JP2008024893A - カチオン性エポキシ樹脂およびそれを含有するカチオン電着塗料組成物 - Google Patents

カチオン性エポキシ樹脂およびそれを含有するカチオン電着塗料組成物 Download PDF

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Susumu Kiyozawa
進 清沢
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Abstract

【課題】作業性(特に、耐ジャンプアップ性、耐油ハジキ性、および干渉修復性)に優れたカチオン電着塗料組成物の提供。
【解決手段】主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物およびそれを含有するカチオン電着塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明はカチオン性エポキシ樹脂、特にポリプロピレンオキシド鎖を主鎖中に所定の量で含みその末端に長鎖脂肪酸基を有するカチオン性エポキシ樹脂およびそれを含有するカチオン電着塗料組成物に関する。
金属材料を腐食化から保護し、その美観を維持するために、表面に塗装が施される。特に、電着塗装は、金属材料の表面に均一な塗膜を簡単かつ迅速に形成することが可能であることから、種々の金属材料(たとえば、自動車ボディあるいは金属部品)などに広く利用されている。
自動車のボディの塗装ラインにおいて、電着塗装は高度に条件が管理された状態で塗装がなされている。しかしながら、その他の小さな部品の電着塗装のラインは、いろいろな部品が混合された状態で搬入されて塗装されるので、塗装条件を各被塗物に応じて厳密に管理することは難しい。このような、塗装条件が管理されていない塗装条件下で電着塗装するためには、塗料自体がどのような条件下においても所定の性能を示すように作業性の良い塗料を利用することが必要である。
たとえば、電着塗装において印加される電圧を増大すると、電着塗装される膜厚が大きくなる。理想的には、これが電圧の大きさに比例して膜厚が大きくなるのであるが、実際には電圧を上げていくとある時点で急に膜厚が増える状態が発生する。これをジャンプアップと呼んでいる。自動車のボディの塗装ラインでは、電圧は高度に管理されているので、このジャンプアップについてはほとんど問題にならないのであるが、部品の塗装ラインでは電圧の管理がラフであることから、ジャンプアップにより膜厚の急激な増加を生み出すので、望ましくない。したがって、部品用の電着塗料においてこのジャンプアップが生じないようにすることが望まれている。
また、部品の塗装では、ハンガーと呼ばれる吊下げ装置に部品が吊下げられた状態で、順次電着塗料液中に導入されるが、塗料浸漬時に浮力により一瞬被塗物が浮いて、その時点で電流が流れなくなり、電位が逆転して、小さなガスが大量に発生することが起こる。この小さなガスによりピンホールが発生する。このことを干渉と呼んでいる。このようなピンホールの発生は当然電着塗膜において外観に不具合を与えるので、少ない方がよく、ピンホールが発生したとしてもの修復性がある電着塗膜を形成する必要がある。すなわち干渉修復性のよい塗膜の形成が望まれている。
また、さらに、小さく複雑な形状の部品では油が付着してそのまま電着浴にもたらされることがある。もちろん、そのような油を脱脂する工程は行なわれているのであるが、完全に取り除くことは難しく、油が存在したままでは、油ハジキという現象が起こり、塗膜欠陥を引き起こす。したがって、このような油ハジキを起こさない性能も望まれている。
上記三つの性能が良くなれば、作業性の良い塗料として部品の塗装に有効に用いられるものである。
特開2001−31739号公報(特許文献1)の実施例1では、ポリプロピレンオキシドが5モル付加したビスフェノールAを用いたアミン変性エポキシ樹脂を、請求項1に記載のアミノポリエーテルと反応させた、アミン変性エポキシ樹脂が開示されている(実施例1および請求項1)。このアミン変性エポキシ樹脂は、電着塗膜に可撓性を付与することと、上塗りとの密着性を改善する。ここで用いられているアミノポリエーテルは特殊なものであり、作業性、特に油ハジキに不安が残る。
特開平2−14256号公報(特許文献2)には、アルキレンオキシドのアルキル化ポリエーテルがカチオン電着塗料組成物中において添加剤として添加されている。この添加剤は不揮発性であり、厚膜の電着塗膜を形成するものであるが、これは添加剤そのものであり、塗膜形成のためのメインバインダーではない。
特開2001−31739号公報 特開平2−14256号公報
本発明は、作業性の良いカチオン電着塗料、すなわち耐ジャンプアップ性、耐油ハジキ性、および干渉修復性を同時に良好にするカチオン電着塗料を提供する。
本発明者らは、カチオン電着塗料のメイン樹脂であるカチオン性エポキシ樹脂中に、ポリプロピレンオキシド鎖を導入し、しかもその末端に親油性のある長鎖脂肪酸基を導入することにより、上記ジャンプアップがなく、耐油ハジキ性に優れており、干渉修復性がよい作業性の良いカチオン電着塗料を提供することを見出した。
すなわち、本発明は、主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、エポキシ樹脂と、ポリアルキレンオキシド鎖を全反応成分の10〜26重量%の量で含む鎖延長剤と、全反応成分の0.5〜3.0重量%の量の長鎖脂肪酸とを反応した後、その残存するエポキシ基に第1級アミンまたは第2級アミンを反応させてカチオン性基を導入することを特徴とする、主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明は更に、(a)主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物、および(b)硬化剤を含有するカチオン電着塗料組成物を提供する。
上記ポリアルキレンオキシド鎖はポリプロピレンオキシド鎖が好ましい。
上記ポリアルキレンオキシド鎖のアルキレンオキシドの繰返し単位数は好ましくは4〜10個である。
上記カチオン電着塗料組成物は更に、アミノ基含有アクリル樹脂(c)を含有してもよい。
上記カチオン電着塗料組成物は更に、マイクロゲル(d)を含有してもよい。
