JP2008037723A - 金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末 - Google Patents
金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を高収量で製造することができる金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末を提供する。
【解決手段】金属酸化物の製造方法は、製造しようとする金属酸化物を構成する金属イオンを含む、モル濃度が2.0mol/L以上の金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加し、アルカリモル比Rが0.9以上となるようなモル濃度のアルカリ水溶液を加えて金属水酸化物を含む懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、前記金属水酸化物を含む懸濁液を加熱熟成させる熟成工程からなり、酸化亜鉛粉末等の金属酸化物粉末を、均一な粒径分布かつ高収量で製造することができる。
【選択図】図2
【解決手段】金属酸化物の製造方法は、製造しようとする金属酸化物を構成する金属イオンを含む、モル濃度が2.0mol/L以上の金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加し、アルカリモル比Rが0.9以上となるようなモル濃度のアルカリ水溶液を加えて金属水酸化物を含む懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、前記金属水酸化物を含む懸濁液を加熱熟成させる熟成工程からなり、酸化亜鉛粉末等の金属酸化物粉末を、均一な粒径分布かつ高収量で製造することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末に関する。更に詳しくは、均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を高収量で得ることができる金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末に関する。
金属酸化物粉末は、各種材料の充填材や添加剤のほか、触媒、電子材料、電気材料、センサ等といった多岐の用途に使用されており、例えば、酸化亜鉛粉末(亜鉛華)は、ゴムの加硫促進助剤、塗料用の顔料、医薬品、化粧品、合成樹脂などへの添加剤、繊維中への混練顔料等として有用である。また、酸化亜鉛粉末は、単体で触媒として用いられるほか、半導性、光導電性あるいは圧電性を有し、かつ、可視光領域で本質的に透明な数少ない物質であるため、圧電体材料や半導性もしくは圧電性をもつオプトエレクトロニクス材料、更には電子写真用感光剤や、フェライト、バリスタ、蛍光体等の電子部品材料等、様々な分野に幅広く使用されている。
金属酸化物粉末を製造するには、種々の方法が採られ、例えば、気相法、液相法、固相法等が知られており、酸化亜鉛を例に挙げれば、亜鉛蒸気を気相酸化する方法(乾式法:いわゆるアメリカ法やフランス法)やドイツ法等の湿式法が工業的に用いられている。また、酸化亜鉛粉末の製造方法の具体的な例としては、十分な撹拌を行いながら亜鉛の塩を含む水溶液と沈殿剤との混合液を混合させ、酸化亜鉛換算で15重量%以下の亜鉛濃度を有し、かつpH11以上の母液から沈殿を生成させる酸化亜鉛粉末の製造方法が提供されている(例えば、特許文献1を参照。)。他の例としては、混合終了時点でのpHが11〜13となる、亜鉛含有液の所定量とアルカリ水溶液の所定量とを0.1秒〜600秒の間で攪拌しながら混合し、次いで混合液中の酸化亜鉛微粉末を熟成する酸化亜鉛微粉末の製造方法や(例えば、特許文献2を参照。)、亜鉛又は亜鉛化合物と酸とを混合して含亜鉛イオン水溶液を生成する工程と、前記含亜鉛イオン水溶液にアルカリを加えて水酸化亜鉛を生成する工程と、前記水酸化亜鉛を分離・精製する工程と、前記分離・精製で得られた水酸化亜鉛を加熱して酸化亜鉛を生成する工程と、を含んでなる酸化亜鉛の製造方法も提供されている(例えば、特許文献3を参照。)。
ところで、多岐にわたる目的に合った特性を持つ金属酸化物粉末を得るためには、形態の制御やサイズの制御は重要な問題であり、また、このような金属酸化物を高収量で製造することが望ましい。一方、従来の製造方法にあっては、均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を調製することは困難であり、かつ、収量も比較的少ないものであるため、改善が望まれていた。
本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、酸化亜鉛をはじめとする金属酸化物の粉末(微粒子)を製造するにあたり、均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を高収量で製造することができる金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の請求項1の金属酸化物粉末の製造方法は、製造しようとする金属酸化物を構成する金属イオンを含む、モル濃度が2.0mol/L以上の金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加し、下記式(I)で表されるアルカリモル比Rが0.9以上となるようなモル濃度のアルカリ水溶液を加えて金属水酸化物を含む懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、前記金属水酸化物を含む懸濁液を加熱熟成させる熟成工程を含むことを特徴とする。
