものとなる。
本発明の第2の形態は、以下のステップを具えたことを特徴とする複合型金属成形体の製造方法にある。すなわち、金属粒子を樹脂で被覆して成形原料を得るステップと、成形型に前記成形原料を投入してこれを加圧成形することにより、前記樹脂の一部を前記成形型との界面に流動させた状態で加圧成形体を得るステップとを具えている。さらに、前記加圧成形体を加熱して前記樹脂を焼成すると共に前記金属粒子を相互に溶着させ、前記金属粒子間に前記樹脂の炭化物が介在すると共にこの樹脂の炭化物がより多量に含まれた表層部を有する複合型金属成形体を得るステップを具えている。
本発明においては、成形型に成形原料を投入してこれを加圧成形すると、樹脂の一部が軟化流動して加圧成形体の表面側に集まる。この結果、加圧成形体を加熱して樹脂を焼成すると共に金属粒子を相互に溶着させることによって得られる複合型金属成形体の表層部は、樹脂の炭化物がより多量に含まれたピンホールの極めて少ない緻密な構造となる。
本発明においては、加圧成形体を加熱した場合に樹脂が完全に焼失することなく炭化物として焼成され、加圧成形体の寸法が粉末冶金焼結法のように加熱によって大きく変化するようなことは起こらない。加圧成形体に対する加熱は、真空雰囲気,還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気にて行うことが好ましい。また、一度に多量の加圧成形体を加熱すると、樹脂の焼成により分解ガスが大量に発生し、これが金属粒子へ吸着するなどの弊害を起こす可能性がある。このため、加熱時に発生する分解ガスによる悪影響を防ぐことが望ましい。例えば、金属粒子に対する影響がなく、かつ得られる複合型金属成形体の寸法精度に影響を与えない温度領域にて樹脂の焼成を行って分解ガスの大部分を放出させることが有効である。あるいは、昇温を段階的に行って昇温カーブを調整し、樹脂の炭化に伴うガスの放出を制御することも有効である。
熱硬化性樹脂の一種であるフラン樹脂は、加熱することによって脱水縮合反応を起こし、三次元網目構造に変化する特性を有している。このため、フラン樹脂を結合剤として用いた成形品においては、脱水縮合反応で水分を生成して放出することに起因する体積収縮と、加熱硬化温度から室温に戻す際に生じる熱収縮とが成形品に発生する。このような特性を持つフラン樹脂と、熱収縮だけしか起こらないエポキシ樹脂とを比較した場合、フラン樹脂の体積収縮が結合剤の収縮歪として成形品に作用してしまう。つまり、フラン樹脂は、鉄などの軟磁性材料の如き歪によって特性が劣化する可能性のある部材の結合剤として用いるのには不適切であると考えられていた。しかしながら、このフラン樹脂は2000℃〜3000℃程度の高温処理を行うことで、1000℃付近での炭化を経て等方性カーボンであるガラス状カーボンとなるなど、焼成による炭素残存率が極めて高い樹脂である。つまり、フラン樹脂は本発明が意図する特性を持った樹脂として特に好適であると言える。
本発明における金属粒子として、Fe,Ni,Coや、これらを主成分とする軟磁性合金などを単独または混合した軟磁性材料を含むことができる。この場合、加圧成形体を加熱して複合型金属成形体を得るステップは、軟磁性材料を焼鈍してその内部歪を除去するステップを含むことが好ましい。しかしながら、加圧成形体を加熱するステップの前に、軟磁気材料を焼鈍してその内部歪を除去するステップを行うことも可能である。
本発明の第3の形態は、相互に組み合わされて絞り開口を画成する少なくとも2枚の羽根板と、これら羽根板の少なくとも一方を駆動して前記絞り開口の大きさを可変とするための羽根板駆動機構とを具えた光量調整装置にある。この光量調整装置は、前記羽根板駆動機構はムービングマグネットを有し、このムービングマグネットの一部を構成するヨークが請求項4に記載の複合型金属成形体または請求項10または請求項11に記載の製造方法によって製造された複合型金属成形体である。
本発明の複合型金属成形体によると、加圧成形体を加熱して得られる複合型金属成形体の寸法形状が加圧成形体の寸法形状とほとんど変わらず、後加工の必要がない高精度な複合型金属成形体を得ることができる。その理由は、相互に溶着した金属粒子間に樹脂の炭化物が介在しているためである。しかも、その表層部は樹脂の炭化物をより多量に含む緻密な構造となっているため、ピンホールが極めて少なく、均一な膜厚のめっき層を表面に形成することができる。
