JP2008028191A - トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法 - Google Patents

トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008028191A
JP2008028191A JP2006199818A JP2006199818A JP2008028191A JP 2008028191 A JP2008028191 A JP 2008028191A JP 2006199818 A JP2006199818 A JP 2006199818A JP 2006199818 A JP2006199818 A JP 2006199818A JP 2008028191 A JP2008028191 A JP 2008028191A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
model
value
threshold voltage
transistor
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006199818A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5079278B2 (ja
JP2008028191A5 (ja
Inventor
Makoto Watanabe
渡辺  誠
Yasuhiko Iguchi
保彦 井口
Shinichi Teraguchi
晋一 寺口
Yoshiharu Nakajima
義晴 仲島
Masanobu Ikeda
雅延 池田
Yosuke Motoyama
陽介 元山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2006199818A priority Critical patent/JP5079278B2/ja
Publication of JP2008028191A publication Critical patent/JP2008028191A/ja
Publication of JP2008028191A5 publication Critical patent/JP2008028191A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5079278B2 publication Critical patent/JP5079278B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデル10を用いたシミュレーション方法であって、
(1)チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデル20によって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、
(2)該閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、
(3)該補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデル10から成る回路モデルの動作を解析する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法に関する。
電界効果型トランジスタ、特に、液晶デバイス等に用いられるポリシリコン薄膜トランジスタやアモルファスシリコン薄膜トランジスタは、動作条件によって閾値電圧が過渡的に変動することが知られている。従来より、トランジスタの閾値電圧が過渡的に変動する現象をトランジスタモデルを用いたシミュレーションに反映させて、電界効果型トランジスタの動作解析の精度を向上させる方法が提案されている。
特開平10−326295号公報(特許文献1)には、アモルファスシリコン薄膜トランジスタの電気伝導について禁制帯(禁止帯)内の局在準位が密接に関与すること、及び、動作時のバイアス条件や履歴によって閾値電圧が変動することが開示されている。また、上記特許文献1には、互いに並列接続された抵抗モデルと静電容量モデルの対が直列に接続されて成る回路モデルにドレイン電流モデルが接続されて成る閾値電圧用モデルを用いることにより、トランジスタモデルに流れる電流の値に基づいて閾値電圧の値を補正する解析方法が開示されている。
特開平10−326295号公報(第2−4頁、図3)
特開平10−326295号公報に開示された方法にあっては、トランジスタモデルのドレイン端子−ソース端子間に電流が流れないときには、閾値電圧の値は変化しない。しかし、実トランジスタにあっては、ドレイン電極−ソース電極間に電流が流れない場合でも閾値電圧が変化する。例えば、「前田茂伸著、低消費電力・高速MOSFET技術 多結晶シリコンTFT負荷型SRAMとSOIデバイス、サイペック、2002年6月、p.37−38、図2−17(1)等」に開示されているように、所謂バンド間トラップが存在する場合には、トランジスタのゲート電極に電圧が印加されること等によりチャネル形成領域におけるポテンシャル分布が変化すると、キャリアがトラップされ閾値電圧が変動する。例えば、図9に示すように、トランジスタのドレイン電極−ソース電極間を短絡しゲート電極に電圧を印加した場合、チャネル形成領域の局在準位に電子がトラップ(捕獲)され、トランジスタの閾値が変動する。上述した特開平10−326295号公報に開示された方法においては、トランジスタモデルのドレイン端子−ソース端子間に電流が流れない限り閾値電圧の値は変動しない。このように、上述した方法は実トランジスタにおける閾値変動のメカニズムを充分反映しているとはいえず、シミュレーションの精度が低下する。
従って、本発明の第1の目的は、電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法を提供することにある。
上記の第1の目的を達成するための本発明のシミュレーション方法は、電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法であって、
(1)チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、
(2)該閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、
(3)該補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析する、
ことを特徴とする。
上記の第2の目的を達成するための電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法は、電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法であって、
該シミュレーション方法によって、
(1)チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、
(2)該閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、
(3)該補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析し、
(4)該回路モデルの動作の解析結果に基づいて、電界効果型トランジスタから成る回路に入力される信号を補正する、
ことを特徴とする。
本発明のシミュレーション方法、及び、本発明の電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法に用いられるシミュレーション方法(以下、これらを総称して、単に、本発明のシミュレーション方法と呼ぶ場合がある)にあっては、電界効果型トランジスタ(以下、単に、FETと呼ぶ場合がある)のチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された、閾値電圧計算用モデルを用いる。尚、ここで「チャネル形成領域」とはチャネルが形成され得る領域を意味し、チャネルが形成されている領域のみを意味するものではない。例えば、薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極に対向して位置する半導体層の部分は、「チャネル形成領域」に該当する。本発明によれば、トランジスタモデルのドレイン端子−ソース端子間に電流が流れない状態においても、実トランジスタと同様に閾値電圧の値が変動する。これにより、実トランジスタにおける閾値変動を模式的に反映することができる。閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析することにより、精度のよいシミュレーション解析が可能となる。ディスクリート素子から成る回路を対象としてシミュレーション解析を行うこともできるし、LSIを構成する回路あるいはガラス基板やプラスチック基板等の上に形成された薄膜トランジスタ等から構成された回路等を対象としてシミュレーション解析を行うこともできる。