JP2008024776A - エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 エポキシ樹脂組成物とした場合に、良好な硬化性と流動性とを両立し、さらには保存性を与えることができるエポキシ樹脂組成物及び耐半田クラック性や耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂とフェノール性水酸基を有する化合物と硬化促進剤とを含み、式(1)で表されるプロトン供与体とトリアルコキシシラン化合物とを反応させて得られる硬化遅延成分(F)を含むエポキシ樹脂組成物。
Figure 2008024776

[Y1及びY2はプロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基を示し、Z1はプロトン供与性置換基であるY1H及びY2Hと結合する有機基を示す。]
【選択図】 図1

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、その硬化遅延手法及び半導体装置に関するものである。
近年、半導体素子の封止に用いられる材料には、生産効率の向上を目的とした速硬化性の向上と、半導体を封止する際の、耐熱性や信頼性の向上のため、無機充填材を高充填しても、損なわれることのない高流動性が求められるようになってきている。
このような電気・電子材料分野向けのエポキシ樹脂組成物には、硬化時における樹脂の硬化反応を促進する目的で、第三ホスフィンとキノン類との付加反応物が、優れた速硬化性を有する硬化促進剤として添加されている(例えば、特許文献1参照。)が、
かかる硬化促進剤は、硬化促進効果を示す温度領域が比較的低温にまで及ぶことから、硬化反応の初期において、その反応をわずかずつであるが促進してしまい、この反応が原因となって、樹脂組成物における樹脂成分が高分子量化する。かかる高分子量化は、樹脂組成物の溶融粘度の上昇を引き起こし、結果として、信頼性向上のために充填材を高充填した樹脂組成物においては、流動性の不足を生じ、これにより成型不良などの問題を引き起こす。
また、樹脂組成物の流動性を向上させるべく、硬化促進剤において、硬化性を抑制する成分を用いて、反応性の基質を保護する試みも、さまざまなものが取り組まれてきた。例えば、硬化促進剤の活性点をイオン対により保護することで、潜伏性を発現する研究がなされており、種々の有機酸とホスホニウムイオンとの塩構造を有する潜伏性触媒が知られている(例えば、特許文献2〜4参照。)。しかし、このような、通常の塩構造を有する潜伏性触媒では、硬化反応の初期から終期まで、常に、塩構造に、硬化性抑制成分が存在するために、流動性を得ることができる反面、硬化性は十分に得られず、流動性と硬化性との両立ができないものであった。
特開平10−25335号公報(第2頁) 特開2001−98053号公報(第5頁) 米国特許第4171420号明細書(第2−4頁) 特開平11−5829号公報(第3−4頁)
本発明は、エポキシ樹脂組成物とした場合に、良好な硬化性と流動性とを両立し、さらには保存性を与えることができるエポキシ樹脂組成物及び耐半田クラック性や耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供するものである。
本発明者は、前述したような問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、次のような(a)〜(c)の事項を見出し、本発明を完成するに至った。
(a)特定のトリアルコキシシラン化合物と、特定の水酸基を有する化合物とを、反応させて得られた硬化遅延成分を、エポキシ樹脂組成物に混合することにより、エポキシ樹脂組成物が、優れた保存性、流動性と硬化性を両立させることを見出した。
(b)加えて、本発明者らは、前述の硬化遅延成分の添加量を調節することで、硬化遅延の度合いを調整可能であることを見出した。
(c)さらに、本発明者らは、上記手法により得られたエポキシ樹脂組成物が、無機充填材を高充填した場合でも、高い流動性と良好な硬化性を発揮できるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、下記(1)〜(10)の本発明により達成される。
(1)エポキシ樹脂(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、硬化促進剤(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物であって、下記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、下記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延成分(F)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
Figure 2008024776
[式中、Y1及びY2は、それぞれ、プロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。Z1は、プロトン供与性置換基であるY1H及びY2Hと結合する置換若しくは無置換の有機基を示す。]
Figure 2008024776
[式中、R1、R2、及びR3は、炭素数1〜3の脂肪族基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。X1は置換もしくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を表す。]
(2)前記硬化促進剤(C)が窒素、燐又は硫黄含有化合物である、第(1)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記エポキシ樹脂組成物は、さらに、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)のいずれか1種又は2種を含むものである、第(1)項〜第(2)項記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)は、下記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物である、第(1)項〜第(3)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2008024776
[式中、Ar1は、置換もしくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基を表す。]
(5)前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、溶媒中、0℃以上250℃以下の温度領域、好ましくは50℃以上200℃以下の温度領域で、反応させて得られたものである、第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、無溶媒で、50℃以上250℃以下の温度領域、好ましくは80℃以上200℃以下の温度領域で加熱して、反応させて得られたものである、第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)の一部又は全部と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する(B)の軟化点温度以上250℃以下の温度領域、好ましくは前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する(B)の軟化点温度以上180℃以下の温度領域で、溶融混合して反応させて得られたものである、第(1)項〜第(4)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(8)前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と、前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、好ましくは下記数式(1)を満たすモル比で、より好ましくは下記数式(2)を満たすモル比で、反応して得られたものである、第(1)項〜第(7)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
Mc≧Md (1)
Mc≧2Md (2)
[数式中、Mcは前記プロトン供与体(D)のモル数で、Mdは前記トリアルコキシシラン化合物(E)のモル数を示す。]
(9)前記エポキシ樹脂組成物は、さらに無機充填材を含むものである、第(1)項〜第(8)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(10)第(1)項〜第(9)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により電子部品を封止してなる半導体装置。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた硬化性、流動性及び保存性を両立したものであり、無機充填材を用いた場合でも良好な流動性を発揮することができる。
また、本発明の半導体装置は、耐半田クラック性及び耐湿信頼性などの特性において信頼性に優れたものを得ることができる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物及び硬化遅延手法の好適実施形態について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、硬化促進剤(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物であって、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延成分(F)を含むものであり、前記硬化遅延成分(F)を用いることにより、特定の温度範囲において、前記エポキシ樹脂(A)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との反応を遅延させることができ、これにより、エポキシ樹脂組成物は、硬化性を損なうことなく、優れた流動性や保存性を発現することができるものである。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物における各成分について順次説明する。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