本発明の請求項2に係る金属酸化物粉末の製造方法は、前記した請求項1において、前記界面活性剤の添加量が、前記懸濁液全体に対して0.01〜10.0質量%であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る金属酸化物粉末の製造方法は、前記した請求項1または請求項2において、前記懸濁液調製工程が、モル濃度が2.0mol/L以上の塩化亜鉛を含む溶液にステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド及び/またはドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを添加し、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を加えて水酸化亜鉛の懸濁液を調製するものであり、製造される前記金属酸化物粉末が酸化亜鉛粉末であることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る金属酸化物粉末は、前記した請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る金属酸化物粉末の製造方法は、金属酸化物粉末を製造するにあたり、金属水酸化物を含む懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、得られた懸濁液を加熱熟成させる熟成工程を採用し、アルカリモル比Rが0.9以上となるように金属水酸化物を含む懸濁液を調製するため、懸濁液中の粒子が多分散となり、これを加熱熟成させることにより、粒子径(平均粒子径)が均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を得ることができる。また、モル濃度が2.0mol/L以上といった高濃度の金属化合物を含む溶液を出発物質として用いているので、金属酸化物を高収量で得ることができ、金属酸化物の工業的製法として最適である。更には、金属水酸化物を含む懸濁液を調製する際に界面活性剤を添加しているので、得られる金属酸化物の形態を略板状(略多角形板状粒子)に制御し、また、界面活性剤の添加量を選択することにより金属酸化物粉末の粒子径(平均粒子径)を制御することができ、形態の制御やサイズの制御を効率よく実施することができる。そして、本発明は、製造工程が懸濁液調製工程と熟成工程からなるため、操作もシンプルであり、金属酸化物粉末を低コストで安定して製造することができる。
本発明の請求項2に係る金属酸化物粉末の製造方法は、懸濁液調製工程で添加する界面活性剤の添加量が、金属水酸化物を含む懸濁液全体に対して特定範囲としているので、粒子径(平均粒子径)が概ね0.1〜1.0μmの金属酸化物粉末を安定して製造することができることになる。
本発明の請求項3に係る金属酸化物粉末の製造方法は、懸濁液調製工程として、モル濃度が2.0mol/L以上の塩化亜鉛を含む溶液にステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドやドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを添加し、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を加えて水酸化亜鉛の懸濁液を調製するようにしているので、均一な粒径分布を有する酸化亜鉛粉末を高収量で安定かつ簡便に得ることができる等、前記した効果を好適に享受することができる。
本発明の請求項4に係る金属酸化物粉末は、前記した本発明に係る製造方法により得られたものであるので、均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末となり、例えば、各種材料の充填材や添加剤、焼結体の原料のほか、触媒や触媒の単体、電子材料、電気材料、研磨剤、顔料、センサ等をはじめとした金属酸化物粉末の諸用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の金属酸化物粉末の製造方法の一態様を説明する。本発明の金属酸化物粉末の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とする場合もある。)は、製造しようとする金属酸化物を構成する金属イオンを含む、モル濃度が2.0mol/L以上の金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加し、下記式(I)で表されるアルカリモル比Rが0.9以上となるようなモル濃度のアルカリ水溶液を加えて金属水酸化物を含む懸濁液を調製する懸濁液調製工程と、かかる懸濁液調製工程で調製された、金属水酸化物を含む懸濁液を加熱熟成させる熟成工程を含む。なお、式(I)における、金属化合物を含む溶液の量(L)とは、懸濁液調製における金属化合物を含む溶液の添加量(L)を、アルカリ水溶液の量(L)とは、アルカリ水溶液の添加量(L)を示す。
(1)懸濁液調製工程:
本発明の製造方法を構成する懸濁液調製工程では、出発物質として、製造しようとする金属酸化物を構成する金属イオンを含む金属塩等の金属化合物を適用し、例えば、酸化亜鉛を製造する場合にあっては、亜鉛化合物として、例えば塩化亜鉛(ZnCl2)、硫酸亜鉛(ZnSO4)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、過塩素酸亜鉛(Zn(ClO4)2)、酢酸亜鉛(Zn(CH3COO)2)等の亜鉛化合物を使用することができる。
