JP2008032051A - ボルトの締結構造 - Google Patents

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Fumitaka Saigou
史隆 西郷
Tomonori Honma
友範 本間
Hideki Muramatsu
秀喜 村松
Kenichi Hori
健一 堀
Tomoya Hara
智弥 原
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Nissan Motor Co Ltd
Sannohashi Corp
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】シール材を用いることなく、締結作業を行うのみで液圧経路を容易に分割することができる、ボルトの締結構造の提供を目的とする。
【解決手段】ボルトの他端に圧入部を設け、前記圧入部のねじ底径を雌螺孔の被圧入部のねじ山径より大きく形成することにより、ボルトの締結完了時において前記圧入部のねじ底径又は被圧入部のねじ山径のうち何れか一方或いは両方を塑性変形させてシール性を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、単数或いは複数の被締結部材を締結するためのボルトの締結構造に関するものである。
中空形状を持つ部品の締結構造において、前記中空形状の内部の液圧経路を分割したい場合がある。例えば、カムシャフトと歯車とをボルトによって締結する際には、カムシャフトの口元は、オイルの流通を確保するための導通部を形成することが求められ、前記締結構造に用いられるボルトの軸端部付近は、オイルの流通を遮断するためのシール部を形成することが求められる。
このような場合、従来の対策としては、図5(a)に示すように前記導通部におけるカムシャフト93の内径の一部をボルト91の外径以上の内径とすること、又は、締結完了後に当該流通路95を形成するボルト91の一部分の内径を小さくしておくこと、即ちボルト91の外径とカムシャフト93内部の内径との差を意図的に設けることによって、前記導通路における流通経路を確保しておくことが一般的に知られている。
なお、前記締結構造におけるシール部分は、ボルト91の外径と、カムシャフト93の内径がちょうど螺合するように形成しておくことが一般的である。しかし、螺合が完了しても、ボルト91とカムシャフト93との間には微少な間隙が生じるため、図5(b)に示すように、螺合前に予めシール材96をカムシャフト内部に塗布しておき、当該間隙をシール材によって埋めることにより、シール性を確保していた。
特開2006−16648号公報
しかしながら、前記シール材を用いることによるシール性の確保は、以下のような問題があった。
(1)シール材剥離による、導通部への異物混入の問題
シール材を被締結部材に塗布した後にボルトを螺合すると、シール性は確保されるものの、前記被締結部材の口元でシール材が削られ、剥離した余剰のシール材が前記カムシャフトの導通部に設けた間隙に流れ込み、流体中の異物として分散するおそれがあった。
(2)シール材塗布による、コスト悪化の問題
シール材を塗布するための作業工程の増加や、締結完了後の異物混入の有無のチェックなどによって作業効率が悪化し、部品コストの低減に限界を引き起こしていた。
従って、本発明の目的は、ボルトと被締結部材の締結構造において、シール材を用いることなく、締結作業を行うのみで液圧経路を容易に分割することができる、ボルトの締結構造の提供を目的とする。
そこで、上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、雌螺孔が穿設してある被締結部材と、前記雌螺孔に螺合可能なボルトと、からなるボルトの締結構造において、前記ボルトは、一端に頭部、他端に圧入部、前記頭部と圧入部との間に雄ねじ部を有し、前記雌螺孔は、ボルトの締結完了時において、前記雄ねじ部に螺合されるとともにねじ山の頂部が欠損してある雌ねじ部と、前記圧入部に螺合される被圧入部とを有し、前記圧入部のねじ底径は、前記被圧入部のねじ山径より略大きく形成してあり、ボルトの締結完了時において前記圧入部のねじ底径又は被圧入部のねじ山径のうち何れか一方或いは両方を塑性変形して、互いを密着させたシール部を形成してあるとともに、前記雌ねじ部のねじ山と前記雄ねじ部のねじ底との間に生じる間隙を用いて、導通部を形成してあることを特徴とする、ボルトの締結構造を提供するものである。