本発明の複合型金属成形体の製造方法によると、加圧成形体を加熱しても樹脂が焼失せずに炭化物として金属粒子間に介在した状態となるため、複合型金属成形体の寸法形状を加圧成形体の寸法形状とほとんど同じに保つことができる。また、隣接する金属粒子の一部が相互に溶着した状態になることと相俟って、寸法精度が高くしかも機械的強度の優れた複合型金属成形体を得ることができる。
表層部の表面にめっき層を形成する場合、表層部は樹脂の炭化物をより多量に含む緻密な構造となっているため、ピンホールが極めて少なく、均一な膜厚のめっき層を形成することができる。この結果、従来のものよりも耐食性の良好な複合型金属成形体を得ることが可能である。
本発明の光量調整装置は、本発明による複合型金属成形体または本発明の方法によって製造された複合型金属成形体を羽根板駆動機構のムービングマグネットの一部を構成するヨークとして用いている。このため、ヨークが良好な軟磁気特性を持っており、羽根板を安定して駆動させることができる。
本発明による複合型金属成形体の製造方法の一実施形態について、以下に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能である。
まず、液状のフラン樹脂に硬化触媒を加えてフラン樹脂の硬化を促進し、仮硬化状態にしておく。これを有機溶剤などの溶媒に溶解して液状としたものを金属粒子にコーティングした後、溶媒を除去してドライパウダー状の成形原料を得る。
次に、この成形原料粉を所定形状の成形型内に投入して加圧成形を行う。金属粒子を覆う樹脂結合剤としてのフラン樹脂は、この成形加圧力を印加されることにより、融点が降下して軟化し、成形型の成形面、つまり加圧成形体の表面側へと一部が移動する。これは、金属粒子間が加圧により圧縮され、軟化した樹脂が粒子間に介在していた空気と共に加圧成形体の表面に押し出され、空気が成形ガスとして成形型の合わせ部などから外部に抜けて行くのに対し、樹脂はそのまま加圧成形体の表面に留まるためである。
加圧成形を所定時間行った後、加圧を止めるとフラン樹脂は仮硬化の状態に戻るが、この時点で加圧成形体の表層部はフラン樹脂の割合が多くなっていることが理解できよう。
このようにして得られた加圧成形体を成形型から取り出し、まずこれを予備加熱してフラン樹脂の硬化を促進する。
しかる後、加圧成形体に対する加熱温度を調整してフラン樹脂を完全に焼失させることなく焼成する。これにより、金属粒子が相互に溶着すると共にフラン樹脂が炭化状態となり、このフラン樹脂表面部付近に集中してピンホールの極めて少ない炭化物の表層部を持った複合型金属成形体が得られる。
このようにして得られた複合型成形体の表層部には、樹脂の炭化物がより多量に含まれているため、外気と金属粒子との接触を妨げることができ、その耐食性を改善することができる。
耐食性をさらに高めるため、表層部の表面に防錆用のめっき膜を形成することも有効である。この場合、実質的にフラン樹脂の炭化物からなる表層部はめっき液の複合型金属成形体内部への侵入を妨げ、めっき下地層として機能する。つまり、炭化物からなる下地層と金属粒子の導電率が近いことから、表層部の表面に形成されるめっき膜の析出状態が均一となり、必要最低限の厚みのめっき膜を形成することが可能となる。これは、複合型金属成形体に要求される機能や特性を低下させることなく、その耐食性を高めることを可能にする。
本発明で用いることができる好ましい樹脂は、熱硬化性樹脂であって、液状樹脂に硬化剤を加え、加熱などにより反応を進めて高分子化した後、溶剤希釈により液状になるものが特に有効である。さらに、金属粒子の表面にコーティングされ、溶剤を除去した後、固体潤滑材などと混ぜ合わせてドライパウダー状の成形原料となるものであることが好ましい。また、所定形状の成形型に投入して加圧成形した場合に加圧成形体の表面側に流動し、加圧を停止した場合に固化して加圧成形体の表層部に留まる性質のものであることが好ましい。そして、所定の熱処理により、焼失することなく焼成して炭化物となる樹脂、具体的には、フェノール樹脂やフラン樹脂などを挙げることができるが、その中でもフラン樹脂が特に好ましい。フラン樹脂は、フラン環を有する樹脂の総称であって、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型,フルフリルアルコール型,フルフラール・フェノール共縮合型のものを用いることができる。この他、フルフラール・ケトン共縮合型,フルフリルアルコール・尿素共縮合型,フルフリルアルコール・フェノール共縮合型のものなども当然用いることが可能である。