本発明に用いる1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂、ビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
本発明に用いる硬化促進剤(C)としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用するものを用いることができる。
このような化合物としては、窒素含有化合物、燐含有化合物、硫黄含有化合物等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
上記窒素含有化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン及び2−(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのアミン化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及び1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5などの双環式ジアザ化合物、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラオクチルアンモニウムクロライド、テトラオクチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフェノラート及びテトラオクチルアンモニウムフェノラートなどのアンモニウム塩化合物、1−カルボキシル−N,N,N−トリメチルメタナミニウムなどのアンモニウムベタイン化合物、などが挙げられる。また、これらに、カプセル化、包接化、微粉砕化、ナノ分散化などの処理を施した形態などが挙げられる
上記硫黄含有化合物としては、ジフェニルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムクロライド及びトリフェニルスルホニウムフェノラートなどのスルホニウム塩化合物が挙げられ、これらに、カプセル化、包接化、微粉砕化、ナノ分散化などの処理を施した形態などが挙げられる
上記燐含有化合物としては、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン及びトリブチルホスフィン、などのホスフィン化合物、テトラホスホニウムクロライド、テトラホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド及びテトラフェニルホスホニウムとビスフェノールAなどのビスフェノール類とからなる分子化合物、テトラブチルホスホニウムと2,3−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類とからなる分子化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート及びテトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレートなどのホスホニウム塩化合物、2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、及びトリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物、2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート及び3−(トリフェニルホスホニオ)フェノラートなどのホスホベタイン化合物などが挙げられる。また、これらに、カプセル化、包接化、微粉砕化、ナノ分散化などの処理を施した形態などが挙げられる。
これらの内、特に、テトラフェニルホスホニウムとビスフェノール類との分子化合物及びテトラフェニルホスホニウムとジヒドロキシナフタレン類との分子化合物などのホスホニウム塩化合物、トリフェニルホスフィンと1,4−ベンゾキノンとの付加物及び2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラートなどのホスホニウムベタイン化合物を使用した場合、エポキシ樹脂組成物は、極めて良好な硬化性と流動性とが両立できるため、好ましい。
本発明に用いる硬化遅延成分(F)は、一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)を反応することにより得られる。
本発明に用いる、一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)は、プロトン供与性置換基を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、このような前記一般式(1)で表されるプロトン供与性置換基を有する化合物(HY112H)において、置換基Z1は、プロトン供与性置換基であるY1H及びY2Hと結合する置換若しくは無置換の有機基であり、Y1及びY2は、それぞれ、該プロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。
このような置換基Z1の例としては、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基及びシクロへキシレン基などの脂肪族基、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基及びビナフチレン基などの芳香族基、ピリジニル基及びキノキサリニル基などの複素環を有する有機基が挙げられる。これらの基においては、基Y1及びY2を隣接位に有するものであり、前記ビフェニレン基及びビナフチレン基などにおいては、2,2’位に有するものを挙げることができる。置換基Z1としての置換有機基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びヘキシル基等の脂肪族アルキル基、フェニル基等の芳香族基、メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、ハロゲン基などが挙げられる。
また、基Y1及びY2の例としては、酸素原子、硫黄原子及びカルボキシラート基などが挙げられる。
このような一般式(1)で表されるプロトン供与性置換基を有する化合物(HY112H)の例としては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2,3−プロパントリオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジエン−3,4−ジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン及びグリセリンなどの脂肪族ヒドロキシ化合物、
グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル−n−酪酸、2−ヒドロキシ−n−オクタン酸及びチオ酢酸などの脂肪族カルボン酸化合物、
ベンゾイン、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−エチルカテコール、3−フルオロカテコール、3−クロロカテコール、4−ブロモカテコール、4−クロロカテコール、3’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、4−t−ブチルカテコール、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンジルアルコール、エチル−3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ピロガロール、5−メチルピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2’,3’,4’,−トリヒドロキシアセトフェノン、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ステアリル、タンニン酸、2−ヒドロキシアニリン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシアントラキノン、1,2,3−トリヒドロキシアントラキノン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルメタン及び1,1’−ビ−2−ナフトールなどの芳香族ヒドロキシ化合物、
サリチル酸、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、3−アミノサリチル酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、5−ホルミルサリチル酸、4−クロロサリチル酸、5−クロロサリチル酸、5−フルオロサリチル酸、5−ヨードサリチル酸、5−ブロモサリチル酸、3−フェニルサリチル酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及び3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などの芳香族カルボン酸化合物、
2,3−ジヒドロキシピリジン及び2,3−ジヒドロキシキノキサリンなどの複素環を有する有機基を有するジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
また、これらのプロトン供与体のうち、硬化遅延能力の観点から、前記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物がより好ましい。