本発明の製造方法を構成する懸濁液調製工程では、出発物質として、製造しようとする金属酸化物を構成する金属イオンを含む金属塩等の金属化合物を適用し、例えば、酸化亜鉛を製造する場合にあっては、亜鉛化合物として、例えば塩化亜鉛(ZnCl2)、硫酸亜鉛(ZnSO4)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、過塩素酸亜鉛(Zn(ClO4)2)、酢酸亜鉛(Zn(CH3COO)2)等の亜鉛化合物を使用することができる。
また、酸化第一銅を製造するにあたっては、銅化合物として、例えば硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、過塩素酸銅、酢酸銅を、ヘマタイトなどの酸化鉄を製造するにあたっては、鉄化合物として硫酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄、過塩素酸鉄を、酸化アルミニウムを製造するにあたっては、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムを、酸化コバルトを製造するに当たっては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルトを、酸化ニッケルを製造するに当たっては、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケルを使用することができる。希土類酸化物では、たとえば酸化ランタンでは、硝酸ランタン、塩化ランタン、酢酸ランタンを、酸化イットリウムでは、硝酸イットリウム、塩化イットリウム、酢酸イットリウム等の金属化合物を使用することができる。
金属塩等の金属化合物は、適当な溶媒に溶解させて溶液(金属化合物を含む溶液)とする。溶媒としては、使用される金属化合物の種類によって異なるが、水、メタノール、エタノール等のアルコール類等が挙げられる。
金属化合物を含む溶液のモル濃度は、2.0mol/L以上とし、2.0〜5.0mol/Lとすることが好ましい。本発明の製造方法にあっては、出発物質としてこのような高濃度の金属化合物を使用することができるので、均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を高収量で製造することができる。金属化合物を含む溶液のモル濃度は、3.0〜4.0mol/Lとすることが特に好ましい。
本発明の製造方法にあっては、かかる金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加する。
本発明の製造方法にあっては、界面活性剤の添加量により製造される金属酸化物粉末の粒子径(平均粒子径)を制御することができ、界面活性剤の添加量を多くするに従い、製造される金属酸化物粉末の粒子径(平均粒子径)を小さくすることができる。これは、界面活性剤を添加することにより、生成される金属酸化物粉末の表面に吸着して粒子生長を阻害するため、粒子径を小さくすることできるものと考えられる。添加することができる界面活性剤は、第4級アンモニウム塩系の界面活性剤、あるいは第1級〜第3級アミン系の界面活性剤を使用することができ、具体的には、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTAB)、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド(OTAB)等を使用することができる。これらの界面活性剤は、一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法にあっては、界面活性剤の添加量により製造される金属酸化物粉末の粒子径(平均粒子径)を制御することができ、界面活性剤の添加量を多くするに従い、製造される金属酸化物粉末の粒子径(平均粒子径)を小さくすることができる。これは、界面活性剤を添加することにより、生成される金属酸化物粉末の表面に吸着して粒子生長を阻害するため、粒子径を小さくすることできるものと考えられる。添加することができる界面活性剤は、第4級アンモニウム塩系の界面活性剤、あるいは第1級〜第3級アミン系の界面活性剤を使用することができ、具体的には、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTAB)、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド(OTAB)等を使用することができる。これらの界面活性剤は、一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の添加量は、金属水酸化物を含む懸濁液全体に対して0.01〜10.0質量%とすることが好ましい。界面活性剤の添加量を0.01〜10.0質量%とすることにより、粒子径(平均粒子径)が0.1〜1.0μmの金属酸化物粉末を安定して製造することができる。界面活性剤の添加量は、金属水酸化物を含む懸濁液全体に対して0.05〜6.0質量%とすることが特に好ましく、界面活性剤の添加量を0.05〜6.0質量%とすることにより、粒子径(平均粒子径)が0.2〜0.6μmの金属酸化物粉末を安定して製造することができる。ここで、本発明における「平均粒子径」とは、略板状の金属酸化物の粒子におけるもっとも長い対角線の長さを平均粒子径とすればよい。
