JP2008028833A - 半導体集積回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力信号経路に余計な回路が追加されることがなく且つトランジスタの特性劣化を引き起こすバイアス条件を回避する半導体集積回路。
【解決手段】基板とソースを接続した差動対PMOSFETと、そのソース側に接続された定電流源回路と、を備えた半導体集積回路であって、定電流源回路が省電力モードで遮断されているときに、PMOSFETのゲートとソースとの間に、ソースにゲート電圧を印加する短絡回路を設けること。また、短絡回路は半導体スイッチ(S1,S2)とANDゲート(A1,A2)からなり、半導体スイッチの端子がPMOSFETのゲートとソースにそれぞれ接続されるとともに、半導体スイッチのゲート電極がANDゲートの出力に接続され、ANDゲートの一方の入力は省電力モード信号又は入力信号(INP)が入力され、他方の入力はPMOSFETのゲート信号が接続されること。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体集積回路に係わり、特に、差動対PMOSを用いた演算増幅器、比較器、電流源セル等のアナログ回路に関する。
従来、演算増幅器や比較回路等の差動対トランジスタを用いるアナログ回路において、この差動対トランジスタの特性マッチングが回路の性能に大きく左右する。このため、これらトランジスタの設計に当たってはミスマッチを起こし難いようにサイズ設計、レイアウトパターン設計を行う。しかしながら、近年、MOSトランジスタのゲート電極と基板(バックゲート)との間の電位差ストレスと熱ストレスによりトランジスタの特性劣化(閾値電圧や飽和電流等の変化)が報告されている。また、特にPMOSにおいてその特性劣化が顕著である。バイアス電圧条件によってゲート電圧が基板電圧よりも低い場合をNBTI(Negative Bias Temperature Instability)と呼ばれ、逆の場合はPBTI(Positive Bias Temperature Instability)と呼ばれている。
一般に、NBTIのストレス条件は論理回路等の通常状態での回路動作のストレス条件であるが、アナログ回路や消費電力削減のため、部分的に回路を停止し消費電流を削減するため、回路の電流パスを遮断することによりPBTIのストレス条件になることがある。近年の半導体製造工程では上記のように動作時バイアス条件であるNBTIについては考慮されて製造工程において対策されているので通常動作条件や、一般的な加速試験条件中では特に大きな問題とはなってきていない。一方、PBTIについては、近年の微細加工技術の中で顕在化してきており(ゲート電極と基板との間隔が微細加工で薄くなってきていてストレス条件が厳しくなっている)、大きな解決課題となってきている。
これらのPMOSのPBTIによる特性劣化現象については非特許文献1,2,3に記載されている。このようなMOSFETの特性劣化現象の原理は、簡単にはゲート端子と基板端子との間に電位差ストレスに加え熱ストレスにより、プラス電荷を帯びた可動イオンが生じ、それが電界の影響でゲート酸化膜とシリコン基板との界面に注入され、閾値電圧等のトランジスタ特性が変動してしまうものである。
従来、このような課題を解決するために、省電力モード時にFET対のゲート端子同士、ソース端子同士、ドレイン端子同士、バックゲート端子同士の電圧をそれぞれ等しくするための手段を備え、熱ストレスを起したFET対の特性変動量の差異を抑制しようとすることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に示した従来の提案例を図7に示す。図7は従来技術に関する半導体集積回路の構成例を示す図である。図7によると、電源はAVDD及びAVSSであり、AVDDは省電力モードでも遮断されない電源である。
図7に示す差動増幅器は、PMOSトランジスタ110,111,112と、NMOSトランジスタ113,114とを基本構成としており、差動入力(INP,INM)信号を受け取り、出力(OUT)信号を供給する。PMOS110は、通常モードでは電流源トランジスタとして、省電力モードではパワーダウンスイッチとしてそれぞれ機能し、そのソース端子及び基板端子がAVDDに接続されている。
また、PMOS111,112は、一対の差動入力トランジスタを構成する。PMOS111はINM信号を、PMOS112はINP信号を各々のゲート端子に受け取るための入力トランジスタである。PMOS111のソース端子と基板端子、PMOS112のソース端子と基板端子とは互いに直結され、かつ更にPMOS110のドレイン端子に接続されている。NMOS113,114は、カレントミラー回路を構成している。これらNMOS113,114の各々のゲート端子は互いに接続され、NMOS114のドレイン端子及びPMOS112のドレイン端子に接続されている。PMOS111及びNMOS113の各々のドレイン端子は互いに接続されて、出力(OUT)端子を構成している。NMOS113のソース端子はAVSSに接続され、かつ該ソース端子に当該NMOS113の基板端子が直結されている。同様に、NMOS114のソース端子はAVSSに接続され、かつ該ソース端子にNMOS114の基板端子が直結されている。
