JP2008028424A - 面発光型半導体レーザ - Google Patents

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Masahiro Yoshikawa
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Hideo Nakayama
秀生 中山
Hiroki Otoma
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Abstract

【課題】比較的簡単な構成でレーザ光の偏光を一定方向に制御することができ、低しきい値電流、高出力特性を有する面発光型半導体レーザを提供すること、また、製造が容易で、高出力な基本横モード光を発振することが可能な屈折率導波型の面発光型半導体レーザを提供すること。
【解決手段】下部多層膜反射鏡、活性層領域、及び前記下部多層膜反射鏡と共に共振器を構成する上部多層膜反射鏡が順次積層された半導体基板と、上部多層膜反射鏡の上層に設けられ、且つ活性層領域で発生したレーザ光の出射領域を構成する開口部が穿設された上部電極と、上部電極と下部多層膜反射鏡との間に設けられ、電流流路の周縁部を絶縁化して形成された電流狭窄部とを備え、上部電極に穿設された開口と前記電流狭窄部の開口との少なくともいずれか一方の形状が平面内の直交する任意の2軸方向に対して、長短を有する2回対称形状であることを特徴とする面発光型半導体レーザ。
【選択図】図2

Description

本発明は、面発光型半導体レーザに関し、詳しくは、高出力な基本横モード光を発振することが可能な面発光型半導体レーザ、また、光情報処理や光通信に用いられる光源、あるいは電子写真式画像形成装置の光源として利用価値の高い偏光が制御された素子の構造に関する。
垂直共振器型面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser、以下「VCSEL」と称する。)は、端面発光型レーザに比べて、製造コストが低いこと、製造の歩留まりが高いこと、2次元アレイ化が容易なこと、光ファイバとの結合効率が高いこと、消費電力が低いこと、などの多くの利点を有していることから、近年、多くの用途にこれを使用することが検討されている。例えば、以下の非特許文献1には、VCSELの構造、レーザ特性、用途等が説明されている。
しかしながら、従来のVCSELは、基本横モード光出力がいまだ小さく、高々1mW程度であり、そのため応用範囲がCD−ROMドライブに用いられる光ピックアップといった狭い分野に限定されている。従来のVCSELでは、発光領域の径を数μm程度まで狭めることにより、基本横モードによるレーザ発振を得ていたので、結果的に活性領域の体積が小さくなり、基本横モード光出力が低下していた。
一方、VCSELの基本横モード光出力が増大して、例えば5mW以上となれば、レーザビームプリンタ等の画像書き込み装置や、光磁気ディスク装置等にも、VCSELを使用することが可能となる。
特許文献1には、高輝度基本横モード光出力を有するVCSELが提案されている。この提案では、基本横モード光出力の高出力化を、基本横モード以外に副次的に発生する高次横モードのレーザ発振条件を選択的に抑制することにより実現している。すなわち、VCSELにおける基本横モード発振は光導波路の中心(光軸に近接して)に生じ、高次横モード発振は光軸から離間した遠隔の位置において生じることから、光軸からの離間距離が増大するに従って共振器の光学損失を漸進的に増大させ、それによって注入電流値を増やしながら多モード発振への移行を抑え、基本横モード光出力の増加を可能にしている。
具体的に説明すると、このVCSELは、図19に示すように、導電性半導体基板171と、下部DBR層172と、下部DBR(Distributed Bragg Refrector:分布反射)層172とは逆の導電型を有する上部DBR層174と、下部DBR層172と上部DBR層174の間に挟まれた活性層領域173と、イオン打ち込み等により形成した低反射率ゾーン175と、損失決定素子176と、電極177及び178とにより構成され、光軸179に沿ってレーザ光が出射される。
損失決定素子176は、光軸179と直交する方向において光軸179からの距離が増大するのに従って共振器の光学損失を漸進的に増大させるために、凹状の形状に加工されている。この凹状の形状の損失決定素子176は、共振器のレーザ光を屈折する作用と、共振器のレーザ光を側方に拡散させるか、または焦点をずらす作用の両方を有する。したがって、この損失決定素子176により、光軸179と直交する方向における光軸179からの距離が増大するのに従って屈折損失が増大し、共振器の光学損失が大きくなる。一方、このVCSELにおける基本横モード発振は光軸179に近接して生じ、高次横モード発振は光軸179から離間した遠隔の位置において生じる。
その結果、高次横モードに関して共振器の光学損失が増大し、高次横モードのレーザ発振に必要なしきい値電流が増加する。一方、基本横モードに関しては共振器の光学損失の変化は小さいからしきい値電流の変化は無く、結果的に最大基本横モード光出力が増大することになる。
また、特許文献2には、図20に示すように、光利得領域235の直径よりも小さな直径の光開口265を有する金属接触層260を形成して、高次の横モード発振を抑制する利得導波型の面発光型半導体レーザが開示されている。この構造では、基板200に水平な面内において光開口265の中心部付近で光強度の高い基本横モードに対して、中心部よりも光開口265の周辺部近傍で光強度の高い1次横モード、あるいは中心部のほかに周辺部にも光強度のピークを有するさらに高次の横モードを光開口265によって遮ることで基本横モードの光出力のみを選択的に取り出し、結果的に基本横モードでの光出力を高めている。
また、特許文献3に記載された利得導波型の面発光型半導体レーザでは、図21に示すように、電流注入に用いる電極層40の下に、共振器の光学反射率を低下させる補助層38を形成して、出射口46の電極層近傍に生じる高次モードを抑制している。この構造でもやはり基本となる原理は、1次横モード、または更に高次の横モードにおける選択的な発振の抑制である。その方法は補助層38の有無により基板30に水平な面内において光学反射率の分布を形成し、基板に水平な面内において光開口46の中心部付近では反射率を高いまま保ち、光開口46の周辺部近傍では補助層38の存在により実効的に反射率を低下させ、両者の発振しやすさに差を設けて基本横モードで発振しやすくするというものである。
一方、レーザの応用においては多くの場合円形の発光スポットが望ましく、その点、面発光型半導体レーザは、発光領域に極端なアスペクト比を要しないから円形化を容易に実現できる特徴を持つ。また、同一ウエハ内での2次元集積化が可能で、さらに、ウエハレベルでの素子検査ができることから、従来にない高密度、かつ低コストなレーザ素子が得られるとして、通信分野を中心に需要が拡大しつつある。
ところで、歪み量子井戸活性層を有する面発光型半導体レーザを除けば、通常の面発光型半導体レーザは出射方向に垂直な平面内に利得の異方性を持たないから、すべての方向に等しく偏光する確率を有する。
素子毎に偏光特性(偏波面の方向)が異なると、特殊なコーティングを施していないミラーや偏光ビームスプリッタといった偏波依存性のある光学素子と組合せて使用する場合、これらを通過した後の光線において、光学特性(ここでは光出力)に変化が生じる。このため従来より面発光型半導体レーザの技術開発においては、素子の偏光を一定方向に安定化させる様々な工夫がなされている。
以上のように、特許文献1に開示された技術によれば、原理的には基本横モードの高出力化が可能となる。しかし、同時に、基本横モード特性にも悪影響を与えること、所定の形状の損失決定素子176を安定に形成することが著しく困難であること、等の問題を有している。
非特許文献2にも説明されているように、VCSELは、一般に、活性領域が小さいためレーザ発振に必要な利得を稼ぎ難く、共振器には高い反射率が必要とされる。実際に、現在研究されているVCSELの共振器は、99%以上の反射率を有している。共振器の反射率が低いと、しきい値電流密度が上がり、レーザ発振が起こりにくくなる。
特許文献1に開示された技術では、光軸179から少しでも離間した位置では、共振器の反射率が低下する構造となっており、高次横モードのレーザ発振を抑制するのみならず、基本横モードのレーザ発振も同時に抑制され、結果的に、十分な高輝度基本横モード光出力を得ることができなくなることが予想される。
また、損失決定素子176は、図19に示したように凹状の形状とするか、または凸状の形状とするなど、湾曲した表面を有することを特徴としている。したがって、損失決定素子176の形状を作製する方法は重要であって、特許文献1には詳細に説明されている。
その一例を簡単に説明すると、図22(a)に示すように、湾曲表面を形成しようとする層181の表面にフォトレジスト182を塗布する。次に、図22(b)に示すように、通常の露光、現像、ベーク工程を用いて円筒形フォトレジスト柱183を形成する。このフォトレジスト柱183を、約5〜20分にわたって、約250〜300℃の温度で加熱すると、図22(c)に示すように、凸状の湾曲面を有する形状の層184に変形する。この層184を室温に戻した後も、その凸状の湾曲面の形状を安定に保持している。
次に、上方から反応性イオンエッチング(RIE)を用いて、ドライエッチングを施すと、層184がエッチングマスクとして作用して、その形状を反映する結果、図22(d)に示すように、凸状の湾曲面を有する構造185が形成される。
以上、凸状の湾曲面を有する構造を形成する方法について説明したが、層181上の中央部ではなくて、その周辺部にフォトレジスト柱183を設けるようにすれば、層181上の中央部に凹状の湾曲面を有する構造を形成することができる。
