JP2008032618A - 導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びそれを用いた導電膜の製造方法 - Google Patents

導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びそれを用いた導電膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】渦電流発生部及び渦電流検出部の温度変動を抑えることによって、ライン速度の高速化等に対応でき、非接触で導電膜の表面抵抗値を高精度に連続測定することができる導電膜用非接触式表面抵抗測定装置を提供する。
【解決手段】渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを導電膜1に対して間隔をあけて設置し、非接触で導電膜1の表面抵抗値を連続的に測定する導電膜用非接触式表面抵抗測定装置において、渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの近傍に電子加熱冷却素子4を配設し、温度センサー3によって測定した渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度に基づいて、電子加熱冷却素子4に通電を行い、渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度制御を行う。
【選択図】図1b

Description

本発明は導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びそれを用いた導電膜の製造方法に関し、詳しくは、渦電流発生部及び渦電流検出部を導電膜に対して間隔をあけて設置し、非接触で導電膜の表面抵抗値を測定する導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びそれを用いた導電膜の製造方法に関するものである。
ガラス、セラミック、高分子フィルム等の基板膜表面に電気抵抗の低い金属薄膜又は金属酸化物薄膜からなる導電性薄膜を形成した導電膜は、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイや、太陽電池等の透明電極、ブラウン管の窓の透明静電シールド板、透明電磁シールド板、発熱体等の電気、電子分野の用途に広く使用されている。
このような導電膜の中で光の選択透過性を有するものは、例えば、赤外光反射特性を利用して、太陽エネルギー利用のための窓材や、建物・自動車等の熱線反射用材料として利用されている。また、最近では、窓材の曇り止めヒーターとして導電膜が利用されている。
導電膜の重要な品質の1つに、導電膜の表面抵抗値が規格値の範囲内であるということが挙げられる。
このため、導電膜の製造工程においては、工程管理として、導電薄膜を形成した導電膜の表面抵抗値をインラインで測定することが試みられてきている。
そして、特に、長尺の高分子フィルムを基板膜として用いる導電膜の製造工程において、導電薄膜を形成した導電膜の表面抵抗値をインラインで正確に測定するための装置が要請され、本件出願人も、先にこのための装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−84020号公報
ところで、本件出願人が先に提案した上記表面抵抗測定装置は、渦電流センサーを構成する渦電流発生部及び渦電流検出部を導電膜に対して間隔をあけて設置し、非接触で導電膜の表面抵抗値を測定するとともに、渦電流センサーの温度が基準温度から外れたことによる渦電流の増減量を求めて測定した渦電流の値の補正を行い、補正した渦電流の値により導電膜の表面抵抗値を算出するものである。
しかしながら、この表面抵抗測定装置は、上記のとおり、渦電流センサーの温度を測定し、この測定した温度に基づいて渦電流の値の補正を行う必要があるため、特に、高分子フィルムのライン速度が1m/分を超えるような高速製膜では、温度補正の応答性能が十分でなく、得られる導電膜の長手方向の表面抵抗値にばらつきが生じやすくなるという問題があった。
すなわち、一般に導電膜を製造するに当たっては、例えば、スパッタリング方式ではプラズマ発生による基板膜温度の上昇を防ぐために基板膜をチルロールで冷却する。
このため、導電薄膜を形成した導電膜の温度は低温状態にあり、表面抵抗測定装置が工程設計上低温状態にある導電膜に晒され、輻射熱の影響で、渦電流センサーの温度が経時的に低下することとなる。
上記表面抵抗測定装置では、この渦電流センサーの温度変動を検出するために温度センサーを取り付け、この温度センサーにより測定した温度に基づいて渦電流センサーで測定した渦電流の値の補正を行っていた。
しかし、実際には、渦電流センサーの設置位置と温度センサーの設置位置が厳密には異なるため、高分子フィルムのライン速度が速くなると、温度検出の応答が遅れ、渦電流センサーの現在温度の正確な検出が困難になり、温度補正の追随性が低下する。
一方、導電膜の表面抵抗値の規格値は年々厳しくなり、工程管理上、表面抵抗測定装置に求められる測定誤差も±3%程度まで要求されてきている。
このため、上記表面抵抗測定装置では、高分子フィルムのライン速度が1m/分を超えるような高速製膜においては測定誤差が大きくなり、工程管理を行う装置として使用することが困難となっていた。