本発明のシミュレーション方法にあっては、広く周知のトランジスタモデルを用いることができる。「トランジスタモデルから成る回路モデル」とは、トランジスタモデルを含む回路モデルを広く意味する。即ち、単数あるいは複数のトランジスタモデルのみから成る回路モデルであってもよいし、トランジスタモデルとトランジスタモデル以外の素子モデルとから成る回路モデルであってもよい。また、本発明の電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法によれば、精度のよいシミュレーション解析結果に基づいて、電界効果型トランジスタから成る回路に入力される信号を補正することにより、電界効果型トランジスタから成る回路を良好に動作させることができる。例えば、回路モデルに基づくシミュレーションを実際の電界効果型トランジスタから成る回路の動作よりも先行するように行うことにより、回路の動作の遅延等による不具合を動的に把握することができる。そして、シミュレーションにより動作の不具合が確認されたとき、実際の電界効果型トランジスタから成る回路に入力される信号の位相等を補正することにより、適正なタイミングで実際の回路を動作させることができる。本発明のシミュレーション方法、及び、本発明の電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)に用いられるシミュレーション手段として、例えば、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)等、周知のソフトウェアによるシミュレータを広く用いることができる。記憶手段とCPUを備えるコンピュータで実行されるシミュレータによって、閾値電圧変化量、閾値電圧変化量に基づく閾値電圧の値の補正、補正された閾値電圧の値に基づくトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析することができる。
本発明のシミュレーション方法にあっては、閾値電圧計算用モデルは、独立した1つの積分回路モデルあるいは相互に独立した複数の積分回路モデルによって構成することができる。積分回路モデルの個数は、1以上であれば特に限定するものではないが、シミュレーションにおけるトランジスタモデルの駆動周波数に応じて適宜設定すればよい。目安として、トランジスタモデルの駆動周波数が10倍になる毎に、積分回路モデルの数を1つ増せばよい。積分回路モデルは、静電容量モデルと抵抗モデルとが直列接続されて成る構成とすることができる。後述するように、FETのチャネル形成領域においてある一定のポテンシャルレベルが時間t継続しているとき、チャネル形成領域における局在準位に捕獲される電荷量は、略ln(t)に比例する。ポテンシャルレベルが一定値低下し時間t継続しているときに、局在準位から放出される電荷量についても同様である。単体の積分回路モデルを構成する静電容量モデルに蓄積される電荷の値は指数関数的に変化するので対数関数的な変化を充分に表現できない場合がある。この場合には、時定数の異なる複数の積分回路モデルにおいて、各静電容量モデルに蓄積される電荷の和の値を考えることにより、対数関数的な変化を回路的に模擬することができる。以上説明したように、チャネル形成領域においてキャリアが捕獲/放出される様子を、積分回路モデルにおける電荷の蓄積・放電により模式的に表現することができる。
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明のシミュレーション方法において、積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値を、トランジスタモデルの動作に依存して変化させる構成とすることができる。例えば、ある一定値ROFFと、ある一定値RONが、ROFF>RONという関係であるとき、トランジスタモデルがオン状態においては抵抗モデルにおける抵抗の値をRONとし、トランジスタモデルがオフ状態においては抵抗モデルにおける抵抗の値をROFFとして、シミュレーションを行う構成とすることができる。尚、閾値電圧計算用モデルが複数の積分回路モデルによって構成されている場合には、上述した一定値ROFF,RONは、各積分回路モデル毎に個別に設定される。上述した構成にあっては、トランジスタモデルの動作状態に依存して、各積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値は異なる2値のいずれかの値となるが、これに限るものではない。例えば、シミュレーションにおいては、トランジスタモデルにおけるドレイン端子−ソース端子間の電流の値と電圧の値に基づいて、チャネル抵抗の値を仮想的に計算することができる。このようにして得られるチャネル抵抗の値に基づいて、積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値を変化させる構成とすることもできる。実トランジスタにおけるキャリアの捕獲/放出の程度は、トランジスタの動作状態に応じて変化する。積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値を、トランジスタモデルの動作状態に依存して変化させることにより、実トランジスタにおけるキャリアの捕獲/放出の程度の変化を模式的に反映することができる。
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明のシミュレーション方法において、積分回路モデルのそれぞれには、トランジスタモデルのゲート端子とソース端子との間の電位差の値に基づいた電圧が印加される構成とすることができる。この場合において、トランジスタモデルのゲート端子とソース端子との間の電位差の値をVgs、所定の電圧の値をVgslimとしたとき、Vgsの絶対値がVgslimの値以下である場合には、各積分回路モデルにはVgsの値の電圧を印加し、Vgsの絶対値がVgslimの値を超える場合には、各積分回路モデルにはVgslim 2/Vgsの値の電圧を印加する構成とすることができる。即ち、Vgsの絶対値がVgslimの値を超える場合には、Vgsの絶対値が大きくなればなる程各積分回路モデルには小さい値の電圧が印加される。一般に、FETにおいてチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化の程度と、ゲート電極−ソース電極間の電圧は単純には比例しない。即ち、強反転後にはゲート電極−ソース電極間の電圧が変化してもポテンシャル分布は殆ど変化しなくなる。また、例えば、ポリシリコン薄膜トランジスタにあっては、ポリシリコン層の粒界部でのポテンシャルバリアの高さが、強反転後の反転電荷の影響により低下することが知られている(例えば、The electrical properties of polycrystalline silicon films, John Y.W.Seto, J. Appl. Phys. 46(12), December 1975, 5247-5254)。上述の構成によれば、Vgsの絶対値がVgslimの値を超える場合には、各積分回路モデルにはVgslim 2/Vgsの値の電圧を印加することにより、上述した強反転後におけるポテンシャル変化の傾向を模式的に反映することができる。
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明のシミュレーション方法において、閾値電圧変化量を、各積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値に基づいて計算する構成とすることができる。この場合において、(A)閾値電圧の基準値をVth_ref、(B)積分回路モデルの個数をN、第n番目(但し、n=1,2,…,N)の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値をQn、閾値電圧変化量をΔVthとしたとき、ΔVthを以下の式(1)に基づいて計算し、その後、Vth_refにΔVthを加えることにより閾値電圧の値を補正する構成とすることができる。
Figure 2008028191
但し、α、βは定数、COXはトランジスタモデルにおける単位面積あたりのゲート絶縁膜容量の値である。尚、上述した閾値電圧の基準値Vth_refは、実際のトランジスタにおいて直流電圧を印加したときの電流−電圧特性(Vgs−Ids特性)に基づいて決定することができる。基準値Vth_refは、実際のトランジスタにおいて充分にキャリアが局在準位に捕獲された状態における閾値電圧の値に対応する。
この場合において、(A)第n番目の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける静電容量の値をCn、(B)ある時刻tにおける、第n番目の積分回路モデルに印加されている電圧の値をVn(t)、第n番目の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値をQn(t)、第n番目の積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値をRn(t)としたとき、時刻tから時間Δtが経過したときの第n番目の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値Qn(t+Δt)を、以下の式(2)に基づいて計算し、更に、閾値電圧変化量ΔVthを、以下の式(1)’に基づき計算する構成とすることができる。