一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物において、置換基Ar1は、それぞれ、置換若しくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基を表す。
このような置換基Ar1の例としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基及びビナフチレン基などの芳香環を有する有機基、ピリジニル基及びキノキサリニル基などの複素環を有する有機基が挙げられる。これらの基においては、OH基を隣接位に有するものであり、前記ビフェニレン基及びビナフチレン基などにおいては、2,2’位に有するものを挙げることができる。置換基Ar1としての置換芳香環又は置換複素環を有する有機基における置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の脂肪族アルキル基、フェニル基等の芳香族基、メトキシ基及びエトキシ基等のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、ハロゲン基などが挙げられる。
一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物(HO−Ar1−OH)としては、例えば、ベンゾイン、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−エチルカテコール、3−フルオロカテコール、3−クロロカテコール、4−ブロモカテコール、4−クロロカテコール、3’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、4−t−ブチルカテコール、3,4−ジヒドロキシベンゾニトリル、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンジルアルコール、エチル−3,4−ジヒドロキシベンゾエート、ピロガロール、5−メチルピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2’,3’,4’,−トリヒドロキシアセトフェノン、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ステアリル、タンニン酸、2−ヒドロキシアニリン、2−ヒドロキシベンジルアルコール、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシアントラキノン、1,2,3−トリヒドロキシアントラキノン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルメタン及び1,1’−ビ−2−ナフトールなどの芳香環を有する有機基を有する芳香族ヒドロキシ化合物、2,3−ジヒドロキシピリジン及び2,3−ジヒドロキシキノキサリンなどの複素環を有する有機基を有するジヒドロキシ化合物が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、ピロガロール、没食子酸プロピル、2,2’−ビフェノール、1,2−ジヒドロキシナフタレン及び2,3−ジヒドロキシナフタレンが、硬化性と流動性の際立った両立が見られるため、より好ましい。
本発明に用いる一般式(2)で表わされるトリアルコキシシラン化合物は、前記式(2)におけるR1、R2、及びR3として炭素数1〜3の脂肪族基を有するものであり、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(2)におけるR1、R2及びR3としての前記炭素数1〜3の脂肪族基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基などが挙げられる。
また前記一般式(2)におけるX1は置換もしくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を表す。
前記一般式(2)におけるX1としての、前記芳香環を有する有機基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ベンジル基、メトキシフェニル基、トリル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、アミノフェニル基、アミノフェノキシ基、N−フェニルアニリノ基、N−フェニルアニリノプロピル基、N−フェニルアミノプロピル基、フェノキシプロピル基、フェニルエチニル基、インデニル基、ナフチル基及びビフェニル基などが挙げられ、前記複素環を有する有機基としては、ピリジル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、イミダゾリルプロピル基、インドニル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、トリアジニル基、ピペリジル基、キノリル基、モルホリニル基、フリル基、フルフリル基及びチエニル基などが挙げられ、前記脂肪族基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基、アニリノプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロプロピル基、シアノプロピル基、ジエチルアミノ基、ビニル基、アリル基、メタクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、ペンタジエニル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロヘプテニル基及びエチニル基などが挙げられる。なお、前記芳香環及び複素環における置換基としては、メチル基、エチル基、水酸基及びアミノ基などが挙げられ、前記脂肪族基における置換基としては、グリシジル基、メルカプト基及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、ビニル基、フェニル基、ナフチル基及びN−フェニルアミノプロピル基が硬化遅延能力に優れるために好ましい。
このようなトリアルコキシシラン化合物(E)の具体例として、前記一般式(2)におけるX1として、前記置換若しくは無置換の芳香環を有する基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン及び(N−フェニルアミノプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられ、前記置換若しくは無置換の脂肪族基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、前記置換若しくは無置換の複素環を有する基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン及びN−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等が挙げられる。
ここで、本発明に用いる硬化遅延成分(F)の合成方法について説明する。
前記硬化遅延成分(F)の合成方法としては、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られるものであるが、例えば、前記反応を溶媒中で行う方法、前記反応を無溶媒中で行う方法、前記反応を他の成分中で行う方法などが挙げられるが、前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、前記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて硬化遅延成分(F)を得ることができる方法であれば限定されない。
前記反応を溶媒中で行う方法としては、例えば、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、溶媒中で、好ましくは、0℃以上250℃以下の温度領域で、より好ましくは50℃以上200℃以下の温度領域で、反応することにより、得ることができる。
より具体的には、前記溶媒として、前記プロトン供与体(D)及び前記トリアルコキシシラン化合物(E)が可溶な、アルコール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を用いて、この中に、前記プロトン供与体(D)及び前記トリアルコキシシラン化合物(E)を均一に溶解し、これを、例えば、使用する溶媒の種類に応じて、50℃以上200℃以下の温度で加熱混合して、縮合反応させることで硬化遅延成分(F)を得ることができる。
前記反応を無溶媒中で行う方法としては、例えば、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、そのまま混合してから、好ましくは50℃以上250℃以下の温度領域、より好ましくは80℃以上200℃以下の温度領域で、加熱無溶媒反応することにより、得ることができる。前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とが、固体であれば、混合しやすいように粉末にて、そのまま混合すればよい。
このように、加熱条件下で前記2成分を無溶媒反応することにより、硬化遅延成分(F)の形成が促進されると共に、反応において生成するアルコールなどの脱離成分を気化させ、系外に除去することができる。
上記温度領域において、好適な加熱温度は使用する前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)により調整されるが、少なくとも脱離するアルコールの反応系内の圧力における沸点を上回る必要がある。例えば、一般式(2)で表わされるトリアルコキシシラン化合物(E)におけるR1がブチル基であれば、脱離するアルコールはブタノールであるので、ブタノールの沸点である117℃を超える条件下で反応を行うことが好ましい。また、加熱温度が250℃を超えると、形成した硬化遅延成分が、酸化や分解などの反応で変成し、硬化遅延効果に悪影響を与えることがある。