また、本願の第2発明は、前記被締結部材に、前記導通部に連通可能な流路を形成してあることを特徴とする、本願の第1発明に記載のボルトの締結構造を提供するものである。
また、本願の第3発明は、前記シール部と導通部の配置位置を、前記ボルトの軸方向に入れ替えたことを特徴とする、本願の第1発明又は第2発明に記載のボルトの締結構造を提供するものである。
また、本願の第4発明は、前記圧入部のねじ底径を当該圧入部のねじピッチの0.4倍以上とすることを特徴とする、本願の第1発明乃至第3発明の何れかに記載のボルトの締結構造を提供するものである。
本発明のボルトの締結構造によれば、次のような効果のうち、少なくとも一つを得ることができる。
(1)シール材の塗布工程が不要である。
被締結部材の非圧入部のねじ山が、前記圧入部のねじ底によって押圧されることにより、前記被圧入部或いは圧入部の一部或いは双方が塑性変形することにより、シール材を予め塗布することなく、被圧入部と圧入部を密着させることができる。
したがって、ボルトを締結するのみで容易に被締結部材の雌螺孔内の液圧経路を分割することができる。
また、前記シール材の塗布を不要とできるため、生産能率が向上し部品コストを1割程度削減することができる。
(2)締結構造の特性が向上する。
前記シール剤の塗布が不要となったことで、ボルト締結時のシール剤の剥離そのものが無くなったため、液圧経路に異物が混入することが低減し、動作不良を引き起こす問題が無くなった。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
<1>全体構成
本発明に係るボルトの締結構造は、図に示すように、ボルト1と、被締結部材2、3と、からなり、締結完了時にシール部A、導通部Bを形成してなる。
なお、図1にあっては、カムシャフトと歯車とをボルトで締結する例を示しているため、被締結部材が2種存在するが、本発明の締結構造は、被締結部材の点数に限定されるものではなく、一部材であってもよい。
<2>ボルト1
ボルト1は、一端には頭部11、他端に圧入部13、前記頭部11と圧入部との間に雄ねじ部12を有する。
即ち、頭部と隣接する一端に雄ねじ部12、前記雄ねじ部12に隣接する位置に圧入部13とを有している。
雄ねじ部12と圧入部13のねじ山径R1は、同径あるいは略同径に形成するとともに、圧入部13のねじ底径R2は、後に説明する被締結部材2の被圧入部212のねじ山径R3よりやや大きく形成されている。
<3>被締結部材2
被締結部材2は、ボルト1の挿入孔である雌螺孔21と、前記雌螺孔21に連通するオイルの注入孔である流路22を有する。
雌螺孔21は、ボルト1との締結完了時における、前記雄ねじ部12と螺合する位置に雌ねじ部211、前記圧入部13と螺合する位置に、被圧入部212とを有する。
流路22は、雌ねじ部211の内周面に開口が設けられるように設ける。
被圧入部212及び雌ねじ部211のねじ底径R4は、同径あるいは略同径に形成するとともに、雌ねじ部211のねじ山は頂部をカットすることにより、前記ボルトの圧入部13のねじ底が螺合時に緩衝しないように形成される。
<3>シール部Aにおけるねじ径の関係
シール部Aは、締結完了時における、前記圧入部13と前記被圧入部211との螺合構造によって形成される。図2(a)に、図1におけるシール部Aの部分拡大図を示す。
圧入部13のねじ山径R1は、被圧入部212のねじ底径と同径あるいは略同径とすることにより、一般的な螺合構造を呈している。
一方、圧入部13のねじ底径R2は、被圧入部212のねじ山径R3より、若干大きく形成されているため、ボルト1の螺合時には前記圧入部13のねじ底により被圧入部212の内周面のねじ山を圧入し、前記圧入部13のねじ底又は被圧入部212のねじ山の何れか一方或いは両方を強制的に塑性変形させる。
したがって、前記塑性変形によって圧入部13と被圧入部212とが密着されて間隙を埋め、良好なシール性を得ることができる。
圧入部13のねじ底係数RとねじピッチPとの関係は、R=0.4P以上であることがより望ましい。下記の表1に示すように、当該係数以上のねじ底径を有することであらゆる呼び径、ピッチを持つボルトであっても、被圧入部212と確実に干渉して塑性変形を生ずることができる。
なお、本実施例においては、圧入部13が複数ピッチにわたって連続的に設けられているが、他にも導通部Bとの境界上に単数ピッチのみ設けたり、当該単数ピッチの圧入部13を断続的に設けてもよい。すなわち、所望のシール性が得られることを前提として種々の実施例が考えられる。