このフラン樹脂を加熱硬化させる場合、有機または無機の酸性触媒を併用することが好ましい。フラン樹脂に対する酸性触媒の添加量は、フラン樹脂の確実な硬化と金属粒子に対する酸性触媒による影響とを勘案し、フラン樹脂100質量部に対し0.001質量部〜10質量部以下の範囲に設定することが好ましい。
成形原料となる金属粒子と樹脂との割合は、金属粒子に対して樹脂の割合が多くなると、加圧成形体の密度を高めることが困難となり、加熱の際に金属粒子の溶着が起こり難くなって得られる複合型金属成形体の機械的強度が不足する。逆に、樹脂の割合が少なくなると、加圧成形体の強度が不足して加圧成形体が壊れやすくなったり、加熱を行う際に金属粒子の溶着が進みすぎ、得られる複合型金属成形体の寸法変化が大きくなってしまう。このため、成形原料となる金属粒子と酸性触媒などの添加物を含む樹脂との割合は、フラン樹脂を採用した場合、金属粒子100質量部に対し0.1質量部〜10質量部の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは、0.3質量部〜5質量部の範囲、最も好ましくは0.5質量部〜3質量部の範囲である。
金属粒子に樹脂を被覆して成形原料を得る場合、浮遊流動させた金属粒子に対し、液状化させた樹脂をスプレー法などにより塗布することが簡便である。この場合、硬化触媒を加えて硬化反応を促進させた樹脂を溶剤で希釈することによって樹脂を液状化させることができる。液状の樹脂を金属粒子の表面に塗布した後、溶剤を除去し、固体潤滑材を加えてドライパウダー状とした成形原料とすることによって、成形型内への成形原料の緊密な充填が容易となる。
加圧成形時における加圧力が低すぎると、樹脂が加圧成形体の表面に流動し難くなり、得られる複合型金属成形体の耐食性を向上させることができないばかりか、密度の低下に伴う加圧成形体および複合型成形体の強度低下を引き起こす。しかも、金属粒子が軟磁性体の場合には、その磁気特性を低下させるので好ましくない。逆に、加圧成形圧が高すぎると、加圧パンチへ応力集中が大きくなり、その寿命を低下させる。特に、薄肉異形状成形体の場合には加圧パンチの寿命低下が著しくなる。また、成形型に加圧成形体がより強く押し付けられることとなり、成形型から加圧成形体を取り出す際に加圧成形体の表面に介在する樹脂がこすり取られ、金属粒子が加圧成形体の表面に剥き出しとなってしまう。この結果、複合型金属成形体の耐食性の低下をもたらす。
このような観点から、加圧成形品を加圧成形する場合、加圧力によって樹脂を加圧成形体の表面側に流動させるのに好ましい加圧力は、1cm当たり3トン〜20トンの範囲に設定することが好ましい。より好ましいくは3.5トン〜18トンの範囲、最も好ましくは4トン〜15トンの範囲である。
加圧成形体を加熱して金属粒子を溶着させると共に樹脂を焼成して焼失させることなく炭化物とする前に、加圧成形体を予備加熱して樹脂を硬化させる理由は、樹脂の重合度を高めて焼成による寸法の変化を極力少なくするためである。この場合における好ましい予備加熱温度は、フラン樹脂の場合、100℃〜250℃の範囲である。
加圧成形体を加熱して金属粒子を溶着させるステップと、樹脂を焼成して焼失させることなく炭化させるステップとを別々に行ったり、これらの前後を入れ替えて行うことも可能であるが、2工程に分けるよりも1工程で同時に行うことが有利であろう。この場合、加熱温度が低すぎると金属粒子の溶着が進行せず、複合型金属成形体の強度を高めることができない。逆に、加熱温度が高すぎると溶着が過度に進んで寸法変化が大きくなってしまう。このため、上述した実施形態における好ましい加熱温度は500℃〜1200℃の範囲である。この加熱雰囲気は、真空中や還元雰囲気以外に不活性ガス雰囲気にて行うことも可能である。
次に、本発明による複合型金属成形体を光学機器の光量調整装置に応用した一実施形態について、その外観を分解状態で示す図1を参照しながら以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の技術にも当然応用することができる。
図1に示した光学機器の光量調整装置10は、本発明による羽根板としての一対の絞り板11,12によって形成される絞り開口を、リンクアーム13の揺動動作により絞り板11,12を相互に逆方向に駆動して可変にするものである。なお、一方の絞り板11には絞り開口によって調整し切れないような過大光量が通過するのを遮るためのNDフィルタ14が固定状態で取り付けられている。