そして、導電膜の生産性の向上を図るために高分子フィルムのライン速度は、一層高速化することが要請されており、増速すればするほど、上記問題は顕著になっていた。
本発明は、上記従来の表面抵抗測定装置の有する問題点に鑑み、渦電流発生部及び渦電流検出部の温度変動を抑えることによって、ライン速度の高速化等に対応でき、非接触で導電膜の表面抵抗値を高精度に連続測定することができる導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びこの表面抵抗測定装置を用いた導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置は、渦電流発生部及び渦電流検出部を導電膜に対して間隔をあけて設置し、非接触で導電膜の表面抵抗値を連続的に測定する導電膜用非接触式表面抵抗測定装置において、前記渦電流発生部及び渦電流検出部の近傍に電子加熱冷却素子を配設し、温度センサーによって測定した渦電流発生部及び渦電流検出部の温度に基づいて、前記電子加熱冷却素子に通電を行い、渦電流発生部及び渦電流検出部の温度制御を行うようにしたことを特徴とする。
この場合において、渦電流発生部及び渦電流検出部を、導電膜の同一面側に配設するようにしたり、導電膜を挟んで渦電流発生部と渦電流検出部が対向するように配設することができ、導電膜の同一面側に配設する場合には、例えば、温度センサーを渦電流検出部に配設し、渦電流発生部の温度センサーを省略する等、温度センサーの設置形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
また、前記温度センサーを渦電流発生部及び渦電流検出部の磁石部に非磁性材料を介して配設することができる。
また、前記非磁性材料に熱伝導率1W/(m・K)以上の樹脂材料を用いることができる。
また、上記表面抵抗測定装置を用いた本発明の導電膜の製造方法は、基板膜上に導電薄膜を連続的に形成する導電膜の製造方法において、上記導電膜用非接触式表面抵抗測定装置によって、導電薄膜を形成した導電膜の表面抵抗値をインラインで連続的に測定し、測定した表面抵抗値に基づいて、導電薄膜の形成条件を制御することを特徴とする。
また、前記測定した表面抵抗値に基づいて、スパッタリング部に導入する酸素量を制御することができる。
本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置によれば、渦電流発生部及び渦電流検出部の近傍に電子加熱冷却素子を配設し、温度センサーによって測定した渦電流発生部及び渦電流検出部の温度に基づいて、前記電子加熱冷却素子に通電を行い、渦電流発生部及び渦電流検出部の温度制御を行うことにより、予め設定した基準温度に渦電流センサーを温度調節することができる。そのため、渦電流発生部及び渦電流検出部の温度変動を抑えることができるので、ライン速度の高速化等に対応でき、非接触で導電膜の表面抵抗値を高精度に連続測定することができる。
ここで、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置に用いる電子加熱冷却素子は、高速半導体スイッチング方式を採用することによって、加熱・冷却操作が可能となり、導電膜の製造工程の雰囲気が実質的な真空中であっても、±0.1℃程度の温度制御の精度が実現でき、数時間以上にも及ぶ連続使用においても温度変動による測定値の変動が実質的に無視できるものとなる(図3参照)。
また、電子加熱冷却素子による温度調節方式は、水・蒸気・空気・熱媒等の媒体を循環させる温度調節ではないので、真空槽内にこれらの媒体が漏洩して設備トラブルを発生させるといった懸念がなく、異物の混入を避ける必要があるスパッタリング、金属蒸着等の導電膜の製造工程に好ましい方式であるといえる。
ここで、前記温度センサーを渦電流発生部及び渦電流検出部の磁石部に非磁性材料、好ましくは、熱伝導率1W/(m・K)以上の樹脂材料を介して配設することにより、信号ノイズを低減でき、測定精度を向上させることができるとともに、渦電流発生部及び渦電流検出部との温度分布が少なく、渦電流発生部及び渦電流検出部の現時点の温度を正確に検出することができる。
また、本発明の導電膜の製造方法によれば、上記導電膜用非接触式表面抵抗測定装置によって、導電薄膜を形成した導電膜の表面抵抗値をインラインで連続的に測定し、測定した表面抵抗値に基づいて、導電薄膜の形成条件、例えば、スパッタリング部に導入する酸素量を制御することができる。そのため、ライン速度を高速化しても非接触で導電膜の表面抵抗値を高精度に連続測定することができ、均一な表面抵抗値を有する高品質の導電膜を製造することができる。
このように、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置は、導電膜の製造工程において、表面抵抗値の工程管理、品質管理に利用でき、製膜時、表面抵抗値に変動が生じた場合、この情報を直ちに製造工程へフィードバックし、導電膜の表面抵抗値の変動を低減するように導電薄膜の形成条件の変更を行うことができるため、製品の歩留まりを向上させることができる。
さらに、製膜時における導電膜の幅方向及び長手方向の測定データから導電膜全面の表面抵抗値の管理ができるため、表面抵抗値分布の品質保証にも大きく寄与できる。