さらに、無溶媒反応時に、アルコールなどの脱離成分を吸引して系外に放出することができる程度の圧力雰囲気に減圧させると、前記脱離成分をより効率的に除去できるようになるため、より好ましい。
前記反応を他の成分と混合して行う方法としては、例えば、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、好ましくは前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)の軟化点温度以上250℃以下の温度領域、より好ましくは前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)の軟化点温度以上180℃以下の温度領域で、溶融混合することにより、得ることができる。
このとき、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)の量としては、少なくとも前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを反応しやすくできる量であれば良く、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる量の一部又は全部を用いることができる。これにより、得られる硬化遅延成分(F)が、硬化剤としての前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)中に均一に分散され、より優れた硬化遅延能力を示すようになるので好ましい。
より具体的には、各成分を溶融混合する条件としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)を溶融するため、その軟化点以上であればよいが、例えば、前記軟化点より10℃以上120℃以下の範囲で高い温度で、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)を溶融させ、その中に、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)を添加し、反応させることで硬化遅延成分を得ることができる。
さらに、前記反応において生成するアルコールなどの脱離成分を吸引して系外に放出することができる程度の圧力雰囲気に減圧させると、前記脱離成分をより効率的に除去できるようになるため、より好ましい。
本発明に用いる硬化遅延成分(F)において、前記プロトン供与体(D)及び前記トリアルコキシシラン化合物(E)の反応モル比としては、本発明のエポキシ樹脂組成物において所望する硬化の遅延程度に応じ、調整することができるが、下記数式(1)で表わされるモル比で反応させることが好ましく、下記数式(2)で表されるモル比で反応させることが、より好ましい。
Mc≧Md (1)
Mc≧2Md (2)
[式中、Mcは前記プロトン供与体(D)のモル数で、Mdは前記トリアルコキシシラン化合物(E)のモル数を示す。]
上記の具体的な例としては、前記トリアルコキシシラン化合物(E)1モルに対し、前記プロトン供与体(D)2〜10モル以上が好ましく、2〜5モルであることがより好ましい。前記反応モル比の範囲であると、硬化性と流動性のバランスが優れたものとなる。前記範囲外でも用いることができるが、前記トリアルコキシシラン化合物(E)1モルに対し、前記プロトン供与体(D)0.5モル以下になると、前記トリアルコキシシラン化合物(E)の未反応分が生成物に多量に混入し、成形時のボイドの原因となることがある。
前記反応を行うことにより、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とが反応し、硬化遅延成分として働く、シリケート化合物を得ることができる。この代表例としては、下記一般式(4)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2008024776
[式中、Y3、Y4、Y5及びY6は、それぞれ、プロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基を示す。Z2は、Y3及びY4と結合する置換若しくは無置換の有機基を示す、同一分子内の2つの基Y3及びY4は、珪素原子と結合してキレート構造を形成し得るものである。Z3は、Y5及びY6と結合する置換若しくは無置換の有機基を表し、同一分子内の2つの基Y5及びY6は、珪素原子と結合してキレート構造を形成し得るものである。X2は置換もしくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を示す。]
前記基Y3、Y4、Y5及びY6として、プロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基の例としては、前記一般式(1)における基Y1及びY2と同様のものを挙げることができ、好ましくは、酸素原子を挙げることができる。前記基Z2及びZ3として、Y3及びY4と結合する置換若しくは無置換の有機基並びにY5及びY6と結合する置換若しくは無置換の有機基としては、前記一般式(1)における基Z1と同様のものを挙げることができ、好ましくは、前記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物における置換基Ar1と同様のものを挙げることができる。
また、基Y324及びY536の具体例としては、前記一般式(1)で表されるプロトン供与性置換基を有する化合物(HY112H)の例において、プロトン(H)を2個放出して得られる基を挙げることができ、好ましい具体例としては、前記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物(HO−Ar1−OH)の例において、プロトン(H)を2個放出して得られる基を挙げることができる。
また、基X2の例としては、一般式(2)におけるX1と同様のものを挙げることができる。
本発明において、上記硬化遅延成分(F)は、硬化促進剤(C)のエポキシ樹脂(A)に対する硬化促進作用を抑制するための硬化阻害成分として働くが、例えば、前記一般式(4)で表される化合物において、アニオン成分におけるケイ素原子に対してキレート環を構成する成分が、エポキシ樹脂と反応性を有するがために、加熱により、硬化反応の進行に従い、キレート環が崩壊し、硬化阻害作用を徐々に失っていくものと考えられる。一方、硬化反応を、反応の初期から終期まで、一貫して阻害し続け、十分な硬化性が得られないような、従来の硬化阻害成分と比較した場合、本発明によれば、硬化反応の終盤で阻害作用が弱くなることから、硬化の初期における反応を潜伏化するだけにとどまり、硬化物は十分な硬化度を迅速に得ることができる。
本発明において、硬化遅延成分(F)を含む前記エポキシ樹脂組成物に、任意に、さらに、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)のいずれか1種又は2種を追加で添加することにより、更なる硬化遅延効果を得ることができる。
本発明において、任意に添加されるプロトン供与体(D)及びトリアルコキシシラン化合物(E)は、前記硬化遅延成分(F)が、例えば、前記一般式(6)で表される化合物におけるアニオン成分が、前述の硬化反応の進行に従い、硬化阻害作用を失っていくプロセスにおいて、崩壊したキレート環を、前記プロトン供与体(D)及び前記トリアルコキシシラン化合物(E)により、再生する機能を発現させることができるものである。すなわち、前記硬化遅延成分(F)のみで、エポキシ樹脂の硬化を抑制した場合に比べ、トリアルコキシシラン化合物(E)トリアルコキシシラン化合物(E)を構成する珪素原子とキレート環を形成しうるプロトン供与体(D)を余分に添加した分だけ、前記硬化遅延成分(F)による硬化促進剤の潜伏化効果が長時間にわたり発揮される。
任意に添加されるプロトン供与体(D)及びトリアルコキシシラン化合物(E)の添加量としては、前記硬化遅延成分(F)1モルに対し、前記トリアルコキシシラン化合物(E)を0.1〜5モルの範囲で添加することが好ましく、0.5〜2モルの範囲で添加することが、より好ましい。前記プロトン供与体(D)は、前記任意に添加されるトリアルコキシシラン化合物(E)1モルに対し、0.5〜10モルの範囲で添加することが好ましく、1〜4モルの範囲で添加することが、より好ましい。前記含有量(添加量)の範囲であると、硬化性と流動性のバランスに、より優れたものとなるが、前記任意に添加されるトリアルコキシシラン化合物(E)1モルに対し、前記任意に添加されるプロトン供与体(D)が0.5モルを下回る場合、トリアルコキシシラン化合物(E)の未反応分が多量に混入することとなり、成形時のボイドの原因となることがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂(A)と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との含有量(配合比率)としては、特に限定されないが、前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1モルに対し、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)のフェノール性水酸基が0.5〜2モル程度となるように用いるのが好ましく、0.7〜1.5モル程度となるように用いるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の諸特性のバランスを好適なものに維持しつつ、諸特性が、より向上する。