しかし、エッチングマスクとして作用する層184の形状は、所定の位置において所定の湾曲面を有することが必要とされるが、この湾曲面がいつも同じになるように、再現性よく、また、位置依存性なく、形成することは,現在のエッチング技術によっても相当に困難である。特に、VCSEL素子を多数設けて二次元アレイ化するような場合には、この問題が顕著となる。
さらに、所定の湾曲面を有する形状と所定の膜厚を有する損失決定素子176を形成するために、RIE工程においてエッチングマスクとして作用する層184の消失時点または消失後において、適切な位置でエッチングを終了することは著しく困難である。
また、VCSEL素子を多数設けて二次元アレイ化するような場合には、同一基板上、または異なる基板上において、フォトレジスト柱183と損失決定素子176を構成している材料間でエッチング選択比を高精度に制御することは非常に困難であり、そのため、各VCSEL素子間で損失決定素子176の反射率特性を揃えることはきわめて困難である。
以上のように、損失決定素子176の形状や膜厚を、同一基板上の各VCSEL素子間で、または異なる基板上の各VCSEL素子間で、あるいはプロセスのロットが異なる各VCSEL素子間で、バラツキをなくすこと、あるいはバラツキを小さくすることは、きわめて困難である。
一方、損失決定素子176の凹状の湾曲面の形状を利用して、光軸179から離間するに従って共振器の光学損失を漸進的に増大させ、それによって注入電流値を増大させて、高次横モードのレーザ発振への移行を抑制し、基本横モードのレーザ発振を可能としているので、損失決定素子176の凹状の湾曲面の形状が異なれば、高次横モードのレーザ発振へ移行するVCSELの光出力値、すなわち、基本横モードの最大光出力値が異なってくる。その結果、同一基板上の各VCSEL素子間で、または異なる基板上の各VCSEL素子間で、あるいはプロセスのロットが異なる各VCSEL素子間で、各VCSEL素子の基本横モードの最大光出力値が異なることとなり、高輝度基本横モード光出力が要求される用途に対しては、特許文献1に開示された技術を工業的に利用することは困難である。
特許文献2では、面発光型半導体レーザの構成に関し、「金属層は利得領域と垂直方向に整列する光開口を有しており、この光開口は利得領域の直径と同じか、それよりも小さな直径を有している」と、その特徴を述べている。
ここで高次の横モード発振を抑えるのに十分な直径の光開口の条件が、光利得領域の直径と同じか、それよりも小さな直径であることの理由は、実施の形態に示される素子の構造がプロトン注入による半導体層の高抵抗化技術を用いたことと無関係ではない。
プロトン注入方式の面発光型半導体レーザにおいては、プロトン注入を行なった領域は注入を行なわなかった領域に比べ導電率が低下する。これにより電流狭窄構造が形成され、上下の電極から注入されたキャリアは活性層平面内の特定部分(プロトン注入を行なわなかった領域)を集中的に通過する。従ってこの領域で電子−正孔の再結合を生じて光子が生成され、これが共振器内で増殖されてレーザ発振に至る。このような構成のレーザを一般には利得導波型レーザと呼ぶ。すなわち電子−正孔の再結合が盛んに生じる領域(光利得領域)をプロトン注入により限定することでレーザ発振に至らしめる構造である。
プロトン注入技術は従来より半導体プロセスで利用されており、確立されたプロセスといってよい。面発光型半導体レーザの作製プロセスにおいてもその初期の時代から利用されてきたが、対象となる半導体材料にとって異物となる不純物イオンを大量に打ち込む技術の性格上、打ち込んだ領域とそれ以外の領域との界面を正確に画定することは難しく、濃淡のすそを引くことは避けられない。そのため非注入領域の径は狭くても10μm、典型的には20μm前後であることが多い。
利得導波型の面発光型半導体レーザにおいて、電流狭窄構造によって画定された光利得領域の径が10〜20μmである時、大きな光出力を得るため注入するキャリアの量を増やして電流密度を高めると、一般にはキャリアの分布に不均一性が生じて横モードが不安定になりやすい。またキャリアの再結合が最も活発に起きる光利得領域の中心部付近では、その周囲の領域よりもキャリアの消費量が増えて正孔が欠乏するいわゆる空間的ホールバーニング現象が生じ、これによってもまた横モードが分裂して基本モードでの発振が難しくなるという状態を引き起こす。
この問題を回避するために考案された特許文献2で、高次の横モードを光開口によって遮ることで基本横モードの光出力のみを選択的に取り出す、という目的に適う光開口の直径の条件範囲が"光利得領域の直径と同じか、それよりも小さな直径である"ことは必然であろう。実施例においても、「典型的には、光開口265の直径は2μm乃至7μmであり、光利得領域235の直径は10μm乃至30μm」と、記載されている。例示されたこれらの数値範囲は、上記説明に合致している。
基本横モードの光出力の増大に対してこの方法は一定の成果を挙げた。しかし、利得導波型の面発光型半導体レーザに関して言えば、消費電力が端面発光レーザ並みかやや低い程度であること、発光効率が20%程度であまり高くないこと、そしてここでは詳しくは述べないが原理的な問題から、一定のバイアス電圧を印加しないと光応答特性が極端に遅い(msecオーダ)という本質的な問題をかかえ、最近は後で述べる選択酸化方式の面発光型半導体レーザに取って代わられつつある。
一方、特許文献3には、面発光型半導体レーザの構成に関し、「第2の反射層36上に形成され、第2の反射層36を透過する放射光に対して共振器を構成する電極層40を有しており、この電極層40は、高い導電率を有して外部の電源に接続する金属層44と、金属層44の下方に形成され、第1の反射層32及び第2の反射層36よりも低い反射率を有する導電性の補助反射層42と、から構成されている。」と、その特徴を述べている。
ここで電極層40が金属層44と補助反射層42からなる2層構造をなし、金属層44下方の補助反射層42が第1の反射層32及び第2の反射層36よりも低い反射率を有する理由は、補助反射層42がなく、金属層44のみからなる電極層40の構成では、電極層40からの反射光が第2の反射層36の方向へ戻り、基本横モード発振の条件や発光強度に対して影響を与えてしまうためで、また、補助反射層42を導入した電極層40の構成では、出射開口46の中心部よりもその周辺部で高い光強度を持つ高次モードに対してより近い位置に存在する反射率の低い補助反射層42が、高次モードの発振を抑制する方向に働くためである。
相対的に反射率の低い補助反射層42を設けることで、レーザ光が出射する開口46付近に反射率の分布を生じさせ、横モード特性に影響を与えるという原理は直観的に理解できる。しかしながら光利得領域の径、若しくは注入されたキャリアの分布により開口内部に存在を許される横モードの次数が変化することを考慮すれば、これに影響を与えて高次モードの発振を抑制するには、反射率を低下させる部位の特定が必要となる。言い換えれば公報中に記述された突出部43(protruding portion)について、その長さ、あるいは開口中心部からの距離といった項目をどの程度に設定するのが効果的なのか、数値的な明示がないと不十分ということになる。あるいは好ましい条件の範囲に関する提示がない限り、実際に基本横モードが得られるのか実効性に疑問が残る。
さらに言えば、特許文献2及び特許文献3に記載されたVCSELは、いずれも利得導波型のVCSELであり、実施の形態でも主にプロトン注入型の面発光型半導体レーザを例にとり具体的な説明を行なっている。従って、昨今、面発光型半導体レーザの主流となりつつある選択酸化技術を用いた屈折率導波型の面発光型半導体レーザを想定しての高次モードの抑制は考慮されておらず、これらの手段をそのまま選択酸化方式の面発光型半導体レーザに適用しても効果が十全に発揮されないことが予想される。
一方、特許文献4にはレーザ利得領域を適当に整形することによって、具体的には利得領域の横断面を1.2を超える縦横比を持つよう構成することで、基本モードにおいて長いほうの次元内に偏光を持つ面発光半導体レーザが開示されている。この面発光型半導体レーザでは、活性領域は直交する2つの横断面の主次元が副次元の1.2、あるいはそれ以上の係数だけ大きい形状、例えば偏菱形、亜鈴形、および十字形構造となっており、この活性領域の形状のため放出される光は優遇的に低オーダモードを持ち、主次元ACの方向に偏光(明細書中「偏向」の術語が用いられているが誤り)する、としている。この横断面形状は屈折率ガイドレーザ内に特定の空洞形状を乾式エッチングすることによって、あるいは利得ガイドレーザの周りに整形されたイオン移植領域を形成することによって構成することができる、としているから、簡便な偏光制御手段と言える。
しかしながらこの明細書中には何ゆえ“利得領域の横断面を1.2を超える縦横比を持つよう構成する”と偏光方向が制御され、同時に基本モードでの発振が選択されるのか原理的な説明がなされていないばかりか、それを確認した方法も偏光特性を直接的に評価したものではないから、効果について客観的な判断を下すことが難しい。
非特許文献3には、ガリウム砒素(GaAs)(311)B面を法線方向とする傾斜基板を用いた、インジウムガリウム砒素(InGaAs)系選択酸化型表面発光レーザが記されている。選択酸化によって形成された光導波(活性)領域の径は6μm×3μmの矩形で、長軸方向は[−233]方向にあたり、偏光方向も[−233]方向となっている。この表面発光レーザにおいては、(311)Bという特殊な面方位を有する傾斜基板を、歪み量子井戸活性層と共に使用することで、直交偏波モード抑圧比(Orthogonal PolarizationSuppression Ratio)30dB以上の特性を得たとしている。この方法は偏光制御に対して非常に有効な手段であると思われるが、(311)B面を法線方向とするGaAs傾斜基板は特殊仕様であるため、最もよく使われる(100)面を法線方向とするGaAs基板に比べコストが割高となる。また、この基板を使用して結晶成長を行うに際しては、広く行われている(100)面上の成長とは温度、あるいはガス流量といった諸条件が大きく異なることが予想され、再現性の良い成長条件を見つけ、実用化するまでには多大のコストと時間とを要する。