界面活性剤を金属化合物を含む溶液に添加するには、例えば10〜40℃程度の温度で、300〜600rpm程度の撹拌速度で適度に撹拌して、溶液に界面活性剤を混合するようにすればよい。
本発明の製造方法にあっては、金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加し、アルカリ水溶液を更に加える。アルカリ水溶液は、金属化合物を含む溶液と界面活性剤の混合溶液に滴下等の手段で加えていけばよい。なお、アルカリ水溶液は、金属化合物を含む溶液に界面活性剤を添加する途中で加えてもよく、また、界面活性剤を添加し終わった状態でアルカリ水溶液を加えるようにしてもよい。金属化合物を含む溶液とアルカリ水溶液の使用量は、製造しようとする金属酸化物の量や種類等により適宜決定すればよい。なお、式(I)に示されるように、アルカリモル比Rは、懸濁液調製において使用される金属化合物を含む溶液の添加量(金属化合物を含む溶液の量(L))とアルカリ水溶液の添加量(アルカリ水溶液の量(L))により左右され、また、金属化合物を含む溶液とアルカリ水溶液の量の比は、両者のモル濃度との関係もあるが、反応を効率的に進行させるためには、金属化合物を含む溶液/アルカリ水溶液=1/2〜2/1程度とすることが好ましく、略1/1とすることが特に好ましい。
使用できるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液、水酸化リチウム(LiOH)水溶液等が挙げられる。この中でも、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液、水酸化カリウム(KOH)水溶液を使用することが好ましい。
アルカリ水溶液のモル濃度は、出発物質である金属化合物の濃度に対応して、下記式(I)により表されるアルカリモル比Rが0.9以上となるようにして決定すればよい。本発明の製造方法にあっては、アルカリモル比Rが0.9以上になるように出発物質の金属化合物とアルカリ溶液のモル濃度を選択するようにしているので、均一な粒径分布をもった金属酸化物粉末を得ることができ、特に、後工程である熟成工程を効率よく実施するためには、アルカリモル比を1.2以上とすることが好ましい。アルカリ水溶液のモル濃度は、アルカリモル比Rを前記した範囲とするためには、概ね4.0mol/L以上とすればよく、例えば、製造する金属酸化物を構成する金属イオンが2価のイオンである場合には、アルカリ水溶液のモル濃度は4.5mol/L以上とし、5.0〜7.5mol/Lとすることが好ましい。
ここで、図1は、アルカリモル比RとpHとの関係を示した図である。金属酸化物は、概ねアルカリモル比Rが0.8以上であると、ゲル化が起こり、Rが0.8〜0.9の間でpHが上昇し、Rが0.9以上ではゲルが溶解して多分散な粒子となる。熟成工程を効率よく実施し、均一な粒径分布をもった金属酸化物粉末を簡便に製造するためには、アルカリモル比Rは、1.2以上とすることが好ましく、1.2〜1.5とすることが特に好ましい。また、溶液のpHは、12.0〜13.0程度とすることが好ましい。
なお、金属酸化物として酸化亜鉛を製造するにあたり、金属化合物として塩化亜鉛(ZnCl2)、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を使用した場合におけるアルカリモル比Rは、式(II)により表される(水酸化ナトリウム水溶液は水酸化カリウム(KOH)水溶液としても同様である。)。本発明にあっては、塩化亜鉛水溶液のモル濃度は、3.0mol/L以上と、水酸化ナトリウム(あるいは水酸化カリウム)水溶液のモル濃度は、7.0mol/L以上とすることがそれぞれ好ましい。
このようにして、金属化合物を含む溶液と界面活性剤の混合溶液とアルカリ水溶液を混合することにより、金属水酸化物を含む懸濁液が調製されることになる。例えば、金属酸化物として酸化亜鉛を製造するにあたり、金属化合物として塩化亜鉛を使用した場合にあっては、懸濁液には水酸化亜鉛(Zn(OH)2)のほか、[Zn(OH)3]−、[Zn(OH)4]2−等が存在することになる。
なお、懸濁液の調製に際しては、本発明の効果を妨げない範囲内で、ポリエチレングリコール(PEG)等の添加剤を適宜添加することができる。
(2)熟成工程:
本発明の製造方法にあっては、前記した懸濁液調製工程で得られる金属水酸化物を含む懸濁液を加熱熟成させるものである。懸濁液の加熱熟成は、懸濁液のpHが12.0〜13.0と強アルカリであるので、ステンレス等からなる、耐アルカリ性、耐圧性に優れた反応容器を用いて実施することが好ましい。
本発明の製造方法にあっては、前記した懸濁液調製工程で得られる金属水酸化物を含む懸濁液を加熱熟成させるものである。懸濁液の加熱熟成は、懸濁液のpHが12.0〜13.0と強アルカリであるので、ステンレス等からなる、耐アルカリ性、耐圧性に優れた反応容器を用いて実施することが好ましい。
熟成工程にあっては、反応容器等に封入された懸濁液を所定の時間加熱するようにすれ
ばよい。熟成工程における加熱温度は、製造する金属酸化物の種類により適宜決定される
が、概ね90℃以上として、90〜200℃とすることが好ましい。加熱温度をかかる範
囲内とすることにより、熟成が安定して進行する。金属酸化物粉末として酸化亜鉛粉末を
製造する場合にあっても、同様に、加熱温度は90〜200℃程度とすればよい。
ばよい。熟成工程における加熱温度は、製造する金属酸化物の種類により適宜決定される
が、概ね90℃以上として、90〜200℃とすることが好ましい。加熱温度をかかる範
囲内とすることにより、熟成が安定して進行する。金属酸化物粉末として酸化亜鉛粉末を
製造する場合にあっても、同様に、加熱温度は90〜200℃程度とすればよい。