また、硬化促進剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)より構成される樹脂成分に対して0.01〜20重量%程度であるのが好ましく、0.1〜10重量%程度であるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性及び硬化物特性がバランスよく発現する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化遅延成分(F)の含有量(添加量)は、所望する硬化遅延の度合いに応じて、その添加量を調節することができる。より具体的な例としては、本発明のエポキシ樹脂組成物を保存する温度、例えば、常温〜60℃において、硬化遅延成分(F)の効力が発揮され、保存安定性が発現し、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて成形する際に、成形温度として、好ましくは120〜250℃の温度範囲で、より好ましくは140〜200℃の温度範囲で硬化遅延成分(F)の効力が抑制され硬化が促進するように調整することができる。使用される硬化促進剤(C)と硬化遅延成分(F)の種類によって最適な量は変化するが、一般的には、前記硬化促進剤(C)1モルに対し、硬化遅延成分(F)を構成するアニオン成分として、例えば、前記一般式(4)で表わされるアニオン成分のアニオン換算で、0.1〜5モルの範囲で添加することが好ましく、0.5〜2モルの範囲で添加することがより好ましい。前記含有量(添加量)の範囲であると、硬化性、流動性及び保存性が両立したエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
本発明において、任意に用いる無機充填材としては、一般に半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。例えば、溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、チタンホワイト、窒化珪素等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、球状溶融シリカ(、破砕状溶融シリカ)である。これらの無機充填剤は、単独でも混合して用いても差し支えない。またこれらがカップリング剤により表面処理されていてもかまわない。無機充填材の形状としては、流動性改善のために、できるだけ真球状であり、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。
また、無機充填材の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記エポキシ樹脂(A)と前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部程度であるのが好ましく、400〜1400重量部程度であるのが、より好ましい。無機充填材の含有量は、前記範囲外でも使用できるが、前記下限値未満の場合、無機充填材による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、一方、無機充填材の含有量が前記上限値を超えた場合、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)に、充填不良等が生じるおそれがある。
なお、無機充填材の含有量(配合量)が、前記エポキシ樹脂(A)と前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との合計量100重量部あたり、400〜1400重量部であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率がより低くなり、半田クラックの発生を防止することができるので、より好ましい。かかるエポキシ樹脂組成物は、加熱溶融時の流動性も良好であるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすことが好適に防止される。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、前記エポキシ樹脂(A)、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)、硬化促進剤(C)、硬化遅延成分(F)、任意に、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)、さらに任意に、無機充填材の他に、必要に応じて、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイドシラン、アルキルシラン、ビニルシラン及びフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤等のカップリング剤、
カーボンブラック及びベンガラ等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び酸化亜鉛及びリン系化合物等の難燃剤、シリコーンオイル及びシリコーンゴム等の低応力成分、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸、該高級脂肪酸の金属塩類及びパラフィン等の離型剤、マグネシウム、アルミニウム、チタン及びビスマス系等のイオンキャッチャー、ビスマス酸化防止剤等の各種添加剤を配合(混合)するようにしてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記成分を、また、必要に応じて、その他の添加剤等を、ミキサーを用いて均一混合して得られ、さらには、常温で混合したものを、ロール、ニーダー、コニーダー及び二軸押出機等の混練機を用いて、加熱混練した後、冷却、粉砕することによっても得ることができる。また、上記で得たエポキシ樹脂組成物は、紛体である場合、使用にあたっての作業性を向上させるために、プレス等により加圧タブレット化して使用することもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の用い方としては、例えば、これをモールド樹脂として用いて、半導体素子等の各種の電子部品を封止し、半導体装置を製造する場合には、トランスファーモールド、コンプレッションモールド及びインジェクションモールド等の従来からの成形方法により、硬化成形して、半導体素子等の各種の電子部品を封止すればよい。これにより、本発明の半導体装置が得られる。
本発明の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、SIP(Single Inline Package)、HSIP(SIP with Heatsink)、ZIP(Zig-zag Inline Package)、DIP(Dual Inline Package)、SDIP(Shrink Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink Small Outline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFP(FP)(QFP Fine Pitch)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFJ(PLCC)(Quad Flat J-leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)等が挙げられる。
このようにして得られた本発明の半導体装置は、耐半田クラック性及び耐湿信頼性に優れる。
以上、本発明のエポキシ樹脂組成物及び半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
まず、硬化促進剤として使用する化合物C1〜C4を用意した。
[硬化促進剤の合成]
各化合物C1〜C4は、それぞれ、以下のようにして合成した。
(化合物C1の合成)
撹拌装置付きのビーカー(容量:1000mL)に、テトラフェニルホスホニウムブロマイド25.2g(0.060mol)、ビスフェノールA 27.4g(0.120mol)、及びメタノール200mLを仕込み、攪拌しながらよく溶解させた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液60ml、及び純水600mLを順次添加した。析出した粉末を純水で洗浄後、濾過・乾燥し、白色の粉末を得た。
この化合物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(5)で表される目的のホスホニウム分子化合物であることが確認された。得られた化合物C1の収率は、82%であった。
Figure 2008024776
(化合物C2の合成)
冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:200mL)に、ベンゾキノン6.49g(0.060mol)、トリフェニルホスフィン17.3g(0.066mol)及びアセトン40mLを仕込み、攪拌下室温で反応した。析出した結晶をアセトンで洗浄後、濾過・乾燥し、褐色結晶20.0gを得た。
この化合物をC2とした。化合物C2を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(6)で表される目的のホスホベタインであることが確認された。得られた化合物C2の収率は、85%であった。
Figure 2008024776
(化合物C3の合成)
冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:200mL)に、2−ブロモフェノール10.4g(0.060mol)、トリフェニルホスフィン17.3g(0.066mol)、塩化ニッケル0.65g(5mmol)及びエチレングリコール40mL仕込み、攪拌下160℃で加熱反応した。反応液を冷却後、純水40mLを滴下し、析出した粉末をトルエンで洗浄後、濾過・乾燥し、白色の粉末を得た。
次に、得られた粉末をメタノール100mlに溶解し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液60mlと、純水500mlを順次投入した。得られた結晶をろ過、洗浄し、淡黄色結晶12.7gを得た。
この化合物をC3とした。化合物C3を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(7)で表される目的のホスホベタインであることが確認された。得られた化合物C3の収率は、81%であった。
Figure 2008024776
