JP2008029911A - 骨炭洗浄排水の処理方法 - Google Patents

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貴光 大類
Tsutomu Kanzawa
力 神澤
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康徳 内田
Chiku Sakae
築 栄
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Abstract

【課題】複雑な工程を経ることなく、簡単な設備で骨炭洗浄排水を再生処理して循環再利用できる骨炭洗浄排水の処理方法を提供する。
【解決手段】糖液の骨炭脱色処理工程において、骨炭の再生時に発生するカルシウムを多量に含む洗浄排水を回収して前記工程内で再利用するための骨炭洗浄排水の処理方法であって、前記洗浄排水に含まれる骨炭の破砕粉粒を分級ろ過および遠心力で分離し、その後に陽イオン交換樹脂を充填したイオン交換樹脂塔で処理して、処理水を前記工程での洗浄に再利用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、糖液の精製工程で用いられる骨炭を再生する際に発生する洗浄排水を処理する骨炭洗浄排水の処理方法に関するものである。
従来、製糖工場では、糖液の精製工程において濾過助材として水酸化カルシウムが使用され、炭酸ガスと反応させて得られる炭酸カルシウムに糖液中の不純物を取り込み、この不純物含有の炭酸カルシウムをろ過機でろ過して糖液中より不純物を除去している。ろ過後の糖液(ろ過液)には、炭酸カルシウムに取り込まれなかった主に着色の原因となる不純物と炭酸カルシウムにならなかったカルシウム分が多く含まれている。そこで、前記ろ過液は骨炭を充填した骨炭槽に通液して糖液中の着色の原因となる物質とカルシウムとを骨炭に吸着させて除去する操作を行っている。そのために、骨炭槽に糖液を通液しつづけると、骨炭の吸着能力が低下するので、通液を中止して骨炭の再生を行っている。
前記骨炭の再生は、骨炭を骨炭槽から洗浄装置へ移送し、水により揉み洗いして吸着された着色物質やカルシウムを遊離させ、その後に焼成炉で再焼することにより吸着能力を回復させ、再生する方法をとっている。前記洗浄装置への骨炭の移送および揉み洗いには大量の洗浄用水が使用され、またそれにより洗浄排水も大量に発生する。この洗浄排水には骨炭の破砕粒や遊離した着色物質などが多く含まれているので、そのまま工場外に排出したり、工程内で再利用することができない。
このような事情から前記骨炭の洗浄排水は、精糖工程から排出される排水とともに、通常の排水処理装置で規定の水質に処理した後、工場外へ放流している。この骨炭の洗浄排水には骨炭の破砕粒や糖分が含まれており、また排出量も工場での排水処理装置による処理量のほぼ半分を占めており、排水処理装置への負担が大きくなっている。そこで、骨炭洗浄排水の再利用技術としてろ過装置と逆浸透膜処理などとの組合せにより骨炭洗浄排水中の着色原因物質やカルシウムなどを除去する試験が行われてきた。
しかしながら、ろ過装置は骨炭の破砕粒や含まれている糖分などのSSによってろ過材が目詰まりを起こし易く、ろ過能力を維持するために頻繁に逆洗浄を行う必要がある。この逆洗浄には洗浄水を大量に使用し、それに伴い排水も大量に発生するという問題がある。
また、逆浸透膜は処理能力に限界があり、大量の骨炭洗浄排水を回収再利用するためには、装置の規模が大きくなり、広大な設置スペースと厖大な設備費用が必要であり、膜などの消耗部品も高価であることから、能力の維持管理に高額な費用が発生するという問題がある。なお、これら装置により再生された再生水は、純水並みの水質であり、工程内のどの部分においても使用可能であるが、プロセス用水として使用するには衛生的な面から薬液による殺菌処理が必要である。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、複雑な工程を経ることなく、簡単な設備で骨炭洗浄排水を再生処理して循環再利用できる骨炭洗浄排水の処理方法を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、本発明による骨炭洗浄排水の処理方法は、
糖液の骨炭脱色処理工程において、骨炭の再生時に発生するカルシウムを多量に含む洗浄排水を回収して前記工程内で再利用するための骨炭洗浄排水の処理方法であって、
前記洗浄排水に含まれる骨炭の破砕粉粒を分級ろ過および遠心力で分離し、その後に陽イオン交換樹脂を充填したイオン交換樹脂塔で処理して再利用することを特徴とするものである(第1発明)。
前記発明において、前記骨炭の破砕粉粒の分級ろ過および遠心力による分離処理は、メッシュフィルターを用いて破砕粒を、遠心分離装置を用いて粉粒を、それぞれ分離するものであるのがよい(第2発明)。前記メッシュフィルターによる分離では、静止状態のフィルター上に被処理洗浄排水を供給流動させて破砕粒を分離させるようにするのがよい(第3発明)。
前記第1発明〜第3発明のいずれかにおいて、前記イオン交換樹脂塔で処理された処理水を、骨炭の洗浄水として再利用するのがよい(第4発明)。
本発明によれば、骨炭の再生時に生じる洗浄排水中に混在する骨炭の破砕粒や微粉(粉炭)およびカルシウムなどが、その性状に対応する分離手段を使用して分離されるので、処理量が多くとも簡単に処理回収することができ、その処理回収した水を骨炭の再生工程に戻して再利用することにより、排水設備費を著しく低減することができる。しかも、処理水を再利用することによりランニングコストの低減と系外への排出量を少なくして環境改善の向上を図ることができるという効果を奏するのである。