以下、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びこの表面抵抗測定装置を用いた導電膜の製造方法を図面に基づいて説明する。
図1〜図2に、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置の好適な実施態様を示す。
第1の実施態様を示す導電膜用非接触式表面抵抗測定装置は、図1aに示すように、高分子フィルム等の基板膜11上に導電薄膜12を形成した導電膜1に対して所定の設定間隔をあけて、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを製造工程の幅方向に1組又は複数組(n個)設置し、前記渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2B内に、微小な温度センサー3を磁石部に所定の設定間隔を設けて固定した構造を有している。なお、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bは、図1に示すように、導電膜1の一方の面側に渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを1組又は2組以上配置することができる。
なお、図1aに示すように、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを導電膜1の同一面側に配設する場合には、例えば、温度センサー3を渦電流検出部2Bに配設し、渦電流発生部2Aの温度センサーを省略する等、温度センサー3の設置形態は適宜変更することができる。
第2の実施態様は、図1bに示すように、導電膜1の一方の面側に渦電流発生部2Aを配置し、導電膜1の他方の面側に渦電流検出部2Bを配置することもでき、上記の場合と同様に、これを2組以上配置することもできる。この導電膜を非接触で挟み込むタイプの導電膜用非接触式表面抵抗測定装置の方が、渦電流の検出精度をより向上させることができる。このような予期せぬ効果が発現した明確な理由は不明であるが、磁気力線が通りやすいためと推測される。
ところで、導電膜1と渦電流センサー2の渦電流発生部2A又は渦電流検出部2Bとの設定間隔を広げると、導電膜1から渦電流センサー2への輻射熱による影響は小さくなるが、渦電流センサー2の感度が低下する。逆に、この設定間隔を狭くすると、渦電流センサー2の感度は向上するが、インライン(導電膜1が移動している状態)では、導電膜1がばたついて導電膜1と渦電流センサー2の渦電流発生部2A又は渦電流検出部2Bが接触し、導電膜1に傷が付くおそれがある。このため、導電膜1と渦電流センサー2との設定間隔は、通常2〜5mm程度、好ましくは、3〜5mm程度、さらに好ましくは、3.5〜4.5mm程度に設定することが望ましい。
そして、導電膜1の表面抵抗値の測定は、高周波を渦電流センサーアンプ22から渦電流センサーケーブル21を介して渦電流センサー2の渦電流発生部2Aに印加し、高周波誘導結合により導電膜1に渦電流を発生させるとともに、発生した渦電流の大きさを渦電流センサー2の渦電流検出部2Bにより検出し、渦電流センサーケーブル21を介して渦電流センサーアンプ22、さらに、コンピュータ5にデータ送信され、必要なデータ処理を行って、導電膜1の表面抵抗値を算出することにより行うようにしている。
なお、導電膜1に発生する渦電流の大きさと導電膜1の表面抵抗値との関係は、予め検量線を作成しておくことにより、導電膜1に発生する渦電流の数値から導電膜1の表面抵抗値を算出することができる。
そして、この渦電流センサー2は、渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの近傍に、電子加熱冷却素子4を配設し、温度センサー3によって測定した渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度に基づいて、電子加熱冷却素子4に通電を行い、渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度制御を行うことにより、予め設定した基準温度に渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを温度調節するようにしている。
このように、渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度変動を抑えることによって、後述のとおり、非接触で導電膜1の表面抵抗値を高精度に測定することができる。
温度センサー3は、温度センサーケーブル31を介して温度コントローラ32に接続され、また、電子加熱冷却素子4は、温度コントローラケーブル33を介して温度コントローラ32に接続される。
この場合、温度センサー3からの温度信号を温度センサーケーブル31を介して入力される温度コントローラ32は、電子加熱冷却素子4専用のもので、一般的なPID演算で操作量を算出し、温度コントローラケーブル33を介して、電子加熱冷却素子4に電力を供給して温度調節を行うようにする。
温度センサー3は、測温抵抗体、熱電対、サーミスタ、赤外線センサー等の温度測定素子を任意に用いることができるが、より高精度・高感度であるのが好ましく、測温抵抗体を好適に用いることができる。なお、この温度センサー3は、渦電流センサー2自体の温度の検出に用いるものであるため、熱容量の小さな微小な形状のもの、例えば、3mm×3mm×1mm以下、好ましくは、1mm×2mm×0.1mm以下のもの(例えば、Pt100Ω(薄膜白金測温抵抗体))が望ましい。