Kenichi Iga, Fumio Koyama and Susumu Kinoshita,"Surface Emitting Semiconductor Lasers",IEEE Journal of Quantum Electronics, 1988, 24,pp.1845-1855 伊賀健一、小山二三夫著"面発光レーザ"(オーム社、1990) IEEE フォトニクス・テクノロジー・レターズ 第10巻、633頁(1998年) 特開平10−56233号公報 特表平7−507183号公報 米国特許5,753,941号公報 特開平6−302911号公報
本発明の目的は、比較的簡単な構成でレーザ光の偏光を一定方向に制御することができ、かつ、低しきい値電流、高出力といった良好な電気・光学特性を有する面発光型半導体レーザを提供することにある。また、本発明の目的は、製造が容易で、高出力な基本横モード光を発振することが可能な屈折率導波型の面発光型半導体レーザを提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、下記の手段により、レーザ光の偏光を一定方向に制御することができる面発光型半導体レーザを得た。更に、基本横モード発振に悪影響を与えることなく、高次横モード発振を抑制した高出力の面発光型半導体レーザが得られることを見出した。
本発明の面発光型半導体レーザは、下部多層膜反射鏡、活性層領域、及び前記下部多層膜反射鏡と共に共振器を構成する上部多層膜反射鏡が順次積層された半導体基板と、該上部多層膜反射鏡の上層に設けられ、且つ前記活性層領域で発生したレーザ光の出射領域を構成する開口部が穿設された上部電極と、前記上部電極と前記下部多層膜反射鏡との間に設けられ、電流流路の周縁部を絶縁化して形成された電流狭窄部とを備え、前記上部電極に穿設された開口と、前記電流狭窄部の開口との少なくともいずれか一方の形状が平面内の直交する任意の2軸方向に対して、長短を有する2回対称形状であることを特徴とする。
前記面発光型半導体レーザーは、他方の形状が前記平面内の直交する任意の2軸方向に対して、等方性の形状であることが好ましい。また、前記等方性の形状が、円形、正方形、及び正多角形のうちのいずれかであることが好ましい。
すなわち、前記面発光型半導体レーザは、上部電極に穿設された開口と、電流狭窄部の開口とのいずれか一方の形状が対称形状で、他方の形状が基板平面内で直交する任意の2軸方向に対し、長・短軸を有する2回対称な幾何学形状であることを特徴とする。このような構成に基づく表面発光レーザは、レーザ光の偏波面がその長軸方向に従って揃う性質を有するから、レーザ光の偏波面を一定方向に制御することが可能となる。
前記面発光型半導体レーザは、前記任意の2軸方向が、前記半導体基板の結晶方位が(100)面である場合に、[01−1]および[011]方向の組み合わせ、あるいはこれらと結晶学的に等価な方位の組み合わせであることが好ましい。また、前記長短を有する2回対称形状は、長円形、楕円形、長方形、及びひし形のうちのいずれかであることが好ましい。
本発明によれば、非酸化領域の開口形状、若しくは、上部電極の開口形状の少なくとも一方を、任意の2軸方向に対して長短を有する2回対称な形状としたから、横モードを安定化させながら偏光制御可能な面発光型半導体レーザを簡便に、かつ低コストで実現することができるようになる。また、本発明によれば、製造が容易で、高出力な基本横モード光を発振することが可能な屈折率導波型の面発光型半導体レーザが提供される。これにより、高出力な基本横モード光を発振することが可能な屈折率導波型の面発光型半導体レーザを安価に製造することができ、プリンタ装置、光磁気ディスク装置等、高輝度の基本横モード光出力を要求する用途にも、面発光型半導体レーザを利用することができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の面発光型半導体レーザについて、図1を参照して説明する。有機金属気相成長法(MOCVD法)を使用して、n型GaAs基板51の(100)面上に、n型Al0.9 Ga0.1 As層とn型Al0.3 Ga0.7 As層との積層体よりなる下部多層反射膜52と、アンドープAl0.5 Ga0.5 As層よりなる下部スペーサ層53と、アンドープAl0.11Ga0.89As層よりなる量子井戸層とアンドープAl0.3 Ga0.7 As層よりなる障壁層との積層体よりなる量子井戸活性層54と、アンドープAl0.5 Ga0.5 As層よりなる上部スペーサ層55と、p型AlAs層56と、p型Al0.9 Ga0.1 As層とp型Al0.3 Ga0.7 As層との積層体よりなる上部多層反射膜57と、p型層GaAs層よりなるコンタクト層58とを、順次積層する(図1(a))。
ここで、下部多層反射膜52は、n型Al0.9 Ga0.1 As層とn型Al0.3Ga0.7 As層との複数層積層体よりなるが、各層の厚さはλ/4nr(但し、λは発振波長であり、nrは媒質の屈折率)であり、混晶比の異なるAlGaAs層を交互に40.5周期積層してある。n型不純物として用いたシリコンのキャリア濃度は2×1018cm-3である。
また、上部多層反射膜57は、p型Al0.9 Ga0.1 As層とp型Al0.3 Ga0.7 As層との複数層積層体よりなるが、各層の厚さはλ/4nrであり、混晶比の異なるAlGaAs層を交互に23.5周期積層してある。そして上部多層反射膜57の下層にはAlAs層56が設けられ、これを加えてλ/4nrの膜厚を有する層が24周期積層されて上部多層反射膜を構成している。ただしAlAs層56に関してはλ/4nr膜を構成する材料がすべてAlAsからなる必然性はなく、反対にAlAs層が厚いと光学的散乱損失が増えるといった問題があるので、ここではAlAs層は厚さ20nmとして、残りの部分はAl0.9Ga0.1Asとした。p型不純物である炭素のキャリア濃度は3×1018cm-3である。
上部多層反射膜57の周期数(層数)を下部多層反射膜52のそれよりも少なくしてある理由は、反射率差を設けて出射光を基板上面より取り出すためである。また、詳細は述べないが、素子の直列抵抗を下げる目的で、上部多層反射膜57中には、Al0.9 Ga0.1 As層とAl0.3 Ga0.7 As層との間に、その中間の混晶比を有するAlGaAs中間層が挿入されている。
量子井戸活性層54は、厚さ8nmのアンドープAl0.11Ga0.89As層よりなる量子井戸層と厚さ5nmのアンドープAl0.3 Ga0.7 As層よりなる障壁層とを交互に3組積層した三重量子井戸構造である。ただし、最外層を障壁層として、量子井戸層からのキャリアを溢れ出しを防ぐ関係上、障壁層の数は4層である。これによって波長780nmのレーザ発振を得る。
下部スペーサ層53の下面から上部スペーサ層55の上面までの膜厚は全体でλ/nrの整数倍であり、その間に生ずる定在波のいわゆる「腹」の部分(光強度が最も高い)が量子井戸活性層54の位置に来るよう設計してある。p型GaAs層よりなるコンタクト層58は、厚さ20nmの薄い層であるが、p型不純物である亜鉛のキャリア濃度は1×1020cm-3である。
レーザ基板を成長室から取り出し、基板上面にエッチング時のマスク材料となるSiON71を堆積した後、円形のレジストマスク72を形成し(図1(b))、露出したSiON71の部分をバッファードふっ酸(BHF)で除去する。これをエッチングマスクとしてBCl3:Cl2を原料ガスとする反応性イオンエッチングにより、少なくともAlAs層56が露出するまで掘り下げ、30μm径の円柱状ポスト73を形成する(図1(c))。
エッチングの深さは下部多層反射膜53に到達するまで、あるいはGaAs基板51に到達するまでとしても良く、その深さは本案特許の内容とは直接関係がない。また、ポストの形状はレジストマスク72の形状に対応して変形しうるから、例えば正方形のレジストマスク72を形成し、上方から見た断面形状が正方形の角柱状ポスト73としてもよい。こうして少なくとも上部多層反射膜57をメサ(ポスト)状に加工した後、窒素をキャリアガス(流量:2リットル/分)とする360℃の水蒸気雰囲気に40分間晒す。この工程において、上部多層反射膜の一部を構成するAlAs層56はAl0.9 Ga0.1 As層やAl0.3 Ga0.7 As層に比べ著しく酸化され易いため、外周部からポスト内部にかけて酸化が進行する。この時、ポスト内の一部、活性領域の直上部分に絶縁領域(電流狭窄部)74が形成され、酸化されずに残った非酸化領域75は電流注入領域となる(図1(d))。非酸化領域75の形状はポスト形状を反映して4μm径の円形となったが、角柱状のポストの場合には正方形、若しくは酸化の異方性が生じて長方形となる。なお以降の記述では電流狭窄部74の開口、あるいは非酸化領域75という語を用いるが、実質的に等価なものである。
その後、露出したポスト側面を含む基板上面に保護膜となるSiN76を堆積するが、素子に対する電気的なコンタクトを取るためポスト頂部の一部はこれをエッチングにより除去する。この時、ポスト形成時に用いたSiON71も同時に除去する(図1(e))。それからポスト頂部の中央領域に、基板上方から見た形状が3×5μmの短軸・長軸を有する長円形となるレジストによる構造物77を形成する。ただしこのレジストは後の電極リフトオフ工程に利用するためオーバーハング形状を有するよう形成条件を適切に選ぶ。また長軸方向は結晶方位として[01−1]方向を選んだ。
ここで、構造物77の形状は、長円形以外に、楕円形、長方形、あるいはひし形など幾何学的に2回対称(180°回転すると原形に復帰する形状)の平面形状にしてもよい。
次に上方から電子ビーム蒸着によりp側電極59を構成するTi、Auを連続的に堆積する(図1(f))。膜厚は各々Ti:10nm、Au:30nmである。