また、第2発明ならびに第3発明によれば、使用するフィルターを静止状態に維持して被処理洗浄排水をフィルター上面に供給流動させることにより、目詰まりを防止して多量の処理を行っても、維持管理を容易にするという利点がある。
また、第4発明によれば、前記過程で処理された処理水を骨炭の洗浄水のみとして利用することで、水質の管理項目を処理水に残留するカルシウム分に絞ることができるので、水質の管理が容易になり、粉炭の除去装置(遠心分離装置)において粉炭とともに排出される水と作業工程で蒸発した分の水を補給するだけで循環して利用でき、用水の節約にも繋がるという効果を奏する。
次に、本発明による骨炭洗浄排水の処理方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には本発明の一実施形態に係る骨炭洗浄排水の処理方法による処理工程概要図が示されている。本実施形態は糖液の骨炭脱色処理工程において、骨炭の再生時に発生するカルシウムを多量に含む洗浄排水を処理する処理工程に適用されたものである。
この洗浄排水の処理工程では、骨炭の洗浄装置において発生した洗浄排水が骨炭洗浄排水受入れ槽1に一旦貯留され、ポンプ8aによって一定の流量でメッシュフィルター2(本発明の分級ろ過に対応する)へ送られる。
このメッシュフィルター2は、静止状態の篩面(スクリーン)上に前記ポンプにより洗浄排水を供給して流動させて含有固形分を篩分ける装置であり、面積あたりの処理流量が20〜30m/m・hrであるのが望ましい。このメッシュフィルター2によって分離された篩上の固形分(主として骨炭の破砕粒)は、篩上から掻き落されて回収槽3に集められ、系外に排出される。そして、篩によってろ過された排水は、液受槽4に受入れられた後、ポンプ8bにて遠心分離装置5へ送られる。なお、このメッシュフィルター2においては、送り込まれる被処理排水(洗浄排水)を静止状態で傾斜配置されているスクリーン上に上方から供給されて、そのスクリーン面を流下する間に固形分(骨炭の破砕粒など)が篩分けられ、スクリーンを通過した被処理水のみが液受槽4に受入れられるので、目詰まりの発生が少なく、ろ過作用を継続的に行うことができるのである。
前記遠心分離装置5は、小さな液体サイクロン素子を160〜240個集合させて構成されたものであり、前記各液体サイクロン素子で一斉に遠心力によって分級処理され、被処理排水中の粉炭(骨炭の破砕粉)の濃縮された濃縮液と粉炭のごく少ない清澄液に分離されるようになっている。
この遠心分離装置5で濃縮された濃縮液は、そのまま系外に排出され、清澄液は受槽6に受入れたあと、ポンプ8cにて一定の流量でイオン交換樹脂塔7の上部に送られる。このイオン交換樹脂塔7には強酸性陽イオン交換樹脂が充填使用されている。このイオン交換樹脂塔7内を流下する間においてイオン交換処理された処理水は、そのまま取り出されて骨炭の再生工程に送られ、骨炭の洗浄装置において洗浄処理に使用される。なお、前記受槽6でのオーバフロー液は液受槽4に戻される。
こうして、本実施形態の洗浄排水の再生処理工程では、骨炭の洗浄装置において発生する洗浄排水から、メッシュフィルター2と遠心分離装置5とを段階的に使用して、合理的に排水中に含まれる固形分を取除いた後、イオン交換樹脂塔7でイオン交換処理を行うことにより、殆どの排水を洗浄用水として再生することができる。したがって、前記洗浄排水は、その処理工程で固形分の分離除去に伴う付着水としての減少と、操作中に生ずる水の蒸発分とを新たな用水の補充によって骨炭の洗浄用水として循環使用することができる。
また、この洗浄排水の再生に際しては、イオン交換樹脂を強酸性陽イオン樹脂とすることで、樹脂の再生時に発生する酸性廃液を、工場内の他の工程で発生するアルカリ性排水を用いて混合し、中和させることができ、特別な処理装置を必要としないという利点がある。さらに、処理された処理水は、そのまま骨炭の洗浄用水として使用することにより、水質の管理項目として処理水に残留するカルシウム分に絞ることで水質管理が容易になるという利点がある。もちろん、工場外への排水量を著しく削減できるので環境汚染の防止を図ることができる。
前記骨炭の洗浄排水処理工程で用いられたメッシュフィルターによる固形分の分離操作以後の処理についての実施例を示す。
遠心分離装置に供給される被処理排水は、この遠心分離装置の入口圧力が5.0kg/cmのとき、濃縮液と清澄液の比は1:1.5〜2.0であった。また、遠心分離前後の水質は表1で示されるように、浮遊物質(SS)が分離前120〜130mg/L、分離後45〜85mg/Lとなった。
Figure 2008029911
また、イオン交換樹脂として強酸性陽イオン交換樹脂を使用したイオン交換樹脂塔における通液速度SVとして4〜6m/secで通液し、イオン交換樹脂塔の通液前後における水質の含有カルシウム分を確認した。この確認結果は表2で示される。これらの値から、含有カルシウム(CaCo)量で比較すると、通液前が100〜300mg/L、通液後が0〜10mg/Lであった。
Figure 2008029911
本実施形態の骨炭洗浄排水の回収再利用設備を用いたところ、廃水処理設備での処理水量は、回収再利用設備を使用する前の排水処理原単位(溶糖量1tあたりの排水処理量)3.0〜3.5m/tが、2.0〜2.5m/tへ減少した。また、プロセス用水の使用量原単位も同様に、5.0〜5.5m/tが4.0〜4.5m/tへ減少した。
このように、本実施形態の洗浄排水処理方法によれば、簡単な設備で安価に骨炭の洗浄排水を再生処理し、再び骨炭の洗浄用水として循環再利用できるのである。
本発明の一実施形態に係る骨炭洗浄排水の処理方法による処理工程概要図
符号の説明
1 骨炭洗浄排水受入れ槽
2 メッシュフィルター
4 液受槽
5 遠心分離装置
6 清澄水の受槽
7 イオン交換樹脂塔
8a,8b,8c ポンプ