(化合物C4の合成)
撹拌装置付きのビーカー(容量:1000mL)に、トリフェニルスルホニウムクロリド17.9g(0.060mol)、4,4’−スルホニルジフェノール 30.0g(0.120mol)、及びメタノール200mLを仕込み、攪拌しながらよく溶解させた後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液60ml、及び純水400mLを順次添加した。析出した粉末を純水で洗浄後、濾過・乾燥し、黄色の粉末を得た。
この化合物をC4とした。化合物C4を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(8)で表される目的のスルホニウム分子化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、58%であった。
Figure 2008024776
[硬化遅延成分の合成]
プロトン供与体(D)と、トリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延成分(F)は、以下の様にして調製した。
(調整例1)
[硬化遅延成分1]
(D)成分として、ピロガロール25.2g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、9.4g(理論量の98%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分1(軟化点92℃)とした。
(調製例2)
[硬化遅延成分2]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、9.2g(理論量の96%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分2(軟化点48℃)とした。上記で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図1に示した。なお、赤外吸収スペクトルは、(株)島津製作所製FT−IR8900を用い、KBr錠剤法により測定した。
(調製例3)
[硬化遅延成分3]
(D)成分として、カテコール22.0g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、9.2g(理論量の96%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。得られた反応物は室温で溶融状態であり、これを硬化遅延成分3とした。
(調製例4)
[硬化遅延成分4]
(D)成分として、没食子酸プロピル42.4g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、8.9g(理論量の93%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分4(軟化点90℃)とした。上記で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図2に示した。
(調製例5)
[硬化遅延成分5]
(D)成分として、1,2−エタンジオール12.4g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、8.6g(理論量の90%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。得られた反応物は室温で溶融状態であり、これを硬化遅延成分5とした。
(調製例6)
[硬化遅延成分6]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシピリジン22.2g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、8.1g(理論量の85%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。
これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分6(軟化点54℃)とした。
(調製例7)
[硬化遅延成分7]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、(E)成分として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン19.6g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応させた。反応において、8.6g(理論量の90%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。得られた反応物は室温で溶融状態であり、これを硬化遅延成分7とした。
(調製例8)
[硬化遅延成分8]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、(E)成分としてN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.0g(0.10mol)及びメタノール150mlを冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下50℃、30分加熱反応した。その後、反応液を冷却すると、白色結晶が析出した。析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、真空乾燥することにより精製し、結晶を得た。得られた生成物の収率は72%、融点は308℃であり、この反応物を硬化遅延成分8とした。
(調製例9)
[硬化遅延成分9]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、(E)成分としてビニルトリメトキシシラン14.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下100℃、60分溶融状態で反応させた。反応において、8.6g(理論量の90%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分9(軟化点55℃)とした。
(調製例10)
[硬化遅延成分10]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、(E)成分としてメチルトリメトキシシラン13.6g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下100℃、60分溶融状態で反応させた。反応において、8.9g(理論量の93%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。得られた反応物は室温で溶融状態であり、これを硬化遅延成分10とした。
(調製例11)
[硬化遅延成分11]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン32.0g(0.20mol)、(E)成分としてN−(3−トリエキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾール27.4g(0.10mol)及びメタノール150mlを冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下50℃、30分加熱反応した。その後、反応液を冷却すると、白色結晶が析出した。析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、真空乾燥することにより精製し、結晶を得た。得られた生成物の収率は96%、融点は321℃であり、この反応物を硬化遅延成分11とした。
(調製例12)
[硬化遅延成分12]
(D)成分として、没食子酸プロピル42.4g(0.20mol)、(E)成分としてN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.0g(0.10mol)及びメタノール150mlを冷却管及び撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下50℃、30分加熱反応した。その後、反応液を冷却すると、白色結晶が析出した。析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、真空乾燥することにより精製し、結晶を得た。得られた生成物の収率は53%、融点は246℃であり、この反応物を硬化遅延成分12とした。上記で得られた化合物の赤外吸収スペクトルを図3に示した
(調製例13)
[硬化遅延成分13]
(D)成分として、没食子酸プロピル42.4g(0.20mol)、(E)成分としてN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン22.0g(0.10mol)、エポキシ樹脂硬化剤である、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製MEH−7851SS)100gを冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下130℃、30分溶融状態で反応した。反応において、9.2g(理論量の96%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分13(軟化点60℃)とした。
(調製例14)
[硬化遅延成分14]
(D)成分として、没食子酸プロピル42.4g(0.20mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)、エポキシ樹脂硬化剤である、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製MEH−7851SS)100gを冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下130℃、30分溶融状態で反応した。反応において、9.2g(理論量の96%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分14(軟化点47℃)とした。