図7の差動増幅器は、バイアス回路115と、プルアップスイッチ120と、2つの入力スイッチ121,122と、2つのプルダウンスイッチ123,124と、イコライズスイッチ125とを更に備えている。バイアス回路115は、通常モードで電流源トランジスタとして機能する第1のPMOS110のゲート端子へ適正なバイアス電圧を供給する。プルアップスイッチ120は、PMOS110のゲート端子とAVDDとの間に介在して、省電力モードで閉じるように制御される。このプルアップスイッチ120が閉じることで、PMOS110をオフさせるように、PMOS110のゲート端子の電圧をAVDDに引き上げる。この場合、PMOS111,112の各々のソース端子とAVDDとの間に介在したPMOS110は、省電力モードでオフすることにより、差動増幅器の消費電力を低減するためのパワーダウンスイッチとして機能する。
一方の入力スイッチ121はINM信号とPMOS111のゲート端子との間に、他方の入力スイッチ122はINP信号とPMOS112のゲート端子との間にそれぞれ介在して、いずれも省電力モードで開くように制御される。一方のプルダウンスイッチ123はPMOS111のゲート端子とAVSSとの間に、他方のプルダウンスイッチ124はPMOS112のゲート端子とASSとの間にそれぞれ介在して、いずれも省電力モードで閉じるように制御される。
省電力モードにおいてINP信号の電圧レベルが例えばAVDD(=3.3V)であり、INM信号の電圧レベルが例えばAVSS(=0V)であるものとしても、同モードにおいて両入力スイッチ121,122が開いた状態で両プルダウンスイッチ123,124が閉じることで、PMOS111,112の各々のゲート端子の電圧はいずれもグランド電圧(AVSS)に固定される。イコライズスイッチ125は、省電力モードで閉じるように制御され、NMOS113,114の各々のゲート端子、NMOS114のドレイン端子、PMOS112のドレイン端子と、PMOS111及びNMOS113の各々のドレイン端子、並びにOUT端子とを互いに連結することにより、これらの端子の電圧を全て等しくする。
図7に示す差動増幅器によれば、通常モードではプルアップスイッチ120、両プルダウンスイッチ123,124及びイコライズスイッチ125はいずれも開いており、両入力スイッチ121,122はいずれも閉じている。PMOS110はバイアス回路115から供給されたバイアス電圧を受けて、PMOS111,112を動作させるための電流源トランジスタとして機能する。したがって、PMOS111,112、並びにNMOS113,114は、INP信号とINM信号との間の電位差に応じたOUT信号を供給する。
また、省電力モードでは、プルアップスイッチ120が閉じ、PMOS110がオフするので、PMOS111,112を流れる電流が遮断されて、差動増幅器はその機能を停止する。この状態は、PMOS111,112のいずれもがトランジスタとして機能しない状態である。しかも、省電力モードでは両入力スイッチ121,122が開き、両プルダウンスイッチ123,124が閉じる。したがって、INP信号及びINM信号の電圧レベルの如何にかかわらず、PMOS111,112の各々のゲート端子の電圧が同じ電圧(AVSS)に固定される。
更に、省電力モードではイコライズスイッチ125が閉じる。したがって、PMOS111,112のゲート端子同士、ソース端子同士、ドレイン端子同士、基板端子同士の電圧がそれぞれ等しくなり、また、NMOS113,114のゲート端子同士、ソース端子同士、ドレイン端子同士、基板端子同士の電圧もそれぞれ等しくなる。この状態で熱ストレスが加わっても、PMOS111,112の特性変動量の差異が抑制されるとともに、NMOS113,114の特性変動量の差異も抑制される。その結果、図7の差動増幅器のオフセット電圧の変動が防止される。
特開2004−282121号公報 J.F.Zhang and W.Eccleston,「Positive Bias Temperature Instability in MOSFET's」,IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,VOL.45,pp116-124 JANUARY 1998. Hironori Ushizaka and Yoshiyuki Sato,「The Process Dependence on Positive Bias Temperature Aging Instability of p+(B) Poly silicon-Gate MOS Devices」, IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,VOL.40.pp932-937.MAY 1993. Wagdi W.Abadeer,William R.Tonti,Wilfried E.Hansch,and Udo Schwalke,「Long-Term Bias Temperature Reliability of P+Polysilicon Gated FET Devices」,IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,VOL.42,pp360-362,FEBRUARY 1995.