Figure 2008028191
Figure 2008028191
上述した所定の電圧の値Vgslim、式(1)に示す定数α及びβ、積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける静電容量の値、抵抗モデルにおける抵抗の値等の各種パラメータの値は、シミュレーションの対象とする実際の電界効果型トランジスタから成る回路の特性と、トランジスタモデルから成る回路モデルについてシミュレーションにより求めた特性とが略一致するようにフィッティングすることにより決定することができる。例えば、予め実際のインバーターチェーン回路において、動作電圧・周波数−遅延時間との関係を求めておく。その後、インバーターチェーン回路に対応したトランジスタモデルから成る回路モデルの動作をシミュレーションにより解析する。そして、シミュレーションにより得られた動作電圧・周波数−遅延時間との関係が、実際のインバーターチェーン回路についての測定結果に倣うように、上記の各パラメータを決定すればよい。
本発明のシミュレーション方法にあっては、トランジスタモデルのドレイン端子−ソース端子間に電流が流れない状態においても、実トランジスタと同様に閾値電圧の値が変動する。これにより、精度の高いシミュレーションが可能となる。また、本発明の電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法によれば、精度のよいシミュレーション解析結果に基づいて、電界効果型トランジスタから成る回路に入力される信号を補正することにより、電界効果型トランジスタから成る回路を良好に動作させることができる。
先ず、本発明の理解を助けるために、FETのチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアの関係等について説明する。
図1の(A)は、ポリシリコン薄膜トランジスタ(poly-Silicon Thin Film Transistor、以下、単にTFTと呼ぶ場合がある)の模式的な構造図である。説明の便宜上、TFT1はNチャネル形式であるとして説明する。ゲート電極2とポリシリコン薄膜6の間には、例えばシリコン酸化膜から成るゲート絶縁膜3が形成されている。尚、参照番号4はソース電極、参照番号5はドレイン電極である。
ポリシリコン薄膜6には結晶粒界7が存在する。結晶粒界7付近においては結晶の周期性が崩れる。このため、バンド間に局在準位が生ずる。局在準位は、電気的性質に基づいて2種に分けられる。即ち、電子を放出する前は中性であり、電子を放出すると正に帯電するドナー準位と、電子を捕獲する前は中性であり、電子を捕獲すると負に帯電するアクセプタ準位である。
図1の(B)は、図1の(A)に示したTFT1において、チャネル形成領域の結晶粒界7の付近について、エネルギーバンドとチャネル形成領域における局在準位に捕獲されていくキャリア(具体的には、電子)との関係を模式的に示した図である。図1の(B)の下図よりも上図のほうがゲート電極2は高電位な状態にある。ゲート電極2をより高電位にすることにより、局在準位(主にアクセプタ準位である局在準位)に電子が捕獲されていく。注目すべきは、局在準位は表面(より具体的には、ゲート絶縁膜とチャネル形成領域との界面)だけでなく、深さ方向(図1の(A)及び(B)において−Z方向)にも分布しているため、ゲート電極2を高電位とする程、局在準位に捕獲される電子が急速に増大していくことである。
局在準位に電子が捕獲されると、チャネル形成領域は固定された負電荷により負に帯電する。このため、局在準位に電子が捕獲されていない状態におけるTFT1の動作と、局在準位に電子が捕獲されている状態におけるTFT1の動作とを比較すると、後者の場合には、TFT1のゲート電極2をより高電位としなければ前者と同等の動作を得ることはできない。換言すれば、局在準位に電子が捕獲されることにより定性的に閾値は正の方向にシフトする。逆に、ゲート電極2が相対的に負電位になると局在準位に捕獲された電子が放出されるので、定性的には、閾値は相対的に負の方向にシフトする。この関係を、図2に示した。図2は、局在準位によって電子が捕獲/放出されることによる閾値の相対的変化を説明するための模式図である。図2において、EC、EV、Ei、Efは、それぞれ、伝導帯端におけるエネルギーレベル、荷電子帯端(充満帯端)におけるエネルギーレベル、真性フェルミ準位、フェルミ準位を示す。
TFTにおける閾値のシフトは瞬時には起こらず、実際には数秒という長さで経時変化することが知られている(例えば、Characterization of Switching Transient Behaviors in Polycrystalline-Silicon Thin-Film Transistors, Hiroyuki Ikeda, Japanese Journal of Applied Physics Vol. 43, No. 2, 2004,pp. 477-484を参照)。上述したように、閾値がシフトする原因は、局在準位によって捕獲/放出されるキャリアである。このキャリアの捕獲/放出過程は、ソース電極とドレイン電極とが短絡された状態(以下、便宜のため、短絡された状態のソース電極とドレイン電極とを併せて、単に、短絡電極と呼ぶ)において、ゲート電極に矩形波を印加したときの、ゲート電極と短絡電極との間に流れる過渡電流として観測できることが知られている(例えば、Characterization of trapping states in polycrystalline-silicon thin film transistors by deeplevel transient spectroscopy, J. FL Ayres, J. Appl. Phys. 74 (3), 1 August 1993, 1787-1792を参照)。
上記の過渡電流の時間依存性は、一般的な媒介中心を介した再結合・発生過程理論(SRHの理論)を基に、以下のように計算される。(SRHの理論については、例えば、Statistics of the Recombinations of Holes and Electrons, W.Shockley, W.T.Read,Jr., Physical Review Vol.87(1952) pp. 835-842、あるいは、Electron-Hole Recombination in Germanium, R.N.Hall, Physical Review Letters (1952) pp.387等を参照)。
図1の(B)において、あるエネルギーレベルEにおいて局在準位がキャリア(具体的には、電子)で埋まるゲート絶縁膜とチャネル形成領域との界面からの深さ(図において−Z方向)をχ(E)とする。また、便宜のため、フェルミ分布関数はステップ的関数(温度が絶対零度での形)として扱う。このとき、ソース電極4とドレイン電極5とが短絡されている状態において、ゲート電極2と短絡電極(上述したように、短絡されたソース電極4とドレイン電極5により構成される)との間に流れる過渡電流をI(t)は、以下の式(3)で表される。式(3)の積分範囲は、真性フェルミ準位Eiから伝導帯端におけるエネルギーレベルEC迄である。
Figure 2008028191
ここで、qは電気素量、Wはゲート幅、Lはゲート長、lgはグレインサイズ、enはあるエネルギーレベルEでの電子の放出確率、Ds(E)はエネルギーレベルEでの結晶粒界面での単位体積あたりの局在準位密度である。電子の放出確率enは、SRHの理論により、以下の式(4)のように表される。
Figure 2008028191
ここで、σ、ν、Ncはそれぞれ電子の捕獲断面積、熱速度、伝導帯端の状態密度を示す。kはボルツマン定数、Tは絶対温度、ECは伝導帯端におけるエネルギーレベルである。
式(3)におけるenexp(−ent)の項は、一定温度下においては限られたエネルギーレベルの範囲で値を持つことが知られている(例えば、上記Characterization of trapping states in polycrystalline-silicon thin film transistors by deeplevel transient spectroscopy, J. FL Ayres, J. Appl. Phys. 74 (3), 1 August 1993, 1787-1792、におけるFig.5を参照)。上記の式(3)においては、この限られた範囲以外では被積分関数の値はゼロとして扱うことが出来る。この限られた範囲のエネルギーレベルをE0という一定の価で代表させ、積分変数をEからenに変換し、0から∞の区間で積分すると、以下の式(5)を得ることができる。
Figure 2008028191