そして、このレジスト(構造物77)を除去する際にいわゆるリフトオフを行い、レジスト上の金属材料を取り除く。ポスト頂部にはレジストの径によって画定される長円形の電極開口部78が形成される。また、基板裏面側にはAu−Ge/Ni/Auからなるn側電極60を形成し、最後に窒素雰囲気下、環境温度350℃の熱処理を10分間行って本案特許に係る面発光型半導体レーザが完成する(図1(g))。
図2(a)は本素子を上方から見た場合の構成を示す。円形の非酸化領域を部分的に遮るように長円形の電極開口部が形成されている。
図3は基板上方に放出されたレーザ光をグラン・トムソンプリズムを通してフォトディテクタで検出、測定した光出力−注入電流(偏光L−I)特性である。グラン・トムソンプリズムは偏光子として機能するから、光の進行方向に対して垂直な面内で回転させることで特定方向の偏光成分を有する出力光のみを検出することができる。ここでは特定の注入電流量で光出力が最大となる角度、および最小になる角度の2方向に回転角度を設定して評価を行った。本素子では各々[01−1]方向、および[011]方向である。一般に面発光型半導体レーザは直線偏光特性を示すから、これら2方向は直交している。グラフ中には2方向での光出力の強度比を表すOPSR(Orthogonal Polarization Suppression Ratio:直交偏波抑圧比)もあわせて示した。光出力が最大となる注入電流量7mAでもOPSRが10dBを超え、偏光方向が十分に制御されていることがわかる。本レーザ素子が示す偏光方向である[01−1]方向は、上部電極に穿設した開口の長軸方向に、光出力が最小(若しくは零)となった[011]方向は短軸方向相当する。これは2軸方向で出射開口付近での回折損失に差が生じ、相対的に損失の割合が低い長軸方向の偏光成分が選択された結果と考えることができる。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明の第2の実施の形態の面発光型半導体レーザについて説明する。上記第1の実施の形態においては上部電極に穿設された開口の形状が任意の2軸方向に長短を有する2回対称な形状からなっていたが、本実施形態では電流狭窄部(酸化領域)の開口の形状が任意の2軸方向に長短を有する2回対称な形状からなっている。レーザの縦(積層)構造は上記第1の実施の形態と同一なので説明を省略する。
レーザ基板を成長室から取り出し、基板上面にエッチング時のマスク材料となるSiON71を堆積した後、基板上方から見た形状が30×31μmの短軸・長軸を有する長円形のレジストマスク72を形成し、露出したSiON71の部分をBHFで除去する。これをエッチングマスクとしてBCl3:Cl2を原料ガスとする反応性イオンエッチングにより、少なくともAlAs層56が露出するまで掘り下げ、30×31μm径のポスト73を形成する。ポストを上方から見た場合の形状は、長円形となる。この時、長軸方向は結晶方位として[01−1]方向となるよう設定した。
また、ポストの形状はレジストマスク72の形状に対応して変形しうるから、例えば楕円形、長方形、あるいはひし形など幾何学的に2回対称(180°回転すると原形に復帰する形状)の平面形状を有するレジストマスク72を形成し、上方から見た断面形状が長軸・短軸を有するポスト73としてもよい。
この後、熱酸化工程を経ると非酸化領域75の形状はポスト73の形状を反映して、長・短軸の長さが3×4μm径の長円形となった。
さらにポスト頂部の中央領域に4μm径の円形のレジスト構造物77を形成した後、上方から電子ビーム蒸着によりTi、Auを連続的に堆積する。リフトオフによりレジスト上の金属材料を取り除くと、ポスト頂部にはレジストの径によって画定される電極開口部78が形成される。ここでは円形の電極開口部78が得られる。図2(b)は本素子を上方から見た場合の構成を示す。長円形の非酸化領域を囲むように部分的にこれよりもやや大きい円形の電極開口部が形成されている。
第1の実施の形態と同様、本素子について測定した偏光L−I特性を図4に示す。比較のため電極開口部78の径を8μmとした素子の結果も合わせて示した。これによると非酸化領域75の開口径(ここでは3×4μm)に比しておよそ2倍の電極開口部径を有する8μm径の素子では、偏光特性に乱れが生じているのに対し、電極開口部78が4μm径の素子ではポスト形成の際、長軸方向とした[01−1]方向に偏光方向が揃い、これと直交する成分は低く抑えられていることがわかる。これは電極開口部78が8μm径の素子ではマルチモード発振に伴うモード競合の結果、モード毎に異なる偏光成分の重ねあわせが観測されていると考えられるのに対して、4μm径の素子では以下に述べる電極開口による高次モード抑制効果が機能し、基本モードによる発振が支配的となっているから、主にこのモードに由来する偏光成分が現れ、結果的に偏光特性が改善されたと見ることができる。ここで、構造物77の形状は、円形以外に、正方形にしてもよい。
他に非酸化領域の径を4×3μm、あるいは5×3μmと変化させ、電極開口部78を各々4μm、5μm径とした場合の偏光L−I特性を図5に示す。この例では長軸方向が[011]方向となるよう設定した。いずれの場合にも小径(典型的には非酸化領域の径に対して±1μm程度)の電極開口の効果が認められ、非酸化領域の径と同等かやや大きい程度の電極開口を用いることで、偏光のばらつきを改善することができた。非酸化領域の径に比べ電極開口の径が十分に大きい場合(典型的には非酸化領域の最大径よりも+3μm以上)には、図4(b)の場合と同様、マルチモード発振のために偏光特性に乱れが生じた(結果省略)。
ところで、非酸化領域の径を対称形状とした場合は、高次モード抑制の効果は見られても、偏光特性に直交モード間でのスイッチングが観測されることがあり、2回対称形状とした場合に比べ制御性が劣る。図6は非酸化領域の径を4μmφとした場合に、電極開口部78を各々4μm、8μm径とした場合の偏光L−I特性である。電極開口部78が4μm径の素子は図に示す出力範囲で基本モード発振していることを、これとは別の発振スペクトル測定で確認している。中には偏光特性が揃ったものも含まれているが、多くの素子で直交モード間での偏光スイッチングが観測され、非酸化領域の形状に長・短軸を導入した場合とは様相が異なることがわかる。電極開口部78が8μm径の素子は横モードの制御がなされていないせいで発振直後から偏光特性の乱れを生じた。
この結果から、非酸化領域の形状に長・短軸を導入することで直交モード間での偏光特性に差異が生じ、長軸方向への偏光モードが優位性を持ったこと、さらにそこへ横モード制御に効果的な電極開口を設けたことで高次モードに基因する偏光成分が抑制されたこと、のふたつが相乗効果を表して偏光制御性の向上に寄与したものと考えられる。
なお、熱酸化工程に際し、ポストの長・短軸方向の、基板面方位に対する結晶方位の設定の仕方いかんによっては、非酸化領域75の形状は長円形とはならず、楕円形や、場合によってはひし形様のものになることがある。しかしながら発明者の実験によれば非酸化領域75の形状が基板平面内の直交する任意の2軸方向に対して、長短を有する2回対称形状であることが重要であって、この条件を満足すれば偏光特性の制御性は保たれた。
前記第1、および第2の実施の形態においては上部電極に穿設された開口、あるいは電流狭窄部の開口形状が平面内の直交する任意の2軸方向に対して、長短を有する2回対称形状であることが偏光制御の要件であるとしたが、この任意の2軸方向については特に半導体基板の結晶方位が(100)面である場合に、[01−1]および[011]方向の組み合わせ、あるいはこれらと結晶学的に等価な方位の組み合わせの時に効果が大きいことが実験的に確認されており、より好ましい実施の形態である。
次に、下部多層膜反射鏡、活性層領域、及び前記下部多層膜反射鏡と共に共振器を構成する上部多層膜反射鏡が順次積層された半導体基板と、該上部多層膜反射鏡の上層に設けられ、且つ前記活性層領域で発生したレーザ光の出射領域を形成する開口部が穿設された上部電極と、前記上部電極と前記下部多層膜反射鏡との間に設けられ、電流流路の周縁部を絶縁化して形成された電流狭窄部とを備えた面発光型半導体レーザにおいて、基本横モード発振に悪影響を与えることなく、高次横モード発振を抑制した高出力を得るため、出射領域に対応する領域の共振器の反射率及び上部電極に対応する領域の共振器の反射率に基づいて、レーザ光の高次横モードにおける共振器の光学損失とレーザ光の基本横モードにおける共振器の光学損失との差が大きくなるように、上部電極の開口部径及び電流狭窄部の開口部径を定めることについて説明する。
レーザ光の高次横モードにおける共振器の光学損失は、通常、レーザ光の基本横モードにおける共振器の光学損失より大きくなる。ここでの共振器の光学損失の差は、レーザ光の高次横モードにおける共振器の光学損失からレーザ光の基本横モードにおける共振器の光学損失を減じた場合の差を意味している。この共振器の光学損失の差は大きいほど好ましく、共振器の光学損失の差が極大値近傍の値となるように、上部電極の開口部径及び電流狭窄部の開口部径を定めることがより好ましい。
また、上部電極に対応する領域の共振器の反射率は、上部多層膜反射鏡の直上に上部電極が設けられた領域を含んで構成される共振器の反射率であり、出射領域に対応する領域の共振器の反射率は、上部多層膜反射鏡の出射領域となる領域を含んで構成される共振器の反射率である。
前記面発光型半導体レーザにおいては、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を低くするほど、上部電極の開口部径を増加させる度合いを大きくすることができる。また、上部電極の開口部径を、電流狭窄部の開口部径と同等または電流狭窄部の開口部径より大きくすることができる。また、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が、前記出射領域に対応する領域の共振器の反射率よりも低くなるようにすることができる。さらに、出射領域に対応する領域の共振器の反射率を低くするほど上部電極の開口部径を増加させ、出射領域に対応する領域の共振器の反射率を高くするほど上部電極の開口部径を減少させることができる。