また、熟成工程における熟成時間も、製造する金属酸化物の種類により適宜決定される
が、概ね24時間以上とすることが好ましい。反応温度をかかる範囲内とすることによ
り、熟成が安定して進行する。金属酸化物粉末として酸化亜鉛粉末を製造する場合にあっ
ても、同様に、反応時間は24時間以上とすればよい。
が、概ね24時間以上とすることが好ましい。反応温度をかかる範囲内とすることによ
り、熟成が安定して進行する。金属酸化物粉末として酸化亜鉛粉末を製造する場合にあっ
ても、同様に、反応時間は24時間以上とすればよい。
熟成が終了したら、生成物に対して遠心分離処理を施すことにより、生成物を効率よく得ることができる。遠心分離処理は、遠心分離機、遠心機、超遠心機等の公知の遠心処理装置等を用いることにより実施することができる。かかる遠心分離処理における回転数、処理時間等の諸条件は、製造しようとする金属酸化物の種類等に応じて適宜決定すればよい。
また、遠心分離処理されて得られた生成物は、エタノール、アセトン、イオン交換水等の従来公知の溶媒により、超音波容器、超音波洗浄機、超音波ホモジナイザー等の超音波装置を用いて、超音波洗浄処理を施すことが好ましい。かかる超音波洗浄処理における電圧の大きさ、処理時間等の諸条件も、製造しようとする金属酸化物の種類等に応じて適宜決定すればよい。
次に、金属酸化物の製造方法の一例として、懸濁液調整工程及び熟成工程を用いて酸化亜鉛粉末を製造する方法について説明する。なお、図2は、酸化亜鉛粉末の製造方法のフローチャートを示した図である。
まず、モル濃度が3.0mol/Lの塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液に界面活性剤であるステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)を、調製される懸濁液全体に対して0.1〜10.0質量%添加し、液温を10〜40℃で撹拌(撹拌速度:300〜600rpm)しながら、前記した式(II)で求められるアルカリモル比Rが1.1以上、好ましくは1.2以上となるように、塩化亜鉛水溶液と等量の7.2mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を加えて、Zn(OH)2、[Zn(OH)3]−、[Zn(OH)4]2−を含む懸濁液を調製する(懸濁液調製工程)。なお、水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより、懸濁液のpHは12.0〜13.0となる。
懸濁液調製工程で得られた懸濁液の一部を取り出してステンレス容器に封管し、90〜200℃で1日(24時間)以上加熱熟成させる(熟成工程)。得られた生成物を遠心分離処理した後、エタノール及びイオン交換水で超音波洗浄処理を行って不純物を除去することにより、平均粒子径が0.1〜1.0μmの酸化亜鉛粉末を得ることができる。
なお、図2のフローチャートは、金属酸化物粉末として酸化亜鉛粉末の製造方法を例として示したが、懸濁液調製工程における金属塩(図2における塩化亜鉛)を変更することにより、図2及び前記の方法により所望の金属酸化物粉末を得ることができることはいうまでもない。その場合における、界面活性剤の種類、使用するアルカリ水溶液、熟成工程における熟成温度、熟成時間等の諸条件は、製造する金属酸化物粉末の種類に応じて適宜変更することができる。
かかる本発明の製造方法は、アルカリモル比Rが0.9以上となるように金属水酸化物を含む懸濁液を調製するため、懸濁液中の粒子が多分散となり、これを加熱熟成させることにより、粒子径(平均粒子径)が均一な粒径分布を有する金属酸化物粉末を得ることができる。また、モル濃度が2.0mol/L以上といった高濃度の金属化合物を出発物質として用いているので、金属酸化物を高収量で得ることができ、金属酸化物の工業的製法として最適である。
更には、金属水酸化物を含む懸濁液を調製する際に界面活性剤を添加しているので、得られる金属酸化物の形態を略板状に制御し、また、界面活性剤の添加量を選択することにより金属酸化物粉末の粒子径(平均粒子径)を制御することができ、形態の制御やサイズの制御を効率よく実施することができる。そして、製造工程が懸濁液調製工程と熟成工程からなるため、操作も簡便であり、金属酸化物粉末を低コストで安定して製造することができる。
本発明の金属酸化物の製造方法は、出発物質における金属化合物の選択により、所望の金属酸化物、例えば、粒子径(平均粒子径)が概ね0.1〜1.0μmの酸化亜鉛のほか、酸化銅、酸化鉄、酸化アルミニウム等の卑金属元素の酸化物、希土類元素の酸化物、あるいはこれらの複合金属酸化物等の金属酸化物粉末を得ることができる。これらの金属酸化物粉末は、各種材料の充填材や添加剤、焼結体の原料のほか、触媒や触媒の単体、電子材料、電気材料、研磨剤、顔料、センサ等に代表される諸用途に好適に使用することができる。
なお、金属酸化物のうち、酸化亜鉛はそのサイズや形態によって用途が異なることが知られている(酸化亜鉛の平均粒子径と用途との関係を表1にまとめた。)。酸化亜鉛の一般的な用途はゴムの添加剤であり、また、機能性材料としての用途もあり、電子材料としてのバリスタ用の他、触媒、蛍光体、電子写真用感光体、ガス・湿度センサ、表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)フィルター等がある。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