待機モード(又は省電力モード)時においてPBTIストレスが発生すると、PMOSの特性が劣化しアナログ回路の特性も劣化してしまう。このため、従来技術においてはPBTIストレスを解消するために回路中に多くのスイッチを設け、解決課題となるストレスが掛からないようにしていた。しかし、このようにすると回路規模が大きくなるという課題も生じた。
また、従来例においては、アナログ入力部に直列にスイッチが挿入されていた(例えば、図7のスイッチ121,122を参照)。そして、アナログ回路にとって入力信号には、できるだけ余計なノイズ等の影響をなくす必要がある。半導体集積回路においてこのスイッチは通常FETスイッチにて実現される。このため、スイッチのオン抵抗等によるアナログ信号への影響も考慮する必要がある。できればこのような余計な回路が存在しないことが望ましい。
本発明の目的は、アナログ信号経路に余計な負荷回路が追加されることがなく、且つ少ない回路規模でトランジスタの特性劣化を引き起こすバイアス条件を回避することのできる半導体集積回路を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
基板とソースを接続した差動対PMOSFETと、前記FETのソース側に接続されたMOSFETからなる定電流源回路と、前記定電流源回路を遮断する遮断回路と、を備えた半導体集積回路であって、
前記遮断回路により前記定電流源回路が遮断されているときに、前記差動対PMOSFETのゲートとソースとの間に、前記入力端子の電圧により前記ソースにゲート電圧を印加する短絡回路を設ける構成とする。
また、前記半導体集積回路において、前記短絡回路は半導体スイッチとANDゲートからなり、前記半導体スイッチの各々の端子が前記差動対PMOSFETのゲートとソースにそれぞれ接続されるとともに、前記半導体スイッチのゲート電極が前記ANDゲートの出力に接続され、前記ANDゲートの一方の入力は前記遮断回路からの遮断制御信号が入力され、他方の入力は前記差動対PMOSFETのゲート信号が接続される構成とする。
また、基板とソースを接続した差動対PMOSFETと、前記FETのソース側に接続されたMOSFETからなる定電流源回路と、前記定電流源回路を遮断する遮断回路と、前記差動対PMOSFETのゲートに入力信号を印加するための入力端子と、を備えた半導体集積回路であって、
前記入力端子と前記差動対PMOSFETのゲートとは直接に接続され、
前記入力端子と前記差動対PMOSFETのソースとの間に、前記遮断回路により前記定電流源回路が遮断されているときに、前記入力端子の電圧により前記ソースに入力端子の電圧を印加する短絡回路を設ける構成とする。
また、半導体集積回路において、前記遮断回路は、前記定電流源回路を動作させる通常モードと、前記定電流源回路を遮断させる省電力モードまたは待機モードと、を選択して設定でき、前記短絡回路は、半導体スイッチとANDゲートとからなり、前記ANDゲートの出力によって前記半導体スイッチがオンオフし、前記ANDゲートの入力には、省電力モードまたは待機モードの信号と、前記入力端子の電圧と、が印加される構成とする。
本発明によれば、PMOS差動対トランジスタを用いた差動アンプ、コンパレータ回路等において特に省電力モード時にPBTIストレス条件となり、PMOSトランジスタの特性が変化し、アンプ、コンパレータ回路等の特性が劣化してしまうという課題を解決することができる。また、PBTIバイアス条件の緩和回路を一対のANDゲートと半導体スイッチのみで実現でき、回路規模、回路面積等の増加を最小限で実現できるため非常に有益である。
また、INP,INN等アナログ信号経路に直列に抵抗成分等がつくスイッチ等の回路も追加されないので、アナログ信号経路にとって信号の精度に影響する素子を追加することなくPBTIストレスを緩和することができる。
本発明の実施形態に係る半導体集積回路について、図1〜図6を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る半導体集積回路の構成例を示す図である。図2は本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSの信号レベルを説明する図である。図3は本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSに使用される半導体スイッチの一例を示す図である。図4は本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSに使用される半導体スイッチの他例を示す図である。図5は本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSに使用される半導体スイッチの別の例を示す図である。図6は本発明の実施形態に係る半導体集積回路の他の構成例を示す図である。