以下に、本発明における基本横モード光出力増加の原理を説明する。図7に示す面発光型半導体レーザにおいて、電流狭窄部24の開口部の開口径を電流狭窄部の開口径(Woxide)、電極開口部27の直径を電極開口径(Wmetal)と定義して、電流狭窄部の開口径及び電極開口径の値を種々変更して、基本横モードにおける共振器の周回損失及び規格化した周回損失の差分を計算した。なお、図7に示す面発光型半導体レーザは、多層膜反射鏡の反射率、電流狭窄部の開口径及び電極開口径の値が異なる以外は、後述する面発光型半導体レーザと同じ構成(図12(g)に示す)であり、一対のDBR層が共振器を構成している。図12(g)に示す面発光型半導体レーザと同じ構成部分には、同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、電流狭窄部の開口径を3.5μmで一定とした場合に、基本横モード(0次モード)における共振器の周回損失を電極開口径の関数として示したものである。出射領域に対応する領域の共振器の反射率(Rcavity)を99.4%と仮定し、上部電極に対応する領域の共振器の反射率(Rmetal)を75%から99%まで変化させた。また、各反射率(Rmetal)について電極開口径の値を1.5〜6.0μmまで変化させた。周回損失の増加は発振が生じにくくなる方向へ働く。グラフから分かるように、基本横モードにおける共振器の周回損失だけを見れば、上部電極に対応する領域の共振器の反射率の低下は基本横モードにおける損失を増大させるので、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が高く、電極開口径が大きい方が、基本横モードの発振にとって好ましい。
ここで問題となるのが高次モードの挙動である。電極開口径を大きくすると、出射開口の中心部よりもその周辺部で光強度が高い高次モードに対しても発振を容易化する方向へ働く。このため、電極開口径を大きくした場合には、基本横モードへの影響と高次モードへの影響のいずれか大きくなるかを検討する必要がある。
図9は、電流狭窄部の開口径を3.5μmで一定とし、出射領域に対応する領域の共振器の反射率を99.4%と仮定して、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を75%から99%まで変化させた場合に、1次横モードにおける共振器の周回損失と基本横モードにおける共振器の周回損失との差分を基本横モードにおける共振器の周回損失で除算した値(以下、「規格化した周回損失の差分」と称する)が、電極開口径の大きさによりどのように変化するかを表したものである。ここで、規格化した周回損失の差分の増加は、1次横モードの周回損失の増加の割合が、基本横モードの周回損失の増加の割合を上回ることを意味しており、相対的に1次横モードの発振が生じにくくなり、結果的に1次横モードよりも基本横モードの発振が有利となる。この1次横モードの概念を高次横モードに拡張することが可能であり、規格化した周回損失の差分の増加は、高次横モードよりも基本横モードの発振が有利となることをも意味している。
実際には、基本横モードと高次横モードとの間のレーザ発振は、周回損失の相対的な割合だけで選択されるわけではないから、基本横モード発振と高次横モード発振とが共存することになる。しかしながら、図9に示すように、各反射率(Rmetal)における規格化した周回損失の差分は、所定の電極開口径においてピーク値を有する。このピーク値に対応する電極開口径の付近にある電極開口径を用いれば、高次横モードよりも基本横モードの発振に対して有利になる、即ち高次横モードが抑圧されることがわかる。
また、図9から、上部電極に対応する領域の共振器の反射率に応じて、ピークを示す電極開口径やピークの急峻性が変化することがわかる。例えば、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が95%の場合は、電極開口径が3.3μmのときに規格化した周回損失の差分が最大となる。即ち、3.3μmが最適な電極開口径である。また、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が90%の場合は電極開口径が4.0μm、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が85%の場合は電極開口径が4.2μm、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が80%の場合は電極開口径が4.6μm、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が75%の場合は電極開口径が4.8μmで、規格化した周回損失の差分が最大となる。従って、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が75%〜99%の範囲では、電極開口径は3.3μm〜4.8μmの範囲が好ましい。
また、上部電極に対応する領域の共振器の反射率は、95%のときピークの急峻性が高くなり、90%、85%、80%、75%と低下するのに応じて、ピークがより急峻になり、規格化した周回損失の差分が増加する。即ち、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を95%、90%、85%、80%、75%と低下させると、高次横モードよりも基本横モードの発振に対してより有利となる。なお、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が75%を下回ると、高次横モードと共に基本横モードも抑制されて光出力が減少する。
以上の結果から予測される、Rcavity、Rmetal 、Woxideの各値が定まった場合のWmetalの最適値を表1に示す。なお、例5〜例7のRcavity、Rmetal、Woxide、及びWmetalの各値は実測値である。
Figure 2008028424
また、この結果から導かれるWmetalの好適範囲を示す。図10に示す通り、出射領域に対応する領域の共振器の反射率(Rcavity)が99.0%〜99.7%、上部電極に対応する領域の共振器の反射率(Rmetal)が75%〜95%の範囲では、電流狭窄部の開口径(Woxide)が3.0μmに対し、電極開口径(Wmetal)は3.0μm〜5.0μmが好ましい。また、Woxide3.5μmに対しては、Wmetalは3.2μm〜5.2μmが好ましい。Woxide4.0μmに対しては、Wmetalは3.5μm〜5.5μmが好ましい。Woxideが4.5μmに対しては、Wmetalは4.0μm〜6.0μmが好ましい。
また、最適な電極開口径の近傍の電極開口径においては、規格化した周回損失の差分が、電極開口径が最適値を取る場合と大きくは相違しないので、所定範囲の電極開口径が許容され、電極開口径を電流狭窄部の開口径より大きくする場合は、電流狭窄部の開口径プラス0〜2μmの範囲で大きくし、電極開口径を電流狭窄部の開口径より小さくする場合は、電流狭窄部の開口径マイナス0〜1μmの範囲で小さくしても、最適な電極開口径をとる場合と略同様の効果を得ることができる。
図11は、電流狭窄部の開口径を3.5μmで一定とし、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を90%と仮定して、出射領域に対応する領域の共振器の反射率を99.0%、99.4%、99.7%と変化させた場合に、規格化した周回損失の差分が、電極開口径の大きさによりどのように変化するかを表したものである。図11に示すように、出射領域に対応する領域の共振器の反射率が高くなると、規格化した周回損失の差分がピーク値を示す電極開口径も僅かながら大きくなることがわかる。出射領域に対応する領域の共振器の反射率が99.0%〜99.7%の範囲では、電極開口径は3.8μm〜4.2μmが好ましい。また、出射領域に対応する領域の共振器の反射率が高くなるほど、高次横モードよりも基本横モードの発振に対してより有利となる。なお、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が90%であり出射領域に対応する領域の共振器の反射率が99.0%である場合と、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が90%であり出射領域に対応する領域の共振器の反射率が99.7%である場合の変化曲線を、図9にも破線で併記した。
従って、上部電極に対応する領域の共振器の反射率及び出射領域に対応する領域の共振器の反射率に応じて、電流狭窄部の開口径に対して電極開口径を最適化することにより、基本横モード発振を効率よく得ることができる。また、出射領域に対応する領域の共振器の反射率が100%では光が取り出せないが、95%以下ではレーザ発振を得難い。このため、通常は99%以上とされることから、実質的には、上部電極に対応する領域の共振器の反射率に応じて、電流狭窄部の開口径に対して電極開口径を最適化することにより、基本横モード発振を効率よく得ることができる。
以上説明してきたように、本発明の面発光型半導体レーザによれば、基本横モード発振の特性を損なうことなく、副次的に発生する高次横モードのレーザ発振条件を選択的に抑制することができ、基本横モード出力を高めることができる。
次に、下部多層膜反射鏡、活性層領域、及び前記下部多層膜反射鏡と共に共振器を構成する上部多層膜反射鏡が順次積層された半導体基板と、該上部多層膜反射鏡の上層に設けられ、且つ前記活性層領域で発生したレーザ光の出射領域を形成する開口部が穿設された上部電極と、前記上部電極と前記下部多層膜反射鏡との間に設けられ、電流流路の周縁部を絶縁化して形成された電流狭窄部とを備えた面発光型半導体レーザにおいて、基本横モード発振に悪影響を与えることなく、高次横モード発振を抑制した高出力を得るため、レーザ光の高次横モードにおける共振器の光学損失とレーザ光の基本横モードにおける共振器の光学損失との差が大きくなるように、上部電極の開口部径及び電流狭窄部の開口部径を定めることについて説明する。