前記アミノ基含有アクリル樹脂は、好ましくは(i)エポキシ基を有するモノマー、(ii)水酸基含有アクリルモノマーおよび(iii)その他のエチレン性不飽和モノマーを、モノマー合計量を100重量%としてモノマー(i)1〜20重量%、モノマー(ii)5〜50重量%およびモノマー(iii)30〜95重量%の量で共重合させた後、エポキシ基に2級アミンを反応させてアミノ基を導入することにより得られ。
前記アミノ基含有アクリル樹脂は、また(iv)アミノ基含有アクリルモノマー、(ii)水酸基含有アクリルモノマー、および(iii)その他のエチレン性不飽和モノマーを、モノマー合計量を100重量%としてモノマー(iv)1〜20重量%、モノマー(ii)5〜50重量%およびモノマー(iii)30〜95重量%の量で共重合することによっても得られる。
上記カチオン性エポキシ樹脂組成物は上記カチオン性エポキシ樹脂組成物(a)55〜75重量%、硬化剤(b)20〜40重量%、アミノ基含有アクリル樹脂(c)0.5〜5重量%およびマイクロゲル(d)1〜10重量%(但し、重量%はカチオン電着塗料組成物の樹脂固形分重量に基づき、合計は100重量%である。)を含有するのが好ましい。
本発明のカチオン性エポキシ樹脂組成物およびそれを用いたカチオン電着塗料組成物では、広い意味で極めて作業性の良いカチオン電着塗料が得られる。特に、いろいろな部品が混合されて流れてくる塗装ラインにおいて、塗装条件を高度に管理する必要があまりなく、しかもジャンプアップがなく、耐油ハジキ性も優れており、干渉修復性も良好なカチオン電着塗料組成物が得られる。
本発明によれば、特に塗装条件を綿密に管理することもなく、優れた外観のカチオン電着塗膜が得られる。
カチオン性エポキシ樹脂組成物
本発明のアミン変性エポキシ樹脂の樹脂骨格中には、ポリアルキレンオキシド鎖が10〜26重量%の量で含まれる。通常、このようなアミン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂を鎖延長する際に、アルキレンオキシドを用いることによりポリアルキレンオキシド鎖を導入する。ポリアルキレンオキシド鎖中のアルキレン基としては、炭素数が2〜8のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基またはブチレン基であり、特に好ましくはプロピレン基である。エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂であって、典型的にはビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、エピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180から190)、エピコート1001(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量450から500)、エピコート1010(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としてはエピコート807(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量170)などが挙げられる。
本発明では、必要に応じて他のジオール類またはジカルボン酸類を用いて鎖延長をしてもよい。そのようなジオール類の例としては、プロピレングリコール以外のアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。また、適当なジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ダイマー酸などが挙げられる。エポキシ樹脂の鎖延長には、ジオール類やジカルボン酸類以外に、活性水素を1個有する化合物を用いてもよい。そのような活性水素を1個有する化合物としては、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ニトロフェノールなどのモノフェノール類:オキシルアルコール、2−エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのモノブチルまたはモノヘキシルエーテルなどのモノアルコール類:グリコール酸、ジメチロールプロピオン酸、ヒドロキシプロピバリン酸、乳酸、クエン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;およびメルカプトエタノールなどのメルカプトアルカノール類が挙げられる。上記鎖延長は、ポリアルキレンオキシド鎖を導入した後でも良く、またポリアルキレンオキシド鎖の導入前でも良い。また、既にポリアルキレンオキシド鎖を含んでいるエポキシ樹脂を用いても良い。
上記鎖延長したエポキシ樹脂は、その少なくとも一部は長鎖脂肪酸基を導入するために、長鎖脂肪酸と反応させる。使用しうる長鎖脂肪酸は、炭素数8〜18の脂肪酸、たとえばオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸が挙げられる。この中で、ステアリン酸、ラウリン酸およびオクタン酸が好ましい。ここで「長鎖脂肪酸基」とは、長鎖脂肪酸のカルボキシル基とエポキシ基との反応によって生成した長鎖脂肪酸の残基を言い、具体的には以下の式で示された部分をいう:
Figure 2008024893
(式中、Rは長鎖脂肪酸のアルキル鎖部分を示す。)
鎖延長したエポキシ樹脂は、カチオン性基を導入するためにアミン類と反応する。アミン類としては、一級アミン、二級アミンがある。その例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミンなどの他、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの一級アミンをブロックした二級アミンがある。アミン類は複数のものを使用してもよい。この場合のアミン価としては、10〜150meq/100gが好ましく、この範囲外だと、乳化性不良や電着性不良を引き起こす。
本発明のカチオン性エポキシ樹脂組成物は、ポリアルキレンオキシド鎖(特にプロピレンオキシド鎖)をエポキシ樹脂の総重量に対して10〜26重量%の量で含む。10重量%より少ないと、耐ジャンプアップ性が悪くなり、26重量%を超えると耐水性が悪くなる。