図面において、A1,A2はANDゲート、S1,S2は半導体スイッチ、P1,P2,P3はPMOSトランジスタ、N1,N2はNMOSトランジスタ、PDはパワーダウン信号、INP,INNはアナログ差動入力信号、Vddは電源、I1,I2はインバータ、P4,P5はPMOSトランジスタ、N4,N5はNMOSトランジスタ、PDBはパワーダウン信号(PDの反転)、C1,C2は比較器、L1,L2は比較基準電圧信号、をそれぞれ表す。
図1において、P1,P2,P3はPMOSトランジスタ、N1,N2はNMOSトランジスタである。A1,A2はANDゲート、S1,S2,S3は半導体スイッチ回路である。P1は定電流源カレントミラートランジスタで回路動作時はP1のゲートにバイアス回路からのバイアス電圧が入力され、バイアス電圧に従った電流を流す。P2,P3は差動対PMOSトランジスタであり、ソース(S)と基板(Sub)が接続されている。各々のゲートにはINP入力、INN入力信号が接続され、ドレインにはそれぞれN1,N2が接続されている。A1,A2はANDゲートであり、二つの入力端子が「H」のとき「H」を出力する。S1,S2は半導体スイッチで「H」が入力されたときにスイッチが「ON」となる。A1,A2の入力の一方は夫々省電力モード信号「PD(Power Down)」が入力されており、もう一方は各々INP,INNの差動入力信号が接続されている。
「PD」信号が「L」のとき、S3はバイアス電圧が接続される。A1,A2の出力信号は「L」となるので、半導体スイッチS1,S2は「OFF」となる。このような状態のとき、図1の回路は一般的な差動アンプ(通常時の差動アンプ)として動作する。差動増幅された信号は4から出力される。
次に、「PD」信号が「H」になると図1の回路は省電力モードとなる。S3がVdd側に接続され定電流源トランジスタP1がOFFとなり電流が遮断される。このときに、本実施形態のA1,A2、S1,S2のない回路の場合を考える。上述したように、P1が遮断され電流が流れないので、接点2,3,4はGNDに近づく(接点2はP1オフで電源Vddから完全に遮断されるのに対して、接点2,3,4はGNDとの間の電位が次第にGND電位に近づくようになる)。このとき差動入力信号にVddが入力されると、P2のゲート電圧はVddとなり、P2はPositive BiasとなりPBTIストレスにより特性が劣化してしまうという課題が生じることとなる。P3のゲートにVdd印加されたときも同様に特性劣化が生じ得る。
図1に示す構成例を備えた本実施形態の場合を以下に説明する。「PD」信号が「High」になるのでA1,A2はINP,INNの信号に依存し、出力信号が決まる。上述のようにINPにVdd信号が入力された場合、A1の出力は「High」となり、S1が「ON」となる。従って、ノード2はINPと同電位となり、P2のゲートGと基板Sub又はソースSとの電位差はなくなり、P2のPBTIストレスが緩和され特性劣化を起こさない。
またこのとき、INNはINPの差動入力信号なのでGNDとなる。このため、A2の出力は「Low」のままであり、S2は「OFF」のままである。従って、P3のゲートはGNDであり、基板SubとソースSはVddとなり、P3はNegative Biasとなる。通常、Vddまでの電位差のNBTIストレスは論理回路を含めて常用するバイアス条件なので、この範囲でのNBTIストレス劣化は通常考えなくて良い。
以上のように、本実施形態によれば解決すべき課題となるPBTIストレス条件を緩和でき信頼性の向上した半導体集積回路を実現できる。
また、INPがGNDとなった場合、INNはVDDとなる。従って、上述したのと同様にしてこの場合はS2がONになりS1がOFFとなる。従って、ノード2はINNと同電位となり、P3のゲートGと基板Sub又はソースSとは同電位となりストレスはかからない。また、P2のゲートGはGNDであり、SubとSはP3と同様にVDDとなる。従って、P2はNBTIとなりこの場合は解決課題とはならない。
次に、半導体スイッチS1,S2をONにするINP,INNの信号の閾値レベルについて考える。PD信号はディジタル信号なので「H」=Vdd、「L」=GNDであり、ANDゲートA1,A2にとってはPDが「H」のときに一方の入力であるINPもしくはINNの信号レベルによって出力信号を「H」にする。