(調製例15)
[硬化遅延成分15]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン16.0g(0.10mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応した。反応において、4.3g(理論量の90%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分15(軟化点52℃)とした。
(調製例16)
[硬化遅延成分16]
(D)成分として、2,3−ジヒドロキシナフタレン64.0g(0.40mol)、(E)成分としてフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.10mol)を冷却管、分留管、撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に投入し、攪拌下170℃、30分溶融状態で反応した。反応において、8.9g(理論量の93%)のメタノールが気相生成物としてトラップされたことより、反応が十分に進行していることが確認できた。これを冷却後、粉砕し、得られた反応物を、硬化遅延成分16(軟化点48℃)とした。
[エポキシ樹脂組成物の調製]
以下のようにして、前記硬化遅延成分1〜16含むエポキシ樹脂組成物を調製し、半導体装置を製造した。
(実施例1)
まず、化合物(A)としてビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX−4000K、融点:105℃、エポキシ当量:193、150℃におけるICI溶融粘度:0.15poise)、化合物(B)として三井化学(株)製XLC−LL、軟化点:77℃、水酸基当量:172、150℃におけるICI溶融粘度:3.6poise)、トリフェニルホスフィン、硬化遅延成分1、無機充填材として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びカルナバワックスを、それぞれ用意した。
次に、前記ビフェニル型エポキシ樹脂:52重量部、前記フェノールアラルキル樹脂:48重量部、トリフェニルホスフィン:1.31重量部、硬化遅延成分1:1.77重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて95℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFPのパッケージ(半導体装置)を8個、及び、16ピンDIPのパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
(実施例2)
まず、化合物(A)としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC−3000P、軟化点:60℃、エポキシ当量:272、150℃におけるICI溶融粘度:1.3poise)、化合物(B)としてビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成(株)製MEH−7851SS、軟化点:68℃、水酸基当量:199、150℃のICI溶融粘度:0.9poise)、トリフェニルホスフィン、硬化遅延成分2、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びカルナバワックスを、それぞれ用意した。
次に、前記ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:57重量部、前記ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:43重量部、トリフェニルホスフィン:1.31重量部、硬化遅延成分2:2.11重量部、溶融球状シリカ:650重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例3)
硬化遅延成分1に代わり、硬化遅延成分3:1.61重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例4)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分4:2.63重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例5)
硬化遅延成分1に代わり、硬化遅延成分5:0.81重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例6)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分6:1.62重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例7)
硬化遅延成分1に代わり、硬化遅延成分7:2.10重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例8)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分8:2.40重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例9)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分9:1.86重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例10)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分10:1.80重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例11)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分11:2.28重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例12)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分12:2.92重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例13)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分13:4.52重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例14)
硬化遅延成分2に代わり、硬化遅延成分14:4.11重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例15)
追加の添加剤として、2,3−ジヒドロキシナフタレン:1.60重量部、フェニルトリメトキシシラン:0.99重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例16)
追加の添加剤として、2,3−ジヒドロキシナフタレン:1.60重量部、フェニルトリメトキシシラン:0.99重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例17)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C1:3.97重量部、硬化遅延成分2:1.06重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例18)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C1:3.97重量部、硬化遅延成分2:2.11重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例19)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C1:3.97重量部、硬化遅延成分2:3.17重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例20)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C1:3.97重量部、硬化遅延成分2:4.22重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例21)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C1:3.97重量部、硬化遅延成分1に代わり、硬化遅延成分15:1.55重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例22)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C1:3.97重量部、硬化遅延成分1に代わり、硬化遅延成分16:3.71重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例23)
トリフェニルホスフィンに代わり2−メチルイミダゾール:0.41重量部、硬化遅延成分1に代わり硬化遅延成分2:2.11重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例24)
トリフェニルホスフィンに代わり1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7:0.76重量部、硬化遅延成分1に代わり硬化遅延成分2:2.11重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例25)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C2:1.77重量部、硬化遅延成分1に代わり硬化遅延成分2:2.11重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例26)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C3:1.85重量部、硬化遅延成分1に代わり硬化遅延成分2:2.11重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(実施例27)