式(5)によれば、ゲート電極2と短絡電極との間に流れる過渡電流I(t)は1/tに比例する。電荷量は電流を積分することにより得ることができる。従って、局在準位に捕獲されるキャリアの数はln(t)に比例することがわかる。
以上の点に鑑み、本発明では、キャリアの捕獲/放出を、積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の蓄積/放電で模式的に反映した。また、実施例においては、キャリアが捕獲/放出される際の対数関数的な変化を表現するために、時定数の異なる複数の積分回路モデルを用いた。更には、積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値を、トランジスタモデルの動作状態に依存して変化させることにより、実トランジスタにおけるキャリアの捕獲/放出の程度の変化を模式的に反映した。
以上、チャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアの関係等について説明した。以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明のシミュレーション方法に関する。実施例1は、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法であって、チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算する。そして、閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析する。
実施例1では、SPICE等のシミュレータを用いてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析する。先ず、シミュレータに用いられるトランジスタモデルと閾値電圧計算用モデルの構成について説明する。
実施例1に用いられるトランジスタモデルについて説明する。図3の(A)に、実施例1に用いられるトランジスタモデル10を示す。このトランジスタモデル10は、電流モデルを含むトランジスタモデルである。このようなトランジスタモデルは、例えば、ポリシリコン薄膜トランジスタのモデルとして、Unified model for short-channel poly-Si TFTs, Benjamin Iniguez, Zheng Xua, Tor A.Fjeldlya, Michael S. Shur, Solid-State Electronics 43 (1999) 1821-1831、に開示されており、DC特性等を計算するために、一般的に用いられている。説明の便宜上、トランジスタモデル10はNチャネル形式であるとして説明する。このトランジスタモデル10は、電流モデル11、静電容量モデル12,13から構成されている。電流モデル11はソース端子14とドレイン端子16との間に接続されている。静電容量モデル12は、ゲート端子15とソース端子14との間に接続されており、ゲート・ソース間容量Cgsに対応する。静電容量モデル13は、ゲート端子15とドレイン端子16との間に接続されており、ゲート・ドレイン間容量Cgdに対応する。
次いで、閾値電圧計算用モデルについて説明する。実施例1において、閾値電圧計算用モデルは、相互に独立した複数の積分回路モデルによって構成されている。図3の(B)に、閾値電圧計算用モデル20を構成する複数の積分回路モデル21(211〜21N)を示す。各積分回路モデル21は、静電容量モデル22と抵抗モデル23とが直列接続されて成る。実施例1では、5つの積分回路モデル21(即ち、N=5)によって、閾値電圧計算用モデル20を構成したが、これに限るものではない。実施例1においては、各積分回路モデル21において静電容量モデル22の静電容量の値を同一値に設定したが、これに限るものではない。そして、後述するように、抵抗モデル23の抵抗の値は各積分回路モデル21毎に個別に調整される。以下、第n番目の積分回路モデルを明示する場合には、積分回路モデル21nと表記し、区別の必要がない場合には、単に積分回路モデル21と表記する。静電容量モデル22と抵抗モデル23についても同様である。積分回路モデル21には、後述するように、トランジスタモデル10のゲート端子とソース端子との間の電位差(即ち、ゲート・ソース間電圧)の値に基づいた電圧が印加される。尚、積分回路モデル21と上述したトランジスタモデル10とは、それぞれ独立している。換言すれば、積分回路モデル21はトランジスタモデル10の回路負荷となるものではない。
以上、トランジスタモデル10と閾値電圧計算用モデル20の構成について説明した。SPICE等のシミュレータによってトランジスタモデル10から成る回路の動作を解析する場合、シミュレータの動作過程において、以下説明するようにトランジスタモデル10の閾値電圧変化量を閾値電圧計算用モデル20によって得られる値から計算し、閾値電圧を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデル10から成る回路解析を行うようにシミュレータを設定すればよい。
先ず、シミュレータの動作過程において、閾値電圧計算用モデル20に印加される電圧等について詳しく説明する。
閾値電圧計算用モデル20を構成する複数の積分回路モデル21に印加される電圧について説明する。積分回路モデル21のそれぞれには、トランジスタモデル10のゲート端子15とソース端子14との間の電位差の値に基づいた電圧が印加される。具体的には、トランジスタモデルのゲート端子15とソース端子14との間の電位差の値をVgs、所定の電圧の値をVgslimとしたとき、Vgsの絶対値がVgslimの値以下である場合には、各積分回路モデルにはVgsの値の電圧を印加し、Vgsの絶対値がVgslimの値を超える場合には、各積分回路モデル21にはVgslim 2/Vgsの値の電圧を印加する。尚、所定の電圧の値Vgslimの設定については後述する。
積分回路モデル21を構成する抵抗モデル23における抵抗の値について説明する。実トランジスタにおけるキャリアの捕獲/放出の程度が、トランジスタの動作状態に応じて変化することを模式的に反映するため、積分回路モデル21を構成する抵抗モデル23における抵抗の値を、トランジスタモデル10の動作に依存して変化させる。実施例1では、簡便のため、トランジスタモデル10がオフ動作のとき(即ち、ゲート端子−ソース端子間の電圧が閾値以下のとき)には、抵抗モデル23nにおける抵抗の値を例えばある一定値Rn_OFFとし、トランジスタモデル10がオン動作のとき(即ち、ゲート端子−ソース端子間の電圧が閾値を超えるとき)には、抵抗モデル23nにおける抵抗の値をある一定値Rn_ON(但し、Rn_OFF>Rn_ON)とする。尚、上述した一定値Rn_OFF,Rn_ONは、各積分回路モデル21毎に個別に設定されているが、これについては後述する。
以上、シミュレータの動作過程において、閾値電圧計算用モデルに印加される電圧等について説明した。
次いで、シミュレータの動作過程において、閾値電圧計算用モデル20によって得られる値に基づく閾値電圧変化量の計算の方法、及び、閾値電圧変化量に基づく閾値電圧の値の補正等について説明する。
実施例1では、閾値電圧変化量を、各積分回路モデル21を構成する静電容量モデル22における電荷の値に基づいて計算する。具体的には、積分回路モデル21の個数をN(尚、上述したように、実施例1においてはN=5である)、第n番目(但し、n=1,2,…,N)の積分回路モデル21nを構成する静電容量モデル22nにおける電荷の値をQn、閾値電圧変化量をΔVthとしたとき、ΔVthを以下の式(1)に基づいて計算する。但し、α、βは定数、COXはトランジスタモデル10における単位面積あたりのゲート絶縁膜容量の値である。尚、定数α、βの設定については後述する。
Figure 2008028191
そして、閾値電圧の基準値をVth_refとするとき、Vth_refにΔVthを加えることにより閾値電圧の値を補正する。そして、補正された閾値電圧の値に基づいて、SPICE等のシミュレータによりトランジスタモデル10から成る回路モデルの動作を解析すればよい。尚、上述したように、閾値電圧の基準値Vth_refは、実際のトランジスタにおいて直流電圧を印加したときの電流−電圧特性(Vgs−Ids特性)に基づいて決定することができる。基準値Vth_refは、実際のトランジスタにおいて充分にキャリアが局在準位に捕獲された状態における閾値電圧の値に対応する。
以上、シミュレータの動作過程における閾値電圧変化量の計算の方法、及び、閾値電圧変化量に基づく閾値電圧の値の補正の概要、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデル10から成る回路モデルの動作の解析について説明した。