次に、図2に示す差動対PMOSの信号レベルについて説明する。PBTIストレスによる劣化は可動イオンが電位ストレスと熱ストレスによる影響でゲート酸化膜とシリコン基板界面に注入されることにより発生する。従って、PBTIストレスにより可動イオンの注入が発生するには、或るエネルギーが必要となる。従って、PBTIストレスであるゲート電位とソース又は基板電位との差が或る電位以上にならないように制御するのが本発明の目的の1つである。
省電力モードのとき、P2,P3のSとSubであるノード2はGNDに近づく。したがって、INPもしくはINNの電位が或る電位(PBTIストレスを引き起こす電位)以上になったときに半導体スイッチS1もしくはS2をONにしてPBTIストレスを緩和させる必要がある。本実施形態におけるANDゲートA1,A2の閾値を、PBTIストレスを緩和させるレベルに設定することで実現できる。ここで、INPとINNはアナログポジティブ入力信号とアナログネガティブ入力信号である。
図2において、COMMONは差動アナログ信号のコモンレベルであり、差動アナログ信号はこのレベルを中心に+、−の振幅を持つ信号であり、INPとINNはCOMMONレベルを中心に反転関係にある。図2に示すようにANDゲートの閾値をPBTIストレスが課題となる電位に設定する。通常、PBTIには或る一定のストレスが必要とされるのであり、アナログCOMMON電圧よりも十分高いレベルにある。
図2(a)に、INPがCOMMONより+レベルで且つPBTI閾値より高い場合の例を示す。図に示すようにINPはA1の閾値レベルよりも高いのでA1の出力はVdd=「H」となる。よってS1がONとなる。またINNはINPの反転信号なのでCOMMON電位を軸にしてINPと対称の電位であり図に示すとおりである。INNは閾値電位よりも低いのでA2の出力はGND=「L」となり、S2はOFFとなる。このようにして、PBTIストレスとなるP2についてはS1がONになることによりゲートとソース又は基板とが同電位になりストレスを緩和する。P3については、ゲートはPBTIストレスのレベルになく、またノード2(ソース、基板)電位はINPと同電位になるからゲート電位より高くなり、NBTIストレスとなる。しかしながら、このレベルは通常のPMOS動作状態のストレスであるので解決課題となるストレスレベルではない。
次に、図2(b)について説明する。図示する例はINP,INNともPBTIレベルにない場合である(PBTIストレスに達していない入力信号が印加されている場合)。INPがCOMMONより+側にはあるが閾値レベルよりも低いのでA1は「L」を出力する。またINPの反転信号であるINNはCOMMONより−側で、当然閾値よりも低いのでA2も「L」を出力する。したがってS1,S2共にOFFとなる。このとき、P2,P3のSubとS端子であるノード2はGNDであるが、INP,INN共にPBTI劣化を引き起こす電位より低いので解決すべき課題とはならない。
次に図2(c)について説明する。図2(c)は図2(a)の場合とは逆にINNがCOMMONより+レベルで且つPBTI閾値より高い場合の例を示す。図に示すようにINNはA2の閾値レベルよりも高いのでA2の出力はVdd=「H」となる。よってS2がONとなる。また、INPはINNの反転信号なのでCOMMON電位を軸にしてINNと対称の電位であり図に示すとおりである。INPは閾値電位よりも低いのでA1の出力はGND=「L」となりS1はOFFとなる。このようにして、PBTIストレスとなるP3についてはS2がONになることにより、ゲートとソース又は基板とが同電位になりストレスを緩和する。P2については、ゲートレベルはPBTIストレスのレベルになく、またノード2(ソース、基板)電位はINNと同電位になるからゲート電位より高くなりNBTIストレスとなる。しかしながら、このレベルは通常のPMOS動作状態のストレスであるので解決課題となるストレスレベルではない。
このように回路設定することにより、P2とP3はPBTIストレスがかかることがない。また、S1とS2は同時にONになる場合がないのでINPとINNがショートすることもない。
図1と図2に示す本実施形態に係る半導体集積回路の構成例によると、差動対PMOSにおけるPBTIストレスを回避するために、スイッチはS1とS2の2つのスイッチしか使用しておらず、さらに、アナログ入力信号の端子であるINP,INNからPMOSのゲートまでの信号経路にオンオフ時のノイズ混入の虞のあるスイッチを介在させることなく直結させていることが、本実施形態における特徴の1つである。