カチオン性エポキシ樹脂組成物の製造方法
本発明のカチオン性エポキシ樹脂組成物の製造方法は、まずエポキシ樹脂と、ポリアルキレンオキシドと、その他の鎖延長のための活性水素化合物と、長鎖脂肪酸とを所定量混合して、所定の温度、例えば100〜200℃で1〜6時間反応させ、次いで得られた樹脂の未反応のエポキシ基を更にアミン類と反応することによりカチオン性基を導入することを特徴とする。この製法において、ポリアルキレンオキシドの量は、全反応性分の10〜26重量%の量で配合する。上記のエポキシ樹脂と、ポリアルキレンオキシドと、鎖延長のための活性水素化合物及び長鎖脂肪酸の仕込み方は、同時に全てを仕込んでもよく、またいずれか2つを仕込で反応させた後、更に他の成分と反応させてもよい。
本発明のカチオン性エポキシ樹脂組成物は、前述のように鎖延長する際に、ポリアルキレンオキシドと必ず反応させることにより、カチオン性エポキシ樹脂骨格中にポリアルキレンオキシド鎖(通常、プロピレンオキシドが4〜10個結合したもの)を導入したものとなるが、当然反応の状態が変わることにより、全てのアミン変性エポキシ樹脂がポリアルキレンオキシド鎖を有しているわけでなく、全くポリアルキレンオキシドの無いカチオン性エポキシ樹脂も形成される。即ち、前述のポリアルキレンオキシド鎖の量(10〜26重量%)は、平均量であると理解される。同じことは、他の反応成分についても言えるので、アミン変性エポキシ樹脂のすべてが長鎖脂肪酸残基を有しているわけではない。
長鎖脂肪酸基の量は、エポキシ樹脂の総重量に対し0.5〜3.0重量%である。長鎖脂肪酸の量が0.5重量%より少ないと、親油性が悪くなり、耐油ハジキが悪くなる。逆に3重量%を超えると硬化反応性が低下し、耐食性が悪化する。
本発明のカチオン性エポキシ樹脂は平均分子量2000〜3500である。分子量が2000未満であると、耐食性が悪くなる。一方、3500を超えると、塗膜の外観が悪くなる。
本発明のカチオン性エポキシ樹脂組成物はポリアルキレンオキシド鎖の存在量などから、種々の樹脂の混合物であって、樹脂の中にはポリアルキレンオキシド鎖が全く存在しないものも存在しうるし、また、末端の長鎖脂肪酸基もないものも存在する。いずれにしてもそれらの混合物の形で全体として必要な量が存在していればよい。
カチオン電着塗料組成物
つぎに、上記カチオン性エポキシ樹脂を含有するカチオン電着塗料組成物について説明する。カチオン電着塗料組成物は、上記カチオン性エポキシ樹脂組成物、および(b)硬化剤を主成分として含有する。また、必要に応じてアミノ基含有アクリル樹脂を配合してもよい。さらに顔料が配合される。そのそれぞれについて以下に説明する。
硬化剤
本発明で使用する硬化剤は、ポリイソシアネートをブロック剤でブロックして得られたブロックポリイソシアネートが好ましく、ここでポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであってもよい。
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
イソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーも硬化剤として使用してよい。
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
ブロック剤としては、低温硬化(160℃以下)を望む場合には、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤、及びホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤を使用するのが良い。
硬化剤はバインダー成分中20〜40重量%である。硬化剤の含有量が20重量%を下回ると得られる塗膜の防食性が低下し、40重量%を上回るとバインダーを乳化することが難しくなる。
ここで、上記バインダー成分である、上記アミノ含有エポキシ樹脂、硬化剤および必要に応じて下記アミノ基含有アクリル樹脂の3種の合計が100重量%とする。
アミノ基含有アクリル樹脂
バインダー成分に配合するアミノ基含有アクリル樹脂は、(i)エポキシ基含有アクリルモノマー、(ii)水酸基含有アクリルモノマー、および(iii)その他のエチレン性不飽和モノマーの共重合し、得られた重合体のエポキシ基をアミンで開環することによって得ることができる。さらにエポキシ基含有アクリルモノマーの代わりに(iv)アミノ基含有アクリルモノマーを(ii)水酸基含有アクリルモノマーおよび(iii)その他のエチレン性不飽和モノマーと共重合することにより得ることもできる。
エポキシ基含有アクリルモノマー(i)の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有アクリルモノマー(ii)の例は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のようなアルキレンジオールのモノ(メタ)アクリレート類が好ましい。
また、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブロピル(メタ)アクリルアミド等のような(メタ)アクリルアミド類も好ましく、さらにヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの反応生成物またはヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートと六員環カーボネートとの反応生成物も水酸基含有アクリルモノマー(ii)として好適に使用できる。
その他のエチレン性不飽和モノマー(iii)の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルなどである。
エポキシ基との反応に使用し得る2級アミンは、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モルホリン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等であり、特に分子内にヒドロキシル基と2級アミノ基とを有するアミンが好ましい。また、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルケトンジケチミン化物や2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールのメチルイソブチルケトンモノケチミン化物等も使用できる。