前記面発光型半導体レーザにおいては、上部電極の開口部径を高次横モードを抑圧する値に定め、且つ電流狭窄部の開口部径を3次以下の高次横モードを許容する値に定めることができる。また、上部電極の開口部径を電流狭窄部の開口部径より大きくする場合は、約2μm以下の範囲で大きくし、上部電極の開口部径を電流狭窄部の開口部径より小さくする場合は、約1μm以下の範囲で小さくすることができる。また、電流狭窄部の開口部径は約3μm〜約5μmであることが好ましい。
レーザ光の高次横モードにおける共振器の光学損失がレーザ光の基本横モードにおける共振器の光学損失より大きくなるように、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が、出射領域に対応する領域の共振器の反射率よりも低くなるようにすることができる。上部電極に対応する領域の共振器の反射率は、95%以下であることが好ましく、80%以下であるとより好ましい。
上部電極を設けることにより、共振器の反射率を低下させる方法としては、以下の方法がある。これらの方法によれば、特殊形状の反射率低下構造を設けることなく上部電極に対応する領域の共振器の反射率を低下させることができ、製造が容易である。
(1)上部電極を、2種以上の金属材料を積層して形成する方法。
(2)上部電極を、金属材料からなる薄膜を形成した後、この薄膜を250℃〜400℃の温度範囲で熱処理し、薄膜とこれに隣接する層との間で合金化を進行させて形成する方法。
上部電極を構成する金属材料は、Au、Pt、Ti、Zn、Ni、In、W、Cu、Al、Au−Sn合金、Au−Zn合金、Au−Ge合金、及び酸化インジウムスズ(ITO)から選択されることが好ましく、金属材料からなる薄膜は、金属蒸着により形成することができる。
熱処理は300℃〜350℃の温度範囲で行うことがより好ましく、熱処理の方法は、赤外線によるフラッシュランプアニール、レーザアニール、高周波加熱、電子ビームによるアニール、及びランプ加熱から選択されるいずれかの方法により行うことが好ましい。
電流狭窄部は、電流流路の周縁部を酸化またはエッチングによる空隙化により絶縁化して形成することができる。
なお、本発明の面発光型半導体レーザは、上部に、下部多層膜反射鏡、活性層領域、及び上部多層膜反射鏡が順次積層され、下部に、下部電極が設けられた半導体基板と、該上部多層膜反射鏡の上層であって前記活性層領域で発生したレーザ光の出射中心の周辺部に出射口部を取り囲むように設けられ、前記下部電極と対をなし前記活性層領域に電流注入するための金属材料からなる上部電極と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、電流流路の周縁部を絶縁化して形成された電流狭窄部と、を備え、その上部に前記上部電極が設けられた出射中心の周辺部の多層膜反射鏡の反射率が、出射中心の多層膜反射鏡の反射率よりも低くなるようにし、該反射率の低下の程度に応じ、前記出射口部の径を前記電流狭窄部の径より大きくする度合いを大きくしたことを特徴とする態様であってもよい。
前記面発光型半導体レーザ(VCSEL)について更に説明する。VCSELの構造を、各製造工程を示す図12(a)〜(g)に従って説明する。
n型GaAs基板1上に、有機金属気相成長(MOCVD)法を用いて、n型GaAsバッファ層2、下部n型DBR層3、活性領域4、p型AlAs層5、上部p型DBR層6、及びp型のGaAsコンタクト層7を順次積層する(図12(a))。
n型GaAsバッファ層2は、膜厚は0.2μm、n型の不純物となるSiをドーピングした後のキャリア濃度が1×1018cm-3のn−GaAsからなり、その後のAlを含むエピタキシャル成長をスムーズに進める役割を果たす。
下部n型DBR層3は、n型のAl0.9Ga0.1Asとn型のAl0.3Ga0.7Asとを、各層の膜厚がλ/4nr(ただし、λはレーザの発振波長、nrは構成する媒質の屈折率)となるように交互に40.5周期積層した複数層積層体であり、キャリア濃度は3×1018cm-3である。
活性領域4は、膜厚9nmのアンドープのAl0.11Ga0.89Asよりなる量子井戸層と、膜厚5nmのアンドープのAl0.3Ga0.7Asよりなる障壁層と、量子井戸層及び障壁層を挟み込むアンドープのAl0.5Ga0.5Asよりなるスぺーサ層(膜厚については後述)とで構成された積層体である。量子井戸層の層数は所望の特性(発振波長)により適宜決定されるが、本実施の形態では、量子井戸層3層と障壁層4層とを含んで構成され、発振波長780nmを得ることができる。スペーサ層の膜厚については、これが実質的な光共振器となることから、活性領域4の厚みがλ/nrの整数倍となるよう設定して、その間に生ずると想定される定在波の腹の部分が、量子井戸層に相当する位置にくるよう設計する。
p型AlAs層5は、後に水蒸気により酸化処理が行なわれる層である。上部p型DBR層6の一部(最下層)を構成することから、p型AlAs層5の膜厚は基本的にはλ/4nrである。しかし、実際にはλ/4nr膜を構成する材料がすべてAlAsからなる必然性はなく、反対にAlAs層が厚いと光学的散乱損失が増えるという問題があるので、本実施の形態では、AlAs層自身は20nmとして、λ/4nr膜を構成する残りの部分はAl0.9Ga0.1Asとした。また、p型の不純物となるMgをドーピングした後のキャリア濃度は1×1018cm-3である。
上部p型DBR層6は、p型のAl0.9Ga0.1Asとp型のAl0.3Ga0.7Asとを、各層の膜厚がλ/4nrとなるように交互に29.5周期積層した複数層積層体であり、キャリア濃度は3×1018cm-3である。また、素子の直列抵抗、とりわけ不純物の取り込みが難しく、キャリア濃度を上げにくいp型の導電性を有する多層反射膜に生ずる電気的抵抗を下げることを目的として、上部p型DBR層6中にはAl0.9Ga0.1AsとAl0.3Ga0.7Asとの界面にAl組成比を90%から30%まで段階的に変化させた膜厚9nmの中間層を設けてもよい。
p型のGaAsコンタクト層7は、膜厚は10nm、p型の不純物となるZnをドーピングした後のキャリア濃度が1×1019cm-3のp−GaAsからなり、その後の電極形成の際、オーミックコンタクトを得る役割を果たす。
ここで原料ガスとしては、結晶成長材料にはトリメチル・ガリウム、トリメチル・アルミニウム、アルシンを用い、p型用ドーパント材料にはシクロ・ペンタ・ジニエル・マグネシウム、およびジメチル・ジンクを用い、n型用ドーパント材料にはシランを用いる。結晶成長時の基板温度は750℃とし、真空を破ることなく、原料ガスを順次切替えながら連続して結晶成長を行う。
次に、レーザ基板を成長室から取り出し、基板上面にSiON膜21を堆積した後、レジストマスク22を形成する(図12(b))。このレジストマスク22を用いて、BCl3:Cl2をエッチャントとする反応性イオンエッチングにより、少なくともAlAs層5が露出するまで、即ち下部n型DBR層3の上面に到達するまでエッチングを行って30μm径の円柱状ポスト23を形成し、レジストマスク22を除去する(図12(c))。なお、エッチングはAlAs層5が露出する深さまで行えばよいが、GaAs基板1までエッチングするようにしてもよい。
これを360℃の温度に保たれた電気炉内に格納し、水蒸気雰囲気下で窒素をキャリアガス(流量:2リットル/分)として40分間の熱処理を行い、ポスト外周部からAlAs層5を選択的に酸化させる。これにより活性領域4の直上部分に直径3.5μmの円形の開口部を有する高抵抗化した電流狭窄部(酸化領域)24が形成される(図12(d))。またこの時、酸化されずに残った非酸化領域が電流注入領域となる。
その後、露出したポスト側面を含む基板上面にSiN保護膜25を堆積し、電気配線とコンタクトを取るため、ポスト頂部の中央領域のSiN保護膜25及びSiON膜21を除去して、p型のGaAsコンタクト層7を露出させる(図12(e))。
SiN保護膜25及びSiON膜21が除去されたポスト頂部の中央領域に、基板上方から見た形状が円形で所定直径(3〜20μm)のオーバーハング形状を有するレジストによる構造物26を形成し、その上方からEB(電子ビーム)蒸着によりp側電極(上部電極)8となるTi、Auを連続的に堆積する(図12(f))。各金属材料の膜厚はTi:10nm、Au:30nmとした。
次に、このレジストによる構造物26を除去することでいわゆるリフトオフを行い、構造物26上の金属材料を取り除く。ポスト頂部にはレジスト径によって3〜20μmの範囲で画定される電極開口部27が形成される。また、基板裏面側にはn側電極9としてAu/Au−Geを蒸着する。最後に窒素雰囲気下、環境温度350℃の熱処理を10分間行い、VCSELが完成する(図12(g))。
以上の工程を経て作製されたVCSELにおいては、上部電極に対応する領域の共振器の反射率が低下するのに対して、上部電極が形成されない出射領域に対応する領域の共振器の反射率は高いまま維持される。このような状態にある素子について電気光学的評価を行い、電極開口径と光出力との関係を求めたのが図13である。グラフには発振スペクトルのSMSR(Side Mode Suppression Ratio:副モード抑圧比)が20dB以上という基準で定義された基本横モード光出力と、この制限なしに得られた正味の光出力(高次横モード発振によるものを含む)の両者について、電極開口径への依存性が示されている。
本実施の形態のように電流狭窄部の開口径が3.5μmの場合、電極開口径が増大するに連れて正味の光出力は単調に増加し、徐々に飽和する。これは電流狭窄部の開口径に対して電極開口径が十分な大きさになるまでは、活性領域から放射された光の一部が遮られ、消滅する(光損失となる)ことを意味している。