次に、本実施形態に係る半導体集積回路における半導体スイッチの構成例を説明する。図3はCMOS構成の半導体スイッチの例である。図3において、I1はインバータ、P4はPMOSトランジスタ、N4はNMOSトランジスタである。5は制御信号端子、6は入力端子、7は出力端子である。制御信号に「H」が入力されるとP4のゲートは「L」、N4のゲートは「H」となりスイッチはONとなる。逆に5が「L」のときは各々のトランジスタがOFFとなりスイッチはOFFとなる。図3に示す半導体スイッチを図1に示すスイッチS1に適用すると、図3の制御信号端子5は図1のANDゲートA1の出力端子に対応し、図3の入力端子6は図1のINP側の端子に対応し、図3の出力端子7は図1のPMOS(P2)のソース側の端子に対応している。
図4はNMOS半導体スイッチの例である。図において、N5はNMOSトランジスタである。8は制御信号端子、9は入力端子、10は出力端子である。制御信号に「H」が入力されるとN5のゲートは「H」となりスイッチはONとなる。逆に5が「L」のときはN5はOFFとなりスイッチはOFFとなる。
図5はPMOS構成の半導体スイッチの例である。図5において、I2はインバータ、P5はPMOSトランジスタである。11は制御信号端子、12は入力端子、13は出力端子である。制御信号に「H」が入力されるとP5のゲートは「L」となりスイッチはONとなる。逆に13が「L」のときはトランジスタP5がOFFとなりスイッチはOFFとなる。
次に、本実施形態に係る半導体集積回路において、図1に示すANDゲートに代えて比較器を用いた構成例につき、図6を参照しながら説明する。図6において、P1,P2,P3はPMOSトランジスタ、N1,N2はNMOSトランジスタである。C1,C2は比較器、S1,S2,S3は半導体スイッチ回路である。P1は定電流源カレントミラートランジスタで回路動作時はP1のゲートにバイアス回路からのバイアス電圧が入力され、バイアス電圧に従った電流を流す。P2,P3は差動対PMOSトランジスタであり、ソース(S)と基板(Sub)が接続されている。各々のゲートにはINP入力、INN入力信号が接続され、ドレインにはそれぞれN1,N2が接続されている。
C1は比較器であり判定レベル入力L1(PBTIのストレス電位に相当するもの)とINPを比較しINPがL1より大きければ「H」を出力する。比較器C1はPDB信号(PD信号の反転信号)によりパワーダウン制御されている(Power Downのときに比較器C1を動作状態とする)。C1はPDBが「L」のとき動作モードとなる。同様に、C2は比較器であり判定レベル入力L2とINNを比較しINNがL2より大きければ「H」を出力する。比較器C2はPDB信号によりパワーダウン制御されており、PDB信号はPD信号の反転である。C2はPDBが「L」のとき動作モードとなる。
「PD」信号が「L」のとき、S3はバイアス電圧が接続される。「PDB」は「H」となるので比較器C1,C2はパワーダウンモードとなり出力は「L」となるので、半導体スイッチS1,S2は「OFF」となる。このような状態のとき図6の回路は一般的な差動アンプとして動作する。
次に、「PD」信号が「H」になると図6の回路は省電力モードとなる。S3がVdd側に接続され定電流源トランジスタP1がOFFとなり電流が遮断される。「PD」信号が「H」、PDBが「L」になるのでC1,C2はINP,INNとL1,L2を比較し出力信号を決定する。L1,L2のレベルを上述したような閾値レベルに設定する。INPにVdd信号が入力された場合C1の出力は「H」となり、S1が「ON」となる。従って、ノード2はINPと同電位となり、P2のゲートGと基板Sub、ソースSの電位差はなくなり、PBTIストレスが緩和され特性劣化を起こさない。
またこのとき、INNはINPの差動入力信号なのでGNDとなる。このため、C2の出力は「L」のままであり、S2は「OFF」のままである。従って、P3のゲートはGND、基板Sub、ソースSはVddとなりP2はNegative Biasとなる。通常Vddまでの電位差のNBTIストレスは論理回路を含め常用するバイアス条件なので、この範囲でのNBTIストレス劣化は通常考えなくて良い。
本発明の実施形態に係る半導体集積回路の構成例を示す図である。 本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSの信号レベルを説明する図である。 本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSに使用される半導体スイッチの一例を示す図である。 本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSに使用される半導体スイッチの他例を示す図である。 本実施形態に係る半導体集積回路における差動対PMOSに使用される半導体スイッチの別の例を示す図である。 本発明の実施形態に係る半導体集積回路の他の構成例を示す図である。 従来技術に関する半導体集積回路の構成例を示す図である。