[実施例1]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(1):
下記(1)及び(2)の工程を用いて、金属酸化物粉末である酸化亜鉛(ZnO)粉末を製造した。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(1):
下記(1)及び(2)の工程を用いて、金属酸化物粉末である酸化亜鉛(ZnO)粉末を製造した。
(1)懸濁液調製工程:
3.0ml/Lの塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液150mL(0.150L)に界面活性剤としてステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)を0.06g(懸濁液全体に対して0.016質量%)添加し、液温を20℃、550rpmで撹拌して混合し、混合溶液とした。次に、この混合溶液を撹拌しながら、7.2mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を滴下速度3.75mL/分で150mL(0.150L)加えて、Zn(OH)2、[Zn(OH)3]−、[Zn(OH)4]2−を含む懸濁液を得た。なお、塩化亜鉛を含む溶液及び水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度を用いて式(II)で計算されるアルカリモル比Rは1.2であり、また、懸濁液のpHは13.0であった。
3.0ml/Lの塩化亜鉛(ZnCl2)水溶液150mL(0.150L)に界面活性剤としてステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド(STAB)を0.06g(懸濁液全体に対して0.016質量%)添加し、液温を20℃、550rpmで撹拌して混合し、混合溶液とした。次に、この混合溶液を撹拌しながら、7.2mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を滴下速度3.75mL/分で150mL(0.150L)加えて、Zn(OH)2、[Zn(OH)3]−、[Zn(OH)4]2−を含む懸濁液を得た。なお、塩化亜鉛を含む溶液及び水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度を用いて式(II)で計算されるアルカリモル比Rは1.2であり、また、懸濁液のpHは13.0であった。
(2)熟成工程
(1)で得られた懸濁液7mLを、容積が30mLのステンレス容器に封管し、加熱温度を90℃、熟成時間を1日(24時間)として熟成させた。得られた生成物を、市販の遠心分離装置を用いて、回転数を6000rpm、処理時間を30分として遠心分離処理を施した。そして、遠心分離処理後、イオン交換水で超音波洗浄処理を行って不純物を除去した。この遠心分離処理、超音波洗浄処理を3回繰り返すことにより、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.50g:収率 約99%)。図3に走査型電子顕微鏡(SEM)(超高分解能走査型電子顕微鏡 S−5000(株)日立製作所製、以下、走査型電子顕微鏡について同じ。)による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図10(A)に、微粒子X線回折分析装置(XRD)(Rigaku RAD−A:(株)リガク製。以下同じ。)で同定した結果を示す。
(1)で得られた懸濁液7mLを、容積が30mLのステンレス容器に封管し、加熱温度を90℃、熟成時間を1日(24時間)として熟成させた。得られた生成物を、市販の遠心分離装置を用いて、回転数を6000rpm、処理時間を30分として遠心分離処理を施した。そして、遠心分離処理後、イオン交換水で超音波洗浄処理を行って不純物を除去した。この遠心分離処理、超音波洗浄処理を3回繰り返すことにより、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.50g:収率 約99%)。図3に走査型電子顕微鏡(SEM)(超高分解能走査型電子顕微鏡 S−5000(株)日立製作所製、以下、走査型電子顕微鏡について同じ。)による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図10(A)に、微粒子X線回折分析装置(XRD)(Rigaku RAD−A:(株)リガク製。以下同じ。)で同定した結果を示す。
[実施例2]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(2):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから0.29g(懸濁液全体に対して0.079質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.48g:収率 約98%)。図4に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図10(B)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(2):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから0.29g(懸濁液全体に対して0.079質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.48g:収率 約98%)。図4に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図10(B)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