一方、基本横モード光出力は電極開口径が4μmの時に最大値を示し、この値を超えると急激に減少する。これは電極開口径が4μm近傍で高次横モードの発振が抑制され、基本横モードの発振が選択されたことを意味する。即ち、本実施の形態では、このような現象(空間モードフィルタリング効果)が基本横モード発振を得るために効果的に機能するのは、電流狭窄部の開口径よりも電極開口径が0.5μm大きい場合(電極開口径が4μmの場合)である。
以上の通り、前記VCSELでは、低しきい値、高効率、高速応答等の特性を有する屈折率導波型のVCSELにおいて、基本横モード発振時の光出力を飛躍的に向上させることができる。
前記VCSELでは電流狭窄部の開口径を3.5μm(一定)とした場合に電極開口径を変化させた時の基本横モード光出力の挙動について述べたが、次に、電流狭窄部の開口径が変化した場合の例を挙げ、基本横モード光出力の電極開口径に対する依存性を示す。
レーザの構造自体は前記のVCSELと変わるところはないので省略する。AlAs層5を選択的に酸化する際の熱処理時間を調整して、電流狭窄部の開口径が3μm、4μm、5μmの素子を作製した。
第1の実施の形態と同様に電気光学的評価を行い、電極開口径と光出力との関係を求めた。結果を図14に示す。グラフには発振スペクトルのSMSRが20dB以上という基準で定義された基本横モード光出力について電極開口径への依存性が示されている。比較のため、第1の実施の形態で求めた電流狭窄部の開口径が3.5μmの素子に関するデータも再プロットしてある。電流狭窄部の開口径が3μmの場合、基本横モード光出力は電極開口径が4μmの時に最大値を示し、電流狭窄部の開口径が4μmの場合、基本横モード光出力は電極開口径が4.5μmの時に最大値を示し、電流狭窄部の開口径5μmの場合、基本横モード光出力は電極開口径が5μmの時に最大値を示し、各々この値を超えると急激に減少した。但し、基本横モード光出力が最大値を示した時の絶対値は電流狭窄部の開口径が3.5μmの場合が最も高く、次いで4μm、3μm、5μmの順となった。以上の結果から分かるように、電流狭窄部の開口径3.5μmの場合と同様、基本横モード発振を得るために効果的に機能する電極開口径には最適値が存在し、その値は電流狭窄部の開口径に応じて変化する。電流狭窄部の開口径が3.0〜5.0μmの範囲では、電極開口径は電流狭窄部の開口径より0〜1μm大きい値とするのが好ましく、電流狭窄部の開口径が大きくなるほど、電極開口径と電流狭窄部の開口径との差が小さい方が好ましい。
一方、分布反射層の一部を周縁部から熱的に酸化して電流狭窄部を形成する選択酸化型VCSELの横モード特性は、電流狭窄部の開口径(内径)に強く依存することが知られ、典型的にはこの径が5μm以下(この条件の下では、3次以下の低次の高次横モード出力は許容されている)であれば基本横モード発振が得られる。これは周囲の半導体材料よりも屈折率の低い電流狭窄部(酸化領域)が、電流の閉じ込めのみならず、光の閉じ込めにも関与しているためであり、さらにこの径が狭まると、ついには高次モード発振が許容されず、基本横モード発振しか示さない状態に至る。その値は文献等によれば3μm以下と推定されている。これよりも大きい場合は発振しきい値近傍では基本横モード発振が得られても、電流注入と共に高次モード発振を生じて、基本横モードにおける発振出力は制限を受ける。従って、基本横モード光出力の向上が必要となるのは、電流狭窄部の径が3μmよりも大きい場合であり、電流狭窄部の開口径は3μm〜20μmの範囲で適宜選択することができる。
これらの結果を総合すると、電極開口径と電流狭窄部の開口径との関係を、出射領域に対応する領域の共振器の反射率及び上部電極に対応する領域の共振器の反射率の差または比率に応じて、規格化した周回損失の差分ができるだけ大きくなるように決定することで、VCSELにおいて、高次横モード発振が抑制され、基本横モード発振が選択的に得られることが分かる。なお、規格化した周回損失の差分ができるだけ大きくなるように決定することで、電極開口径が所定範囲内に制限され、電流狭窄部の開口径よりも十分大きな電極開口径を有する従来のVCSELに比べ、レーザ光のビーム放射角(ビームダイバージェンスアングル、ビーム広がり角ともいう)が小さくなる傾向も見られ、光ファイバとの直接結合時に結合効率を高めることが可能である。
なお、以上のような方法で決定された電極開口径と電流狭窄部の開口径を有する素子について、ビーム広がり角を測定したところ、電極開口径と電流狭窄部の開口径の双方に依存する特徴的な特性が得られることが判明した。図15は横軸に電極開口径を取り、縦軸にビーム広がり角を取った場合のグラフであり、パラメータとして電流狭窄部の開口径が3.5μmと5μmの場合を示した。いずれの場合もビーム広がり角が電極開口径に対して極小点を持つことがわかる。また、電流狭窄部の開口径よりも十分に大きな電極開口径(電極開口径15μmの場合に相当)を有する従来のVCSELにおけるビーム広がり角は、極小点から3〜6deg.増大していることが分かる。電流狭窄部の開口径が5μmの素子については基本横モード光出力の最大値が得られた電極開口径5μmの時にビーム広がり角も最小となったが、電流狭窄部の開口径が3.5μmの素子については同じく基本横モード光出力の最大値が得られた電極開口径4μmでは、それよりも電極開口径が小さい場合よりは低下したものの最小値には到達しなかった。ただし、電極開口径4〜6μmの範囲では、電極開口径15μmの場合より低い値となっており、ビーム広がり角の低減効果が見られる。電流狭窄部の開口径が3.5μmと5μmとの間で、電極開口径15μmの場合にビーム広がり角の大小が逆転したのは3.5μm素子が電極開口径にかかわらず基本横モード発振を維持しているのに対し5μm素子は高次モードが現れているためと考えられる。
前記の2つの例では、TiとAuという2種類の電極材料を用いて、Ti:10nm、Au:30nmの膜厚でEB蒸着し、蒸着後に環境温度350℃で熱処理を10分間行って上部電極を形成し、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を低下させる例について説明したが、以下に、上部電極を設けることにより共振器の反射率を低下させる方法について説明する。
上部電極を設けることにより共振器の反射率を低下させる方法としては、例えば、以下の2つの方法がある。(1)上部電極を、2種以上の金属材料を積層して形成する方法。例えば、図16は、GaAs基板上にAuを蒸着したサンプルと、GaAs基板上にAu/Tiを蒸着したサンプルとを作製し、GaAs基板側からAu/GaAs界面、Au/Ti/GaAs界面へ白色光を各々入射させ、所定の波長領域での相対反射強度を測定した結果である。これによるとAu/GaAs界面にTiを挿入して金属膜を二つ以上の金属材料から構成することで、挿入しなかった場合に比べ相対反射強度が大きく低下していることがわかる。このことから基板上に積層する金属膜の種類によって金属/GaAs界面の相対反射強度を制御しうることが実験的に証明された。従来より半導体レーザ素子のコンタクト層にオーミック電極を形成する際、しばしばAuが用いられてきたが、さらにまた別の金属材料をAu/GaAs界面に挿入して複数の金属材料で電極を形成することにより、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を大きく低下させることができる。
電極材料は特に制限されず、幅広い材料の中から選択することができるが、Au、Pt、Ti、Zn、Ni、In、W、Cu、Al、Au−Sn合金、Au−Zn合金、Au−Ge合金、及びITO(酸化インジウムスズ)から選択されるのが好ましく、例えば、Tiに加えてPtを積層したり、Tiに代えてCrやAu−Sn、Au−Zn、Au−Ge、Au−Ge/Ni、ITO等を用いることができる。但し、電流注入のためのワイヤリングを行なう関係から、Auワイヤと溶融性結合が容易なAuが、活性層から遠い側の金属材料であることが望ましい。また、蒸着はEB蒸着に限定されるものではなく、抵抗加熱法、スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、CVD法を用いて行ってもよい。また、上部電極の各金属材料の膜厚は特に限定されるわけではなく、最外層は100〜1000nmの範囲であればよく、その他の層は2〜100nmの範囲であればよい。
(2)上部電極を、金属材料からなる薄膜を形成した後、この薄膜を250〜400℃の温度範囲で熱処理し、薄膜とこれに隣接する層との間で合金化を進行させて形成する方法。例えば、図17はGaAs基板上にAu/Tiを蒸着した後、窒素雰囲気下において環境温度250〜350℃の熱処理を行ったサンプルと熱処理しなかったサンプルに対して、GaAs基板側からAu/Ti/GaAs界面へ白色光を各々入射させ、相対反射強度を測定した結果である。これによると熱処理を行うことで、熱処理しなかった場合に比べ相対反射強度は環境温度に応じて低下していることがわかる。このことからAu/Tiを蒸着後に適当な温度で熱処理を行うことによって金属/GaAs界面の相対反射強度を制御しうることが実験的に証明された。従来より半導体レーザ素子のコンタクト層にオーミック電極を形成する際、しばしば熱処理が行われてきたが、適当な雰囲気と環境温度を選択することにより、出射領域に対応する領域に比べ、上部電極に対応する領域の共振器の反射率を大きく低下させることができる。
熱処理時の環境温度は、250〜400℃といった電極が高温の熱処理に基因するボールアップによって硬化しない程度の範囲で適宜選択すればよく、300〜350℃の環境温度で熱処理を行うことがより好ましい。熱処理の時間についても特に限定されるものではなく、所望の効果が得られる範囲で適宜選択すればよい。実験では数十秒といった短い時間でも効果は現れており、逆に30分間、あるいは1時間といった長時間の熱処理を行なっても特に効果が増すということはなかった。熱処理の方法としては、赤外線によるフラッシュランプアニール、レーザアニール、高周波加熱、電子ビームによるアニール、及びランプ加熱等を用いることができる。