Claims (4)

  1. 糖液の骨炭脱色処理工程において、骨炭の再生時に発生するカルシウムを多量に含む洗浄排水を回収して前記工程内で再利用するための骨炭洗浄排水の処理方法であって、
    前記洗浄排水に含まれる骨炭の破砕粉粒を分級ろ過および遠心力で分離し、その後に陽イオン交換樹脂を充填したイオン交換樹脂塔で処理して再利用することを特徴とする骨炭洗浄排水の処理方法。
  2. 前記骨炭の破砕粉粒の分級ろ過および遠心力による分離処理は、メッシュフィルターを用いて破砕粒を、遠心分離装置を用いて粉粒を、それぞれ分離するものである請求項1に記載の骨炭洗浄排水の処理方法。
  3. 前記メッシュフィルターによる分離では、静止状態のフィルター上に被処理洗浄排水を供給流動させて破砕粒を分離させるようにする請求項2に記載の骨炭洗浄排水の処理方法。
  4. 前記イオン交換樹脂塔で処理された処理水を、骨炭の洗浄水として再利用する請求項1〜3のいずれかに記載の骨炭洗浄排水の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012077698A1 (ja) * 2010-12-09 2012-06-14 東レ株式会社 濃縮糖水溶液の製造法
CN106277606A (zh) * 2016-08-30 2017-01-04 吉林省中天环境工程有限公司 一种高效环保式污水处理净化设备

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