アミノ基含有アクリルモノマー(iv)の例は、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等である。
アミノ基含有アクリル樹脂を製造する場合の各モノマー(i)、(ii)、(iii)および(iv)の量は特に限定的ではないが、モノマー合計量を100重量%としてモノマー(i)または(iv)1〜20重量%、モノマー(ii)5〜50重量%、モノマー(iii)30〜95重量%である。アミノ基含有アクリルモノマー(i)または(iv)の量が少ないと、上塗り塗料との密着性が低下し、モノマー(i)または(iv)の量が上記範囲より多いと、乳化性が悪化する。水酸基含有アクリルモノマー(ii)の量が上記範囲より少ないと、上塗り塗膜との密着性が低下し、モノマー(ii)の量が上記範囲より多いと、防食性が低下する。
重合は溶液重合法のような常法により行うことができる。共重合体の数平均分子量は1000〜50000、好ましくは2000〜20000の範囲であり、場合によりドデシルメルカプタンやチオグリコ−ル酸2−エチルヘキシルのような連鎖移動剤を使用して重合度を調節する。
アミノ基含有アクリル重合体へハーフブロックジイソシアネートをウレタン結合により水酸基に付加し、自己架橋性を持たせてもよい。その場合ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族若しくは脂環式ジイソシアネートを使用するのが好ましい。
ジイソシアネートの一方のイソシアネート基をブロックしてハーフブロックジイソシアネートとするために、公知のブロック剤を用いうる。ブロック剤の例は、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリコ一ルモノブチルエーテル、シクロヘキサノール等のアルコール類;フェノール、ニトロフェノール、クレゾール、ノニルフェノール等のフェノール類;ジメチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム類、ε−カプロラクタム等のラクタム類などを使用することができる。
アミノ基含有アクリル樹脂は10〜150meq/100gのアミン価を有することが好ましい。また、50〜120mgKOH/gの水酸基価を有することが好ましい。アミン価および水酸基価がこのような範囲となるようにモノマー組成を構成することは当業者に周知である。
アミノ基含有アクリル樹脂はバインダー成分中0.5〜5重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%である。アミノ基含有アクリル樹脂の含有量が0.5重量%を下回ると得られる塗膜の耐ハジキ性が低下し、5重量%を上回ると防食性が低下する。
マイクロゲル
本発明のカチオン電着塗料には、マイクロゲルを配合してもよい。本発明で用いるマイクロゲルは、エチレン性不飽和結合を有するモノマーと、架橋性共重合モノマーとを公知の方法で水性媒体中で乳化重合することによって得られる。乳化重合は公知の乳化剤および/または分散剤を用いるのが好ましい。
マイクロゲルの製造に用いることのできるエチレン性不飽和結合を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルや、これと共重合し得るエチレン性不飽和結合を有する他のモノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどがある。これらモノマーは二種類以上用いてもよい。
架橋性共重合モノマーとしては、分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマーおよび/または相互に反応し得る基をそれぞれ担持する2種のエチレン性不飽和基含有モノマーを含む。
分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸の重合性不飽和アルコールエステル、および2個以上のビニル基で置換された芳香族化合物などがあり、それらの例としては以下のような化合物がある。
エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールアリロキシジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリメタクリレート、トリアクリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、トリアクリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレートおよびジビニルベンゼン。
さらに架橋目的のモノマーとして分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに、あるいは所望によりそれらと共に、相互に反応し得る基をそれぞれ担持する2種のエチレン性不飽和基を有するモノマーを使用することもできる。例えばグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のグリシジル基含有エチレン性不飽和結合を有するモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和結合を有するモノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコールなどのヒドロキシル基含有エチレン性不飽和結合を有するモノマーと、ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナートなどのイソシアナート基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマーなどがあげられる。しかしながらこれら以外にも相互に反応し得る基を各々担持する任意の組合わせの2種のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを用いることができる。