上記第1〜第3の実施の形態では、円柱状ポストを設け、電極開口部の形状も円形としたVCSELの例について説明したが、ポスト形状を角柱状とし、電極開口部の形状を円形としても同様の効果を得ることができる。角柱状ポストを元に形成される電流狭窄部の形状は多くの場合四角であり、発光領域もキャリアが注入される領域の形状に対応してやはり四角形状となる。しかしながら、エルミート−ガウシアンモード近似で求められるレーザ発振時の横モード形状は、電流狭窄部の形状が円形であっても四角形であってもほとんど変わりがない。このことからもポスト形状に関しては本発明の効果にとって本質的な問題ではない。なお、電流狭窄部の開口径の見積りについては、円形の場合の直径と、四角形の場合の辺の長さが対応すると考えれば良い。
上記第1〜第3の実施の形態では、光強度の高い箇所で酸化層による光の閉じ込めを行うことで、低しきい値化を図るために、選択酸化を受けるAlAs層を共振器内に立つ定在波の腹の部分に位置するように挿入した例について説明したが、本発明は、光の閉じ込めを弱め、横モードの制御性を高めるために、AlAs層の挿入位置を定在波の節の部分へ移動させた構成の素子に対しても適用可能である。しかしながら、光の閉じ込めの程度により、最も効率的に基本横モード発振が選択される電極開口径と電流狭窄部の開口径との数値的関係(最適値)が変化する可能性がある。具体的には、電流狭窄部の開口径が3.5μmのとき、AlAs層を共振器内に立つ定在波の腹の部分に位置するように挿入した場合に、電極開口径の最適値が4.0μmであったとすると、AlAs層の挿入位置を定在波の節の部分へ移動させた場合には、電極開口径の最適値が4.5〜5.5μmへとシフトすることが予想される。しかしながらこれらは設計事項の範囲内にあり、本案の蓋然性をなんら否定するものではない。
上記第1〜第3の実施の形態では、下部電極をn型とし、上部電極をp型としたが、下部電極をp型とし、上部電極をn型とすることもできる。いずれをn型あるいはp型としても、本発明の効果を発現するものである。
上記第1〜第3の実施の形態では、活性層にAlGaAsを用いた例を説明したが、GaAsもしくはInGaAsを用いた近赤外用、InGaPもしくはAlGaInPを用いた赤色用のVCSELにも適用できる。更には、GaN系やZnSe系等の青色もしくは紫外線用のVCSEL、InGaAsP系等の1.3〜1.5μm帯用のVCSELにも利用できることはもちろんである。
上記第1〜第3の実施の形態では、n側電極を基板下部に形成する例について説明したが、n側電極を基板上部に形成することもできる。例えば、図18に示すように、円柱状ポスト23を形成する際に露出した下部n型DBR層3の上面からn型不純物を拡散してn型不純物拡散領域Xを形成し、このn型不純物拡散領域X上にn側電極9を形成することができる。なお、第1の実施の形態のVCSELと同一の構成部分については同じ符号を付して説明を省略する。
この場合、p側電極8から注入された電流は、活性領域4を横方向に流れ、n側電極9に到達する。このように基板の一方の側に、p側電極8及びn側電極9を設けたことにより、駆動回路等との集積化を行う場合に配線が容易となる。また、下部n型DBR層3は電流経路とならないので、下部n型DBR層3を真性半導体を用いて構成することもできる。
また、本発明の面発光型半導体レーザにおいては、量子井戸活性層を構成する材料として、GaAs/AlGaAs系半導体を用いたが、これに限定されることなく、例えば量子井戸活性層にGaAs/InGaAs系半導体、または、GaAs/GaInNAs系半導体を用いることも可能である。
さらに、本発明の面発光型半導体レーザにおいては、被酸化層としてAlAs層を用いた。AlxGa1-xAs系材料について言えば、AlAs組成比、すなわちxの値が大きくなるにつれて酸化速度は増大するので、製造工程の時間を短縮するにはxの値が大きいほど良い。また、わずかな組成比の違いでも、酸化速度に大きな差が現れていることが知られており、具体的にはx=1.0とx=0.98で3〜5倍程度の速度差があることを確認している。したがって被酸化層の材料はx=1.0のAlAs層に限定されることなく、実験の目的に応じて適宜xの値を選択すれば良い。
なお、前記いずれの実施の形態も限定的に解釈されるべきものではなく、本発明の構成要件を満足する範囲内で他の方法によっても実現可能であることは言うまでもない。
本発明の第1の実施の形態に係る形状性電極アパーチャを有する面発光型半導体レーザの製造工程における断面図である。 (a)本発明の第1の実施の形態に係る形状性電極アパーチャを有する面発光型半導体レーザを上方から見た図である。(b)本発明の第2の実施の形態に係る形状性ポスト構造を有する面発光型半導体レーザを上方から見た図である。 本発明の面発光型半導体レーザの注入電流量と偏光光出力の関係、および偏光モード抑圧比を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る形状性ポスト構造を有する面発光型半導体レーザにおける偏光L−I特性を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る形状性ポスト構造を有する面発光型半導体レーザの他のパラメータにおける偏光L−I特性を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る形状性ポスト構造を有する面発光型半導体レーザの比較のために行った他のパラメータにおける偏光L−I特性を示すグラフである。 本発明の面発光型半導体レーザの概略断面図である。 電流狭窄部の開口径3.5μmとした場合の基本横モードにおける共振器の周回損失に関する電極開口径依存性を表すグラフである。 1次横モードにおける共振器の周回損失と基本横モードにおける共振器の周回損失との差分を後者で規格化し、上部電極に対応する領域の共振器の反射率をパラメータとした場合の電極開口径依存性を表すグラフである。 電流狭窄部の開口径及び電極開口径の好適範囲を示すグラフである。 1次横モードにおける共振器の周回損失と基本横モードにおける共振器の周回損失との差分を後者で規格化し、出射領域に対応する領域の共振器の反射率をパラメータとした場合の電極開口径依存性を表すグラフである。 (a)〜(g)は、本発明の他の実施形態に係るVCSELの製造工程を順に示す断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る面発光型半導体レーザの電極開口径と光出力の関係を示すグラフである。 本発明の他の実施の形態に係る面発光型半導体レーザの、電流狭窄部の開口径をパラメータとする、電極開口径と光出力の関係を示すグラフである。 電流狭窄部の開口径が3.5μmと5μmの場合における電極開口径とビーム広がり角の関係を示すグラフである。 Au/u−GaAs界面とAu/Ti/u−GaAs界面における白色光の反射強度変化を示すグラフである。 Au/Ti/u−GaAs界面のにおけるアニールによる白色光の反射強度変化を示すグラフである。 本発明の面発光型半導体レーザの他の構成を示す断面図である。 従来のVCSELの断面図である。 従来の面発光型半導体レーザの断面図である。 従来の面発光型半導体レーザの断面図である。 (a)〜(d)は、従来のVCSELの凹状の損失決定素子の製造工程を順に示す断面図である。
符号の説明
1 n型GaAs基板
2 n型GaAsバッファ層
3 下部n型DBR層
4 活性領域
5 p型AlAs層
6 上部p型DBR層
7 p型GaAsコンタクト層
8 p側電極
9 n側電極
21 SiON膜(エッチングマスク)
22 円形のレジストマスク
23 円柱状ポスト
24 電流狭窄部(酸化領域)
25 SiN保護膜
26 レジストによる構造物
27 電極開口部
51 n型GaAs基板
52 n型下部多層反射膜
53 アンドープ下部スペーサ層
54 量子井戸活性層
55 アンドープ上部スペーサ層
56 p型AlAs層
57 p型上部多層反射膜
58 p型コンタクト層
59 p側電極
60 n側電極
71 SiON
72 レジストマスク
73 ポスト構造
74 絶縁領域(電流狭窄部)
75 非酸化領域
76 SiN
77 構造物
78 電極開口部

Claims (5)

  1. 下部多層膜反射鏡、活性層領域、及び前記下部多層膜反射鏡と共に共振器を構成する上部多層膜反射鏡が順次積層された半導体基板と、該上部多層膜反射鏡の上層に設けられ、且つ前記活性層領域で発生したレーザ光の出射領域を構成する開口部が穿設された上部電極と、前記上部電極と前記下部多層膜反射鏡との間に設けられ、電流流路の周縁部を絶縁化して形成された電流狭窄部と、を備え、前記上部電極に穿設された開口と、前記電流狭窄部の開口との少なくともいずれか一方の形状が平面内の直交する任意の2軸方向に対して、長短を有する2回対称形状であることを特徴とする面発光型半導体レーザ。
  2. 他方の形状が前記平面内の直交する任意の2軸方向に対して、等方性の形状であることを特徴とする請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
  3. 前記任意の2軸方向は、前記半導体基板の結晶方位が(100)面である場合に、[01−1]および[011]方向の組み合わせ、あるいはこれらと結晶学的に等価な方位の組み合わせであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面発光型半導体レーザ。
  4. 前記長短を有する2回対称形状は、長円形、楕円形、長方形、及びひし形のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面発光型半導体レーザ。
  5. 前記等方性の形状が、円形、正方形、及び正多角形のうちのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の面発光型半導体レーザ。
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