SPICE等のシミュレータによってトランジスタモデル10から成る回路の動作を解析する場合、通常所定のタイムステップで動作を解析する。このため、実際のシミュレータを用いた動作解析においては、解析が終了する迄上述した工程を適宜繰り返す必要がある。即ち、タイムステップ毎に、各積分回路モデル21を構成する静電容量モデル22における電荷の値を求め、その値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、閾値電圧の基準値Vth_refにΔVthを加えることにより閾値電圧の値を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデル10から成る回路モデルの動作を解析する工程を繰り返す必要がある。実施例1では、静電容量モデル22における電荷の値を微分方程式を離散化して解くことにより、タイムステップ毎に静電容量モデル22における電荷の値を求めた。以下、内容について説明する。
ここで、第n番目の積分回路モデル21nを構成する静電容量モデル22nにおける静電容量の値をCnとする。また、ある時刻tにおける、第n番目の積分回路モデル21nに印加されている電圧の値をVn(t)、第n番目の積分回路モデル21nを構成する静電容量モデル22nにおける電荷の値をQn(t)、第n番目の積分回路モデル21nを構成する抵抗モデル23nにおける抵抗の値をRn(t)とする。尚、上述したように、実施例1においては、各積分回路モデル21における静電容量モデル22の静電容量の値は同一値であり、各積分回路モデル21に印加される電圧の値も同一値である。
ここで、第n番目の積分回路モデル21nにおいては、以下の式(6)が成立する。
Figure 2008028191
シミュレーションのタイムステップを時間Δtとしたとき、時刻tから時間Δtが経過したときの第n番目の積分回路モデル21nを構成する静電容量モデル22nにおける電荷の値Qn(t+Δt)は、式(6)を離散化した以下の式(2)により得ることができる。
Figure 2008028191
従って、時刻t+Δtにおける閾値変化量ΔVthは、以下の式(1)’に基づき計算することができる。
Figure 2008028191
そして、次のタイムステップにおけるシミュレーション(即ち時刻t+Δtにおけるシミュレーション)においては、閾値電圧の基準値Vth_refに、式(1)’にて求めたΔVthを加えて、閾値電圧の値を補正する。そして、補正された閾値電圧の値に基づいて、トランジスタモデル10から成る回路モデルの動作を解析すればよい。
時刻t+2Δt以降におけるシミュレーションについても、以上説明した時刻t→時刻t+Δtについて行ったと同様の過程により閾値電圧の値を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいて、トランジスタモデル10から成る回路モデルの動作を解析すればよい。
以上、実施例1のシミュレーション方法について説明した。上述したように、実施例1のシミュレーション方法によれば、トランジスタモデル10の閾値電圧変化量を閾値電圧計算用モデル20によって得られる値から計算し、閾値電圧を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデル10から成る回路の解析結果を得ることができる。
次いで、上述した所定の電圧の値Vgslim、式(1)に示す定数α及びβ等の各種パラメータの設定方法について簡単に説明する。
所定の電圧の値Vgslim、式(1)に示す定数α及びβ、積分回路モデル21を構成する静電容量モデル22における静電容量の値、抵抗モデル23における抵抗の値等の各種パラメータは、シミュレーションの対象とする実際のFETから成る回路の特性と、トランジスタモデル10から成る回路モデルについてシミュレーションにより求めた特性とが略一致するように、各種パラメータをフィッティングすればよい。
実施例1では、実際のインバーターチェーン回路について動作電圧・周波数−遅延時間を実測した。そして、インバーターチェーン回路に対応したトランジスタモデルから成る回路モデルの動作をシミュレーションにより解析し、シミュレーションにより得られた動作電圧・周波数−遅延時間との関係が、実際のインバーターチェーン回路についての測定結果に倣うように、上記の各パラメータをフィッティングした。
以下、図を参照して、上記の各種パラメータのフィッティング方法について説明する。先ず、実際のインバーターチェーン回路について動作電圧・周波数−遅延時間との関係について説明する。
図4の(A)は、実際のインバーターチェーン回路30の回路図を示したものである。このインバーターチェーン回路30は、直列接続されたFET31と抵抗32とが、複数(実施例1においては10個)梯子状に接続されて構成されている。1段目(図4の(A)において左側)のFET31のゲート電極は入力端子33に接続されている。2段目以降のFET31のゲート電極は、前段の抵抗32とFET31との接続部位の電圧が印加されるように、前段と接続されている。10段目の抵抗32とFET31との接続部位は出力端子34に接続されている。端子35には電圧Vssが、端子36には電圧Vdd(但し、Vdd>Vss)が印加されている。入力端子33に印加される電圧をVin、出力端子34から出力される電圧をVoutとする。
図4の(B)は、インバーターチェーン回路30に方形波を入力した際の、入力波形と出力波形の様子を模式的に示したものである。インバーターチェーン回路30内を伝達する信号の遅延により、出力波形は入力波形に対して遅延する。出力波形の遅延時間は、動作電圧(具体的には、端子36と端子35間の電位差、即ちVdd−Vss)や、入力波形の周波数等に依存して変化する。図5に、インバーターチェーン回路30について実測した動作電圧・周波数−遅延時間の関係を模式的に示す。図5においては、6通りの動作電圧(尚、V1<V2<…V5<V6)について、周波数−遅延時間の関係を示した。尚、遅延時間は正規化して表示した。入力波形の上側ピーク電圧は電圧Vdd、下側ピーク電圧は電圧Vssである。図5から明らかなように、入力波形の周波数が高くなる程遅延時間が長くなる傾向があることが分かる。また、動作電圧が低くなる程、入力波形の周波数と遅延時間との相関関係が強くなる傾向があることが分かる。
以上、実際のインバーターチェーン回路30における動作電圧・周波数−遅延時間との関係について説明した。
実施例1では、SPICE等のシミュレータによって、図4の(A)に示したインバーターチェーン回路30に対応するネットリストについて動作の解析を行った。シミュレータの動作過程においては、図4の(A)のFET31に対応する部分の動作を解析する際には、トランジスタモデル10、及び、閾値電圧計算用モデル20が用いられる。上述した手順により、トランジスタモデル10の閾値電圧変化量を閾値電圧計算用モデル20によって得られる値から計算し、閾値電圧を補正し、補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデル10から成る回路解析が行われる。そして、得られた解析結果と、図5で示した測定結果とが略一致するように、所定の電圧の値Vgslim、式(1)に示す定数α及びβ、積分回路モデル21を構成する静電容量モデル22における静電容量の値、抵抗モデルにおける抵抗の値等の各種パラメータを決定することにより、上記の各種パラメータのフィッティングを完了することができる。
以下、図5、及び、図6を参照して、上記の各種パラメータのフィッティングの具体的な手順について説明する。
[工程−100]
先ず、シミュレーションの前準備として、周知の方法により、トランジスタモデル10における各種特性パラメータを設定する。具体的には、FET31を実測することにより得られるVgs−Ids特性、Vds−Ids特性、容量−電圧特性(C−V特性)等を反映するように、トランジスタモデル10における各種パラメータを設定すればよい。上述したように、閾値電圧の基準値Vth_refについても、FET31のVgs−Ids特性に基づいて設定することができる。
[工程−110]
次いで、第1の動作電圧の条件下(例えば、図5に示したVdd−Vss=V1(V)に相当する条件)で、インバーターチェーン回路30に対応するネットリストについてシミュレーションにより動作を解析する。具体的には、所定の電圧の値Vgslim、式(1)に示す定数α及びβ、積分回路モデル21を構成する静電容量モデル22における静電容量の値、抵抗モデル23における抵抗の値等の各種パラメータに適当な初期値を与えた状態で、インバーターチェーン回路30に対応するネットリストについて動作を解析する。
[工程−120]
その後、シミュレーションにより得られた解析結果(より具体的には、周波数−遅延時間)と、図5の結果を対比し、以下の関係を勘案して各種パラメータを再調整する。
図6は、シミュレーションにより得られた解析結果と実測値との対比結果を模式的に示したものである。先ず、積分回路モデル21を構成する抵抗モデル23における抵抗の値とシミュレーションにより得られる解析結果の関係について説明する。上述したように、実施例1においては、第n番目の積分回路モデル21nを構成する抵抗モデル23nにおける抵抗の値は、トランジスタモデル10がオン動作のときにはある一定値Rn_ON、トランジスタモデル10がオフ動作のときにはある一定値Rn_OFFが与えられる。上述した一定値Rn_OFFの値を変えると、積分回路モデル21nにおいて静電容量モデル22nから放出される電荷量変化の程度(換言すれば、トランジスタモデル10がオフ動作のときの第n番目の積分回路モデル21nの時定数)が変化する。これにより、遅延時間の周波数依存性をある程度細かく調整することができる(換言すれば、図6に示したシミュレーションにより得られる解析結果のグラフのカーブの形状を調整することができる。