電子加熱冷却素子4は、加熱と冷却の両方の機能を有するものであれば、特に、その構造は限定されるものではないが、例えば、p型半導体とn型半導体を熱的に並列に配置し、電気的に直列に接続して電流を流すペルチェ素子を用いることができる。
図2に、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置を構成する渦電流センサー2の渦電流発生部2A(及び渦電流検出部2B)の構造を示す。渦電流検出部2Bの構造は、渦電流発生部2Aの構造と同じであるため、以下、渦電流発生部2Aについて説明する。なお、厳密に言えば、巻き線コイルが渦電流発生部、フェライト磁石が渦電流検出部である。
ここで、図1aに示すように、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを導電膜1の同一面側に配設する場合には、例えば、温度センサー3を渦電流検出部2Bに配設し、渦電流発生部2Aの温度センサーを省略することもできる。
この渦電流発生部2Aは、フェライトポット部24と、フェライトコア部25とからなり、フェライトコア部25にコイル26を巻き付けるようにしている。
温度センサー3は、本実施例においては、5個の温度センサー3A、3B、3C、3D、3Eを、フェライトポット部24とフェライトコア部25にそれぞれ形成された隙間に、フェライトポット部24及びフェライトコア部25に触れないように非磁性材料である樹脂材料(充填材料)23を用いて、配設、固定(モールド処理。なお、温度センサー3は、より具体的には、フェライトポット部24とフェライトコア部25に直接接触しないように被覆を付けて両面接着テープで貼着)するようにしている。
すなわち、渦電流センサー2の渦電流発生部2Aは、通常、フェライト磁石で構成されるので、温度センサー3をフェライト磁石の表面に接触させて固定すると、金属(例えば、温度センサー3として白金測温抵抗体を使用する場合には白金)を検出してしまい、測定誤差が生じる。このため、温度センサー3は、フェライトポット部24とフェライトコア部25にそれぞれ形成された隙間に、フェライトポット部24及びフェライトコア部25に触れない任意の位置に配設するようにする。なお、本実施例においては、渦電流発生部2Aの各部の温度分布を測定するために5個の温度センサー3A、3B、3C、3D、3Eを配設している。しかしながら、実際の装置においては、1個の温度センサーを、好ましくは、導電膜1からの輻射熱の影響を受けやすい渦電流発生部2Aの表面(図2(a)の下面)側の近傍位置に配設するだけでよい場合もある。
温度センサー3を固定する樹脂には、熱伝導性に優れたシリコン系、エポキシ系、オレフィン系、PPS系、スチレン系、イミド系等の熱伝導性樹脂を使用することができる。この熱伝導性樹脂の熱伝導率は、1W/(m・K)以上、好ましくは、1.5W/(m・K)以上であり、特に、2W/(m・K)以上(〜10W/(m・K))の高い熱伝導率を有する樹脂を好適に用いることができる。そして、充填時及び使用時の取扱性を考慮すると、シリコン系樹脂を用いることが特に望ましい。
フェライトポット部24の外周には、熱伝導性に優れた金属製ブロック、例えば、アルミニウム、銅等の金属製ブロック27のケースを配設する。この場合も、フェライトポット部24と金属製ブロック27の隙間に、同様の熱伝導性樹脂23を充填するようにする。
このように、渦電流発生部2Aの隙間に熱伝導性樹脂23を充填することにより、渦電流発生部2A内の温度分布を極めて少なくすることができる。
表1に、渦電流発生部2Aの隙間に熱伝導性樹脂23を充填した場合と、充填しない場合の渦電流発生部2Aの各部の温度分布を示す。
Figure 2008032618
表1に示す温度測定の結果から、渦電流発生部2Aの隙間に熱伝導性樹脂23を充填することにより、熱伝導性樹脂23を充填した方が、温度分布がより一層小さくなることがわかる。この結果から、フェライトコア部25とフェライトポット部24の間に熱伝導性樹脂23を充填した場合は、渦電流発生部2A内の温度分布を極めて少なくすることができ、実際の装置においては、1個の温度センサーを配設すれば足りることがわかる。
なお、本実施例においては、温度センサー3を、渦電流センサー2自体に取り付け、渦電流発生部2Aの隙間に熱伝導性樹脂23を充填することにより、一体構造として固定するというモールド処理を施し、これにより、温度分布を少なくし、その均一化を図ることによって、渦電流センサー2の温度検出の精度と応答性を向上させて、温度制御を行うようにしたが、電子加熱冷却素子4等の適宜箇所に温度センサー3を配設することで渦電流センサー2の温度制御を行うこともできる。
そして、この渦電流センサー2においては、フェライトポット部24の外周に熱伝導性に優れた金属製ブロック27のケースを配設し、その裏面に電子加熱冷却素子4を配設するようにしているため、渦電流センサー2全体の温度分布を少なくし、その均一化を図ることができる。
この場合、電子加熱冷却素子4の大きさは、金属製ブロック27の大きさに近いことが望ましい。
図3に、従来の渦電流センサーと本実施例の渦電流センサー2を用いた場合における、導電膜の製造時の渦電流センサーの温度の経時変化を示す。