マイクロゲルを構成するエチレン性不飽和結合を有するモノマーは、硬化剤と反応し得る官能基を有するモノマーを含んでいてもよく、その例としては、カルボキシル基含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などがあり、ヒドロキシル基含有モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタクリルアルコールや含窒素系としてアクリル酸アミドやメタクリル酸アミドなどがある。
マイクロゲルは、カチオン電着塗料組成物中に固形分に基づいて、0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の量で含有する。マイクロゲルが20重量%を越えると、塗膜外観が悪くなる傾向にある。
顔料
本発明で用いられる電着塗料組成物は、通常用いられる顔料を含んでもよい。使用できる顔料の例としては、通常使用される無機顔料、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等、が挙げられる。
顔料は、一般に、電着塗料組成物の全固形分の1〜35質量%、好ましくは10〜30質量%を占める量で電着塗料組成物に含有される。
顔料分散ペースト
顔料を電着塗料の成分として用いる場合、一般に顔料を顔料分散樹脂と呼ばれる樹脂と共に予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料組成物で用いる低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だからである。一般にこのようなペーストを顔料分散ペーストという。
顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂ワニスと共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂ワニスとしては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料分散樹脂ワニスは5〜40質量部、顔料は10〜30質量部の固形分比で用いる。
上記顔料分散用樹脂ワニスおよび顔料を、顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて、顔料分散ペーストを得る。
上記カチオン電着塗料組成物は、上記成分のほか、中和剤、水性媒体を含有する。
上記中和剤としては、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、スルファミン酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。中和剤の量は、少なくとも20%、好ましくは30〜60%の中和率を達成する量であればよい。
上記水性媒体としては、水並びに種々の有機溶剤であってよい。本発明での使用に適した溶剤の例としては、炭化水素類(例えば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−エチルエチレングリコールモノヘキシルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、並びにそれらの混合物が挙げられる。これらの溶剤の使用量はカチオン電着塗料組成物全体に対して約0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜15重量%である。
本発明において、バインダー成分として、本発明のカチオン性エポキシ樹脂組成物、アミノ基含有アクリル樹脂、および硬化剤を使用する。これらのバインダー成分のブレンド方法はいく通りかが存在する。通常は、カチオン性エポキシ樹脂組成物、アミノ基含有アクリル樹脂および硬化剤を混合し、その混合物を乳化してエマルションを調製することによりカチオン電着塗料組成物を調製する。本明細書中では、このバインダー成分を分散したメインエマルションを単に「メインエマルション」という。
メインエマルションは、例えば固形分25〜50重量%、好ましくは固形分35〜45重量%である。このメインエマルジョンの固形分はバインダー成分を主として含む。このバインダー成分がカチオン性エポキシ樹脂組成物、アミノ基含有アクリル樹脂および硬化剤からなる場合は、カチオン性エポキシ樹脂組成物50〜80重量%、アミノ基含有アクリル樹脂0.5〜5重量%、および硬化剤20〜40重量%であって、前記3種の合計が100重量%である。
一般に電着塗料組成物は、最初バインダー成分を中和剤を含む水性媒体中に分散してメインエマルションをつくり、これへ顔料分散ペーストを添加し、混合して調製される。
上記電着塗料組成物は、触媒として、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイドのようなスズ化合物の触媒や、通常のウレタン開裂触媒を含んでもよい。その量は硬化剤の0.1〜10重量%が通常である。この触媒は、通常顔料分散ペーストに含まれることが好ましい。
電着塗料組成物は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。消泡剤も、もちろん添加剤に含まれる。
電着塗料組成物を用いて電着塗装を行う場合の被塗物は、予め、浸漬、スプレー方法等によりリン酸亜鉛処理等の表面処理の施された導体であることが好ましいが、この表面処理が施されていないものであっても良い。また、導体とは、電着塗装を行うに当り、陰極になり得るものであれば特に制限はなく、金属基材が好ましい。
電着が実施される条件は一般的に他の型の電着塗装に用いられるものと同様である。印加電圧は大きく変化してもよく、1ボルト〜数百ボルトの範囲であってよい。電流密度は通常約10アンペア/m〜160アンペア/mであり、電着塗装中に減少する傾向にある。
電着塗装方法は、被塗物をカチオン電着塗料中に浸漬し、被塗物を陰極として上記範囲の電圧を印加することによって、実施する。電着塗装された塗装物は、水洗の後、乾燥、焼付けされることによって、硬化電着塗膜が形成される。硬化は、昇温下に通常の方法、例えば焼付炉中、焼成オーブン中あるいは赤外ヒートランプで焼付けることによって行われる。焼付け温度は変化してもよいが、通常約140℃〜180℃である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれらに実施例に限定されるものと解してならない。実施例中特に断らないかぎり「%」および「部」は質量基準である。