定数αとシミュレーションにより得られる解析結果の関係について説明する。定性的には、定数αを大きくすると、遅延時間は全般的に長くなる傾向が認められる(即ち、図6に示すシミュレーションによる計算値のグラフは、+Y方向に移動する)。定数αを小さくすると、上述したと逆の傾向を示す。
定数βとシミュレーションにより得られる解析結果の関係について説明する。定性的には、定数βを大きくすると、遅延時間の周波数依存性が全般的に大きくなる(即ち、図6においては、図の右側の広がりがより拡大する)傾向が認められる。定数βを小さくすると、上述したと逆の傾向を示す。
[工程−130]
再調整された各種パラメータを用いて、インバーターチェーン回路30に対応するネットリストについて動作を解析する。
[工程−140]
シミュレーションにより得られた解析結果と、図5の結果を対比し、両者の差が大きい場合には、[工程−120]〜[工程−130]を繰り返す。両者の差が許容される範囲にあると判断されれば、次の工程[工程−150]に進む。
[工程−150]
上述した再調整された各種パラメータを用いて、第2の動作電圧の条件下(例えば、図5に示したVdd−Vss=V2(V)に相当する条件)で、インバーターチェーン回路30に対応するネットリストについてシミュレーションにより動作を解析する。
[工程−160]
その後、シミュレーションにより得られた解析結果と、図5の結果を対比する。
[工程−170]
第2の動作電圧の条件下において、両者の差が大きい場合には、所定の電圧の値Vgslimの値を調整する。上述したように、図5においては、動作電圧が低くなる程、入力波形の周波数と遅延時間との相関関係が強くなる傾向がある。シミュレーションにおいては、所定の電圧の値Vgslimを変えることにより、入力波形の周波数と遅延時間との相関関係の動作電圧に対する依存性を調整することができる。所定の電圧の値Vgslimを再調整した後、再度[工程−150]〜[工程−160]と同様の工程を繰り返す。両者の差が許容される範囲にあると判断されれば、次の工程[工程−180]に進む。
[工程−180]
その後、必要に応じて、第3の動作電圧の条件下(例えば、図5に示したVdd−Vss=V3(V)に相当する条件)で、[工程−150]〜[工程−170]と同様の工程を行う。第4〜第6の動作電圧の条件下(例えば、図5に示した、V4(V)、V5(V)、V6(V)に相当する条件)においても同様である。
上記の[工程−100]〜[工程−180]によって、各種パラメータのフィッティングを完了することができる。
実施例2は、本発明の電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法に関する。
実施例2においては、電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデル用いたシミュレーション方法に基づいて、電界効果型トランジスタから成る回路の動作を制御する。具体的には、シミュレーション方法によって、(1)チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、(2)該閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、(3)該補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析し、(4)該回路モデルの動作の解析結果に基づいて、電界効果型トランジスタから成る回路に入力される信号を補正する。
実施例2においては、制御対象となる電界効果型トランジスタから成る回路が、TFTから構成されたエッジトリガ型フリップフロップ回路(以下、単に、D型フリップフロップ回路と呼ぶ)であるとして説明するが、これに限るものではない。
先ず、TFTから構成されたD型フリップフロップ回路の問題点について簡単に説明する。
図7の(A)は、D型フリップフロップ回路の動作を説明するための模式的な結線図である。図7の(B)は、D型フリップフロップ回路の動作を説明するための模式的な波形図である。D型フリップフロップ回路40には、データ回路41からデータ波形が、クロック回路42からクロック波形が入力される。図7の(B)に示すように、D型フリップフロップ回路40においては、クロック波形が立ち上がる際のデータ入力がサンプリングされ、D型フリップフロップ回路40のデータ出力に現れる。図7の(B)に示すように、データ入力波形を正しくサンプリングするためには、セットアップタイムとホールドタイムがある値以上である必要がある。しかし、上述したようにTFTにおいては、バンド間トラップの影響により閾値が変化する。このため、D型フリップフロップ回路40を構成するTFTにおける信号の遅延時間は、印加される電圧の履歴等により変動する。これにより、D型フリップフロップ回路40の内部においてデータ波形とクロック波形のタイミングがずれ、セットアップタイムとホールドタイムが不充分となり、所望のデータがサンプリングできないという誤動作を生ずる場合がある。
以下、図を参照して、実施例2における電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法について説明する。尚、実施例2において用いられるシミュレーション方法は実施例1で説明したと同様である。従って、シミュレーション方法についての詳細な説明は省略する。
図8は、本発明の電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法が用いられた装置60の構成図である。この装置60において、制御部50は例えば記憶手段とCPUとを備えるコンピュータから成る。演算部51は、SPICE等のシミュレータと、シミュレータの計算結果に応じて後述する位相調整回路44に指令を出すための制御プログラムとから構成されている。制御部50の記憶手段から構成されているネットリスト格納部52には、D型フリップフロップ回路40に対応するネットリストが格納されている。モデル格納部53には、実施例1において説明したトランジスタモデル10、閾値電圧計算用モデル20を構成する複数の積分回路モデル21、積分回路モデル21を構成する静電容量モデル22や抵抗モデル23等が格納されている。説明の便宜上、D型フリップフロップ回路40を構成する複数のTFTは全て同一仕様であるものとし、実施例1において説明した各種パラメータのフィッティングは予め完了しているものとする。
遅延回路43は、データ回路41及びクロック回路42からの入力信号を、例えば1クロック分遅延させる回路である。位相調整回路44は、上述した演算部51の指令に基づき、データ回路41からの信号とクロック回路42の信号との位相を調整する回路である。D型フリップフロップ回路40には、遅延回路43と位相調整回路44を経た信号が入力される。
演算部51には、図示せぬ入力手段等を介して、データ回路41とクロック回路42の信号の値が逐次入力される。演算部51は、ネットリスト格納部52とモデル格納部53に格納されたデータ、及び、入力されたデータ回路41の信号とクロック回路42の信号に基づき、D型フリップフロップ回路40に対応するトランジスタモデルから成る回路モデルの動作をリアルタイムで解析する。尚、D型フリップフロップ回路40には遅延回路43を介して信号が入力されているので、シミュレーションによる解析はD型フリップフロップ回路40の動作よりも先行して行われる。
そして、シミュレーションの解析結果により誤動作を生ずることが確認されたとき、演算部51は、位相調整回路44に指令を出しD型フリップフロップ回路40に入力される信号を補正する。具体的には、シミュレーションの解析結果による誤動作が、セットアップタイムが不足であることにより生じている場合には、セットアップタイムを長くするように位相調整回路44に指令を出す。同様に、シミュレーションの解析による誤動作が、ホールドタイムが不足であることにより生じている場合には、ホールドタイムを長くするように位相調整回路44に指令を出す。これにより、適正なタイミングでD型フリップフロップ回路40を動作させることができる。
以上、本発明を、発明の実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、適宜変更することができる。
実施例においては、トランジスタモデルは1種類としたが、これに限るものではない。例えば、Nチャネル形式のFETとPチャネル形式のFETとから成る回路について解析を行う場合には、Nチャネル形式のFET用のトランジスタモデル/閾値電圧計算用モデルと、Pチャネル形式のFET用のトランジスタモデル/閾値電圧計算用モデルを個別に用意すればよい。