導電膜の製造工程においては、チルロールで冷却された導電膜が、渦電流センサーの渦電流発生部及び渦電流検出部と僅かな隙間をあけて通過するために、導電膜からの輻射熱の影響で渦電流センサーの渦電流発生部及び渦電流検出部の温度は経時的に低下してくる。
渦電流センサーの渦電流発生部及び渦電流検出部は、その温度に応じて出力が変化する温度変動特性(数%/℃の温度ドリフト)を有しているため、温度変化がそのまま測定誤差となる。例えば、測定精度±3%を目標とすれば、製膜から1時間経過する時点で工程管理範囲外となってしまう。製膜時のライン速度が増大すれば、渦電流センサーの渦電流発生部及び渦電流検出部の温度の低下もそれだけ大きくなり、温度センサーの応答が遅れる。そのため、渦電流センサー2の現時点の温度を正しく検出できなくなる。その結果、渦電流の値の温度補正が十分できなくなり、温度変動による測定誤差の影響が顕著になってくる。
一方、本実施例の渦電流センサー2によれば、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを電子加熱冷却素子4によりの温度制御を行うようにしているので、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度の変動は±0.1℃以内に収まっていることがわかる。なお、この程度の温度変動の影響は、実際上無視できる。
図4に、従来の渦電流センサーと本実施例の渦電流センサー2を用いて製膜を行った場合の導電膜の表面抵抗値の経時変化を示す。
従来の渦電流センサーでは、製膜開始直後から経時的に表面抵抗値が上昇している。
渦電流センサーの温度と表面抵抗測定値との間には負の相関がある。ライン速度が3.6m/分のような高速になると、従来の温度補正による表面抵抗測定によるときは、±3%という高い測定精度を達成することは困難である。
一方、本実施例の渦電流センサー2では、製膜開始から終了まで、表面抵抗値がほぼ一定値を示しており、スパッタが開始され、導電膜が巻長方向にいつから堆積したかも判別できる。ちなみに、図4の例では、巻長20mから780mまでの導電膜が製品にできる。また、これにより、インラインでの工程監視が可能となる。
次に、上記導電膜用非接触式表面抵抗測定装置を用いた本発明の導電膜の製造方法について説明する。
本発明の導電膜の製造方法は、導電膜用非接触式表面抵抗測定装置によって、導電薄膜を形成した導電膜の表面抵抗値をインラインで測定し、測定した表面抵抗値に基づいて、導電薄膜の形成条件、例えば、スパッタリング部に導入する酸素量(酸素分圧)を制御するようにしたものである。
本発明の対象となる導電膜としては、通常、銅、すず、アルミニウム、酸化すず、酸化インジウム、酸化インジウム・酸化すず(ITO)、酸化亜鉛等からなる導電薄膜を、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、スプレー法等により、基板膜上に形成するようにしたものが一般的である。そして、この中でも、真空蒸着法やスパッタリング法は、導電薄膜の厚みが均一で、かつ導電膜の表面抵抗値が小さい導電膜が得られる方法として汎用されている。
なお、導電薄膜が金属酸化物のものは、金属酸化物を原料として製膜を行う方法と、金属を原料として、酸素と反応させながら製膜を行う方法とがある。例えば、酸化インジウム・酸化すず(ITO)からなる導電薄膜をスパッタリング法により形成する場合には、酸化インジウム・酸化すず(ITO)の焼結ターゲットを使用して製膜を行う方法と、インジウム・すず合金等の金属ターゲットを使用し、酸素と反応させながら製膜を行う方法、いわゆる、反応性スパッタリング法があり、ターゲットの作成や再生が容易なことや、成膜速度を早くすることができることから、後者の金属ターゲットを用いる方法が有利であるとされている。
以下、酸化インジウム・酸化すず(ITO)からなる導電薄膜をスパッタリング法により形成する場合を例にして、本発明の導電膜の製造方法を説明する。
図5に、本発明の導電膜の製造方法に用いる導電膜の製造装置の概略を示す。
この導電膜の製造装置は、巻出しロール61から送り出される基板膜11を、チルロール62に導くようにするとともに、チルロール62の下方位置において、チルロール62と対向して、所定の隙間をもってスパッタリングターゲット63を配置する。
スパッタリングターゲット63は、真空槽8外に設置したスパッタリング電源64によりプラズマ放電を発生させ、そのプラズマ中の陽イオンが負電極のターゲットに加速されてその表面を衝撃し、その衝撃によってターゲット物質が飛び出すようにする。
この飛び出したスパッタリング粒子を基板膜11上に堆積させて導電薄膜を形成する。
基板膜11上に導電薄膜12が形成された導電膜1は、対向して設置された渦電流センサー2を構成する渦電流発生部2Aと渦電流検出部2B間の隙間を通って巻取りロール65に巻き取られる。
渦電流センサー2は、本実施例においては、渦電流センサー2を構成する渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを対向して設置するようにしているが、導電膜1の一方の面側に渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを配置することもできる。なお、同一面側に渦電流発生部(コイル)2A及び渦電流検出部(磁石)2Bを配置させる場合、両者を1〜2mm程度の間隔で近づけることが重要である。
渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bは、導電膜1の幅方向に複数個を固定して配置してもよいし、1個を幅方向にスキャン(トラバース)させてもよい。
渦電流センサー2の前後には、導電膜1のテンションを保ち、鉛直方向の位置変動を少なくするために、渦電流センサー2のできるだけ近傍位置にテンションロール66、67を配設する。
上記巻出しロール61から巻取りロール65までの工程は、真空槽8内で行うようにする。真空槽8は、真空ポンプ等からなる排気機構(図示省略)を備え、所望の真空圧を得ることができるようにする。
また、スパッタリングでは、放電ガスにアルゴンガスを用いることが多いが、これらのガスは、ガス導入機構(図示省略)から導入するようにする。
渦電流センサー2を構成する渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの信号(電流)は、高周波であるため同軸ケーブルを介して真空フランジ77を通って真空槽8外に設置した渦電流センサーアンプ71との間で送受信される。
このとき、渦電流センサー2の渦電流発生部2Aに供給する電圧を一定にしておくことにより、導電膜1に流れる渦電流と導電膜1の表面抵抗値が逆比例することから、導電膜1の渦電流を検出することで表面抵抗値を求めることができる。
渦電流センサーアンプ71からの信号を演算部72で表面抵抗値に換算する。演算部72はパソコンが好ましいが、これに限定はされるものではない。演算部72から表面抵抗値がRS232C等の通信手段で制御部73に送信される。
制御部73は、プログラマブル・コントローラが好ましいが、これに限定はされるものではない。制御部73には、例えば、予め可変する酸素導入量を表示設定部74によりプログラムしておく。酸素導入量は、電磁弁76を開閉操作することにより制御することができる。
制御部73は前記プログラムに従い、酸素導入量を徐々に増加又は減少させるように操作部75に指令する。操作部75はマスフローコントローラ等で構成する。
この間の酸素導入量と表面抵抗値の関係を制御部73で作成する。
この導電膜の製造装置において、巻出しロール61から送り出される基板膜11は、チルロール62に導かれ、スパッタリングターゲット63により、酸化インジウム・酸化すず(ITO)からなる導電薄膜12がスパッタリング法により形成され、巻取りロール65によって巻き取られる。
チルロール62と巻取りロール65の間に設置した渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bから構成された渦電流センサー2により、リアルタイムで導電膜1の表面抵抗値の測定を行い、その測定結果に基づき、真空槽8内への酸素導入量(酸素分圧)を決定して、その量を制御する。
なお、応答性をより良くするため、導電薄膜12を形成するチルロール62の位置と、導電膜1の表面抵抗値の測定を行う渦電流センサー2の設置位置とは、できるだけ近接させることが好ましい。
ところで、スパッタリング電源64を入れ、真空槽8内に酸素を少しずつ導入していくと、導電膜1の表面抵抗値が変化する。
酸素導入量(酸素分圧)と表面抵抗値の関係は、図6に示すように、表面抵抗値が最小となるB点を1つ有する曲線になる。
なお、図6において、A点が予め設定された初期の酸素導入量であり、スパッタリング電源64を入れた時点である。連続的に酸素導入量を増加させていくとB点を経てC点に至る。この間、表面抵抗値がリアルタイムに取り込まれるので、表面抵抗値が最小となる点がB点であり、このときの酸素導入量が最適酸素導入量FOとなる。そこで、C点から酸素導入量を減少させてB点に戻す。最適酸素導入量FOが決定すれば、この設定値となるようにPID制御等で一定酸素量を導入する。
これは、酸素導入量(酸素分圧)を増加させると、導電薄膜組成が化学量論的な組成に近づき結晶学的欠陥が少なくなるためである。このため、キャリア電子の移動度は上昇する。他方、酸素空孔ドナーが減少し、キャリア密度は低下する。このキャリア電子の移動度とキャリア密度の兼合いにより、ある酸素導入量において表面抵抗値は最小値をとる。このときの酸素導入量が最適酸素導入量となる。実際の工業スケールでの量産成膜ラインでは、表面抵抗値の変化を少なくするために、前記最適酸素導入量の条件を設定して成膜を開始することが好ましい。
スパッタリング電源64の出力、成膜ライン速度、真空圧等の条件を一定とすれば、最適酸素導入量は固定できることが理想である。しかし、実際の成膜装置では、ターゲットの消耗・黒化や真空槽8内の水分率等の影響で、バッチ毎に最適な成膜条件が変化してしまうため、表面抵抗値の再現性が良くない。
ここでは、スパッタリング電源を入れてから酸素導入量を連続的に増加させ、そのときの導電膜1の表面抵抗値を渦電流センサー2によってリアルタイムで測定する。酸素導入量を連続的に増加させていくと、導電膜1の表面抵抗値は次第に低くなり、その後高くなるので、導電膜1の表面抵抗値の最小値R1を求めることができる。
酸素導入量の可変域は予め決めておく。最小値が決定すると、最適酸素導入量を制御して一定値に保ち、成膜条件が確定した時点で成膜を開始する。
なお、最適酸素導入量の決定は、上記のように自動で連続的に導入量を可変する以外に、予め決めておいた酸素導入量毎に表面抵抗値をプロットして最小値を求めるという手動で行う方法を採用することもできる。