[実施例3]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(3):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから0.59g(懸濁液全体に対して0.160質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.48g:収率 約98%)。図5に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図10(C)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(3):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから0.59g(懸濁液全体に対して0.160質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.48g:収率 約98%)。図5に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図10(C)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
[実施例4]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(4):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから2.94g(懸濁液全体に対して0.794質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.45g:収率 約96%)。図6に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図11(A)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(4):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから2.94g(懸濁液全体に対して0.794質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.45g:収率 約96%)。図6に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図11(A)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
[実施例5]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(5):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから5.90g(懸濁液全体に対して1.580質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.41g:収率 約93%)。図7に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図11(B)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(5):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから5.90g(懸濁液全体に対して1.580質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.41g:収率 約93%)。図7に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図11(B)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
[実施例6]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(6):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから8.83g(懸濁液全体に対して2.346質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.36g:収率 約90%)。図8に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図11(C)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(6):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を0.06gから8.83g(懸濁液全体に対して2.346質量%)に変更した以外は、実施例1の方法を用いて、本発明の酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.36g:収率 約90%)。図8に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図11(C)に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
[比較例1]
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(7):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いなかった以外は、実施例1の方法を用いて、酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.50g:収率 約99%)。図9に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図12に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
酸化亜鉛(ZnO)粉末の製造(7):
前記実施例1に示した方法において、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドを用いなかった以外は、実施例1の方法を用いて、酸化亜鉛粉末を製造した(収量 約1.50g:収率 約99%)。図9に走査型電子顕微鏡による形態写真を示す(倍率:18000倍)。また、図12に、微粒子X線回折分析装置で同定した結果を示す。
図3〜図8の形態写真の結果より、実施例1〜実施例6で得られた生成物はいずれも粉末状の微粒子であり、図10、11に示すXRDの同定結果の示すピークから、製造されたものはいずれも酸化亜鉛であることが確認できた。また、収量も高く、収率も良好であった。
また、図3〜図8の結果より、得られた酸化亜鉛粉末は、界面活性剤であるステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドを添加することにより、粒子径(平均粒子径)のサイズが小さくなっていることが確認できた。ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドの添加量を多くすることにより生成される酸化亜鉛粉末の粒子径(平均粒子径)が小さくなる理由としては、界面活性剤であるステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドが生成される酸化亜鉛粉末の表面に吸着して粒子の生長を阻害するため、添加量が多いほど粒子径が小さくなるものと考えられる。
なお、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドを添加しない比較例1で得られた生成物は、図12に示すXRDの同定結果の示すピークから、製造されたものはいずれも酸化亜鉛であることが確認できたが、図9に示すように、得られた酸化亜鉛の形態は粒塊状の粗粒子であった。
本発明により提供される金属酸化物粉末は、均一な粒径分布を有するので、各種材料の充填材や添加剤、焼結体の原料のほか、触媒や触媒の単体、電子材料、電気材料、研磨剤、顔料、センサ等の金属酸化物粉末の諸用途に使用することができる。
Claims (4)
- 前記界面活性剤の添加量が、前記懸濁液全体に対して0.01〜10.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物粉末の製造方法。
- 前記懸濁液調製工程が、モル濃度が2.0mol/L以上の塩化亜鉛を含む溶液にステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド及び/またはドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを添加し、水酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液を加えて水酸化亜鉛の懸濁液を調製するものであり、
製造される前記金属酸化物粉末が酸化亜鉛粉末であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属酸化物粉末の製造方法。 - 前記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする金属酸化物粉末。
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JP2006217487A JP2008037723A (ja) | 2006-08-09 | 2006-08-09 | 金属酸化物粉末の製造方法、及び当該製造方法により得られる金属酸化物粉末 |
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Cited By (2)
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JP2010195672A (ja) * | 2009-01-30 | 2010-09-09 | Fujifilm Corp | 星型酸化亜鉛粒子及びその製造方法 |
JP2010533125A (ja) * | 2007-07-13 | 2010-10-21 | ジョン フン キム | 金属ハロゲン化物から塩基を用い脱ハロゲン化水素による金属酸化物を製造する方法、及びその製造方法によって製造される金属酸化物 |
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2006
- 2006-08-09 JP JP2006217487A patent/JP2008037723A/ja active Pending
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