実施例においては、シミュレータとしてSPICE等のソフトウエアシミュレータを用いたが、これに限るものではない。シミュレータはハードウェア的に実装されている態様とすることもできる。また、図8において、制御部50と制御対象であるD型フリップフロップ回路40とを分離した形で示したが、制御対象となる回路と制御部とが一体で構成されている態様とすることもできる。例えば、液晶ディスプレイ等においては、表面にTFTが形成されたガラス基板等が用いられる。この場合に、ガラス基板等の上にTFT、TFTを駆動する駆動回路、及び、駆動回路のシミュレータが共に形成された態様とすることもできる。
図1の(A)は、ポリシリコン薄膜トランジスタの模式的な構造図である。図1の(B)は、図1の(A)に示したポリシリコン薄膜トランジスタにおいて、チャネル形成領域の結晶粒界部分について、エネルギーバンドとチャネル形成領域における局在準位に捕獲されていくキャリア(具体的には、電子)との関係を模式的に示した図である。 図2は、局在準位によって電子が捕獲/放出されることによる閾値の相対的変化を説明するための模式図である。 図3の(A)は、実施例に用いられるトランジスタモデルを示したものである。図3の(B)は、閾値電圧計算用モデルを構成する複数の積分回路モデルを示したものである。 図4の(A)は、実際のインバーターチェーン回路の回路図を示したものである。図4の(B)は、インバーターチェーン回路に方形波を入力した際の、入力波形と出力波形の様子を模式的に示したものである。 図5は、インバーターチェーン回路について実測した動作電圧・周波数−遅延時間の関係を示したものである。 図6は、シミュレーションにより得られた解析結果と実測値との対比結果を模式的に示したものである。 図7の(A)は、D型フリップフロップ回路の動作を説明するための模式的な結線図である。図7の(B)は、D型フリップフロップ回路の動作を説明するための模式的な波形図である。 図8は、本発明の動作制御方法が用いられる装置の構成図である。 図9は、トランジスタのドレイン電極−ソース電極間を短絡しゲートに電圧を印加した状態を示す回路図である。
符号の説明
1・・・TFT、2・・・ゲート電極、3・・・ゲート絶縁膜、4・・・ソース電極、5・・・ドレイン電極、6・・・ポリシリコン薄膜、7・・・結晶粒界、10・・・トランジスタモデル、11・・・電流モデル、12・・・静電容量モデル、13・・・静電容量モデル、14・・・ソース端子、15・・・ゲート端子、16・・・ドレイン端子、20・・・閾値電圧計算用モデル、21,211〜21N・・・積分回路モデル、22,221〜22N・・・静電容量モデル、23,231〜23N・・・抵抗モデル、30・・・インバーターチェーン回路、31・・・FET、32・・・抵抗、33・・・入力端子、34・・・出力端子、35・・・端子、36・・・端子、40・・・D型フリップフロップ回路、41・・・データ回路、42・・・クロック回路、43・・・遅延回路、44・・・位相調整回路、50・・・制御部、51・・・演算部、52・・・ネットリスト格納部、53・・・モデル格納部、60・・・装置

Claims (10)

  1. 電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデルを用いたシミュレーション方法であって、
    (1)チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、
    (2)該閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、
    (3)該補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析する、
    ことを特徴とするシミュレーション方法。
  2. 閾値電圧計算用モデルは、独立した1つの積分回路モデルあるいは相互に独立した複数の積分回路モデルによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 積分回路モデルは、静電容量モデルと抵抗モデルとが直列接続されて成ることを特徴とする請求項2に記載のシミュレーション方法。
  4. 積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値を、トランジスタモデルの動作に依存して変化させることを特徴とする請求項3に記載のシミュレーション方法。
  5. 積分回路モデルのそれぞれには、トランジスタモデルのゲート端子とソース端子との間の電位差の値に基づいた電圧が印加されることを特徴とする請求項3に記載のシミュレーション方法。
  6. トランジスタモデルのゲート端子とソース端子との間の電位差の値をVgs、所定の電圧の値をVgslim(但し、Vgslim>0)としたとき、
    gsの絶対値がVgslimの値以下である場合には、各積分回路モデルにはVgsの値の電圧を印加し、
    gsの絶対値がVgslimの値を超える場合には、各積分回路モデルにはVgslim 2/Vgsの値の電圧を印加することを特徴とする請求項5に記載のシミュレーション方法。
  7. 閾値電圧変化量を、各積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値に基づいて計算することを特徴とする請求項3に記載のシミュレーション方法。
  8. (A)閾値電圧の基準値をVth_ref
    (B)積分回路モデルの個数をN、第n番目(但し、n=1,2,…,N)の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値をQn、閾値電圧変化量をΔVthとしたとき、ΔVthを以下の式(1)に基づいて計算し、その後、Vth_refにΔVthを加えることにより閾値電圧の値を補正することを特徴とする請求項7に記載のシミュレーション方法。
    Figure 2008028191
    但し、α、βは定数、COXはトランジスタモデルにおける単位面積あたりのゲート絶縁膜容量の値である。
  9. (A)第n番目の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける静電容量の値をCn
    (B)ある時刻tにおける、第n番目の積分回路モデルに印加されている電圧の値をVn(t)、第n番目の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値をQn(t)、第n番目の積分回路モデルを構成する抵抗モデルにおける抵抗の値をRn(t)としたとき、時刻tから時間Δtが経過したときの第n番目の積分回路モデルを構成する静電容量モデルにおける電荷の値Qn(t+Δt)を、以下の式(2)に基づいて計算し、更に、閾値電圧変化量ΔVthを、以下の式(1)’に基づき計算することを特徴とする請求項8に記載のシミュレーション方法。
    Figure 2008028191
    Figure 2008028191
  10. 電界効果型トランジスタのチャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化に起因する閾値電圧の変化を反映させて動作解析を行うためのトランジスタモデル用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法であって、
    該シミュレーション方法によって、
    (1)チャネル形成領域におけるポテンシャル分布の変化とチャネル形成領域における局在準位によって捕獲/放出されるキャリアとの関係を反映するように規定された閾値電圧計算用モデルによって得られる値に基づいて閾値電圧変化量を計算し、
    (2)該閾値電圧変化量に基づいて閾値電圧の値を補正し、
    (3)該補正された閾値電圧の値に基づいてトランジスタモデルから成る回路モデルの動作を解析し、
    (4)該回路モデルの動作の解析結果に基づいて、電界効果型トランジスタから成る回路に入力される信号を補正する、
    ことを特徴とする電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法。
JP2006199818A 2006-07-21 2006-07-21 トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法 Active JP5079278B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006199818A JP5079278B2 (ja) 2006-07-21 2006-07-21 トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006199818A JP5079278B2 (ja) 2006-07-21 2006-07-21 トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008028191A true JP2008028191A (ja) 2008-02-07
JP2008028191A5 JP2008028191A5 (ja) 2009-06-18