一対の絞り板11,12は、光路を通す開口15が形成されたケース16に対して往復動自在に支持され、これらの基端部に形成された長孔17がリンクアーム13の両端部に形成されたピン18に対してそれぞれ連結されている。リンクアーム13の中央部には、半周ずつ2極に着磁された円筒状をなすロータマグネット19から突出する支軸20の一端部が一体的に連結されている。このロータマグネット19は、地板21に組み込まれた図示しない軸受を介して回転自在に地板21に取り付けられている。ロータマグネット19の他端部は、地板21に突設された一対のブラケット22の先端部に嵌着されるキャップ部材23に図示しない軸受を介して回転自在に支持される。
光路を通す開口24が形成された地板21には、リンクアーム13に当接してその揺動端を規定するための図示しないストッパ部が突設されている。所定の隙間を介してロータマグネット19を囲む円筒状のヨーク25は、その内周に一対の位置決め突起26が形成され、弾性変形可能な地板21のブラケット22に形成された嵌合穴27にそれぞれ係合して地板21のブラケット22に対して一体化される。このヨーク25は、軟磁性材料にて形成され、ロータマグネット19とで磁気回路、つまり本発明におけるムービングマグネットを構成する。ロータマグネット19を駆動するための駆動コイル28と、ロータマグネット19の回転速度に比例した逆起電力を生成してこれをロータマグネット19の回転の制御に利用するための制動コイル29とがヨーク25を挟んで180度隔てて対向配置されている。これら駆動コイル28および制動コイル29は、接着テープ30によってヨーク25に固定され、外部からの信号を授受するプリント回路基板31に接続している。ヨーク25に形成された一対の位置決め突起26の対向方向と、駆動コイル28と制動コイル29との対向方向が直交するように、ヨーク25に対する駆動コイル28および制動コイル29の取り付け位置が規定されている。上述した一対の位置決め突起26は、ロータマグネット19のディテントトルクの磁気的安定位置を設定する機能も有する。すなわち、駆動コイル28に対する電流の遮断時にロータマグネット19を磁気吸引することにより、絞り板11,12を駆動して開口絞りを閉じた状態に保持することができる。
近年、光学装置の小型化に伴い、駆動コイル28に対して従来よりも一層微小な電流の制御が必要となっており、光量調整装置10のヨーク25に対するより精密な加工が要求されている。このような光量調整装置10のヨーク25として、本発明の複合型成形体を適用することが可能であり、これによって位置決め突起26が一体に形成されかつ優れた防錆力を持つヨーク25を得ることができる。この場合、製品となるヨーク25の寸法形状に誤差を生じさせるめっき膜の形成を省略できるか、あるいはめっき膜を形成したとしてもその膜厚を薄くすることが可能であり、寸法誤差を最小限に抑えることができる。
本実施形態における光量調整装置10のヨーク25の製造手順の一例を以下に示す。
金属粒子として軟磁性材料である鉄粉 Somaloy500(スウェーデン国ヘガネス社の商品名)を用意した。また、樹脂としてフラン樹脂VF303(日立化成株式会社の商品名)を用意し、さらにその酸性触媒としてA3(日立化成株式会社の商品名)を用意した。そして、フラン樹脂100質量部に対し酸性触媒を1質量部加え、40℃で5分間攪拌しながら硬化反応を促進したものをアセトン10倍量で希釈して液状とした。これを浮遊流動させた状態の鉄粉に散布し、溶剤であるアセトンを蒸発させて酸性触媒を含むフラン樹脂を鉄粉の表面に被覆して成形原料を得た。これをヨーク25の軸線と平行な方向から1cm当たりの加圧力を、実施例1として3.0トン,実施例2として8.0トン,実施例3として20.0トン加えて加圧成形体を得た。一方、同じ成形原料を用い、比較例1として2.5トン,比較例2として21.0トン加えた加圧成形体も得た。
なお、実施例および比較例における成形型のダイの内径は6.000mm、センターピンの外径は5.200mmであり、このセンターピンの外周面に一対の位置決め突起26となる2つの半円状凹溝が180°隔てて形成されている。