製造例1
ブロックポリイソシアネート硬化剤の調製
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート132部を入れ、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略す)73.5部を入れて希釈し、次いでジブチル錫ジラウレート0.1部を加えて、80℃に昇温した。その後、内温が90℃を超えないように制御しながら、ブチルジグリコール162部を徐々に添加した。IRスペクトル測定により、イソシアネート基の吸収が実質上消失するまで80℃で保持し、ブロックポリイソシアネート硬化剤367.5部(固形分80%)を得た。
製造例2
顔料ペーストの調製
エポキシ系4級アンモニウム塩型顔料分散樹脂(固形分50%)120.0部、50%乳酸4.2部、カーボンブラック2.0部、カオリン100.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸アルミニウム18.0部およびイオン交換水(調製する顔料ペーストの固形分が56%となるような量)をサンドグラインドミルに入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料ペーストを得た。
製造例3
アミノ基含有アクリル樹脂の調製
環流冷却器、撹拌機、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた5つ口フラスコに、メチルイソブチルケトン56.3部を仕込み、窒素雰囲気下115℃に加熱保持した。これへ、グリシジルメタクリレート16.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.2部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート14.8部、n−ブチルメタクリレート58.1部、t−ブチルメタクリレート6.9部、およびt−ブチルパーオクトエート4.0部の混合物を滴下ロートから3時間かけて滴下した。滴下終了後115℃に約1時間保持した後、t−ブチルパーオクトエート0.5部を滴下し、115℃で約30分保持し、固形分65%のアクリル樹脂の溶液を得た。数平均分子量は6000であった。
冷却後これへN−メチルエタノールアミン8.5部を加え、窒素雰囲気下120℃で2時間反応させ、固形分約67%のアミノ基含有アクリル樹脂の溶液を得た。
実施例1
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂157.1部、ビスフェノールA222.4部、ベンジルジメチルアミン1部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂401.8部、ステアリン酸7.6部、MIBK77.6部を加え、エポキシ当量が1140になるまで反応させた。その後MIBK51.5部を加えて反応混合物を冷却し、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK溶液38.5部とN−メチルエタノールアミン43.1部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分88%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを14.7%、末端脂肪酸を0.75%含み、GPC測定により数平均分子量は2,600であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、リン酸亜鉛処理鋼板を浸漬して、浴温30℃で膜厚20μm得られる電圧で、30分間カチオン電着した。得られた塗膜について、電着性(ジャンプアップ性)、耐食性、塗膜外観およびハジキ防止性について下記のように評価した。評価結果を表1に示す。表1には、カチオン性エポキシ樹脂の数平均分子量、プロピレンオキサイド量および脂肪酸量も合わせて記載した。
電着性(ジャンプアップ性)
得られたカチオン電着塗料を用いて、浴温30℃にて、電圧100V〜350Vの範囲で3分間電着を行った時、電圧−膜厚の関係が直線的であるものを合格とし、二次曲線的であるものを不合格とした。
耐食性
得られた電着塗膜にナイフで素地に達するクロスカットを入れて、塩水噴霧(5%食塩水、35℃)を240時間行い、カット部からの発生錆の最大幅(単位:mm)が6mm以下を合格とした。
塗膜外観
得られた複層塗膜の表面粗さを、ハンディサーフE−30A(東京精密社製)を用いて、JIS B 0601に従って、表面粗度Ra値を測定した。(カットオフ2.5mm)。なお表面粗度Raは、粗さ曲線の中心線平均粗さ(Ra)ともいわれ、JIS B 0601において規定されるパラメーターである。Raが0.4以下を合格とした。
ハジキ防止性
実施例ならびに比較例で得られたカチオン電着塗料を、りん酸亜鉛処理鋼板に対して、焼付け後の膜厚が20μmになるような電圧で電着塗装し、塗装板を水洗した後、10分間室温で放置した。その後、塗装板を上向きにして水平に置き、塗装板の中央部に直径14mm、高さ5mmのアルミ箔で作成したカップを両面テープで固定し、スポイドを用いてアルミ箔のカップの内部に水および防錆油を一滴づつ入れた。カップを付けた塗装板を水平に維持して、160℃で15分間焼付けた。得られた硬化塗膜のハジキ防止性は、油飛散によって発生したクレータ状の塗膜の状態を、以下の評価基準により目視で評価した。3点以上が合格である。
5点:塗膜表面にクレータ等の異常がなく、平滑である。
4点:塗膜表面に直径2mm以下で浅いクレータがわずかに発生する。
3点:塗膜表面に直径3mm以下で浅いクレータが発生する。
2点:塗膜表面に直径3mmより大で浅いクレータが発生する。
1点:塗膜表面に直径3mmより大で深いクレータが多数発生する。
実施例2