符号の説明
A1,A2 ANDゲート
S1,S2 半導体スイッチ
P1,P2,P3 PMOSトランジスタ
N1,N2 NMOSトランジスタ
PD パワーダウン信号
INP,INN アナログ差動入力信号
Vdd 電源
I1,I2 インバータ
P4,P5 PMOSトランジスタ
N4,N5 NMOSトランジスタ
PDB パワーダウン信号(PDの反転信号)
C1,C2 比較器
L1,L2 比較基準電圧信号

Claims (9)

  1. 基板とソースを接続した差動対PMOSFETと、前記FETのソース側に接続されたMOSFETからなる定電流源回路と、前記定電流源回路を遮断する遮断回路と、を備えた半導体集積回路であって、
    前記遮断回路により前記定電流源回路が遮断されているときに、前記差動対PMOSFETのゲートとソースとの間に、前記ソースにゲート電圧を印加する短絡回路を設ける
    ことを特徴とする半導体集積回路。
  2. 基板とソースを接続した差動対PMOSFETと、前記FETのソース側に接続されたMOSFETからなる定電流源回路と、前記定電流源回路を遮断する遮断回路と、前記差動対PMOSFETのゲートに入力信号を印加するための入力端子と、を備えた半導体集積回路であって、
    前記入力端子と前記差動対PMOSFETのゲートとは直接に接続され、
    前記入力端子と前記差動対PMOSFETのソースとの間に、前記遮断回路により前記定電流源回路が遮断されているときに、前記入力端子の電圧により前記ソースに入力端子の電圧を印加する短絡回路を設ける
    ことを特徴とする半導体集積回路。
  3. 請求項1において、
    前記短絡回路は半導体スイッチとANDゲートからなり、
    前記半導体スイッチの各々の端子が前記差動対PMOSFETのゲートとソースにそれぞれ接続されるとともに、前記半導体スイッチのゲート電極が前記ANDゲートの出力に接続され、
    前記ANDゲートの一方の入力は前記遮断回路からの遮断制御信号が入力され、他方の入力は前記差動対PMOSFETのゲート信号が接続される
    ことを特徴とする半導体集積回路。
  4. 請求項2において、
    前記遮断回路は、前記定電流源回路を動作させる通常モードと、前記定電流源回路を遮断させる省電力モードまたは待機モードと、を選択して設定でき、
    前記短絡回路は、半導体スイッチとANDゲートとからなり、前記ANDゲートの出力によって前記半導体スイッチがオンオフし、
    前記ANDゲートの入力には、省電力モードまたは待機モードの信号と、前記入力端子の電圧と、が印加される
    ことを特徴とする半導体集積回路。
  5. 請求項2または3において、
    前記半導体スイッチはCMOSで構成されることを特徴とする半導体集積回路。
  6. 請求項2または3において、
    前記半導体スイッチはNMOSで構成されることを特徴とする半導体集積回路。
  7. 請求項2または3において、
    前記半導体スイッチはPMOSで構成されることを特徴とする半導体集積回路。
  8. 請求項3ないし7のいずれか1つの請求項において、
    前記ANDゲートの論理閾値は、前記差動対PMOSFETの特性変化を引き起こす下限電圧値に設定されることを特徴とする半導体集積回路。
  9. 請求項1において、
    前記短絡回路は半導体スイッチと比較器からなり、
    前記半導体スイッチの各々の端子が前記差動対PMOSFETのゲートとソースにそれぞれ接続されるとともに、前記半導体スイッチのゲート電極が前記比較器の出力に接続され、
    前記比較器の一方の入力は前記差動対PMOSFETのゲート信号が接続され、他方の入力は前記差動対PMOSFETの特性変化を引き起こす下限電圧値に設定される
    ことを特徴とする半導体集積回路。
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JP2011041280A (ja) * 2009-08-12 2011-02-24 St Microelectronics (Rousset) Sas 電子回路の作動の監視
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