<4>導通部Bにおけるねじ径の関係
導通部Bは、締結完了時における、前記雄ねじ部12と前記雌ねじ部211との螺合構造によって形成される。図3に、図1における導通部Bの拡大図を示す。
雄ねじ部12のねじ山の外径R1と、雌ねじ部211のねじ底径は同径か略同径であるため、一般的な螺合構造を呈している。
なお、前記説明したように、雌ねじ部211のねじ山の頂部がカットしてあるため、ボルトの螺合時に前記圧入部13のねじ底が干渉しないようになっている。すなわち、雌ねじ部211の欠損部2111の径R5が圧入部のねじ底の径R2より大きくなるように形成されている。
欠損部2111の形成は、螺合前に予めカットしておいても良いし、ボルトの圧入部13をセルフタップ化したものによって行っても良い。
なお、カットされた頂部の部分は、締結完了時には、雄ねじ部のねじ底との間の間隙4となるため、流路からオイルが注入された際の導通路となる。
なお、図3に示すように、本発明に係るシール部Aと導通部Bをボルトの軸方向に対して、入れ替えることもできる。
すなわち、ボルトは、一端を頭部11、他端を雄ねじ部12、前記頭部11と雄ねじ部12との間を圧入部13と形成するとともに、被締結部材の雌螺孔も、ボルト1を挿入する口元から奥に向かって被圧入部212、雌ねじ部12を有することとなる。
この場合、前記ボルト1の圧入部13は、締結途中において前記欠損部211を経由することなく締結されるため、欠損部211を形成する際に、前記圧入部のねじ底の径R2を考慮する必要は無いことは明らかである。
また、図4に示すように、導通部Bを挟みこむようにシール部A1、A2を配置してもよい。
この場合、前記シール部A1側からボルト1を挿入する際に、締結完了時においてシール部A2を形成する圧入部13Aが前記シール部A1の通過時に干渉しないように、被圧入部212A、212Bのねじ山の径を調整しておくことは言うまでもない。
加えて、本発明のボルトの締結構造は、カムシャフトと歯車との締結構造を実施例として示したが、本発明は先に述べた実施例に制限されることなく、一般的なボルト先端部にシール性機能を必要とする部位への締結にも応用が可能である。
本発明の実施例1の説明図。 本発明の実施例1の部分拡大図。 本発明の実施例2の部分概略図。 本発明の実施例3の部分概略図。 従来技術の説明図。
符号の説明
1 ボルト
11 頭部
12 雄ねじ部
13、13A、13B 圧入部
2、3 被締結部材
21 雌螺孔
211、211A、211B 雌ねじ部
212 被圧入部
4 間隙
A、A1、A2 シール部
B 導通部
1 雄ねじ部・圧入部のねじ山径
2 圧入部のねじ底径
3 被圧入部のねじ山径
4 雄ねじ部のねじ底径
5 雌ねじ部の欠損部の径
91 ボルト
92 歯車
93 カムシャフト
94 流路
95 導通路
96 シール材

Claims (4)

  1. 雌螺孔が穿設してある被締結部材と、前記雌螺孔に螺合可能なボルトと、からなるボルトの締結構造において、
    前記ボルトは、一端に頭部、他端に圧入部、前記頭部と圧入部との間に雄ねじ部を有し、
    前記雌螺孔は、ボルトの締結完了時において、前記雄ねじ部に螺合されるとともにねじ山の頂部が欠損してある雌ねじ部と、前記圧入部に螺合される被圧入部とを有し、
    前記圧入部のねじ底径は、前記被圧入部のねじ山径より略大きく形成してあり、
    ボルトの締結完了時において前記圧入部のねじ底径又は被圧入部のねじ山径のうち何れか一方或いは両方を塑性変形させて互いを密着させたシール部を形成してあるとともに、前記雌ねじ部のねじ山と前記雄ねじ部のねじ底との間に生じる間隙を用いて、導通部を形成してあることを特徴とする、
    ボルトの締結構造。
  2. 前記被締結部材に、前記導通部に連通可能な流路を形成してあることを特徴とする、請求項1に記載のボルトの締結構造。
  3. 前記シール部と導通部の配置位置を、前記ボルトの軸方向に入れ替えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のボルトの締結構造。
  4. 前記圧入部のねじ底径を当該圧入部のねじピッチの0.4倍以上とすることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のボルトの締結構造。
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