トリフェニルホスフィンに代わり化合物C4:2.45重量部、硬化遅延成分1に代わり硬化遅延成分2:2.11重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例1)
硬化遅延成分1を加えなかった以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例2)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例3)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例17と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例4)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例23と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例5)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例24と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例6)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例25と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例7)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例26と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
(比較例8)
硬化遅延成分2を加えなかった以外は、前記実施例27と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
[特性評価]
実施例1〜27及び比較例1〜8で得られたエポキシ樹脂組成物の特性評価(1)〜(3)、及び、実施例1〜27及び比較例1〜8で得られた半導体装置の特性評価(4)及び(5)を、それぞれ、以下のようにして行った。
(1)スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分で測定した。
このスパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい程、流動性が良好であることを示す。
(2)硬化トルク
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIV PS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。
この硬化トルクは、数値が大きい程、硬化性が良好であることを示す。
(3)フロー残存率
得られたエポキシ樹脂組成物を、大気中40℃で1週間保存した後、前記特性評価(1)と同様にしてスパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率(%)を求めた。
このフロー残存率は、数値が大きい程、保存性が良好であることを示す。
(4)耐半田クラック性
100ピンTQFPを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。
その後、顕微鏡下に、外部クラックの発生の有無を観察し、クラック発生率=(クラックが発生したパッケージ数)/(全パッケージ数)×100として、百分率(%)で表示した。
また、シリコンチップとエポキシ樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率=(剥離面積)/(シリコンチップの面積)×100として、8個のパッケージの平均値を求め、百分率(%)で表示した。
これらのクラック発生率及び剥離率は、それぞれ、数値が小さい程、耐半田クラック性が良好であることを示す。
(5)耐湿信頼性
16ピンDIPに、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。
なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間超(>500)と示す。
この不良時間は、数値が大きい程、耐湿信頼性に優れることを示す。
各特性評価(1)〜(5)の結果を、表1及び表2に示す。
Figure 2008024776
Figure 2008024776
表1〜表2に示すように、比較例で示される、硬化促進剤のみを利用した樹脂組成物に対し、実施例で得られたエポキシ樹脂組成物(本発明のエポキシ樹脂組成物)は、いずれも、硬化性を損なうことなく、向上した流動性及び保存性を発揮している。さらに、この硬化物で封止された各実施例のパッケージ(本発明の半導体装置)は、いずれも、耐半田クラック性、耐湿信頼性が良好なものであった。また、硬化遅延成分の分量を調整することにより、実用に十分たる硬化性を維持しつつも、流動性や保存性を調整することに成功している。
これに対し、比較例1〜2で得られたエポキシ樹脂組成物は、硬化遅延成分を混合していないため、いずれも、流動性、保存性に劣り、得られたパッケージは耐半田クラック性に劣るものであった。また、比較例3〜8で得られたエポキシ樹脂組成物は、流動性、保存性に劣るものであった。さらに、比較例4、5、7、8で得られたエポキシ樹脂組成物は、耐湿信頼性が極めて低いものであった。
調整例2で得た硬化遅延成分2の赤外吸収スペクトルである。 調整例4で得た硬化遅延成分4の赤外吸収スペクトルである。 調整例12で得た硬化遅延成分12の赤外吸収スペクトルである。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、硬化促進剤(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物であって、下記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)と、下記一般式(2)で表されるトリアルコキシシラン化合物(E)とを反応させて得られる硬化遅延成分(F)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2008024776
    [式中、Y1及びY2は、それぞれ、プロトン供与性置換基がプロトンを1個放出してなる基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。Z1は、プロトン供与性置換基であるY1H及びY2Hと結合する置換若しくは無置換の有機基を示す。]
    Figure 2008024776
    [式中、R1、R2及びR3は、炭素数1〜3の脂肪族基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。X1は、置換もしくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を示す。]
  2. 前記硬化促進剤(C)が窒素、燐又は硫黄含有化合物である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂組成物は、さらに、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)のいずれか1種又は2種を含むものである、請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)で表されるプロトン供与体(D)は、下記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2008024776
    [式中、Ar1は、置換もしくは無置換の芳香環又は複素環を有する有機基を示す。]
  5. 前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、溶媒中、0℃以上250℃以下の温度領域で、反応させて得られたものである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、無溶媒で、50℃以上250℃以下の温度領域で加熱して、反応させて得られたものである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)の一部又は全部と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する(B)の軟化点温度以上250℃以下の温度領域で、溶融混合して反応させて得られたものである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 前記硬化遅延成分(F)は、前記プロトン供与体(D)と、前記トリアルコキシシラン化合物(E)とを、下記数式(1)を満たすモル比で反応して得られたものである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Mc≧Md (1)
    [数式中、Mcは前記プロトン供与体(D)のモル数で、Mdは前記トリアルコキシシラン化合物(E)のモル数を示す。]
  9. 前記エポキシ樹脂組成物は、さらに無機充填材を含むものである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により電子部品を封止してなる半導体装置。
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