JP5079278B2 JP5079278B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=39118511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006199818A Active JP5079278B2 (ja) 2006-07-21 2006-07-21 トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5079278B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112016261A (zh) * 2020-08-28 2020-12-01 上海华力微电子有限公司 Mosfet阈值电压的spice子电路模型建模方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10326295A (ja) * 1997-05-26 1998-12-08 Mitsubishi Electric Corp 回路解析方法
JP2005190328A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Renesas Technology Corp 記録媒体及び回路シミュレーション方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10326295A (ja) * 1997-05-26 1998-12-08 Mitsubishi Electric Corp 回路解析方法
JP2005190328A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Renesas Technology Corp 記録媒体及び回路シミュレーション方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112016261A (zh) * 2020-08-28 2020-12-01 上海华力微电子有限公司 Mosfet阈值电压的spice子电路模型建模方法
CN112016261B (zh) * 2020-08-28 2024-04-26 上海华力微电子有限公司 Mosfet阈值电压的spice子电路模型建模方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5079278B2 (ja) 2012-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Suh et al. A physical charge-based model for non-fully depleted SOI MOSFET's and its use in assessing floating-body effects in SOI CMOS circuits
JP4214775B2 (ja) 半導体装置特性シミュレーション方法及び半導体装置特性シミュレータ
JP5020562B2 (ja) シミュレーション装置、シミュレーション方法、及び半導体装置の製造方法
US7560951B2 (en) Characterization array circuit
JP3786657B2 (ja) シミュレーション方法及びシミュレーション装置
JP2004200461A5 (ja)
Workman et al. Physical modeling of temperature dependences of SOI CMOS devices and circuits including self-heating
JP2003264292A (ja) シミュレーション方法
US8095343B2 (en) Method and apparatus for modeling source-drain current of thin film transistor
Leblebici et al. Modeling and simulation of hot-carrier-induced device degradation in MOS circuits
Messaris et al. Hot carrier degradation modeling of short-channel n-FinFETs suitable for circuit simulators
US7761823B2 (en) Method for adjusting a transistor model for increased circuit simulation accuracy
JP5079278B2 (ja) トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法、及び、トランジスタモデルを用いたシミュレーション方法に基づく、電界効果型トランジスタから成る回路の動作制御方法
Kamal et al. An efficient reliability simulation flow for evaluating the hot carrier injection effect in CMOS VLSI circuits
US20080027700A1 (en) Simulation model of BT instability of transistor
Lahbib et al. Hot carrier injection effect on threshold voltage of NMOSFETs
Hillebrand et al. Charge-based stochastic aging analysis of CMOS circuits
US20210232746A1 (en) Simulation method for characteristics of transistor, simulation method for characteristics of electronic circuit including transistor, and nontransitory recording medium that stores simulation program for characteristics of transistor
Oodate et al. Characterization of time dependent carrier trapping in poly-crystalline TFTs and its accurate modeling for circuit simulation
US20120169394A1 (en) Method for buffering clock skew by using a logical effort
Bindra et al. Modeling of kink effect in polysilicon thin film transistor using charge sheet approach
Messaris et al. A software Tool for Aging Analysis of the CMOS Inverter based on Hot Carrier Degradation modeling
US8539426B2 (en) Method and system for extracting compact models for circuit simulation
Habal et al. Evaluating analog circuit performance in light of MOSFET aging at different time scales
US7965559B2 (en) Systems and methods for improved floating-gate transistor programming

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090424

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100804

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100804

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20120330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120807

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120829

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5079278

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250