以下、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びこの表面抵抗測定装置を、より具体的な実施例を用いて説明する。
渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bはフェライト磁石でフェライトポット部24とフェライトコア部25を構成して、コイルを巻いてフェライトコイルとした。コイル巻数はセンサー感度に応じて決定する。渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bと導電膜1との上下の設定間隔(センサーギャップ)は4mmとした。渦電流センサーアンプ22から高周波同軸ケーブルを使って3〜4MHzの高周波を印加した。前記印加周波数は渦電流センサー2の温度ドリフトと安定性から判断して決定する。また、製造プロセスの幅方向に複数個の渦電流センサー2を配置する場合は、相互干渉を少なくするために前記印加周波数は上記周波数範囲で各々変更することが望ましい。
基板膜として、2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績社製:A4100・厚み188μm)を用い、この表面にITO(三井金属鉱業社製、酸化すず10重量%含有)をターゲットとするスパッタリング機にて導電膜を連続的に製膜して、透明導電性フィルムロールを製造した。
渦電流センサー2を幅500mmの導電膜の幅方向に対し、中心部に1点、両端部から50mm内側に入ったところに各々1点、計3点配置した。上下1個ずつの渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bを1セットとして1点とした。ライン速度は3.6m/分で、このときの導電膜1の表面抵抗は目標値240Ω/□であった。
表面抵抗の測定値の表示、出力にパソコン(DELL社製:GX150)を用いた。幅方向の抵抗分布や長手方向のトレンド表示を行い、上下限警報機能を持たせた。
前記温度センサー3として薄膜白金測温抵抗体Pt100Ω(東邦電子社製:MO−5000Pt1632)を用いた。3線式で、規定電流1mA、使用温度0〜150℃、大きさ1×2mmの微小タイプである。前記温度コントローラはペルチェコントローラ(ダイトロンテクノロジー社製:DPC−100−P0250)を用いた。制御方式はデジタルPID制御で、設定分解能12ビット、測定分解能16ビット、制御出力最大5A、4Vである。温度制御の設定値はスパッタリング機設置の雰囲気温度近傍が望ましく、このときは25℃とした。電子加熱冷却素子4はサーモモジュール(フェローテック社製:6300/071/060A)を用いた。最大電流6A、最大吸熱量32W、最大温度差72℃、大きさ30mm角×厚さ4mmである。
渦電流センサー2を収納するアルミニウム製ケースは35mm角×厚さ10mmとし、渦電流センサー2との隙間にはシリコン系熱伝導性樹脂(電気化学工業社製:A−120H、商品名:ラムダイト)を充填してモールド処理した。熱伝導率は2W/(m・K)である。
そして、巻出しロールには基板膜として一方の面に接着改質層を有する高透明2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4100、厚さ188μm、幅500mm)のフィルムをロール状に巻き取ったものを用いた。薄膜を形成させるための合金材料として、酸化インジウム・すず(酸化すず含有量:5質量%)をターゲットとして用いた。成膜条件は真空圧0.4Pa、スパッタリング電源は出力2W/cmでDCマグネトロンスパッタリング電源とし、チルロールを冷媒により−10℃に冷却させ、前記巻出しロールから、一定張力を付与させながらライン速度1m/分で前記フィルム基板膜を送り出した。
渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bとして図2(a)、(b)に示すフェライト磁石を、ギャップ4mmでフィルムを挟込む形で設置し、渦電流センサー2の渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの温度は温度センサー(東邦電子社製MO−5000Pt1632)を用いて検知し、電子加熱冷却素子(フェローテック社製6300/071/1060A)により、25℃±0.1℃に制御した。渦電流発生部2A及び渦電流検出部2Bの前後にはテンション保持用のロール(100mmφ)を配し、フィルムシートが上記ギャップ中心を通るように設定した。フェライトコイルへの印加周波数は3.7MHzで75Ω同軸ケーブルにて真空槽内を配線した。真空フランジはICF70(12芯導入端子)を使用し、シールド線はフランジコネクタにて接地させた。巻取りロールはACサーボモータにより張力制御をさせた。
フェライト磁石の信号変換・増幅には高周波(RF)アンプを用いて、DC5Vの直流信号にする。演算部にパソコン(DELL社製 Optiplex GX150)を使用してRS232C通信にて表面抵抗値データを制御部に送信した。制御部はプログラマブル・コントローラ(シーケンサ)で三菱電機社製 A3SCPUを使った。表示部・設定部はタッチパネル(デジタル社製 GP2600−TC11)を使い、操作部はマスフローコントローラ(エステック社製 SEC−400MK3 20sccm)を使った。