成形型から取り出された加圧成形体を平らな耐熱板の上に載せ、まず加圧成形体における樹脂の硬化のための予備加熱を180℃にて1時間行った。次いで、この加圧成形体を真空雰囲気にて600℃まで昇温し、これを1時間保持して加圧成形体からの固体潤滑材の除去と樹脂からの分解ガスの放出とを行った。さらに、水素還元雰囲気にて850℃で1時間保持し、鉄粉の焼鈍に加え、その溶着ならびにフラン樹脂の焼成を行い、表層部に炭化物がより多量に含まれた複合型金属成形体、つまりヨーク25を得た。
このようにしてそれぞれ200個ずつ作製されたヨーク25のうち、実施例1〜3によるヨーク25の外径寸法の標準偏差は共に6μmと極めて小さく、また位置決め突起26を含まない内径寸法の標準偏差も共に6μmと極めて小さかった。このことから、成形型の寸法形状に極めて類似した高精度な複合型金属成形体であることを確認できた。なお、比較例1の一部のヨーク25には、その両端面に欠けが存在するものがあった。また、比較例2のヨーク25の場合、加圧成形時の加圧力が大きすぎるため、加圧成形体を成形型から取り外す際にスプリングバックによるクラックの発生が認められるものがあった。
先の実施例2におけるヨーク25の端面を研磨した後、希硝酸で鉄粉のエッチングを行い、この部分を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を図2に示す。図2中、左上がヨーク25の外周側であり、この観察領域の炭素の分布状態を図3に併せて示す。図3中、白点が炭素の存在確率の高い箇所を示している。また、位置決め突起26の部分をエッチングした後の走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。これらの図から明らかなように、結晶方向の異なる鉄粉が相互に融着し、ヨーク25の外周側の表層部ほど炭素原子の存在確率が高くなっていることが理解されよう。また、鉄粉をエッチングで除去しても、エッチング液に侵されずに平坦な面を持ったフラン樹脂の炭化物を確認することができる。
各実施例1〜3および比較例1,2における各200個のヨーク25を100個ずつ2つのグループに分け、第1のグループのヨーク25にはめっき処理を行わず、第2のグループのヨーク25にはめっき処理を行った。この第2のグループにて行われためっき処理は化学ニッケルめっき処理であり、3μmの膜厚のニッケルめっき膜をヨーク25の表面に形成した。
めっき処理を行わない第1のグループのヨーク25の耐食性を評価するため、これらを60℃,90%RHの高温高湿度環境に1000時間入れ、耐食性の加速試験を行った。その結果、実施例1〜3のヨーク25に関しては錆の発生が認められなかった。それに対し、比較例1では18/100,比較例2では12/100の割合で錆の発生が認められた。
メッキ処理を行った第2のグループのヨーク25の耐食性を評価するため、これらを80℃,90%RHの高温高湿度環境に1000時間入れ、第1のグループよりもさらに厳しい耐食性の加速試験を行った。その結果、実施例1〜のヨーク25に関しては錆の発生が認められなかった。それに対し、比較例1では23/100,比較例2では8/100の割合で錆の発生が認められた。
これらの結果から、1cm当たり3トン〜20トンの範囲の加圧力にて加圧成形体を成形することにより、耐食性に優れた複合型金属成形体を得られるが確認できた。
次に、めっき処理を行わない第1のグループにおける実施例1〜3のヨーク25を図1に示した先の光量調整装置10に組み込み、電流遮断時における絞り閉じ動作の確認を行った結果、何れも円滑な動作が行えることを確認できた。
上述した実施形態では、金属粒子に被覆した樹脂の一部を加圧成形時に加圧成形体の表面に流動させ、これによって複合型金属成形体の表層部に炭化物がより多量に含まれるようにした。しかしながら、加圧成形後の加圧成形体の表面にフラン樹脂などの熱硬化性樹脂を塗布したり、加圧成形体にフラン樹脂を含浸させて熱処理を施すことによっても、複合型金属成形体の表層部に炭化物をより多量に含ませることができる。また、本実施形態では防錆処理のためにめっき膜を複合型金属成形体の表層部の表面に形成するようにしたが、有機無機問わず他の防錆層を塗装やCVD,PVD法によって形成することも有効である。