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂157.7部、ビスフェノールA214.0部、ベンジルジメチルアミン0.2部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂403.3部、ステアリン酸7.6部、MIBK77.2部を加え、エポキシ当量が1006になるまで反応させた。その後MIBK52.1部を加えて反応混合物を冷却し、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK溶液38.6部とN−メチルエタノールアミン49.2部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、力チオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを14.7%、末端脂肪酸を0.75%含み、数平均分子量は2100であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
実施例3
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂252.8部、ビスフェノールA216.6部、ベンジルジメチルアミン0.2部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂300.8部、ステアリン酸30.2部、MIBK79.0部を加え、エポキシ当量が1763になるまで反応させた。その後MIBK47.1部を加えて反応混合物を冷却し、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK溶液50.4部とN−メチルエタノールアミン22.9部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを23.7%、末端脂肪酸を2.96%含み、数平均分子量は3300であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
比較例1
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂153.6部、ビスフェノールA199.7部、ベンジルジメチルアミン0.5部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂424.8部、ステアリン酸8.1部、MIBK77.3部を加え、エポキシ当量が784になるまで反応させた。その後MIBK62.2部を加えて反応混合物を冷却し、N−メチルエタノールアミン73.8部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを14.4%、末端脂肪酸を0.79%含み、数平均分子量は1500であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
比較例2
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂156.4部、ビスフェノールA239.6部、ベンジルジメチルアミン0.4部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂380.9部、ステアリン酸9.4部、MIBK77.4部を加え、エポキシ当量が1859になるまで反応させた。その後MIBK39.9部を加えて反応混合物を冷却し、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK溶液82.1部とN−メチルエタノールアミン14.0部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを14.7%、末端脂肪酸を0.92%含み、数平均分子量は3800であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
比較例3
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂54.1部、ビスフェノールA244.1部、ベンジルジメチルアミン0.4部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂503.2部、ステアリン酸7.6部、MIBK79.8部を加え、エポキシ当量が1168になるまで反応させた。その後MIBK60.0部を加えて反応混合物を冷却し、N−メチルエタノールアミン51.0部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを5.07%、末端脂肪酸を0.75%含み、数平均分子量は2600であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
比較例4
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294 (ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂312.4部、ビスフェノールA201.9部、ベンジルジメチルアミン0.4部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂266.3部、ステアリン酸10.1部、MIBK77.9部を加え、エポキシ当量が1175になるまで反応させた。その後MIBK51.4部を加えて反応混合物を冷却し、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK溶液38.2部とN−メチルエタノールアミン41.5部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを29.27%、末端脂肪酸を0.99%含み、数平均分子量は2600であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
比較例5