酸素導入量と表面抵抗値の具体的な関係を図7に示す。
図7において、初期の酸素導入量は5.5sccmであり、そのときの導電膜の表面抵抗値は660Ω/□であった。0.5sccmずつ酸素導入量を増加させて、表面抵抗値をプロットすると、9sccmまで酸素導入量を変更すると、表面抵抗値は410Ω/□で最小となった。よって最適酸素導入量(FO)は7.2sccmであった。このFOを酸素導入量設定値として成膜を開始したところ、長手方向にも幅方向にも安定した表面抵抗値を有する導電膜を製造することができた。
以上、本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及び導電膜の製造方法について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置及びこの表面抵抗測定装置を用いた導電膜の製造方法は、渦電流発生部及び渦電流検出部の温度変動を抑えることによって、ライン速度の高速化等に対応でき、非接触で導電膜の表面抵抗値を高精度に測定することができるため、ライン速度が1m/分を超える高速スパッタ製膜における数時間にも及ぶ長時間の導電膜の製膜でも、安定して導電膜の表面抵抗値を非接触にてインライン測定できる。
そして、この非接触式インライン表面抵抗測定の技術は導電膜の製造プロセスにおける表面抵抗の工程管理、品質管理に利用できる。例えば、導電膜を製膜時、表面抵抗に変動が生じた場合、この情報を直ちに工程へフィードバックし、表面抵抗の変動を低減するように条件変更を行うことができるため、製品の歩留まりを向上させることができる。さらに製膜時における導電膜の幅方向及び長手方向の測定データから導電膜全面の表面抵抗値の管理ができるため、表面抵抗分布の品質保証にも大きく寄与できる。
本発明において、導電膜の同一面側に、導電膜とは間隔をあけて、渦電流発生部及び渦電流検出部が配設された導電膜用非接触式表面抵抗測定装置の実施形態を示す説明図である。 本発明において、導電膜を挟んで、導電膜とは間隔をあけて、渦電流発生部と渦電流検出部が対向するように配設された導電膜用非接触式表面抵抗測定装置の実施形態を示す説明図である。 本発明の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置を構成する渦電流センサーの渦電流発生部(渦電流検出部)を示し、(a)は断面図、(b)は底面図である。 従来の渦電流センサーと本発明の実施例の渦電流センサーの製膜中の温度の経時変化を示すグラフである。 従来の渦電流センサーと本発明の実施例の渦電流センサーを用いて製膜を行った場合の導電膜の表面抵抗値の経時変化を示すグラフである。 本発明の導電膜の製造方法に用いる導電膜の製造装置を示す概略図である。 酸素導入量と表面抵抗値の関係を示す説明図である。 酸素導入量と表面抵抗値の関係を示す具体的な説明図である。
符号の説明
1 導電膜
11 基板膜
12 導電薄膜
2 渦電流センサー
2A 渦電流発生部
2B 渦電流検出部
21 渦電流センサーケーブル
22 渦電流センサーアンプ
23 熱伝導性樹脂
24 フェライトポット部
25 フェライトコア部
26 コイル
27 金属製ブロック
3、3A、3B、3C、3D、3E 温度センサー
31 温度センサーケーブル
32 温度コントローラ
33 温度コントローラケーブル
4 電子加熱冷却素子
5 コンピュータ
61 巻出しロール
62 チルロール
63 スパッタリングターゲット
64 スパッタリング電源
65 巻取りロール
66 テンションロール
67 テンションロール
71 渦電流センサーアンプ
72 演算部
73 制御部
74 表示設定部
75 操作部
76 電磁弁
77 真空フランジ
8 真空槽

Claims (5)

  1. 渦電流発生部及び渦電流検出部を導電膜に対して間隔をあけて設置し、非接触で導電膜の表面抵抗値を連続的に測定する導電膜用非接触式表面抵抗測定装置において、前記渦電流発生部及び渦電流検出部の近傍に電子加熱冷却素子を配設し、温度センサーによって測定した渦電流発生部及び渦電流検出部の温度に基づいて、前記電子加熱冷却素子に通電を行い、渦電流発生部及び渦電流検出部の温度制御を行うようにしたことを特徴とする導電膜用非接触式表面抵抗測定装置。
  2. 前記温度センサーを渦電流発生部及び渦電流検出部の磁石部に非磁性材料を介して配設したことを特徴とする請求項1記載の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置。
  3. 前記非磁性材料に熱伝導率1W/(m・K)以上の樹脂材料を用いたことを特徴とする請求項2記載の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置。
  4. 基板膜上に導電薄膜を連続的に形成する導電膜の製造方法において、請求項1、2又は3記載の導電膜用非接触式表面抵抗測定装置によって、導電薄膜を形成した導電膜の表面抵抗値をインラインで連続して測定し、測定した表面抵抗値に基づいて、導電薄膜の形成条件を制御することを特徴とする導電膜の製造方法。
  5. 前記測定した表面抵抗値に基づいて、スパッタリング部に導入する酸素量を制御することを特徴とする請求項4記載の導電膜の製造方法。
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