本発明を光学機器の光量調整装置に応用した一実施形態の外観を分解状態で示す立体投影図である。 図1に示したヨークの端面をエッチングした後の走査型電子顕微鏡写真であり、左上がヨークの外周側である。 図2に示したヨークの端面の炭素の分布状態を表す分析写真であり、白点が炭素の存在確率の高い箇所を示している。 図1に示したヨークの位置決め突起の部分の走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
10 光量調整装置
11,12 絞り板
13 リンクアーム
14 NDフィルタ
15 開口
16 ケース
17 長孔
18 ピン
19 ロータマグネット
20 支軸
21 地板
22 ブラケット
23 キャップ部材
24 開口
25 ヨーク
26 位置決め突起
27 嵌合穴
28 駆動コイル
29 制動コイル
30 接着テープ
31 プリント回路基板

Claims (12)

  1. 相互に溶着した金属粒子間に樹脂の炭化物が介在し、この樹脂の炭化物がより多量に含まれた表層部を有することを特徴とする複合型金属成形体。
  2. 前記樹脂が熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合型金属成形体。
  3. 前記熱硬化性樹脂がフラン樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載の複合型金属成形体。
  4. 前記金属粒子が軟磁性材料を含むことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の複合型金属成形体。
  5. 金属粒子を樹脂で被覆して成形原料を得るステップと、
    成形型に前記成形原料を投入してこれを加圧成形することにより、前記樹脂の一部を前記成形型との界面に流動させた状態で加圧成形体を得るステップと、
    前記加圧成形体を加熱して前記樹脂を焼成すると共に前記金属粒子を相互に溶着させ、前記金属粒子間に前記樹脂の炭化物が介在すると共にこの樹脂の炭化物がより多量に含まれた表層部を有する複合型金属成形体を得るステップと
    を具えたことを特徴とする複合型金属成形体の製造方法。
  6. 前記加圧成形体を得るステップは、固体潤滑剤を前記成形原料と共に成形型に投入するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  7. 前記表層部の表面にめっき層を形成するステップをさらに具えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  8. 前記樹脂が熱硬化性樹脂であり、前記樹脂を焼成すると共に前記金属粒子を相互に溶着させるステップの前に前記加圧成形体を予備加熱して前記樹脂を硬化させるステップをさらに具えたことを特徴とする請求項5から請求項7の何れかに記載の複合型金属成形体の製造方法。
  9. 前記熱硬化性樹脂がフラン樹脂を含むことを特徴とする請求項8に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  10. 前記金属粒子が軟磁性材料を含むことを特徴とする請求項5から請求項9の何れかに記載の複合型金属成形体の製造方法。
  11. 前記加圧成形体を加熱して複合型金属成形体を得るステップは、前記軟磁性材料を焼鈍してその内部歪を除去するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  12. 相互に組み合わされて絞り開口を画成する少なくとも2枚の羽根板と、これら羽根板の少なくとも一方を駆動して前記絞り開口の大きさを可変とするための羽根板駆動機構とを具えた光量調整装置であって、
    前記羽根板駆動機構はムービングマグネットを有し、このムービングマグネットの一部を構成するヨークが請求項4に記載の複合型金属成形体または請求項10または請求項11に記載の製造方法によって製造された複合型金属成形体であることを特徴とする光量調整装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010016091A (ja) * 2008-07-02 2010-01-21 Canon Electronics Inc 成形体およびその製造方法
JP2016042335A (ja) * 2014-08-19 2016-03-31 富士ゼロックス株式会社 サーバ装置、情報処理システムおよびプログラム

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