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294 (ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂158.1部、ビスフェノールA223.8部、ベンジルジメチルアミン0.4部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂404.5部、MIBK77.4部を加え、エポキシ当量が1083になるまで反応させた。その後MIBK51.7部を加えて反応混合物を冷却し、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK溶液38.7部とN−メチルエタノールアミン45.4部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを14.82%含み、数平均分子量は2600であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
比較例6
撹拌機、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量294(ポリプロピレンオキサイド含有率85%)の脂肪族エポキシ樹脂154.6部、ビスフェノールA218.8部、ベンジルジメチルアミン0.2部を入れ、180℃で1時間撹拌混合した後、120℃まで冷却し、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂395.4部、ステアリン酸52.5部、MIBK81.1部を加え、エポキシ当量が1562になるまで反応させた。その後MIBK58.8部を加えて反応混合物を冷却し、N−メチルエタノールアミン38.7部を添加して、反応混合物を115℃で1時間保持することにより、カチオン性エポキシ樹脂1000.0部(固形分86%)を得た。
得られた樹脂はプロピレンオキサイドを14.49%、末端脂肪酸を5.14%含み、数平均分子量は2600であった。
このカチオン性エポキシ樹脂1000.0部に、製造例1で得られたブロックポリイソシアネート硬化剤460.7部と、製造例3で得られたアミノ基含有アクリル樹脂49.1部を混合し、90%工業用酢酸29.2部、イオン交換水131.8部の混合溶液中に加え、十分撹拌した後、さらにイオン交換水2245.2部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂のエマルションを得た。
上記で得られたエマルション2025g、製造例2で得られた顔料ペースト444g、イオン交換水2025gを混合することで、カチオン電着塗料組成物4000gを得た。
Figure 2008024893
本発明によれば、プロピレンオキシド鎖が主鎖中に存在することにより、樹脂が可塑性を有することになり、小さな気泡や、塗膜欠陥の原因に対し柔軟に対応することができ、塗膜が平滑化する。また、上述のように、長鎖脂肪酸基が存在するので、親油性も高く、油ハジキ性が良好になる。

Claims (14)

  1. 主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物。
  2. ポリアルキレンオキシド鎖がポリプロピレンオキシド鎖である請求項1記載のカチオン性エポキシ樹脂組成物。
  3. ポリアルキレンオキシド鎖のアルキレンオキシドの繰返し単位数が4〜10個である請求項1記載のカチオン性エポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂と、ポリアルキレンオキシド鎖を全反応成分の10〜26重量%の量で含む鎖延長剤と、全反応成分の0.5〜3.0重量%の量の長鎖脂肪酸とを反応した後、その残存するエポキシ基に第1級アミンまたは第2級アミンを反応させてカチオン性基を導入することを特徴とする、主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリアルキレンオキシドがポリプロピレンオキシドである請求項4記載のカチオン性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
  6. ポリアルキレンオキシドのアルキレンオキシドの繰返し単位数が4〜10個である請求項4記載のカチオン性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
  7. (a)主鎖中にポリアルキレンオキシド鎖を10〜26重量%の量で含み、その末端には長鎖脂肪酸基を0.5〜3.0重量%の量で含む数平均分子量2000〜3500を有するカチオン性エポキシ樹脂組成物および(b)硬化剤を含有するカチオン電着塗料組成物。
  8. ポリアルキレンオキシド鎖がポリプロピレンオキシド鎖である請求項7記載のカチオン電着塗料組成物。
  9. ポリアルキレンオキシド鎖のアルキレンオキシドの繰返し単位数が4〜10個である請求項7記載のカチオン電着塗料組成物。
  10. カチオン電着塗料組成物が更に、アミノ基含有アクリル樹脂(c)を含有する請求項7記載のカチオン電着塗料組成物。
  11. カチオン電着塗料組成物が更に、マイクロゲル(d)を含有する請求項7記載のカチオン電着塗料組成物。
  12. 前記アミノ基含有アクリル樹脂が、(i)エポキシ基を有するモノマー、(ii)水酸基含有アクリルモノマーおよび(iii)その他のエチレン性不飽和モノマーを、モノマー合計量を100重量%としてモノマー(i)1〜20重量%、モノマー(ii)5〜50重量%およびモノマー(iii)30〜95重量%の量で共重合させた後、エポキシ基に2級アミンを反応させてアミノ基を導入することにより得られる請求項10記載のカチオン電着塗料組成物。
  13. 前記アミノ基含有アクリル樹脂が、(iv)アミノ基含有アクリルモノマー、(ii)水酸基含有アクリルモノマー、および(iii)その他のエチレン性不飽和モノマーを、モノマー合計量を100重量%としてモノマー(iv)1〜20重量%、モノマー(ii)5〜50重量%およびモノマー(iii)30〜95重量%の量で共重合することによって得られる請求項10記載のカチオン電着塗料組成物。
  14. カチオン性エポキシ樹脂組成物がカチオン性エポキシ樹脂組成物(a)55〜75重量%、硬化剤(b)20〜40重量%、アミノ基含有アクリル樹脂(c)0.5〜5重量%およびマイクロゲル(d)1〜10重量%(但し、重量%はカチオン電着塗料組成物の樹脂固形分重量に基づき、合計は100重量%である。)を含有する請求項7記載のカチオン電着塗料組成物。
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